(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072079
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】導電部材
(51)【国際特許分類】
H01R 13/24 20060101AFI20220510BHJP
H01R 11/01 20060101ALI20220510BHJP
H01R 12/57 20110101ALI20220510BHJP
【FI】
H01R13/24
H01R11/01 501Z
H01R12/57
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020181311
(22)【出願日】2020-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】313001332
【氏名又は名称】積水ポリマテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】今野 英明
(72)【発明者】
【氏名】石久保 雅道
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA01
5E223AB03
5E223AB45
5E223BA27
5E223BB01
5E223BB12
5E223CA11
5E223CD01
5E223DA05
5E223DB11
5E223DB25
(57)【要約】
【課題】より安定した導通接続性を実現する。
【解決手段】第1の接続対象物C1と第2の接続対象物C2とを導通接続する導電部材100において、導電性のゴム状弾性体からなる基材110と、基材の上面側に設けられ、基材の変形に伴って伸縮変形可能な導電性被膜114と、を備え、基材は、導電性被膜を介して第1の接続対象物に当接可能な頂面部111と、頂面部の両端側から下方に延出する側壁部112と、側壁部の少なくとも何れか一方の先端側に配置され、第2の接続対象物に面接触して固着可能な導電性を有する固着部115が底面側に設けられ、固着部を介して第2の接続対象物に当接可能な基部113と、を備え、導電性被膜の接触面部114aが第1の接続対象物に面接触し、かつ、固着部が第2の接続対象物に面接触した状態で高さ方向に圧縮すると、側壁部が第2の接続対象物に固定された状態で撓み変形可能に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の接続対象物と第2の接続対象物とを導通接続する導電部材において、
導電性のゴム状弾性体からなる基材と、
前記基材の上面側に設けられ、前記基材の変形に伴って伸縮変形可能な導電性被膜と、を備え、
前記基材は、
前記導電性被膜を介して前記第1の接続対象物に当接可能な頂面部と、
前記頂面部の両端側から下方にそれぞれ延出して前記頂面部を支持する側壁部と、
前記側壁部の少なくとも何れか一方の先端側に配置されており、前記第2の接続対象物に面接触して固着可能な導電性を有する固着部が底面側に設けられて、前記固着部を介して前記第2の接続対象物に当接可能な基部と、を備え、
前記導電性被膜のうち、前記頂面部を覆う部位が前記第1の接続対象物に面接触する接触面部となっており、
前記接触面部が前記第1の接続対象物に面接触し、かつ、前記基部の底面側に設けられている前記固着部が前記第2の接続対象物に面接触した状態で高さ方向に圧縮すると、前記側壁部が前記第2の接続対象物に固定された状態で撓み変形可能に構成されている導電部材。
【請求項2】
前記頂面部と前記基部は、上面視した際に、互いに重複しないように配置されている
請求項1に記載の導電部材。
【請求項3】
前記導電性被膜は、前記基材の上面側のみに設けられている
請求項1に記載の導電部材。
【請求項4】
前記側壁部の厚さが前記頂面部の厚さ以下の大きさである
請求項1~3の何れか1項に記載の導電部材。
【請求項5】
前記頂面部の天面が平面状に構成されている
請求項1~4の何れか1項に記載の導電部材。
【請求項6】
前記側壁部は、前記頂面部の中心に対して反発弾性が対称になるように前記頂面部の両端側から延出している
請求項1~5の何れか1項に記載の導電部材。
【請求項7】
前記側壁部は、前記頂面部の中心に対して線対称の形状になるように前記頂面部の両端側から延出している
請求項1~6の何れか1項に記載の導電部材。
【請求項8】
前記側壁部は、前記頂面部の両端側から鉛直方向に延出する
請求項1~7の何れか1項に記載の導電部材。
【請求項9】
前記側壁部は、前記頂面部の両端側から傾斜する方向に延出する
請求項1~7の何れか1項に記載の導電部材。
【請求項10】
前記基部は、前記側壁部の双方の先端側に配置されている
請求項1~9の何れか1項に記載の導電部材。
【請求項11】
前記側壁部の一方のみに前記基部が設けられ、かつ、前記側壁部の他方が前記第2の接続対象物に形成されている凸部に係止可能に構成されている
請求項1~9の何れか1項に記載の導電部材。
【請求項12】
前記側壁部は、厚さ及び前記頂面部となす角度が互いに異なっている
請求項1~6の何れか1項に記載の導電部材。
【請求項13】
前記固着部が前記側壁部と同じ厚さで構成され、前記基部が前記固着部に置換されている
請求項1~12の何れか1項に記載の導電部材。
【請求項14】
前記基部には、厚さ方向に貫通する孔部が形成されており、前記導電性被膜と前記固着部が導通可能に構成されている
請求項1~12の何れか1項に記載の導電部材。
【請求項15】
前記基部には、厚さ方向に貫通する切欠き部が形成されており、前記導電性被膜と前記固着部が導通可能に構成されている
請求項1~12の何れか1項に記載の導電部材。
【請求項16】
前記基材は、導電性フィラーをゴム材料に含有した導電性ゴムである
請求項1~15の何れか1項に記載の導電部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電部材に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等の携帯型の無線通信機器は、各種電磁波を送受信することから、ノイズの発生源となり得るので、機器内部のEMI(Electro Magnetic Interference:電磁妨害)対策が必須となる。EMI対策の方法の1つとして、無線通信機器等の電子機器の電子回路部分に入り込もうとするノイズをグラウンドに逃がすグラウンディングがある。
【0003】
このグラウンディングを用いるEMI対策部品の1つとして、プリント配線基板の接地パターンと接地電極とを導通接続してプリント配線基板を接地することによって、ノイズの影響を抑制する導電コンタクトが知られている。グラウンド接続用の導電コンタクト端子は、組付けの際に圧縮され導電接続するので、圧縮荷重が極力低いことが好ましい。グラウンド接続用の導電コンタクト端子の圧縮荷重を下げるために、例えば、特許文献1~6では、内側に中空部を有する弾性体の表面に薄い導電体を覆って構成されている導電部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2017-532741号公報
【特許文献2】特開2009-218207号公報
【特許文献3】特開2012-079927号公報
【特許文献4】特開2008-123850号公報
【特許文献5】特開2008-123788号公報
【特許文献6】特開2004-259488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、中空の弾性体の表面を導電体の被膜で覆うと、導電部材が全体的に硬くなることから、高さ方向・圧縮方向に圧縮変形し難くなることがある。また、携帯型の無線通信機器は、小型化や高集約化の要請があるので、導電部材に関しては、更なる低荷重化を図って、より安定した導通接続性が求められている。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、より安定した導通接続性を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、第1の接続対象物と第2の接続対象物とを導通接続する導電部材において、導電性のゴム状弾性体からなる基材と、前記基材の上面側に設けられ、前記基材の変形に伴って伸縮変形可能な導電性被膜と、を備え、前記基材は、前記導電性被膜を介して前記第1の接続対象物に当接可能な頂面部と、前記頂面部の両端側から下方にそれぞれ延出して前記頂面部を支持する側壁部と、前記側壁部の少なくとも何れか一方の先端側に配置されており、前記第2の接続対象物に面接触して固着可能な導電性を有する固着部が底面側に設けられて、前記固着部を介して前記第2の接続対象物に当接可能な基部と、を備え、前記導電性被膜のうち、前記頂面部を覆う部位が前記第1の接続対象物に面接触する接触面部となっており、前記接触面部が前記第1の接続対象物に面接触し、かつ、前記基部の底面側に設けられている前記固着部が前記第2の接続対象物に面接触した状態で高さ方向に圧縮すると、前記側壁部が前記第2の接続対象物に固定された状態で撓み変形可能に構成されている。
【0008】
本発明の一態様によれば、基材の頂面部が側壁部によって両端側から弾性的に支持されるので、頂面部の上面側に設けられている接触面部が位置ずれすることなく、第1の接続対象物に対して安定した導通接続性が図れるようになる。
【0009】
本発明の一態様では、前記頂面部と前記基部は、上面視した際に、互いに重複しないように配置されていることとしてもよい。
【0010】
このようにすれば、導電部材を高さ方向に圧縮した際に、側壁部が撓み変形して、潰れて行き易くなる。
【0011】
本発明の一態様では、前記導電性被膜は、前記基材の上面側のみに設けられていることとしてもよい。
【0012】
このようにすれば、基材が高さ方向・圧縮方向に圧縮変形し易くなるので、より低荷重化を図れるようになる。
【0013】
本発明の一態様では、前記側壁部の厚さが前記頂面部の厚さ以下の大きさであることとしてもよい。
【0014】
このようにすれば、導電部材を高さ方向に圧縮すると、頂面部の上面側に設けられている接触面部が第1の接続対象物に面接触した状態で側壁部が安定的に弾性的に撓み変形するようになる。
【0015】
本発明の一態様では、前記頂面部の天面が平面状に構成されていることとしてもよい。
【0016】
このようにすれば、頂面部の上面側に設けられる接触面部が平坦な形状となるので、第1の接続対象物に対して、より安定した導通接続性が図れるようになる。
【0017】
本発明の一態様では、前記側壁部は、前記頂面部の中心に対して反発弾性が対称になるように前記頂面部の両端側から延出していることとしてもよい。
【0018】
このようにすれば、側壁部の反発弾性が左右で均等になることから、接触面部が側壁部に弾性的に支持された頂面部を介して真っすぐに第1の接続対象物に当接するので、より安定した導通接続性を確保できるようになる。
【0019】
本発明の一態様では、前記側壁部は、前記頂面部の中心に対して線対称の形状になるように前記頂面部の両端側から延出していることとしてもよい。
【0020】
このようにすれば、側壁部の形状を左右で同一にすることによって、反発弾性が左右で均等になることから、接触面部が側壁部に弾性的に支持された頂面部を介して真っすぐに第1の接続対象物に当接するので、より安定した導通接続性を確保できるようになる。
【0021】
本発明の一態様では、前記側壁部は、前記頂面部の両端側から鉛直方向に延出することとしてもよい。
【0022】
このようにすれば、導電部材を幅方向にコンパクト化を図った上で、安定した導通接続性を確保できるようになる。
【0023】
本発明の一態様では、前記頂面部の両端側から傾斜する方向に延出することとしてもよい。
【0024】
このようにすれば、側壁部がより低荷重で高さ方向に弾性的に撓み変形し易くなるので、より低荷重化を図った上で、安定した導通接続性を確保できるようになる。
【0025】
本発明の一態様では、前記基部は、前記側壁部の双方の先端側に配置されていることとしてもよい。
【0026】
このようにすれば、頂面部を両端側から弾性的に支持する側壁部が基部を介して第2の接続対象物に固定されるので、接触面部が位置ずれし難くなって、第1の接続対象物に対して安定した導通接続性が図れるようになる。
【0027】
本発明の一態様では、前記側壁部の一方のみに前記基部が設けられ、かつ、前記側壁部の他方が前記第2の接続対象物に形成されている凸部に係止可能に構成されていることとしてもよい。
【0028】
このようにすれば、双方の側壁部が基部と凸部を介して、それぞれ第2の接続対象物に固定されるので、接触面部が位置ずれし難くなって、第1の接続対象物に対して安定した導通接続性が図れるようになる。
【0029】
本発明の一態様では、前記側壁部は、厚さ及び前記頂面部となす角度が互いに異なっていることとしてもよい。
【0030】
このようにすれば、一方の側壁部からより低荷重で高さ方向に撓み変形してから、他方の側壁部が撓み変形するようになるので、より低荷重で安定した導通接続性を確保できるようになる。
【0031】
本発明の一態様では、前記固着部が前記側壁部と同じ厚さで構成され、前記基部が前記固着部に置換されていることとしてもよい。
【0032】
このようにすれば、より確実に導電性被膜と固着部との導通接続が図れるので、導電部材の導通接続性を高められるようになる。
【0033】
本発明の一態様では、前記基部には、厚さ方向に貫通する孔部が形成されており、前記導電性被膜と前記固着部が導通可能に構成されていることとしてもよい。
【0034】
このようにすれば、より確実に導電性被膜と固着部との導通接続が図った上で、基材の低荷重化を図れるようになるので、より低荷重で導通接続性を高められるようになる。
【0035】
本発明の一態様では、前記基部には、厚さ方向に貫通する切欠き部が形成されており、前記導電性被膜と前記固着部が導通可能に構成されていることとしてもよい。
【0036】
このようにすれば、より確実に導電性被膜と固着部との導通接続が図った上で、基材の低荷重化を図れるようになるので、より低荷重で導通接続性を高められるようになる。
【0037】
本発明の一態様では、前記基材は、導電性フィラーをゴム材料に含有した導電性ゴムであることとしてもよい。
【0038】
このようにすれば、基材にも導電性を有する構成となるので、導電部材全体の電気抵抗を低下させて、導通接続性を高めることができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の一態様によれば、より安定した接続導通性を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】(A)は、本発明の一実施形態に係る導電部材の斜視図であり、(B)は、
図1(A)の正面図であり、(C)は、本実施形態の導電部材の使用状態における正面図である。
【
図2】(A)は、本発明の一実施形態に係る導電部材の変形例1の斜視図であり、(B)は、
図2(A)の正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る導電部材の変形例2の正面図である。
【
図4】(A)~(C)は、本発明の一実施形態に係る導電部材の変形例2の動作説明図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る導電部材の変形例3の正面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る導電部材の変形例4の斜視図である。
【
図7】(A)は、本発明の一実施形態に係る導電部材の変形例5の斜視図であり、(B)は、本実施形態の導電部材の変形例5の平面図である。
【
図8】(A)は、本発明の他の実施形態に係る導電部材の正面図であり、(B)は、本実施形態の導電部材の使用状態における正面図である。
【
図9】本発明の他の実施形態に係る導電部材の変形例の正面図である。
【
図10】(A)は、本発明の更に他の実施形態に係る導電部材の斜視図であり、(B)は、
図10(A)の正面図である。
【
図11】(A)~(D)は、本発明の一実施形態に係る導電部材に対応する実施例1の動作説明図である。
【
図12】(A)~(D)は、本発明の一実施形態に係る導電部材の変形例1に対応する実施例2の動作説明図である。
【
図13】(A)~(D)は、本発明の一実施形態に係る導電部材の変形例2に対応する実施例3の動作説明図である。
【
図14】(A)~(D)は、本発明の一実施形態に係る導電部材の変形例2に対応する実施例4の動作説明図である。
【
図15】(A)~(D)は、本発明の一実施形態に係る導電部材の変形例2に対応する実施例5の動作説明図である。
【
図16】(A)は、比較例となる導電部材の斜視図であり、(B)~(D)は、比較例となる導電部材の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0042】
また、本明細書及び特許請求の範囲において、「第1」及び「第2」と記載する場合、それらは、異なる構成要素を区別するために用いるものであり、特定の順序や優劣等を示すために用いるものではない。
【0043】
さらに、本出願にて開示する「導電部材」は、「第1の接続対象物」としての被着体と「第2の接続対象物」とを導通接続するものである。「第1の接続対象物」の一態様としては、電気機器等の金属製筐体を例示できる。第2の接続対象物」の一態様としては、金属製筐体に収容する回路基板を例示できる。
【0044】
(第1の実施形態)
まず、本発明の一実施形態に係る導電部材の概略構成について、図面を使用しながら説明する。
図1(A)は、本発明の一実施形態に係る導電部材の斜視図であり、
図1(B)は、
図1(A)の正面図であり、
図1(C)は、本実施形態の導電部材の使用状態における正面図である。
【0045】
本実施形態の導電部材100は、EMI対策部品として、無線通信機器等の電子回路部分に入り込もうとするノイズをグラウンドに逃がすグラウンディングとしての機能を奏するものである。導電部材100は、鉛直方向(高さ方向)に互いに接近及び離間するように対向配置された第1の接続対象物C1と第2の接続対象物C2とを導通接続可能に設けられている。具体的には、導電部材100は、例えば、第1の接続対象物C1となる金属製筐体と、第2の接続対象物C2となる回路基板との間に圧縮された状態で、これらを導通接続するように構成されている。
【0046】
導電部材100は、その構造の基礎となる導電性のゴム状弾性体からなる基材110の上面側に、基材110の変形に伴って伸縮変形可能な良導電性の導電性被膜114が覆われて構成されている。基材110のみで導電性を高めるには、基材110を構成するゴム状弾性体に導電性充填材を高充填する必要があり、高硬度化してしまう。
【0047】
このため、本実施形態では、低硬度で柔軟変形可能とした上で、ある程度の導電性を確保するために、導電性充填材を所定の充填量で充填させた基材110に対して、上面側を良導電性の導電性被膜114で覆い、第1の接続対象物C1への導電接続性を高めている。また、基材110の上面側に導電性被膜114を覆うことによって、基材110の側壁部112から基部113に至るまでの導電性を補完している。なお、基材110及び導電性被膜114の材質の詳細な説明については、後述する。
【0048】
本実施形態では、基材110は、
図1(A)~(C)に示すように、頂面部111と、側壁部112と、基部113とから構成され、正面視した際に、上下方向に屈曲して三次元的に突出した形状となっている。また、本実施形態の基材110は、側壁部112及び基部113が頂面部111の中心に対して線対称の形状になっている。
【0049】
導電性被膜114は、基材110の頂面部111、側壁部112、及び基部113の上面側のみを覆うように設けられている。導電性被膜114は、ベースにシリコーン系、ウレタン系等のポリマーを用いることができる。例えば、基材110がシリコーン系のゴムの場合、ウレタン系の導電性被膜114を固着させるためには、基材110の表面をプラズマ処理等の表面処理をして、導電性被膜114の密着性を向上させる。なお、基材110の表面の密着性向上には、プライマーやカップリング剤を塗布する湿式法や、プラズマ放電処理、コロナ処理、紫外線照射処理等の乾式法のような表面処理を利用できる。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「基材の上面側」とは、頂面部と基部に関しては、第1の接続対象物に対向する上側の面を示し、側壁部に関しては、外側の面を示すものとする。
【0050】
図1(A)~(C)に示すように、頂面部111は、導電性被膜114を介して第1の接続対象物C1に当接可能となるように、第2の接続対象物C2に固定される基部113に対して、上面側に凸状に突出するように構成されている。本実施形態では、頂面部111は、天面111aが平面状に構成されており、頂面部111の天面111aを覆う導電性被膜114の上面側の部位が第1の接続対象物C1に面接触する接触面部114aとなっている。
【0051】
頂面部111の両端側には、鉛直方向の下方に延出するように、頂面部111を支持する側壁部112が設けられており、弾性を有する側壁部112が上下方向に反発弾性を与えている。これらの側壁部112の先端側には、薄板状の基部113がそれぞれ設けられている。本実施形態では、側壁部112が弾性的に撓み変形し易いようにするために、側壁部112の厚さが頂面部111の厚さ以下の大きさとなっている。また、本実施形態では、導電部材100を高さ方向に圧縮した際に、側壁部112が撓み変形して導電部材100が潰れて行き易くするために、頂面部111と基部113は、上面視した際に、互いに重複しないように配置されている。
【0052】
基部113は、底面側に第2の接続対象物C2に面接触して固着可能な導電性を有する固着部115が設けられており、固着部115を介して第2の接続対象物C2に固定される。すなわち、本実施形態では、基部113は、固着部115を介して基材110を回路基板等の第2の接続対象物C2に載置される基材110の支持基部として機能する。基部113は、固着部115を介して基材110を回路基板等の第2の接続対象物C2に載置する部位である。基部113は、薄板形状とされており、正面視で基材110の水平方向に沿って伸長している。
【0053】
固着部115は、銅やアルミニウム等の導電性の良い金属からなる金属箔が予め基部113の底面側に埋設されることによって設けられている。例えば、固着部115は、厚さが0.3mmの基材110の基部113の底面に対して、厚さが35μmの銅箔をインサート成形することによって設けることができる。このように、基部113の底面側に固着部115が設けられることによって、導電部材100を半田付け等によって第2の接続対象物C2となる回路基板に取り付けることができる。これによって、固着部115は、基部113と回路基板とを固定させると共に、これらの間を導通接続することができる。なお、本実施形態では、固着部115として、導電性の良い金属からなる金属箔を使用した態様について説明しているが、固着部115は、導電性の粘着剤や接着剤、両面テープ等を代用してもよい。
【0054】
本実施形態の導電部材100では、基材110の頂面部111を覆う導電性被膜114の表面側に有する接触面部114aが金属製筐体(第1の接続対象物C1)に対する導電部材100の電気的接続面となる。一方、基材110の基部113の底面側に設けられている固着部115が回路基板(第2の接続対象物C2)に対する導電部材100の電気的接続面となる。そして、導電部材100は、接触面部114aが第1の接続対象物C1に面接触し、かつ、固着部115が第2の接続対象物C2に面接触した状態で高さ方向に圧縮すると、側壁部112が第2の接続対象物C2に固定された状態で撓み変形可能に構成されている。
【0055】
また、このように構成された導電部材100を回路基板等に取り付ける際には、回路基板上の所望の取り付け位置にクリーム半田を塗布しておき、先端にバキューム吸着パッド等を有するピックアップ装置で導電部材100の上面を吸着して持ち上げてから、当該取り付け位置に導電部材100を配置し、その後、リフロー炉等で半田を加熱溶融して固着部115を固定する。本実施形態の導電部材100を回路基板等に取り付ける際には、半田が溶融することで導電部材100がセルフアライメント効果で動いて所望の実装位置に配置される。同時に導電部材100の側壁部112等の形状も、基材110のゴム状弾性によって初期形状に戻ってから、左右の基部113の底面側に有する固着部115で固定されるため、側壁部112は、頂面部111を設計通りに左右から弾性支持することができる。
【0056】
次に、本実施形態の導電部材100を構成する基材110と導電性被膜114の材質について詳細に説明する。
【0057】
基材110に適用可能なゴム状弾性体としては、シリコーンゴムや他の合成ゴム、熱可塑性エラストマーといったゴム材料が挙げられる。中でも、基材110には、耐熱性があり、圧縮永久ひずみの小さいシリコーンゴムを用いることが好ましい。基材110は、組成や構造等によって限定されるものではなく、柔軟性が高く、かつ、除荷時の復元性が高い弾性体であれば良く、基材110には、ウレタンスポンジのような多孔質体や樹脂フィルムを用いることもできる。しかしながら、基材110には、多孔質体や樹脂フィルムに比べて圧縮永久ひずみの値が低く、長期間の使用であってもへたり難いゴム状弾性体を用いることがより好ましい。また、基材110には、これらの材料が単独で用いられず、2種以上組み合わされた上で用いられても良い。
【0058】
基材110は、圧縮永久ひずみが30%を超えると、第1の接続対象物C1となる金属製筐体と第2の接続対象物C2となる回路基板によって圧縮された際の弾性力が不足して元の形状に復帰し難くなってしまう。このため、金属製筐体と回路基板との間の導通が維持できなくなる可能性が高まる。従って、基材110は、圧縮永久ひずみが30%以下で構成されていることが好ましい。これによって、基材110の寸法安定性が確保され、金属製筐体と回路基板とによって基材110が圧縮された際の弾性力を維持できるようになる。なお、ここで言及する圧縮永久ひずみは、JIS K6262:2013に準拠し、70℃で、50%の圧縮率で24時間静置する条件で得られる値である。圧縮永久ひずみは、その値が小さいほど、元の形状の寸法に復帰し易いことを示すものである。
【0059】
基材110は、JIS K 6253-3:2012準拠のタイプAデュロメータによって測定した硬さがA1~A90で構成されていることが好ましい。基材110は、硬さがA1以上であることによって、金属製筐体と回路基板とによる押圧に対して導電部材100が適切な反発力を有して面接触の状態で導通を維持することができる。他方で、基材110は、硬さがA90以下とされている。これは、金属製筐体と回路基板とが互いに近づくことによる押圧を受けた際に、基材110が容易にたわみ変形可能である程度に充分に軟質である。
【0060】
このため、例えば、EMI対策部品として多く用いられる金属板ばねと比べて、金属製筐体と回路基板によって導電部材100が押圧された際の荷重を充分に低減させることができる。より具体的には、基材110のゴム状弾性体が絶縁性ゴムの場合では、A1~A60の硬さを有し、導電性ゴムの場合では、A10~A90の硬さを有していることが好ましい。ここで言及するタイプAデュロメータの硬さは、JIS K 6253-3:2012に準拠して、温度23℃にて測定することができる。
【0061】
基材110は、導電性フィラーをゴム材料に含有した導電性ゴムであることが好ましい。これによって、導電部材100は、導電性被膜114だけでなく基材110も導電性を有する構成となる。このため、基材110が導電性ゴムで構成されることによって、導電部材100の全体の電気抵抗を低下させることができる。導電性ゴム等の導電性を有する高分子材料は、シリコーンゴム等の母材に対して、導電性を付与する導電性充填剤である導電性フィラーを混入して分散させることで製造することができる。導電性フィラーには、カーボンブラックや炭素繊維、鱗片状黒鉛粉末、グラフェン、カーボンナノチューブ等の炭素系や黒鉛系の粉末のほか、金、銀、銅、ニッケル、鉄、錫等の金属やそれらを含む合金類からなる導電性の金属系の粉末を用いることができる。導電性ゴム組成物が固化又は架橋硬化されて、三次元的に突出する基材110の形状に成形される。
【0062】
導電性被膜114には、樹脂や金属等を用いることができる。中でも、導電性被膜114には、伸縮性を有する樹脂であって、導電性の高分子被膜を用いることが好ましい。これによって、導電性被膜114は、基材110の屈曲や圧縮に伴って断裂せずに伸縮や屈曲することができるため、導電部材100の圧縮荷重が低くなって好ましい。導電性被膜114には、高分子基材、例えば、液状シリコーンのような弾性を有するポリマーベースのバインダーにフィラーとして導電性粉末を含有した導電性膜状部材が用いられる。
【0063】
導電性被膜114は、基材110と同系材料で構成することもできる。ここでの「同系材料」とは、導電性被膜114の母材である高分子基材が基材110の素材であるゴム状弾性体と同じ結合構造や官能基を有する材料であることを意味している。例えば、基材110がシリコーンゴムである場合では、導電性被膜114には、例えば、基材110の素材と同系材料であるシリコーンポリマーが用いられる。
【0064】
導電部材100では、基材110を被覆する導電性被膜114が基材110と同系材料で構成されることによって、基材110と導電性被膜114との固着性を高めることができる。また、基材110と導電性被膜114とが同系材料で構成されることによって、導電性被膜114の弾性率と基材110の弾性率との差を小さくすることができる。このため、変形する基材110に追従して導電性被膜114を伸縮させることができる。
【0065】
導電性粉末には、金、銀、銅、ニッケル、鉄、錫等の金属や合金類からなるものや、金属や合金類が表面にメッキ等により被覆されたもの、カーボン、グラファイト、グラフェン等の炭素/黒鉛質のものといった導電材料を用いることができる。
【0066】
導電性被膜114は、高分子基材中に導電性粉末としてフレーク状導電粒子を含有して構成することができる。フレーク状導電粒子では、導電性被膜114が伸長変形しても面方向の導電性が維持され易い。また、フレーク状導電粒子では、高分子基材に対する充填量が比較的少なくても、導電性被膜114の体積(電気)抵抗率を低抵抗とすることができる。このため、導電部材100では、高分子基材に対するフレーク状導電粒子の充填量を減少させることができ、導電性被膜114の弾性率と基材110の弾性率との差を小さくすることができる。そして、フレーク状導電粒子では、導電性被膜114が伸縮したときの抵抗率変化を小さくすることができる。従って、導電性粉末には、球形状よりも、鱗片形状、繊維形状等のアスペクト比の大きな材料を用いることが好ましい。また、フレーク状導電粒子としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、鉄、錫等の金属や、炭素/黒鉛質のものが挙げられる。
【0067】
なお、導電性被膜114は、基材110と比べると硬くなり易い。このため、導電性被膜114の母材には、基材110の母材よりも柔らかい素材が用いられても良い。このようにすることによって、基材110と導電性被膜114との弾性率の差を小さくすることができる。
【0068】
液状シリコーン及び銀が配合された導電性被膜114の材料は、希釈溶剤に溶解された導電性塗料が塗布された後に加熱され、溶剤が揮発してシリコーン膜が硬化することで、銀を含有した導電性膜が形成される。導電性被膜114は、例えば、膜厚が30μm、体積(電気)抵抗率が3×10-3Ω・cmとされる。膜厚の目安として、ゴム状弾性体からなる基材110の特に側壁部112が金属製筐体及び回路基板からの押圧荷重を受けた際の僅かな圧縮変形に追従した変形が可能な厚さであると良い。これによって、金属製筐体と接触面部114aとを容易に面接触の状態とすることができる。また、導電性被膜114の膜厚は、5~100μmの範囲であることが好ましい。
【0069】
導電性塗料は、基材110の外表面にスクリーン印刷によって膜形状に成形される。導電性被膜114を形成する導電性塗料の塗布には、スクリーン印刷以外にも、スプレー塗布や浸漬、刷毛塗り等の手法を用いることができる。導電性被膜114の導電性塗料は、基材110の側壁部112が立体的に起伏した形状のまま塗布しても良く、側壁部112を平坦化するように延ばした状態としてから塗布しても良い。
【0070】
導電部材100では、フレーク状導電粒子は、アスペクト比が2以上、平均粒径が0.5~70μmであると良い。これによって、導電性被膜114が伸長変形しても、面方向の導電性を維持することができる。また、フレーク状導電粒子が導電性被膜114の表面の面方向に沿って配向していると良い。これによって、配向方向の電気伝導率を高めることができる。
【0071】
次に、本発明の一実施形態に係る導電部材100の作用・効果について、図面を使用しながら説明する。
【0072】
本実施形態の導電部材100は、基材110が高さ方向に間隙を縮めて押圧する金属製筐体と回路基板との荷重(押圧荷重)をその間隙内において撓み変形可能である構成によって、受け流して応力(反発力)を小さくするものとなっている。すなわち、基材110は、金属製筐体と回路基板による高さ方向の押圧に対して容易にたわみ変形可能に構成されている。このため、基材110を構成する導電性ゴムによって、基材110の頂面部111の天面111a側に設けられる接触面部114aによる柔軟に接した面接触で導通されるため、導通が安定する。
【0073】
また、本実施形態では、基材110は、例えば、
図1(C)で示すように、金属製筐体等の第1の接続対象物C1に面接触する接触面部114aが天面111aに設置した頂面部111と、回路基板等の第2の接続対象物C2に面接触する固着部115を底面側に設置した基部113との間に側壁部112が設けられ、頂面部111が基部113から側壁部112を介して突出する構成となっている。すなわち、基材110は、板面が上下に屈曲した波板形状になっているため、圧縮により側壁部112が撓んで潰れ易くなっている。
【0074】
このため、基材110の高さ方向に押圧荷重がかかると、頂面部111と基部113との間に有する薄い板形状の側壁部112が撓み変形することによって、基材110を高さ方向に容易に撓み変形させて潰すことができる。また、導電部材100は、基材110が頂面部111と側壁部112とで囲まれた中空部を有する薄い波板形状となっているので、全体が柔らかく変形し易くなり、かつ、当該中空部は、下側が開いているので、金型成形等で形成し易くなる。
【0075】
さらに、本実施形態の基材110は、ゴム状弾性体からなる。ゴム状弾性体は、弾性率が低い性質を有している。このため、導電部材100は、金属製筐体と回路基板による小さな押圧荷重によっても、大きく変形することができる。従って、本実施形態によれば、導電部材100に対する金属製筐体と回路基板による押圧荷重及びその応力(反発力)を小さくすることができる。
【0076】
また、本実施形態では、基材110の頂面部111と頂面部111の両端側から側壁部112を介して連結される基部113は、導電部材100を上面視した際に、互いに重複しないように配置されている。このため、導電部材100を高さ方向に圧縮した際に、側壁部112が撓み変形しながら、頂面部111が側壁部112の内側に有する中空部に埋没して、側壁部112の少なくとも内面側の一部が第2の接続対象物C2に当接するまで潰れて行き易くなるので、導電部材100を弾性変形させる際の低荷重化を図って、より安定した導通接続性が実現されるようになる。
【0077】
特に、本実施形態では、側壁部112の厚さが頂面部111の厚さ以下の大きさとしている。このため、導電部材100を高さ方向に圧縮すると、頂面部111の天面111a側に設けられている接触面部114aが第1の接続対象物C1に面接触した状態で側壁部112が安定的に弾性的に撓み変形するようになる。
【0078】
また、本実施形態では、基材110よりも柔軟性が低く、硬質な導電性被膜114が基材110の上面側のみに設けられている。このため、基材の切断面も含む全面に導電性被膜を被覆した場合と比べて、基材110が高さ方向・圧縮方向に圧縮変形して潰れ易くなるので、導電部材100を高さ方向に圧縮変形させる際の圧力荷重の低荷重化を図れるようになる。すなわち、基材110は、板面が上下に屈曲した波板形状になっているため、導電部材100が圧縮により側壁部112が撓み潰れ易くなるが、潰れて平坦になった導電部材100は、更にまた圧縮されることによって、基材110自体が軟らかく潰れて薄くなることができる。
【0079】
さらに、本実施形態では、基材110の頂面部111の天面111aが平面状に構成されているので、頂面部111の天面111a側に設けられる接触面部114aが平坦な形状となっている。このため、第1の接続対象物C1に対して、より確実に広範に面接触することによって、安定した導通接続性が図れるようになる。
【0080】
また、本実施形態では、基材110は、基部113が側壁部112の双方の先端側に配置されているので、頂面部111を両端側から弾性的に支持する側壁部112が基部113の底面側の固着部115を介して第2の接続対象物C2に固定されるようになる。このため、頂面部111の天面111a側に有する接触面部114aが位置ずれし難くなるので、第1の接続対象物C1に対して導通接触した状態が維持されて、安定した導通接続性が図れるようになる。
【0081】
特に、本実施形態では、接触面部114aが天面111a側に設けられている頂面部111を両端側から弾性的に支持する側壁部112の基端が基部113に連結されて、基部113が固着部115を介して第2の接続対象物C2となる回路基板に固定されている。このため、導電部材100を高さ方向から圧縮した際に、撓み変形する側壁部112の広がりを抑制しながら、接触面部114aの位置ずれを抑制して、安定した導通接続性を確保できるようになる。
【0082】
また、本実施形態では、基材110は、側壁部112と基部113が頂面部111の中心に対して線対称の形状になっているので、側壁部112の反発弾性が左右で均等になる。このため、側壁部112に弾性的に支持された頂面部111を介して、接触面部114aが真っすぐに第1の接続対象物C1に当接するので、接触面部114aと第1の接続対象物C1との間に、より安定した導通接続性を確保できるようになる。さらに、本実施形態では、基材110は、側壁部112が頂面部111の両端側から鉛直方向に延出する構成となっているので、導電部材100を幅方向にコンパクト化を図った上で、安定した導通接続性を確保できるようになる。
【0083】
(変形例1)
次に、本発明の一実施形態の導電部材100の一変形例について、図面を使用しながら説明する。
図2(A)は、本発明の一実施形態に係る導電部材の変形例1の斜視図であり、
図2(B)は、
図2(A)の正面図である。
【0084】
本実施形態の変形例1の導電部材101は、
図2(A)、
図2(B)に示すように、その構造の基礎となる導電性のゴム状弾性体からなる基材120の上面側に、基材120の変形に伴って伸縮変形可能な導電性被膜124が覆われて構成されている。なお、基材120、導電性被膜124及び固着部125の材質と、導電部材101の製造方法は、第1の実施形態の導電部材100と同様であるので、その詳細な説明については、省略する。
【0085】
本変形例1では、基材120は、
図2(A)及び(B)に示すように、頂面部121と、側壁部122と、基部123とから構成され、正面視した際に、上下方向に屈曲して三次元的に突出した形状となっている。また、本変形例1の基材120は、側壁部122及び基部123が頂面部121の中心に対して線対称の形状になっている。導電性被膜124は、基材120の頂面部121、側壁部122、及び基部123の上面側のみを覆うように設けられている。
【0086】
頂面部121は、導電性被膜124を介して第1の接続対象物に当接可能となるように、第2の接続対象物に固定される基部123に対して、上面側に凸状に突出するように構成されている。本変形例1では、頂面部121の形状が第1の実施形態の導電部材100と異なる。すなわち、本変形例1では、頂面部121は、
図2(A)及び(B)に示すように、天面121aが曲面形状に構成されている。このため、頂面部121の天面121aを覆う導電性被膜124の上面側の部位であり、第1の接続対象物と面接触をする接触面部124aも曲面形状となっている。なお、本変形例1の基材120の側壁部122、基部123、導電性被膜124、及び固着部125の構成は、第1の実施形態の導電部材100と同様であるので、その詳細な説明については、省略する。
【0087】
このように、本変形例1では、第1の実施形態の導電部材100と同様に、基材120は、板面が上下に屈曲した波板形状になっているため、圧縮により側壁部122が撓んで潰れ易くなっている。このため、基材120の高さ方向に押圧荷重がかかると、頂面部121と基部123との間に有する薄い板形状の側壁部122が撓み変形することによって、基材120を高さ方向に容易に撓み変形させて潰すことができる。また、導電部材101は、基材120が頂面部121と側壁部122とで囲まれた中空部を有する薄い波板形状となっているので、全体が柔らかく変形し易くなり、かつ、当該中空部は、下側が開いているので、金型成形等で形成し易くなる。
【0088】
また、本変形例1では、基材120の頂面部121と基部123は、導電部材101を上面視した際に、互いに重複しないように配置されている。このため、導電部材101を高さ方向に圧縮した際に、側壁部122が撓み変形しながら、頂面部121が側壁部122の内側に有する中空部に埋没しながら、側壁部122の一部が第2の接続対象物に当接するまで潰れて行き易くなるので、導電部材101を弾性変形させる際の低荷重化を図って、より安定した導通接続性が実現されるようになる。特に、側壁部122の厚さが頂面部121の厚さ以下の大きさとなっているので、導電部材101を高さ方向に圧縮すると、頂面部121の天面121a側に設けられている接触面部124aが第1の接続対象物に面接触した状態で側壁部122が安定的に弾性的に撓み変形するようになる。
【0089】
さらに、本変形例1では、基材120よりも硬質な導電性被膜124が基材120の上面側のみに設けられているので、基材の切断面も含む全面に導電性被膜を被覆した場合と比べて、基材120が高さ方向・圧縮方向に圧縮変形して潰れ易くなるので、導電部材101を高さ方向に圧縮変形させる際の圧力荷重の低減を図れるようになる。すなわち、基材120は、板面が上下に屈曲した波板形状になっているため、導電部材101が圧縮により側壁部122が撓み潰れ易くなるが、潰れて平坦になった導電部材101は、更にまた圧縮されることによって、基材120自体が軟らかく潰れて薄くなることができる。
【0090】
また、本変形例1では、基材120は、基部123が側壁部122の双方の先端側に配置されているので、頂面部121を両端側から弾性的に支持する側壁部122が基部123の底面側の固着部125を介して第2の接続対象物に固定されるようになる。このため、頂面部121の天面121a側に有する接触面部124aが位置ずれし難くなるので、第1の接続対象物に対して導通接触した状態が維持されて、安定した導通接続性が図れるようになる。
【0091】
特に、本変形例1では、接触面部124aが天面121a側に設けられている頂面部121を両端側から弾性的に支持する側壁部122の基端が基部123に連結されて、基部123が固着部125を介して第2の接続対象物となる回路基板に固定されている。このため、導電部材101を高さ方向から圧縮した際に、側壁部122が第2の接続対象物に固定された状態で撓み変形するので、撓み変形する側壁部122の広がりを抑制しながら、接触面部124aの位置ずれを抑制して、安定した導通接続性を確保できるようになる。
【0092】
また、本変形例1では、基材120は、側壁部122と基部123が頂面部121の中心に対して線対称の形状になっているので、側壁部122の反発弾性が左右で均等になる。このため、側壁部122に弾性的に支持された頂面部121を介して、接触面部124aが真っすぐに第1の接続対象物に当接するので、接触面部124aと第1の接続対象物との間に、より安定した導通接続性を確保できるようになる。さらに、本変形例1では、基材120は、側壁部122が頂面部121の両端側から鉛直方向に延出する構成となっているので、導電部材101を幅方向にコンパクト化を図った上で、安定した導通接続性を確保できるようになる。
【0093】
(変形例2)
次に、本発明の一実施形態の導電部材100の他の変形例について、図面を使用しながら説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る導電部材の変形例2の正面図であり、
図4(A)~(C)は、本発明の一実施形態に係る導電部材の変形例2の動作説明図である。
【0094】
本実施形態の変形例2の導電部材102は、
図3に示すように、その構造の基礎となる導電性のゴム状弾性体からなる基材130の上面側に、基材130の変形に伴って伸縮変形可能な導電性被膜134が覆われて構成されている。なお、基材130、導電性被膜134及び固着部135の材質と、導電部材102の製造方法は、第1の実施形態の導電部材100と同様であるので、その詳細な説明については、省略する。
【0095】
本変形例2では、基材130は、
図3に示すように、頂面部131と、側壁部132と、基部133とから構成され、正面視した際に、上下方向に屈曲して三次元的に突出した形状となっている。また、本変形例2の基材130は、側壁部132及び基部133が頂面部131の中心に対して線対称の形状になっている。導電性被膜134は、基材130の頂面部131、側壁部132、及び基部133の上面側のみを覆うように設けられている。
【0096】
頂面部131は、導電性被膜134を介して第1の接続対象物に当接可能となるように、第2の接続対象物に固定される基部133に対して、上面側に凸状に突出するように構成されている。本変形例2では、頂面部131は、天面131aが平面状に構成されており、頂面部131の天面131aを覆う導電性被膜134の上面側の部位が第1の接続対象物C1に面接触する接触面部134aとなっている。なお、本変形例2の基材130の頂面部131及び基部133、導電性被膜134、固着部135の構成は、第1の実施形態の導電部材100と同様であるので、その詳細な説明については、省略する。
【0097】
本変形例2では、側壁部132の角度が第1の実施形態の導電部材100の側壁部112と異なる。すなわち、第1の実施形態の導電部材100では、側壁部112が頂面部111の両端側から上下方向に真っ直ぐ90度に延ばして設けられているのに対して、本変形例2では、
図3に示すように、側壁部132が頂面部131の両端側から傾斜して設けられている。具体的には、側壁部132は、頂面部131の両端側から頂面部131に対して例えば110度、125度等と90度以上の鈍角をなす方向に延出している。
【0098】
このように、側壁部132を傾斜させて設けることによって、鉛直方向に延出する場合と比べて、第1の接続対象物C1と第2の接続対象物C2との間の鉛直方向の圧縮力が小さくても圧縮変形できるようになる。このため、
図4(A)~
図4(C)に示すように、第1の接続対象物C1と第2の接続対象物C2との間に設けられている導電部材102に鉛直方向の圧縮力がかかると、より低荷重でも潰れて変形し易くなっている。すなわち、側壁部132がより低荷重で高さ方向に弾性的に撓み変形し易くなるので、より低荷重化を図った上で、安定した導通接続性を確保できるようになる。
【0099】
また、本変形例2では、頂面部131の両端側から支持する側壁部132の下端に設けられている基部133が固着部135を介して第2の接続対象物C2となる回路基板に位置固定されているので、側壁部132が左右同様に撓み変形することによって、頂面部131の上面側に有する接触面部134aは、接触位置がずれずに柔らかく潰れることができる。
【0100】
なお、本変形例2では、左右の側壁部132の角度は、同じことが好ましいが、厚みや曲面形状等が異なる場合には、面角度も異なるものとしてもよい。その際に、より安定した導通接続性を確保するために、頂面部131を左右から同様の反発弾性で支えることが好ましい。
【0101】
また、本変形例2では、第1の実施形態の導電部材100と同様に、基材130は、板面が上下に屈曲した波板形状になっているため、圧縮により側壁部132が撓んで潰れ易くなっている。このため、基材130の高さ方向に押圧荷重がかかると、頂面部131と基部133との間に有する薄い板形状の側壁部132の一部が第2の接続対象物C2に当接するまで撓み変形することによって、基材130を高さ方向に容易に撓み変形させて潰すことができる。また、導電部材102は、基材130が頂面部131と側壁部132とで囲まれた中空部を有する薄い波板形状となっているので、全体が柔らかく変形し易くなり、かつ、当該中空部は、下側が開いているので、金型成形等で形成し易くなる。
【0102】
また、本変形例2では、基材130の頂面部131と側壁部132と基部133は、導電部材102を上面視した際に、互いに重複しないように配置されている。このため、導電部材102を高さ方向に圧縮した際に、側壁部132がより小さい圧縮力でも撓み変形しながら、頂面部131が側壁部132の内側に有する中空部に埋没しながら潰れて行き易くなるので、導電部材102を弾性変形させる際の低荷重化を図って、より安定した導通接続性が実現されるようになる。特に、側壁部132の厚さが頂面部131の厚さ以下の大きさとなっているので、導電部材102を高さ方向に圧縮すると、頂面部131の天面131a側に設けられている接触面部134aが第1の接続対象物C1に面接触した状態で側壁部132が安定的に弾性的に撓み変形するようになる。
【0103】
さらに、本変形例2では、基材130よりも硬質な導電性被膜134が基材130の上面側のみに設けられているので、基材の切断面も含む全面に導電性被膜を被覆した場合と比べて、基材130が高さ方向・圧縮方向に圧縮変形して潰れ易くなるので、導電部材102を高さ方向に圧縮変形させる際の圧力荷重の低減を図れるようになる。すなわち、基材130は、板面が上下に屈曲した波板形状になっているため、導電部材102が圧縮により側壁部132が撓み潰れ易くなるが、潰れて平坦になった導電部材102は、更にまた圧縮されることによって、基材130自体が軟らかく潰れて薄くなることができる。
【0104】
また、本変形例2では、基材130は、基部133が側壁部132の双方の先端側に配置されているので、頂面部131を両端側から弾性的に支持する側壁部132が基部133の底面側の固着部135を介して第2の接続対象物C2に固定されるようになる。このため、頂面部131の天面131a側に有する接触面部134aが位置ずれし難くなるので、第1の接続対象物C1に対して導通接触した状態が維持されて、安定した導通接続性が図れるようになる。
【0105】
特に、本変形例2では、接触面部134aが天面131a側に設けられている頂面部131を両端側から弾性的に支持する側壁部132の基端が基部133に連結されて、基部133が固着部135を介して第2の接続対象物C2となる回路基板に固定されている。このため、導電部材102を高さ方向から圧縮した際に、側壁部132が第2の接続対象物C2に固定された状態で撓み変形されるので、撓み変形する側壁部132の広がりを抑制しながら、接触面部134aの位置ずれを抑制して、安定した導通接続性を確保できるようになる。
【0106】
また、本変形例2では、基材130は、側壁部132と基部133が頂面部131の中心に対して線対称の形状になっているので、側壁部132の反発弾性が左右で均等になる。このため、側壁部132に弾性的に支持された頂面部131を介して、接触面部134aが真っすぐに第1の接続対象物に当接するので、接触面部134aと第1の接続対象物との間に、より安定した導通接続性を確保できるようになる。
【0107】
(変形例3)
次に、本発明の一実施形態の導電部材100の他の変形例について、図面を使用しながら説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係る導電部材の変形例3の正面図である。
【0108】
本実施形態の変形例3の導電部材103は、
図5に示すように、その構造の基礎となる導電性のゴム状弾性体からなる基材140の上面側に、基材140の変形に伴って伸縮変形可能な導電性被膜144が覆われて構成されている。なお、基材140及び導電性被膜144の材質は、第1の実施形態の導電部材100と同様であるので、その詳細な説明については、省略する。
【0109】
本変形例3の導電部材103は、
図5に示すように、銅やアルミニウム等の導電性の良い金属箔や金属板等からなる固着部145が側壁部142と同じ厚さで構成され、第1の実施形態の導電部材100の基部113が固着部145に置換されていることを特徴とする。すなわち、本変形例3では、基材140は、頂面部141と側壁部142とから構成され、側壁部142の先端142aには、側壁部142と同じ厚さの固着部145が設けられている。例えば、基材140の厚さが0.3mmの場合には、固着部145は、厚さが0.3mmの銅板が使用される。導電部材103の切断性を確保するためには、固着部145は、基材140を構成するゴム状弾性体と一体成形後に、切断刃でカットできる2mm以下の厚さとすることが好ましい。なお、固着部145は、2mm以上の厚さとした場合でも、基材140をカット後に固着部145を差し入れるインサート成形すれば、本変形例3の導電部材103を形成できる。
【0110】
基材140は、正面視した際に、上下方向に屈曲して三次元的に突出した形状となっており、側壁部142が頂面部141の中心に対して線対称の形状になっている。そして、導電性被膜144は、頂面部141、側壁部132、及び固着部145の上面側のみを覆うように設けられている。導電性被膜144は、ベースにシリコーン系、ウレタン系等のポリマーを用いることができる。例えば、基材140がシリコーン系のゴムの場合、ウレタン系の導電性被膜144を固着させるためには、基材140の表面をプラズマ処理等の表面処理をして、導電性被膜144の密着性を向上させる。なお、基材140の表面の密着性向上には、プライマーやカップリング剤を塗布する湿式法や、プラズマ放電処理、コロナ処理、紫外線照射処理等の乾式法のような表面処理を利用できる。また、金属箔等からなる固着部145上の表面処理は、上記のうち、プライマーやカップリング剤を塗布する湿式の表面処理が好ましい。
【0111】
頂面部141は、導電性被膜144を介して第1の接続対象物に当接可能となるように、第2の接続対象物に固定される固着部145に対して、上面側に凸状に突出するように構成されている。本変形例3では、頂面部141は、天面141aが平面状に構成されており、頂面部141の天面141aを覆う導電性被膜144の上面側の部位が第1の接続対象物に面接触する接触面部144aとなっている。なお、本変形例3の基材140の頂面部141及び側壁部142と、導電性被膜144の構成は、第1の実施形態の導電部材100と同様であるので、その詳細な説明については、省略する。
【0112】
このように、本変形例3の導電部材103は、固着部145が側壁部142と同じ厚さで構成され、第1の実施形態の導電部材100の基材110の基部113が固着部145に置換されているので、固着部145の上面側が直接、導電性被膜144で覆われる構成となる。このため、より確実に導電性被膜144と固着部145との導通接続が図れるので、導電部材103の導通接続性を高められるようになる。また、導電性被膜144と固着部145との間で直接に導通接続が図れる。このため、基材140を構成するゴム状弾性体に含まれる導電性フィラーの含有率を下げて、基材140の頂面部141と側壁部142の柔軟性を高めることによって、導電部材103を撓み変形させる際の低荷重化を図って、より安定した導通接続性が実現される。
【0113】
また、本変形例3では、第1の実施形態の導電部材100と同様に、基材140は、板面が上下に屈曲した波板形状になっているため、圧縮により側壁部142が撓んで潰れ易くなっている。このため、基材140の高さ方向に押圧荷重がかかると、頂面部141と基部に相当する固着部145との間に有する薄い板形状の側壁部142の一部が第2の接続対象物に当接するまで撓み変形することによって、基材140を高さ方向に容易に撓み変形させて潰すことができる。また、導電部材103は、基材140が頂面部141と側壁部142とで囲まれた中空部を有する薄い波板形状となっているので、全体が柔らかく変形し易くなり、かつ、当該中空部は、下側が開いているので、金型成形等で形成し易くなる。
【0114】
さらに、本変形例3では、基材140の頂面部141と基部に相当する固着部145は、導電部材103を上面視した際に、互いに重複しないように配置されている。このため、導電部材103を高さ方向に圧縮した際に、側壁部142がより小さい圧縮力でも撓み変形しながら、頂面部141が側壁部142の内側に有する中空部に埋没しながら潰れて行き易くなるので、導電部材103を弾性変形させる際の低荷重化を図って、より安定した導通接続性が実現されるようになる。特に、側壁部142の厚さが頂面部141の厚さ以下の大きさとなっているので、導電部材103を高さ方向に圧縮すると、頂面部141の天面141a側に設けられている接触面部144aが第1の接続対象物に面接触した状態で側壁部142が安定的に弾性的に撓み変形するようになる。
【0115】
また、本変形例3では、基材140よりも硬質な導電性被膜144が基材140の上面側のみに設けられているので、基材の切断面も含む全面に導電性被膜を被覆した場合と比べて、基材140が高さ方向・圧縮方向に圧縮変形して潰れ易くなるので、導電部材103を高さ方向に圧縮変形させる際の圧力荷重の低減を図れるようになる。すなわち、基材140は、板面が上下に屈曲した波板形状になっているため、導電部材103が圧縮により側壁部142が撓み潰れ易くなるが、潰れて平坦になった導電部材103は、更にまた圧縮されることによって、基材140自体が軟らかく潰れて薄くなることができる。
【0116】
さらに、本変形例3では、基材140は、基部に相当する固着部145が側壁部142の双方の先端142aに配置されているので、頂面部141を両端側から弾性的に支持する側壁部142が固着部145を介して第2の接続対象物に固定されるようになる。このため、頂面部141の天面141a側に有する接触面部144aが位置ずれし難くなるので、第1の接続対象物に対して導通接触した状態が維持されて、安定した導通接続性が図れるようになる。
【0117】
特に、本変形例3では、接触面部144aが天面141a側に設けられている頂面部141を両端側から弾性的に支持する側壁部142の先端142aが固着部145に連結されて、固着部145を介して第2の接続対象物となる回路基板に固定されている。このため、導電部材103を高さ方向から圧縮した際に、側壁部142が第2の接続対象物に固定された状態で撓み変形するので、撓み変形する側壁部142の広がりを抑制しながら、接触面部144aの位置ずれを抑制して、安定した導通接続性を確保できるようになる。
【0118】
また、本変形例3では、基材140は、側壁部142が頂面部141の中心に対して線対称の形状になっているので、側壁部142の反発弾性が左右で均等になる。このため、側壁部142に弾性的に支持された頂面部141を介して、接触面部144aが真っすぐに第1の接続対象物に当接するので、接触面部144aと第1の接続対象物との間に、より安定した導通接続性を確保できるようになる。
【0119】
さらに、本変形例3では、基材140は、側壁部142が頂面部141の両端側から鉛直方向に延出する構成となっているので、導電部材103を幅方向にコンパクト化を図った上で、安定した導通接続性を確保できるようになる。なお、本変形例3では、側壁部142が頂面部141の両端側から鉛直方向に延出する構成となっているが、より低荷重での撓み変形を可能にするために、側壁部142が頂面部141の両端側から傾斜する方向に延出する構成としてもよい。
【0120】
(変形例4)
次に、本発明の一実施形態の導電部材100の他の変形例について、図面を使用しながら説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係る導電部材の変形例4の斜視図である。
【0121】
本実施形態の変形例4の導電部材104は、
図6に示すように、その構造の基礎となる導電性のゴム状弾性体からなる基材150の上面側に、基材150の変形に伴って伸縮変形可能な導電性被膜154が覆われて構成されている。なお、基材150、導電性被膜154及び固着部155の材質は、第1の実施形態の導電部材100と同様であるので、その詳細な説明については、省略する。
【0122】
基材150は、正面視した際に、上下方向に屈曲して三次元的に突出した形状となっており、側壁部152及び基部153が頂面部151の中心に対して線対称の形状になっている。そして、導電性被膜154は、頂面部151、側壁部152、及び基部153の上面側のみを覆うように設けられている。導電性被膜154は、ベースにシリコーン系、ウレタン系等のポリマーを用いることができる。例えば、基材150がシリコーン系のゴムの場合、ウレタン系の導電性被膜154を固着させるためには、基材150の表面をプラズマ処理等の表面処理をして、導電性被膜154の密着性を向上させる。なお、基材150の表面の密着性向上には、プライマーやカップリング剤を塗布する湿式法や、プラズマ放電処理、コロナ処理、紫外線照射処理等の乾式法のような表面処理を利用できる。
【0123】
頂面部151は、導電性被膜154を介して第1の接続対象物に当接可能となるように、第2の接続対象物に固着部155を介して固定される基部153に対して、上面側に凸状に突出するように構成されている。本変形例4では、頂面部151は、天面151aが平面状に構成されており、頂面部151の天面151aを覆う導電性被膜154の上面側の部位が第1の接続対象物に面接触する接触面部154aとなっている。なお、本変形例4の基材150の頂面部151及び側壁部152の構成は、第1の実施形態の導電部材100と同様であるので、その詳細な説明については、省略する。
【0124】
基部153は、底面側に第2の接続対象物に面接触して固着可能な導電性を有する固着部155が設けられており、固着部155を介して第2の接続対象物に固定される。基部153は、薄板形状とされており、正面視で基材150の水平方向に沿って伸長している。本変形例4では、基部153に厚さ方向に貫通するスルーホールとなる孔部156が形成されていることを特徴とする。
【0125】
このように、本変形例4では、基部153に孔部156が設けられることによって、導電性被膜154を構成する導電インクが孔部156を貫通して固着部155と電気的に繋がるようになるので、導電性被膜154と固着部155が導通可能になっている。このため、より確実に導電性被膜154と固着部155との導通接続が図れるので、導電部材104の導通接続性を高められるようになる。また、導電性被膜154と固着部155との間で直接に導通接続が図れるので、基材150を構成するゴム状弾性体に含まれる導電性フィラーの含有率を下げて、基材150の頂面部151、側壁部152、及び基部153の柔軟性を高めることによって、導電部材104を撓み変形させる際の低荷重化を図って、より安定した導通接続性が実現される。
【0126】
また、本変形例4では、第1の実施形態の導電部材100と同様に、基材150は、板面が上下に屈曲した波板形状になっているため、圧縮により側壁部152が撓んで潰れ易くなっている。このため、基材150の高さ方向に押圧荷重がかかると、頂面部151と基部153との間に有する薄い板形状の側壁部152が撓み変形することによって、基材150を高さ方向に容易に撓み変形させて潰すことができる。また、導電部材104は、基材150が頂面部151と側壁部152とで囲まれた中空部を有する薄い波板形状となっているので、全体が柔らかく変形し易くなり、かつ、当該中空部は、下側が開いているので、金型成形等で形成し易くなる。
【0127】
さらに、本変形例4では、基材150の頂面部151と基部153は、導電部材104を上面視した際に、互いに重複しないように配置されている。このため、導電部材104を高さ方向に圧縮した際に、側壁部152がより小さい圧縮力でも撓み変形しながら、頂面部151が側壁部152の内側に有する中空部に埋没しながら潰れて行き易くなるので、導電部材104を弾性変形させる際の低荷重化を図って、より安定した導通接続性が実現されるようになる。特に、側壁部152の厚さが頂面部151の厚さ以下の大きさとなっているので、導電部材104を高さ方向に圧縮すると、頂面部151の天面151a側に設けられている接触面部154aが第1の接続対象物に面接触した状態で側壁部152が安定的に弾性的に撓み変形するようになる。
【0128】
また、本変形例4では、基材150よりも硬質な導電性被膜154が基材150の上面側のみに設けられているので、基材の切断面も含む全面に導電性被膜を被覆した場合と比べて、基材150が高さ方向・圧縮方向に圧縮変形して潰れ易くなるので、導電部材104を高さ方向に圧縮変形させる際の圧力荷重の低減を図れるようになる。すなわち、基材150は、板面が上下に屈曲した波板形状になっているため、導電部材104が圧縮により側壁部152が撓み潰れ易くなるが、潰れて平坦になった導電部材104は、更にまた圧縮されることによって、基材150自体が軟らかく潰れて薄くなることができる。
【0129】
さらに、本変形例4では、基材150は、基部153が側壁部152の双方の先端側に配置されているので、頂面部151を両端側から弾性的に支持する側壁部152が基部153の底面側に設けられている固着部155を介して、第2の接続対象物に固定されるようになる。このため、頂面部151の天面151a側に有する接触面部154aが位置ずれし難くなるので、第1の接続対象物に対して導通接触した状態が維持されて、安定した導通接続性が図れるようになる。
【0130】
特に、本変形例4では、接触面部154aが天面151a側に設けられている頂面部151を両端側から弾性的に支持する側壁部152の先端側に基部153が配置され、基部153の底面側に設けられている固着部155を介して、第2の接続対象物となる回路基板に固定されている。このため、導電部材104を高さ方向から圧縮した際に、側壁部152が第2の接続対象物に固定された状態で側壁部152の一部が第2の接続対象物に当接するまで撓み変形するので、撓み変形する側壁部152の広がりを抑制しながら、接触面部154aの位置ずれを抑制して、安定した導通接続性を確保できるようになる。
【0131】
また、本変形例4では、基材150は、側壁部152が頂面部151の中心に対して線対称の形状になっているので、側壁部152の反発弾性が左右で均等になる。このため、側壁部152に弾性的に支持された頂面部151を介して、接触面部154aが真っすぐに第1の接続対象物に当接するので、接触面部154aと第1の接続対象物との間に、より安定した導通接続性を確保できるようになる。
【0132】
さらに、本変形例4では、基材150は、側壁部152が頂面部151の両端側から鉛直方向に延出する構成となっているので、導電部材104を幅方向にコンパクト化を図った上で、安定した導通接続性を確保できるようになる。なお、本変形例4では、側壁部152が頂面部151の両端側から鉛直方向に延出する構成となっているが、より低荷重での撓み変形を可能にするために、側壁部152が頂面部151の両端側から傾斜する方向に延出する構成としてもよい。
【0133】
(変形例5)
次に、本発明の一実施形態の導電部材100の他の変形例について、図面を使用しながら説明する。
図7(A)は、本発明の一実施形態に係る導電部材の変形例5の斜視図であり、
図7(B)は、本実施形態の導電部材の変形例5の平面図である。
【0134】
本実施形態の変形例5の導電部材105は、
図7(A)に示すように、その構造の基礎となる導電性のゴム状弾性体からなる基材160の上面側に、基材160の変形に伴って伸縮変形可能な導電性被膜164が覆われて構成されている。なお、基材160、導電性被膜164及び固着部165の材質は、第1の実施形態の導電部材100と同様であるので、その詳細な説明については、省略する。
【0135】
基材160は、正面視した際に、上下方向に屈曲して三次元的に突出した形状となっており、側壁部162及び基部163が頂面部161の中心に対して線対称の形状になっている。そして、導電性被膜164は、頂面部161、側壁部162、及び基部163の上面側のみを覆うように設けられている。導電性被膜164は、ベースにシリコーン系、ウレタン系等のポリマーを用いることができる。例えば、基材160がシリコーン系のゴムの場合、ウレタン系の導電性被膜164を固着させるためには、基材160の表面をプラズマ処理等の表面処理をして、導電性被膜164の密着性を向上させる。なお、基材160の表面の密着性向上には、プライマーやカップリング剤を塗布する湿式法や、プラズマ放電処理、コロナ処理、紫外線照射処理等の乾式法のような表面処理を利用できる。
【0136】
頂面部161は、導電性被膜164を介して第1の接続対象物に当接可能となるように、第2の接続対象物に固着部165を介して固定される基部163に対して、上面側に凸状に突出するように構成されている。本変形例5では、頂面部161は、天面161aが平面状に構成されており、頂面部161の天面161aを覆う導電性被膜164の上面側の部位が第1の接続対象物に面接触する接触面部164aとなっている。なお、本変形例5の基材160の頂面部161及び側壁部162の構成は、第1の実施形態の導電部材100と同様であるので、その詳細な説明については、省略する。
【0137】
基部163は、底面側に第2の接続対象物に面接触して固着可能な導電性を有する固着部165が設けられており、固着部165を介して第2の接続対象物に固定される。基部163は、薄板形状とされており、正面視で基材160の水平方向に沿って伸長している。本変形例5では、
図7(A)及び
図7(B)に示すように、基部163に厚さ方向に貫通する切欠き部166が形成されていることを特徴とする。
【0138】
このように、本変形例5では、基部163に切欠き部166が設けられることによって、導電性被膜164を構成する導電インクが切欠き部166を貫通して固着部165と電気的に繋がるようになるので、導電性被膜164と固着部165が導通可能になっている。このため、より確実に導電性被膜164と固着部165との導通接続が図れるので、導電部材105の導通接続性を高められるようになる。また、導電性被膜164と固着部165との間で直接に導通接続が図れるので、基材160を構成するゴム状弾性体に含まれる導電性フィラーの含有率を下げて、基材160の頂面部161、側壁部162、及び基部163の柔軟性を高めることによって、導電部材105を撓み変形させる際の低荷重化を図って、より安定した導通接続性が実現される。さらに、基部163にスリット状の切欠き部166を複数設けることによって、導電部材105を製造する際に、導電性被膜164を構成する導電性塗料が切欠き部166に入り易くなるので、より確実に安定した導通接続性が実現され易くなる。
【0139】
また、本変形例5では、第1の実施形態の導電部材100と同様に、基材160は、板面が上下に屈曲した波板形状になっているため、圧縮により側壁部162が撓んで潰れ易くなっている。このため、基材160の高さ方向に押圧荷重がかかると、頂面部161と基部163との間に有する薄い板形状の側壁部162が撓み変形することによって、基材160を高さ方向に容易に撓み変形させて潰すことができる。また、導電部材105は、基材160が頂面部161と側壁部162とで囲まれた中空部を有する薄い波板形状となっているので、全体が柔らかく変形し易くなり、かつ、当該中空部は、下側が開いているので、金型成形等で形成し易くなる。
【0140】
さらに、本変形例5では、基材160の頂面部161と基部163は、導電部材105を上面視した際に、互いに重複しないように配置されている。このため、導電部材105を高さ方向に圧縮した際に、側壁部162がより小さい圧縮力でも撓み変形しながら、頂面部161が側壁部162の内側に有する中空部に埋没しながら、側壁部162の一部が第2の接続対象物に当接するまで潰れて行き易くなるので、導電部材105を弾性変形させる際の低荷重化を図って、より安定した導通接続性が実現されるようになる。特に、側壁部162の厚さが頂面部161の厚さ以下の大きさとなっているので、導電部材105を高さ方向に圧縮すると、頂面部161の天面161a側に設けられている接触面部164aが第1の接続対象物に面接触した状態で側壁部162が安定的に弾性的に撓み変形するようになる。
【0141】
また、本変形例5では、基材160よりも硬質な導電性被膜164が基材160の上面側のみに設けられているので、基材の切断面も含む全面に導電性被膜を被覆した場合と比べて、基材160が高さ方向・圧縮方向に圧縮変形して潰れ易くなるので、導電部材105を高さ方向に圧縮変形させる際の圧力荷重の低減を図れるようになる。すなわち、基材160は、板面が上下に屈曲した波板形状になっているため、導電部材105が圧縮により側壁部162が撓み潰れ易くなるが、潰れて平坦になった導電部材105は、更にまた圧縮されることによって、基材160自体が軟らかく潰れて薄くなることができる。
【0142】
さらに、本変形例5では、基材160は、基部163が側壁部162の双方の先端側に配置されているので、頂面部161を両端側から弾性的に支持する側壁部162が基部163の底面側に設けられている固着部165を介して、第2の接続対象物に固定されるようになる。このため、頂面部161の天面161a側に有する接触面部164aが位置ずれし難くなるので、第1の接続対象物に対して導通接触した状態が維持されて、安定した導通接続性が図れるようになる。
【0143】
特に、本変形例5では、接触面部164aが天面161a側に設けられている頂面部161を両端側から弾性的に支持する側壁部162の先端側に基部163が配置され、基部163の底面側に設けられている固着部165を介して、第2の接続対象物となる回路基板に固定されている。このため、導電部材105を高さ方向から圧縮した際に、側壁部162が第2の接続対象物に固定された状態で撓み変形するので、撓み変形する側壁部162の広がりを抑制しながら、接触面部164aの位置ずれを抑制して、安定した導通接続性を確保できるようになる。
【0144】
また、本変形例5では、基材160は、側壁部162が頂面部161の中心に対して線対称の形状になっているので、側壁部162の反発弾性が左右で均等になる。このため、側壁部152に弾性的に支持された頂面部161を介して、接触面部164aが真っすぐに第1の接続対象物に当接するので、接触面部164aと第1の接続対象物との間に、より安定した導通接続性を確保できるようになる。
【0145】
さらに、本変形例5では、基材160は、側壁部162が頂面部161の両端側から鉛直方向に延出する構成となっているので、導電部材105を幅方向にコンパクト化を図った上で、安定した導通接続性を確保できるようになる。なお、本変形例5では、側壁部162が頂面部161の両端側から鉛直方向に延出する構成となっているが、より低荷重での撓み変形を可能にするために、側壁部162が頂面部161の両端側から傾斜する方向に延出する構成としてもよい。
【0146】
(第2の実施形態)
次に、本発明の他の実施形態に係る導電部材の概略構成について、図面を使用しながら説明する。
図8(A)は、本発明の他の実施形態に係る導電部材の正面図であり、(B)は、本実施形態の導電部材の使用状態における正面図である。
【0147】
本実施形態の導電部材200は、
図8(A)に示すように、その構造の基礎となる導電性のゴム状弾性体からなる基材210の上面側に、基材210の変形に伴って伸縮変形可能な導電性被膜214が覆われて構成されている。導電性被膜214は、基材210を構成する頂面部211、側壁部212、及び基部213の上面側のみを覆うように設けられている。なお、基材210及び導電性被膜214の材質は、第1の実施形態の導電部材100と同様であるので、その詳細な説明については、省略する。
【0148】
基材210は、正面視した際に、上下方向に屈曲して三次元的に突出した形状となっており、側壁部212が頂面部211の中心に対して線対称の形状になっている。本実施形態では、
図8(A)に示すように、側壁部212の一方のみに基部213が設けられており、当該基部213の底面側に第2の接続対象物C2に固着可能な固着部215が設けられている。なお、固着部215の構成及び材質は、第1の実施形態の導電部材100と同様であるので、その詳細な説明については、省略する。
【0149】
本実施形態では、頂面部211は、天面211aが平面状に構成されており、頂面部211の天面211aを覆う導電性被膜214の上面側の部位が第1の接続対象物C1に面接触する接触面部214aとなっている。なお、本実施形態の基材210の頂面部211及び側壁部212の構成は、第1の実施形態の導電部材100と同様であるので、その詳細な説明については、省略する。
【0150】
このように、本実施形態では、一方の側壁部212の先端にのみ固着部215が底面側に有する基部213が設けられていても、第2の接続対象物C2に他方の側壁部212の先端212aが係止可能な凸部C2aが設けられていれば、第2の接続対象物C2に対して、頂面部211の両端側から支持する側壁部212の先端が固定される。すなわち、本実施形態では、
図8(B)に示すように、一方の側壁部212が基部213の底面側に設けられている固着部215を介して第2の接続対象物C2に固定され、他方の側壁部212の先端212aが第2の接続対象物C2に形成されている凸部C2aにずれないように係止可能に構成されていれば、双方の側壁部212が第2の接続対象物C2に対して固定されるようになる。このため、双方の側壁部212が第2の接続対象物に固定された状態で撓み変形するので、接触面部214aが位置ずれし難くなって、第1の接続対象物C1に対して安定した導通接続性が図れるようになる。
【0151】
また、本実施形態では、第1の実施形態の導電部材100と同様に、基材210は、板面が上下に屈曲した波板形状になっているため、圧縮により側壁部212が撓んで潰れ易くなっている。このため、基材210の高さ方向に押圧荷重がかかると、頂面部211の両端側から延出する薄い板形状の側壁部212の少なくとも一部が第2の接続対象物C2に当接するように撓み変形することによって、基材210を高さ方向に容易に撓み変形させて潰すことができる。また、導電部材200は、基材210が頂面部211と側壁部212とで囲まれた中空部を有する薄い波板形状となっているので、全体が柔らかく変形し易くなり、かつ、当該中空部は、下側が開いているので、金型成形等で形成し易くなる。
【0152】
さらに、本実施形態では、基材210の頂面部211と基部213は、導電部材200を上面視した際に、互いに重複しないように配置されている。このため、導電部材200を高さ方向に圧縮した際に、側壁部212がより小さい圧縮力でも撓み変形しながら、頂面部211が側壁部212の内側に有する中空部に埋没しながら、側壁部212の一部が第2の接続対象物C2に当接するまで潰れて行き易くなるので、導電部材200を弾性変形させる際の低荷重化を図って、より安定した導通接続性が実現されるようになる。特に、側壁部212の厚さが頂面部211の厚さ以下の大きさとなっているので、導電部材200を高さ方向に圧縮すると、頂面部211の天面211a側に設けられている接触面部214aが第1の接続対象物に面接触した状態で側壁部212が安定的に弾性的に撓み変形するようになる。
【0153】
また、本実施形態では、基材210よりも硬質な導電性被膜214が基材210の上面側のみに設けられているので、基材の切断面も含む全面に導電性被膜を被覆した場合と比べて、基材210が高さ方向・圧縮方向に圧縮変形して潰れ易くなるので、導電部材200を高さ方向に圧縮変形させる際の圧力荷重の低減を図れるようになる。すなわち、基材210は、板面が上下に屈曲した波板形状になっているため、導電部材200が圧縮により側壁部212が撓み潰れ易くなるが、潰れて平坦になった導電部材200は、更にまた圧縮されることによって、基材210自体が軟らかく潰れて薄くなることができる。
【0154】
さらに、本実施形態では、基材210は、一方の側壁部212の先端側のみに基部213が配置されていても、他方の側壁部212が第2の接続対象物C2の凸部C2aに係止可能となっていれば、頂面部161を両端側から弾性的に支持する側壁部162のそれぞれの先端が第2の接続対象物C2に対して、固着部215による固定と凸部C2aへの係止によって、固定されるようになる。このため、頂面部211の天面211a側に有する接触面部214aが位置ずれし難くなるので、第1の接続対象物C1に対して導通接触した状態が維持されて、安定した導通接続性が図れるようになる。
【0155】
特に、本実施形態では、接触面部214aが天面211a側に設けられている頂面部211を両端側から弾性的に支持する側壁部212の先端が第2の接続対象物C2に対して、固定されている。このため、導電部材200を高さ方向から圧縮した際に、撓み変形する側壁部212の広がりを抑制しながら、接触面部214aの位置ずれを抑制して、安定した導通接続性を確保できるようになる。
【0156】
また、本実施形態では、基材210は、側壁部212が頂面部211の中心に対して線対称の形状になっているので、側壁部212の反発弾性が左右で均等になる。このため、側壁部212に弾性的に支持された頂面部211を介して、接触面部214aが真っすぐに第1の接続対象物C1に当接するので、接触面部214aと第1の接続対象物C1との間に、より安定した導通接続性を確保できるようになる。
【0157】
さらに、本実施形態では、基材210は、側壁部212が頂面部211の両端側から鉛直方向に延出する構成となっているので、導電部材200を幅方向にコンパクト化を図った上で、安定した導通接続性を確保できるようになる。なお、本実施形態では、側壁部212が頂面部211の両端側から鉛直方向に延出する構成となっているが、より低荷重での撓み変形を可能にするために、側壁部212が頂面部211の両端側から傾斜する方向に延出する構成としてもよい。
【0158】
なお、本実施形態では、頂面部211の天面211aが平面形状であったが、基材210の頂面部211の形状は、平面形状に限定されない。すなわち、
図9に示すように、導電部材201は、頂面部221の天面221aが曲面形状であっても、一方の側壁部222が基部223の底面側に設けられている固着部225を介して第2の接続対象物に固定され、他方の側壁部222の端部222aが第2の接続対象物に形成されている凸部にずれないように係止可能に構成されていれば、双方の側壁部222が第2の接続対象物に対して固定されるようになる。このため、接触面部224aが位置ずれし難くなって、第1の接続対象物に対して安定した導通接続性が図れるようになる。
【0159】
(第3の実施形態)
次に、本発明の他の実施形態に係る導電部材の概略構成について、図面を使用しながら説明する。
図10(A)は、本発明の更に他の実施形態に係る導電部材の斜視図であり、(B)は、
図10(A)の正面図である。
【0160】
本実施形態の導電部材300は、
図10(A)及び
図10(B)に示すように、その構造の基礎となる導電性のゴム状弾性体からなる基材310の上面側に、基材310の変形に伴って伸縮変形可能な導電性被膜314が覆われて構成されている。基材310は、
図10(A)、
図10(B)に示すように、頂面部311と、側壁部312と、基部313とから構成され、正面視した際に、上下方向に屈曲して三次元的に突出した形状となっている。導電性被膜314は、基材310を構成する頂面部311、側壁部312、及び基部313の上面側のみを覆うように設けられている。なお、基材310及び導電性被膜314の材質は、第1の実施形態の導電部材100と同様であるので、その詳細な説明については、省略する。
【0161】
頂面部311は、天面311aが平面状に構成されており、頂面部311の天面311aを覆う導電性被膜314の上面側の部位が第1の接続対象物に面接触する接触面部314aとなっている。頂面部311の両端側からは、頂面部311に対して上下方向に反発弾性を与える側壁部312が設けられている。側壁部312は、頂面部111に対して傾斜する方向に延出し、各側壁部312の先端側に基部313が設けられている。基部313の底面側には、第2の接続対象物C2に固着可能な固着部315が設けられている。なお、基部313の構成と、固着部315の構成及び材質は、第1の実施形態の導電部材100と同様であるので、その詳細な説明は、省略する。
【0162】
本実施形態では、側壁部312は、双方の厚さ及び頂面部311となす角度が互いに異なっていることを特徴とする。左右の側壁部312、312aは、厚みや面角度が異なり、反発弾性の異なる形状となっている。すなわち、
図10(A)及び
図10(B)に示すように、一方の側壁部312は、他方の側壁部312aよりも厚さが大きく、かつ、一方の側壁部312の面角度となる頂面部311となす角度が他方の側壁部312aの面角度よりも小さくなっている。具体的には、一方の側壁部312の面角度が110度である場合に、他方の側壁部312aの面角度が125度となっている。
【0163】
このように、一方の側壁部312よりも他方の側壁部312aの厚さが薄く、面角度も大きくした場合には、他方の側壁部312aの方が一方の側壁部312よりも反発弾性が小さく、撓み変形し易くなる。このため、第1の接続対象物と第2の接続対象物により挟まれて潰されると、他方の側壁部312aから柔らかく変形して潰れて行き、続いて一方の側壁部312が変形して潰れて行くようになる。
【0164】
すなわち、本実施形態では、一方の側壁部312aからより低荷重で高さ方向に撓み変形してから、他方の側壁部312が撓み変形するようになる。このため、双方の側壁部が同形状である場合に比べて、小さな荷重で潰れるので、より低荷重で安定した導通接続性を確保できるようになる。
【0165】
また、本実施形態では、頂面部311の両端側に側壁部312、312aと、基部313と、固着部315とをそれぞれ有するため、双方の側壁部312、312aの反発弾性が異なっても、荷重による変形の仕方が常に一定になる。このため、頂面部311の天面311a側に有する接触面部314aが少し左寄りにずれながら、導電部材300が潰れて行くものの、頂面部311の天面311aが平坦面となっているので、第1の接続対象物への接触状態が保たれるようになる。なお、頂面部311の天面311aが曲面形状の場合であっても、前後方向に曲率が同じである曲面であれば、第1の接続対象物に対して点接触にならずに、接続を保つことができる。
【0166】
本実施形態では、第1の実施形態の導電部材100と同様に、基材310は、板面が上下に屈曲した波板形状になっているため、圧縮により側壁部312が撓んで潰れ易くなっている。このため、基材310の高さ方向に押圧荷重がかかると、頂面部311の両端側から延出する薄い板形状の側壁部312が撓み変形することによって、基材310を高さ方向に容易に撓み変形させて潰すことができる。また、導電部材300は、基材310が頂面部311と側壁部312とで囲まれた中空部を有する薄い波板形状となっているので、全体が柔らかく変形し易くなり、かつ、当該中空部は、下側が開いているので、金型成形等で形成し易くなる。
【0167】
さらに、本実施形態では、基材310の頂面部311と基部313と側壁部312、312aは、導電部材300を上面視した際に、互いに重複しないように配置されている。このため、導電部材300を高さ方向に圧縮した際に、側壁部312、312aがより小さい圧縮力でも撓み変形しながら、頂面部311が側壁部312の内側に有する中空部に埋没しながら潰れて行き易くなるので、導電部材300を弾性変形させる際の低荷重化を図って、より安定した導通接続性が実現されるようになる。特に、側壁部312の厚さが頂面部311の厚さ以下の大きさとなっているので、導電部材300を高さ方向に圧縮すると、頂面部311の天面311a側に設けられている接触面部314aが第1の接続対象物に面接触した状態で側壁部312、312aが安定的に弾性的に撓み変形するようになる。
【0168】
また、本実施形態では、基材310よりも硬質な導電性被膜314が基材310の上面側のみに設けられているので、基材の切断面も含む全面に導電性被膜を被覆した場合と比べて、基材310が高さ方向・圧縮方向に圧縮変形して潰れ易くなるので、導電部材300を高さ方向に圧縮変形させる際の圧力荷重の低減を図れるようになる。すなわち、基材310は、板面が上下に屈曲した波板形状になっているため、導電部材300が圧縮により側壁部312が撓み潰れ易くなるが、潰れて平坦になった導電部材300は、更にまた圧縮されることによって、基材310自体が軟らかく潰れて薄くなることができる。
【0169】
特に、本実施形態では、接触面部314aが天面311a側に設けられている頂面部311を両端側から弾性的に支持する側壁部312、312aの先端が基部313の底面側に有する固着部315を介して、第2の接続対象物に固定されている。このため、導電部材300を高さ方向から圧縮した際に、双方の側壁部312、312aが第2の接続対象物に固定された状態で側壁部312、312aの一部が第2の接続対象物に当接するまで撓み変形するので、撓み変形する側壁部312、312aの広がりを抑制しながら、接触面部314aの位置ずれを抑制して、安定した導通接続性を確保できるようになる。
【実施例0170】
次に、本発明の一実施形態に係る導電部材について実施例により詳しく説明する。なお、本実施形態は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0171】
(実施例1)
実施例1では、
図11(A)に示すように、第1の実施形態の導電部材100に対応する実施例の導電部材1として、基材10の全体は、横幅が2.0mm、高さが1.0mmとし、頂面部11は、横幅が0.8mm、厚さが0.3mmとし、側壁部12は、長さが0.4mm、厚さが0.15mmとし、基部13は、長さが0.6mm、厚さが0.3mmのものを用いた。そして、実施例1の導電部材1を第1の接続対象物C1と第2の接続対象物C2との間に設置して、高さ方向に圧縮したときの応力変化分布のシミュレーションを取った。
【0172】
導電部材1を圧縮する前は、
図11(A)に示すように、応力変化が全体的に弱領域S1となっていたが、高さ方向に圧縮すると、
図11(B)~
図11(D)に示すように、頂面部11から側壁部12にかけての領域と基部13の底面側の応力変化が弱領域S1から中領域S2に変化して、基部13の内側の底面側の応力変化が更に強領域S3に変化した。実施例1の導電部材1の応力変化分布のシミュレーション結果から、頂面部11の天面が平面形状のため、第1の接続対象物をピックアップし易くなることから、低背まで圧縮すると形状変形が大きく、頂面部11から側壁部12にかけての応力集中が大きいことが分かった。このことから、頂面部11から側壁部12にかけての厚さを薄くすることによって、応力集中が緩和されて、改善できることが分かった。
【0173】
(実施例2)
実施例2では、
図12(A)に示すように、第1の実施形態の変形例1の導電部材101に対応する実施例の導電部材2として、基材20の全体は、横幅が2.5mm、高さが1mmとし、頂面部21は、横幅が0.7mm、厚さが0.3mmとし、側壁部22は、長さが0.4mm、厚さが0.15mmとし、基部23は、長さが0.9mm、厚さが0.3mmのものを用いた。そして、実施例2の導電部材2を第1の接続対象物C1と第2の接続対象物C2との間に設置して、高さ方向に圧縮したときの応力変化分布のシミュレーションを取った。
【0174】
導電部材2を圧縮する前は、
図12(A)に示すように、応力変化が全体的に弱領域S1となっていたが、高さ方向に圧縮すると、
図12(B)~
図12(D)に示すように、頂面部21の内側の領域と基部13の底面側の応力変化が弱領域S1から中領域S2に変化して、基部23の内側の底面側の応力変化が更に強領域S3に変化した。実施例2の導電部材2の応力変化分布のシミュレーション結果から、実施例2の導電部材2は、実施例1と比べると、低背まで圧縮しても、応力変化が生じる使用範囲の広がりが僅かであることが分かった。また、側壁部22の両側が基部23で固定されるため、圧縮時の潰れ方が安定することが分かった。
【0175】
(実施例3)
実施例3では、
図13(A)に示すように、第1の実施形態の変形例2の導電部材102に対応する実施例の導電部材3として、基材30の全体は、横幅が2.5mm、高さが1.0mmとし、頂面部31は、厚さが0.3mmとし、側壁部32は、厚さが0.2mm、基部33とのなす角度が100度とし、基部33は、厚さが0.3mmのものを用いた。そして、実施例3の導電部材3を第1の接続対象物C1と第2の接続対象物C2との間に設置して、高さ方向に圧縮したときの応力変化分布のシミュレーションを取った。
【0176】
導電部材3を圧縮する前は、
図13(A)に示すように、応力変化が全体的に弱領域S1となっていたが、高さ方向に圧縮すると、
図13(B)~
図13(D)に示すように、頂面部31から側壁部32にかけての領域と基部33の底面側の応力変化が弱領域S1から中領域S2に変化して、基部33の内側の底面側の応力変化が更に強領域S3に変化した。実施例3の導電部材3の応力変化分布のシミュレーション結果から、実施例1と同様に、頂面部31の天面が平面形状のため、第1の接続対象物をピックアップし易くなることから、低背まで圧縮すると形状変形が大きく、頂面部31から側壁部32にかけての応力集中が大きいことが分かった。このことから、頂面部31から側壁部32にかけての厚さを薄くするか、頂面部31と側壁部32とのなす角度を更に大きくすることによって、応力集中が緩和されて、改善できることが分かった。
【0177】
(実施例4)
実施例4では、
図14(A)に示すように、第1の実施形態の変形例2の導電部材102に対応する実施例の導電部材3´として、基材30´の全体は、横幅が2.5mm、高さが1.0mmとし、頂面部31´は、厚さが0.3mmとし、側壁部32´は、厚さが0.21mm、基部33´とのなす角度が110度とし、基部33´は、厚さが0.3mmのものを用いた。そして、実施例4の導電部材3´を第1の接続対象物C1と第2の接続対象物C2との間に設置して、高さ方向に圧縮したときの応力変化分布のシミュレーションを取った。
【0178】
導電部材3´を圧縮する前は、
図14(A)に示すように、応力変化が全体的に弱領域S1となっていたが、高さ方向に圧縮すると、
図14(B)~
図14(D)に示すように、頂面部31´の内側と基部33´の底面側の応力変化が弱領域S1から中領域S2に変化して、基部33´の内側の底面側の応力変化が更に強領域S3に変化した。実施例4の導電部材3´の応力変化分布のシミュレーション結果から、実施例4の導電部材3´は、実施例3と比べると、低背まで圧縮しても、応力変化が生じる使用範囲の広がりが僅かであることが分かった。また、側壁部32´の両側が基部33´で固定されるため、圧縮時の潰れ方が安定することが分かった。
【0179】
(実施例5)
実施例5では、
図15(A)に示すように、第1の実施形態の変形例2の導電部材102に対応する実施例の導電部材3”として、基材30”の全体は、横幅が2.5mm、高さが1.0mmとし、頂面部31”は、厚さが0.3mmとし、側壁部32”は、厚さが0.3mm、基部33”とのなす角度が120度とし、基部33”は、厚さが0.3mmのものを用いた。そして、実施例5の導電部材3”を第1の接続対象物C1と第2の接続対象物C2との間に設置して、高さ方向に圧縮したときの応力変化分布のシミュレーションを取った。
【0180】
導電部材3”を圧縮する前は、
図15(A)に示すように、応力変化が全体的に弱領域S1となっていたが、高さ方向に圧縮すると、
図14(B)~
図14(D)に示すように、基部43の底面側のみの応力変化が弱領域S1から中領域S2に変化して、基部33”の内側の底面側の応力変化が更に強領域S3に変化した。実施例5の導電部材3”の応力変化分布のシミュレーション結果から、実施例5の導電部材3”は、実施例3及び実施例4と比べると、低背まで圧縮しても、応力変化が生じる使用範囲の広がりが更に僅かであることが分かった。また、側壁部32”の両側が基部33”で固定されるため、圧縮時の潰れ方が安定することが分かった。
【0181】
(比較例)
比較例では、
図16(A)に示すように、導電部材4として、第2の実施形態の導電部材200に対応する導電部材4として、基材40の全体は、横幅が1.4mm、高さが1mmとし、頂面部41は、横幅が0.8mm、厚さが0.3mmとし、側壁部42は、長さが0.4mm、厚さが0.15mmとし、基部43は、長さが0.6mm、厚さが0.3mmのものを用いた。そして、比較例の導電部材4の側壁部42のうち基部43が設けられていない方の端部を係止せずにフリーな状態として、第1の接続対象物C1と第2の接続対象物C2との間に設置して、高さ方向に圧縮したときの応力変化分布のシミュレーションを取った。
【0182】
導電部材4を圧縮する前は、
図16(A)に示すように、応力変化が全体的に弱領域S1となっていたが、高さ方向に圧縮すると、
図16(B)~
図16(D)に示すように、頂面部41から側壁部42の内側を除く部位では、応力変化が弱領域S1から中領域S2に変化して、頂面部41から側壁部42の内側の部位では、応力変化が更に強領域S3に変化した。比較例の導電部材4の応力変化分布のシミュレーション結果から、比較例の導電部材4は、各実施例と比べると、低背まで圧縮すると、応力変化が生じる使用範囲が広範に広がることが分かった。
【0183】
以上の各実施例及び比較例のシミュレーション結果から、本実施形態の各実施例に係る導電部材は、双方の側壁部が基部の底面側の固着部を介して回路基板等の第2の接続対象物に固定されるため、圧縮時に側壁部の少なくとも一部が第2の接続対象物に当接するまで撓み変形することによって、頂面部が位置ずれすることなく、圧縮時の潰れ方が安定することが分かった。また、側壁部と基部とのなす角度、すなわち、側壁部と頂面部とのなす角度が大きくなるほど、低背まで圧縮した時の形状変形が小さくなることが分かった。
【0184】
なお、上記のように本発明の各実施形態及び各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
【0185】
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、導電部材の構成、動作も本発明の各実施形態及び各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。