(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072245
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】測定用ソケット
(51)【国際特許分類】
G01R 31/28 20060101AFI20220510BHJP
H01R 33/76 20060101ALI20220510BHJP
H01R 12/77 20110101ALI20220510BHJP
【FI】
G01R31/28 J
H01R33/76 Z
H01R12/77
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020181585
(22)【出願日】2020-10-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】312014155
【氏名又は名称】株式会社SDK
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100180976
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 一郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 信二
(72)【発明者】
【氏名】漆畑 宏樹
【テーマコード(参考)】
2G132
5E024
5E223
【Fターム(参考)】
2G132AA20
2G132AE04
2G132AF02
2G132AF06
2G132AJ07
2G132AL03
5E024CA22
5E223AA13
5E223AB25
5E223BA08
5E223CA15
5E223CD02
(57)【要約】
【課題】コネクタとコンタクト端子との接触精度を確保しつつコンタクト部の構成を容易にすること。
【解決手段】本発明の一態様は、フレキシブル基板に電子部品およびコネクタが接続された電子モジュールを測定対象とする測定用ソケットであって、複数のコンタクト端子を有するコンタクト部と、コンタクト部を支持するベース部と、フレキシブル基板を嵌め合わせる凹部、および凹部の中央部分に設けられる貫通孔を有し、ベース部に対して移動可能に取り付けられるガイド部とを備え、ガイド部は、コネクタに対して位置決めするコネクタ位置決め部と、コンタクト部に対して位置決めするコンタクト位置決め部とを有し、コネクタ位置決め部にコネクタを位置決めするとともにフレキシブル基板を凹部に嵌め込むと、ガイド部はコンタクト位置決め部にコンタクト部を位置決めさせながらベース部に近接するように移動して、コネクタとコンタクト部との接触が行われる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル基板に電子部品およびコネクタが接続された電子モジュールを測定対象とする測定用ソケットであって、
複数のコンタクト端子を有するコンタクト部と、
前記コンタクト部を支持するベース部と、
前記フレキシブル基板を嵌め合わせる凹部、および前記凹部の中央部分に設けられる貫通孔を有し、前記ベース部に対して移動可能に取り付けられるガイド部と、
を備え、
前記ガイド部は、前記コネクタに対して位置決めするコネクタ位置決め部と、前記コンタクト部に対して位置決めするコンタクト位置決め部とを有し、
前記コネクタ位置決め部に前記コネクタを位置決めするとともに前記フレキシブル基板を前記凹部に嵌め込むと、前記ガイド部は、前記コンタクト位置決め部に前記コンタクト部を位置決めさせながら、前記ベース部に近接するように移動して、前記コネクタと前記コンタクト部との接触が行われることを特徴とする測定用ソケット。
【請求項2】
前記ガイド部の前記貫通孔における、前記コネクタに対向する側の開口部の内側面に前記コネクタ位置決め部が設けられ、前記コンタクト部に対向する側の開口部の内側面に前記コンタクト位置決め部が設けられる、請求項1に記載の測定用ソケット。
【請求項3】
前記貫通孔には内側面から突出する隔壁片が設けられ、前記コネクタと前記コンタクト部とが対向接触するときに、前記隔壁片は、前記コネクタと前記コンタクト部との少なくとも一方に接して、前記貫通孔の貫通軸方向における前記コネクタと前記コンタクト部と位置関係を規定する、請求項2に記載の測定用ソケット。
【請求項4】
前記コンタクト部は、前記ベース部に対して着脱自在に取り付けられた、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の測定用ソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子モジュールの導通検査や特性測定などを行う際に用いられる測定用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IC等の電子部品の電気的な測定を行う際に用いられる測定用ソケット(以下、単に「ソケット」とも言う。)として、電子部品を一方向に押圧して位置決めするソケットが開示されている。例えば、特許文献1では、ICパッケージの表面を押圧して位置決めを行う半導体装置用ソケットが開示される。
【0003】
また、特許文献2には、ソケットカバーの電気部品を押圧する押圧動作に伴って操作され、収容部に収容された電気部品の位置決め部と反対側の隅角部にて直交する側面にそれぞれ点接触し、電気部品を位置決め部に対して片寄せする片寄せ手段を備えた電気部品用ソケットが開示される。
【0004】
また、特許文献3には、ソケット本体に、電気部品が押圧部材で押圧される前に、載置部の周縁部の一部に設けられた固定ガイド部に当接される電気部品の側面と反対側の側面を固定ガイド部の方向に押し、電気部品を固定ガイド部に当接させて所定の載置位置に位置決めする手段を備えた電気部品用ソケットが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-023164号公報
【特許文献2】特開2005-061948号公報
【特許文献3】特開2004-296155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子モジュールとして、フレキシブル基板に電子部品およびコネクタが接続されたものを測定対象とする測定用ソケットでは、電子モジュールを位置決めする際、電子部品の位置合わせとともに、フレキシブル基板に接続されたコネクタの複数の端子に、コンタクト部の複数のコンタクト端子を接触させる必要がある。このコンタクト部においては、複数のコンタクトピンのそれぞれが挿入される多数の孔を有しており、この孔の加工精度によってコンタクトピンの位置や進退動作の精度が決まることになる。このようなコンタクト部に細いコンタクトピンを挿入する微小な孔を多数接近させて加工することは非常に困難であり、測定用ソケットを製造する上で重要なポイントの一つとなっている。
【0007】
本発明は、フレキシブル基板に電子部品およびコネクタが接続された電子モジュールを測定対象と測定用ソケットにおいて、コネクタとコンタクト端子との接触精度を確保しつつコンタクト部の構成を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、フレキシブル基板に電子部品およびコネクタが接続された電子モジュールを測定対象とする測定用ソケットであって、複数のコンタクト端子を有するコンタクト部と、コンタクト部を支持するベース部と、フレキシブル基板を嵌め合わせる凹部、および凹部の中央部分に設けられる貫通孔を有し、ベース部に対して移動可能に取り付けられるガイド部と、を備え、ガイド部は、コネクタに対して位置決めするコネクタ位置決め部と、コンタクト部に対して位置決めするコンタクト位置決め部とを有し、コネクタ位置決め部にコネクタを位置決めするとともにフレキシブル基板を凹部に嵌め込むと、ガイド部は、コンタクト位置決め部にコンタクト部を位置決めさせながら、ベース部に近接するように移動して、コネクタとコンタクト部との接触が行われることを特徴とする測定用ソケットである。
【0009】
このような構成によれば、ガイド部に設けられた2つの位置決め部を介してコネクタとコンタクト部との位置合わせが行われるため、複数のコンタクト端子ごとの取付孔加工が不要となる。
【0010】
上記測定用ソケットにおいて、ガイド部の貫通孔における、コネクタに対向する側の開口部の内側面にコネクタ位置決め部が設けられ、コンタクト部に対向する側の開口部の内側面にコンタクト位置決め部が設けられることが好ましい。これにより、ガイド部をベース部に近づける方向に移動させることにより、コネクタおよびコンタクト部がそれぞれ貫通孔と嵌合して、コネクタとコンタクト部との位置合わせが行われる。この場合において、貫通孔には内側面から突出する隔壁片が設けられ、コネクタとコンタクト部とが対向接触するときに、隔壁片は、コネクタとコンタクト部との少なくとも一方に接して、貫通孔の貫通軸方向におけるコネクタとコンタクト部との位置関係を規定してもよい。
【0011】
上記測定用ソケットにおいて、コンタクト部は、ベース部に対して着脱自在に取り付けられることが好ましい。コンタクト部はコネクタと直接的に接触するため、所定回数使用すると摩耗により交換が必要になる。コンタクト部がベース部に対して着脱自在に取り付けられていることにより、コンタクト部の交換を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フレキシブル基板に電子部品およびコネクタが接続された電子モジュールを測定対象と測定用ソケットにおいて、コネクタとコンタクト端子との接触精度を確保しつつコンタクト部の構成を容易にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係る測定用ソケットを例示する斜視図である。
【
図3】測定対象の電子モジュールを例示する斜視図である。
【
図4】コンタクト領域の構成を例示する斜視図である。
【
図5】コンタクト領域の構成を例示する正面図である。
【
図6】コンタクト領域の構成を例示する分解斜視図である。
【
図7】コネクタ位置決め部を例示する斜視図である。
【
図8】コンタクト位置決め部を例示する斜視図である。
【
図9】参考例に係るコンタクト領域を例示する分解斜視図である。
【
図10】第2実施形態に係るコンタクト装置を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る測定用ソケットを例示する斜視図である。
図2は、コンタクト領域の拡大斜視図である。
図3は、測定対象の電子モジュールを例示する斜視図である。
図4は、コンタクト領域の構成を例示する斜視図である。
図5は、コンタクト領域の構成を例示する正面図である。
図6は、コンタクト領域の構成を例示する分解斜視図である。
【0016】
本実施形態に係る測定用ソケット1は、電子モジュール100の特性(電気的特性や光学的特性など)を測定するソケットである。測定用ソケット1は、測定対象となる電子モジュール100を搭載して位置決めし、電子モジュール100との接続(電気的な接続や光軸合わせなど)を行う。
【0017】
本実施形態では、測定対象となる電子モジュール100として、フレキシブル基板102に電子部品101およびコネクタ103が接続されたものが適用される。フレキシブル基板102には配線パターンが形成され、電子部品101とコネクタ103との間の通電がなされる。したがって、本実施形態の測定用ソケット1では、測定用ソケット1側のコンタクト端子412をコネクタ103の端子と接触させることによって、電子部品101に対する電気的な導通を得ることができる。
【0018】
電子部品101の例には受光素子やレンズなどの光学要素が設けられていてもよい。また、電子部品101の例には、電磁波や音波などの信号を用いて測定を行う電磁波・音波等計測部品も含まれる。すなわち、電子部品101には、イメージングデバイスまたは距離測定デバイスの少なくとも一方が含まれていてもよい。電子モジュール100の具体例としては、カメラモジュール、指紋読み取りモジュール、ToF(Time of Flight)、レーダセンサモジュール、超音波センサモジュール等が挙げられる。
【0019】
本実施形態に係る測定用ソケット1は、ベースプレート10と、ベースプレート10に対して回動可能に取り付けられるカバー20とを備える。なお、以下の説明において、ベースプレート10における電子モジュール100を搭載する面と直交する方向をZ方向、Z方向と直交する方向の1つをX方向、Z方向およびX方向と直交する方向をY方向ということにする。また、Z方向においてベースプレート10から離れる方向を上(上側)、近づく方向を下(下側)ともいうことにする。
【0020】
本実施形態では、ベースプレート10の一端に設けられたヒンジ81を介してカバー20が取り付けられる。カバー20は、ヒンジ81の軸85を中心として開閉動作可能に設けられる。カバー20はバネ86によって開く方向に付勢される。バネ86の付勢力に打ち勝ってカバー20を閉じて、爪26をベースプレート10に設けられたラッチ25に掛けることにより、カバー20は閉じた状態で固定される。
【0021】
ベースプレート10は、電子モジュール100を収容する収容部11を有する。収容部11は、電子部品101およびフレキシブル基板102の配置位置を決めるためのガイドの役目を果たす。ベースプレート10には、電子モジュール100のコネクタ103との接続を行うコンタクト領域40が設けられる。コンタクト領域40では、電子モジュール100のフレキシブル基板102の端部とコネクタ103とが位置決めされる。そして、カバー20を閉じることで、カバー20に設けられた押圧部21によりコネクタ103が押圧され、コネクタ103と測定用ソケット1との電気的な接続が行われる。
【0022】
コンタクト領域40には、コンタクト部41と、ベース部42と、ガイド部43とが設けられる。コンタクト部41は、本体41aと、本体41aに設けられた複数のコンタクト端子412とを有する。コンタクト端子412は、電子モジュール100のコネクタ103に設けられた端子と接触して、電子部品101に対する電気的な導通を得る。
【0023】
複数のコンタクト端子412は、本体41aの略中央に設けられた突出部41bに、コネクタ103の複数の端子の並びに対応して配置されている。本体41aは樹脂材料によって構成される。複数のコンタクト端子412は導電材料によって構成され、本体41aに埋め込まれている。コンタクト端子412の一部は突出部41bから露出している。
【0024】
本実施形態では、例えば、複数のコンタクト端子412を金型に挿入しておき樹脂材料を射出成形するインサート成形によってコンタクト部41を製造してもよいし、射出成形等によって予めコンタクト部41の本体41aを成形した後、突出部41bに複数のコンタクト端子412を埋め込むことでコンタクト部41を製造するようにしてもよい。いずれの製造方法であっても、コンタクト部41の本体41aに複数のコンタクト端子412のそれぞれを挿入する孔を高精度に加工する必要はなく、コンタクト部41を製造することができる。
【0025】
ベース部42は、コンタクト部41を支持する部材である。コンタクト部41は、本体41aにおいてベース部42の下側(ベースプレート10側)にネジ413によって固定される。ネジ413による固定によってコンタクト部41はベース部42に対して着脱自在(交換可能)に取り付けられる。コンタクト部41はコネクタ103と直接的に接触するため、所定回数使用すると摩耗により交換が必要になる。コンタクト部41がベース部42に対して着脱自在に取り付けられていることにより、コンタクト部41の交換を容易に行うことができる。
【0026】
ベース部42の中央部分には孔(ベース貫通孔42h)が設けられ、コンタクト部41の突出部41bはこのベース貫通孔42hに下側から挿入される。
【0027】
ベース部42の上側(コンタクト部41が挿入される側とは反対側)にはガイド部43が取り付けられる。ガイド部43は支柱431によってベース部42に相対移動可能に支持される。ベース部42とガイド部43との間にはバネ432が設けられ、ガイド部43をベース部42から離れる方向に付勢しているが、ガイド部43は支柱431によってベース部42から分離不能とされている。ガイド部43を上から押圧することで、ガイド部43はベース部42に近づく方向に移動する。ガイド部43の上からの押圧を解除すると、バネ432の付勢力によってガイド部43はベース部42から離れる方向に移動する。
【0028】
ガイド部43には、フレキシブル基板102を嵌め合わせる凹部43bが設けられる。凹部43bは、ベースプレート10の収容部11の一部となって電子モジュール100(
図2に示されるように、特に電子モジュール100のコネクタ103が設けられている側)を収容する。ガイド部43における下側(凹部43bの反対側)には凸部43aが設けられ、ベース部42の上側(ガイド部43側)には、ガイド部43の凸部43aと対応する凹部(ベース凹部42b)が設けられていてもよい。これにより、ガイド部43がベース部42側へ押し込まれた際、ガイド部43の凸部43aがベース部42のベース凹部42bに嵌まり、ガイド部43の上下方向の移動が安定化する。
【0029】
ガイド部43は、電子モジュール100のコネクタ103に対して位置決めするコネクタ位置決め部435と、コンタクト部41に対して位置決めするコンタクト位置決め部436とを有する。本実施形態では、凹部43bの底部分に、貫通軸方向がZ方向に沿う貫通孔43hが設けられ、この貫通孔43hを構成する内側面にコネクタ位置決め部435およびコンタクト位置決め部436が設けられる。
【0030】
すなわち、コネクタ位置決め部435は、貫通孔43hにおけるコネクタ103に対向する側の開口部の内側面に設けられる。一方、コンタクト位置決め部436は、貫通孔43hにおけるコンタクト部41に対向する側の開口部の内側面に設けられる。つまり、貫通孔43hの開口部の上側にコネクタ位置決め部435が設けられ、貫通孔43hの開口部の下側にコンタクト位置決め部436が設けられる。
【0031】
これにより、凹部43bにフレキシブル基板102を載置した状態で例えばカバー20を閉じ、押圧部21によってコネクタ103を押圧することで、コネクタ103は、貫通孔43hの上側からコネクタ位置決め部435に嵌め込まれて、ガイド部43に対して位置決めされる。
【0032】
また、押圧部21による押圧によってガイド部43がベース部42側に押し込まれる(ガイド部43がベース部42に近接するように移動する)。これによって、コンタクト部41の突出部41bは、貫通孔43hの下側からコンタクト位置決め部436に嵌め込まれて、ガイド部43に対して位置決めされる。
【0033】
したがって、ガイド部43の貫通孔43hの上下双方からコネクタ103およびコンタクト部41の突出部41bが位置決めされ、互いに対向して位置合わせが行われる。これにより、コネクタ103の端子とコンタクト部41のコンタクト端子412との接触精度が確保される。
【0034】
図7は、コネクタ位置決め部を例示する斜視図である。
図8は、コンタクト位置決め部を例示する斜視図である。
図7に示すように、コネクタ位置決め部435は、ガイド部43の貫通孔43hにおけるコネクタ103に対向する側の開口部の内側面に設けられる。また、
図8に示すように、コンタクト位置決め部436は、ガイド部43の貫通孔43hにおけるコンタクト部41に対向する側の開口部の内側面に設けられる。すなわち、1つの貫通孔43hの開口部の上側にコネクタ位置決め部435が設けられ、下側にコンタクト位置決め部436が設けられる。
【0035】
このように1つの貫通孔43hに2つの位置決め部の役目を持たせるため、貫通孔43hの上側の開口形状と下側の開口形状とが相違している。すなわち、貫通孔43hの上側の開口形状はコネクタ103を嵌合できる形状に設けられ、下側の開口形状はコンタクト部41の突出部41bを嵌合できる形状に設けられる。
【0036】
この貫通孔43hの上側の開口形状によってコネクタ位置決め部435が構成され、貫通孔43hの下側の開口形状によってコンタクト位置決め部436が構成される。これにより、貫通孔43hの上側から嵌め込まれるコネクタ103は、貫通孔43hの上側の開口形状によって位置決めされ、貫通孔43hの下側から嵌め込まれるコンタクト部41の突出部41bは、貫通孔43hの下側の開口形状によって位置決めされる。したがって、コネクタ103と突出部41bとは、1つの貫通孔43hにそれぞれ上下から嵌め込まれることで対向するとともにXY方向の位置関係が規定される。
【0037】
また、貫通孔43hのZ方向の途中には内側面から突出する隔壁片43dが設けられる。この隔壁片43dによって、貫通孔43hに嵌め込まれるコネクタ103およびコンタクト部41の突出部41bのそれぞれの嵌め込み深さが規制される。すなわち、貫通孔43hの上側から嵌め込まれるコネクタ103は隔壁片43dの位置まで嵌め込まれ、貫通孔43hの下側から嵌め込まれる突出部41bは隔壁片43dの位置まで嵌め込まれる。これにより、コネクタ103と突出部41bとは、1つの貫通孔43hにそれぞれ上下から嵌め込まれることで対向接触する際の、コネクタ103とコンタクト部41の突出部41bとの位置関係(Z方向(貫通孔43hの貫通軸方向)の位置関係)が規定される。
【0038】
上記のように、本実施形態では、1つの貫通孔43hによってコネクタ103とコンタクト部41の突出部41bとのXYZ方向の位置関係が規定されることになる。
【0039】
(参考例)
図9は、参考例に係るコンタクト領域を例示する分解斜視図である。
参考例に係るコンタクト領域400は、ベース部420とガイド部430とを備える。ガイド部430はベース部420の上にバネを介して上下動可能に取り付けられる。
【0040】
ガイド部430には、ベース部420に設けられた複数のコンタクトピンPのそれぞれを挿入するための孔430hが設けられる。各孔430hは独立して設けられており、各孔430hに1本ずつコンタクトピンPが挿入されている。
【0041】
また、ベース部420にもコンタクトピンPを挿入するための孔420hが設けられる。ガイド部430の凹部430bにコネクタ103が載置された状態でコネクタ103を上から押圧することにより、ガイド部430がベース部420側に押し込まれる。これにより、コンタクトピンPが孔430hから突出して、コネクタ103の端子と接触することになる。
【0042】
参考例に係るガイド部430では、この孔430hの加工精度によってコンタクトピンPの位置やガイド性能が決まる。近年ではコネクタ103の小型化や端子の狭ピッチ化によってコンタクトピンPを挿入する孔430hも小径かつ狭ピッチ化している。このような孔430hを高精度に加工することは非常に難易度が高い。さらに、隣り合う孔430hの間の壁が薄くなるため、時間をかけて丁寧に加工せざるを得ない。また、コンタクトピンPが劣化した場合、複数のコンタクトピンPが設けられたベース部420を交換することになるが、複数のコンタクトピンPをガイド部430のそれぞれの孔430hに挿入しなければならず、交換作業は容易ではない。
【0043】
本実施形態では、複数のコンタクト端子412が本体41aに埋め込まれたコンタクト部41を構成すればよい。したがって、コンタクト部41の本体41aに独立した複数の孔を小径かつ狭ピッチで高精度に加工する必要はない。また、1つの貫通孔43hにコンタクト部41の突出部41bを挿入するだけでよいため、コンタクト部41の交換作業は容易である。
【0044】
この貫通孔43hに設けられたコネクタ位置決め部435およびコンタクト位置決め部436によってコンタクト部41とコネクタ103との位置合わせが行われるため、コンタクト端子412とコネクタ103の端子との接触の位置精度を低下させることはない。
【0045】
(第2実施形態:コンタクト装置)
図10は、第2実施形態に係るコンタクト装置を例示する模式図である。
本実施形態に係るコンタクト装置500は、先に説明した測定用ソケット1と同様に、ベースプレート10、カバー20を備え、ベースプレート10に設けられたコンタクト領域40に、コンタクト部41、ベース部42およびガイド部43が設けられる。コンタクト装置500では、カバー20がベースプレート10に対して上下動するよう構成される。
【0046】
ベースプレート10には、電子モジュール100を収容する収容部11が設けられる。ベースプレート10には、例えば4箇所に支柱515が設けられている。カバー20は、この支柱515によって支持され、支柱515に沿って上下動可能に設けられる。支柱515にはバネ517が設けられており、カバー20を上方に付勢している。カバー20は、図示しない駆動機構によってバネ517の付勢力を超えた力で押し込まれることにより、ベースプレート10の上に被せられる。
【0047】
カバー20を下降することで押圧部21によってコネクタ103が押圧され、コネクタ103と測定用ソケット1との電気的な接続が行われる。この際、第1実施形態と同様に、ガイド部43の貫通孔43hの上下からコネクタ103およびコンタクト部41の突出部41bが位置決めされ、互いの位置合わせが行われることで、コネクタ103の端子とコンタクト部41のコンタクト端子412との接触が行われる。
【0048】
以上説明したように、実施形態によれば、フレキシブル基板102に電子部品101およびコネクタ103が接続された電子モジュール100を測定対象と測定用ソケット1において、コネクタ103とコンタクト端子412との接触精度を確保しつつコンタクト部41の構成を容易にすることが可能になる。
【0049】
なお、上記に本実施形態およびその具体例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、上記測定用ソケット1においては、ベースプレート10とカバー20との間にセンターカバーが設けられていてもよい。また、本実施形態では、ベースプレート10にコンタクト領域40(コンタクト部41、ベース部42およびガイド部43)が設けられている例を示したが、カバー20やセンターカバーにコンタクト領域40(コンタクト部41、ベース部42およびガイド部43)が設けられていてもよい。ベース部42とガイド部43との間にはバネ432が設けられているが、バネ432が設けられていなくてもよい。また、前述の実施形態またはその具体例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0050】
1…測定用ソケット
10…ベースプレート
11…収容部
20…カバー
21…押圧部
25…ラッチ
26…爪
40…コンタクト領域
41…コンタクト部
41a…本体
41b…突出部
42…ベース部
42b…ベース凹部
42h…ベース貫通孔
43…ガイド部
43a…凸部
43b…凹部
43d…隔壁片
43h…貫通孔
81…ヒンジ
85…軸
86…バネ
100…電子モジュール
101…電子部品
102…フレキシブル基板
103…コネクタ
400…コンタクト領域
412…コンタクト端子
413…ネジ
420…ベース部
420h…孔
430…ガイド部
430b…凹部
430h…孔
431…支柱
432…バネ
435…コネクタ位置決め部
436…コンタクト位置決め部
500…コンタクト装置
515…支柱
517…バネ
P…コンタクトピン