(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007224
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】電動遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/264 20060101AFI20220105BHJP
E06B 9/262 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
E06B9/264 C
E06B9/262
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020110045
(22)【出願日】2020-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【弁理士】
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】土田 健治
【テーマコード(参考)】
2E043
【Fターム(参考)】
2E043AA00
2E043AA01
2E043AA02
2E043AA04
2E043BB24
2E043BC02
2E043BE01
2E043BE04
2E043BE06
2E043BE12
2E043BE14
2E043DB01
(57)【要約】
【課題】上下方向に連ねた複数段の遮蔽材のそれぞれの開閉の同時制御を許容して、各遮蔽材の動作を高品質に制御する電動遮蔽装置を提供する。
【解決手段】本発明の電動遮蔽装置は、ヘッドボックス1から吊下される上部遮蔽材6Uと、その下端の中間レール7Uから吊下されボトムレール7Lを下端に有する下部遮蔽材6Lを電動で昇降可能とし、各遮蔽材を昇降させるための各昇降コード3U,3L用の巻取ドラム51U,51Lと、巻取ドラム51U,51Lをそれぞれ回転させるためのモーター9U,9Lと、操作信号に応じて各モーター9U,9Lの駆動を制御することにより各遮蔽材の昇降を制御する制御装置10と、を備える。制御装置10は、各遮蔽材を同方向に同時に昇降させる際に、各遮蔽材のうち一方が他方に追いつきが生じない予め定めた昇降速度で制御し、好適には、同一速度で昇降制御する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドボックスから吊下される上部遮蔽材と、前記上部遮蔽材の下端に設けられる中間レールから吊下されボトムレールを下端に有する下部遮蔽材の各々を電動で昇降可能とする電動遮蔽装置であって、
前記中間レールの昇降により前記上部遮蔽材を昇降させるための第1の昇降コードを巻き取り、或いは巻き戻す第1の巻取ドラムと、
前記ボトムレールの昇降により前記下部遮蔽材を昇降させるための第2の昇降コードを巻き取り、或いは巻き戻す第2の巻取ドラムと、
前記第1の巻取ドラムを回転させるための第1のモーターと、
前記第2の巻取ドラムを回転させるための第2のモーターと、
操作信号に応じて、前記第1及び第2のモーターの駆動を制御することにより前記上部遮蔽材及び前記下部遮蔽材の各々の昇降を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記上部遮蔽材及び前記下部遮蔽材の各々を同方向に同時に昇降させる際に、前記上部遮蔽材と前記下部遮蔽材のうち一方が他方に追いつきが生じない予め定めた昇降速度で制御することを特徴とする電動遮蔽装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記上部遮蔽材と前記下部遮蔽材のうち一方の遮蔽材の昇降について当該操作信号により指定された方向と同方向に他方の遮蔽材が動作中である場合に、動作中の他方の遮蔽材の昇降速度に対し、追い付きが生じない予め定めた昇降速度で、当該一方の遮蔽材を当該操作信号により指定された方向に同時動作させる制御を行う手段を有することを特徴とする、請求項1に記載の電動遮蔽装置。
【請求項3】
前記制御装置は、当該操作信号が前記上部遮蔽材と前記下部遮蔽材の双方を同方向に指定された方向で同時動作させるものである場合に、前記上部遮蔽材と前記下部遮蔽材のうち一方が他方に追いつきが生じないそれぞれの予め定めた昇降速度で、双方の遮蔽材を当該操作信号により指定された方向に同時動作させる制御を行う手段を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の電動遮蔽装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記上部遮蔽材及び前記下部遮蔽材の各々を同方向に同時に昇降させる際に、同一速度で昇降制御することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の電動遮蔽装置。
【請求項5】
ヘッドボックスから吊下される上部遮蔽材と、前記上部遮蔽材の下端に設けられる中間レールから吊下されボトムレールを下端に有する下部遮蔽材の各々を電動で昇降可能とする電動遮蔽装置であって、
前記中間レールの昇降により前記上部遮蔽材を昇降させるための第1の昇降コードを巻き取り、或いは巻き戻す第1の巻取ドラムと、
前記ボトムレールの昇降により前記下部遮蔽材を昇降させるための第2の昇降コードを巻き取り、或いは巻き戻す第2の巻取ドラムと、
前記第1の巻取ドラムを回転させるための第1のモーターと、
前記第2の巻取ドラムを回転させるための第2のモーターと、
操作信号に応じて、前記第1及び第2のモーターの駆動を制御することにより前記上部遮蔽材及び前記下部遮蔽材の各々の昇降を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記上部遮蔽材及び前記下部遮蔽材の各々を同方向に同時に昇降させる際に、同一速度で昇降制御することを特徴とする電動遮蔽装置。
【請求項6】
前記上部遮蔽材と前記下部遮蔽材の各々に対し同じ分解能のエンコーダーをそれぞれ備え、
前記制御装置は、前記上部遮蔽材と前記下部遮蔽材の各々を同一速度にするために、当該同じ分解能の各エンコーダーを使用して、同じロジックで前記上部遮蔽材と前記下部遮蔽材の各々の昇降制御を行うことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の電動遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーターの駆動力で遮蔽材を昇降制御する電動遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動遮蔽装置は、典型的には、モーターの駆動力で駆動軸を回転させ、昇降コード(紐状コード或いはテープ状の昇降テープを含む)を巻取ドラムで巻き取り、或いは巻き戻すことにより、遮蔽材を昇降可能となっている。
【0003】
このような電動遮蔽装置では、ヘッドボックス内にモーターが配設され、そのモーターの出力軸の回転が駆動軸に伝達され、その駆動軸の回転に基づいて遮蔽材が昇降される。
【0004】
また、電動遮蔽装置のヘッドボックス内には駆動軸の回転速度及び回転量を検出するエンコーダーが配設され、そのエンコーダーから出力されるパルス信号に基づいて、そのエンコーダーパルスの速度及びパルス数のカウント値を管理して、ヘッドボックス内に配設される制御装置によりモーターの回転速度及び回転量が制御される。このような動作により、遮蔽材の昇降の速度が適宜に調整されるとともに、昇降させた遮蔽材の停止位置が制御される。
【0005】
ところで、電動遮蔽装置の一種として、ヘッドボックスから上下方向に例えばジグザク状に折り畳み可能なスクリーンを遮蔽材として吊下し、このスクリーンを電動で昇降可能とする電動プリーツスクリーンを構成できることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特に、特許文献1に開示される電動プリーツスクリーンでは、遮蔽材を上下方向に連ねた複数段(複数種類)で構成し電動で昇降可能としている。即ち、この電動プリーツスクリーンでは、スクリーンを上下段で異なる生地の上部遮蔽材(上部スクリーン)と下部遮蔽材(下部スクリーン)とで構成し、上部スクリーンの上端縁をヘッドボックスに取着し吊下してその下端縁を中間レールに取着し、下部スクリーンの上端縁を当該中間レールに取着し吊下してその下端縁をボトムレールに取着している。そして、ヘッドボックスから中間レールとボトムレールをそれぞれ独立した昇降コードで吊下支持し、その上部スクリーンと、下部スクリーンとを個別に電動で昇降可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、従来の電動プリーツスクリーン等の電動遮蔽装置の一種として、上下方向に連ねた複数段の遮蔽材の各々を個別に電動で昇降可能とするものがある。
【0009】
しかし、このような従来の電動遮蔽装置では、上下方向に連ねた複数段の遮蔽材の各々を選択して個別に電動で昇降可能となっているが、品質を損なうことなく、即ち上部遮蔽材と下部遮蔽材の近接により生地や昇降コードに損傷が生じないように、複数段の遮蔽材を同時に昇降可能とするものとはなっていない。
【0010】
このため、上下方向に連ねた複数段の遮蔽材のそれぞれの開閉の同時制御を許容して、各遮蔽材の動作を高品質に制御する電動遮蔽装置が望まれる。
【0011】
従って、本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、上下方向に連ねた複数段の遮蔽材のそれぞれの開閉の同時制御を許容して、各遮蔽材の動作を高品質に制御する電動遮蔽装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の電動遮蔽装置は、ヘッドボックスから吊下される上部遮蔽材と、前記上部遮蔽材の下端に設けられる中間レールから吊下されボトムレールを下端に有する下部遮蔽材の各々を電動で昇降可能とする電動遮蔽装置であって、前記中間レールの昇降により前記上部遮蔽材を昇降させるための第1の昇降コードを巻き取り、或いは巻き戻す第1の巻取ドラムと、前記ボトムレールの昇降により前記下部遮蔽材を昇降させるための第2の昇降コードを巻き取り、或いは巻き戻す第2の巻取ドラムと、前記第1の巻取ドラムを回転させるための第1のモーターと、前記第2の巻取ドラムを回転させるための第2のモーターと、操作信号に応じて、前記第1及び第2のモーターの駆動を制御することにより前記上部遮蔽材及び前記下部遮蔽材の各々の昇降を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記上部遮蔽材及び前記下部遮蔽材の各々を同方向に同時に昇降させる際に、前記上部遮蔽材と前記下部遮蔽材のうち一方が他方に追いつきが生じない予め定めた昇降速度で制御することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の電動遮蔽装置において、前記制御装置は、前記上部遮蔽材と前記下部遮蔽材のうち一方の遮蔽材の昇降について当該操作信号により指定された方向と同方向に他方の遮蔽材が動作中である場合に、動作中の他方の遮蔽材の昇降速度に対し、追い付きが生じない予め定めた昇降速度で、当該一方の遮蔽材を当該操作信号により指定された方向に同時動作させる制御を行う手段を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の電動遮蔽装置において、前記制御装置は、当該操作信号が前記上部遮蔽材と前記下部遮蔽材の双方を同方向に指定された方向で同時動作させるものである場合に、前記上部遮蔽材と前記下部遮蔽材のうち一方が他方に追いつきが生じないそれぞれの予め定めた昇降速度で、双方の遮蔽材を当該操作信号により指定された方向に同時動作させる制御を行う手段を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の電動遮蔽装置において、前記制御装置は、前記上部遮蔽材及び前記下部遮蔽材の各々を同方向に同時に昇降させる際に、同一速度で昇降制御することを特徴とする。
【0016】
更に、本発明の電動遮蔽装置は、ヘッドボックスから吊下される上部遮蔽材と、前記上部遮蔽材の下端に設けられる中間レールから吊下されボトムレールを下端に有する下部遮蔽材の各々を電動で昇降可能とする電動遮蔽装置であって、前記中間レールの昇降により前記上部遮蔽材を昇降させるための第1の昇降コードを巻き取り、或いは巻き戻す第1の巻取ドラムと、前記ボトムレールの昇降により前記下部遮蔽材を昇降させるための第2の昇降コードを巻き取り、或いは巻き戻す第2の巻取ドラムと、前記第1の巻取ドラムを回転させるための第1のモーターと、前記第2の巻取ドラムを回転させるための第2のモーターと、操作信号に応じて、前記第1及び第2のモーターの駆動を制御することにより前記上部遮蔽材及び前記下部遮蔽材の各々の昇降を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記上部遮蔽材及び前記下部遮蔽材の各々を同方向に同時に昇降させる際に、同一速度で昇降制御することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の電動遮蔽装置において、前記上部遮蔽材と前記下部遮蔽材の各々に対し同じ分解能のエンコーダーをそれぞれ備え、前記制御装置は、前記上部遮蔽材と前記下部遮蔽材の各々を同一速度にするために、当該同じ分解能の各エンコーダーを使用して、同じロジックで前記上部遮蔽材と前記下部遮蔽材の各々の昇降制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上下方向に連ねた複数段の遮蔽材を有する電動遮蔽装置として、各遮蔽材のそれぞれの開閉の同時制御を許容して、各遮蔽材の動作を高品質に制御することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(a)乃至(c)は、それぞれ本発明による一実施形態の電動遮蔽装置の概略構成を示す平面図、正面図及び側面図である。
【
図2】本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置の制御例を示すフローチャートである。
【
図4】(a)は本発明に係る複数の遮蔽材の同時上昇時の動作を概略的に示す電動遮蔽装置の側面図であり、(b)は比較例の電動遮蔽装置の側面図である。
【
図5】(a)は本発明に係る複数の遮蔽材の同時下降時の動作を概略的に示す電動遮蔽装置の側面図であり、(b)は比較例の電動遮蔽装置の側面図である。
【
図6】本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における複数の遮蔽材の各々用の巻取ドラムのドラム径とその回転速度との関係を示す図である。
【
図7】(a),(b)は、それぞれ本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置による上部遮蔽材及び下部遮蔽材の昇降速度制御の概略を示すフローチャートである。
【
図8】本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置による速度制御に係る目標パルス及びエンコーダーからのパルス間のデューティ比ベースのタイミング評価値を示すタイミング図である。
【
図9】(a)乃至(c)は、それぞれ本発明による典型的な他の実施形態の電動遮蔽装置に、本発明に係る制御装置を適用した例を示す概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置を説明する。尚、本願明細書中、
図1(b)に示す電動遮蔽装置の正面図に対して、図示上方及び図示下方をそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向を電動遮蔽装置の左側、及び、図示右方向を電動遮蔽装置の右側と定義して説明する。また、以下に説明する例では、
図1(b)に示す電動遮蔽装置の正面図に対して、視認する側を前側(又は室内側)、その反対側を後側(又は室外側)とする。
【0021】
(全体構成)
図1(a)乃至(c)は、それぞれ本発明による一実施形態の電動遮蔽装置の概略構成を示す平面図(見下げ図)、正面図及び側面図である。
図1に示す電動遮蔽装置の代表例として複数の遮蔽材を上下に連なって配設しそれぞれ昇降可能とする電動プリーツスクリーンを示している。ただし、駆動軸の回転によって、上下に連なって配設される複数の遮蔽材の各々を電動で昇降操作可能とするものであればこれに限定する必要はなく、例えば、プリーツスクリーン、その一種でもあるハニカムスクリーン、横型ブラインド、たくし上げカーテン等、或いはこれら異種遮蔽材を上下に連なって配設するように組み合わせたハイブリッド構成の電動遮蔽装置としてもよい。
【0022】
また、
図1(a)乃至(c)に示す一実施形態の電動プリーツスクリーンでは、複数種の昇降コード3U,3Lによって個別に昇降可能な上部遮蔽材としての上部スクリーン6U及び下部遮蔽材としての下部スクリーン6Lの2種類の遮蔽材を上下に連なって配設する例を示しているが、3種類以上の遮蔽材を上下方向に配設する電動プリーツスクリーンとしてもよい。
【0023】
図1(a)乃至(c)に示す一実施形態の電動プリーツスクリーンは、ヘッドボックス1の下面からジグザグ状に折り曲げ可能とした上部スクリーン6Uが吊下支持され、その上部スクリーン6Uの下端は、錘部材として機能する中間レール7Uの上面に取着される。ヘッドボックス1は天井面等の取付面に対しブラケット15を介して固定される。
【0024】
本例の上部スクリーン6Uは、
図1(c)に示すように、ジグザグ状に折り曲げられる生地の室外側の折り目の位置に突出片60が設けられ、その突出片60には、丸孔又は長孔等で形成される挿通孔がそれぞれ設けられ、その挿通孔にはヘッドボックス1から垂下される昇降コード3U,3Lが挿通される。このため、昇降コード3U,3Lは上部スクリーン6Uの背面側に垂下して、
図1(b)に示すように正面視で視認できないようにして美観を高めている。ただし、本発明に関しては、上部スクリーン6Uの前後方向略中央部に挿通孔を設けて、その挿通孔に挿通される昇降コード3U,3Lを正面視で視認できる形態でもよい。また、
図1(c)に示すように、昇降コード3U,3Lの後方において、ヘッドボックス1からピッチ保持コード4Uが垂下され、その下端が中間レール7Uに取着されている。このピッチ保持コード4Uには、等間隔に環状の支持コード40が多数設けられ、その支持コード40には、昇降コード3U,3Lが挿通されている。そして、中間レール7Uを下降させて上部スクリーン6Uを引き伸ばすとき、その突出片60がピッチ保持コード4Uの各支持コード40に支持されて、上部スクリーン6Uの折り目がほぼ等間隔に保持されるようになっている。
【0025】
また、中間レール7Uの下面からジグザグ状に折り曲げ可能とした下部スクリーン6Lが吊下支持され、そのスクリーン6Lの下端は、錘部材として機能するボトムレール7Lの上面に取着される。
【0026】
本例の下部スクリーン6Lについても、上部スクリーン6Uと同様に、
図1(c)に示すように、ジグザグ状に折り曲げられる生地の室外側の折り目の位置に突出片60が設けられ、その突出片60には、丸孔又は長孔等で形成される挿通孔がそれぞれ設けられ、その挿通孔にはヘッドボックス1から垂下され中間レール7Uを貫通する昇降コード3Lが挿通される。このため、昇降コード3Lは下部スクリーン6Lの背面側に垂下して、
図1(b)に示すように正面視で視認できないようにして美観を高めている。ただし、本発明に関しては、下部スクリーン6Lの前後方向略中央部に挿通孔を設けて、その挿通孔に挿通される昇降コード3Lを正面視で視認できる形態でもよい。また、
図1(c)に示すように、昇降コード3Lの後方において、ヘッドボックス1からピッチ保持コード4Lが垂下され、その下端がボトムレール7Lに取着されている。このピッチ保持コード4Lには、等間隔に環状の支持コード40が多数設けられ、その支持コード40には、昇降コード3Lが挿通されている。そして、ボトムレール7Lを下降させて下部スクリーン6Lを引き伸ばすとき、その突出片60がピッチ保持コード4Lの各支持コード40に支持されて、下部スクリーン6Lの折り目がほぼ等間隔に保持されるようになっている。
【0027】
ヘッドボックス1内にて適所(本例では左右2箇所)に配設された各支持部材5に対し巻取ドラム51U,51Lが前後に並設されて回転可能に支持される。
【0028】
それぞれの巻取ドラム51Uには、昇降コード3U(本例では紐状コードであるが、テープ状の昇降テープでもよい)の上端が巻き取り、或いは巻き戻し可能に取着され、昇降コード3Uの下端は、上部スクリーン6Uの室外側に設けられた各突出片60に形成される挿通孔を貫通し、中間レール7Uに取着される。巻取ドラム51Uは軸方向の一方に向かって径が徐々に細くなるように形成され、本例では紐状の昇降コード3Uが巻取ドラム51Uに順次螺旋状に巻かれていくようになっている。
【0029】
また、それぞれの巻取ドラム51Lには、昇降コード3L(本例では紐状コードであるが、テープ状の昇降テープでもよい)の上端が巻き取り、或いは巻き戻し可能に取着され、昇降コード3Lの下端は、上部スクリーン6Uの室外側に設けられた各突出片60に形成される挿通孔を貫通し、更に、中間レール7Uを貫通して、下部スクリーン6Lの室外側に設けられた各突出片60に形成される挿通孔を貫通し、ボトムレール7Lに取着される。巻取ドラム51Lは軸方向の一方に向かって径が徐々に細くなるように形成され、本例では紐状の昇降コード3Lが巻取ドラム51Lに順次螺旋状に巻かれていくようになっている。
【0030】
それぞれの巻取ドラム51Uの中心軸には駆動軸2Uが挿通され、駆動軸2Uの回転が巻取ドラム51Uに伝達するようになっている。
【0031】
同様に、それぞれの巻取ドラム51Lの中心軸には駆動軸2Lが挿通され、駆動軸2Lの回転が巻取ドラム51Lに伝達するようになっている。
【0032】
ところで、巻取ドラム51Uには、中間レール7Uの下降が障害物との接触により妨げられると駆動軸2Uの回転をロックするクラッチ機構52Uが障害物検知停止装置として設けられている。また、巻取ドラム51Lにおいても、ボトムレール7Lの下降が障害物との接触により妨げられると駆動軸2Lの回転をロックするクラッチ機構52Lが障害物検知停止装置として設けられている。
【0033】
駆動軸2Uの一端は、駆動軸連結器20Uを介してモーター9Uの出力軸に連結され、モーター9Uの出力軸の回転が駆動軸2Uに伝達される。従って、モーター9Uの駆動力で駆動軸2Uを回転させ、駆動軸2Uの回転に基づいて昇降コード3Uを当該巻取ドラム51Uで巻き取り、或いは巻き戻すことにより、中間レール7Uを昇降可能とし、これにより上部スクリーン6Uを昇降させることができる。尚、巻取ドラム51Uは、上部スクリーン6Uの下降時に昇降コード3Uに係る張力(上部スクリーン6U及び中間レール7Uの自重)を利用しているため、その駆動力がクラッチ機構52Uを介して巻取ドラム51Uから駆動軸2Uに伝達し、この駆動軸2Uに係る駆動力を調節して下降制御される。
【0034】
また、駆動軸2Lの一端は、駆動軸連結器20Lを介してモーター9Lの出力軸に連結され、モーター9Lの出力軸の回転が駆動軸2Lに伝達される。従って、モーター9Lの駆動力で駆動軸2Lを回転させ、駆動軸2Lの回転に基づいて昇降コード3Lを当該巻取ドラム51Lで巻き取り、或いは巻き戻すことにより、ボトムレール7Lを昇降可能とし、これにより下部スクリーン6Lを昇降させることができる。尚、巻取ドラム51Lは、下部スクリーン6Lの下降時に昇降コード3Lに係る張力(下部スクリーン6L及びボトムレール7Lの自重)を利用しているため、その駆動力がクラッチ機構52Lを介して巻取ドラム51Lから駆動軸2Lに伝達し、この駆動軸2Lに係る駆動力を調節して下降制御される。
【0035】
モーター9U,9Lの各々の駆動制御は、ヘッドボックス1内に配設される制御装置10によって行われる。そして、ヘッドボックス1内には、モーター9U,9L、及び制御装置10へと電力供給するDC電源11が配設されている。制御装置10は、各遮蔽材(上部遮蔽材としての上部スクリーン6U及び下部遮蔽材としての下部スクリーン6L)の開閉を操作するための操作装置25から操作信号を受信すると、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドに対応する電動遮蔽装置の各種制御を行う。例えばモーター9U,9LをそれぞれDCモーターで構成することで、制御装置10からモーター9U,9Lに供給するパルス信号のデューティ比を制御することにより、制御装置10は、モーター9U,9Lの回転速度を制御することができる。また、ヘッドボックス1内には駆動軸2U,2Lのそれぞれの回転速度及び回転量を検出するエンコーダー8U,8Lが配設され、制御装置10は、各エンコーダー8U,8Lから出力されるパルス信号に基づいて、そのエンコーダーパルスの速度及びパルス数のカウント値を管理して、モーター9U,9Lの回転速度及び回転量を制御する。このような動作により、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドに対応して、制御装置10は、上部スクリーン6U、又は下部スクリーン6Lの昇降速度を適宜に調整するとともに、上部スクリーン6U、又は下部スクリーン6Lの昇降停止位置を制御する。
【0036】
このように構成された本実施形態の電動プリーツスクリーンでは、中間レール7Uをヘッドボックス1の直下まで引き上げて、ヘッドボックス1と中間レール7Uとの間に上部スクリーン6Uを折り畳んだ状態で、ボトムレール7Lを下降させれば、ヘッドボックス1から下部スクリーン6Lが所望位置まで遮蔽された状態となる。
【0037】
また、ボトムレール7Lを下限まで下降させた状態で、中間レール7Uをボトムレール7L上まで下降させると、中間レール7Uとボトムレール7Lとの間で下部スクリーン6Lが折り畳まれ、ヘッドボックス1と中間レール7Uとの間で上部スクリーン6Uが遮蔽された状態となる。従って、例えば上部スクリーン6Uを採光性生地とし、下部スクリーン6Lを遮光性生地とすれば、採光量調節の自由度を高めることができる。
【0038】
そして、ボトムレール7Lを下限まで下降させ、中間レール7Uをヘッドボックス1とボトムレール7との中間に位置させれば、採光性生地とした上部スクリーン6Uを透過した柔らかな光を採光することができる。
【0039】
また、ボトムレール7Lを上限まで引き上げて開放する場合には、中間レール7Uと共にボトムレール7Lを引き上げ、ヘッドボックス1とボトムレール7Lとの間に上部スクリーン6Uと下部スクリーン6Lとを折り畳んだ状態とすることができる。
【0040】
(制御装置の構成)
図2は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置10の概略構成を示すブロック図である。
【0041】
制御装置10は、操作装置25からの操作信号を受信すると、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドに対応する電動遮蔽装置の各種制御を行う。例えば制御装置10は、エンコーダー8U,8Lからのエンコーダーパルスの速度及びパルス数のカウント値を管理してモーター9U,9Lの回転速度及び回転量を制御し、各遮蔽材(各スクリーン及び各ボトムレール)の昇降速度を適宜に調整するとともに、各遮蔽材の昇降停止位置を制御する。
【0042】
そして、
図2に示すように、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101、記憶部102、通信インターフェース(IF)部103、モーター駆動部107U,107L、異常検知部108U,108L、及びパルス検出部109U,109Lを備える。
【0043】
通信IF部103は、
図2では包括的に図示しているが、操作装置25の各形態に応じて、操作装置25との双方向又は片方向の通信を行い、操作装置25からの操作信号を受信して、マイクロコンピュータ部101に出力する機能部である。
【0044】
例えば、通信IF部103は、操作装置25が近距離無線通信で操作信号を発信するように構成されているときは、当該操作装置25からの操作信号を受信してマイクロコンピュータ部101に出力する機能を有し、マイクロコンピュータ部101と操作装置25との間で相互通信可能とし、操作に関する詳細なコマンドのやり取りを可能とする。
【0045】
また、通信IF部103は、操作装置25が赤外線信号で操作信号を発信するように構成されているときは、当該操作装置25からの操作信号を受信してマイクロコンピュータ部101に出力する機能を有する。
【0046】
また、通信IF部103は、操作装置25が双方向又は片方向の有線通信で操作信号を発信するように構成されているときは、当該操作装置25からの操作信号を受信してマイクロコンピュータ部101に出力する機能を有する。
【0047】
ここで、制御装置10は、従来からの操作装置の典型例として、各遮蔽材(上部遮蔽材としての上部スクリーン6U及び下部遮蔽材としての下部スクリーン6L)の開閉を「個別に」有線接続で操作するための有線スイッチ、或いは無線接続で赤外線又は無線リモートコントローラ(以下、「リモコン」と称する。)等とし、これらの操作装置から操作信号を受け付けて制御することもできるが、本発明における実施形態としては、各遮蔽材(上部遮蔽材としての上部スクリーン6U及び下部遮蔽材としての下部スクリーン6L)の開閉を個別に操作するだけでなく、「同時に」操作することもできる操作装置25から操作信号を受け付けて制御する例を説明する。
【0048】
例えば、本発明に係る操作装置25は、各遮蔽材(上部遮蔽材としての上部スクリーン6U及び下部遮蔽材としての下部スクリーン6L)の開閉位置指定が不能な形態、例えば、各遮蔽材の開閉を個別に操作可能とする有線又は無線スイッチ、赤外線スイッチ、マルチスイッチ、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、ゾーンスイッチ、ダイヤルスイッチ等とするだけでなく、各遮蔽材(上部遮蔽材としての上部スクリーン6U及び下部遮蔽材としての下部スクリーン6L)のそれぞれの開閉位置(本例では遮蔽率)について「個別又は同時に」指定して、有線又は無線で操作するためのマルチスイッチ、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、ゾーンスイッチ、ダイヤルスイッチ等とすることができる。
【0049】
従って、制御装置10は、上部遮蔽材及び下部遮蔽材の各開閉位置を同時指定可能とする操作装置25からの操作信号を受信処理し、或いは、上部遮蔽材及び下部遮蔽材の各開閉位置を指定せずに個別操作可能とする操作装置25からの操作信号を時系列に受信処理して、上部遮蔽材及び下部遮蔽材の双方の昇降制御を個別又は同時に行う構成とすることができる。尚、どのような形態の操作装置25からの操作信号であるかは、その操作装置25の種別を示す操作デバイスIDを操作信号内に含めることで、制御装置10は、操作装置25の種別に応じた制御を行うことができる。
【0050】
即ち、制御装置10は、各遮蔽材(上部遮蔽材としての上部スクリーン6U及び下部遮蔽材としての下部スクリーン6L)のそれぞれの開閉位置について、各開閉位置を指定しない操作信号だけでなく、個別指定又は同時指定の操作信号の受信処理も可能とし、各遮蔽材(上部遮蔽材としての上部スクリーン6U及び下部遮蔽材としての下部スクリーン6L)の開閉を制御する。特に、本発明に係る制御装置10は、
図3を参照して詳細に後述するが、各遮蔽材のそれぞれの開閉位置の同時制御を許容して、各遮蔽材の動作を高品質に制御するようになっている。
【0051】
モーター駆動部107U,107Lは、それぞれモーター9U,9Lの駆動を行うモータードライバーである。
【0052】
異常検知部108U,108Lは、それぞれモーター駆動部107U,107Lにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)をそれぞれ検知してマイクロコンピュータ部101に通知する機能部である。
【0053】
パルス検出部109U,109Lは、それぞれエンコーダー8U,8Lからのパルス信号をそれぞれ受信し、マイクロコンピュータ部101に通知する機能部である。
【0054】
マイクロコンピュータ部101は、記憶部102に予め記憶させたプログラムを読み出して実行することにより、通信IF部103を介して受信する操作信号を受け付け、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドを処理する。これにより、電動遮蔽装置の各種制御を行う制御装置10をコンピュータとして構成することができる。
【0055】
そして、マイクロコンピュータ部101による当該プログラムの実行によって実現される制御装置10の機能には、操作信号を受け付け当該操作信号内に含まれる各種のコマンドを判別し対応する電動遮蔽装置の各種制御を行う機能、各エンコーダー8U,8Lからのパルス信号をそれぞれ受信するパルス検出部109U,109Lを介してエンコーダーパルスの有無及びエンコーダーパルス数のカウントを行いながら、適宜、そのカウント値を記憶部102に記憶して管理する機能、エンコーダーパルス数のカウント値に応じて設定可能な各遮蔽材の設定上限位置や設定下限位置等に関する各種設定を記憶部102に記憶して管理する機能、モーター9U,9Lの駆動をそれぞれ行うモーター駆動部107U,107Lを介してモーター9U,9Lの駆動制御を行う機能、及び、モーター駆動部107U,107Lにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上の)をそれぞれ検知してマイクロコンピュータ部101に通知する異常検知部108U,108Lを介して、その異常値を監視する機能が含まれる。
【0056】
尚、本実施形態の電動遮蔽装置では、モーター9L,9Uの各々と制御装置10はモーターハーネスで接続されているが、従来の電動プリーツスクリーンのようなスクリーンを昇降させる際の物理上限位置及び物理下限位置を検知するための物理的な検出スイッチを設けていない。この場合でも、制御装置10は、エンコーダー8L,8Uから得られるエンコーダーパルスのカウント値による絶対的な上設定下限位置を定めておくか、或いは異常検知部108L,108Uによるモーター駆動部107L,107Uにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)をそれぞれ検知するか、又は動作制御中に所定時間の当該エンコーダーパルスの入力が無くなることを検知するなど、これら1以上の方法で、上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lのそれぞれについて、その物理的な昇降操作可能範囲を規定する物理上限位置及び物理下限位置を検出することができる。そして、制御装置10は、検出した物理上限位置及び物理下限位置を基準に、各遮蔽材の設定上限位置や設定下限位置等に関する各種設定を行うことができる。
【0057】
ただし、本発明に係る制御装置10は、
図3を参照して詳細に後述するが、各遮蔽材のそれぞれの開閉位置の同時制御を許容して、各遮蔽材の動作を高品質に制御することを主旨としているため、従来のようなスクリーンを昇降させる際の物理上限位置及び物理下限位置を検知するための物理的な検出スイッチを設けた形態でもよい。
【0058】
(制御装置の制御例)
図3は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置10の制御例を示すフローチャートである。
【0059】
制御装置10は、上部遮蔽材(中間レール7Uを下端に有する上部スクリーン6U)と下部遮蔽材(ボトムレール7Lを下端に有する下部スクリーン6L)の昇降に関する操作信号を受信すると、他方の遮蔽材が動作中であるか否か、及び上部遮蔽材と下部遮蔽材の双方を同時に昇降させる操作信号であるか否かを判定し、操作信号の種別(個別の遮蔽材の昇降を指示する開閉コマンドを含む操作信号であるか、双方の遮蔽材の昇降を指示する開閉コマンドを含む操作信号であるかの種別)と、当該操作信号の受信時点の遮蔽材の動作状況に応じて、異なる制御を行う。
【0060】
より具体的な実施例として、
図3に示すように、制御装置10は、上部遮蔽材(中間レール7Uを下端に有する上部スクリーン6U)と下部遮蔽材(ボトムレール7Lを下端に有する下部スクリーン6L)のうち一方の遮蔽材の昇降に関する操作信号を受信すると(ステップS1)、まず、当該一方の遮蔽材の昇降について当該操作信号により指定された方向と同方向に他方の遮蔽材が動作中であるか否かを判定する(ステップS2)。例えば制御装置10は、上部遮蔽材(中間レール7Uを下端に有する上部スクリーン6U)の昇降について当該操作信号により指定された方向が上昇であるときに、下部遮蔽材(ボトムレール7Lを下端に有する下部スクリーン6L)が既に上昇動作中であるか否かを判定する。
【0061】
そして、制御装置10は、当該一方の遮蔽材の昇降について当該操作信号により指定された方向と同方向に他方の遮蔽材が動作中でない場合(ステップS2:N)、続いて、当該一方の遮蔽材の昇降について当該操作信号により指定された方向と同方向に他方の遮蔽材が動作中であるか否かを判定する(ステップS3)。例えば制御装置10は、上部遮蔽材(中間レール7Uを下端に有する上部スクリーン6U)の昇降について当該操作信号により指定された方向が上昇であるときに、下部遮蔽材(ボトムレール7Lを下端に有する下部スクリーン6L)が既に下降動作中であるか否かを判定する。
【0062】
そして、制御装置10は、当該一方の遮蔽材の昇降について当該操作信号により指定された方向と異方向に他方の遮蔽材が動作中である場合には(ステップS3:Y)、上部遮蔽材と下部遮蔽材の双方を、可動範囲内で、それぞれの昇降速度で異方向に動作させる制御を行う(ステップS5)。
【0063】
例えばステップS3:Y経由でステップS5に移行した場合、制御装置10は、上部遮蔽材(中間レール7Uを下端に有する上部スクリーン6U)の昇降について操作信号により指定された方向が上昇であるときに下部遮蔽材(ボトムレール7Lを下端に有する下部スクリーン6L)が既に下降動作中である場合、或いは下部遮蔽材の昇降について指定された方向が下降であるときに上部遮蔽材が既に上昇動作中である場合は、上部遮蔽材については設定上限位置までの可動範囲内で、それぞれの昇降速度(それぞれの操作信号時に指定された昇降速度、或いは予め定めた昇降速度)で上昇させ、下部遮蔽材については設定下限位置までの可動範囲内で、それぞれの昇降速度(それぞれの操作信号時に指定された昇降速度、或いは予め定めた昇降速度)で下降させる。また、制御装置10は、下部遮蔽材の昇降について指定された方向が下降であるときに上部遮蔽材が既に上昇動作中である場合、或いは下部遮蔽材の昇降について指定された方向が上昇であるときに上部遮蔽材が既に下降動作中である場合は、上部遮蔽材と下部遮蔽材が所定間隔(物理的に近接可能とする間隔)となる可動範囲内で、それぞれの昇降速度(それぞれの操作信号時に指定された昇降速度、或いは予め定めた昇降速度)でそれぞれ昇降させる。
【0064】
尚、制御装置10は、中間レール7U又はボトムレール7Lの昇降動作中に停止コマンドの操作信号を受信したときは動作中の全ての遮蔽材の動作を停止する制御を行い、中間レール7U又はボトムレール7Lの昇降動作で設定上限位置又は設定下限位置に到達したときは、設定上限位置又は設定下限位置に到達した中間レール7U又はボトムレール7Lの昇降動作を自動停止する制御を行い、停止したボトムレール7Lに下降動作中の中間レール7Uが可動不能になる所定間隔まで近づいたときや停止した中間レール7Uに上昇動作中のボトムレール7Lが可動不能になる所定間隔まで近づいたときは、全ての遮蔽材の動作を停止する制御を行う。
【0065】
このステップS3:Y経由でステップS5に移行した場合の変形例として、制御装置10は、当該一方の遮蔽材の昇降について当該操作信号により指定された方向と異方向に他方の遮蔽材が動作中である場合に(ステップS3:Y)、当該他方の遮蔽材の動作を停止させて当該一方の遮蔽材を動作させる制御としてもよいし、又は当該一方の遮蔽材の昇降について受信した操作信号を無効化するものとしてもよい。
【0066】
続いて、制御装置10は、当該一方の遮蔽材の昇降について当該操作信号により指定された方向と同方向にも異方向にも他方の遮蔽材が動作中でない場合には(ステップS3:N)、当該操作信号が双方の遮蔽材を同方向に指定された方向で同時動作させるものであるか否かを判定する(ステップS4)。
【0067】
そして、制御装置10は、当該操作信号が双方の遮蔽材を同方向に指定された方向で同時動作させるものではない場合(即ち、双方の遮蔽材を異方向に指定された方向で同時動作させるものである場合)には(ステップS4:N)、上部遮蔽材と下部遮蔽材の双方を、可動範囲内で、それぞれの昇降速度で異方向に動作させる制御を行う(ステップS5)。
【0068】
例えばステップS4:N経由でステップS5に移行した場合、制御装置10は、上部遮蔽材(中間レール7Uを下端に有する上部スクリーン6U)の昇降について操作信号により指定された方向が上昇で、下部遮蔽材(ボトムレール7Lを下端に有する下部スクリーン6L)についても動作させるがその指定された方向が下降である場合、上部遮蔽材については設定上限位置までの可動範囲内で、それぞれの昇降速度(それぞれの操作信号時に指定された昇降速度、或いは予め定めた昇降速度)で上昇させ、下部遮蔽材については設定下限位置までの可動範囲内で、それぞれの昇降速度(それぞれの操作信号時に指定された昇降速度、或いは予め定めた昇降速度)で下降させる。また、制御装置10は、下部遮蔽材の昇降について指定された方向が下降で、下部遮蔽材についても動作させるがその指定された方向が上昇である場合は、上部遮蔽材と下部遮蔽材が所定間隔(物理的に近接可能とする間隔)となる可動範囲内で、それぞれの昇降速度(それぞれの操作信号時に指定された昇降速度、或いは予め定めた昇降速度)でそれぞれ昇降させる。
【0069】
この場合も、制御装置10は、中間レール7U又はボトムレール7Lの昇降動作中に停止コマンドの操作信号を受信したときは動作中の全ての遮蔽材の動作を停止する制御を行い、中間レール7U又はボトムレール7Lの昇降動作で設定上限位置又は設定下限位置に到達したときは、設定上限位置又は設定下限位置に到達した中間レール7U又はボトムレール7Lの昇降動作を自動停止する制御を行い、停止したボトムレール7Lに下降動作中の中間レール7Uが可動不能になる所定間隔まで近づいたときや停止した中間レール7Uに上昇動作中のボトムレール7Lが可動不能になる所定間隔まで近づいたときは、全ての遮蔽材の動作を停止する制御を行う。
【0070】
一方、制御装置10は、上部遮蔽材及び下部遮蔽材の各々を同方向に同時に昇降させる際に、上部遮蔽材と下部遮蔽材のうち一方が他方に追いつきが生じない予め定めた昇降速度で制御する。より具体的には、制御装置10は、当該操作信号が双方の遮蔽材を同方向に指定された方向で同時動作させるものである場合に(ステップS4:Y)、上部遮蔽材と下部遮蔽材のうち一方が他方に追いつきが生じないそれぞれの予め定めた昇降速度(好適にはそれぞれ同一速度)で、上部遮蔽材と下部遮蔽材の双方を当該操作信号により指定された方向に同時動作させる制御を行う(ステップS6)。この場合も、制御装置10は、中間レール7U又はボトムレール7Lの昇降動作中に停止コマンドの操作信号を受信したときは動作中の全ての遮蔽材の動作を停止する制御を行い、中間レール7U又はボトムレール7Lの昇降動作で設定上限位置又は設定下限位置に到達したときは、設定上限位置又は設定下限位置に到達した中間レール7U又はボトムレール7Lの昇降動作を自動停止する制御を行う。
【0071】
また、制御装置10は、当該一方の遮蔽材の昇降について当該操作信号により指定された方向と同方向に他方の遮蔽材が動作中である場合(ステップS2:Y)、動作中の他方の遮蔽材の昇降速度に対し、動作中の他方の遮蔽材の昇降速度に対し、追い付きが生じない予め定めた昇降速度(好適には他方と同一速度)で、当該一方の遮蔽材を当該操作信号により指定された方向に同時動作させる制御を行う(ステップS7)。即ち、この場合、制御装置10は、動作中の他方の遮蔽材の昇降速度に依存して、動作中の双方の遮蔽材が互いに近接しないよう、即ち追い付きが生じない予め定めた昇降速度(好適には同一速度)で当該一方の遮蔽材の昇降速度を決定して制御する。この場合も、制御装置10は、中間レール7U又はボトムレール7Lの昇降動作中に停止コマンドの操作信号を受信したときは動作中の全ての遮蔽材の動作を停止する制御を行い、中間レール7U又はボトムレール7Lの昇降動作で設定上限位置又は設定下限位置に到達したときは、設定上限位置又は設定下限位置に到達した中間レール7U又はボトムレール7Lの昇降動作を自動停止する制御を行う。
【0072】
(動作例)
図4(a)は本発明に係る複数の遮蔽材の同時上昇時の動作を概略的に示す電動遮蔽装置の側面図であり、
図4(b)は比較例の電動遮蔽装置の側面図である。また、
図5(a)は本発明に係る複数の遮蔽材の同時下降時の動作を概略的に示す電動遮蔽装置の側面図であり、
図5(b)は比較例の電動遮蔽装置の側面図である。
【0073】
本実施形態に係る制御装置10は、上述した
図3に示すステップS6,S7による制御を行うことで、動作中の双方の遮蔽材が互いに近接しないようにすることができ、即ち上部遮蔽材と下部遮蔽材の追い付きに起因する生地や昇降コードの損傷を抑制することができる。
【0074】
例えば、
図4(a)に示すように、本発明に係る制御装置10の制御により、上部遮蔽材(中間レール7Uを下端に持つ上部スクリーン6U)と、下部遮蔽材(ボトムレール7Lを下端に持つ下部スクリーン6L)の双方を同方向に同時に上昇動作させるときは(
図3に示すステップS6,S7)、上部遮蔽材(即ち、中間レール7U)の上昇速度UM、及び下部遮蔽材(即ち、ボトムレール7L)の上昇速度LMについて、LM≦UMを満たすように制御する。
【0075】
一方、例えば
図4(b)における比較例のように、
図4(b‐1)に示す或る上部遮蔽材(即ち、中間レール7U)及び下部遮蔽材(即ち、ボトムレール7L)の位置から、LM>UMとなるように、上部遮蔽材(即ち、中間レール7U)の上昇速度UM、及び下部遮蔽材(即ち、ボトムレール7L)の上昇速度LMを上昇制御させると、上部遮蔽材(即ち、中間レール7U)の上昇位置に対し下部遮蔽材(即ち、ボトムレール7L)の上昇が追い付いてしまい、昇降コード3Rに弛みが生じたり、昇降コード3Lに上部遮蔽材の重量が加わったりして、各昇降コード3R,3Lが損傷することや各遮蔽材が損傷するおそれがある。
【0076】
従って、本発明に係る制御装置10により、双方の遮蔽材を同方向に同時に上昇動作させるときは、上部遮蔽材の上昇速度UM、及び下部遮蔽材の上昇速度LMについて、LM≦UMを満たすように制御することで、その同時制御を許容して、尚且つ各遮蔽材を同方向に高品質に同時上昇動作させることができる。
【0077】
また、
図5(a)に示すように、本発明に係る制御装置10の制御により、上部遮蔽材(中間レール7Uを下端に持つ上部スクリーン6U)と、下部遮蔽材(ボトムレール7Lを下端に持つ下部スクリーン6L)の双方を同方向に同時に下降動作させるときは(
図3に示すステップS6,S7)、上部遮蔽材(即ち、中間レール7U)の下降速度UM’、及び下部遮蔽材(即ち、ボトムレール7L)の下降速度LM’について、LM’≧UM’を満たすように制御する。
【0078】
一方、例えば
図5(b)における比較例のように、
図5(b‐1)に示す或る上部遮蔽材(即ち、中間レール7U)及び下部遮蔽材(即ち、ボトムレール7L)の位置から、LM’<UM’となるように、上部遮蔽材(即ち、中間レール7U)の下降速度UM’、及び下部遮蔽材(即ち、ボトムレール7L)の下降速度LM’を下降制御させると、下部遮蔽材(即ち、ボトムレール7L)の下降位置に対し上部遮蔽材(即ち、中間レール7U)の下降が追い付いてしまい、昇降コード3Rに弛みが生じたり、昇降コード3Lに上部遮蔽材の重量が加わったりして、各昇降コード3R,3Lが損傷することや各遮蔽材が損傷するおそれがある。
【0079】
従って、本発明に係る制御装置10により、双方の遮蔽材を同方向に同時に下降動作させるときは、上部遮蔽材の下降速度UM’、及び下部遮蔽材の下降速度LM’について、LM’≧UM’を満たすように制御することで、その同時制御を許容して、尚且つ各遮蔽材を同方向に高品質に同時下降動作させることができる。
【0080】
また、本発明に係る制御装置10において、上下方向に連ねた複数段の遮蔽材のそれぞれの開閉の同方向の同時制御を行うときは、常に各遮蔽材の昇降速度を同一速度とするのが好適であり、制御装置10における速度制御を簡素化させることができる。
【0081】
尚、本発明に係る制御装置10における上部遮蔽材(即ち、中間レール7U)及び下部遮蔽材(即ち、ボトムレール7L)の各昇降速度の制御は、巻取ドラム51U,51Lのそれぞれのドラム径d1,d2と、その回転速度(即ち、駆動軸の回転速度)n1,n2との関係で簡単に制御できる。
図6は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における複数の遮蔽材の各々用の巻取ドラム51U,51Lのドラム径d1,d2とその回転速度n1,n2との関係を示す図である。例えば、上部遮蔽材(即ち、中間レール7U)及び下部遮蔽材(即ち、ボトムレール7L)の各昇降速度を同一速度とするときは、
図6に示すように、d1:d2=n1:n2となるようにすればよく、各ドラム径d1=d2であってもよいし、各ドラム径d1≠d2であっても、上部遮蔽材(即ち、中間レール7U)及び下部遮蔽材(即ち、ボトムレール7L)の各昇降速度を同一速度とすることができ、従って上述した上昇速度LM≦UMを満たすように、及び下降速度LM’≧UM’を満たすように制御することができる。尚、各巻取ドラム51U,51Lは、軸方向の一方に向かって径が徐々に細くなるように形成されているため、厳格には一定のドラム径を有するものではないが、
図6に示すドラム径d1,d2は各巻取ドラム51U,51Lの平均的な径であり、このドラム径d1,d2を基準に回転速度n1,n2を決定することで、各遮蔽材の昇降範囲内で誤差10%以下に扱うことができる。このため、本願明細書中、昇降速度に関する「同一速度」とは、誤差10%以下で同一とみなせる速度をいう。
【0082】
(速度制御)
また、各遮蔽材の昇降速度を「同一速度」とするにあたって、各遮蔽材の上限位置から下限位置までの昇降範囲内で、各遮蔽材の昇降速度として「略一定速度(誤差10%以下)」で遮蔽材の昇降を制御するのが好適である。ここで、
図7及び
図8を参照して、
図1に示す一実施形態の電動遮蔽装置に配設される制御装置10について、各遮蔽材の上限位置から下限位置までの昇降範囲内で、各遮蔽材の昇降速度として略一定速度(誤差10%以下)で遮蔽材の昇降を制御する例を説明する。
【0083】
図7(a),(b)は、それぞれ本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置による上部遮蔽材及び下部遮蔽材の昇降速度制御の概略を示すフローチャートである。また、
図8は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置10による速度制御に係る目標パルス及びエンコーダーからのパルス間のデューティ比ベースのタイミング評価値を示すタイミング図である。
【0084】
まず、
図7(a)に示すように、制御装置10は、上部遮蔽材(上部スクリーン)6Uの昇降速度制御を開始すると、駆動軸2Uの回転速度による昇降速度の目標パルスTPのパルス幅Wtpとエンコーダー8UからのパルスEPのパルス幅Wepのデューティ比の比較で、エンコーダー8UからのパルスEPが昇降速度の目標パルスTPより速いか否かを判定する(ステップS1)。尚、
図8には、昇降速度の目標パルスTPのパルス幅Wtpを正規化した1.0で表し、この正規化したパルス幅Wtpに対するエンコーダー8UからのパルスEPのパルス幅Wepの増減を表している。
【0085】
そして、制御装置10は、エンコーダー8UからのパルスEPが昇降速度の目標パルスTPより速い場合には(ステップS1:Y)、駆動軸2Uの回転速度を低下させるためのデューティ比のパルスをモーター9Uに出力する(ステップS2)。例えば、
図8に示す或る時刻t2では、エンコーダー8UからのパルスEPが昇降速度の目標パルスTPに対しタイミングとして先行状態にあり、この場合には、制御装置10は、駆動軸2Uの回転速度を低下させる。
【0086】
一方、制御装置10は、エンコーダーからのパルスEPが昇降速度の目標パルスTPより速くない場合には(ステップS1:N)、駆動軸2Uの回転速度を増加させるためのデューティ比のパルスをモーター9Uに出力する(ステップS3)。例えば、
図8に示す或る時刻t1では、エンコーダー8UからのパルスEPが昇降速度の目標パルスTPに対しタイミングとして遅延状態にあり、この場合には、制御装置10は、駆動軸2Uの回転速度を増加させる。
【0087】
そして、制御装置10は、ステップS1乃至S3を繰り返すことで、例えば、
図8に示す或る時刻t3では、エンコーダー8UからのパルスEPが昇降速度の目標パルスTPに対しタイミングとして同期状態になり、昇降速度を略一定速度に維持することができるようなる。また、このような速度制御を行うにあたって、パルス幅変調(PWM)制御とすることで、昇降速度を略一定速度に維持するとともに、モーター音自体の静音化にも寄与するようになる。
【0088】
下部遮蔽材(下部スクリーン)6Lの昇降速度制御も同様である。即ち、
図7(b)に示すように、制御装置10は、下部遮蔽材(下部スクリーン)6Lの昇降速度制御を開始すると、駆動軸2Lの回転速度による昇降速度の目標パルスTPのパルス幅Wtpとエンコーダー8LからのパルスEPのパルス幅Wepのデューティ比の比較で、エンコーダー8LからのパルスEPが昇降速度の目標パルスTPより速いか否かを判定する(ステップS1’)。
【0089】
そして、制御装置10は、エンコーダー8LからのパルスEPが昇降速度の目標パルスTPより速い場合には(ステップS1’:Y)、駆動軸2Lの回転速度を低下させるためのデューティ比のパルスをモーター9Lに出力する(ステップS2’)。この場合も
図8に示すように、或る時刻t2では、エンコーダー8LからのパルスEPが昇降速度の目標パルスTPに対しタイミングとして先行状態にあり、この場合には、制御装置10は、駆動軸2Lの回転速度を低下させる。
【0090】
一方、制御装置10は、エンコーダーからのパルスEPが昇降速度の目標パルスTPより速くない場合には(ステップS1’:N)、駆動軸2Lの回転速度を増加させるためのデューティ比のパルスをモーター9Lに出力する(ステップS3’)。この場合も
図8に示すように、或る時刻t1では、エンコーダー8LからのパルスEPが昇降速度の目標パルスTPに対しタイミングとして遅延状態にあり、この場合には、制御装置10は、駆動軸2Lの回転速度を増加させる。
【0091】
そして、制御装置10は、ステップS1’乃至S3’を繰り返すことで、例えば、
図8に示す或る時刻t3では、エンコーダー8LからのパルスEPが昇降速度の目標パルスTPに対しタイミングとして同期状態になり、昇降速度を略一定速度に維持することができるようなる。また、このような速度制御を行うにあたって、パルス幅変調(PWM)制御とすることで、昇降速度を略一定速度に維持するとともに、モーター音自体の静音化にも寄与するようになる。
【0092】
ここで、上部遮蔽材と下部遮蔽材の各々を同一速度にするために、上部遮蔽材と下部遮蔽材の各々に対しそれぞれ同じ分解能のエンコーダー8U,8Lとし、さらに、制御装置10は、当該同じ分解能の各エンコーダー8U,8Lを使用して、同じロジックで上部遮蔽材と下部遮蔽材の各々の昇降制御を行うのが高精度化に有利となる。従って、本発明に係る電動遮蔽装置によれば、上下方向に連ねた複数段の遮蔽材のそれぞれの開閉の同時制御を許容して、尚且つ各遮蔽材の動作を高品質に制御することができる。
【0093】
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0094】
例えば、電動遮蔽装置は、上述した電動プリーツスクリーンに限らず、その一種でもあるハニカムスクリーン、横型ブラインド、たくし上げカーテン等、或いはこれら異種遮蔽材を上下に連なって配設するように組み合わせたハイブリッド構成(例えば、上部遮蔽材には、たくし上げカーテン式の遮蔽材とし、下部遮蔽材には、プリーツスクリーン式の遮蔽材とする等)など、他の種類の電動遮蔽装置にも適用できる。
【0095】
上下に連なって遮蔽材を持つ他の電動遮蔽装置の典型例を
図9(a)乃至(c)にそれぞれ示している。
図9(a)乃至(c)は、それぞれ本発明による典型的な他の実施形態の電動遮蔽装置に、本発明に係る制御装置を適用した例を示す概略的な側面図である。尚、上述した実施形態と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
【0096】
まず、
図9(a)に示す電動遮蔽装置は、ヘッドボックス1から吊下される上部遮蔽材(下端に中間レール7Uを持つ側面視でハニカム状の上部スクリーン6U)及び中間レール7Uから吊下される下部遮蔽材(下端にボトムレール7Lを持つ側面視でハニカム状の下部スクリーン6L)をそれぞれ昇降可能とする電動ハニカムスクリーンである。
図9(a)に示す巻取ドラム51U,51Lは、
図1に示す実施形態と同様に、昇降コード3U,3Lの上端を巻き取り、或いは巻き戻すことにより、上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lを昇降させる。尚、それぞれ上部スクリーン6Uにおける各ハニカム状を形成する接合片60’に挿通孔が設けられ、この挿通孔に昇降コード3U,3Lが挿通され、昇降コード3Uの下端は中間レール7Uに取着される。また、昇降コード3Lは、中間レール7Uを貫通し、下部スクリーン6Lにおける各ハニカム状を形成する接合片60’に設けられる挿通孔に挿通され、ボトムレール7Lに取着される。ヘッドボックス1内には、それぞれエンコーダー8U,8L及びモーター9U,9Lを配設している(図示略)。そして、ヘッドボックス1内に、DC電源11(図示略)と、
図2に示すものと同様の制御装置10が配設される。従って、
図9(a)に示す電動ハニカムスクリーンについても、本発明による制御装置10の制御を適用できる。
【0097】
また、
図9(b)に示す電動遮蔽装置は、ヘッドボックス1から吊下されるラダーコード12Uにより支持される上部遮蔽材(下端に中間レール7Uを持つ例えば採光性生地による生地スラット群6U’)及びヘッドボックス1から吊下され中間レール7Uを貫通するラダーコード12Lにより支持される下部遮蔽材(下端にボトムレール7Lを持つ例えば遮光性のアルミスラット群6L’)をそれぞれ昇降可能とする電動横型ブラインドである。
図9(b)に示す巻取ドラム51U,51Lは、
図1に示す実施形態と同様に、昇降コード3U,3Lの上端を巻き取り、或いは巻き戻すことにより、生地スラット群6U’及びアルミスラット群6L’を昇降させる。尚、それぞれ生地スラット群6U’における前後方向略中央部に挿通孔が設けられ、この挿通孔に昇降コード3U,3Lが挿通され、昇降コード3Uの下端は中間レール7Uに取着される。また、昇降コード3Lは、中間レール7Uを貫通し、アルミスラット群6L’における前後方向略中央部に設けられる挿通孔に挿通され、ボトムレール7Lに取着される。そして、ラダーコード12U,12Lの縦糸の相対移動により、それぞれ生地スラット群6U’及びアルミスラット群6L’を回動させることができるが、その機構についての説明は省略する。ヘッドボックス1内には、それぞれエンコーダー8U,8L及びモーター9U,9Lを配設している(図示略)。そして、ヘッドボックス1内に、DC電源11(図示略)と、
図2に示すものと同様の制御装置10が配設される。従って、
図9(b)に示す電動横型ブラインドについても、本発明による制御装置10の制御を適用できる。
【0098】
また、
図9(c)に示すように、上部遮蔽材は、下端に中間レール7Uを持つ例えば採光性生地による生地スラット群6U’とし、下部遮蔽材は、下端にボトムレール7Lを持つ側面視でジグザグ状(ハニカム状でもよい)の下部スクリーン6Lとした、ハイブリッド構成の電動遮蔽装置に、
図2に示すものと同様の制御装置10を配設してもよい。他のハイブリッド構成の電動遮蔽装置として、図示を省略するが、例えば、上部遮蔽材には、たくし上げカーテン式の遮蔽材とし、下部遮蔽材には、プリーツスクリーン式の遮蔽材とする等のハイブリッド構成の電動遮蔽装置に、
図2に示すものと同様の制御装置10を配設してもよい。これらハイブリッド構成の電動遮蔽装置についても、本発明による制御装置10の制御を適用できる。
【0099】
従って、本発明に係る電動遮蔽装置は、上述した実施形態の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によってのみ制限される。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明によれば、上下方向に連ねた複数段の遮蔽材を有する電動遮蔽装置として、各遮蔽材のそれぞれの開閉の同時制御を許容して、各遮蔽材の動作を高品質に制御することができるようになるので、電動遮蔽装置の用途に有用である。
【符号の説明】
【0101】
1 ヘッドボックス
2U,2L 駆動軸
3U 上部スクリーン用の昇降コード
3L 下部スクリーン用の昇降コード
5 支持部材
6U 上部遮蔽材(上部スクリーン)
6L 下部遮蔽材(下部スクリーン)
7U 中間レール
7L ボトムレール
8U,8L エンコーダー
9U,9L モーター
10 制御装置
11 DC電源
20U,20L 駆動軸連結器
25 操作装置
101 マイクロコンピュータ部
102 記憶部
103 通信インターフェース(IF)部
107U,107L モーター駆動部
108U,108L 異常検知部
109U,109L パルス検出部