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  • 特開-化粧材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072370
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】化粧材
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/10 20060101AFI20220510BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
E04F15/10 104A
B32B27/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020181758
(22)【出願日】2020-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】塚本 貴之
(72)【発明者】
【氏名】池田 尚
【テーマコード(参考)】
2E220
4F100
【Fターム(参考)】
2E220AA23
2E220AA25
2E220AA51
2E220AB12
2E220BA04
2E220BB04
2E220BB05
2E220FA01
2E220GA02X
2E220GA24X
2E220GA30Z
2E220GB33X
2E220GB34X
2E220GB34Z
2E220GB35X
2E220GB35Z
4F100AC05A
4F100AC10A
4F100AK01A
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100DJ01A
4F100GB07
4F100HB00
4F100HB00B
4F100JA02A
4F100JK04A
4F100JK07A
(57)【要約】
【課題】例えば建築内装材、床材、建具、家電品の表面材等に用いられ、樹脂からなるセルカ構造を有し、強度に優れ、且つ施工時の負担が少ない軽量な樹脂板を用いた化粧材に関する。
【解決手段】基材層20と、基材層20に積層した化粧シート30と、からなる化粧材10であって、基材層20には、マイカ10~65wt%と、タルク5~60wt%とを含む樹脂からなるセルカ構造を有し、マイカとタルクとの合計が50~70wt%であり、
マイカは、アスペクト比が10以上であり、マイカの粒径が2~200μmであり、タルクの粒径が2~20μmである。また、基材層20の曲げ強度が、30MPa以上であっても良いし、基材層20の曲げ弾性が、2000~9000MPaであっても良いし、基材層20において、成形時の樹脂の流れ方向の線膨張係数又は幅方向の線膨張係数のいずれか少なくとも一方が、6.0×10-5以下であっても良い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、前記基材層に積層した化粧シートと、からなる化粧材であって、
前記基材層は、
マイカ10~65wt%と、タルク5~60wt%とを含む樹脂からなるセルカ構造を有し、
前記マイカと前記タルクとの合計が50~70wt%であり、
前記マイカは、アスペクト比が10以上であり、
前記マイカの粒径が2~200μmであり、前記タルクの粒径が2~20μmであることを特徴とする化粧材。
【請求項2】
前記基材層の曲げ強度が、30MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の化粧材。
【請求項3】
前記基材層の曲げ弾性が、2000~9000MPaであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧材。
【請求項4】
前記基材層において、成形時の樹脂の流れ方向の線膨張係数又は幅方向の線膨張係数のいずれか少なくとも一方が、6.0×10-5(1/℃)以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の化粧材。
【請求項5】
前記基材層の発泡倍率が、1.4~4倍であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の化粧材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建築内装材、床材、建具、家電品の表面材等に用いられ、樹脂からなるセルカ構造を有し、強度に優れ、且つ施工時の負担が少ない軽量な樹脂板を用いた化粧材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築内装材、床材、建具、家電品の表面材等の用途としては、合板やファイバーボード等の木質基材に化粧シートを貼り合わせたものが多く使用されている。
しかし、これらの化粧材は木質基材の吸放湿に由来する反りや虫食い、腐食といった物性状の問題があるほか、木質基材故に基材が重く、施工作業の負担が大きくなっている。
上記課題の対策として、熱可塑性樹脂と充填剤とを含有する樹脂成形体の開発が数多くなされてきた。
【0003】
その成形方法のひとつにセルカプロセスがある。
セルカプロセスは、特殊なダイを用いて表層部を固化させ、低発泡層を形成すると同時に、芯部に発泡層を形成する成形方法である(特許文献1の段落番号「0019」及び「0028」、並びに図1参照、特許文献2の段落番号「0030」及び段落番号「0031」、並びに図1参照)。
セルカプロセスで成形した樹脂成形体は、切削や釘打ち等の加工性に優れ、表層部が形成されるため、表面の平滑性や耐傷性が高く、又、発泡体であるため、軽量で施工の負担が小さく、断熱性が高いという特徴がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4206802号公報
【特許文献2】特許第3932883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記したセルカプロセスは、異形押出成形のプロセスなので、幅方向の寸法は流れ方向に対し短くなるため、線膨張も流れ方向と幅方向で異なる性能が必要になる。
このため、充填剤として流れ方向の寸法変化抑制効果の高い繊維状の木粉がよく用いられてきたが、繊維状充填剤を添加した樹脂成形体は広幅化が難しく、施工時の作業負担が重くなる上、経済面にも課題があった。
【0006】
鱗片状の充填剤を添加することで、流れ方向と幅方向両方の線膨張を抑制し、さらに充填剤の配合比率を上げることでその効果を高めることができるが、特に充填剤比率が50%以上となるような配合条件では、基材強度の低下や発泡性の悪化といった問題があった。
【0007】
一方、狭幅成形体は施工時の作業負担が重くなる上、経済的にも問題があるため、広幅成形体の開発が求められている。木粉等の繊維状の充填剤では、流れ方向と幅方向で線膨張に差がでるため広幅化が難しい。
上記の解決策としてアスペクト比の高い鱗片状の充填剤を高配合することで、樹脂の流れ方向及び幅方向の熱膨張・収縮を安定化し、狭幅から広幅まで成形可能になるが、一方で粘度の低下により、発泡性が悪化し、表面平滑性が悪化する。
【0008】
そこで、本発明は、強度に優れ、且つ施工時の負担が少ない軽量な樹脂板を用いた化粧材を提供することを目的とする。すなわち、本発明に係る化粧材は、発泡性と強度を損なうことなく、高い寸法安定性を有する樹脂板を用いたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る化粧材は、基材層と、前記基材層に積層した化粧シートと、からなる化粧材であって、前記基材層は、鱗片上の充填剤であるマイカ10~65wt%と、タルク5~60wt%とを含む樹脂からなるセルカ構造を有し、前記マイカと前記タルクとの合計が50~70wt%であり、前記マイカは、アスペクト比が10以上であり、前記マイカの粒径が2~200μmであり、前記タルクの粒径が2~20μmであることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る化粧材は、前記基材層の曲げ強度が、30MPa以上であることを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様に係る化粧材は、前記基材層の曲げ弾性が、2000~9000MPaであることを特徴とする。
本発明の一態様に係る化粧材は、前記基材層において、成形時の樹脂の流れ方向の線膨張係数又は幅方向の線膨張係数のいずれか少なくとも一方が、6.0×10-5(1/℃)以下であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る化粧材は、前記基材層の発泡倍率が、1.4~4倍であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、強度に優れ、且つ施工時の負担が少なく、軽量な樹脂板を用いた化粧材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係わる化粧材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
本発明の実施形態1について、以下に図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
(化粧材10)
図1中、10は、化粧材であり、化粧材10は、例えば建築内装材、床材、建具、家電品の表面材等に用いられる。
化粧材10は、図1に示すように、大別すると、次の2層から構成されている。
なお、次の各層については、後述する。
(1)基材層20
(2)化粧シート30
【0015】
(化粧材10の主な特徴)
化粧材10の主な特徴は、次の通りである。
(1)化粧材10は、基材層20と、基材層20に積層した化粧シート30と、からなる。
(2)基材層20には、マイカ10~65wt%と、タルク5~60wt%とを含む樹脂からなり、セルカ構造を有する。
マイカが10wt%以下では強度が低下し、タルクが5wt%以下ではガス抜けにより発泡が不均一になる。マイカが65wt%を超えたり、タルクが60wt%を超えると、充填剤の分散が悪くなり、強度が低下する他、溶融粘度が低下し、発泡性が悪化する。
【0016】
(3)マイカとタルクとの合計が50~70wt%である。
マイカとタルクとの合計が、50%未満では樹脂の線膨張係数が影響し、寸法安定性が低下する。70%を超えると、充填剤の分散が悪くなり、強度が低下する他、溶融粘度が低下し、発泡性が悪化する。
【0017】
(4)マイカは、アスペクト比が10以上である。
マイカは、好ましくは30以上であり、線膨張抑制と強度向上のために、アスペクト比の高い充填剤の使用が好ましい。
【0018】
(5)マイカの粒径が2~200μmであり、タルクの粒径が2~20μmである。
マイカは、2μm未満では樹脂への分散が悪化し、強度が低下し、200μmを上回ると強度や均質性、平面性が低下する。タルクは、2μm未満もしくは20μmを上回ると発泡を安定化させる効果が低下し、表面平滑性が悪化する。
化粧材10は、上記特徴を有することで、強度に優れ、且つ施工時の負担が少なく、軽量な基材層20である樹脂板を用いた化粧材10を提供できる。
【0019】
(基材層20)
基材層20は、熱可塑性樹脂及びマイカ、タルクを含み、セルカ構造を有する。
上記熱可塑性樹脂としては、例えばポリオレフィンや塩化ビニル系樹脂等を用いている。
基材層20の寸法は、例えば幅100mm以上、長さ500mm以上である。
基材層20は、図1に示すように、次の層から構成されている。
なお、次の各層については、後述する。
(1)発泡層21
(2)表層部22
(3)接着層23
【0020】
(化粧シート30)
化粧シート30は、例えばポリオレフィンや塩化ビニル系樹脂等の基材層20と同じ素材のシートに、例えば木目や抽象柄等の意匠を施したものである。
化粧シート30は、図1に示すように、次の3層から構成される。
なお、次の各層については、後述する。
(1)印刷層31
(2)ラミネート32
(3)トップコート33
なお、化粧シート30の各層は、上記した(1)~(3)に限定されず、図示しないが、トップコート33を省いても良いし、又、トップコート33の表面に、エンボス加工を施しても良い。
【0021】
(発泡層21)
発泡層21は、基材層20の芯材となり、熱可塑性樹脂及びマイカ、タルクを含む。
発泡方法は、例えば化学発泡、物理発泡、超臨界発泡等で発泡させ、発泡構造は、独立発泡、連続発泡等で発泡させ、発泡倍率が1.4~4.0倍である。
発泡倍率は、1.4倍を下回ると、基材が重くなるため施工負担の増加につながり、4.0倍を上回ると、基材強度が低下する。
【0022】
発泡倍率については、目的とする用途に応じて変化するが、化粧材10を、例えば住宅等の室内用の床材に使用する場合であれば、剛性や表面強度、耐傷付き性、耐圧痕性、断熱性、柔軟性、触感、歩行感、撓み性、施工性等の諸面のバランスを考慮すると、発泡層21の発泡倍率は1.4~4.0倍が好ましい。
【0023】
マイカ、タルクを熱可塑性樹脂に含ませることで、成形時の樹脂の流れ方向及び幅方向の熱膨張・収縮が安定化し、狭幅から広幅まで成形可能になる。
また、特にタルクに関してはセルカ構造を採用した際に発生する、粘度の低下による発泡性の悪化を防止する。
【0024】
(表層部22)
表層部22は、図1に示すように、発泡層21の上方及び下方に位置し、発泡層21の表面における剛性や表面強度等が向上する。
表層部22は、図面上、発泡層21と別層を形成する様に表現しているが、実際は発泡層21の表面とは連続的であり、界面は存在しない。
【0025】
また、表層部22は、発泡層21と同一組成の熱可塑性樹脂からなり、単一の工程で連続的且つ安定的に成形可能な成形方法として、セルカ法によることが最も好適である。
表層部22は、非発泡又は低発泡であり、これに対し、発泡層21は高発泡であり、表層部22と発泡層21とは連続構造を有している。
なお、表層部22を、発泡層21の上方及び下方に位置させたが、これに限定されず、図示しないが、一方だけでも良いし、或いは発泡層21の表面を取り囲むように形成しても良い。
【0026】
(接着層23)
接着層23は、表層部22の上面と、印刷層31の裏面との間に位置し、表層部22と印刷層31とを接合するものである。
接着層23に用いる接着剤については、必要な接着力を得られれば良く、種類は問わない。
【0027】
(印刷層31)
印刷層31は、接着層23の表面に位置し、例えばポリオレフィンや塩化ビニル系樹脂等の基材層20と同じ素材のシートに、例えば木目、石目、布目、抽象柄等の意匠を施したものである。
【0028】
(ラミネート32)
ラミネート32は、
ラミネート32は、印刷層31の表面に位置し、化粧シート30を支持するためのものである。ラミネート32は、例えばポリオレフィンや塩化ビニル系樹脂等の基材層20と同じ素材のシートを用いる。
【0029】
(トップコート33)
トップコート33は、ラミネート32の表面に位置し、耐薬品性、耐傷付き性、耐へこみ性等の耐久性を向上させるように表面を保護するものである。
また、トップコート33の表面に、エンボス加工を施しても良い。化粧材10の表面に、エンボス加工を施すことで、触感による立体感をより感じさせる構成とすることができる。
エンボス模様としては、図示しないが、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
【0030】
(化粧シート30の素材)
印刷層31を有する化粧シート30の素材については、基材層20と同系の熱可塑性樹脂を用いることと、木目等の意匠の印刷が施されていることで、化粧シート30自体の構成については何ら制約を受けるものではない。
【0031】
例えば着色シートに印刷を施した単層化粧シート、着色シートに印刷を施したシートに透明シートをドライラミネート法、エクストルージョンラミネート法、熱ラミ法などによって貼り合わせた復層化粧シート、透明シートの裏面に印刷を施したバック刷り単層化粧シートなどから用途に応じて適宜選択が可能である。
このとき、化粧シートに十分な隠蔽性があれば安定な意匠の再現が達成され、逆に化粧シート30が透明性を有する場合は、木質製の基材層20の木質感を生かした意匠表現が可能になる。
【0032】
(化粧シート30のインキ)
化粧シート30の印刷に用いられるインキは、バインダーとして、硝化綿、セルロース、塩化ビニル- 酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル系等の単独もしくは各変性物の中から適宜選定すれば良い。
これらは水性、溶剤系、エマルジョンタイプのいずれでも問題なく、また1 液タイプでも硬化剤を使用した2液タイプでも任意に選定可能である。
さらに、紫外線や電子線等の照射によりインキを効果させることも可能である。
中でも最も一般的な方法は、ウレタン系のインキにおいてイソシアネートで硬化させる方法である。
【0033】
(添加剤について)
これらバインダー以外には、通常のインキに含まれている顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、各種添加剤が添加されている。
特によく用いられる顔料には縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリノン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等がある。
【0034】
また、いずれの化粧シートにおいても、基材層20への貼り合わせのためのプライマーコートや表面保護や艶調整のためのトップコート、エンボス法やグロスマット法等による導管表現等が施されていても構わない。
また、印刷層31に用いる添加剤も、基材層20と同様なものが使用可能である。
【0035】
(熱可塑性樹脂について)
基材層20や化粧シート30に用いる熱可塑性樹脂については、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、アクリル、ポリ塩化ビニル等の樹脂から適宜選択が可能であるが、焼却時のダイオキシンの発生や埋め立て時等の環境ホルモンの流出、部材としての耐候性や耐熱性、薬品や溶剤に対する耐性等の性能を満たすためには熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であることが望ましい。
【0036】
(ポリオレフィンについて)
ここで用いられる「ポリオレフィン」は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、エチレン- プロピレン共重合体、エチレン- 酢ビ共重合体、エチレン- α オレフィン共重合体、プロピレン- α オレフィン共重合体、エチレン- エチルアクリレート共重合体やこれらを接着性の向上の目的で酸変成したもの、アイオノマー等から適宜選択が可能で単一でも複数種の混合でも構わない。
ただし、リサイクル後の物性を維持するためには出来るだけ相溶性が良い方が良好な結果を示すため、例えばポリエチレンとポリプロピレンの場合、積層等、非相溶系の樹脂が混在する場合は、これらを相溶させる例えばエチレン- プロピレン共重合体などを配合することがより望ましい。
【0037】
また、特に接着性を高めるためには、酸変成した樹脂の配合比を高め、樹脂自体に極性を持たせると共に、充填剤との接着性を高めることが望ましい。
発泡性を良くするには、溶融張力が高いことが望ましいが、セルカプロセスにおいてはシート成形や通常の異形発泡押出成形に比べると低溶融張力の樹脂でも良好な発泡が可能である。
【0038】
ただし、特に木粉を高充填したときのガス抜けなどが気になる場合は、電子線架橋による長鎖分岐を導入したグレードの利用や、分子量分布のコントロール、又、溶融張力を上昇させるフッ素系添加剤のブレンド等、公知の方法で必要に応じて溶融張力を調整することが望ましい。
【0039】
(添加剤)
添加剤としては、必要の応じ、熱安定剤、酸中和剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、染料等の着色剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、難燃剤、ブロッキング防止剤、半透明化のための光散乱剤、艶調整剤等を添加することもできる。
これらの添加剤のうち、熱安定剤としてはヒンダードフェノール系、硫黄系、リン系等、酸中和剤としてはステアリン酸金属塩、ハイドロタルサイト等、紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等、光安定剤としてはヒンダードアミン系等、難燃剤としてはハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、塩素系難燃剤等、充填剤としては炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、アルミナ、タルク、マイカ、珪酸マグネシウム、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化鉄、カーボンブラック、金属粉等、滑剤としては炭化水素系滑剤、脂肪酸、高級アルコール系、脂肪酸アマイド系、金属石鹸系、エステル系、フッ素系等、造核剤としてはカルボン酸金属塩系、ソルビトール系、リン酸エステル金属塩系等、顔料としては縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリノン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等があり、これらの添加剤を任意の組み合わせで用いるのが一般的である。
【0040】
(発泡の手法)
発泡の手法については、公知の手法がいずれも利用できる。
一般的には熱分解や化学反応によってガスを発生する化学発泡と、低沸点の液体に熱をかけて気化させる物理発泡に分類できる。化学発泡剤としては無機系の重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、ホウ化水素ナトリウム、軽金属、アジド化合物等、又、有機発泡剤としてはアゾ系、ニトロソ系、ヒドラジド系等が任意の組み合わせで使用できる。
また、特に2倍を越える高発泡倍率での発泡には主に物理発泡が用いられ、発泡剤としては炭酸ガスや脂肪族炭化水素が主に用いられる。
また、物理発泡に際しても発泡体のセル形状を整えるため化学発泡剤を併用することが多い。
【0041】
(同系の熱可塑性樹脂)
同系の熱可塑性樹脂とは、混合しても大きな物性変化を伴わず、リサイクルが可能であることが好ましい。
具体的には、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリカーボネート系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリビニルアルコール系、アクリル系、ポリ塩化ビニル系が挙げられ、例えばポリオレフィン系樹脂であればポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、エチレン- プロピレン共重合体、エチレン- 酢ビ共重合体、エチレン- α オレフィン共重合体、プロピレン- α オレフィン共重合体、エチレン- エチルアクリレート共重合体やこれらを接着性の向上の目的で酸変成したもの、アイオノマー等から適宜選択が可能でこれらの中から選ばれる同種又は異種の樹脂を、基材層20用及び化粧シート用として使用することができる。
【0042】
(混練の方法)
充填剤とタルクと熱可塑性樹脂との混練は、特に方法を問わないが、バンバリーミキサーやヘンシェルミキサーによって混練し、ペレタイザーでペレット化する方法や、2軸押出混練機によって混合、ペレット化する方法が一般的である。
また、充填剤及びタルクは、含水率が大きいと、成形時に発泡の原因となるために、混練前に予め乾燥機やホッパードライヤーで含水率8%以下に押さえることが望ましい。
充填剤とタルクを別々に混練、ペレット化し、成形時に適宜ブレンドしても構わない。
化粧材10をリサイクルする場合は、破砕した化粧材10に必要に応じて充填剤、タルク、熱可塑性樹脂、各種添加剤などを加えて再度ペレット化する。
この場合も特に方法は問わない。
また、基材層20を成形するのと同時に、充填剤と樹脂を混練しても構わない。
【0043】
(セルカ構造)
セルカ構造は、セルカ法により得られる構造や、それと同等の構造のことである。
セルカ法とは、冷却サイジング金型の入口寸法とほぼ同一若しくは若干小さめの出口寸法を有する押出金型を使用して、押出金型の出口と冷却サイジング金型の入口とをほぼ密着させた状態で、押出金型から発泡性の樹脂組成物を押し出すことで、発泡性の樹脂組成物を発泡が殆ど進行していない状態で冷却サイジング金型に導入して、主に該冷却サイジング金型の内部で発泡させる発泡押出成形法である。
【0044】
セルカ構造は、上記方法による構造に限らず、少なくとも一部の表層部22が非発泡又は低発泡であり、発泡層21が高発泡であり、非発泡又は低発泡の表層部22と発泡層21が同一組成の熱可塑性樹脂からなり、発泡層21と表層部22が連続構造を有していることが特徴である。
【0045】
(化粧材10の製造方法)
上記構成を有する化粧材10の製造方法について説明する。
基材層20と、化粧シート30とをそれぞれ製造し、図1に示すように、化粧シート30の印刷層31の裏面に、基材層20の接着層23の表面を接着し、化粧材10を製造する。
【0046】
(実施形態1の作用・効果)
実施形態1の作用・効果は、次の通りである。
(1)本実施形態1の一態様は、基材層20と、基材層20に積層した化粧シート30と、からなる化粧材10であって、基材層20には、マイカ10~65wt%と、タルク5~60wt%とを含む樹脂からなるセルカ構造を有し、マイカとタルクとの合計が50~70wt%であり、マイカは、アスペクト比が10以上であり、マイカの粒径が2~200μmであり、タルクの粒径が2~20μmである。
実施形態1によれば、強度に優れ、且つ施工時の負担が少なく、軽量な樹脂板を用いた化粧材を提供することができる。
【0047】
(2)本実施形態1の一態様は、基材層20の曲げ強度が、30MPa以上である。
基材層20の曲げ強度が、30MPa未満の場合には、基材強度が低下する。
(3)本実施形態1の一態様は、基材層20の曲げ弾性が、2000~9000MPaである。
曲げ弾性率が2000MPa未満では剛性や表面硬度が不足し、耐傷付き性や耐圧痕性が悪化する。曲げ弾性率が9000MPaを超えると基材が硬くなり、歩行感の悪化や、曲げ強度の低下が起こる。
【0048】
(4)本実施形態1の一態様は、基材層20において、成形時の樹脂の流れ方向の線膨張係数又は幅方向の線膨張係数のいずれか少なくとも一方が、6.0×10-5(1/℃)以下である。
線膨張係数又は幅方向の線膨張係数のいずれか少なくとも一方が、すなわち、流れ方向の一方、幅方向の一方、流れ方向及び幅方向の両方が6.0×10-5を上回ると寸法安定性が損なわれ、反りや突き上げ、目すきのリスクが上がる。
【0049】
(5)本実施形態1は、基材層20の発泡倍率が、1.4~4倍である。
発泡倍率は、1.4倍を下回ると、基材が重くなるため施工負担の増加につながり、4倍を上回ると、基材強度が低下する。
発泡倍率については、目的とする用途に応じて変化するが、化粧材10を、例えば住宅等の室内用の床材に使用する場合であれば、剛性や表面強度、耐傷付き性、耐圧痕性、断熱性、柔軟性、触感、歩行感、撓み性、施工性等の諸面のバランスを考慮すると、発泡層21の泡倍率は1.4~4.0倍が好ましい。
【実施例0050】
以下、実施例1~実施例12及び比較例1~比較例11を示して、本実施形態1について更に具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例1~実施例12に限定されるものではない。
【0051】
(実施例1)
実施例1の主な条件は、次の表1の通りである。
なお、次の表1には、実施例1の外、実施例2~12、並びに比較例1~比較例11の条件についても併記している。
【表1】
【0052】
実施例1は、上記表1の通り、ポリプロピレン29重量部、充填剤60重量部、マレイン酸変性ポリプロピレン1重量部を二軸混錬機によって混合、ペレット化した。このペレットを重曹-クエン酸系発泡剤による化学発泡にて2.6倍に発泡させて、セルカプロセスにより厚さ5mmの直方体形状に成形し、実施例1の化粧材のうち、基材層を製作した。
【0053】
実施例1の条件は、上記表1に示すように、次の通りである。
(1)基材層で用いたマイカのアスペクト比:80
(2)基材層の全体の重量に対し、マイカとタルクとの合計の配合重量の比率(wt%):60wt%
(3)マイカの配合比率(wt%):30wt%
(4)タルクの配合比率(wt%):30wt%
(5)マイカの粒径(μm):60μm
(6)タルクの粒径(μm):9μm
【0054】
(実施例2)
実施例2は、実施例1のマイカのアスペクト比、「80」から「10」に低下させた外、実施例1と同様に、実施例2の基材層を製作した。
【0055】
(実施例3~実施例8)
実施例3~実施例8は、上記表1に示すように、実施例1のマイカのアスペクト比に加え、マイカとタルクの配合比率を変更した。
実施例3は、マイカのアスペクト比を「80」、マイカとタルクとの合計の配合重量の比率を「50」、マイカの配合比率を「25」、タルクの配合比率を「25」に変化させた外、実施例1と同様に、実施例3の基材層を製作した。
【0056】
(実施例4)
実施例4は、マイカとタルクとの合計の配合重量の比率を「70」、マイカの配合比率を「35」、タルクの配合比率を「35」に変化させた外、実施例1と同様に、実施例4の基材層を製作した。
【0057】
(実施例5)
実施例5は、マイカとタルクとの合計の配合重量の比率を「70」、マイカの配合比率を「65」、タルクの配合比率を「5」に変化させた外、実施例1と同様に、実施例5の基材層を製作した。
【0058】
(実施例6)
実施例6は、マイカとタルクとの合計の配合重量の比率を「60」、マイカの配合比率を「10」、タルクの配合比率を「50」に変化させた外、実施例1と同様に、実施例6の基材層を製作した。
【0059】
(実施例7)
実施例7は、マイカとタルクとの合計の配合重量の比率を「70」、マイカの配合比率を「10」、タルクの配合比率を「60」に変化させた外、実施例1と同様に、実施例7の基材層を製作した。
【0060】
(実施例8)
実施例8は、マイカとタルクとの合計の配合重量の比率を「60」、マイカの配合比率を「55」、タルクの配合比率を「5」に変化させた外、実施例1と同様に、実施例8の基材層を製作した。
【0061】
(実施例9~実施例12)
実施例9~実施例12は、上記表1に示すように、実施例1のマイカのアスペクト比及びマイカとタルクの配合比率に加え、マイカとタルクの粒径を変更した。
実施例9は、マイカのアスペクト比を「85」、マイカとタルクとの合計の配合重量の比率を「60」、マイカの配合比率を「30」、タルクの配合比率を「30」、マイカの粒径を「200」、タルクの粒径を「9」に変化させた外、実施例1と同様に、実施例9の基材層を製作した。
【0062】
(実施例10)
実施例10は、マイカのアスペクト比を「12」、マイカとタルクとの合計の配合重量の比率を「60」、マイカの配合比率を「30」、タルクの配合比率を「30」、マイカの粒径を「2」、タルクの粒径を「9」に変化させた外、実施例1と同様に、実施例10の基材層を製作した。
【0063】
(実施例11)
実施例11は、マイカのアスペクト比を「80」、マイカとタルクとの合計の配合重量の比率を「60」、マイカの配合比率を「30」、タルクの配合比率を「30」、マイカの粒径を「60」、タルクの粒径を「20」に変化させた外、実施例1と同様に、実施例11の基材層を製作した。
【0064】
(実施例12)
実施例12は、マイカのアスペクト比を「80」、マイカとタルクとの合計の配合重量の比率を「60」、マイカの配合比率を「30」、タルクの配合比率を「30」、マイカの粒径を「60」、タルクの粒径を「2」に変化させた外、実施例1と同様に、実施例12の基材層を製作した。
【0065】
(比較例1)
比較例1は、実施例1のマイカのアスペクト比を、「80」から「9」に低下させた外、実施例1と同様に、比較例1の基材層を製作した。
【0066】
(比較例2~比較例7)
比較例2~比較例7は、上記表1に示すように、実施例1のマイカとタルクの配合比率を変更した。
比較例2は、マイカとタルクとの合計の配合重量の比率を「40」、マイカの配合比率を「20」、タルクの配合比率を「20」に変化させた外、実施例1と同様に、比較例2の基材層を製作した。
【0067】
(比較例3)
比較例3は、マイカとタルクとの合計の配合重量の比率を「80」、マイカの配合比率を「40」、タルクの配合比率を「40」に変化させた外、と同様に、比較例3の基材層を製作した。
【0068】
(比較例4)
比較例4は、マイカとタルクとの合計の配合重量の比率を「70」、マイカの配合比率を「66」、タルクの配合比率を「4」に変化させた外、比較例2と同様に、比較例4の基材層を製作した。
【0069】
(比較例5)
比較例5は、マイカとタルクとの合計の配合重量の比率を「60」、マイカの配合比率を「9」、タルクの配合比率を「51」に変化させた外、比較例2と同様に、比較例5の基材層を製作した。
【0070】
(比較例6)
比較例6は、マイカとタルクとの合計の配合重量の比率を「70」、マイカの配合比率を「9」、タルクの配合比率を「61」に変化させた外、比較例2と同様に、比較例6の基材層を製作した。
【0071】
(比較例7)
比較例7は、マイカとタルクとの合計の配合重量の比率を「60」、マイカの配合比率を「56」、タルクの配合比率を「4」に変化させた外、比較例2と同様に、比較例7の基材層を製作した。
【0072】
(比較例8~11)
比較例8~11は、上記表1に示すように、実施例1のマイカのアスペクト比に加え、マイカとタルクの粒径を変更した。
比較例8は、マイカのアスペクト比を「100」、マイカの粒径を「120」、タルクの粒径を「9」に変化させた外、実施例1と同様に、比較例8の基材層を製作した。
【0073】
(比較例9)
比較例9は、マイカのアスペクト比を「10」、マイカの粒径を「1」、タルクの粒径を「9」に変化させた外、実施例1と同様に、比較例9の基材層を製作した。
【0074】
(比較例10)
比較例10は、マイカの粒径を「60」、タルクの粒径を「21」に変化させた外、実施例1と同様に、比較例10の基材層を製作した。
【0075】
(比較例11)
比較例11は、マイカの粒径を「60」、タルクの粒径を「1」に変化させた外、実施例1と同様に、比較例11の基材層を製作した。
【0076】
(評価項目)
評価項目は、次の5項目である。
なお、次の評価項目については後述する。
(1)基材層の曲げ強度(Mpa)
(2)基材層の曲げ弾性(Mpa)
(3)基材層の成形時の樹脂の流れ方向(MD)の線膨張係数(MD×10-5)[1/℃]
(4)上記した(3)と同じく、幅方向(TD)の線膨張係数(TD×10-5)[1/℃]
(5)基材層の発泡倍率
【0077】
(基材層の曲げ強度)
基材層の曲げ強度は、2段階で評価し、30MPa以上を「○」、合格とし、それ以外、すなわち30MPa未満を「×」、不合格とした。
【0078】
(基材層の曲げ弾性)
基材層の曲げ弾性は、2段階で評価し、2000~9000MPaの範囲以内を、「○」、それ以外、すなわち2000MPa未満、或いは9000MPaを超える場合を「×」、不合格とした。
【0079】
(流れ方向(MD)の線膨張係数)
上記の実施例1から実施例10及び比較例1から比較例9について、線膨張係数の評価を行った。線膨張係数の評価は、熱機械分析装置TMA(製品名)を用い、10℃~70℃の温度域における線膨張係数を算出することによって行った。
流れ方向(MD)の線膨張係数は、2段階で評価し、6.0×10-5(1/℃)以下である場合を、「○」、合格とし、それ以外、すなわち6.0×10-5(1/℃)を超える場合を「×」、不合格とした。
【0080】
(幅方向(TD)の線膨張係数)
幅方向(TD)の線膨張係数は、2段階で評価し、6.0×10-5(1/℃)以下である場合を、「○」、合格とし、それ以外、すなわち6.0×10-5(1/℃)を超える場合を「×」、不合格とした。
【0081】
(基材層の発泡倍率)
基材層の発泡倍率は、1.4~4倍の範囲以内を、「○」、それ以外、すなわち1.4倍未満、或いは4倍を超える場合を「×」、不合格とした。
【0082】
(評価結果)
結果を表2に示す通りである。
【表2】
【0083】
5項目のすべてが合格したのは、上記した表2に示す通り、実施例1~実施例12である。
これに対し、比較例1~比較例11は、すべて不合格であった。
【0084】
(曲げ強度について)
比較例1~比較例11のうち、一つ目の曲げ強度が、不合格のものは、比較例3、比較例8~比較例11の5個であった。
比較例3は、曲げ強度の30MPa未満であるのに対し、「15Mpa」で低すぎ、「×」で、不合格である。また、残る比較例8~比較例11も、同様に、それぞれ「24Mpa」、「25Mpa」、「29Mpa」、「22Mpa」で低すぎる。
比較例1は、マイカとタルクとの合計の配合重量の比率が「80wt%」で、高すぎたものと推測できる。
【0085】
このため、曲げ強度の観点から考え、マイカとタルクとの合計の配合重量の比率は、「80wt%」未満であることが必要である。
比較例8は、マイカの粒径が「210wt%」で、大きすぎ、比較例9は「1wt%」で、小さすぎたものと推測できる。
このため、曲げ強度の観点から考え、マイカの粒径は、「210wt%」未満であり、又、「1wt%」を超えることが必要である。
【0086】
比較例10は、タルクの粒径が「21wt%」で、大きすぎ、比較例11は「1wt%」で、小さすぎたものと推測できる。
このため、曲げ強度の観点から考え、タルクの粒径は、「21wt%」未満であり、又、「1wt%」を超えることが必要である。
【0087】
(曲げ弾性について)
比較例1~比較例11のうち、二つ目の曲げ弾性が、不合格のものは、比較例3の1個であった。
比較例3は、曲げ弾性2000~9000MPaの範囲以内であるのに対し、「9210MPa」で高すぎることから、「×」で、不合格である。
【0088】
比較例3は、マイカとタルクとの合計の配合重量の比率が「80wt%」で、高すぎたものと推測できる。
このため、曲げ弾性の観点から考えて、マイカとタルクとの合計の配合重量の比率は、「80wt%」未満であることが必要である。
【0089】
(流れ方向(MD)の線膨張係数について)
比較例1~比較例11のうち、三つ目の流れ方向(MD)の線膨張係数が、不合格のものは、比較例1、比較例2、比較例5の3個であった。
比較例1は、流れ方向(MD)の線膨張係数が6.0×10-5(1/℃)以下であるのに対し、「60.5(1/℃)」で高すぎることから、「×」で、不合格である。また、残る比較例2、比較例5も、同様に、それぞれ「63.1(1/℃)」、「60.3(1/℃)」で高すぎる。
【0090】
比較例1は、マイカのアスペクト比が「9」で、低すぎたものと推測できる。
このため、流れ方向(MD)の線膨張係数の観点から考えて、マイカのアスペクト比が「9」を超えていることが必要である。
比較例2は、マイカとタルクとの合計の配合重量の比率が「40wt%」で、低すぎたものと推測できる。
【0091】
このため、流れ方向(MD)の線膨張係数の観点から考えて、マイカとタルクとの合計の配合重量の比率が「40wt%」を超えていることが必要である。
比較例5は、マイカの配合比率が「9」で、低すぎたものと推測できる。
このため、流れ方向(MD)の線膨張係数の観点から考えて、マイカの配合比率が「9」を超えていることが必要である。
【0092】
(幅方向(TD)の線膨張係数について)
比較例1~比較例11のうち、四つ目の幅方向(TD)の線膨張係数が、不合格のものは、比較例1、比較例2、比較例5、比較例6の4個であった。
比較例1は、幅方向(TD)の線膨張係数が6.0×10-5(1/℃)以下であるのに対し、「68.3(1/℃)」で高すぎることから、「×」で、不合格である。また、残る比較例2、比較例5、比較例6も、同様に、それぞれ「70.3(1/℃)」、「62.7(1/℃)」、「60.8(1/℃)」で高すぎる。
【0093】
比較例1、比較例2及び比較例5については、流れ方向(MD)の線膨張係数の場合と同様である。
比較例6は、マイカの配合比率が「9」で、低すぎ、タルクの配合比率が「61」で高すぎたものと推測できる。
このため、流れ方向(MD)の線膨張係数の観点から考えて、マイカの配合比率が「9wt%」を超え、タルクの配合比率が「61wt%」未満であることが必要である。
【0094】
(発泡倍率について)
比較例1~比較例11のうち、五つ目の曲げ弾性が、不合格のものは、比較例4、比較例7、比較例8、比較例10の4個であった。
比較例4は、発泡倍率が1.4~4倍の範囲以内であるのに対し、「1.1」で低すぎることから、「×」で、不合格である。また、残る比較例7、比較例8、比較例10も、同様に、それぞれ「1.3」、「1.3」、「1.2」で低すぎる。
比較例4は、マイカの配合比率が「9」で、低すぎたものと推測できる。
このため、発泡倍率の観点から考えて、マイカの配合比率が「9wt%」を超えていることが必要である。
【0095】
比較例7は、タルクの配合比率が「4t%」で低すぎたものと推測できる。
このため、発泡倍率の観点から考えて、タルクの配合比率が「4wt%」を超えていることが必要である。
【0096】
比較例8は、マイカの粒径が「210wt%」で、大きすぎたものと推測できる。
このため、発泡倍率の観点から考えて、マイカの粒径は、「210wt%」未満であることが必要である。
【0097】
比較例10は、タルクの粒径が「21wt%」で、大きすぎたものと推測できる。
このため、発泡倍率の観点から考えて、タルクの粒径は、「21wt%」未満であることが必要である。
【符号の説明】
【0098】
10 化粧材
20 基材層
21 発泡層
22 表層部
23 接着層
30 化粧シート
31 印刷層
32 ラミネート
33 トップコート
図1