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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072143
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】遊技場用監視システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20220510BHJP
【FI】
A63F5/04 682
A63F5/04 602D
A63F5/04 699
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020181434
(22)【出願日】2020-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】藤巻 靖裕
(72)【発明者】
【氏名】金井 生多
【テーマコード(参考)】
2C182
【Fターム(参考)】
2C182CB05
2C182CE02
2C182DB06
2C182EA12
2C182EB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】設定漏洩を防ぐために設定値設定作業を監視することで、指示通りの設定値を設定したか照合可能とする。
【解決手段】作業者が装着した装着端末に遊技場管理者からの指示データを表示するようにした。これにより、作業者は指示データを紙に印字する必要がなくなるうえに、印字した紙を持ち歩くことがなくなり作業者の負担を軽減できる。更に、設定値設定作業を装着端末により撮像するようにした。これにより、作業者の作業を監視することができ、設定間違いや指示データとは異なる設定値情報を知人に漏洩し不当な利益を得るといった不正を抑制するこができる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者の有利度合いを調整するために複数設けられる遊技機設定値のいずれかを設定可能な複数の遊技機が設置される遊技場の遊技場用監視システムにおいて、
前記複数の遊技機の内、特定の遊技機に対応する遊技機設定値に関する情報を設定可能な設定手段と、
前記遊技機設定値の設定値設定作業を行う作業者に対し、前記設定手段により設定された情報を指示データとして表示する表示手段と、
前記作業者が装着し、設定値設定作業中における作業者の視認領域を撮像する視認領域撮像手段と、
前記視認領域撮像手段による撮像データに基づいて、設定値設定作業により設定された実際の遊技機設定値と、前記指示データにより指示された遊技機設定値とを照合する照合手段と、
前記照合手段による照合結果を遊技場管理者に対して報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする遊技場用監視システム。
【請求項2】
前記遊技場に設けられ、前記作業者の作業中の様子を撮像可能な場内撮像手段と、
前記場内撮像手段による作業中撮像データに基づいて、前記作業者が前記視認領域撮像手段を装着しているか否かを判定する判定手段と、を備え、
前記報知手段は、前記判定手段による判定結果を遊技場管理者へ報知することを特徴とする請求項1に記載の遊技場用監視システム。
【請求項3】
前記判定手段は、前記設定値設定作業の実行中に前記視認領域撮像手段が機能しているか否かを判定し、
前記報知手段は、前記判定手段による判定の結果前記設定値設定作業の実行中に前記視認領域撮像手段が機能していない場合に遊技場管理者へ報知することを特徴とする請求項2に記載の遊技場用監視システム。
【請求項4】
前記視認領域撮像手段による作業者の視認領域を示す撮像データに基づいて、前記作業者が行う遊技機を特定する遊技機特定手段を備え、
前記表示手段は、前記遊技機特定手段により特定された遊技機に対して設定された情報を前記指示データとして表示することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の遊技場用監視システム。
【請求項5】
前記作業者が装着可能なヘッドマウント型スマートグラスを備え、
前記表示手段及び前記視認領域撮像手段は、前記ヘッドマウント型スマートグラスに設けられることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の遊技場用監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場用監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場管理者から指示された設定値とは異なった設定値を遊技機に設定し、出玉率が高くなるような設定値に設定した遊技機を知人に教えることで不当に利益を得るといった不正が横行している。そのため、実際に指示された設定値と設定された設定値が合致しているか否かを管理する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-161263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで特許文献1によると、設定値読取センサにて実際に設定されている設定値を読み取り、それを保存して表示し、指示者が予め管理装置に設定しておいた設定値と、設定値読取センサにて読み取った実際に設定されている設定値とを照合し、これらが一致しているか否かを確認することを可能としている。これにより、指示者が実際に設定されている設定値を手動入力しなくても、作業者が実際に設定した設定値を確認したり作業者が設定値を調整した後に不正により設定値が変更されたような場合にもその設定値変更を確認したりすることが可能となる。
【0005】
しかしながら、実際に設定されている設定値を設定値読取センサにより読取るためには全ての遊技機毎に設定値読取装置を設置する必要があり遊技機の入替作業ごとに設定値読取装置を設置し直す必要があり、遊技場管理者にとっては手間がかかり非常に負担が大きくなる。また、全ての遊技機分設定値読取装置が必要なため、導入コストも高価になってしまう。さらに、読取装置を外して設定値設定作業を行われてしまえば指示通りの設定値を設定したか否か確認できなくなる。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、設定漏洩を防ぐために設定値設定作業を監視することで、指示通りの設定値を設定したか照合可能な監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によれば、作業者の設定値設定作業を監視することで、設定値の設定間違いや、指示データと異なる設定値を設定して不当に利益を得るといった不正行為を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る遊技場用監視システムを示す概略図
図2】データ表示機の正面図
図3】装着端末の概略図
図4】装着端末の機能ブロック図
図5】管理装置による設定画面を示す図
図6】管理装置による指示データ一覧を示す図
図7】作業者による視認領域を示す図(その1)
図8】作業者による視認領域を示す図(その2)
図9】管理装置における照合結果の一覧を示す図
図10】照合結果が相違している旨を示す図
図11】監視カメラによる作業者の設定値設定作業の撮像を示す図
図12】管理装置による不正な設定値設定作業が行われた旨を示す図
図13】管理装置による発生履歴を示す図
図14】設定値の照合を行うまでの処理を示す図
図15】不正設定値設定報知を行うまでの処理を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、遊技場用監視システムに適用した一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は遊技場用監視システムを示す概略図である。遊技場には、複数の遊技機1が設置されており、各遊技機1に対応して貸出装置2及びデータ表示機3が設置されている。遊技機1は、遊技場に設置されているパチンコ遊技機やスロットマシン等で、大規模店では数百台設置されている。遊技機1がパチンコ遊技機の場合の遊技価値はパチンコ玉であり、スロットマシンの場合はメダルである。以下、遊技機1をスロットマシンとして説明する。
【0010】
遊技機1は、表示窓4、スタートレバー5、ストップボタン6、メダル投入口7、BETボタン8等を有する。遊技者は、表示窓4を通じて内部に設けられたリール9に描かれた図柄を視認可能となっている。遊技者によってメダル投入口7からメダルを投入、或いは、BETボタン8を操作することで、クレジットメダルが所定枚数ベットされる。その状態でスタートレバー5が操作されると、内部抽選を実行するとともに図柄の変動を開始する。
【0011】
遊技機1では、周知のように小役、リプレイ役のほか、ボーナス役(BB役及びRB役)等が設定されている。内部抽選時に何れかの役に内部当選した状態で遊技者によりストップボタン6が操作されると、予め設定されている有効ライン上にその内部当選役に対応する図柄が所謂引込制御により停止表示されることで入賞が発生する。入賞が発生した場合には、対応する枚数のメダルが払出され、ボーナス状態(大当り状態)等への移行が行われる。
【0012】
貸出装置2は、遊技者が投入した貨幣に対応した遊技価値の遊技媒体を貸与する。また、遊技者が遊技により獲得した遊技媒体の遊技価値を特定し、遊技者の操作に応じて投入された貨幣の残高及び遊技価値を記録した記録媒体を発行する。
【0013】
データ表示機3は遊技機1の上方に設置されており、図2に示すようにデータ表示部10を備えている。データ表示部10では遊技機1の稼動に応じた遊技データや遊技場からのお知らせ等を表示可能であるとともに、遊技場従業員の呼出手段や報知手段の機能を備えている。データ表示機3には対応する遊技機の遊技機番号を示す台番表示部11が設けられている。
【0014】
図1に戻って、遊技場の天井には複数の監視カメラ12(場内撮像手段)が設置されており、撮像領域に位置する複数の遊技機1を監視する。
遊技機1、貸出装置2、データ表示機3、監視カメラ12は中継装置13及び場内ネットワーク14を介して管理装置15(設定手段、照合手段、報知手段、遊技機特定手段)に接続されている。中継装置13は遊技機2台ごとに1台設けられ、遊技機1の稼動状況やデータ表示機3及び貸出装置2の情報を収集管理する。
【0015】
管理装置15は管理室に設置されており、遊技機1、貸出装置2、データ表示機3の稼働状況を監視したり、監視カメラ12により遊技場内を監視したり、各装置における設定の管理を行ったりする。
【0016】
さて、遊技機1の内部抽選の抽選確率(遊技者の有利度合い)は当該遊技機1に予め設定した設定値に応じて決定されており、抽選確率を変更する場合は作業者が後述する設定値設定作業により設定値を変更する。作業者が設定値設定作業を行う場合は装着端末16(表示手段、視認領域撮像手段)を装着して行うようになっており、設定値設定作業の効率及び正確性を高めることができる。
【0017】
管理サーバ18(判定手段)は広域ネットワーク17を介したクラウド環境下に設置されており、管理装置15、装着端末16、監視カメラ12と接続可能である。後述するように装着端末16から送信された撮像データから設定値設定作業の対象となる遊技機1を特定し、対応する指示データを装着端末16に送信する。また、装着端末16から受信した撮像データから設定値設定作業の対象となる遊技機1に設定されている遊技機設定値情報を抽出し、抽出した遊技機設定値情報から設定値設定作業の対象となる遊技機1における設定値と指示データとの照合を行う。さらに、監視カメラ12の撮像データから作業者による設定値設定作業を特定し、作業者が装着端末16を非装着で設定値設定作業を行っているかを判定し、非装着の場合は警告する。
【0018】
装着端末16は、管理サーバ18から受信した指示データを作業者に対して表示可能である。また、作業者の視認領域を撮像し、管理サーバ18へ撮像データを送信することで作業者の設定値設定作業が正しく行われたかを監視する。
【0019】
図3に示すように装着端末16は、スマートグラス19と制御装置20とから構成されている。本実施形態では、スマートグラス19としてヘッドマウント型スマートグラスを想定しているが、ヘッドマウント型スマートグラスに限定されるものではなく、スマートグラスの機能を有しておればどのような形態であっても良い。
【0020】
図4に示すように制御装置20はCPU20a、RAM20b、ROM20c、I/O20dから構成されており、スマートグラス19が有するディスプレイ21、カメラ22と接続されているとともに、操作部23、液晶表示部24、通信部25と接続されている。通信部25により管理サーバ18と通信可能であり、管理サーバ18との間で指示データの受信及び撮像データの送信を行う。また、管理サーバ18において設定された設定値と撮像データとの照合の結果、不一致であると判定された場合は作業者に対して不一致である旨をディスプレイ21により表示する。
【0021】
ディスプレイ21は半透明ディスプレイや網膜投影ディスプレイで、以下、半透明ディスプレイを採用した場合を説明する。カメラ22は作業者の視認領域を撮像しており、制御装置20は、カメラ22が撮像した視認領域の撮像データをデータ処理して管理サーバ18へ送信する。また、管理サーバ18から受信した指示データを制御部にて処理してディスプレイ21に表示する。ディスプレイ21は作業者の視認領域と重なる位置に設けられており、指示データを視認領域と重ねた状態で視認可能としている。ディスプレイ21での表示を行うか否かを必要に応じて選択可能にしても良い。
操作部23は、装着端末16に対する各種操作を行うためのものである。
【0022】
装着端末16にマイク(音声入力手段)及びスピーカ(出力手段)を備え、インカムとしての機能を備えるようにしても良い。また、管理装置15や管理サーバ18に対して位置情報を送信することで、作業を行う遊技機1を特定する仕様としても良い。さらに、装着する作業者毎にIDを設定し、装着した作業者IDを特定可能に管理装置15へ送信しても良い。
【0023】
遊技場管理者は、管理装置15において種別毎、機種毎、若しくは遊技機1毎に遊技機設定値を設定する。この遊技機設定値の設定は、後述するように設定値設定作業と対象となる遊技機1において設定値を作業者に指示するために行うためのものである。
【0024】
図5は、管理装置15における遊技機設定値の設定画面を示している。設定画面には、台番、7日間出玉率、前回設定値、指示設定値、当日アウト、当日差、当日出玉率、当日コイン粗利の各項目が設定されており、遊技場管理者は指示設定値として設定変更対象となる遊技機に対応した設定値を設定する。この場合、指示設定値として設定する設定値は各遊技機1の当日データや特定期間のデータを参照しながら設定する。
【0025】
管理装置15は、図6に示すように遊技機設定値を設定した情報を基に指示データの一覧表示を行う。指示データ一覧画面では日々の設定値状況と遊技機情報の推移を確認できる。この場合、指示データ一覧画面には、遊技機1毎の前日7日間分の設定値、アウト、出玉率、コイン粗利が表示されると同時に、図5の設定画面に設定されている指示設定値が重ねて表示される。尚、遊技機情報においてマイナスの値となった場合は太文字で表示する。
【0026】
さて、遊技場管理者は、当日の遊技場の営業が終了した場合は、翌日の営業の準備として、図5の設定画面にて設定値設定の対象となる遊技機1の指示設定値を変更する。図5に示す例では、例えば1番台の設定値を「1」から「2」に変更することを示し、2番台は設定値が「1」のまま変更しないことを示している。
【0027】
作業者は、遊技場管理者による設定値設定が終了した場合は設定値設定対象の遊技機1に出向き、まず、遊技機1に対応して設けられるデータ表示機3を視認する。図2に示すようにデータ表示機3には対応する遊技機1の各種データに加えて対応する遊技機番号を示す台番表示部11が設けられているので、装着端末16に設けられたカメラ22がデータ表示機3を撮像するようになる。これにより、装着端末16から管理サーバ18に遊技機番号を含んだデータ表示機3の撮像データが送信される。
【0028】
管理サーバ18は、装着端末16から受信したデータ表示機3の撮像データより遊技機1に関する遊技機情報としてデータ表示機3に示されている遊技機番号を特定し、特定した遊技機に対応する指示データを図6の指示データ一覧から該当する指示データを抽出して装着端末16に送信する。装着端末16は、管理サーバ18から受信した指示データをディスプレイ21に表示する。これにより、作業者は、設定値設定作業の対象となる遊技機1の指示データを確認することができる。
【0029】
次に作業者は、遊技機1の前面扉を開放して遊技機1に内蔵されている主基板を視認する。図7に示すように主基板26上には7セグメントの設定値表示部27が実装されており、スタートレバー5の操作を含む所定操作により設定される設定変更可能状態で設定値表示部27に現在の設定値が表示される。主基板26には設定値変更釦28が実装されており、その設定値変更釦28を操作して遊技機設定値を変更する。主基板26には他の基板へ接続するための図示しないコネクタ部、各状態表示を行う表示部、各制御を行う電子部品などが実装されている。
【0030】
設定値設定受付状態において設定値表示部27に表示される設定値は設定値変更釦28を押下毎に「1」加算され、「1」→「2」→「3」→「4」→「5」→「6」のように表示される。「6」まで表示された状態で設定値変更釦28を押下すると再び「1」に戻る。
【0031】
装着端末16は管理サーバ18から受信した指示データを作業者の視認領域を妨げないよう半透明にて表示するので、作業者は、指示データを背景と重ねた状態で視認することになる。従って、作業者が設定値設定作業を行っている場合は、遊技機情報に対応する遊技機1の指示データが主基板26を背景に表示されるので、図7に示すように指示データを主基板26に設けられている設定値変更釦28と設定値表示部27とに重ねて同時に視認可能となる。
【0032】
そして、設定値設定作業により設定したい設定値が表示されている状態(図7に示す例では「2」)でスタートレバー5を操作すると設定値設定受付状態が終了する。これにより、次の設定値設定受付状態となるまで設定値変更釦28を押下しても設定値は変更されなくなる。
【0033】
ところで、図7に示すように作業者の設定値設定作業状態では、装着端末16に設けられたカメラ22は主基板26を撮像していることから、装着端末16から管理サーバ18には主基板26の撮像データが送信されている。管理サーバ18は主基板26の撮像データから設定値設定受付状態が終了したかを判定しており、終了したと判定した場合は、そのタイミングでの遊技機設定値情報、つまり最後に撮像した設定値表示部27に表示されている遊技機設定値を特定することで指示データとの照合を行う。
【0034】
管理サーバ18は、照合の結果、設定した設定値と指示データが不一致の場合には、装着端末16へ不一致である旨を通知する。装着端末16は、図8に示すように指示データ表示部において指示データと不一致である旨を表示する。装着端末16にインカム機能が備わっていれば音声での報知を行っても良い。
【0035】
管理サーバ18は、管理装置15へ照合結果を通知する。管理装置15は、設定した設定値と指示データの照合の結果、相違があった旨を報知可能であり、図9に示すように設定した設定値と指示データの照合結果を一覧表示する。この場合、照合の結果、不一致である場合には確認欄に確認が必要な旨を示す「要」を表示し、一致した場合には確認欄に確認が不必要な旨を示す「不」を表示する。
【0036】
装着端末16には作業者毎に対応したIDが予め対応されていてもよく、設定値設定作業を行った作業者に応じて当該IDを管理装置15に送信することで作業者毎に確認の要不要がどの程度あるかを管理可能となる。
【0037】
管理装置15は、図10に示すように照合の結果、相違があった旨をポップアップ表示する。ポップアップ表示には指示データと設定値が異なっている旨を示す文言、及び対象の遊技機番号が表示される。遊技場管理者は、ポップアップ表示を確認することで設定値の設定間違いが存在しているか否かを一目で判断でき、設定間違いが存在する場合は作業者に対して設定値設定作業を再度指示する。
【0038】
ところで、上述したようにして作業者が装着端末16を装着して設定値設定作業を行うことにより遊技機設定値を指示データに確実に変更することができるものの、作業者の中には装着端末16を外した状態で遊技者に有利な遊技機設定値を遊技機1に設定し、出玉率が高くなるような設定値に設定した遊技機1を知人に教えることで不当に利益を得ることが考えられる。つまり、上述したように遊技機設定値と指示データとを照合するには設定値設定作業を装着端末16のカメラ22により撮像することが必須となることから、装着端末16を取り外した状態で設定値設定作業が行われた場合は両者を照合することができず作業者による不正が可能となる。
【0039】
このような事情から、本実施形態では、遊技場に設けられた監視カメラ12により作業者が装着端末16を装着して設定値設定作業を行っているかを監視するようにした。
具体的には、営業終了後においては監視カメラ12により作業者による設定値設定作業を監視しており、図11に示すように監視カメラ12による作業中撮像データを管理サーバ18へ送信する。
【0040】
管理サーバ18は、作業中撮像データから設定値設定作業の開始かを特定する。設定値設定作業の開始を特定した場合、管理装置15へ特定情報を送信し、管理装置15は発生履歴を更新する。設定値設定作業を特定できなかった場合は処理を終了する。設定値設定作業の開始を特定する方法としては、作業者が遊技機1の前面扉を開放したことを検知したり、監視カメラ12により遊技機1の前面扉が開放したことを検知したりすることで可能となる。
【0041】
管理サーバ18は、設定値設定作業を特定した場合は管理装置15へ特定情報を送信すると共に特定した設定値設定作業において作業者が装着端末16を装着しているか否かを撮像データから判定する装着端末装着判定を行う。
【0042】
装着端末装着判定にて装着端末16の非装着を特定した場合、管理装置15へ非装着情報を送信する。管理装置15は、非装着情報を受信した場合は不正設定値設定の報知を行うと同時に発生履歴を更新する。装着端末装着判定で装着していると判定した場合は処理を終了する。
【0043】
不正設定値の報知としては、図12に示すように不正な設定値設定作業が行われた旨をポップアップ表示する。遊技場管理者は、ポップアップ表示を確認することでは不正な設定値設定作業が行われていることを一目で判断できるので、不正を行っている作業者が装着端末16を単に忘れた場合は装着するように注意し、意図的に装着していない場合は不正作業者として以後の設定値設定作業を監視したりする。
【0044】
但し、作業者が装着端末16の電源をOFFした状態で設定値設定作業を行うことも想定できることから、装着端末16は、電源ONの間、管理サーバ18と広域ネットワーク17を介して通信を行うようになっている。管理サーバ18は、装着端末16の電源ONを検知しており、電源ONの起動状態で設定値設定作業が行われている間は不正と認識しないようになっている。
【0045】
管理装置15は、管理サーバ18からの通知時刻を管理することで設定値の照合結果及び監視カメラ12での特定状況の発生履歴を管理する。
図13は、管理装置15による発生履歴を示している。発生履歴には、発生時刻、端末、番号、発生内容、回数の各項目が設定されており、各項目の意味は次の通りである。
発生時刻:履歴の発生した時刻
端末:履歴を確認した端末及び装置
番号:履歴を確認した端末の号機番号若しくは遊技機番号
発生内容:発生した履歴の内容
設定値設定作業:監視カメラ12で特定した設定値設定作業
設定値不一致:管理サーバ18で行った設定値の照合の結果指示データと相違があった場合
不正設定値設定作業:装着端末非装着での設定値設定作業
回数:同一の履歴が発生した回数の累計
【0046】
発生履歴は上記の項目に限定されることなく、ドアオープンや計数作業といった遊技場の監視内容の発生履歴も表示可能である。
【0047】
管理装置15において設定値の照合を行うまでの処理について図14を参照して説明する。
管理装置15は、遊技機1にて設定する設定値を指示する遊技機設定値が設定された場合は(S101)、管理サーバ18に指示データ一覧を送信する(S102)。管理サーバ18は、受信した指示データ一覧を記憶する。
【0048】
作業者が指示データに基づいて設定値設定作業を行うと、装着端末16は、作業者の視認領域を撮像し(S301)、管理サーバ18へ視認領域撮像データを送信する(S302)。
【0049】
管理サーバ18は、視認領域撮像データを受信すると、受信した撮像データから遊技機情報を抽出し(S201)、当該遊技機情報が示す遊技機を特定してから(S202)、記憶している指示データ一覧から対応する指示データを特定し(S203)、装着端末16へ指示データを送信する(S204)。
装着端末16は、受信した指示データを表示し(S303)、作業者の視認領域を撮像してから(S304)、管理サーバ18へ視認領域撮像データを送信する(S305)。
【0050】
管理サーバ18は、受信した視認領域撮像データから遊技機設定値情報を抽出し(S205)、当該遊技機設定値情報が示す遊技機設定値を特定してから(S206)、特定した遊技機設定値と管理装置15から受信した指示データとを照合し(S207)、両方の設定値が一致するか否かを判定する(S208)。遊技機1に設定された設定値と指示データとが一致しない場合は(S208:NO)、管理装置15及び装着端末16に一致しない旨を示す不一致情報を送信する(S209)。管理装置15及び装着端末16は、不一致である旨を報知する(S103、S306)。
【0051】
以上のように、設定した設定値と指示データの設定値を照合することで、設定間違いや、故意に指示データと異なった設定値を設定し知人に教えることで不当に利益を得るといった不正を防止できる。
【0052】
次に監視カメラ12により不正設定値設定報知を行うまでの処理について図15を参照して説明する。
遊技場に設けられた監視カメラ12は、作業者による設定値設定作業を撮像し(S401)、作業中撮像データを送信する(S402)。管理サーバ18は、作業中撮像データを受信すると、装着端末16を装着した状態で設定値設定作業を特定したか判定し(S210)、特定した場合は(S210:YES)、作業者が装着端末16を装着しているかを判定し(S211)、装着している場合は(S211:YES)、装着端末16の起動情報を受信しているかを判定する(S212)。
【0053】
作業者が設定値設定作業を行うために装着端末16の電源をONしている場合は、装着端末16が起動し、起動情報を広域ネットワーク17を介して管理サーバ18に送信している。これにより、管理サーバ18は、起動情報を受信していると判定するので(S212:YES)、設定値設定作業は正しく行われていると判定し、管理装置15へ設定値設定情報を送信する(S213)。管理装置15は、設定値設定情報を受信すると、発生履歴を更新することで設定値設定作業が行われていることを登録する(S105)。
【0054】
管理サーバ18は、作業者が装着端末16を装着して設定値設定作業を行っていない場合は(S211:NO)、管理装置15へ不正な設定値設定作業を行っていることを示す不正設定値設定情報を送信する(S214)。管理装置15は、不正設定値設定情報を受信すると、不正設定値設定を報知してから(S104)、発生履歴を更新する(S105)。
【0055】
管理サーバ18は、作業者が装着端末16を装着して設定値設定作業を行っている場合であっても(S211:YES)、装着端末16の起動情報を受信していないときは(S212:NO)、管理装置15へ不正設定値設定情報を送信するので(S214)、作業者が装着端末16を装着して設定値設定作業を行っていない場合と同様に、管理装置15において不正設定値設定が報知される。
【0056】
このような実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
作業者が装着した装着端末16に遊技場管理者からの指示データを表示することで、作業者は指示データを紙に印字する必要がなくなるうえに、印字した紙を持ち歩くことがなくなり作業者の負担を軽減できる。更に、設定値設定作業を装着端末16により撮像することで、作業者の作業を監視することができ、設定間違いや指示データとは異なる設定値情報を知人に漏洩し不当な利益を得るといった不正を抑制するこができる。
【0057】
装着端末16で設定値設定作業を監視していても、一度装着した状態で正しい設定値を設定した後に装着端末16を外し、異なった設定値を設定することで監視を回避できてしまうが、遊技場に設けられた監視カメラ12で作業者の設定値設定作業を監視することで、装着端末16を装着しない設定値設定作業を特定し不正な設定値設定作業を検知し、不正を抑制することができる。
【0058】
設定値設定作業中に装着端末16を装着していても、装着端末16の電源が入っていない状態で設定値設定作業が行われた場合は不正と判断されない虞がある。そのため装着端末16が作業者の視認領域を撮像している状態、即ち装着端末16の電源が入っている状態で設定値設定作業が行われていない場合に不正と判断することで、装着端末16を装着しているにも拘わらず、電源を入っていない状態で設定値設定作業による不正を抑制することができる。
【0059】
装着端末16で撮像したデータから作業者が作業を行う遊技機1を特定し、特定した遊技機1に対応する指示データを装着端末16に表示することで、作業者が作業を行う遊技機1を確実に特定することができ、設定値の設定間違いを未然に防ぐことができる。
【0060】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張したり、各変形例を上記実施形態と組み合せたり、各変形例を組み合わせるようにしても良い。
装着端末16はスマートグラスとしての構成としたが、スマートグラスでなくてもよく例えばスマートフォンや携帯電話としても良い。この場合管理サーバ18で行う処理をスマートフォンや携帯端末で行っても良いし、装着端末16であっても管理サーバ18の処理を実行可能とするように構成しても良い。
【0061】
遊技機情報から遊技機1を特定し、設定値設定作業を行う遊技機1の指示データを装着端末16に表示していたが、装着端末16に位置情報を送信するビーコン等を設け、作業者の位置情報から設定値設定作業を行う遊技機1を特定してもよい。
監視カメラ12の撮像データから設定値設定作業をリアルタイムで特定していたが、リアルタイムでの監視ではなく、所定のタイミング、例えば設定値設定作業が終了したタイミングで一斉に照合を行う構成でも良い。
【0062】
設定値設定作業の判定は、装着端末16の備えられた電源ランプが点灯しているか否かで、装着端末16が装着された状態での設定値設定作業であると判定しても良い。
指示データの表示は装着端末16での表示に限定されず、遊技場に設けられたデータ表示機3、貸出装置2、及び作業者が所有するスマートフォンやタブレット等にて表示する構成でも良い。
【0063】
装着端末16の非装着での設定値設定作業を判定した場合、遊技場内での報知のみならず、広域ネットワーク17で接続されている遊技場管理者へ報知を行っても良い。
遊技機設定値の設定は管理装置15で行っているが、管理サーバ18で行ってもよい。
管理装置15や管理サーバ18で行っている処理は管理装置15や管理サーバ18で行っても良く、さらに中継装置13やデータ表示機3で行っても良い。
【0064】
作業者の作業は監視カメラ12での撮像だけでなく、貸出装置2に設けられた撮像装置で行っても良い。
装着端末16を遊技場内の無線LANと接続し、装着端末16の起動状態を管理サーバ18に通知するようにしても良い。
【符号の説明】
【0065】
図面中、1は遊技機、12は監視カメラ(場内撮像手段)、15は管理装置(設定手段、照合手段、報知手段、遊技機特定手段)、16は装着端末(表示手段、視認領域撮像手段)、18は管理サーバ(判定手段)である。
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