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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072187
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】椅子及びブース
(51)【国際特許分類】
   A47C 9/06 20060101AFI20220510BHJP
   A47C 7/02 20060101ALI20220510BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
A47C9/06
A47C7/02 Z
E04H1/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020181498
(22)【出願日】2020-10-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.ウェブサイトの掲載日 :2019年11月5日 ウェブサイトのアドレス : http://www.okamura.co.jp/company/topics/product/2019/drape.html 公開者 :株式会社オカムラ 2.発行日 :電子版:2019年11月5日 :紙媒体:2019年11月21日 刊行物 :オフィス総合カタログ2020 電子版 : http://gmd.okamura.jp/iportal/cv.do?c=27374300000&pg=59&v=OKM05&pp=L 公開者 :株式会社オカムラ 3.発行日 :電子版:2019年11月5日 :紙媒体:2019年11月21日 刊行物 :Snow Hut 電子版 : http://gmd.okamura.jp/iportal/cv.do?c=27174670000&pg=1&v=OKM05&pp=R 公開者 :株式会社オカムラ 4.ウェブサイトの掲載日 :2019年11月5日 ウェブサイトのアドレス : https://www.okamura.co.jp/product/others/snowhut/ 公開者 :株式会社オカムラ 5.展示日 :令和1年11月6日~ 展示会名、開催場所 :オカムラグランドフェア 2019 オカムラガーデンコートショールーム(東京都千代田区紀尾井町4-1 ホテルニューオータニ ガーデンコート3階) 公開者 :株式会社オカムラ 6.開催日 :2019年12月5日~2019年12月6日 展示会名、開催場所 :オカムラフェアin大阪2019 オカムラ大阪ショールーム(大阪府大阪市北区大深町4-20 グランフロント大阪 タワーA 21F) 公開者 :株式会社オカムラ 7.開催日 :2019年12月10日~2019年12月11日 展示会名、開催場所 :オカムラフェアin福岡2019 オカムラ福岡ショールーム(福岡県福岡市博多区博多駅前1-3-3 明治安田渡辺ビル1F) 公開者 :株式会社オカムラ 8.開催日 :2020年1月21日~2020年1月22日 展示会名、開催場所 :JOPSDESKフェア 2020 有楽町 東京交通会館 12F ダイヤモンドホール(東京都千代田区有楽町2-10-1) 公開者 :株式会社オカムラ
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】土山 和功
(72)【発明者】
【氏名】中田 貴規
(72)【発明者】
【氏名】石川 清仁
【テーマコード(参考)】
3B095
【Fターム(参考)】
3B095AA07
3B095AB10
3B095AC03
3B095DA03
(57)【要約】
【課題】着座位置及び起立位置の双方において、利用者が快適に腰掛けることができる椅子及びブースを提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る椅子12は、基部71と、基部71の上方に位置するとともに、座面73aを形成するクッション材を有する座73と、座73の後方に位置する背凭れ72と、座面73aが上方を向く着座位置において座73の前端部となる第1側端部が後方に移動しながら、座73の後端部となる第2側端部が上方に移動することで、座面73aが前方を向く起立位置に座73を移動可能に、基部71及び座73間を接続する接続機構74と、を備えている。座73には、着座位置において後方かつ下方に開口して、着座位置及び起立位置間の移行時に背凭れ72との干渉を避ける第2側逃げ部96が形成されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部の上方に位置するとともに、座面を形成するクッション材を有する座と、
前記座の後方に位置する背凭れと、
前記座面が上方を向く第1位置において前記座の前端部となる第1側端部が後方に移動しながら、前記座の後端部となる第2側端部が上方に移動することで、前記座面が前方を向く第2位置に前記座を移動可能に、前記基部及び前記座間を接続する接続機構と、を備え、
前記座には、前記第1位置において後方かつ下方に開口して、前記第1位置及び前記第2位置間の移行時に前記背凭れとの干渉を避ける逃げ部が形成されている椅子。
【請求項2】
前記座が前記第1位置にある状態で、前記逃げ部の縁部は、後方から前方に向けて漸次下方に傾斜している請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
前記座は、前記座面における左右方向の両端部から前記座面とは反対側に向けて延びるとともに、前記逃げ部が形成された一対の側方部を備え、
前記基部は、
左右方向に沿って延びる後板と、
前記後板における左右方向の両端部から前方に張り出す一対の側壁部材と、を備え、
前記接続機構の上端部は、一対の前記側方部の内側に収容され、
前記接続機構の下端部は、一対の前記側壁部材の内側に収容されている請求項1又は請求項2に記載の椅子。
【請求項4】
前記逃げ部は、前記第1位置において、前記側壁部材の上端縁に倣って延びる縁部を有し、
前記座の前記第1側端部は、前記第2位置において、前記側壁部材の上端縁に倣って延びる縁部を有している請求項3に記載の椅子。
【請求項5】
前記側方部のうち左右方向の外側を向く外側面は、前記側壁部材のうち左右方向の外側を向く外側面と面一に配置されている請求項3又は請求項4に記載の椅子。
【請求項6】
前記第2位置において、前記背凭れから前記座面の前記第1側端部の下端縁までの前後方向の距離は、前記側壁部材の上端部において前記背凭れから前記側壁部材の前端縁までの前後方向の距離と同等になっている請求項3から請求項5の何れか1項に記載の椅子。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の椅子と、
前記椅子が設置される内部空間を形成するブース本体と、を備えるブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子及びブースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、使用時と未使用時とで座の姿勢(座面の向き)を切り替え可能な椅子が知られている。この種の椅子としては、座と座支持体とがリンクやスライダ等のガイド機構を介して接続されることで、座面が上方を向く着座位置、及び座面が前方を向く起立位置の間を座が移動可能に構成されたものがある(例えば、下記特許文献1参照)。
この構成によれば、座が着座位置にある状態で、座の後端部が上方に移動しつつ、座の前端部が後方に移動することで、座が起立位置に移行する。
また、例えば下記特許文献2では、着座位置と起立位置とに座を切り替え可能な椅子において、着座位置では座面に腰掛け、起立位置では座の上端部に腰掛ける構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-4982号公報
【特許文献2】特開平8-142727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成にあっては、着座位置及び起立位置の双方において、利用者が快適に腰掛けることができる点で未だ改善の余地があった。具体的に、特許文献1の構成にあっては、起立位置の座に腰掛けることは想定されていないため、座が全体に亘って薄くなっている。特許文献2の構成にあっては、起立位置の座に腰掛けることは開示されているものの、起立位置には座の裏面が前方を向く。座の裏面は、一般的に硬質な材料により形成されているため、起立位置で腰掛けた際に利用者の臀部や大腿部に対して不快感(底付き感)を与える可能性がある。
【0005】
本発明は、着座位置及び起立位置の双方において、利用者が快適に腰掛けることができる椅子及びブースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る椅子は、基部と、前記基部の上方に位置するとともに、座面を形成するクッション材を有する座と、前記座の後方に位置する背凭れと、前記座面が上方を向く第1位置において前記座の前端部となる第1側端部が後方に移動しながら、前記座の後端部となる第2側端部が上方に移動することで、前記座面が前方を向く第2位置に前記座を移動可能に、前記基部及び前記座間を接続する接続機構と、を備え、前記座には、前記第1位置において後方かつ下方に開口して、前記第1位置及び前記第2位置間の移行時に前記背凭れとの干渉を避ける逃げ部が形成されている。
【0007】
本態様によれば、座が第2位置にあるとき座面が前方を向くので、利用者が立位姿勢で腰掛けた状態であっても、利用者に与える底付き感を軽減できる。そのため、第1位置及び第2位置の双方において、利用者が座に快適に腰掛けることができる。
しかも、本態様では、座に後方かつ下方に開口する逃げ部が形成されているため、第1位置及び第2位置間の移動時に座と基部との干渉を抑えた上で、座の厚さを確保し易くなる。この場合、クッション材の厚さを確保し易くなり、利用者がより快適に座に腰掛けることができる。
【0008】
上記態様の椅子において、前記座が前記第1位置にある状態で、前記逃げ部の縁部は、後方から前方に向けて漸次下方に傾斜していてもよい。
本態様によれば、逃げ部の縁部が直線状に形成されるので、座の美感や加工性の向上を図ることができる。また、逃げ部に応力集中が生じにくいので、座の強度も確保し易くなる。
【0009】
上記態様の椅子において、前記座は、前記座面における左右方向の両端部から前記座面とは反対側に向けて延びるとともに、前記逃げ部が形成された一対の側方部を備え、前記基部は、左右方向に沿って延びる後板と、前記後板における左右方向の両端部から前方に張り出す一対の側壁部材と、を備え、前記接続機構の上端部は、一対の前記側方部の内側に収容され、前記接続機構の下端部は、一対の前記側壁部材の内側に収容されていてもよい。
本態様によれば、接続機構の上下両端部を側方部又は側壁部材によって隠すことができるので、椅子の美感を向上させることができる。
【0010】
上記態様の椅子では、前記逃げ部は、前記第1位置において、前記側壁部材の上端縁に倣って延びる縁部を有し、前記座の前記第1側端部は、前記第2位置において、前記側壁部材の上端縁に倣って延びる縁部を有していてもよい。
本態様によれば、第1位置及び第2位置において、座と側壁部材との間の間隔が全体に亘って一様に形成されるので、椅子の美感を向上させることができる。
【0011】
上記態様の椅子において、前記側方部のうち左右方向の外側を向く外側面は、前記側壁部材のうち左右方向の外側を向く外側面と面一に配置されていてもよい。
本態様によれば、座と基部の外側面が面一に配置されるので、椅子の美感を向上させることができる。
【0012】
上記態様の椅子において、前記第2位置において、前記背凭れから前記座面の前記第1側端部の下端縁までの前後方向の距離は、前記側壁部材の上端部において前記背凭れから前記側壁部材の前端縁までの前後方向の距離と同等になっていてもよい。
本態様によれば、第2位置において、座の第2側端部と側壁部材の上端部とが前後方向で同等の位置に配置されることで、椅子に対して左右方向から進入又は退避する際に利用者が座や基部に引っ掛かるのを抑制できる。
【0013】
本態様に係るブースは、上記何れかの態様に係る椅子と、前記椅子が設置される内部空間を形成するブース本体と、を備える。
本態様によれば、上記何れかの態様に係る椅子を備えることで、着座位置及び起立位置の双方において、ブースを快適に利用できる。
【発明の効果】
【0014】
上記各態様によれば、着座位置及び起立位置の双方において、利用者が快適に腰掛けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係るブースの斜視図である。
図2図1のII-II線に対応する断面図である。
図3】椅子が腰掛位置にある状態を示すブースを左側から見た断面図である。
図4】椅子が着座位置にある状態を示すブースを左側から見た断面図である。
図5図1のV-V線に相当する断面図である。
図6】ブース本体に取付機構が取り付けられた状態を示す斜視図である。
図7】椅子を後方から見た斜視図である。
図8図5のVIII-VIII線に対応する着座位置の椅子を示す断面図である。
図9】主部の断面図である。
図10図5のVIII-VIII線に対応する起立位置の椅子を示す断面図である。
図11】座の動作説明図である。
図12図5のVIII-VIII線に対応する腰掛位置の椅子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下で説明する各実施形態(及び変形例)において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
【0017】
[ブース1]
図1は、ブース1の斜視図である。
図1に示すように、ブース1は、オフィスや公共機関等の各種施設において、床面F上に設置される。ブース1は、例えば外部空間と隔離された状態で、執務等の作業を行う場合に用いられる。本実施形態のブース1は、天板昇降式什器11と椅子12とが互いに向き合った状態で、ブース本体13内(内部空間S)に設置された構成である。以下の説明において、前後上下左右等の向きは、椅子12の利用者から見た方向を示している。したがって、天板昇降式什器11における前後左右の向きは、椅子12の利用者が正対した方向を基準としている。
【0018】
<ブース本体13>
ブース本体13は、上下方向に延びる直方体形状に形成されている。具体的に、ブース本体13は、フレームユニット21と、パネルユニット22と、出入口ユニット23と、天井ユニット24と、を備えている。
フレームユニット21は、ブース本体13の輪郭(外形)を形成する。フレームユニット21は、複数の支柱本体25と、複数の梁26と、を備えている。なお、ブース本体13の外形は、直方体以外の多角柱形状、円柱形状等、適宜変更が可能である。
【0019】
各支柱本体25は、平面視において、ブース本体13の各角部に位置する部分で上下方向に延在している。各支柱本体25は、アジャスタを介して床面Fに設置されている。本実施形態の各支柱本体25は、上下方向に直交する断面視において、ブース本体13の外側に向けて突の扇状に形成されている。したがって、各支柱本体25のうち、隣り合う支柱本体25と向かい合う面(内側面)は、平坦面に形成されている。なお、各支柱本体25の本数は、適宜変更が可能である。例えば、ブース本体13の平面視形状が多角形状の場合、支柱本体25を各角部に配置してもよい。また、支柱本体25は、ブース本体13において、隣り合う角部の間に配置してもよい。
【0020】
梁26は、隣り合う支柱本体25の上端部同士の間を架け渡している。梁26は、上下方向に沿う断面視でブース本体13の外側に向けて突の扇状に形成されている。したがって、各梁26の下面、及び隣り合う梁26と向かい合う面(内側面)は、平坦面に形成されている。但し、支柱本体25や梁26の断面視形状は、矩形状や円形状等、適宜変更が可能である。なお、支柱本体25と梁26との連結部分は、コーナー部材27によって覆われている。コーナー部材27の外側面は、支柱本体25及び梁26の外側面に滑らかに連なる曲面状に形成されている。
【0021】
パネルユニット22は、フレームユニット21において、隣り合う一対の支柱本体25、一対の支柱本体25間を架け渡す梁26により画成された開口部(以下、単に開口部という。)内に配置され、外部空間と内部空間Sとを仕切っている。すなわち、パネルユニット22は、ブース本体13の側壁を構成している。本実施形態のパネルユニット22は、椅子12に対して前後両側壁及び右側壁を構成している。なお、各パネルユニット22は、互いに同等の構成をなしている。したがって、以下の説明では、ブース本体13の後壁を構成するパネルユニット22(後壁ユニット22A)を例にして説明する。
【0022】
図2は、図1のII-II線に対応する断面図である。
図2に示すように、後壁ユニット22Aは、枠材31と、枠材31に対して前後両側にそれぞれ設けられた外パネル32及び内パネル33と、を備えている。枠材31は、フレームユニット21における後側開口部の内周縁に沿って配置された枠状に形成されている。枠材31は、支柱本体25及び梁26の内側面にそれぞれ固定されている。枠材31のうち、上下方向に延びる縦枠部35には、係止孔36が形成されている。係止孔36は、前後両側に開口するとともに、上下方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0023】
外パネル32は、枠材31を後方から覆っている。
内パネル33は、縦枠部35において前方に開口する係止孔36を露出させた状態で、枠材31を前方から覆っている。本実施形態の各パネル32,33は、遮光性や吸音性を有していることが好ましい。このような材料としては、金属製の芯材が布等の外皮により覆われたものでもよく、不織布が圧縮されたものであってもよい。但し、各パネル32,33は、ガラスやアクリル樹脂等の光透過性を有する材料により形成されていてもよい。
【0024】
図1に示すように、出入口ユニット23は、フレームユニット21の開口部のうち、左側開口部内に配置されている。出入口ユニット23は、いわゆる片引き戸になっている。具体的に、出入口ユニット23は、フレームユニット21の左側開口部の内周縁に沿って固定されたサッシ40に、固定戸41及び引き戸42が備え付けられている。
【0025】
固定戸41は、フレームユニット21の左側開口部内において、前部に配置されている。固定戸41は、サッシ40に固定されている。フレームユニット21の左側開口部の後部において、固定戸41とサッシ40により画成された部分は、ブース本体13の内外を連通させる出入口43を構成している。
引き戸42は、出入口43を開閉可能に構成されている。本実施形態において、引き戸42は、前後方向にスライド移動可能にサッシ40に支持されている。ブース1は、引き戸42が開位置(固定戸41と重なり合った位置)にあるとき、出入口43を通じてブース本体13の内外を出入することができる。
【0026】
本実施形態において、固定戸41及び引き戸42は、ガラスやアクリル樹脂等の光透過性を有する仕切材が、枠材の内側に固定されて構成されている。但し、固定戸41及び引き戸42は、遮光性を有していてもよい。また、出入口ユニット23は、片引き戸に限らず、引き違い戸や開き戸、折れ戸等、適宜変更が可能である。さらに、本実施形態のブース本体13は、フレームユニット21の左側開口部を出入口43としたが、この構成に限られない。出入口は、前後左右何れかの方向に少なくとも1ヶ所以上設けられていればよい。さらに、本実施形態では、ブース本体13の四方がパネルユニット22又は出入口ユニット23により囲まれた構成について説明したが、この構成に限られない。ブース本体13は、平面視において、隣り合う支柱本体25同士を結んで閉領域が形成されていればよい。
【0027】
天井ユニット24は、上述した梁26のうち、左右方向で対向する部分同士を架け渡す架け渡し部45を備えている。架け渡し部45は、前後方向に間隔をあけて複数設けられている。すなわち、本実施形態の天井ユニット24は、隣り合う架け渡し部45間の隙間を通じて外部空間と内部空間Sとを上下に連通させている。但し、天井ユニット24は、外部空間と内部空間Sとを完全に仕切ってもよい。また、ブース本体13は、床面F上に床材ユニットを別途設けてもよい。
【0028】
<天板昇降式什器11>
図3は、椅子12が腰掛位置にある状態を示すブース1を左側から見た断面図である。図4は、椅子12が着座位置にある状態を示すブース1を左側から見た断面図である。
図3図4に示すように、天板昇降式什器11は、ブース本体13内の前部に設置されている。天板昇降式什器11は、左右方向に間隔をあけて配置された一対の脚51と、脚51に下方から支持された天板52と、を備えている。
脚51は、脚ブラケット55と、昇降ユニット56と、上部支持体57と、を備えている。各脚51は、各支柱本体25のうち、前方の左右両側に位置する支柱本体25に沿って各別に配置されている。したがって、本実施形態の天板昇降式什器11は、ブース本体13における左右方向の全域に亘って配置されている。但し、天板昇降式什器11における左右方向の幅は、適宜変更が可能である。なお、一対の脚51は、それぞれ同等の構成をなしている。そのため、以下の説明では、ブース本体13の左前部分に配置された脚51を例にして説明する。
【0029】
脚ブラケット55は、ブース本体13内において、左前部分の支柱本体25に沿って上下方向に延在する角筒状に形成されている。脚ブラケット55は、前方に突出する係止爪(不図示)を備えている。係止爪は、前壁を構成するパネルユニット22(前壁ユニット22B)において、縦枠部35に形成された係止孔36内に係止されている。すなわち、天板昇降式什器11は、脚ブラケット55を介してブース本体13に固定されている。但し、天板昇降式什器11は、ブース本体13に連結されていなくてもよい。
【0030】
昇降ユニット56は、上下方向に伸縮可能に構成されている。具体的に、昇降ユニット56は、昇降ユニット56は、平面視外形の異なる複数の角筒を備えている。昇降ユニット56は、上述した角筒のうち、平面視外形の大きい角筒の内側に、平面視外形の小さい角筒が挿入されて構成されている。昇降ユニット56は、駆動機構(不図示)の動作によって各角筒が上下方向に相対移動することで、上下方向に伸縮可能に構成されている。
昇降ユニット56は、下部(最も平面視外形が大きい角筒)が上述した脚ブラケット55内に収容された状態で、アジャスタを介して床面Fに設置されている。
【0031】
上部支持体57は、昇降ユニット56の上端部に接続されている。上部支持体57は、昇降ユニット56から後方に向けて片持ちで延在している。
【0032】
天板52は、各脚51の上端部同士の間を架け渡している。具体的に、天板52の下面には、上部支持体57が接続されている。上部支持体57は、天板52の左右両端部に沿って前後方向に延在している。本実施形態において、昇降ユニット56は、天板52における前後方向の中心よりも前方に位置している。これにより、天板52の下方空間を確保し易くなる。
【0033】
天板52は、上方を向く作業面52aを備えている。作業面52aは、上下方向に直交する平坦面になっている。天板52は、昇降ユニット56の伸縮動作に伴い上下方向に移動可能に構成されている。これにより、天板52の作業面52aが、床面Fと一定角度(本実施形態では0°)をなした状態で高さ変更可能に構成されている。なお、天板52には、例えば配線挿通口や配線ダクト等を設けてもよい。
【0034】
図5は、図1のV-V線に相当する断面図である。
図5に示すように、天板52は、平面視で台形状に形成されている。具体的に、天板52の前端縁は、左右方向に沿って直線状に延在している。天板52の左右両端縁は、それぞれ前後方向に沿って直線状に延在している。なお、天板52の平面視形状は、長方形状や半円形状等、適宜変更が可能である。
【0035】
天板52の後端縁は、直線延在部58と、傾斜部59と、を備えている。
直線延在部58は、天板52の右側縁の後端から左側に向けて直線状に延在している。本実施形態において、直線延在部58は、ブース本体13における前後方向の中心よりも後方に位置している。但し、直線延在部58の前後方向の位置は、中心であっても、中心よりも前方であってもよい。また、直線延在部58における左端は、ブース本体13における左右方向の中心よりも左側に位置している。但し、ブース本体13の左右寸法に対する直線延在部58における左右方向の長さは、適宜変更が可能である。
【0036】
天板52の下面において、直線延在部58寄りに位置する部分には、昇降ユニット56の操作部56aが配設されている。本実施形態において、操作部56aは、天板52の下面における右側に配設されている。
【0037】
傾斜部59は、直線延在部58の左端に連なっている。傾斜部59は、左側(出入口43)に向かうに従い前方に向けて直線状に傾斜している。傾斜部59の左端は、天板52の左側縁に連なっている。したがって、天板52における前後方向の長さは、直線延在部58に対応する位置で一様に形成され、傾斜部59に対応する部分で左側に向かうに従い漸次短くなっている。これにより、後述するように出入口43周辺には什器(例えば、天板昇降式什器11や椅子12等)が設置されない出入スペースS1が形成されるとともに、利用者の手元となる直線延在部58を利用者の近くにすることが出来る。さらに利用者の前方において天板52の幅が広くなる。そのため、ブース1への出入りが容易でありながら使い勝手の良い天板52を得る事が出来る。なお、傾斜部59は、直線延在部58よりも前方に延びる構成であれば、直線状に限らず、円弧状や段差状であってもよい。
【0038】
<椅子12>
図3図4に示すように、椅子12は、天板昇降式什器11と前後方向で対向している。椅子12は、ブース本体13内において、後壁ユニット22Aに沿って配置されている。本実施形態の椅子12は、利用者が着座姿勢(図4参照)及び立位姿勢(図3参照)の双方で使用可能となっている。
【0039】
図6は、ブース本体13に取付機構60が取り付けられた状態を示す斜視図である。
図6に示すように、椅子12は、取付機構60を介してブース本体13に接続されている。取付機構60は、横フレーム61と、背凭れブラケット62と、化粧カバー63と、を備えている。
横フレーム61は、後壁ユニット22Aの下部に後壁ユニット22Aの前方から取り付けられる。横フレーム61は、上下方向に間隔をあけて複数(例えば、2本)取り付けられている。具体的に、本実施形態の横フレーム61は、取付板65と、係止部66と、を備えている。
【0040】
取付板65は、後壁ユニット22Aの前面に沿って左右方向に延在している。取付板65の左右方向における長さは、後壁ユニット22Aと同等になっている。
係止部66は、取付板65における左右方向の両端部から後方に突出している。係止部66は、後壁ユニット22Aを構成する縦枠部35のうち、前方に開口する係止孔36内でそれぞれ係止されている。これにより、横フレーム61は、後壁ユニット22Aを介して支柱本体25に固定されている。なお、横フレーム61は、支柱本体25に直接固定される構成であってもよい。また、横フレーム61は、係止部66を介して係止する構成に限らず、ビス止めや溶接等、適宜変更が可能である。
【0041】
背凭れブラケット62は、後壁ユニット22Aを構成する各縦枠部35のうち、横フレーム61(係止部66)よりも上方に位置する係止孔36内に、それぞれ係止されている。本実施形態では、左右一対の背凭れブラケット62が上下方向に間隔をあけて複数対(例えば、二対)取り付けられている。
【0042】
化粧カバー63は、後壁ユニット22Aの下部左側において、各横フレーム61を前方からまとめて覆っている。化粧カバー63は、前後方向を厚さ方向とする板状に形成されている。化粧カバー63の前面は、前後方向に直交する平坦面に形成されている。本実施形態において、化粧カバー63は、基材を前方から覆うクッション材が外皮に覆われて構成されている。化粧カバー63(基材)は、各横フレーム61に例えば係止等によって取り付けられている。
【0043】
図7は、椅子12を後方から見た斜視図である。
図7に示すように、椅子12は、基部71と、背凭れ72(図1参照)と、座73と、接続機構74と、付勢部材75と、カバー部材76と、を備えている。
【0044】
<基部71>
基部71は、後壁ユニット22A(図1参照)の前方において、化粧カバー63よりも右側に位置する部分で横フレーム61に取り付けられている。すなわち、基部71における左右方向の長さは、横フレーム61の長さ(左右方向で隣り合う支柱本体25間の間隔)よりも短くなっている。基部71は、平面視で前方に開口するC字状に形成されている。具体的に、基部71は、後板81と、側壁部材82と、を備えている。
【0045】
後板81は、前後方向を厚さ方向として、左右方向に延在している。後板81は、後壁ユニット22Aの下部において、各横フレーム61を前方からまとめて覆っている。後板81は、各横フレーム61に例えばビス止め等によって取り付けられている。したがって、基部71は、横フレーム61及び縦枠部35を介して支柱本体25に固定されている。但し、後板81の取付方法は、適宜変更が可能である。
【0046】
図3図4に示すように、側壁部材82は、ブロック状に形成されている。側壁部材82は、後板81における左右方向の両端部から前方に突出している。後板81の下面は、アジャスタを介して床面Fに接地している。側壁部材82の上面は、前方に向かうに従い下方に延びる傾斜面82aになっている。本実施形態において、側壁部材82の上面全体が傾斜面82aになっている。但し、側壁部材82の上面は、座73と干渉しない構成であれば、湾曲面や段差状であってもよく、上下方向に直交する平坦面でもよい。
【0047】
<背凭れ72>
図1図3に示すように、背凭れ72は、後壁ユニット22Aのうち、基部71よりも上方に位置する部分に前方から取り付けられている。背凭れ72は、前後方向を厚さ方向とする板状であり、基部71に比べて左右方向に長くなっている。
【0048】
背凭れ72は、上述した背凭れブラケット62にビス止め等によって固定されている。これにより、背凭れ72は、後壁ユニット22Aの縦枠部35を介して支柱本体25間に架け渡されている。一方、背凭れ72の下端における左側(出入口43側)は、化粧カバー63の上端に連なっている。本実施形態において、背凭れ72の前面は、化粧カバー63の前面と面一に配置されている。背凭れ72の下端における右側は、基部71(後板81)の上端に連なっている。なお、背凭れ72は、上述した化粧カバー63と同様の材質により形成されている。また、背凭れ72は、基部71の上方のみに位置する構成であってもよい。
【0049】
<座73>
座73は、接続機構74を介して基部71に接続されている。図3図4に示すように、座73は、座面73aが上方を向く着座位置(図4参照:第1位置)と、座面73aが前方を向く起立位置(図3中鎖線参照:第2位置)と、の間を移動可能に構成されている。以下の説明では、特に記載がない限り、座73が着座位置にある状態を例にして説明する。また、座73は、着座位置において、前側を第1側といい、後側を第2側という場合がある。
【0050】
図8は、図5のVIII-VIII線に対応する着座位置の椅子12を示す断面図である。
図8に示すように、座73は、左右方向における長さが基部71と同等で、かつ側面視で三角形状に外観が形成されている。座73は、合板等からなる骨格部材がクッション材や張材に覆われた構成である。具体的に、座73は、前後方向の中心に対して前寄りの部分(以下、最厚部90という。)が最も厚く、最厚部90から前後方向の両側に向かうに従い漸次薄くなっている。座73は、主部91と、側方部94と、を備えている。
【0051】
主部91は、上下方向を厚さ方向として左右方向に延びる板状に形成されている。主部91の上面は、上述した座面73aを構成している。本実施形態において、座面73aは、上下方向に直交する面内に沿って形成された平坦面になっている。主部91の第1側端面91aは、下方に向かうに従い後方(前後方向の第2側)に延在している。一方、主部91の第2側端面91bは、下方に向かうに従い後方に延在している。
【0052】
図5に示す平面視において、主部91の前端縁は、左右方向に直線状に延在している。したがって、主部91の前端縁は、天板52の直線延在部58と平行に延在している。図示の例において、座73における左右方向の長さは、天板52の直線延在部58よりも僅かに短くなっている。但し、基部71、座73及び天板52の長さは、適宜変更が可能である。基部71及び座73における左右方向の長さを、直線延在部58の長さ以下に設定することで、ブース本体13の内部空間Sにおいて、出入口43周辺には什器が設置されない出入スペースS1が形成される。出入スペースS1は、ブース本体13の出入りや、荷物置き等に利用できる。
【0053】
座73(主部91)における前後方向の長さは、側壁部材82の半分以下に設定されている。本実施形態において、側壁部材82の前端面は、主部91における前後方向の中心よりも後方に位置している。また、主部91の前端部は、天板52の後端部と平面視で重なり合っている。すなわち、主部91の前端縁は、天板52の後端縁よりも前方に位置している。但し、主部91の前端縁は、天板52の後端縁と同じ位置、又は後方に位置していてもよい。
【0054】
図8に示すように、側方部94は、主部91における左右方向の両端部に、それぞれ前後方向の全長に亘って設けられている。側方部94の外側面は、側壁部材82の外側面と面一(平面視で重なり合う位置)に配置されている。主部91の下方において、側方部94で囲まれた空間は、下方及び前後方向の両側に向けて開口する凹部98を構成している。
【0055】
側方部94は、第1側逃げ部95及び第2側逃げ部96が形成されることで、側面視において下方に向かうに従い前後方向の長さが先細る三角形状に形成されている。
第1側逃げ部95は、側方部94のうち、前端縁から最厚部90に至る部分が前方かつ下方に開口して形成されている。第1側逃げ部95の縁部95aは、下方に向かうに従い後方に向けて傾斜している。
第2側逃げ部96は、側方部94のうち、後端縁から最厚部90に至る部分が後方かつ下方に開口して形成されている。第2側逃げ部96の縁部96aは、下方に向かうに従い前方に向けて傾斜している。本実施形態において、座面73aと縁部95aとのなす角度は、座面73aと縁部96aとのなす角度よりも大きくなっている。
【0056】
座73の側方部94は、側壁部材82に対向している。着座位置において、座73の縁部96aは、側壁部材82の傾斜面82aに倣って延在している。図示の例において、縁部96aと傾斜面82aは、平行に配置されている。
【0057】
図9は、主部91の断面図である。以下、主部91の内部構造について説明する。
図9に示すように、上述した主部91の骨格部材200は、基板201と、膨出部202と、を備えている。基板201は、上下方向を厚さ方向としている。膨出部202は、基板201の第2側端部(後端部)において、上方に向けて膨出している。具体的に、膨出部202は、側面視において、上方に向かうに従い漸次先細る台形状に形成されている。膨出部202は、基板201における左右方向の全長に亘って形成されている。膨出部202の第2側端面は、基板201の第2側端面と面一に配置されている。
【0058】
主部91のクッション材210は、骨格部材200を上方及び前後両側から少なくとも覆っている。クッション材210の上面は、全体に亘って平滑面に形成されている。したがって、クッション材210のうち、膨出部202を覆う部分は、膨出部202以外を覆う部分に比べて薄肉になっている。また、図示の例において、クッション材210のうち、基板201の第1側端面から第1側(前方)に張り出す最大張り出し量A1は、基板201の第2側端面から第2側(後方)に張り出す最大張り出し量A2に比べて大きくなっている。
主部91の張材220は、クッション材210を覆っている。張材220の外周縁は、凹部98内に巻き込まれた後、凹部98の内面にタッカー等によって留められている。
【0059】
図10は、図5のVIII-VIII線に対応する起立位置の椅子12を示す断面図である。
図10に示すように、起立位置において、側方部94の縁部95aは、側方部94の傾斜面82aに倣って延在している。図示の例において、縁部95aと傾斜面82aは、平行に配置されている。なお、座73は、着座位置及び起立位置の何れかにおいて、側壁部材82に下方から支持(当接)されていてもよい。
【0060】
図3に示す起立位置において、背凭れ72から座面73aの第1側端部の下端縁までの前後方向の距離D1は、側壁部材82の上端部において背凭れ72から側壁部材82の前端縁までの前後方向の距離D2と同等になっている。この構成によれば、起立位置において、座73の第1側端部と側壁部材82の上端部とが前後方向で同等の位置に配置される。そのため、椅子12に対して左右方向から進入又は退避する際に利用者が座73や基部71に引っ掛かるのを抑制できる。なお、距離D1,D2の関係は、適宜変更が可能である。
【0061】
<接続機構74>
図8図10に示すように、接続機構74は、リンク機構120と、連結部121と、第1ストッパ122と、第2ストッパ123と、を備えている。リンク機構120は、基部71の内側に左右一対で設けられている。以下の説明では、一方のリンク機構120を例にして説明する。
リンク機構120は、スライダ124と、固定リンク125と、第1回動リンク126と、第2回動リンク127と、第3回動リンク128と、を備えている。
【0062】
図2図8に示すように、スライダ124は、側壁部材82の内側面(左右方向の内側を向く面)に、上下動可能に支持されている。具体的に、側壁部材82の内側面には、ガイド130が設けられている。ガイド130は、上下方向に沿って延びる板状に形成されている。図2に示すように、ガイド130は、左右方向の内側に向けて突出するレール131を備えている。レール131は、平面視L字状の一対の突条が上下方向に延在した構成である。レール131の内側は、平面視で蟻溝状に形成されている。
【0063】
スライダ124は、スライドプレート135と、ローラ136と、を備えている。
スライドプレート135は、左右方向を厚さ方向とする板状に形成されている。スライドプレート135は、ガイド130に対して左右方向の内側に、ガイド130に沿って上下方向に配置されている。
ローラ136は、スライドプレート135から左右方向の外側に突出している。ローラ136は、左右方向に沿う軸線回りに回転可能にスライドプレート135に支持されている。ローラ136は、レール131の内側に収容されている。スライダ124は、ローラ136の外周面とレール131の内側面との接触により、ローラ136が回転しながら上下動する。なお、スライダ124は、ガイド130によって上下動可能に支持されていればよく、レール131とローラ136の組み合わせに限らず、例えば突起と溝等の組み合わせであってもよい。
【0064】
図8に示すように、固定リンク125は、主部91の下面に固定されている。固定リンク125は、前後方向に延在している。
第1回動リンク126は、固定リンク125と後板81との間を接続している。具体的に、第1回動リンク126の一端部は、固定リンク125の前部に左右方向に延びる第1ピン140を介して回動可能に連結されている。第1回動リンク126の他端部は、後板81に設けられたリンクステー139に、左右方向に延びる第2ピン141を介して回動可能に連結されている。
【0065】
第2回動リンク127は、固定リンク125とスライダ124との間を接続している。第2回動リンク127は、第1回動リンク126よりも短くなっている。第2回動リンク127の一端部は、固定リンク125の後部に左右方向に延びる第3ピン142を介して回動可能に連結されている。第2回動リンク127の他端部は、スライドプレート135の上端部に左右方向に延びる第4ピン143を介して回動可能に連結されている。なお、本実施形態において、第4ピン143は、第2ピン141よりも上方かつ後方に位置している。
【0066】
第3回動リンク128は、第1回動リンク126とスライダ124とを接続している。第3回動リンク128の一端部は、第1回動リンク126の他端部寄りに位置する部分に、左右方向に延びる第5ピン144を介して回動可能に連結されている。第3回動リンク128の他端部は、上述した第2回動リンク127とともに第4ピン143を介してスライドプレート135に回動可能に連結されている。但し、第3回動リンク128は、スライダ124に回動可能に連結されていれば、第2回動リンク127と同軸に連結されている必要はない。
【0067】
図7に示すように、連結部121は、リンク機構120の後方で後板81に沿って左右方向に延在している。連結部121は、一対のリンク機構120において、スライダ124(スライドプレート135)の上端部同士の間を架け渡している。
【0068】
座73が図8に示す着座位置にあるとき、第1回動リンク126及び第2回動リンク127は前斜め上方を向き、第3回動リンク128は後斜め上方を向いている。
【0069】
図11は、座73の動作説明図である。
図11に示すように、座73が着座位置から起立位置に移行する際、リンク機構120は、各回動リンク126~128がピン140~144回りに回動するのに伴い、スライダ124が上方に移動する。これにより、座73は、第2側端部が上方に移動しながら、第1側端部が後方に移動することで、図9に示すように座面73aが前方を向く起立位置となる。この状態において、各回動リンク126~128は左右方向から見て一部が重なり合った状態で上下方向に沿って延びている。また、スライダ124の上端部はガイド130から突出している。起立位置において、第1回動リンク126は、上下方向に対して前方に僅かに傾いている。一方、起立位置において、第2回動リンク127は、上下方向に対して前方に僅かに傾いている。
【0070】
第1ストッパ122は、後板81から前方に突出している。第1ストッパ122は、第1回動リンク126の後方移動を規制する。具体的に、第1ストッパ122には、座73が図9に示す起立位置にあるとき、第1回動リンク126が前方から近接する。なお、第1回動リンク126は、座73が起立位置にあるとき、第1ストッパ122に前方から当接していてもよい。
【0071】
図8に示すように、第2ストッパ123は、後板81のうち第1ストッパ122に対して左右方向の内側に位置する部分に設けられている。第2ストッパ123は、側面視でクランク状に形成されている。第2ストッパ123は、下端部が後板81に固定されることで、上端部が後板81から離間した状態で配置されている。第2ストッパ123は、座73が着座位置にあるとき、第2ストッパ123の上端部と後板81との間の隙間に連結部121が上方から進入する。これにより、連結部121は、第2ストッパ123の上端部により前方への移動が規制され、第2ストッパ123のうち上端部と下端部とを接続する接続部により下方への移動が規制される。なお、第2ストッパ123は、連結部121の下方移動と前方移動を別々の部材により規制してもよい。
【0072】
付勢部材75は、座73を起立位置に向けて付勢している。付勢部材75は、例えばガススプリングである。付勢部材75の下端部(ピストンロッド)は、左右方向に沿う軸線回りに回動可能に後板81に連結されている。一方、付勢部材75の上端部(シリンダ)は、左右方向に沿う軸線回りに回動可能に主部91の下面に連結されている。具体的に、付勢部材75の上端部は、座73が着座位置にあるとき、第1ピン140よりも後方で連結されている。図示の例において、付勢部材75の上端部は、前後方向における第1ピン140及び第2ピン141同士の間で主部91に連結されている。なお、付勢部材75は、ガススプリングに限らず、トーションスプリング等、適宜変更が可能である。また、付勢部材75は、必須の構成ではない。
【0073】
図3図4図7に示すように、接続機構74及び付勢部材75は、着座位置及び起立位置の双方において、少なくとも一部が基部71の側壁部材82及び座73の側方部94に左右方向の両側から取り囲まれている。具体的に、接続機構74及び付勢部材75の下部は、一対の側壁部材82の内側に収容されている。一方、接続機構74及び付勢部材75の上部は、一対の側方部94の内側(凹部98内)に収容されている。これにより、接続機構74及び付勢部材75は、少なくとも一部が側面視で視認不能になっている。
【0074】
<カバー部材76>
図7図9に示すように、カバー部材76は、非伸縮部160と、伸縮部161と、を備えている。
非伸縮部160は、例えば金属等からなる板材である。非伸縮部160は、リンク機構120における一対の第1回動リンク126同士の間を架け渡している。非伸縮部160は、第1回動リンク126の凡そ全長に亘って延在し、接続機構74及び付勢部材75を前方から覆っている。
【0075】
図7に示すように、伸縮部161は、例えば織布等により帯状に形成されたものである。伸縮部161は、縦方向及び横方向に伸縮性を有している。伸縮部161は、座73が起立位置にある状態で、接続機構74の後方に位置する部分に接合部165を備えている。接合部165は、伸縮部161のうち、帯状体の両端部同士が面ファスナー等によって接合された部位である。本実施形態において、接合部165は、座73が起立位置にある状態で、伸縮部161における上下方向の全長に亘って延在している。これにより、伸縮部161は、基部71と座73との間において、接続機構74及び付勢部材75の周囲を取り囲む筒状に形成されている。
【0076】
伸縮部161の上端縁のうち、リンク機構120に対して後方及び左右両側に位置する部分は、主部91の下面に例えば面ファスナー等によって接合されている。伸縮部161の下端縁のうち、リンク機構120に対して後方及び左右両側に位置する部分は、後板81の前面に例えば面ファスナー等によって接合されている。
一方、伸縮部161のうち、リンク機構120の前方に位置する部分は、上述した非伸縮部160とともに第1回動リンク126に固定されている。但し、カバー部材76の固定方法は、適宜変更が可能である。
【0077】
[ブース1の使用方法]
次に、上述したブース1の使用方法について説明する。以下の説明では、起立位置での使用方法及び着座位置での使用方法を主に説明する。なお、以下の説明では、座73が付勢部材75の付勢力によって起立位置にあり、天板52が座73の起立位置で使用する高さに設定されている状態を初期状態として説明する。
図1に示すように、まず引き戸42を開位置に移動させ、出入口43を通じてブース本体13内に進入する。その後、天板昇降式什器11と椅子12との間に進入し、天板昇降式什器11に向かい合う。
【0078】
図3に示すように、座73が起立位置にあるとき、座面73aが前斜め上方を向いた状態で、第1側端部が下方に位置し、第2側端部が上方に位置している。この状態で、利用者が座73に凭れかかると、臀部が座73の第2側端部に支持される(腰掛位置)。これにより、利用者は、立位姿勢の状態で座73に腰掛け、天板昇降式什器11に向かって作業を行うことができる。
【0079】
図12は、図5のVIII-VIII線に対応する腰掛位置の椅子12を示す断面図である。
図12に示すように、起立位置の座73に利用者が腰掛けると、利用者の荷重が座73に対して後斜め下方に向けて作用する。すると、各回動リンク126~128がピン140~144回りに回動する。これにより、座73は、起立位置に対して後方に傾いた腰掛位置となる。腰掛位置において、座73は、第2側端部が背凭れ72に当接すること、又は第1回動リンク126が第1ストッパ122に当接することで、後方への移動が規制される。また、腰掛位置において、第1回動リンク126は、床面Fに垂直又は後方に僅かに傾く。よって、座73に対して下方に向けて荷重が作用したとしても、第1回動リンク126が前方に回動し難くなる。その結果、座73が腰掛位置から起立位置を経て着座位置に不意に移動するのを抑制できる。
【0080】
続いて、座73を着座位置で使用する場合には、図10に示す起立位置の座73に対し第2側端部を下方に向けて押し込む。すると、図11に示すように、回動リンク126~128が各ピン140~144回りに回動するとともに、スライダ124が下方に移動する。これにより、座73は、付勢部材75の付勢力に抗しながら、着座位置に向けて移動する。具体的に、座73は、第2側端部が下方にスライドしつつ、第1側端部が前方にスライドすることで、背凭れ72の前面及び側壁部材82の傾斜面82aに沿って着座位置に向けて移動する。
【0081】
座73が着座位置になることで、座面73aが上方を向く。これにより、図4に示すように、利用者は、臀部から大腿部に至る部分が座面73aに支持された状態で、座73に着座することができる。
【0082】
また、利用者は、操作部56aを操作することで、着座姿勢に合わせて天板52の高さを設定できる。具体的には、操作部56aを操作すると、昇降ユニット56が縮むことで、天板52が下降する。これにより、利用者は、座73に着座した状態で、天板52での作業を行うことができる。
【0083】
なお、座73が着座位置にある状態で、利用者が起立すると、座73は付勢部材75の付勢力によって起立位置に復帰する。すなわち、各回動リンク126~128がピン140~143回りに回動するのに伴い、スライダ124が上方に移動することで、座73は第2側端部が上方に移動しながら、第1側端部が後方に移動する。これにより、座73は、天板52の後端縁を回避しながら起立し、座面73aが前方を向く起立位置となる。
【0084】
このように、本実施形態では、座面73aが上方を向く着座位置、及び座面73aが前方を向く起立位置間を移動可能な座73を備えている構成とした。
この構成によれば、座73が起立位置にあるとき座面73aが前方を向くので、利用者が立位姿勢で腰掛けた状態であっても、利用者に与える底付き感を軽減できる。そのため、着座位置及び起立位置の双方において、利用者が座73に快適に腰掛けることができる。
しかも、本実施形態では、後方かつ下方に開口する第2側逃げ部96が形成されているため、着座位置及び起立位置間の移動時に座73と基部71との干渉を抑えた上で、座73の厚さを確保し易くなる。この場合、クッション材210の厚さを確保し易くなり、利用者がより快適に座73に腰掛けることができる。
【0085】
本実施形態では、座73が着座位置にある状態で、第2側逃げ部96の縁部96aは、後方から前方に向けて漸次下方に傾斜している構成とした。
この構成によれば、縁部96aが直線状に形成されるので、座73の美感や加工性の向上を図ることができる。また、第2側逃げ部96に応力集中が生じにくいので、座73の強度も確保し易くなる。
【0086】
本実施形態では、接続機構74の上端部は、一対の側方部94の内側に収容され、接続機構74の下端部は、一対の側壁部材82の内側に収容されている構成とした。
この構成によれば、接続機構74の上下両端部を側方部94又は側壁部材82によって隠すことができるので、椅子12の美感を向上させることができる。
【0087】
本実施形態では、着座位置において、第2側逃げ部96の縁部96aは、側壁部材82の上端縁に倣って形成され、起立位置において、第1側逃げ部95の縁部95aは、側壁部材82の上端縁に倣って形成されている構成とした。
本態様によれば、着座位置及び起立位置において、座73と側壁部材82との間の間隔が全体に亘って一様に形成されるので、椅子12の美感を向上させることができる。
【0088】
本実施形態では、側方部94の外側面は、側壁部材82の外側面と面一に配置されている構成とした。
この構成によれば、座73と基部71の外側面が面一に配置されるので、椅子12の美感を向上させることができる。
【0089】
本実施形態では、クッション材210のうち、膨出部202を覆う部分が膨出部202以外を覆う部分に比べて薄肉になっている構成とした。
この構成によれば、起立位置から着座位置に座73を移動させる際に、座73に対して下方への押込み力を効率的に付与することができる。
一方、基板201の第1側端面から第1側(前方)に張り出す最大張り出し量A1は、基板201の第2側端面から第2側(後方)に張り出す最大張り出し量A2に比べて厚肉になっていることで、着座位置において利用者の膝裏周辺に対する負担を軽減できる。また、起立位置において、基部71と座73との間に物品等を挟み込んだ際に、物品等に作用する荷重を緩和することができる。
【0090】
本実施形態のブース1は、上述した椅子12を備えることで、着座位置及び起立位置の双方において、ブース1を快適に利用できる。
【0091】
(その他の変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、ブース本体13内に、椅子12と天板昇降式什器11とが設置された構成について説明したが、この構成に限られない。椅子12は、ブース本体13内に設置されていなくてもよく、天板昇降式什器11との組み合わせで設置されていなくてもよい。また、椅子12は、ソファやソファベッド等であってもよい。
【0092】
上述した実施形態では、接続機構74としてリンク機構120を備える構成について説明したが、この構成に限られない。接続機構は、座73が着座位置及び起立位置を移動可能な構成であれば、リンク機構以外の構成(例えば、スライド溝等)であってもよい。
上述した実施形態では、座73を起立位置に保持する構成として付勢部材75を用いた場合について説明したが、この構成に限られない。起立位置において、後壁ユニット22Aや背凭れ72等に座73を係留する係留部材が設けられていてもよい。また、座73は、第1位置(着座位置)において、少なくとも上方を向く成分を有し、第2位置(起立位置)において、少なくとも前方を向く成分を有していればよい。
【0093】
上述した実施形態では、操作部が天板52の下面における右側に配置した場合について説明したが、この構成に限られない。例えば、天板52の下面のうち、出入口43側(例えば、傾斜部59付近)に操作部を配置してもよい。
上述した実施形態では、基部71が後板81と側壁部材82を備える構成について説明したが、この構成に限られない。基部は、例えばブース本体13の支柱本体25やパネルユニット22等であってもよく、執務空間を構成する壁等であってもよい。
【0094】
上述した実施形態では、第2側逃げ部96の縁部96aが傾斜している構成について説明したが、この構成に限られない。第2側逃げ部96は、側壁部材82との干渉を避ける構成であれば、湾曲状や段差状であってもよい。
上述した実施形態では、座73が側方部94を備え、基部71が側壁部材82を備える構成について説明したが、この構成に限られない。
【0095】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1…ブース
12…椅子
13…ブース本体
71…基部
73…座
73a…座面
74…接続機構
82…側壁部材
94…側方部
96…第2側逃げ部(逃げ部)
210…クッション材
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