(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072278
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】情報印字シート
(51)【国際特許分類】
B42D 11/00 20060101AFI20220510BHJP
【FI】
B42D11/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020181633
(22)【出願日】2020-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】390027203
【氏名又は名称】株式会社中川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一色 譲
(57)【要約】 (修正有)
【課題】裏面に糊が付いた情報印字シートに、包装箱の表面などに貼りつけたときに剥がれにくい定着性と、包装箱から分離する必要がある部分を剥がすときの剥がしやすさの両方の機能を具備させる。
【解決手段】基紙2の表面側に疑似接着層3、裏面側に粘着剤層5をそれぞれ設け、疑似接着層3に上紙4を疑似接着し、粘着剤層5を剥離紙6で覆って3層構造の情報印字シートを形成する。疑似接着層3の一部の領域に、基紙2と上紙4が接着する接着領域33を設けて上紙4の剥離性を制限する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基紙の表面側に疑似接着層、裏面側に粘着剤層がそれぞれ設けられ、前記疑似接着層に上紙が疑似接着され、前記粘着剤層が剥離紙で覆われてなる情報印字シートにおいて、
前記疑似接着層の一部の領域に、基紙と上紙が接着する接着領域が設けられた構成を有することを特徴とする情報印字シート。
【請求項2】
基紙の表面側に疑似接着層、裏面側に粘着剤層がそれぞれ設けられ、前記疑似接着層に上紙が疑似接着され、前記粘着剤層が剥離紙で覆われた構成を有する平面視矩形状の情報印字シートにおいて、
前記上紙と基紙が、当該シートの一方の長手側辺から対向する他方の長手側辺に亘って上紙の表面から基紙の表面に至る深さで形成された少なくとも一つ以上の表側シート分断線によって複数のシート片に区画され、
前記基紙と剥離紙が、前記各表側シート分断線に沿って剥離紙の裏面から基紙の表面に至る深さで形成された裏側シート分断線により、前記各シート片に対応して区画されているとともに、
各シート片はその疑似接着層の一部の領域に、基紙と上紙が接着する接着領域が設けられた構成を有することを特徴とする情報印字シート。
【請求項3】
基紙の表面側に疑似接着層、裏面側に粘着剤層がそれぞれ設けられ、前記疑似接着層に上紙が疑似接着され、前記粘着剤層が剥離紙で覆われた構成を有する平面視矩形状の情報印字シートにおいて、
前記上紙と基紙が、当該シートの一方の長手側辺から対向する他方の長手側辺に亘って上紙の表面から基紙の表面に至る深さで形成された少なくとも一つ以上の表側シート分断線によって複数のシート片に区画され、
前記区画された複数のシート片のうち、
少なくとも当該シートの一方の短手側辺に面したシート片が、これと隣接したシート片との境界に設けられた前記表側シート分断線に沿って、剥離紙の裏面から基紙の表面に至る深さで形成された裏側シート分断線により、前記隣接したシート片から分離し得るように設けられているとともに、
このシート片の疑似接着層の一部の領域に、基紙と上紙が接着する接着領域が設けられた構成を有することを特徴とする情報印字シート。
【請求項4】
基紙の表面側に疑似接着層、裏面側に粘着剤層がそれぞれ設けられ、前記疑似接着層に上紙が疑似接着され、前記粘着剤層が剥離紙で覆われた構成を有する平面視矩形状の情報印字シートにおいて、
前記上紙と基紙が、当該シートの一方の長手側辺から対向する他方の長手側辺に亘って上紙の表面から基紙の表面に至る深さで形成された少なくとも一つ以上の表側シート分断線によって複数のシート片に区画され、
前記区画された複数のシート片のうちの少なくとも一つのシート片は、当該シート片の疑似接着層の一部の領域に基紙と上紙が接着する接着領域が設けられ、
前記接着領域が設けられたシート片は、これと隣接したシート片との境界に設けられた、剥離紙の裏面から基紙の表面に至る深さで形成された裏側シート分断線により、前記隣接したシート片から分離し得るように設けられた構成を有することを特徴とする情報印字シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏面に糊がついた情報印字シートに関する。
【背景技術】
【0002】
宅配荷物を送り主から受取主に送るにあたり、冊子などの薄く軽量な荷物(以下、「薄い荷物」ともいう。)は薄い品物用の梱包箱や状袋に入れ、比較的小さな荷物(以下、「通常荷物」ともいう。)は段ボール製の包装箱などに入れ、それぞれ外装に受取主の名前や住所などの配送情報を表面に印字した情報印字ラベルを貼り付けて荷物配送に供される。薄い荷物は受取主宅の郵便受けに入れて、郵便受けに入らない厚さのものは受取主に手渡して配達が完了し、通常荷物は受取主に手渡して、或いは受取主宅の宅配ロッカーに入れたり受取主が指定した荷物受取用のコンビニエンスストアに引き渡したりすることで配達が完了する。
【0003】
薄い荷物の配送に使用される情報印字シートとして、裏面に粘着剤が塗布されたラベルと剥離材であるセパレータからなる二層構造のシートであり、長尺なセパレータの表面に多数のラベルを配列して剥離可能に貼着した構成のものが知られている(例えば特許文献1参照)。
また、通常荷物の配送に使用される情報印字シートとして、基紙の表面側に剥離可能に上紙が接着され、基紙の裏面側には粘着剤が設けられ、粘着剤の表面を離型紙で被覆保護して構成された、三層構造の情報印字シートが知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-288946号公報
【特許文献2】特開2013-49215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配送情報が印字されたラベルをセパレータから剥離して薄い荷物の外装に貼り付けられる前記二層構造のシートは、荷物の外装に一体に固着されて荷物配送の途中で剥がれるようなことはない。
二層構造のシートの使用は、外装への定着性が良好な点がメリットではあるが、受取主が物品を梱包箱や状袋から取り出し、不要となった梱包箱や状袋を廃棄する際に、受取人の名前や居所に関する情報が他人に知られることを防ぐために前記梱包箱や状袋からラベルを剥がそうとしても剥がしにくいため、剥がす作業に時間がかかったり、剥がすのを諦めてラベル表面を黒色の油性ペンで塗りつぶすなどのラベルに印字された情報が知得されないようにするための他の手段を講じる必要があったりする点がデメリットであった。
【0006】
前記三層構造のシートは、情報が印字される上紙に受領証や配達票、貼付票などの帳票をレイアウトした配送用伝票として構成され、剥離紙を剥がして通常荷物の外装に貼り付けられる。
上紙は基紙の表面側に剥離可能に接着されているので、荷物配送の過程で受領証や配達票を基紙から随時剥がし取り、また、荷物の受取人が不要となった包装箱を廃棄する際にも、配送情報が印字された貼付票を簡単に剥がすことが可能である。前記二層構造のシートと異なって、剥がす操作に煩わしさを感じることはない。
【0007】
近時、受取主に荷物を手渡しで配達していた通常荷物の宅配で、受取主宅の玄関前や物置、軒下のスペースなどの受取主が指定する場所に荷物を置いて非対面で荷物を届ける、「置き配」と呼ばれる形式の配達が行われるようになってきている。
この置き配では、前記二層構造の情報印字シートが配送情報を表示するラベルとして使用されているが、前記のとおり、ラベルが荷物の外装に強く固着するため、包装箱を処分するときのラベルを剥がす操作に手間がかかるという問題があった。
【0008】
配送情報を印字したラベルを容易に剥がせる前記三層構造の情報印字シートを置き配に使用することも可能であるが、荷物が受取主宅に置き配にされた状態で、第三者によるラベルを剥がすいたずらを受ける虞がある。
置き配では、受取主による置き先の指定がないときは玄関が置き場所に設定され、受取主宅がアパートなどの集合住宅や団地などのときは、受取主が荷物を引き取るまでは、近所の住人や通行人など多くの人が玄関先に放置されている荷物を目にすることになる。その間は誰もが荷物を手にすることが可能な状況であり、子供や悪意のある者が荷物に近づいて受取主の名前などが印字されたラベルを剥がす事態が起きないとも限らない。
置き配されている荷物に貼られていたラベルが剥がされたのでは、受取主は自宅の玄関先に置かれた荷物が確かに自分宛てに送られた荷物であるかの確認ができず、荷物を引き取って良いか否かの問い合わせを配送業者にする必要が生じてしまう。
【0009】
本発明は従来の技術の有するこのような問題点に鑑み、裏面に糊が付いた情報印字シートに、包装箱の表面などに貼りつけたときに剥がれにくい定着性と、包装箱から分離する必要がある部分を剥がすときの剥がしやすさの両方の機能を具備させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため本発明の情報印字シートは、基紙の表面側に疑似接着層、裏面側に粘着剤層がそれぞれ設けられ、前記疑似接着層に上紙が疑似接着され、前記粘着剤層が剥離紙で覆われてなる情報印字シートにおいて、
前記疑似接着層の一部の領域に、基紙と上紙が接着する接着領域が設けられた構成を有することを特徴とする。
【0011】
これによれば、上記構成の情報印字シートを宅配荷物の宛名ラベルとして使用する場合、受取主の名前や住所などの配送情報をシート表面である上紙に印字して宛名ラベルを形成し、剥離紙を剥がして基紙の裏面側の粘着剤層を露出させ、これを宅配荷物の外装に貼り付けて荷物配送に供することができる。
宅配荷物に貼られた前記ラベルは、外装表面に基紙が粘着剤層を介して一体に貼り付き、この基紙の表面に配送情報が印字された上紙が疑似接着層を介して貼り付いている。基紙の表面に疑似接着している上紙は、疑似接着している部分を基紙から剥離することが可能であるが、疑似接着層の一部の領域に基紙と上紙が接着する接着領域が設けられていて、この接着領域は剥離不能となっている。配送過程で、宅配荷物を段積みするなどして前記ラベルに外力がかかったりラベル表面が擦れたりしても、上紙が基紙から完全に剥がれて分離するようなことはない。
【0012】
宅配荷物を受け取った受取人が包装箱を廃棄するときは、配送情報が印字されて基紙に疑似接着していた上紙を基紙から剥離して処分することができる。前記のとおり、疑似接着層の一部の領域に基紙と上紙が接着する接着領域が設けられ、上紙の接着領域に面する部分は剥離不能となっているが、接着領域は部分的でその他の部分は疑似接着していて剥離可能なので、上紙の配送情報が印字された殆どの部分を基紙から剥離除去することができ、包装箱に固着した基紙の側に印字情報が残ることはない。
上紙が剥離不能な部分を有して基紙に接着しているので、上紙を剥がす操作で全体をスムーズに剥がすようなことはできず、剥がしにくさを感じさせ、また、剥離不能な部分を含む上紙の全体を完全に剥がそうとした場合に時間がかかることから、置き配で玄関先に宅配荷物が放置されたような状況で第三者からラベルを剥がすいたずらを受けにくい構成のものとなる。
【0013】
また、本発明の情報印字シートは、基紙の表面側に疑似接着層、裏面側に粘着剤層がそれぞれ設けられ、前記疑似接着層に上紙が疑似接着され、前記粘着剤層が剥離紙で覆われた構成を有する平面視矩形状の情報印字シートであって、
前記上紙と基紙が、当該シートの一方の長手側辺から対向する他方の長手側辺に亘って上紙の表面から基紙の表面に至る深さで形成された少なくとも一つ以上の表側シート分断線によって複数のシート片に区画され、
前記基紙と剥離紙が、前記各表側シート分断線に沿って剥離紙の裏面から基紙の表面に至る深さで形成された裏側シート分断線により、前記各シート片に対応して区画されているとともに、
各シート片はその疑似接着層の一部の領域に、基紙と上紙が接着する接着領域が設けられた構成を有することを特徴とする。
これによれば、表裏のシート分断線に沿ってシートを分断すれば、前述した構成の宛名ラベルを複数枚形成することができる(後述の
図5、
図6参照)。
【0014】
また、本発明は、基紙の表面側に疑似接着層、裏面側に粘着剤層がそれぞれ設けられ、前記疑似接着層に上紙が疑似接着され、前記粘着剤層が剥離紙で覆われた構成を有する平面視矩形状の情報印字シートにおいて、
前記上紙と基紙が、当該シートの一方の長手側辺から対向する他方の長手側辺に亘って上紙の表面から基紙の表面に至る深さで形成された少なくとも一つ以上の表側シート分断線によって複数のシート片に区画され、
前記区画された複数のシート片のうち、
少なくとも当該シートの一方の短手側辺に面したシート片が、これと隣接したシート片との境界に設けられた前記表側シート分断線に沿って、剥離紙の裏面から基紙の表面に至る深さで形成された裏側シート分断線により、前記隣接したシート片から分離し得るように設けられているとともに、
このシート片の疑似接着層の一部の領域に、基紙と上紙が接着する接着領域が設けられた構成を有することを特徴とする。
これによれば、表側シート分断線と裏側シート分断線が重なった部分に沿ってシートを分断すれば、前述した構成の宛名ラベルを形成することができる(後述の
図7、
図8参照)。
【0015】
また、本発明の他の形態として、基紙の表面側に疑似接着層、裏面側に粘着剤層がそれぞれ設けられ、前記疑似接着層に上紙が疑似接着され、前記粘着剤層が剥離紙で覆われた構成を有する平面矩形状の情報印字シートにおいて、
前記上紙と基紙が、当該シートの一方の長手側辺から対向する他方の長手側辺に亘って上紙の表面から基紙の表面に至る深さで形成された少なくとも一つ以上の表側シート分断線によって複数のシート片に区画され、
前記区画された複数のシート片のうちの少なくとも一つのシート片は、当該シート片の疑似接着層の一部の領域に基紙と上紙が接着する接着領域が設けられ、
前記接着領域が設けられたシート片は、これと隣接したシート片との境界に設けられた、剥離紙の裏面から基紙の表面に至る深さで形成された裏側シート分断線により、前記隣接したシート片から分離し得るように設けられた構成を有するものとしてもよい。
これによれば、疑似接着層の一部の領域に接着領域が設けられたシート片を、これに隣接する他のシート片から分離して、前述した構成の宛名ラベルとして使用することが可能である。
【0016】
前記構成において、基紙と上紙が接着する接着領域は、疑似接着層の一部に設けることができ、具体的には上紙が基紙から剥離し得る機能を損なわない範囲で疑似接着層の形成面積の一部の面積を接着領域が占めていてればよい。疑似接着層内の上部や下部、或いは左右の偏った位置に接着領域を設けたり、疑似接着層内の上部に一部、下部に一部というように分散して複数個所が接着領域となるように設けたりしてもよい。
【0017】
また、上紙と基紙の間に設ける疑似接着層は、上紙裏面側にニス層、基紙表面側に接着剤層を形成する加工、或いはその逆に、上紙裏面側に接着剤層、基紙表面側にニス層を形成する加工をそれぞれ施して形成することができる。
或いは、疑似接着層は、感圧接着剤や感熱接着剤、再湿接着剤などの剥離可能な接着剤を用い、フレキソ法、グラビア法などの公知の印刷又はコーティング法によって適宜な厚みに塗布し、接着剤が乾燥していない状態で貼り合わせるウェット方式や熱圧着方式、感圧方式によって貼り合わせて形成してもよい。
【0018】
また、前記構成において、シート分断線は、シートを分断するために入れられた切れ目であるスリットやミシン目などにより形成することができる。綺麗に分断することができ且つ操作がしやすいことからスリットであることが好ましい。スリットは、その全体に切れ目を連続させたものの他、スリット線上にアンカット部を適宜断続的に配置した構成のものでもよい。表側シート分断線はスリット、裏側シート分断線はミシン目とするのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の情報印字シートの一実施形態の表面図である。
【
図2】
図1のシートのII-II線に沿った要部拡大端面図である。
【
図3】
図1の情報印字シートを宛名ラベルとして用いて包装箱に貼り付けた状態の外観図である。
【
図4】
図3の包装箱に貼られた宛名ラベルの上紙を剥がした状態の外観図である。
【
図5】本発明の情報印字シートの他の実施形態の表面図と裏面図である。
【
図6】
図5のシートの表面図における拡大縦断面図である。
【
図7】本発明の情報印字シートのさらに他の実施形態の表面図と裏面図である。
【
図8】
図7のシートの表面図における拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
前述のとおり、本発明の情報印字シートは、基紙と基紙の表面に疑似接着された上紙と基紙の裏面側に設けられた粘着剤層を被覆する剥離紙とが積層されてなる三層構造のシートであり、上紙と基紙の間の疑似接着層に接着領域を設けることで、上紙を基紙から剥がす操作の容易性と、上紙の基紙への定着性の相異なる二つの機能を備わるように構成したものである。
以下、本発明の好適な実施形態を、図面を参照して説明する。
【0021】
図1及び
図2は、本発明の一実施形態の情報印字シートを示している。
両図に示されるように、本形態の情報印字シート1は、基紙2の表面側に疑似接着層3、裏面側に粘着剤層5がそれぞれ設けられ、疑似接着層3に上紙4が疑似接着され、粘着剤層5が剥離紙6で覆われてなる平面視矩形のシートであり、前記疑似接着層3の一部の領域に、基紙2と上紙5が接着する接着領域33を設け、この接着領域33に面した上紙5の部分を基紙2から剥離不能となるように形成したものである。
【0022】
疑似接着層3は、基紙2の表面側全体に設けられた糊である接着剤層31と、上紙4の裏面側であって上紙4の下辺に沿った帯状に細長い領域を除く部分に設けられたニス層32が重なって形成されており、前記ニス層32が形成されていない領域で基紙2と上紙4が剥離不能に接着した接着領域33となっている。
【0023】
このように形成された本形態の情報印字シート1は、これを宅配荷物の宛名ラベルとして使用する場合、
図3に示されるように、受取主の名前や住所などの配送情報をシート表面である上紙4に印字して宛名ラベルを形成し、剥離紙6を剥がして基紙2の裏面側の粘着剤層5を露出させ、これを宅配荷物の包装箱PBに貼り付けて荷物配送に供することができる。
基紙2の表面に疑似接着している上紙4は、疑似接着している部分を基紙2から剥離することが可能であるが、疑似接着層3の一部の領域に接着領域33を設けてあるので、配送過程で上紙4が基紙2から完全に剥がれて分離するようなことはない。
【0024】
宅配荷物を受け取った受取人が包装箱PBを廃棄するときは、
図4に示されるように、配送情報が印字された上紙4を基紙2から剥離して処分することができる。前記のとおり、疑似接着層3に接着領域33が設けられ、上紙4の接着領域33に面する部分は剥離不能となっているが、接着領域33は上紙4の下辺に沿って部分的に設けられているので、上紙4の配送情報が印字された殆どの部分を基紙2から剥離除去することができ、包装箱PBに固着した基紙2の側に印字情報が残ることはない。
【0025】
図5及び
図6は、本発明の他の実施形態の情報印字シート1を示している。
図示した形態の情報印字シート1は、前記形態と同様に、基紙2の表面に疑似接着層3を介して疑似接着された上紙4と基紙2の裏面側に設けられた粘着剤層5を被覆する剥離紙6とが積層されてなる、全体が縦長矩形状の三層構造のシートであり、シートの表面側と裏面側に複数形成されたシート分断線7,8により、三つのシートに分断して使用できるように構成してある。
【0026】
詳しくは、情報印字シート1の上紙4と基紙2が、当該シートの一方の長手側辺から対向する他方の長手側辺に亘って上紙4の表面から基紙2の表面に至る深さで形成された二本の表側シート分断線7,7によって三つのシート片41,42,43に区画され、また、基紙2と剥離紙6が、前記表側シート分断線7,7に沿って剥離紙6の裏面から基紙2の表面に至る深さで形成された裏側シート分断線8,8によって前記三つのシート片41,42,43に対応して区画されており、各シート片の疑似接着層3内に基紙2と上紙4が接着する接着領域33を設けてある。
接着領域33は、区画された各シート片41,42,43の下辺に沿って帯状に配置してある。
【0027】
このように形成された本形態の情報印字シート1によれば、表裏のシート分断線7,8に沿ってシートを分断することで三つのシート片41,42,43が得られ、各シート片を前記
図1に示された情報印字シート1と同様にして使用することが可能である。なお、図示した形態では、三つのシート片41,42,43の各々の疑似接着層3内に基紙2と上紙4が接着する接着領域33を設けたが、これらシート片41,42,43のうちの何れか一つ又は二つのシート片に接着領域33を設けるようにしてもよい。
【0028】
図7及び
図8は、本発明のさらに他の実施形態の情報印字シート1を示しており、これは、宅配荷物を対面で受取主に引き渡す場合に使用される配送用伝票を、非対面で荷物を配達する宛名ラベルとして使用できるようにしたものである。
【0029】
詳しくは、図示されるように、情報印字シート(配送用伝票)1は、前記形態と同様に、基紙2の表面に疑似接着層3を介して疑似接着された上紙4と基紙2の裏面側に設けられた粘着剤層5を被覆する剥離紙6とが積層されてなる、全体が縦長矩形状の三層構造のシートであり、上紙4と基紙2が、当該シートの一方の長手側辺から対向する他方の長手側辺に亘って上紙4の表面から基紙2の表面に至る深さで形成された二本の表側シート分断線7,7によって三つのシート片41,42,43に区画して形成してある。
各シート片の上紙4には、上段のシート片からそれぞれ「受領証」、「配達票」、「貼付票」の文字が印刷され、通常の配送用伝票として使用するときには、各票の機能を果たすのに則した情報が印字されるようになっている。
【0030】
本形態の情報印字シート1では、前記区画されたシート片41,42,43のうち、当該シート1の下側の短手側辺に面したシート片43とその上側のシート片42を区画する表側シート分断線7に沿って、剥離紙6の裏面から基紙2の表面に至る深さで形成された裏側シート分断線8が設けてあり、この裏側シート分断線8に沿ってシート片43がシート片42から分離させることができるように形成してある。
そして、シート片43の疑似接着層3内であって当該シート片の下辺に沿って、基紙2と上紙4が接着する接着領域33が帯状に配置してある。
【0031】
このように形成された本形態の情報印字シート1によれば、宅配荷物を対面で受取主に引き渡す配送形態では、上紙4にレアウトされた各票に必要な配送情報を印字し配送用伝票を形成し、剥離紙6を剥がして基紙2の裏面側の粘着剤層5を露出させ、これを宅配荷物の外装に貼り付けて荷物配送に供することができる。
また、宅配荷物を非対面で配達する配送形態では、前記情報印字シート1のシート片43の上紙4に配送情報を印字して宛名ラベルを形成し、裏側シート分断線8に沿って情報印字シート1を分断してシート片43を分離する。そして、シート片43の裏面側の剥離紙6を剥がして粘着剤層5を露出させ、これを宅配荷物の外装に貼り付けて荷物配送に供することで、前記
図1に示された情報印字シート1と同様にして使用することが可能である。
【0032】
本発明の情報印字シートは、宛名ラベルや配送用伝票の他に様々なラベルや、それ以外の用途の帳票に利用可能である。
図示した各形態では、疑似接着層内の接着領域を、
図1の情報印字シートや
図5、
図7のシート片の下辺に沿って設けたが、上辺や左右側辺に沿って設けたり、シートやシート片の中央や周辺に設けたりしてもよい。また、接着領域を帯状に設ける他に、細線状や複数の列状、一塊の点状や多点状に設けてもよい。
図示した情報印字シートと配送用伝票の形態は本発明の実施態様の一例を示すものであり、本発明はこれに限定されず、利用する帳票やラベルの形態などに応じて適宜な形態で構成することが可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 情報印字シート、2 基紙、3 疑似接着層、31 接着剤層、32 ニス層、33 接着領域、4 上紙、41,42,43 シート片、5 粘着剤層、6 剥離紙、PB 包装箱