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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072430
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】固液分離装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/02 20060101AFI20220510BHJP
   B01D 21/28 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
B01D21/02 F
B01D21/02 D
B01D21/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020181857
(22)【出願日】2020-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅原 良行
(57)【要約】
【課題】凝集フロックを濃縮できる固液分離装置を提供する。
【解決手段】 固液分離装置は、底部及び側壁部を有する貯留槽と、前記貯留槽内に配置され、前記貯留槽の前記底部に向けて傾斜する傾斜面を有する主傾斜プレートと、前記貯留槽の前記底部側に設けられ、かつ汚泥含有水が流入する流入口と、前記貯留槽の側壁部において、前記主傾斜プレートの前記傾斜面よりも上方に設けられている第1の流出口と、前記貯留槽の側壁部において、前記主傾斜プレートの前記傾斜面よりも下方に設けられている第2の流出口と、前記主傾斜プレートの第1の端部により形成される前記汚泥含有水の第1の流路と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部及び側壁部を有する貯留槽と、
前記貯留槽内に配置され、前記貯留槽の前記底部に向けて傾斜する傾斜面を有する主傾斜プレートと、
前記貯留槽の前記底部側に設けられ、かつ汚泥含有水が流入する流入口と、
前記貯留槽の側壁部において、前記主傾斜プレートの前記傾斜面よりも上方に設けられている第1の流出口と、
前記貯留槽の側壁部において、前記主傾斜プレートの前記傾斜面よりも下方に設けられている第2の流出口と、
前記汚泥含有水が前記主傾斜プレートの傾斜方向の下方にある第1の端部を越えて通過する第1の流路と、
を有することを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
前記主傾斜プレートの傾斜面は、平面状であり、
前記主傾斜プレートの下方には、前記主傾斜プレートと同方向に傾斜する傾斜面を有する、1又は複数の補助傾斜プレートが上下方向に並列に配置され、
前記1又は複数の補助傾斜プレートは、傾斜方向の下方にある第1の端部と、傾斜方向の上方にある第2の端部と、を有し、
前記補助傾斜プレートの第2の端部は、前記側壁部から離れ、
前記汚泥含有水が前記補助傾斜プレートの第1の端部を越えて通過する、前記第1の流路よりも広い第2の流路と、
前記補助傾斜プレートの第2の端部と前記側壁部との間を通過する第3の流路とが設けられている請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項3】
前記主傾斜プレート及び前記補助傾斜プレートが、前記側壁部の対向する面側に配置され、対向する前記主傾斜プレートの第1の端部の高さが同じ、及び/又は、対向する前記補助傾斜プレートの第1の端部の高さが同じであり、
互いに対向する前記主傾斜プレートの第1の端部の間に前記第1の流路が形成され、
互いに対向する前記補助傾斜プレートの第1の端部の間に前記第2の通路が形成されている請求項2に記載の固液分離装置。
【請求項4】
前記主傾斜プレート及び前記補助傾斜プレートが、前記側壁部の対向する面側に配置され、対向する前記主傾斜プレートの第1の端部の高さが異なり、及び/又は、対向する前記補助傾斜プレートの第1の端部の高さが異なり、
前記側壁部の対向する面側に配置された高さの異なる前記主傾斜プレート及び/又は前記補助傾斜プレートが高さ方向に交互に配置され、
前記主傾斜プレートの第1の端部の間に前記第1の流路が形成され、
前記補助傾斜プレートの第1の端部の間に前記第2の流路が形成されている請求項2に記載の固液分離装置。
【請求項5】
前記主傾斜プレート及び前記補助傾斜プレートが、前記側壁部に配置され、
前記主傾斜プレートの第1の端部と前記側壁部により前記第1の流路が形成され、
前記補助傾斜プレートの第1の端部と前記側壁部により前記第2の流路が形成されている請求項2に記載の固液分離装置。
【請求項6】
前記貯留槽は、円筒状をなし、
前記主傾斜プレートは、逆円錐状の傾斜面と、前記底部側に形成された前記第1の端部をなす第1の開口と、前記第1の開口の上方に形成された前記第2の端部をなす第2の開口とを有する逆円錐台の形状をなし、
前記第1の開口が前記第1の流路をなし、
前記第1の開口の下方に、前記流入口から流入した前記汚泥含有水を前記側壁部側に拡散させる拡散板が配置されている請求項1記載の固液分離装置。
【請求項7】
さらに、前記主傾斜プレートを前記逆円錐状の中心軸に沿って回転させる回転装置を備え、
前記回転装置は、前記主傾斜プレートの前記逆円錐状の中心軸に沿って配置された回転軸と、前記回転軸を前記主傾斜プレートに連結する接続部と、を備え、
前記回転軸の下端部が前記主傾斜プレート及び前記拡散板を貫通して下方に伸び、前記下端部に攪拌羽根が取付けられている請求項6記載の固液分離装置。
【請求項8】
前記主傾斜プレートと前記拡散板との間に、前記主傾斜プレートと同様の逆円錐台の形状をなす、1枚又は複数枚の補助傾斜プレートが配置されており、
前記補助傾斜プレートは、前記底部側に形成された前記第1の端部をなす第3の開口と、前記第1の開口の上方に形成された前記第2の端部をなす第4の開口とを有する請求項6又は7記載の固液分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理水に含まれている固形分を分離してろ過水を生成する固液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下水、工場排水などの水処理において、被処理水に含まれている固形分を分離することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-089951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
下水、工場排水などの水処理においては、凝集剤を添加して有機物などの浮遊物を凝集させ、沈殿やろ過などの方法によって被処理水から凝集物を取り除く。凝集剤が添加された被処理水に含まれている凝集フロックは、次の処理を考慮すると濃縮されることが好ましい。
【0005】
本発明は、凝集フロックを濃縮できる固液分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の固液分離装置は、底部及び側壁部を有する貯留槽と、前記貯留槽内に配置され、前記貯留槽の前記底部に向けて傾斜する傾斜面を有する主傾斜プレートと、前記貯留槽の前記底部側に設けられ、かつ汚泥含有水が流入する流入口と、前記貯留槽の側壁部において、前記主傾斜プレートの前記傾斜面よりも上方に設けられている第1の流出口と、前記貯留槽の側壁部において、前記主傾斜プレートの前記傾斜面よりも下方に設けられている第2の流出口と、前記主傾斜プレートの傾斜方向の下方にある第1の端部を越えて前記汚泥含有水が通過する第1の流路と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の固液分離装置の一実施形態を示す構成図である。
図2図1の固液分離装置の断面図である。
図3】実施形態2に係る固液分離装置の断面図である。
図4】実施形態3に係る固液分離装置の断面図である。
図5】実施形態4に係る固液分離装置の断面図である。
図6】実施形態5に係る固液分離装置の断面図である。
図7】実施形態5に係る固液分離装置の他の態様を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
最初に、本発明の固液分離装置の概略について説明する。従来の固液分離装置は、重力により凝集フロックが沈降する性質を利用して凝集フロックを濃縮していた。しかし、凝集フロックは沈降速度が速いが、フロック化しているため十分な濃縮が進まず、濃縮濃度は上がりにくい。そこで、発明者は、検討を進めて今までに無い新しい凝集フロックの濃縮原理を利用した固液分離装置を開発した。以下、図面を参照して、この固液分離装置の一実施形態について説明する。
【0009】
[実施形態1]
図1は、本発明の固液分離装置の一実施形態を示す構成を示している。図2は、図1の固液分離装置の断面を示している。
【0010】
図1及び2に示すように、固液分離装置100は、貯留槽10と、貯留槽10内に配置されている主傾斜プレート20と、貯留槽10内に配置されている補助傾斜プレート30,40とを有する。
【0011】
また、図2に示すように、貯留槽10は、底部側に設けられ、かつ汚泥含有水が流入する流入口50と、貯留槽10の側壁部において、主傾斜プレート10の傾斜面よりも上方に設けられている第1の流出口60と、貯留槽10の側壁部12において、主傾斜プレート20の傾斜面よりも下方に設けられている第2の流出口70と、を有する。尚、図1においては、流入口50、第1の流出口60、及び第2の流出口70は、省略されて示されている。
【0012】
以下、本発明の固液分離装置による固液分離の概略について説明する。本発明の固液分離装置は、いわゆる上方向流型の固液分離装置であり、凝集フロックが流れる方向と、汚泥含有水が流れる方向を同方向、すなわち上方向として、さらに、汚泥含有水の移動速度と凝集フロックの移動速度との差を利用することで、汚泥含有水を凝集フロックと分離液とに分離する。
【0013】
具体的には、汚泥含有水が凝集フロックよりも速く移動することを利用する。貯留槽10に流入した汚泥含有水に含まれる凝集フロックが、汚泥含有水と共に上方向に流れる。すると、凝集フロックが補助傾斜プレート40に接触し、上方向流による流圧が凝集フロックに加わり、凝集フロックが、流圧と補助傾斜プレート40とにより、圧密(濃縮)される。換言すれば、汚泥含有水の流圧が、凝集フロックを補助傾斜プレート40に押し付けて圧密する。また、凝集フロックが、側壁部12に向けて移動し、補助傾斜プレート40だけではなく、側壁部12にも接触する。すると、流圧が側壁部12に接触した凝集フロックに加わり、この凝集フロックが、流圧と側壁部12とにより、圧密される。換言すれば、汚泥含有水の流圧が、凝集フロックを側壁部12に押し付けて圧密する。このように、本発明の固液分離装置は、汚泥含有水の流れを利用して凝集フロックを濃縮する。かかる濃縮により、一般的な重力沈降により凝集フロックを濃縮するよりも、凝集フロックを濃縮できる。
【0014】
貯留槽10は、底部11及び側壁部12を有する。貯留槽10は、本実施形態においては、直方体状に形成されている。貯留槽10は、汚泥含有水を貯留する構造を有していればよい。貯留槽10の形状は、特には限定されず、例えば、多角柱状、筒状に形成されていてもよい。
【0015】
主傾斜プレート20は、本実施形態においては、平坦に形成されている上面及び下面を有する板状に形成されている。主傾斜プレート20は、貯留槽10の側壁部12において、互いに対向するように一対設けられている。
【0016】
一対の主傾斜プレート20は、貯留槽10の底部11に向けて傾斜して配置されている。言い換えれば、一対の主傾斜プレート20は、互いに対向する一対の側壁部12から貯留槽10の内方に向けて配置されている。
【0017】
一対の主傾斜プレート20の底部11側には、第1の端部21が形成されている。すなわち、第1の端部21は、主傾斜プレート20の傾斜方向の下方に位置する。
【0018】
したがって、一対の主傾斜プレート20は、貯留槽10の側壁部12から底部11に向かって傾斜する傾斜面22を有する。傾斜面22は、主傾斜プレート20の上面及び下面をなしている。
【0019】
また、本実施形態において、一対の主傾斜プレート20の第1の端部21は、底部11からの高さが同じになるように配されている。さらに、一対の主傾斜プレート20は、第1の端部21の間に所定の間隔d1を有して配されている。所定の間隔d1は、貯留槽10に流入された汚泥含有水が通過可能に形成されている。したがって、主傾斜プレート20の第1の端部21及び側壁部12によって、第1の流路13が画定されている。
【0020】
一対の主傾斜プレート20の側壁部12側には第2の端部23が形成されている。第2の端部23は、主傾斜プレート20の傾斜方向の上方に位置する。第2の端部23は、側壁部12に接合されている。
【0021】
主傾斜プレート20は、第2の端部23と共に、他の位置でも側壁部12と接合されてもよい。例えば、主傾斜プレート20の第2の端部23に直交する少なくとも一方の側面が側壁部12と接合されてもよい。
【0022】
補助傾斜プレート30は、本実施形態においては、平坦に形成されている上面及び下面を有する板状に形成されている。補助傾斜プレート30は、主傾斜プレート20よりも下方の側壁部12から互いに対向するように一対設けられている。補助傾斜プレート30は、主傾斜プレート20と上下方向において並列に配置されている。
【0023】
一対の補助傾斜プレート30は、貯留槽10の底部11に向けて傾斜して配置されている。言い換えれば、一対の補助傾斜プレート30は、互いに対向する一対の側壁部12から貯留槽10の内方に向けて配置されている。一対の補助傾斜プレート30の側壁部12に対する傾斜方向は、主傾斜プレート20の側壁部12に対する傾斜方向と同じ方向である。
【0024】
ここで、補助傾斜プレート30の側壁部12に対する「傾斜方向が同じ」とは、傾きが同じであるという意味であり、必ずしも主傾斜プレート20及び補助傾斜プレート30の両者の傾斜角度が同じである必要はない。補助傾斜プレート30は、例えば、側壁部12に対する角度が0°超~90°未満であればよい。尚、「傾斜方向が同じ」であることは、後述する補助傾斜プレート40の説明においても同様に解釈される。また、主傾斜プレート20と、補助傾斜プレート30とは、互いに平行になるように傾斜して配されていることが好ましい。
【0025】
一対の補助傾斜プレート30の底部11側には、第1の端部31が形成されている。すなわち、第1の端部31は、補助傾斜プレート30の傾斜方向の下方に位置する。
【0026】
したがって、一対の補助傾斜プレート30は、貯留槽10の側壁部12から底部11に向かって傾斜する傾斜面32を有する。傾斜面32は、補助傾斜プレート30の上面及び下面をなしている。したがって、傾斜面22,32は、側壁部12から離れるにつれて底部11に近づくように傾斜している。
【0027】
また、本実施形態において、一対の補助傾斜プレート30の第1の端部31は、底部11からの高さが同じになるように配されている。さらに、一対の補助傾斜プレート30は、第1の端部31の間に所定の間隔d2を有して配されている。
【0028】
所定の間隔d2は、貯留槽10に流入された汚泥含有水が通過可能に形成されている。したがって、補助傾斜プレート30の第1の端部31及び側壁部12によって、第2の流路14が画定されている。
【0029】
一対の補助傾斜プレート30の側壁部12側には第2の端部33が形成されている。第2の端部33は、側壁部12に対して間隔を有して配されている。汚泥含有水は、この間隔を通過することが可能である。したがって、側壁部12及び第2の端部33によって第3の流路15が形成されている。尚、補助傾斜プレート30は、第2の端部33に対して直交する少なくとも一方の側面が側壁部12に接合されている。
【0030】
補助傾斜プレート40は、本実施形態においては、平坦に形成されている上面及び下面を有する板状に形成されている。補助傾斜プレート40は、主傾斜プレート20及び補助傾斜プレート30よりも下方の側壁部12から互いに対向するように一対設けられている。補助傾斜プレート40は、主傾斜プレート20及び補助傾斜プレート30と上下方向に並列に配置されている。補助傾斜プレート30及び補助傾斜プレート40は、鉛直方向に沿って略等間隔で配されている。
【0031】
一対の補助傾斜プレート40は、貯留槽10の底部11に向けて傾斜して配置されている。言い換えれば、一対の補助傾斜プレート40は、互いに対向する一対の側壁部12から貯留槽10の内方に向けて配置されている。一対の補助傾斜プレート40の側壁部12に対する傾斜方向は、主傾斜プレート20の側壁部12に対する傾斜方向と同じ方向である。
【0032】
一対の補助傾斜プレート40の底部11側には、第1の端部41が形成されている。すなわち、第1の端部41は、補助傾斜プレート40の傾斜方向の下方に位置する。
【0033】
したがって、一対の補助傾斜プレート40は、貯留槽10の側壁部12から底部11に向かって傾斜する傾斜面42を有する。傾斜面42は、補助傾斜プレート40の上面及び下面をなしている。したがって、主傾斜プレート20及び補助傾斜プレートの傾斜面22,32、42は、側壁部12から離れるにつれて底部11に近づくように傾斜している。
【0034】
また、本実施形態において、一対の補助傾斜プレート40の第1の端部41は、底部11からの高さが同じになるように配されている。さらに、一対の補助傾斜プレート40は、第1の端部41の間に所定の間隔d3を有して配されている。
【0035】
所定の間隔d3は、貯留槽10に流入された汚泥含有水が通過可能に形成されている。したがって、補助傾斜プレート40の第1の端部41及び側壁部12によって、第2の流路14が画定されている。
【0036】
所定の間隔d1,d2、d3は、底部11に近づくにつれて広くなっている。すなわち、所定の間隔d1,d2、d3は、d1<d2<d3の関係を有する。言い換えれば、第2の流路14は、主傾斜プレート20の第1の端部21により形成されている第1の流路13よりも広く形成されている。
【0037】
一対の補助傾斜プレート40の側壁部12側には第2の端部43が形成されている。第2の端部43は、側壁部12に対して間隔を有して配されている。汚泥含有水は、この間隔を通過することが可能である。したがって、側壁部12及び第2の端部43によって第3の流路15が形成されている。尚、補助傾斜プレート30は、第2の端部43に対して直交する少なくとも一方の側面が側壁部12に接合されている。
【0038】
流入口50は、貯留槽10の底部11側であって、補助傾斜プレート40よりも下方の側壁部12に形成されている。流入口50は、バルブVにより貯留槽10に流入される汚泥含有水の量を調整可能となっている。汚泥含有水は、ポンプや水位圧等によって加圧されて流入口50から貯留槽10に流入する。汚泥含有水は、凝集フロックを含んでいる。凝集フロックは、被処理水中の懸濁物質(汚泥フロックとも呼ぶ)を凝集剤によって凝集させて生成した凝集体である。なお、本発明の固液分離装置は、凝集剤を注入しない汚泥フロックに対しても適用できる。
【0039】
第1の流出口60は、貯留槽10の主傾斜プレート20よりも上方の側壁部12に形成されている。第1の流出口60には、例えば、被処理水から凝集フロックが分離された汚泥分離液を処理する施設に移送可能な配管(図示せず)が接続されている。第1の流出口60に接続される配管における水量の調整は、バルブを設置し開閉度合で調整するか、水位調整機構を設けることで行う。
【0040】
第2の流出口70は、貯留槽10の主傾斜プレート20よりも下方の側壁部12に形成されている。より具体的には、第2の流出口70は、貯留槽10の主傾斜プレート20よりも下方であり、かつ最も主傾斜プレート20に近接して配されている補助傾斜プレート30よりも上方の側壁部12に形成されている。第2の流出口70は、主傾斜プレート20の第2の端部23が接合されている位置に隣接して設けられていることがより好ましい。
【0041】
第2の流出口70には、例えば、凝集フロックを処理する施設に移送可能な配管(図示せず)が接続されている。この配管は、第1の流出口60に接続されている配管と底面11からの高さが同じになるように後段において立ち上がるように形成されている。第2の流出口70に接続される配管における水量の調整は、バルブを設置し開閉度合で調整するか、水位調整機構を設けることで行う。
【0042】
ドレン孔DHは、貯留槽10の底部10側であって、補助傾斜プレート40よりも下方の側壁部12に形成されている。ドレン孔DHは、底部11の近傍に溜まった固形物を外部に排出可能に配管(図示せず)に接続されている。
【0043】
尚、本実施形態においては、主傾斜プレート20及び補助傾斜プレート30,40を用いて固液分離装置100を構成したが、補助傾斜プレート30,40は必ずしも用いる必要はなく、主傾斜プレート20のみで固液分離装置100を構成してもよい。
【0044】
また、本実施形態においては、鉛直方向の異なる位置に補助傾斜プレート30、40を設けたが、補助傾斜プレート40を用いずに補助傾斜プレート30のみで固液分離装置100を構成してもよい。
【0045】
以下、凝集フロックの濃縮過程について詳細に説明する。汚泥含有水は、流入口50から流入すると、貯留槽10内を上昇する。この上昇において、汚泥含有水の一部は、第2の流路14である間隔d3の間を通過し、また、汚泥含有水の一部は、補助傾斜プレート40の下面に接触し、また、汚泥含有水の一部は、第3の流路15を通過する。補助傾斜プレート40の下面に接触した汚泥含有水に含まれる凝集フロックには、上方向流による汚泥含有水の水圧(流圧)が加わり。そして、この凝集フロックは、流圧と補助傾斜プレート40の傾斜面42とにより押圧され、内部に含有されている水分が外部に排出されて濃縮(圧密)される。また、側壁部12に接触した汚泥含有水に含まれる凝集フロックも前記したように、流圧と側壁部12とにより押圧され濃縮される。
【0046】
さらに、凝集フロックは、補助傾斜プレート40の傾斜面42の傾斜に沿って上昇する。この上昇する過程で、複数の凝集フロックが互いに接触し集団化する。さらに、流圧が集団化した凝集フロックに加わり、前記したように、この凝集フロックが流圧と傾斜面42とにより押圧されて濃縮される。濃縮された凝集フロックは、側壁部12の近傍に移動すると、第3の流路15を通って上昇する。
【0047】
第2の流路14である間隔d3の間を通過した汚泥含有水は、更に上昇する。この汚泥含有水の一部は、間隔d3よりも狭い間隔d2の間を通過し、また、この汚泥含有水の一部は、補助傾斜プレート30の下面に接触する。ここで、間隔d2は、間隔d3よりも狭いので、補助傾斜プレート40に接触しなかった汚泥含有水の一部も、補助傾斜プレート30の下面に接触する。すなわち、第2の流路14を上方に向けて徐々に狭くすることで、補助傾斜プレートに接触する汚泥含有水の量を増やしている。その結果、より多くの凝集フロックを濃縮できる。補助傾斜プレート30の下面に接触した凝集フロックは、補助傾斜プレート40の下面に接触した凝集フロックと同様の過程により濃縮される。濃縮された凝集フロックは、側壁部12の近傍に移動すると、第3の流路15を通って上昇する。
【0048】
第2の流路14である間隔d2の間を通過した汚泥含有水は、更に上昇する。この汚泥含有水の一部は、間隔d2よりも狭い間隔d1間を通過し、また、この汚泥含有水の一部は、主傾斜プレート20の下面に接触する。主傾斜プレート20の下面に接触した凝集フロックは、補助傾斜プレート40の下面に接触した凝集フロックと同様の過程により濃縮される。
【0049】
主傾斜プレート20の傾斜に沿って移動した凝集フロックは、第3の流路15を通った凝集フロックと合流する。これらの凝集フロックは、上昇流によって主傾斜プレート20に押し付けられる。これら主傾斜プレート20に押し付けられた凝集フロックも、補助傾斜プレート40の下面に接触した凝集フロックと同様の過程により濃縮される。濃縮された凝集フロックは、第2の流出口70から排出される。したがって、凝集フロックに含有されている水分を減少させることができるため、その後に行われる凝集フロックの処理を効率的に行うことができる。
【0050】
また、第1の流路13を通過した汚泥含有水は、第1の流出口60から排出される。上述のように、汚泥含有水は、間隔d3~d1を通過して上昇するため、第2の流路14を通る汚泥含有水の凝集フロックの量及び第1の流路13を通る汚泥含有水の凝集フロックの量を上方に向かうにつれて減らすことができる。このため、第1の流出口60から排出された汚泥含有水に含まれている凝集フロックを減少させることができる。したがって、その後に行われる汚泥含有水の処理を効率的に行うことができる。尚、底部11に蓄積された凝集フロックは、ドレン孔DHから排出される。
【0051】
[実施形態2]
実施形態2の固液分離装置101は、主傾斜プレート20の形状が実施形態1とは異なる。実施形態1と同一の構成については、同一箇所に同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
図3は、実施形態2に係る固液分離装置101の断面を示している。図3に示すように、主傾斜プレート20の第2の端部23は、傾斜面22に対して角度を有して形成されている。本実施形態においては、第2の端部23は、底部11に対して平行に延びて形成されている。
【0053】
このように、主傾斜プレート20を構成することにより、主傾斜プレート20の第2の端部が第2の流出口70に対して形成する角度を緩やかにすることができる。したがって、第3の流路に生じた上昇流が第2の端部23の下面に対して接触する角度を略垂直にすることができる。このため、主傾斜プレート20の第2の端部23の下面に押し付けられる凝集フロックの量を増やすことができ、凝集フロックの濃縮効率を高めることが可能となる。なお、補助傾斜プレート30、40についても実施形態2の主傾斜プレート20と同様な構成としても良い。
【0054】
[実施形態3]
実施形態3の固液分離装置102は、主傾斜プレート20及び補助傾斜プレート30の設置の態様が実施形態1とは異なる。実施形態1と同一の構成については、同一箇所に同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
図4は、実施形態3に係る固液分離装置102の断面を示している。図4に示すように、主傾斜プレート20は、側壁部12の一の面から底部11に向かって傾斜して設けられている。本実施形態においては、主傾斜プレート20は、底部11の2/3以上の領域を覆うように設けられている。
【0056】
尚、本実施形態では、主傾斜プレート20は、その第1の端部21と対向する側壁部12と所定の間隔d1を有して配されている。したがって、第1の流路13は、主傾斜プレート20の第1の端部21及び当該第1の端部21と対向する側壁部12によって形成されている。
【0057】
補助傾斜プレート30は、主傾斜プレート20の下方に配置されている。本実施形態においては、補助傾斜プレート30は、底部11の1/2以上の領域を覆い、かつ主傾斜プレート20が覆う領域よりも狭い領域を覆うように設けられている。
【0058】
第2の流路14は、補助傾斜プレート30の第1の端部31及び、第1の端部31に対向する側壁部12によって形成されている。第3の流路15は、補助傾斜プレート30の第2の端部33及び、第2の端部33に対向する側壁部12によって形成されている。
【0059】
尚、本実施形態では、補助傾斜プレート30は、その第1の端部31と対向する側壁部12と所定の間隔d2を有して配されている。したがって、第2の流路14は、補助傾斜プレート30の第1の端部31及び当該第1の端部31と対向する側壁部12によって形成されている。
【0060】
補助傾斜プレート40は、補助傾斜プレート30の下方に配置されている。本実施形態においては、補助傾斜プレート40は、底部11の1/3以上の領域を覆い、かつ主傾斜プレート20及び補助傾斜プレート30が覆う領域よりも狭い領域を覆うように設けられている。
【0061】
第2の流路14は、補助傾斜プレート40の第1の端部41及び、第1の端部41に対向する側壁部12によって形成されている。第3の流路15は、補助傾斜プレート40の第2の端部43及び、第2の端部43に対向する側壁部12によって形成されている。
【0062】
尚、本実施形態では、補助傾斜プレート40は、その第1の端部41と対向する側壁部12と所定の間隔d3を有して配されている。したがって、第2の流路14は、補助傾斜プレート40の第1の端部41及び当該第1の端部41と対向する側壁部12によって形成されている。
【0063】
尚、実施形態1と同様に、間隔d1~d3は、d1<d2<d3の関係を有するように設定されている。
【0064】
また、本実施形態においては、第1の流出口60及び第2の流出口70は、底部11から同じ高さに配置することができる。このように、第1の流出口60及び第2の流出口70、底部11から同じ高さに配置した場合、各々に接続される配管を同じ高さに配置する調整を行わなくてもよい。
【0065】
なお、本実施形態の主傾斜プレート、補助傾斜プレートについても実施形態2の主傾斜プレートの構成としても良い。
【0066】
以上のように、本実施形態の固液分離装置102を構成しても、濃度が高められた凝集フロックを第2の流出口70から流出させることができる。また、主傾斜プレート20及び補助傾斜プレート30、40の数を削減することができるため、設置コストの低減を図ることができる。
【0067】
[実施形態4]
実施形態4の固液分離装置103は、主傾斜プレート20及び補助傾斜プレート30の設置の態様が実施形態1とは異なる。実施形態1と同一の構成については、同一箇所に同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
図5は、実施形態3に係る固液分離装置103の断面を示している。図5に示すように、主傾斜プレート20は、貯留槽10の側壁部12において、互いに対向するように一対設けられている。一対の主傾斜プレート20の長さは互いに異なる。すなわち、一対の主傾斜プレート20は、底部11を覆う領域の広さが異なる。
【0069】
一対の主傾斜プレート20の第1の端部21は、貯留槽10の上下方向において、互いに異なる位置に配置されている。したがって、一対の主傾斜プレート20は、第1の端部21の底部11からの高さが異なる。一対の主傾斜プレート20は、平面視において、互いに重なり合うように配置されている。本実施形態では、短い主傾斜プレート20が、長い主傾斜プレート20よりも上方に配置されている。一対の主傾斜プレート20は、上下方向に汚泥含有水が通過可能な間隙、すなわち、第1の流路13を有するように配されている。
【0070】
補助傾斜プレート30は、貯留槽10の側壁部12において、互いに対向するように一対設けられている。一対の補助傾斜プレート30の長さは互いに異なる。すなわち、一対の補助傾斜プレート30は、底部11を覆う領域の広さが異なる。
【0071】
一対の補助傾斜プレート30の第1の端部31は、貯留槽10の上下方向において、互いに異なる位置に配置されている。したがって、一対の補助傾斜プレート30は、第1の端部31の底部11からの高さが異なる。一対の補助傾斜プレート30は、平面視において、互いに重なり合うように配置されている。本実施形態では、短い補助傾斜プレート30が、長い補助傾斜プレート30よりも上方に配置されている。一対の補助傾斜プレート30は、上下方向に汚泥含有水が通過可能な間隙、すなわち、第2の流路14を有するように配されている。
【0072】
補助傾斜プレート40は、貯留槽10の側壁部12において、互いに対向するように一対設けられている。一対の補助傾斜プレート40の長さは互いに異なる。すなわち、一対の補助傾斜プレート40は、底部11を覆う領域の広さが異なる。
【0073】
一対の補助傾斜プレート40の第1の端部41は、貯留槽10の上下方向において、互いに異なる位置に配置されている。したがって、一対の補助傾斜プレート40は、第1の端部41の底部11からの高さが異なる。一対の補助傾斜プレート40は、平面視において、互いに重なり合うように配置されている。本実施形態では、短い補助傾斜プレート40が、長い補助傾斜プレート40よりも上方に配置されている。一対の補助傾斜プレート40は、上下方向に汚泥含有水が通過可能な間隙、すなわち、第2の流路14を有するように配されている。
【0074】
汚泥含有水は、第2の流路14及び第1の流路13を蛇行しながら貯留槽10内を上昇する。このため、汚泥含有水が、主傾斜プレート20、及び補助傾斜プレート30、40に接触する機会がより高まる。
【0075】
汚泥含有水中に含まれる凝集フロックが、主傾斜プレート20、及び補助傾斜プレート30、40に接触して濃縮される過程は、実施形態1で説明したのでその説明を省略する。濃縮された凝集フロックは、第2の流出口70から排出される。
【0076】
尚、貯留槽10の上下方向において互いに隣接して設置された傾斜プレート20,30,40間に形成される間隙は、上方向に向かうに従い(第1の流出口60又は、第2の流出口70に近づくにつれて)広く形成するとよい。また、本実施形態の主傾斜プレート、補助傾斜プレートについても実施形態2の主傾斜プレートの構成としても良い。
【0077】
[実施形態5]
実施形態5の固液分離装置104は、貯留槽10、主傾斜プレート20及び補助傾斜プレート30の形態が実施形態1とは異なる。実施形態1と同一の構成については、同一箇所に同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
図6は、実施形態5に係る固液分離装置104を示している。図6に示すように、本実施形態において貯留槽10は、円筒状に形成されている。
【0079】
固液分離装置104は、貯留槽10の上方に設置された回転装置MTを有する。回転装置MTは、貯留槽10の上方から底部11に向かって延びる回転軸SHを有する。回転軸SHは、貯留槽10の中心軸に沿って配されている。回転軸SHは、その回転軸SHに対して垂直な方向に、かつ周方向に放射状に延びる3本の接続部AT1を有する。
【0080】
各々の接続部AT1は、主傾斜プレート20に接続されている。主傾斜プレート20は、逆円錐台状に形成されている。主傾斜プレート20は、上底と下底の間に形成されている傾斜面22と、底部11側に形成され、かつ第1の流路13である第1の開口24と、第1の開口24の上方に形成されている第2の開口25とを有する。主傾斜プレート20の中心軸AXは、本実施形態においては、貯留槽10の中心軸及び回転軸SHと一致する位置に配されている。
【0081】
回転軸SHは、その回転軸SHに対して垂直な方向に、かつ周方向に放射状に延びる3本の接続部AT2を有する。
【0082】
各々の接続部AT2は、補助傾斜プレート30に接続されている。補助傾斜プレート30は、主傾斜プレート20と同様に逆円錐台状に形成されている。補助傾斜プレート30は、上底と下底の間に形成されている傾斜面32と、底部11側に形成され、かつ第2の流路14である第3の開口34と、第3の開口34の上方に形成されている第4の開口35とを有する。
【0083】
補助傾斜プレート30は、上下方向に所定の間隔をおいて複数配置されていてもよい。このように、主傾斜プレート20の下方に、1又は複数の補助傾斜プレート30を配置する場合は、補助傾斜プレート30の底部11側に設けられる第3開口34は、主傾斜プレート20の第1の開口24よりも大きく形成することが好ましい。また、補助傾斜プレート30に形成される開口は、底部11に近づくにつれて大きく形成するとよい。第3の流路15は、補助傾斜プレート30の第2の端部33及び、第2の端部33に対向する側壁部12によって形成されている。
【0084】
第1の流出口60は、本実施形態においては、主傾斜プレート20の上底、すなわち第2の開口25よりも上方に形成されている。言い換えれば、第1の流出口60は、主傾斜プレート20の第2の端部23よりも上方に形成されている。
【0085】
第2の流出口70は、本実施形態においては、主傾斜プレート20の上底の近傍、すなわち第2の開口25の近傍に形成されている。言い換えれば、第2の流出口70は、主傾斜プレート20の第2の端部23よりも下方に形成されている。
【0086】
拡散板80は、主傾斜プレート20の下方、すなわち第1の開口24の下方において、回転軸SHに取り付けられている。拡散板80は、本実施形態においては、円板状に形成されている。拡散板80の形状は、流入口50から流入した汚泥含有水を側壁部12側に拡散させることが可能であれば、特には限定されないが、矩形の板状、傘状で等あってもよい。
【0087】
本実施形態の固液分離装置100によれば、流入口50から流入した汚泥含有水は、貯留槽10内を上方に移動する。
【0088】
汚泥含有水は、拡散板80に接触することにより、貯留槽10の側壁部12に向かって拡散する。汚泥含有水に含まれている凝集フロックは、拡散板80との接触により、内部に含有されている水分が外部に排出されて濃縮される。
【0089】
凝集フロックは、補助傾斜プレート30の傾斜面32の傾斜に沿って上昇する。補助傾斜プレート30の傾斜に沿って移動した凝集フロックは、側壁部12の近傍の第3の流路15を通って上昇する。
【0090】
一方、補助傾斜プレート30の第2の流路14を通った汚泥含有水は、逆円錐台状をなす主傾斜プレート20の外側の傾斜面22に接触する。主傾斜プレート20の傾斜に沿って移動した凝集フロックは、第3の流路15を通った凝集フロックと合流する。これらの凝集フロックは、上昇流によって主傾斜プレート20に押し付けられて濃縮される。濃縮された凝集フロックは、第2の流出口70から排出される。なお、主傾斜プレート20、及び補助傾斜プレート30、40に接触して濃縮される過程は、実施形態1で説明したのでその説明を省略する。
【0091】
第1の流路13を通過した汚泥含有水は、第1の流出口60から排出される。汚泥含有水は、主傾斜プレート20の上底に形成された第1の開口24を通過して上昇するため、第1の流路13を通る汚泥含有水の凝集フロックの量を減らすことができる。
【0092】
このため、第1の流出口60から排出された汚泥含有水に含まれている凝集フロックを減少させることができる。したがって、その後に行われる汚泥含有水の処理を効率的に行うことができる。尚、底部11に蓄積された凝集フロックは、ドレン孔DHから排出される。
【0093】
本実施形態の固液分離装置104によれば、主傾斜プレート20の傾斜面22によって、汚泥含有水に含まれる凝集フロックを貯留槽10の側壁部12に移動させることが可能となる。したがって、凝集フロックを効率よく分離して、第2の流出口70から流出させることが可能となる。また、清澄化された処理水を第1の流出口60から取出すことができる。
【0094】
以上のように、1又は複数の補助傾斜プレートを配置することで、拡散板80で拡散した汚泥含有水が、補助傾斜プレートに接触した後、更に主傾斜プレート20の円錐状の傾斜面22に当たって側壁部12側に移動するので、凝集フロックを更に効率よく分離することができる。
【0095】
尚、回転軸SHには、貯留槽10内の汚泥含有水を攪拌可能な攪拌羽が設けられるようにしてもよい。図7は、回転軸SHに攪拌羽を設けた固液分離装置105を示している。図7に示すように、攪拌羽根90は、主傾斜プレート20及び拡散板80の下方において、回転軸SHに取り付けられている。したがって、流入口50から流入した汚泥含有水は、回転する撹拌羽根90によって撹拌され、貯留槽10内を上方に移動する。このように、汚泥含有水が攪拌されることによって、多くの凝集フロック同士が接触して濃縮が促進される。また、多くの凝集フロックが遠心力によって側壁部12側に移動する。これにより、主傾斜プレート20に接触する凝集フロックを多くすることが可能となる。すなわち、主傾斜プレート20に接触することによる濃縮及び凝集フロック同士が接触することによる濃縮が促進される。
【0096】
尚、回転軸SHは、実施の態様に応じて接続される部材を適宜選択することが可能である。例えば、回転軸SHは、攪拌羽根90にのみ接続されるようにしてもよい。また、回転装置MT、回転軸SH、拡散版80、及び攪拌羽90は、必ずしも設ける必要はなく、実施の態様に応じて適宜選択して設けるようにしてもよい。尚、主傾斜プレート20及び補助傾斜プレート30を回転軸SHに接続させない場合、側壁部12とのクリアランスは数ミリ程度以下にするとよい。
【0097】
また、回転軸SHを用いずに固液分離装置105を構成してもよい。例えば、固液分離装置1054は、貯留槽10、主傾斜プレート20、拡散版80によって構成されていてもよい。このようにして固液分離装置105を構成した場合、拡散版80は、底部11から主傾斜プレート20の軸AXに沿って設けられた支柱(図示せず)によって支持されるように設けるとよい。このように固液分離装置105を構成することで、部品点数を減らすことができ、製造コスト及びメンテナンスコストの低減を図ることができる。
【0098】
このように、固液分離装置105を構成しても、流入口50から流入した汚泥含有水は、貯留槽10内を上方に移動する。そして、図6図7で説明したように、主傾斜プレート20、拡散版80に接触して濃縮される。この濃縮される過程は、実施形態1等で説明したのでその説明を省略する。
【符号の説明】
【0099】
100、101、102、103、104、105 固液分離装置
10 貯留槽
11 底部
12 側壁部
13 第1の流路
14 第2の流路
15 第3の流路
20 主傾斜プレート
21 第1の端部
22 傾斜面
23 第2の端部
24 第1の開口
25 第2の開口
30、40 補助傾斜プレート
31 第1の端部
32 傾斜面
33 第2の端部
34 第3の開口
35 第4の開口
43 第2の端部
42 傾斜面
41 第1の端部
50 流入口
60 第1の流出口
70 第2の流出口
80 拡散板
MT 回転装置
AX 主傾斜プレートの軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7