(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072107
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
F16L 55/00 20060101AFI20220510BHJP
E03C 1/12 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
F16L55/00 S
E03C1/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020181361
(22)【出願日】2020-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000201582
【氏名又は名称】前澤化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】山崎 哲司
(72)【発明者】
【氏名】丸山 隆
(72)【発明者】
【氏名】土屋 竹志
(72)【発明者】
【氏名】木村 公一
(72)【発明者】
【氏名】田草川 英昇
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061AD06
2D061AE10
(57)【要約】
【課題】作業性の向上を図ることができる管継手を提供する。
【解決手段】管継手1は、掃除口部を有する円筒状の継手本体2と、この継手本体2の掃除口部を開閉する蓋体3とを備える。この蓋体3は、互いに直交する2つの第1操作部23及び第2操作部24を有する。これら第1操作部23及び第2操作部24は、いずれも蓋体3の閉状態時に継手本体2の軸方向に対して傾斜する方向に長手方向を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する継手本体と、
前記開口部を開閉する蓋体とを備え、
前記蓋体は、操作部を有し、
前記操作部は、前記蓋体の閉状態時に前記継手本体の軸方向に対して傾斜する方向に長手方向を有する
ことを特徴とする管継手。
【請求項2】
開口部を有する継手本体と、
前記開口部を開閉する蓋体とを備え、
前記蓋体は、互いに交差する少なくとも2つの操作部を有し、
前記少なくとも2つの操作部のうちいずれか一方の操作部は、前記蓋体の閉状態時に前記継手本体の軸方向に対して一方側に傾斜する第1方向に長手方向を有し、
前記少なくとも2つの操作部のうちいずれか他方の操作部は、前記蓋体の閉状態時に前記継手本体の軸方向に対して他方側に傾斜する第2方向に長手方向を有する
ことを特徴とする管継手。
【請求項3】
蓋体の操作部は、中空形状に形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2記載の管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業性の向上を図ることができる管継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された管継手が知られている。
【0003】
この従来の管継手は、開口部(掃除口部)を有する筒状の継手本体と、この継手本体の開口部を開閉する蓋体とを備えている。また、蓋体は、長手状に形成された操作部を有しており、この操作部は、蓋体の閉状態時に継手本体の軸方向に対して直交する方向(水平方向)に長手方向を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、この種の管継手において、作業性の向上が求められている。
【0006】
本発明は、作業性の向上を図ることができる管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の管継手は、開口部を有する継手本体と、前記開口部を開閉する蓋体とを備え、前記蓋体は、操作部を有し、前記操作部は、前記蓋体の閉状態時に前記継手本体の軸方向に対して傾斜する方向に長手方向を有するものである。
【0008】
請求項2記載の管継手は、開口部を有する継手本体と、前記開口部を開閉する蓋体とを備え、前記蓋体は、互いに交差する少なくとも2つの操作部を有し、前記少なくとも2つの操作部のうちいずれか一方の操作部は、前記蓋体の閉状態時に前記継手本体の軸方向に対して一方側に傾斜する第1方向に長手方向を有し、前記少なくとも2つの操作部のうちいずれか他方の操作部は、前記蓋体の閉状態時に前記継手本体の軸方向に対して他方側に傾斜する第2方向に長手方向を有するものである。
【0009】
請求項3記載の管継手は、請求項1又は2記載の管継手において、蓋体の操作部は、中空形状に形成されているものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る管継手の正面図(蓋体の閉状態時)である。
【
図7】工具を使用して蓋体を取り外す場合の説明図である。
【
図8】パイプを使用して蓋体を取り外す場合の説明図である。
【
図9】他のパイプを使用して蓋体を取り外す場合の説明図である。
【
図10】さらに他のパイプを使用して蓋体を取り外す場合の説明図である。
【
図11】本発明の他の実施の形態に係る管継手の蓋体を示す図である。
【
図12】本発明のさらに他の実施の形態に係る管継手を示す図である。
【
図13】本発明のさらに他の実施の形態に係る管継手を示す図である。
【
図14】本発明の関連技術に係る管継手の蓋体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施の形態について
図1ないし
図10を参照して説明する。
【0013】
図1ないし
図5において、1は管継手で、この管継手1は、流体である排水が流れる排水経路(流路)の途中に設置され、例えば上下方向に延びる2本の排水管(縦管)同士を繋ぎ合わせる排水管用管継手である。
【0014】
管継手1は、開口部である掃除口部5を前側(正面側)に有する上下方向長手状で円筒状(略円筒状を含む。以下でも同様。)の継手本体2と、この継手本体2の掃除口部5に円環状のシール部材(例えばパッキン等)6を介して着脱可能に取り付けられ、当該掃除口部5を開閉可能に閉鎖する円筒状の蓋体3とを備えている。
【0015】
蓋体3は、例えば着脱が容易なバヨネット式のもので、継手本体2の軸方向(上下方向)に対して直交する前後方向(水平方向)の回転中心軸線(回転中心)Xを中心として掃除口部5に対して所定角度(例えば90度未満の角度)だけ回転可能となっている。
【0016】
そして、蓋体3は、回転中心軸線Xを中心とする開方向(反時計回り)への所定角度(例えば45度)の回転によって掃除口部5から取り外すことが可能であり、この取り外しによって掃除口部5が開口する。
【0017】
他方、蓋体3は、回転中心軸線Xを中心とする閉方向(時計回り)への所定角度(例えば45度)の回転によって掃除口部5に取り付けることが可能であり、この取り付けによって蓋体3が所定の閉状態(掃除口部への締め付けが完了した取付完了状態)となり、この閉状態の蓋体3で掃除口部5が閉鎖される。
【0018】
また、管継手1は、継手本体2の掃除口部5から取り外された蓋体3が自重で落下するのを防止する落下防止体としての紐状部材である落下防止チェーン7を備えている(
図1、
図2参照)。
【0019】
このように、管継手1は、例えば、継手本体2と、蓋体3と、シール部材6と、落下防止チェーン7とで構成されている。なお、例えば継手本体2及び蓋体3は合成樹脂製であり、シール部材6は弾性素材製であり、落下防止チェーン7は金属製であるが、これには限定されず、他の材質でもよい。
【0020】
継手本体2は、上流側接続部11と、下流側接続部12と、これら両接続部11,12同士を連結する中間部である連結部13と、この連結部13の外周面に突設された掃除口部5とを有している。
【0021】
そして、上流側接続部11には、上下方向に延びる上流側の排水管8の下流端部(下端部)が接続され、かつ、下流側接続部12には、上下方向に延びる下流側の排水管9の上流端部(上端部)が接続される(
図7参照)。
【0022】
掃除口部5は、例えば短い円筒状のもので、この掃除口部5の内周面には、複数の係合溝15が形成されている。掃除口部5の外周面の下部には、取付孔17を有する継手本体側取付部16が掃除口部5と下流側接続部12との間にわたって設けられている。そして、継手本体側取付部16の取付孔17には、落下防止チェーン7の一端部7aが挿通されて取り付けられている。この落下防止チェーン7の他端部7bは、後述する蓋体側取付部33の取付孔34に挿通されて取り付けられている。
【0023】
なお、連結部13からの掃除口部5の突出長さL(
図3参照)は、図示した例には限定されず、より狭いスペースにおいても管継手1を設置できるように、当該突出長さLをより小さくした構成とすることも可能である。
【0024】
蓋体3は、継手本体2の掃除口部5を開閉可能でかつ当該掃除口部5に対して着脱可能な蓋本体部21と、この蓋本体部21に一体に設けられ、作業者(操作者)が人力で蓋体3を回転させるための複数、例えば少なくとも2つの操作部(摘み部)23,24とを有している。
【0025】
つまり、この蓋体3は、互いに交差、例えば直交する2つの長手状の第1操作部23及び第2操作部24を有し、これら第1操作部23及び第2操作部24はいずれもその全体が筒状の蓋本体部21内に収納された状態となっている。
【0026】
また、これら第1操作部23及び第2操作部24は、いずれも工具(例えばレンチやドライバー等)Kを内側に挿入可能な中空形状(筒状形状)に形成されている(
図4参照)。
【0027】
蓋本体部21は、
図5等に示すように、継手本体2の掃除口部5内に嵌脱可能に嵌合挿入される円筒状の筒状部分26を有している。筒状部分26の軸方向一端部である前端部には、非真円形状で環状のフランジ部分27が径方向外方に向かって突出するように設けられている。
【0028】
筒状部分26の軸方向他端部である後端部には、継手本体2の連結部13の内周面に対応する湾曲面状の板状部分28が設けられており、筒状部分26の前端の開口面(継手本体側とは反対側の先端の開口面)30は常時開口している。なお、操作部23,24は、円形状に開口した開口面30から筒状部分26外に突出しておらず、その全体が筒状部分26の内部空間25に位置している。換言すると、操作部23,24の前端(先端)は、蓋本体部21の前端(蓋体3の先端部外周側に位置するフランジ部分27)よりも後方に位置する。
【0029】
筒状部分26の外周面には、掃除口部5の係合溝15と係脱可能に係合する複数の係合突起31が設けられている(
図3参照)。また、筒状部分26の外周面には、シール部材6が装着される環状の凹溝32が形成されている。
【0030】
フランジ部分27の左側(右側でもよい)の上部には蓋体側取付部33が突設されており、この蓋体側取付部33の取付孔34には、落下防止チェーン7の他端部7bが挿通されて取り付けられている。
【0031】
そして、
図1に示すように、蓋体側取付部33は、蓋体3の閉状態時において、前面視で当該閉状態の蓋体3の左側の上部に位置する。つまり、蓋体側取付部33は、蓋体3の閉状態で回転中心軸線Xよりも上方に位置する。よって、蓋体3の閉状態では、落下防止チェーン7の他端部7bは回転中心軸線Xよりも上方に位置する。
【0032】
また、
図2に示すように、落下防止チェーン7は、蓋体3の回転操作の邪魔にならないように、蓋体3の閉状態時において、側面視でフランジ部分27よりも後方(継手本体側)に位置する。つまり、落下防止チェーン7がフランジ部分27よりも前方(継手本体側とは反対側)に垂れ下がった状態で位置した場合には、閉状態の蓋体3を回転操作する際の邪魔になるが、落下防止チェーン7がフランジ部分27よりも後方に位置する場合には邪魔にならない。
【0033】
また一方、第1操作部23及び第2操作部24は、
図6に示すように、蓋体3の閉状態(取付完了状態)では、前面視(正面視)で蓋体3の回転中心軸線Xを中心とするX字状となる。
【0034】
つまり、前面視で右高左低の傾斜状をなす長手状の第1操作部23は、蓋体3の閉状態時において前面視で継手本体2の軸方向に対して所定の傾斜角度αをもって一方側に傾斜する第1方向に長手方向を有し、かつ、前面視で左高右低の傾斜状をなす長手状の第2操作部24は、蓋体3の閉状態時において前面視で継手本体2の軸方向に対して所定の傾斜角度βをもって他方側に傾斜する第2方向に長手方向を有する。
【0035】
なお、第1方向の傾斜角度α及び第2方向の傾斜角度βは、0度よりも大きく90度未満の範囲内の角度、すなわち例えば45度であり、いずれも同じ角度である(異なる角度でもよい)。また、第1方向及び第2方向は、蓋体3の閉状態での前面視において、継手本体2の軸方向に対して直交しない方向でありかつ継手本体2の軸方向と一致しない方向である。
【0036】
ここで、一方の操作部である第1操作部23は、上右側の一方側操作部分41と、下左側の他方側操作部分42とを有している。これら両操作部分41,42は、蓋本体部21の板状部分(筒状部分26内の奥側の閉鎖板)28から前方に向かって突出している。
【0037】
また、両操作部分41,42は、所定の距離(内部空間40の幅寸法)W1をもって互いに離間対向する対をなす対向板43と、これら両対向板43の外端部同士を一体に連結する補強用の連結板44とを有し、この連結板44の前端側には切欠凹部45が形成されている。このため、連結板44の前端は、対向板43の前端よりも切欠凹部45の分(例えば5mm)だけ後方に位置する。また、第1操作部23の長手方向端部(各操作部分41,42の外端部)と蓋本体部21の筒状部分26の内周面との間には、所定寸法の隙間46が存在する。なお、例えば切欠凹部45がなく連結板44の前端と対向板43の前端とが同一面上に位置する構成でもよく、また連結板44を有しない構成でもよい。
【0038】
同様に、他方の操作部である第2操作部24は、上左側の一方側操作部分51と、下右側の他方側操作部分52とを有している。これら両操作部分51,52は、蓋本体部21の板状部分(筒状部分26内の奥側の閉鎖板)28から前方に向かって突出している。
【0039】
また、両操作部分51,52は、所定の距離(内部空間50の幅寸法)W2をもって互いに離間対向する対をなす対向板53と、これら両対向板53の外端部同士を一体に連結する補強用の連結板54とを有し、この連結板54の前端側には切欠凹部55が形成されている。このため、連結板54の前端は、対向板53の前端よりも切欠凹部55の分(例えば5mm)だけ後方に位置する。また、第2操作部24の長手方向端部(各操作部分51,52の外端部)と蓋本体部21の筒状部分26の内周面との間には、所定寸法の隙間56が存在する。なお、例えば切欠凹部55がなく連結板54の前端と対向板53の前端とが同一面上に位置する構成でもよく、また連結板54を有しない構成でもよい。
【0040】
そして、
図6からも明らかなように、この図示した例では、第1操作部23の両対向板43間の距離W1と第2操作部24の両対向板54間の距離W2とは、同じ距離(W1=W2)であり、例えば10mmである。また、第1操作部23の長手方向の長さ寸法と第2操作部24の長手方向の長さ寸法とは、同じ寸法である(互いに異なる寸法でもよい)。
【0041】
また、第1操作部23の4つの各対向板43の内端部と第2操作部24の4つの各対向板53の内端部とが互いに一体に繋がっている。その結果、中空形状の第1操作部23の内部空間40と中空形状の第2操作部24の内部空間50とが互いに連通した状態となっている。
【0042】
次に、管継手1の作用等を説明する。
【0043】
まず、
図7を参照しつつ蓋体3を継手本体2の掃除口部5から取り外す場合について説明する。
【0044】
図7(a)に示すように、通常時には、蓋体3は、掃除口部5に取り付けられて所定の閉状態となって、継手本体2の掃除口部5を閉鎖している。
【0045】
そして、例えば排水管8,9内の点検、掃除等を行う場合には、掃除口部5を開口させるために、作業者は、手で操作部23,24を摘んで蓋体3を回転操作したり、工具Kを操作部23,24内に挿入して蓋体3を回転操作したり、工具Kを操作部23,24に引っ掛けて蓋体3を回転操作したり、工具K(モンキーレンチやプライヤー等)で操作部23や操作部24を挟んで蓋体3を回転操作したりする等して、蓋体3を所定角度回転させて掃除口部5から取り外す。
【0046】
ここで、例えば排水管8,9の配置場所等によってはスペースが不十分なために手では蓋体3を回転操作しにくい場合があり、また、点検や掃除等の頻度によっては蓋体3が固く締まってしまい、手では蓋体3を回転操作できない場合等が発生する。
【0047】
このような場合には、作業者は、レンチ等の工具Kを用いて、蓋体3を回転操作して、当該蓋体3を継手本体2の掃除口部5から取り外す。
【0048】
具体的には、作業者は、
図4及び
図7(a)に示すように、例えば工具Kの長手方向一端部を第1操作部23内に挿入(第2操作部24内に挿入してもよい)し、かつ、工具Kの長手方向他端部を手で把持した状態で、この傾斜状態の工具Kを介して蓋体3に開方向への回転力(トルク)を加える。
【0049】
この際、蓋体3の第1操作部23及び第2操作部24は、いずれも継手本体2の軸方向に対して傾斜する方向に長手方向を有した状態になっているため、作業者は、蓋体3に対して回転力を加えやすい。また、作業者は、例えば利き手や自身の力の入れ易さ等に応じて第1操作部23及び第2操作部24のどちらかを選択することもでき、その選択した側に工具Kを挿入すればよい。
【0050】
そして、
図7(b)に示すように、作業者の人力に基づいて、蓋体3が掃除口部5に対して開方向に所定角度回転すると、係合溝15と係合突起31との係合が解除される。
【0051】
その結果、
図7(c)に示すように、蓋体3が掃除口部5から外れて当該掃除口部5が開口し、この開口状態で、作業者は、排水管8,9内の点検や掃除等の作業を行う。
【0052】
なお、作業終了後、作業者は、手で操作部23,24を摘んで蓋体3を回転操作したり、工具Kを、例えば利き手や自身の力の入れ易さ等に応じて第1操作部23内又は第2操作部24内に挿入(嵌入)した状態で、今度は蓋体3を閉方向に所定角度回転させたりすることにより、蓋体3を掃除口部5に取り付けて元の閉状態に戻す。
【0053】
また、
図8(a)及び(b)に示すように、作業者は、工具Kの代わりに、例えば円筒状の筒状部材であるパイプPを使用しても、蓋体3を継手本体2の掃除口部5から取り外すことが可能である。このような場合、パイプPが隙間46,56(
図6参照)に対応した厚さ寸法を有するものであれば、操作部23,24の長手方向端部(4つの端部)と蓋本体部21の筒状部分26の内周面との間に嵌合させることができる。そして、作業者は、当該嵌合した状態のパイプPを回転させることにより蓋体3を回転操作して、当該蓋体3を継手本体2の掃除口部5から取り外す。
【0054】
なお、作業者が使用するパイプPとしては
図8に示すもの以外に、例えば、
図9(a)に示すような操作部23,24の長手方向端部(4つの端部)のみに嵌合させることができる薄肉状のパイプPや、
図9(b)に示すような蓋本体部21の筒状部分26の内周面のみに嵌合させることができる薄肉状のパイプPが考えられる。
【0055】
また、
図8(b)、
図9(a)及び
図9(b)に示す3つのいずれの場合であっても、パイプPが嵌合しやすくかつ蓋体3を回転操作可能な強固な嵌合状態となるように、例えば操作部23,24の長手方向端部をテーパー形状に形成したり、蓋本体部21の筒状部分26の内周面をテーパー形状に形成してもよい。
【0056】
また、
図8(b)や
図9(b)に示す場合において、例えば
図10(a)及び(b)に示すように、蓋本体部21の筒状部分26の内周面端部における複数箇所(1箇所でもよい)に凸部(リブ)61を設けるようにしてもよい。このように凸部61を設けることで、この凸部61と嵌合する凹部(スリット)62が加工(現場加工、または、予め加工)された先端部を有するパイプPによって、蓋本体部21の筒状部分26の内周面との間により強く嵌合させることができる。なお、凸部61や凹部62の形状は三角形状には限定されず、四角形状等でもよい。
【0057】
以上、上記一実施の形態に係る管継手1によれば、蓋体3がこの蓋体3の閉状態時に継手本体2の軸方向(長手方向)に対して傾斜する方向に長手方向を有する長手状の操作部23,24を有するため、従来のものに比べて、蓋体3の取り外しが容易となり、点検や掃除等の作業時における作業性の向上を図ることができる。
【0058】
特に、この蓋体3は、互いに交差する少なくとも2つの操作部23,24を有し、そのうちのいずれか一方の操作部23が蓋体3の閉状態時に継手本体2の軸方向に対して一方側に傾斜する第1方向に長手方向を有し、かつ、そのうちのいずれか他方の操作部24が蓋体3の閉状態時に継手本体2の軸方向に対して他方側に傾斜する第2方向に長手方向を有するため、作業性の向上をより一層図ることができる。
【0059】
また、これら操作部23,24は、いずれも工具Kを挿入可能な中空形状に形成されているため、工具Kを使用することで、作業性の向上を適切に図ることができる。しかも、工具Kの代わりにパイプPを使用することも可能であり、作業性の向上を適切に図ることができる。
【0060】
さらに、落下防止チェーン7は、蓋体3の蓋本体部21のフランジ部分27よりも後方に位置するため、蓋体3の回転操作時に落下防止チェーン7がその操作の邪魔になるのを防止できる。
【0061】
なお、上記一実施の形態に係る管継手1においては、第1操作部23における距離W1と第2操作部24における距離W2とが同じである構成について説明したが、この構成には限定されず、例えば厚みが異なる複数種類の工具に対応できるように、距離(中空形状の操作部内の内部空間の幅寸法)が一定でなく異なる構成でもよい。
【0062】
具体的には、例えば
図11(a)に示す蓋体3では、距離W1と距離W2とが異なっており、例えば距離W1が距離W2よりも大きい。また、例えば
図11(b)に示す蓋体3では、第1操作部23において一方側操作部分41の両対向板43間の距離W1aと他方側操作部分42の両対向板43間の距離W1bとが異なり(W1a>W1b)、かつ、第2操作部24において一方側操作部分51の両対向板53間の距離W2a(W1b=W2a)と他方側操作部分52の両対向板53間の距離W2b(W1a=W2b)とが異なっている(W2a<W2b)。なお、複数種類の工具に対応するためには、4つの距離(W1a,W1b,W2a,W2b)のうち少なくとも1つの距離が異なっていればよく、また例えば4つの距離すべてが異なる構成でもよい。
【0063】
また、蓋体の操作部の数は、2つには限定されず、例えば3つ以上でもよく、また1つでもよい。
【0064】
具体的には、例えば
図12(a)に示す蓋体3は、この蓋体3の閉状態時において前面視で右高左低の傾斜状をなす長手状で中空形状の1つの操作部71のみを有している。また、例えば
図12(b)に示す蓋体3は、この蓋体3の閉状態時において前面視で左高右低の傾斜状をなす長手状で中空形状の1つの操作部72のみを有している。
【0065】
さらに、蓋体の操作部(23,24,71,72)の位置は、操作部全体が筒状(中空形状)の蓋本体部内に収納されるような位置(例えば
図3に示す位置)には限定されず、例えば
図13(a)の如く操作部(23,24,71,72)の前端と蓋本体部21の前端(例えばフランジ部分27)とが同一面上に位置する構成でもよい。また、例えば
図13(b)の如く操作部(23,24,71,72)の前端が蓋本体部21の前端(例えばフランジ部分27)よりも前方、すなわち継手本体2側とは反対側に突出して位置する構成でもよい。
【0066】
また、上記いずれの実施の形態においても、蓋体の操作部は、工具Kを挿入可能な中空形状である場合について説明したが、必ずしも中空形状である必要はなく、例えば、工具K(モンキーレンチやプライヤー等)により挟むことができる比較的肉厚な板状のもの等でもよい。
【0067】
さらに、蓋体は、バヨネット式のものには限定されず、例えばターンアップ式、螺合式(ねじ式)等を採用したものでもよく、また、落下防止体である紐状部材は、チェーン以外に、例えばワイヤー、紐等でもよい。
【0068】
また、管継手は、上下方向(斜めを含む)に延びる排水管が接続される縦置きのものには限定されず、例えば水平方向に延びる排水管が接続される横置きのものでもよいが、本発明を縦置きの管継手に適用したほうがより効果的である。
【0069】
さらに、例えば
図14に示すような蓋体3の構成とすることもできる。この蓋体3は、工具Kの長手方向端部である凹状の先端部(一の部位)が嵌合当接する1本の丸軸状の第1操作部81と、工具Kの長手方向中間部(他の部位)が当接する複数本の丸軸状の第2操作部82とを有している。
【0070】
第1操作部81は、蓋本体部21の中心部に設けられている。複数の第2操作部82は、蓋本体部21の外周側に第1操作部81を中心とする周方向に等間隔をおいて設けられている。そして、このような構成の蓋体3であっても、作業性の向上を図ることができる。
【0071】
なお、第1操作部81及び第2操作部82のうちいずれか一方、または、両方を丸軸状ではなく角軸状にしてもよい。また、複数の第2操作部82を等間隔で設けないようにしてもよい。また、第2操作部82は1つであってもよい。
【0072】
なお、本発明のいくつかの実施形態及びその変形例等について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲でそれらを適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 管継手
2 継手本体
3 蓋体
5 開口部である掃除口部
23,24,71,72 操作部