(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072221
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】底吹き羽口用プラグおよびプラグ用金物
(51)【国際特許分類】
C21C 5/48 20060101AFI20220510BHJP
C21C 7/072 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
C21C5/48 C
C21C7/072 J
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020181550
(22)【出願日】2020-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001971
【氏名又は名称】品川リフラクトリーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】石原 英治
【テーマコード(参考)】
4K013
4K070
【Fターム(参考)】
4K013CA11
4K013CA21
4K070CG01
(57)【要約】
【課題】マルチホールプラグにおいて、水平断面積あたりの金属細管密度を従来技術に比べて向上する。
【解決手段】本発明に係る底吹き羽口用プラグは、複数の細管21と、複数の細管21と流体連通しているガスプールと、ガスプールに対して気体を供給可能な導入管と、を備え、細管21とガスプールとの接合部分に形成される隅肉21aのサイズSは5.0mm以下であることを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の細管と、前記複数の細管と流体連通しているガスプールと、前記ガスプールに対して気体を供給可能な導入管と、を備え、
前記細管と前記ガスプールとの接合部分に形成される隅肉のサイズは5.0mm以下である底吹き羽口用プラグ。
【請求項2】
前記接合部分において、前記複数の細管は、それぞれ独立に前記ガスプールと流体連通しており、
前記接合部分における、隣接する二つの前記細管の表面どうしの最短離間距離は、8.0mm以下である請求項1に記載の底吹き羽口用プラグ。
【請求項3】
前記細管の中心どうしの離間距離の最大値Ls(mm)、前記細管の本数N(本)、および前記導入管の内径Lp(mm)は、式(1)で表されるパラメータQが100以上3000以下になるように選択される請求項1または2に記載の底吹き羽口用プラグ。
【数1】
【請求項4】
前記細管の外径は6.0mm以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の底吹き羽口用プラグ。
【請求項5】
複数の細管と、前記複数の細管と流体連通しているガスプールと、前記ガスプールに対して気体を供給可能な導入管と、を備え、
前記細管と前記ガスプールとの接合部分に形成される隅肉のサイズは5.0mm以下であるプラグ用金物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底吹き羽口用プラグ、および、当該底吹き羽口用プラグに用いることができるプラグ用金物、に関する。
【背景技術】
【0002】
精錬炉などの底部に不活性ガスを吹き込むためのプラグとして、多数の金属細管が耐火物中に埋設された構造を有するマルチホールプラグが汎用される。たとえば、国際公開第2017/060937号(特許文献1)には、プラグ上面の面積に占める開口群部の面積の割合や開口の密度などに特徴のある底吹きプラグが開示されている。また、特許第6640461号公報(特許文献2)には、ガス吹込管存在領域におけるガス吹込管の本数密度の逆数や、ガス吹込管存在領域の外周に位置するガス吹込管とプラグ本体の外縁との最短距離の平均値などに特徴のあるマルチホールプラグが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/060937号
【特許文献2】特許第6640461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マルチホールプラグについて、水平断面積あたりの金属細管密度の向上が指向されている。これは、マルチホールプラグにおける金属細管密度を向上できれば、マルチホールプラグを通じて精錬炉に吹き込む不活性ガスの流量を増すことができ、これによって精錬効率の向上が期待できるためである。たとえば、特許文献2は本数密度の逆数S(mm2/本)を100以下としたマルチホールプラグを開示している。しかし本数密度を高めようとすると金属細管とガスプールとの溶接作業が困難になるとともに、溶接不良によるガスリークが発生する場合があり、従来のマルチホールプラグにおいて金属細管密度の向上は限定的だった。
【0005】
そこで、マルチホールプラグにおいて、水平断面積あたりの金属細管密度を従来技術に比べて向上できる技術の実現が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る底吹き羽口用プラグは、複数の細管と、前記複数の細管と流体連通しているガスプールと、前記ガスプールに対して気体を供給可能な導入管と、を備え、前記細管と前記ガスプールとの接合部分に形成される隅肉のサイズは5.0mm以下であることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るプラグ用金物は、複数の細管と、前記複数の細管と流体連通しているガスプールと、前記ガスプールに対して気体を供給可能な導入管と、を備え、前記細管と前記ガスプールとの接合部分に形成される隅肉のサイズは5.0mm以下であることを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、マルチホールプラグにおいて、細管どうしの間隔を従来技術に比べて狭めることができる。これによって、マルチホールプラグの水平断面積あたりの金属細管密度を高めることができる。
【0009】
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
【0010】
本発明に係る底吹き羽口用プラグは、一態様として、前記接合部分において、前記複数の細管は、それぞれ独立に前記ガスプールと流体連通しており、前記接合部分における、隣接する二つの前記細管の表面どうしの最短離間距離は、8.0mm以下であることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、マルチホールプラグの水平断面積あたりの金属細管密度をさらに高めることができる。
【0012】
本発明に係る底吹き羽口用プラグは、一態様として、前記細管の中心どうしの離間距離の最大値Ls(mm)、前記細管の本数N(本)、および前記導入管の内径Lp(mm)は、式(1)で表されるパラメータQが100以上3000以下になるように選択されることが好ましい。
【数1】
【0013】
この構成によれば、細管における圧力損失が増大しにくい限度において、細管密度を特に高めることができる。
【0014】
本発明に係る底吹き羽口用プラグは、一態様として、前記細管の外径は6.0mm以下であることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、マルチホールプラグの水平断面積あたりの金属細管密度をさらに高めることができる。
【0016】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る底吹き羽口用プラグの縦断面図である。
【
図2】実施形態に係る底吹き羽口用プラグの上面図である。
【
図3】実施形態に係るプラグ用金物の縦断面図である。
【
図4】実施形態に係るプラグ用金物における細管とガスプールとの接合部分を示す縦断面図(
図3中に符号IVで示した部分の拡大図)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る底吹き羽口用プラグおよびプラグ用金物の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、本発明に係る底吹き羽口用プラグを、精錬炉にガスを吹き込むための底吹き羽口用プラグ1に適用した例について説明する。なお、底吹き羽口用プラグ1に含まれるプラグ用金物2は、本発明に係るプラグ用金物の例である。
【0019】
〔底吹き羽口用プラグの構成〕
本実施形態に係る底吹き羽口用プラグ1は、プラグ用金物2が耐火物3に埋設された構造を有する(
図1)。底吹き羽口用プラグ1の上面11には、複数の細管21が開口している(
図2)。導入管23から導入されたガスは、ガスプール22を経て複数の細管21に分配され、やがて底吹き羽口用プラグ1の上面11に設けられた複数の細管21の開口部分から吐出される。このように、底吹き羽口用プラグ1は、複数の細管21を経て上面11側にガスを供給することができるプラグである。なお、以下の説明において上下方向に言及するときは、
図1および
図2に示した姿勢に従って定義される上下方向をいうものとする。すなわち、底吹き羽口用プラグ1(プラグ用金物2)において細管21が設けられている側を上といい、導入管23が設けられている側を下という。
【0020】
底吹き羽口用プラグ1は、概して四角錐台の形状を有する。すなわち、底吹き羽口用プラグ1の水平方向(
図1の誌面に直交する方向)の断面は四角形であり、その断面積は底吹き羽口用プラグ1の下側から上側に向かうにつれて漸減する。
図2では、底吹き羽口用プラグ1の上面11が長方形の形状を有する例を示している。ただし、底吹き羽口用プラグ1が略角錐台形状に形成される場合において、水平方向の断面の形状は四角形であればよく、
図2に例示した長方形のほか、たとえば台形であってもよい。また、四角錐台のほかの角錐台であってもよいし、円錐台であってもよい。さらには細管を有する中心部分と周辺耐火物を一体成形したものでもよいし、細管を有する中心部分を抜き挿しするものであってもよい。
【0021】
〔プラグ用金物の構成〕
プラグ用金物2は、細管21、ガスプール22、および導入管23の各部を有する(
図1~
図3)。プラグ用金物2の各部は金属製であり、細管21とガスプール22との接続、および、ガスプール22と導入管23との接続は、いずれも溶接によりなされている。プラグ用金物2の各部を構成する金属としては、たとえば、JIS G3459に規定される配管用ステンレス鋼鋼管であってもよい。具体的に例示すれば、ステンレス(SUS304、SUS316、SUS316L、SUS310Sなど)を好適に使用できるが、これらに限定されない。なお、細管21、ガスプール22、および導入管23は、すべて同一の金属材料により形成されていてもよいし、部材ごとに異なる金属材料により形成されていてもよい。たとえば、導入管23は、JIS G3454に規定されるSTPGなどの圧力配管用炭素鋼鋼管であってもよいし、SS400などであってもよい。
【0022】
ガスプール22は、円盤状の形状を有する中空の部材である。ガスプール22は、複数の細管21が溶接されている上板22a、導入管23が溶接されている下板22b、および側板22c、によって画定される。側板22cは、下板22bから上板22aに延び、上板22aを超えてさらに上方に延びている。
【0023】
本実施形態において、それぞれの細管21は、外径2.0mm、内径1.0mmの直管である。複数の細管21は、互いに平行に延在するように、ガスプール22(上板22a)に溶接されている。したがって、上板22aにおける細管21の配置は、底吹き羽口用プラグ1の上面11における細管21の配置(
図2)と同様である。本実施形態では、
図2に示すように、複数の細管21が正六角形状の配列で配置されている。一辺あたりの細管21の本数は10本であり、細管21の本数は271本である。なお、細管21の寸法、細管21が配置される形状、および細管21の本数は特に限定されず、底吹き羽口用プラグ1の設計思想に即して適宜選択される。ただし、細管21の外径が6.0mm以下であると、細管密度を高めやすい。
【0024】
ここで、細管21と上板22aとの接合部分の構造および寸法について、
図4を用いてより詳細に説明する。細管21は、上板22aに設けられた貫通孔22dに挿通された上で、上板22aの下部側(ガスプール22の内側)において上板22aと溶接されている。細管21の下端部には、溶接時に形成された隅肉21aが存在し、隅肉のサイズSは5.0mm以下である。それぞれの細管21を上板22aに溶接する際に必ず隅肉21aを設ける必要があることから、隣接する細管21の表面どうしの離間距離Dは隅肉のサイズSの2倍以上になる。したがって、本実施形態では離間距離Dを10mm以下にすることができる。このように、本実施形態では、隅肉のサイズSを比較的小さな値(5.0mm以下)にすることによって、従来の底吹き羽口用プラグに用いられている金物に比べて細管どうしの離間距離を小さくすることに成功しており、これによって細管密度を従来の底吹き羽口用プラグより高くすることができる。
【0025】
なお、隣接する細管21の中心どうしの離間距離であるピッチPは、離間距離Dに細管21の外径を加えた値として得られる。本実施形態では、細管21の外径が2.0mmであり、離間距離Dを10mm以下にすることができるので、ピッチPを12mm以下にすることができる。
【0026】
図2を再び参照すると、本実施形態に係る細管21の正六角形状の細管配置において、任意に選ばれた二つの細管21の中心どうしの離間距離が最大となる場合は、正六角形の対向する二つの頂点に位置する二つの細管21が選ばれた場合であり、その距離は正六角形の対角線Eの長さと一致する。対角線E上には、19本の細管21が等間隔に並んでいるため、対角線Eの長さは細管21のピッチPの18倍である。
【0027】
本実施形態では、1本の導入管23が設けられており、導入管23は、JIS G3454に規定される呼び径32A、呼び厚さSch/40の直管である。
【0028】
本発明者らの検討により、細管21どうしの離間距離の最大値Ls(mm)、細管21の本数N(本)、および導入管23の内径Lp(mm)の間に、式(1)で表されるパラメータQが100以上3000以下になる関係が成立するとき、ガス流量を特に大きくすることができることが見出された。
【数2】
【0029】
本実施形態では、細管21の本数N(本)は271本であり、導入管23の内径Lp(mm)は35.5mmである。また、細管21どうしの離間距離の最大値Ls(mm)は、上述のように細管21のピッチPの18倍である。そして、ピッチPは、12mm以下でありうる。以上の数値条件に基づくと、パラメータQの最大値は4800(ピッチP:12mm、隅肉のサイズS:5.0mmのとき)である。ここで、ピッチPおよび隅肉のサイズSを小さくすると、パラメータQの値が低下する。パラメータQが3000のとき、ピッチPは9.5mmであり、隅肉のサイズSは3.7mmである。また、パラメータQが100のとき、ピッチPは3.0mmであり、隅肉のサイズSは0.50mmである。
【0030】
上記に例を挙げて説明したようにパラメータQとピッチPとは、ピッチPを小さくするとパラメータQの値が低下する関係にある。パラメータQが3000を超えるときは、本発明における隅肉のサイズの規定(5mm以下)を満たす範囲の中でピッチPが大きい部類にあるときであるので、パラメータQが3000以下の場合に比べると、細管密度を高める効果が限定的である。一方、パラメータQが100未満のときは、細管密度に対して導入管23の内径が小さくなりすぎ、細管21における圧力損失が増大するおそれがある。
【0031】
〔プラグ用金物の製造方法〕
これまでに説明したような構造を有するプラグ用金物2は、たとえば以下の方法により製造できる。細管21と上板22aとの接合部分を形成するにあたり、まず、複数の貫通孔22dが設けられた上板22aと、必要な本数(本実施形態では271本)以上の細管21と、を用意する。このとき、上板22aには、設ける予定の細管21と同じ数(本実施形態では271個)および配置(本実施形態では正六角形状)で、複数の貫通孔22dが設けられている。次に、複数の貫通孔22dのそれぞれに細管21を挿通し、上板22aの下部側の面と細管21の末端とが概ね面一になるように位置合わせする。その後、上板22aの下部側の面と細管21の末端とをファイバーレーザー溶接により溶接する。最後に、通常実施される溶接の仕上げ作業(バリ取りなど)を行い、細管21と上板22aとの接合を完成する。
【0032】
上記のように、ファイバーレーザー溶接を採用することによって、従来の溶接方法を採用した場合に比べて、溶接時に形成される隅肉のサイズを小さくできる。本実施形態では、細管21とガスプール22との溶接をファイバーレーザー溶接によって実施することで、隅肉21aのサイズSを5.0mm以下にしうる。本実施形態で用いうる溶接方法としては、ファイバーレーザー溶接の他に、タングステンイナートガスアーク溶接(TIG溶接)、イットリウム・アルミニウム・ガーネットレーザー溶接(YAG溶接)などが例示される。
【0033】
続いて、下板22bと導入管23との接合部分を、溶接して形成する。さらに、上板22a、下板22b、および側板22cを溶接して接合してプラグ用金物2を完成する。下板22bと導入管23との溶接、上板22aと側板22cとの溶接、および下板22bと側板22cとの溶接においては、隅肉のサイズを小さくする必要性が小さい(隅肉のサイズが5mmを超えてもよい)ので、上記に例示したファイバーレーザー溶接のほか、TIG溶接などの溶接方法を用いてもよい。
【0034】
〔耐火物の構成〕
耐火物3は、酸化物を主成分とする耐火原料を主体として構成される。ここで、主成分とは、耐火原料に質量比で最も多く含まれる物質をいう。また、耐火物3は、耐火原料の他に、炭素原料や非酸化物添加剤などを含みうる。耐火物3を構成する原料の組合せおよび含有比は特に限定されず、底吹き羽口用プラグ1の設計思想に即して適宜選択される。
【0035】
耐火物3中の耐火原料に含まれる酸化物としては、たとえば、アルミナ、シリカ、スピネル、マグネシア、ジルコニア、ジルコン、カルシウムジルコネートなどを用いることができる。当該酸化物は、一種類の物質であってもよいし、二種類以上の物質の混合物であってもよい。耐火物3中の耐火原料は、酸化物としてマグネシアおよびスピネルの少なくとも一つを含むことが好ましく、マグネシアを含むことがより好ましい。なお、耐火物3中の耐火原料に含まれる酸化物として用いる物質は、底吹き羽口用プラグ1の用途に応じて適宜選択される。
【0036】
耐火物3が炭素原料を含む場合、当該炭素原料としては、黒鉛、カーボンブラック、ピッチ、炭素繊維などが例示される。当該炭素原料は、一種類の物質であってもよいし、二種類以上の物質の混合物であってもよい。耐火物3中の炭素原料は、黒鉛および炭素繊維の少なくとも一つを含むことが好ましく、黒鉛を含むことがより好ましい。なお、耐火物3中の炭素原料として用いる物質は、底吹き羽口用プラグ1の用途に応じて適宜選択される。たとえば、底吹き羽口用プラグ1が特に大きな熱変化にさらされる用途に供される場合は、耐火物3中の炭素原料として膨張化処理後に粉砕した膨張化黒鉛粉砕物を含むことが好ましい。
【0037】
耐火物3が炭素原料を含む場合、炭素原料の含有量が耐火原料に対して外掛けで10~50%であることが好ましい。ここで、「外掛け」とは、母材(ここでは耐火原料)の質量を100%としたときの添加剤(ここでは炭素原料)の質量割合をいう。以下では、「外掛け」は、特記しない限り耐火原料を基準とする外掛け質量割合を表すものとする。炭素原料の含有量は、外掛けで15%以上であることがより好ましい。また、炭素原料の含有量は、外掛けで35%以下であることが好ましく、外掛けで25%以下であることがより好ましい。
【0038】
耐火物3が非酸化物添加剤を含む場合、当該非酸化物添加剤としては、炭化ケイ素、炭化ホウ素、ホウ化ジルコニウム、アルミニウム、窒化ケイ素などが例示される。当該非酸化物添加剤は、一種類の物質であってもよいし、二種類以上の物質の混合物であってもよい。耐火物3中の非酸化物添加剤は、アルミニウム、炭化ケイ素、および炭化ホウ素から選択される少なくとも一つを含むことが好ましく、アルミニウムおよび炭化ケイ素の少なくとも一つを含むことがより好ましい。なお、耐火物3中の非酸化物添加剤として用いる物質は、底吹き羽口用プラグ1の用途に応じて適宜選択される。たとえば、底吹き羽口用プラグ1が特に厳しい酸化条件にさらされる用途に供される場合は、耐火物3中の非酸化物添加剤としてアルミニウムを含むことが好ましい。
【0039】
耐火物3が非酸化物添加剤を含む場合、非酸化物添加剤の含有量は、外掛けで0.01%以上であることが好ましく、外掛けで0.1%以上であることがより好ましい。また、非酸化物添加剤の含有量は、外掛けで5%以下であることが好ましく、外掛けで2%以下であることがより好ましい。
【0040】
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係る底吹き羽口用プラグおよびプラグ用金物のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0041】
上記の実施形態では、細管21が一辺あたりの本数が10本の正六角形状の配列で配置されている構成を例として説明した。しかし、本発明に係る底吹き羽口用プラグおよびプラグ用金物において、細管の配置は特に限定されない。
【0042】
上記の実施形態では、細管21のそれぞれが独立にガスプール22(上板22a)に溶接されている構成を例として説明した。しかし、本発明に係る底吹き羽口用プラグおよびプラグ用金物において、ガスプールに接合された一本の管が複数本の細管に分岐する態様で設けられてもよい
【0043】
上記の実施形態では、隣接する細管21の表面どうしの離間距離Dが10mm以下である構成を例として説明した。本発明に係る底吹き羽口用プラグおよびプラグ用金物では、隣接する細管の表面どうしの最短離間距離が、8.0mm以下であることが好ましい。
【0044】
上記の実施形態について、式(1)で表されるパラメータQが100以上3000以下になる関係が成立するとき、ガス流量を特に大きくすることができることを説明した。
【数3】
本発明に係る底吹き羽口用プラグおよびプラグ用金物において、パラメータQは、150以上であることがより好ましく、180以上であることがさらに好ましい。また、パラメータQは、2500以下であることがより好ましく、1500以下であることがさらに好ましい。
【0045】
上記の実施形態では、細管21が、外径2.0mm、内径1.0mmの直管である構成を例として説明し、細管21の外径が6.0mm以下であることが好ましいことを説明した。本発明に係る底吹き羽口用プラグおよびプラグ用金物において、細管の外径は、4.0mm以下であることがより好ましく、2.0mm以下であることがさらに好ましい。
【0046】
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、たとえば精錬炉にガスを吹き込むための底吹き羽口用プラグに利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 :底吹き羽口用プラグ
11 :上面
2 :プラグ用金物
21 :細管
21a :隅肉
22 :ガスプール
22a :上板
22b :下板
22c :側板
22d :貫通孔
23 :導入管
3 :耐火物
S :隅肉のサイズ
D :離間距離
P :ピッチ
Lp :導入管23内径
Ls :細管21の離間距離の最大値