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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072201
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/02 20060101AFI20220510BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
A47C7/02 A
A47C7/62 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020181523
(22)【出願日】2020-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】中村 里奈
(72)【発明者】
【氏名】川崎 英二
【テーマコード(参考)】
3B084
【Fターム(参考)】
3B084JA04
(57)【要約】
【課題】背凭れの後側に配置された後方遮蔽パネルの支持構造体に対する支持強度を適切に担保することができ、後方遮蔽パネルの設計の自由度を拡大できる。
【解決手段】床面Fに支持された支持構造体10と、支持構造体10に支持され、座21及び背凭れ22を有する椅子本体20と、椅子本体20を後方から遮蔽する後方遮蔽パネル30と、を備え、支持構造体10は、床面Fに接地する脚体11と、椅子本体20を支持する荷重支持部材12と、脚体11に支持され、荷重支持部材12を支持する第一の被支持部13Aを有する横ビーム13と、後方遮蔽パネル30が取り付けられた支持ブラケット32と、を備え、横ビーム13は、支持ブラケット32を支持する第二の被支持部13Bを有し、第一の被支持部13Aと第二の被支持部13Bとは横ビーム13において異なる位置に設けられた構成の椅子を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に支持された支持構造体と、
該支持構造体に支持され、座及び背凭れを有する荷重支持体と、
該荷重支持体を後方から遮蔽する後方遮蔽パネルと、を備え、
前記支持構造体は、
前記床面に接地する支柱部材と、
前記荷重支持体を支持する荷重支持部材と、
前記支柱部材に支持され、前記荷重支持部材を支持する第一の被支持部を有する中間構造部材と、
前記後方遮蔽パネルが取り付けられた支持ブラケットと、
を備え、
前記中間構造部材は、前記支持ブラケットを支持する第二の被支持部を有し、
前記第一の被支持部と前記第二の被支持部とは前記中間構造部材において異なる位置に設けられている椅子。
【請求項2】
前記中間構造部材は、前記座の幅方向に沿って長手をなす横架部材であり、
前記第一の被支持部と前記第二の被支持部とは、前記横架部材の長手方向に離間した位置に設けられている請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
前記横架部材の上面、および前記支持ブラケットの前記第二の被支持部との支持部位の高さは、前記座の下面より低い位置である請求項2に記載の椅子。
【請求項4】
前記後方遮蔽パネルは、前記床面に接地する接地部を備える請求項1乃至3のいずれか1項に記載の椅子。
【請求項5】
左右に隣り合う前記座同士の間を仕切る中間仕切りパネルを備え、
前記中間仕切りパネルは、前記支持ブラケットに支持されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の椅子。
【請求項6】
前記支持ブラケットは、
前記第二の被支持部から後方に延びるととともに、後端から立ち上がるアーム部と、
前記アーム部の上端に設けられ前記中間仕切りパネルを支持する第一のパネル支持部と、
前記第一のパネル支持部の後端に設けられ前記後方遮蔽パネルを支持する第二のパネル支持部と、を備えている請求項5に記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長椅子として、例えば特許文献1に示されるように、床面に接地され、自立する支持構造体と、この支持構造体に支持され、座及び背凭れを有する荷重支持体と、背凭れの後方に配置された後方遮蔽パネルと、を備えたものが知られている。
特許文献1の椅子は、脚部上に設けられる固定板上に椅子の座部が載置され、この座部は固定板の下方から挿入される座部固定用のボルトによって固定され、座部の後方及び側方に配置されるパネル(後方遮蔽パネル)のパネル固定用ブラケットが前記座部固定用のボルトに共通して固定された構造について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5939763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1で記載される従来の椅子では、座部とパネル固定ブラケットの両方が、共通の固定板に連結される構成となっている。そのため、着座動作によって生じるモーメントが座部とパネル固定ブラケットの固定用ボルトの挿入孔に直接的に作用している。
【0005】
また、特許文献1に記載の椅子では、固定板の範囲内に挿入孔を形成するため、挿入孔の数量や配置が固定板の形状や大きさに影響されてしまう。そのため、パネル自体の支持強度に対応した設計が困難であることから、その点で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、背凭れの後側に配置された後方遮蔽パネルの支持構造体に対する支持強度を適切に担保することができ、後方遮蔽パネルの設計の自由度を拡大できる椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る椅子は、床面に支持された支持構造体と、該支持構造体に支持され、座及び背凭れを有する荷重支持体と、該荷重支持体を後方から遮蔽する後方遮蔽パネルと、を備え、前記支持構造体は、前記床面に接地する支柱部材と、前記荷重支持体を支持する荷重支持部材と、前記支柱部材に支持され、前記荷重支持部材を支持する第一の被支持部を有する中間構造部材と、前記後方遮蔽パネルが取り付けられた支持ブラケットと、を備え、前記中間構造部材は、前記支持ブラケットを支持する第二の被支持部を有し、前記第一の被支持部と前記第二の被支持部とは前記中間構造部材において異なる位置に設けられていることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る椅子によれば、荷重支持部材が中間構造部材の第一の被支持部に支持され、後方遮蔽パネルを取り付ける支持ブラケットが中間構造部材における第一の被支持部とは異なる位置に設けられる第二の被支持部に支持され、荷重支持部材と支持ブラケットとが異なる位置で支持された構造となる。
そして、本発明では、荷重支持部材と支持ブラケットとが支柱部材に直接的に連結された構造ではなく、支柱部材に支持された中間構造部材を介して支持され、かつ荷重支持部材と支持ブラケットとが中間構造部材に対して別部材で構成されているので、着座時の衝撃によって生じるモーメントが支持ブラケットに直接的に作用することを防止できる。
【0009】
また、本発明では、支持ブラケットと中間構造部材との連結部である第二の被支持部の位置を、支柱部材と中間構造部材との連結部の位置から離間させることが容易な構成となる。そのため、支持ブラケットと中間構造部材との連結部の大きさを、後方遮蔽パネルの大きさや背凭れとの離間距離に対応させた支持強度に適宜設定することができる。したがって、後方遮蔽パネルの支持に関する設計の自由度を高めることができる。
【0010】
また、本発明に係る椅子は、前記中間構造部材は、前記座の幅方向に沿って長手をなす横架部材であり、前記第一の被支持部と前記第二の被支持部とは、前記横架部材の長手方向に離間した位置に設けられていることを特徴としてもよい。
【0011】
この場合には、中間構造部材が幅方向に長い長尺の横架部材とすることで、荷重支持部材と支持ブラケットとを横架部材の長手方向に容易に離間させることができる。すなわち、支持ブラケットをその支持ブラケットの大きさに関わらず、荷重支持部材に干渉しない位置に取り付けることができる。
したがって、支持ブラケットを後方遮蔽パネルの支持強度に応じた適切な大きさに設定して横架部材に支持させることができ、横架部材への支持強度が確保し易くなる。
【0012】
また、本発明に係る椅子は、前記横架部材の上面、および前記支持ブラケットの前記第二の被支持部との支持部位の高さは、前記座の下面より低い位置であることを特徴としてもよい。
【0013】
この場合には、横架部材の上面および第二の被支持部との支持部位の高さが座の下面から下方に離間しているので、座の下方の位置に支持ブラケットとの連結部となる第二の被支持部を配置することができる。そのため、第二の被支持部に支持される支持ブラケットの少なくとも一部が座の下方に配置されることとなり、コンパクトな設計が可能となる。
【0014】
また、本発明に係る椅子は、前記後方遮蔽パネルは、前記床面に接地する接地部を備えることを特徴としてもよい。
【0015】
この場合には、後方遮蔽パネルの荷重の一部を接地部を介して床面で負担することができる。そのため、支持ブラケットにおける後方への延出長さを長くした場合であっても、支持ブラケットへの後方遮蔽パネルの荷重の負荷が小さくなる。したがって、後方遮蔽パネルにおける荷重支持体からの距離を大きくすることが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る椅子は、左右に隣り合う前記座同士の間を仕切る中間仕切りパネルを備え、前記中間仕切りパネルは、前記支持ブラケットに支持されていることを特徴としてもよい。
【0017】
本発明では、中間仕切りパネルが後方遮蔽パネル本体に支持されているので、中間仕切りパネルを支持する部材を中間構造部材に設ける必要がない構造となる。そのため、後方遮蔽パネルは中間仕切りパネルの荷重も含めた支持強度で設定された支持ブラケットを中間構造部材に支持させることができる。
【0018】
また、本発明に係る椅子は、前記支持ブラケットは、前記第二の被支持部から後方に延びるととともに、後端から立ち上がるアーム部と、前記アーム部の上端に設けられ前記中間仕切りパネルを支持する第一のパネル支持部と、前記第一のパネル支持部の後端に設けられ前記後方遮蔽パネルを支持する第二のパネル支持部と、を備えていることを特徴としてもよい。
【0019】
本発明では、中間仕切りパネルを支持ブラケットの第一のパネル支持部で支持することができる。そのため、中間仕切りパネルの荷重は、直接的に中間構造部材に支持されることがなく、後方遮蔽パネルと支持ブラケットを介して中間構造部材で分担される構造となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の椅子によれば、背凭れの後側に配置された後方遮蔽パネルの支持構造体に対する支持強度を適切に担保することができ、後方遮蔽パネルの設計の自由度を拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態による椅子を斜め前方から見た斜視図である。
図2】椅子の正面図である。
図3】椅子の側面図である。
図4図1に示す椅子の組み立て途中の斜視図である。
図5】後方遮蔽パネルを横ビームに支持するための支持ブラケットの組み立て斜視図である。
図6】後方遮蔽パネルの組み立て途中の斜視図である。
図7図6に続く組み立て途中の斜視図である。
図8】変形例による椅子の正面図である。
図9図8に示す椅子を上方から見た平面図である。
図10】横ビームと支持ブラケットとの支持部を左右方向から見た一部破断した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態による什器について、図面に基づいて説明する。
【0023】
図1乃至図4に示す本実施形態による椅子1は、例えば病院、公共施設、オフィスの待合室等において、建物の床面F(設置面)に左右方向Xに複数配列した状態で設置されて使用されるものである。
【0024】
ここで、以下の説明における前後、左右及び上下の向きは、椅子1の座体上で背凭れに背を向けて着座した着座者を基準とする。すなわち、着座者が正面を向く方向を前側とし、前側の反対側を後側とする。また、着座者の左右となる方向を左右方向X(幅方向)とし、椅子1の奥行方向を前後方向Zとし、着座者の上下となる方向を上下方向Yとする。
【0025】
本実施形態の椅子1は、左右方向Xに複数(図では二つ)の座体が並び、これらが一体的に連結された連結椅子として構成されている。
椅子1は、床面Fに接地されて自立する支持構造体10と、この支持構造体10に支持された椅子本体20(荷重支持体)と、椅子本体20の後方から遮蔽する後方遮蔽パネル30と、を備えている。
【0026】
図3及び図4に示すように、支持構造体10は、床面Fに接地する接地部材111を有する脚体11(支柱部材)と、椅子本体20を支持する荷重支持部材12と、脚体11に支持され、荷重支持部材12を支持する第一の被支持部13Aを有する横ビーム13(中間構造部材)と、を備えている。
【0027】
脚体11は、横ビーム13の左右両端の下面から斜め前方及び後方に延出して下端部に接地部材111が接続されている。脚体11は、上端部が横ビーム13に取り付けられる基部112と、基部112から前後に分岐して延びる前部脚113及び後部脚114を備えている。前部脚113と後部脚114の下端には、接地部材111が取り付けられている。脚体11の基部112の上面側には、上方側に開口する嵌合凹部(図示省略)が形成され、その嵌合凹部が横ビーム13の下半部に嵌合されている。脚体11の基部112は、その状態で下方側に開口する略コ字状の嵌合金具(図示省略)が横ビーム13の上半部に嵌合されて嵌合凹部と嵌合金具とによって横ビーム13が挟み込まれ、双方がボルト締結されることにより、脚体11が横ビーム13に固定されている。
【0028】
図1及び図2に示すように、横ビーム13は、断面矩形状で左右方向Xに長手をなすように延在する横架部材である。横ビーム13には、複数(2つ)の椅子本体20が支持されて固定されている。横ビーム13は、2つの椅子本体20、着座者、及び後方遮蔽パネル30の荷重を支える関係上、剛性の高い金属材料によって形成されている。
【0029】
荷重支持部材12と、後述する後方遮蔽パネル30を支持する支持ブラケット32とは、それぞれ横ビーム13の長手方向(左右方向X)に離間した位置で支持されている。
【0030】
図4及び図5に示すように、横ビーム13の上面13a、および支持ブラケット32の第二の被支持部13Bとの支持部位32aの高さは、座21の下面21a(図2及び図3参照)より低い位置となっている。
【0031】
図2及び図3に示すように、椅子本体20は、上面を着座面21bとする座21と、前面を背当面22aとする背凭れ22と、を備えている。横ビーム13に取り付けられる2つの椅子本体20、20は、いずれも同一構造とされている。
また、図1及び図2に示すように、椅子本体20の側部には、横ビーム13に支持される補助テーブル23が配置されている。
【0032】
座21は、背凭れ22と一体に構成されている。座21の下面21aには、横ビーム13に取り付けるための前記荷重支持部材12がボルト締結により固定されている。
図1及び図4に示すように、荷重支持部材12には、下方側に開口する嵌合凹部12aが形成されている。座21は、荷重支持部材12の嵌合凹部12aが横ビーム13の上半部に嵌合されてボルト締結されることにより、横ビーム13に固定されている。
背凭れ22は、座21の後側に一体で設けられ、着座者の背凭れ時の荷重を支持する構成となっている。
【0033】
補助テーブル23は、着座者が使用可能な位置で、座21の左右方向Xの一方に隣接するように配置されている。図2及び図4に示すように、補助テーブル23の下面23aには、横ビーム13に取り付けるための支持金具25がボルト締結により固定されている。支持金具25には、下方側に開口する嵌合凹部25aが形成されている。補助テーブル23は、支持金具25の嵌合凹部25aが横ビーム13の上半部に嵌合されてボルト締結されることにより、横ビーム13に固定されている。
【0034】
図1及び図2に示すように、後方遮蔽パネル30は、背凭れ22の後方に配置され、2つの椅子本体20における着座面21bおよび背当面22aの左右方向Xに延びる広幅をなしている。さらに、本実施形態の椅子1は、後方遮蔽パネル30の左右方向Xの両端部から前方に張り出して設けられる一対のサイドパネル35、35と、左右に隣り合う座21、21同士の間に設けられ座21を仕切る中間仕切りパネル36と、を有している。
【0035】
後方遮蔽パネル30、サイドパネル35、および中間仕切りパネル36は、それぞれ平板状に形成され、例えば木製(ベニヤ板や木質材料を含む)又は樹脂製の化粧板からなる。上方から見た平面視で、後方遮蔽パネル30と一対のサイドパネル35、35とによってコ字形状に形成されている。
【0036】
後方遮蔽パネル30は、横ビーム13における荷重支持部材12が支持された第一の被支持部13Aと異なる第二の被支持部13Bに支持される支持ブラケット32に取り付けられている。後方遮蔽パネル30には、床面Fに接地する接地脚部33(接地部)が設けられている。
【0037】
後方遮蔽パネル30は、前後方向Zに直交する鉛直面に沿う木製の平板状をなし、前方から見た正面視で左右方向Xに長い長方形状に設けられる。後方遮蔽パネル30は、左右一対の脚体11、11間の空間を椅子1の前後方向Zを遮蔽するように横ビーム13に対して1つの支持ブラケット32を介してボルト締結により固定されている。
【0038】
図4及び図6に示すように、接地脚部33は、後方遮蔽パネル30の前面30aにおいて左右方向Xに間隔をあけて2箇所に設けられている。
【0039】
左右一対のサイドパネル35、35は、左右方向Xに間隔を空けて対向して配置され、2つの座21に着座する着座者の左右両側を覆うように設けられている。サイドパネル35は、図6及び図7に示すように、サイドパネル35の後端部35aを後方遮蔽パネル30の前面30aに対して前方から突き当ててコーナー金具351によって固定されている。サイドパネル35は、前端上部において上方から下方に向かうに従って漸次前方に突出する傾斜面35bを有している。一対のサイドパネル35は、それぞれの下部が支持ブラケット352によって横ビーム13の左右両端部に支持されている。
【0040】
図7に示すように、中間仕切りパネル36は、上面視で後方遮蔽パネル30の前面30aに対して垂直に突設されている。中間仕切りパネル36は、座21の前方の位置まで延ばされ、着座する隣り合う人が中間仕切りパネル36によって遮蔽されるように配置されている(図1参照)。
【0041】
図1に示すように、中間仕切りパネル36の後端部36aの上部は、後方遮蔽パネル30の前面30aに結合金具361によってねじ362によって固定されている。また、中間仕切り36の後端部36aの下部は、横ビーム13に支持された支持ブラケット32にボルト締結により固定されている。すなわち、中間仕切りパネル36は、支持ブラケット32を介して横ビーム13に支持された構造であり、横ビーム13に対して直接的に支持されない構成になっている。中間仕切りパネル36は、前端上部において上方から下方に向かうに従って漸次前方に突出する傾斜面36bを有している。
【0042】
図5に示すように、後方遮蔽パネル30の前面30aの左右方向Xの中央下部には、支持ブラケット32を取り付けるための取付金具320が、取付金具320に形成された挿通孔から挿入されるボルトによって連結されている。取付金具320の上面320aには、支持ブラケット32の後端部(後述する第二のパネル支持部324)が溶接により固定される。これにより支持ブラケット32は、後方遮蔽パネル30の前面30aに対して前方に張り出すようにして支持される。
【0043】
図5に示すように、支持ブラケット32が支持される横ビーム13の位置(第二の被支持部13B)は、座21同士の境界部分であって、本実施形態では横ビーム13の長さ方向の中央部となっている。
【0044】
支持ブラケット32は、横ビーム13の第二の被支持部13Bに支持される前方支持部321と、前方支持部321から後方に延びるととともに後端から立ち上がるアーム部322と、アーム部322の上端322aに設けられ中間仕切りパネル36を支持する第一のパネル支持部323と、第一のパネル支持部323の後端に設けられ後方遮蔽パネル30を支持する第二のパネル支持部324と、を備えている。
【0045】
前方支持部321は、アーム部322に固定され、下側に開口する嵌合凹部を形成した上嵌合支持部321Aと、上側に開口する略コ字状の下嵌合支持部321Bと、を有している。前方支持部321は、上嵌合支持部321Aが横ビーム13の上半部に嵌合されて、横ビーム13の下半部に下嵌合支持部321Bが嵌合されることで、両嵌合支持部321A、321Bによって横ビーム13を上下方向Yに挟み込む。支持ブラケット32は、上嵌合支持部321Aと下嵌合支持部321Bとがボルト締結されることにより横ビーム13を上下方向Yに挟持した状態で支持されている。
【0046】
具体的には、図5に示すように、ボルトの締結力によって、上嵌合支持部321Aと下嵌合支持部321Bとが互いに引き寄せられる。そして、下側に開口する上嵌合支持部321Aの凹底面321aが横ビーム13の上面13aに、上側に開口する略コ字状の下嵌合支持部321Bの凹底面321bが横ビーム13の下面13bに当接する。このときの摩擦抵抗によって、前方支持部321は、横ビーム13に対する左右方向Xへの変位が抑制される。このように、横ビーム13の上面13aに対しても、支持ブラケット32を介して入力される後方遮蔽パネル30の荷重を支持させることができるので、椅子本体20および補助テーブル23の下方の空間も有効に利用することができる。
【0047】
アーム部322は、断面円形のパイプ部材からなり、前方支持部321から後方に水平に延び、後方遮蔽パネル30寄りの後端位置で上方に向け略垂直に立ち上がった形状をなしている。
【0048】
第一のパネル支持部323は、板面323Aを鉛直方向に向けて配置され、図7に示すように中間仕切りパネル36の下部を挟持板325との間で挟持してボルト締結により固定している。
第二のパネル支持部324は、第一のパネル支持部323の後端部に一体に設けられ、後方遮蔽パネル30の前面30aに固定された取付金具320の上面320aに当接して溶接によって固定されている。
【0049】
次に、上述した椅子1の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態による椅子1では、図1乃至図3に示すように、荷重支持部材12が横ビーム13の第一の被支持部13Aに支持され、後方遮蔽パネル30を取り付ける支持ブラケット32が横ビーム13における第一の被支持部13Aとは異なる位置に設けられる第二の被支持部13Bに支持され、荷重支持部材12と支持ブラケット32とが異なる位置で支持された構造となる。
【0050】
そして、本実施形態では、荷重支持部材12と支持ブラケット32とが脚体11に直接的に連結された構造ではなく、脚体11に支持された横ビーム13を介して支持され、かつ荷重支持部材12と支持ブラケット32とが横ビーム13に対して別部材で構成されているので、着座時の衝撃によって生じるモーメントが支持ブラケットに直接的に作用することを防止できる。
【0051】
また、本実施形態では、支持ブラケットと横ビーム13との連結部である第二の被支持部13Bの位置を、支柱部材と横ビーム13との連結部から離間させ易い構成となる。そのため、支持ブラケットと横ビーム13との連結部の大きさを、後方遮蔽パネル30の大きさや背凭れ22との離間距離に対応させた支持強度に適宜設定することができる。したがって、後方遮蔽パネル30の支持に関する設計の自由度を高めることができる。
【0052】
また、本実施形態による椅子1では、横ビーム13が幅方向に長い長尺の横架部材とすることで、荷重支持部材12と支持ブラケット32とを横ビーム13の長手方向に容易に離間させることができる。すなわち、支持ブラケット32をその支持ブラケット32の大きさに関わらず、荷重支持部材に干渉しない位置に取り付けることができる。
したがって、支持ブラケット32を後方遮蔽パネル30の支持強度に応じた適切な大きさに設定して横架部材に支持させることができ、横ビーム13への支持強度が確保し易くなる。
【0053】
また、本実施形態では、横ビーム13の上面13a、および支持ブラケット32の第二の被支持部13Bとの支持部位32aの高さが座21の下面21aより低い位置であり、横ビーム13の上面13aおよび第二の被支持部13Bとの支持部位32aの高さが座21の下面21aから下方に離間しているので、座21の下方の位置に支持ブラケット32との連結部となる第二の被支持部13Bを配置することができる。そのため、第二の被支持部13Bに支持される支持ブラケット32の少なくとも一部が座21の下方に配置されることとなり、コンパクトな設計が可能となる。
【0054】
また、本実施形態では、後方遮蔽パネル30の荷重の一部を接地脚部33を介して床面Fで負担することができる。そのため、支持ブラケット32における後方への延出長さを長くした場合であっても、支持ブラケット32への後方遮蔽パネル30の荷重の負荷が小さくなる。したがって、後方遮蔽パネル30における椅子本体20からの距離を大きくすることが可能となる。
【0055】
また、本実施形態では、中間仕切りパネル36が後方遮蔽パネル30に支持されているので、中間仕切りパネル36を支持する部材を横ビーム13に設ける必要がない構造となる。そのため、後方遮蔽パネル30は中間仕切りパネル36の荷重も含めた支持強度で設定された支持ブラケット32を横ビーム13に支持させることができる。
【0056】
また、本実施形態では、アーム部322と、第一のパネル支持部323と、第二のパネル支持部324と、を備えた支持ブラケット32を採用しているので、中間仕切りパネル36を支持ブラケット32の第一のパネル支持部323で支持することができる。そのため、中間仕切りパネル36の荷重は、直接的に横ビーム13に支持されることがなく、後方遮蔽パネル30と支持ブラケット32を介して横ビーム13で分担される構造となる。
【0057】
上述のように本実施形態による椅子1では、背凭れ22の後側に配置された後方遮蔽パネル30の支持構造体10に対する支持強度を適切に担保することができ、後方遮蔽パネル30の設計の自由度を拡大できる。
【0058】
以上、本発明による椅子の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0059】
例えば、上記実施形態による椅子1は、椅子本体20(荷重支持体)が2つ設けられた構成であるが、椅子本体20の数量は2つであることに限定されることはない。
例えば、図8及び図9に示す変形例による椅子1Aのように、4つの椅子本体20(荷重支持体)を左右方向Xに配列した椅子1Aであってもよい。変形例の椅子1Aは、上記実施形態で設けられている補助テーブル23(図2参照)が省略され、隣り合う座21同士の間隔が狭くなっている。そして、各座21同士の間には中間仕切りパネル36が配置されている。変形例による椅子1では、横ビーム13(中間構造部材)に固定された3つの支持ブラケット32が左右方向Xに間隔をあけて設けられ、これら3つの支持ブラケット32によって後方遮蔽パネル30が支持されている。各支持ブラケット32が支持される横ビーム13の位置(第二の被支持部13B)は座21同士の境界部分である。
【0060】
また、本実施形態ではサイドパネル35と中間仕切りパネル36と後方遮蔽パネル30に連結した構成となっているが、これらサイドパネル35や中間仕切りパネル36を省略することも可能である。
【0061】
さらに、後方遮蔽パネル30に床面Fに接地する接地脚部33を設けて、後方遮蔽パネル30の荷重の一部を床面Fで負担する構成としているが、この接地脚部33(接地部)を省略することも可能である。この場合は、図10に示すように、支持ブラケット32に対して、後方遮蔽パネル30(図5参照)の自重に起因する後下方へのモーメントが作用するが、前方支持部321の上嵌合支持部321Aの凹底面321aと横ビーム13の上面13aとの当接、および、下嵌合支持部321Bの凹底面321bと横ビーム13の下面13bとの当接とによって、このモーメントを横ビーム13の広い面積を利用して受け止めることが可能である。また、支持ブラケット32の長さや後方遮蔽パネル30の荷重の大きさによっては、横ビーム13の前面13cが、前方支持部321の上嵌合支持部321A、および下嵌合支持部321Bにおける前部の後ろ向き面321c、321dに当接し、後方遮蔽パネル30の自重に起因する後下方へのモーメントを受け止めるようにしてもよい。
また、接地脚部33の数量は、後方遮蔽パネル30の重量や支持ブラケット32の強度などに応じて適宜変更できる。
【0062】
後方遮蔽パネル30の支持ブラケット32の数量、形状、位置等の構成については、上記実施形態に限定されることはなく、座21や横ビーム13(中間構造部材)の形状や位置等に合わせて他の形態を採用してもよい。要は、中間構造部材における支持ブラケットが支持される第二の被支持部13Bが座21を有する椅子本体20(荷重支持体)の荷重支持部材が支持される第一の被支持部13Aと異なる位置となるように設けられていればよいのである。
また、支持ブラケット32の横ビーム13に対して支持するための構造は、前方支持部321における上嵌合支持部321Aが横ビーム13の上半部に嵌合されて、下嵌合支持部321Bが横ビーム13の下半部に嵌合される構造に限られない。前方支持部321を、幅方向の断面視において矩形をなす横ビーム13の隣り合う二面に当接する形状としたうえで、二面のそれぞれに対してボルト締結する構造でもよい。
【0063】
また、本実施形態では、横ビーム13からなる左右方向Xに長く延びた横架部材を中間構造部材としているが、このような横架部材に限定されることはない。例えば、長尺部材でなく平面視矩形状の平板を中間構造部材として用いることも可能である。また、中間構造部材の形状として、上方から見た平面視で湾曲あるいは環状に形成されたものであってもよい。要は、中間構造部材が支柱部材によって床面に支持され、その中間構造部材において第一の被支持部と第二の被支持部とが異なる位置となるように設けられた構成であればよいのである。
【0064】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0065】
1、1A 椅子
10 支持構造体
11 脚体(支柱部材)
12 荷重支持部材
13 横ビーム(中間構造部材、横架部材)
13A 第一の被支持部
13B 第二の被支持部
13a 上面
20 椅子本体(荷重支持体)
21 座
21a 下面
22 背凭れ
23 補助テーブル
24、25 支持金具
30 後方遮蔽パネル
30a 前面
32 支持ブラケット
32a 支持部位
33 接地脚部(接地部)
35 サイドパネル
36 中間仕切りパネル
322 アーム部
323 第一のパネル支持部
324 第二のパネル支持部
X 左右方向
Y 上下方向
Z 前後方向
F 床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10