(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072366
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】乗降地点提案システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/0969 20060101AFI20220510BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20220510BHJP
G08G 1/005 20060101ALI20220510BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20220510BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20220510BHJP
【FI】
G08G1/0969
G01C21/26 A
G08G1/005
G01C21/26 P
G16Y10/40
G16Y40/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020181753
(22)【出願日】2020-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【弁理士】
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100192924
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 裕充
(72)【発明者】
【氏名】堀 敬滋
(72)【発明者】
【氏名】若林 賢
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 洋子
(72)【発明者】
【氏名】大橋 大
(72)【発明者】
【氏名】石川 健
(72)【発明者】
【氏名】前山田 信
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA02
2F129AA03
2F129DD12
2F129DD20
2F129DD24
2F129EE02
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF20
2F129FF57
2F129FF61
2F129HH12
2F129HH35
5H181AA01
5H181AA21
5H181BB04
5H181FF04
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
(57)【要約】
【課題】適切な乗降地点を提案する。
【解決手段】乗降地点提案システムSにおいて、制御部11を含み、制御部11は、車両2が停車する地点の1以上の候補を抽出し、1以上の候補のそれぞれにつき、車両2が停車してから車両2のドアが開くまでの時間と、ドアが閉まってから車両2が発車するまでの時間と、車両2の左側又は右側のドアの開閉回数と、車両2の運転者の駐車スキルと、周囲に現在停車している他車両の有無との少なくとも1つを判定し、判定結果から、車両2が停車する地点を提案する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗降地点提案システムにおいて、制御部を含み、前記制御部は、
車両が停車する地点の1以上の候補を抽出し、
前記1以上の候補のそれぞれにつき、前記車両が停車してから前記車両のドアが開くまでの時間と、前記ドアが閉まってから前記車両が発車するまでの時間と、前記車両の左側又は右側のドアの開閉回数と、前記車両の運転者の駐車スキルと、周囲に現在停車している他車両の有無との少なくとも1つを判定し、
判定結果から、前記車両が停車する地点を提案する、
乗降地点提案システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗降地点提案システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、待ち合わせをする者のスケジュールをあらかじめ入力しておくことなく、将来における適切な待ち合わせ場所を決定することができる待ち合わせ場所決定装置が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、待ち合わせ場所は滞在時間のみで決定される。上記特許文献1では、ドアの開閉の容易さなど、ニーズによって変わる条件に対応することができない。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、ニーズに対応した適切な乗降地点を提案することができる乗降地点提案システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る乗降地点提案システムは、
乗降地点提案システムにおいて、制御部を含み、前記制御部は、
車両が停車する地点の1以上の候補を抽出し、
前記1以上の候補のそれぞれにつき、前記車両が停車してから前記車両のドアが開くまでの時間と、前記ドアが閉まってから前記車両が発車するまでの時間と、前記車両の左側又は右側のドアの開閉回数と、前記車両の運転者の駐車スキルと、周囲に現在停車している他車両の有無との少なくとも1つを判定し、
判定結果から、前記車両が停車する地点を提案する、
乗降地点提案システム。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態による乗降地点提案システムによれば、ニーズに対応した適切な乗降地点を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】乗降地点提案システムとユーザ端末と車両との動作を示す概略図である。
【
図3】乗降地点提案システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示されるように、本実施形態の乗降地点提案システムSは、ネットワークを介してユーザ端末1と車両2とに通信可能に接続される。ユーザ端末1はユーザU01によって操作される。車両2はユーザU02によって運転される。ネットワークは、例えば移動体通信網とインターネットとを含む。
【0010】
図1では説明の簡便のため、乗降地点提案システムSとユーザ端末1とは1つずつ図示される。しかし、乗降地点提案システムSとユーザ端末1とのそれぞれの数はこれに限られない。例えば、本実施形態の乗降地点提案システムSが実行する処理は、分散配置された複数の乗降地点提案システムSによって実行されてよい。複数のユーザ端末1がユーザU01によって操作されてよい。
【0011】
乗降地点提案システムSは、データセンタなどの施設に設置される。乗降地点提案システムSは、クラウドコンピューティングシステム又はその他のコンピューティングシステムに属するサーバなどのコンピュータである。代替例として、乗降地点提案システムSは車両2に搭載されてよい。
【0012】
ユーザ端末1は、ユーザU01によって操作される端末である。ユーザ端末1は、例えば、携帯電話機、スマートフォン、ウェアラブル機器、若しくはタブレットなどのモバイル機器である。
【0013】
車両2は、例えば、マイクロモビリティ、ガソリン車、ディーゼル車、HV、PHV、EV、又はFCVなどの任意の種類の自動車を含む。車両2の各構成要素は、例えばCAN(Controller Area Network)等の車載ネットワーク又は専用線を介して、互いに通信可能に接続される。「HV」は、Hybrid Vehicleの略語である。「PHV」は、Plug-in Hybrid Vehicleの略語である。「EV」は、Electric Vehicleの略語である。「FCV」は、Fuel Cell Vehicleの略語である。車両2はユーザU02によって運転される。代替例として、車両2は、任意のレベルでその運転が自動化されてよい。自動化のレベルは、例えば、SAEのレベル分けにおけるレベル1からレベル5のいずれかである。「SAE」は、Society of Automotive Engineersの略語である。車両2は、MaaS専用車両でもよい。「MaaS」は、Mobility as a Serviceの略語である。
【0014】
図2を参照して、乗降地点提案システムSの内部構成が詳細に説明される。
【0015】
乗降地点提案システムSは、制御部11と通信部12と記憶部13とを含む。乗降地点提案システムSの各構成要素は、例えば専用線を介して互いに通信可能に接続される。
【0016】
制御部11は例えば、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)を含む1つ以上の汎用プロセッサを含む。制御部11は、特定の処理に特化した1つ以上の専用プロセッサを含んでよい。制御部11は、プロセッサを含む代わりに、1つ以上の専用回路を含んでもよい。専用回路は例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってよい。制御部11は、ECU(Electronic Control Unit)を含んでもよい。
【0017】
通信部12は、ネットワークに接続するための、1つ以上の有線又は無線LAN(Local Area Network)規格に対応する通信モジュールを含む。通信部12は、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、又は5G(5th Generation)を含む1つ以上の移動体通信規格に対応するモジュールを含んでよい。通信部12は、Bluetooth(登録商標)、AirDrop(登録商標)、IrDA、ZigBee(登録商標)、Felica(登録商標)、又はRFIDを含む1つ以上の近距離通信の規格又は仕様に対応する通信モジュール等を含んでよい。通信部12は、ネットワークを介して任意の情報を送信及び受信する。
【0018】
記憶部13は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせが含まれるが、これらに限られない。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。ROMは、例えば、EEPROMである。記憶部13は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部13は、制御部11によって分析又は処理された結果の情報を記憶してよい。記憶部13は、乗降地点提案システムSの動作又は制御に関する各種情報等を記憶してよい。記憶部13は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び組み込みソフトウェア等を記憶してよい。
【0019】
以下、本実施形態の乗降地点提案システムSで実行される処理が詳細に説明される。ここでは一例として、駅近くのデパートで買い物をしているユーザU01(例えば妻)が、ユーザU01を迎えに来るようにユーザU02(例えば夫)に依頼する場面が説明される。代替例として、乗降地点提案システムSは、指定された場所に運転者が同乗者を送り届ける場面にも適用可能である。
【0020】
ユーザU01はユーザ端末1を操作して、迎えに来るように要求する(
図1の「1.要求」参照)。ユーザ端末1は、乗降地点の提案要求を乗降地点提案システムSに送信する。加えてユーザ端末1は、ユーザ端末1の位置情報を乗降地点提案システムSに送信する。乗降地点提案システムSは提案要求を受信すると、ユーザ端末1の位置情報からユーザ端末1の位置を判定する。
【0021】
乗降地点提案システムSは、任意の複数の車両についてのデータを保持する。車両についてのデータとは例えば、1以上の任意の車両から取得された次のビッグデータであってよい。
・停車後に助手席、後部座席、又はトランクのドアが開閉するまでの時間
・助手席、後部座席又はトランクのドアが開閉してから発車するまでの時間
・助手席、後部座席、又はトランクの開閉回数
・車両の右側ドアと左側ドアのそれぞれの開閉回数
・運転者の駐車スキル
【0022】
乗降地点提案システムSは、ビッグデータを解析し、統計データを生成する。統計データは、天候、時刻、曜日等の条件別で生成されてよい。
【0023】
乗降地点提案システムSは、ユーザ端末1から提案要求を受信すると、統計データから、車両2が停車する地点の候補を抽出する。例えば乗降地点提案システムSは、ユーザ端末1の位置の周辺(例えば駅から所定距離内)にある地点から、車両の助手席、後部座席、又はトランクのドアの開閉回数が基準値を超える地点を抽出する(
図1の参照符号L参照)。このとき乗降地点提案システムSは、提案要求が受信されたときの天候、時刻、又は曜日と一致する条件での統計データを抽出してよい。これにより、提案要求が受信されたときの天候が例えば雨天であれば、統計データにならって、地下街からの出口付近の地点(すなわち雨に濡れにくい地点)が優先的に抽出される。
【0024】
追加的に又は代替的に乗降地点提案システムSは、1以上の候補のそれぞれにつき、統計データから、車両2が停車してから車両2のドアが開くまでの時間を判定(推定)する。乗降地点提案システムSは、判定された時間が基準値より短い地点を、停車後に即座に乗降しやすい地点として高い優先度で抽出してよい。
【0025】
追加的に又は代替的に乗降地点提案システムSは、1以上の候補のそれぞれにつき、統計データから、車両2のドアが閉まってから車両2が発車するまでの時間を判定する。乗降地点提案システムSは、判定された時間が基準値より短い地点を、乗降後に運転者が発車しやすい地点として高い優先度で抽出してよい。
【0026】
追加的に又は代替的に乗降地点提案システムSは、1以上の候補のそれぞれにつき、車両2の左側又は右側のドアの開閉回数を判定する。例えば左側通行の道路であれば、乗降地点提案システムSは、左側ドアの開閉回数が基準値より多い地点を、対向車又は後続車を気にせず乗降しやすい地点として、高い優先度で抽出してよい。
【0027】
追加的に又は代替的に乗降地点提案システムSは、1以上の候補のそれぞれにつき、車両2の運転者の駐車スキルを判定してよい。駐車スキルはユーザU02に関連付けて記憶部13にあらかじめ記憶されてよい。例えば駐車スキルは、縦列駐車が得意か否か、交通量の多い道路での運転が得意か否かを示してよい。乗降地点提案システムSは、ユーザU02が縦列駐車を苦手とする場合、縦列駐車が必要となる地点を、低い優先度で抽出してよい。乗降地点提案システムSは、ユーザU02が交通量の多い道路での運転を苦手とする場合、交通量の多い道路に沿った地点を、低い優先度で抽出してよい。
【0028】
追加的に又は代替的に乗降地点提案システムSは、1以上の候補のそれぞれにつき、周囲に現在停車している車両の数を判定してよい。乗降地点提案システムSは、判定された数が基準値より多い地点(すなわち混み合った地点)を、低い優先度で抽出してよい。
【0029】
追加的に又は代替的に乗降地点提案システムSは、車両2が次に向かう方向に沿った地点を、高い優先度で抽出してよい。乗降地点提案システムSは、タクシー等の特定の事業者についての統計データについては、低い優先度で抽出してよい。
【0030】
乗降地点提案システムSは、抽出された1以上の地点を提案する。具体的には乗降地点提案システムSは、ユーザ端末1及び車両2に対し、抽出された1以上の地点の情報を送信する(
図1の「2.提案」及び「3.提案」)。ユーザ端末1及び車両2は、それぞれの表示部において、1以上の地点を地図に重畳して表示してよい。このとき、優先度が高い地点だけが表示されてよいし、優先度が識別可能なように表示されてよい。この構成により、ユーザU01及びユーザU02は、どこで待ち合わせをすればよいかを容易に判断することができる。
【0031】
図3を参照して、本実施形態の乗降地点提案システムSによる制御方法が説明される。
【0032】
ステップS1にて乗降地点提案システムSは、ユーザ端末1から、乗降地点の提案要求を受信する。
【0033】
ステップS2にて乗降地点提案システムSは、統計データから、乗降地点の1以上の候補を抽出する。
【0034】
ステップS3にて乗降地点提案システムSは、1以上の候補のそれぞれにつき、車両2が停車してから車両2のドアが開くまでの時間と、ドアが閉まってから車両2が発車するまでの時間と、車両2の左側又は右側のドアの開閉回数と、車両2の運転者の駐車スキルと、周囲に現在停車している他車両の有無との少なくとも1つを判定する。
【0035】
ステップS4にて乗降地点提案システムSは、1以上の候補のそれぞれについての判定結果から、車両2が停車する地点を提案する。
【0036】
以上述べたように本実施形態によれば、乗降地点提案システムSは、車両2が停車する地点の1以上の候補を抽出し、1以上の候補のそれぞれにつき、車両2が停車してから車両2のドアが開くまでの時間と、ドアが閉まってから車両2が発車するまでの時間と、車両2の左側又は右側のドアの開閉回数と、車両2の運転者の駐車スキルと、周囲に現在停車している他車両の有無との少なくとも1つを判定する。乗降地点提案システムSは、判定結果から、車両2が停車する地点を提案する。この構成により乗降地点提案システムSは、発車の容易さ、ドアの開閉の容易さ、乗降の容易さ、駐車の容易さ等のニーズに対応した適切な乗降地点を提案することができる。もって送迎の際の安全性及び利便性が向上する。
【0037】
本開示が諸図面及び実施例に基づき説明されるが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行ってもよいことに注意されたい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。例えば、各手段又は各ステップに含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段又はステップを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0038】
例えば、上記の実施形態において、乗降地点提案システムSの機能又は処理の全部又は一部を実行するプログラムは、コンピュータで読取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読取り可能な記録媒体は、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体を含み、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又は半導体メモリである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記録したDVD(Digital Versatile Disc)又はCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記録媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行う。またプログラムの流通は、プログラムを任意のサーバのストレージに格納しておき、任意のサーバから他のコンピュータにプログラムを送信することにより行ってもよい。またプログラムはプログラムプロダクトとして提供されてもよい。本開示は、プロセッサが実行可能なプログラムとしても実現可能である。
【0039】
コンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラム又はサーバから転送されたプログラムを、一旦、主記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、主記憶装置に格納されたプログラムをプロセッサで読み取り、読み取ったプログラムに従った処理をプロセッサで実行する。コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行してもよい。コンピュータは、コンピュータにサーバからプログラムが転送される度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行してもよい。サーバからコンピュータへのプログラムの転送は行わず、実行指示及び結果取得のみによって機能を実現する、いわゆるASP型のサービスによって処理を実行してもよい。「ASP」は、application service providerの略語である。プログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものが含まれる。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【符号の説明】
【0040】
S 乗降地点提案システム
11 制御部
12 通信部
13 記憶部
1 ユーザ端末
2 車両