(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072449
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 25/34 20060101AFI20220510BHJP
【FI】
B65D25/34 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020181891
(22)【出願日】2020-10-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】518076975
【氏名又は名称】株式会社Atumist
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 薫
【テーマコード(参考)】
3E062
【Fターム(参考)】
3E062AA10
3E062AB20
3E062AC02
3E062AC05
3E062BB06
3E062JA01
3E062JA08
3E062JB08
3E062JC05
(57)【要約】
【課題】扉を不要としながら収容物の提示および目隠しを実現することができる容器を提供する。
【解決手段】容器11は、不透明な材質から形成される下筒12と、透明な材質から形成され、下筒12に同軸に下筒12に嵌め込まれ、直立姿勢の下筒12の上端から上方に延びる中筒17と、不透明な材質から形成され、中筒17に同軸に取り外し自在に下筒12の上端に結合され、中筒17を覆い隠す上筒13とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不透明な材質から形成される下筒と、
透明な材質から形成され、前記下筒に同軸に前記下筒に嵌め込まれ、直立姿勢の前記下筒の上端から上方に延びる中筒と、
不透明な材質から形成され、前記中筒に同軸に取り外し自在に前記下筒の上端に結合され、前記中筒を覆い隠す上筒と
を備えることを特徴とする容器。
【請求項2】
請求項1に記載の容器において、前記下筒と前記上筒とは同一の外径を有することを特徴とする容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内側に収容物を収容する容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2は、切り花を収容する箱体を開示する。箱体はダンボール紙から四角柱体に形成される。扉の開閉に応じて花は出し入れされることができる。扉が開くと、中の収容物は提示されることができる。扉が閉じると、収容物は目隠しされることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4060266号公報
【特許文献2】実開平5-19169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダンボール紙は不透明であることから、扉が開放されると同時に初めて花は観察されることができる。したがって、こうした箱体が花のプレゼントに用いられると、受取人のわくわく感は作り出されることができる。とはいえ、扉では、必ず縁に切れ目が生成されることから、扉の外縁が本体の側面から浮き上がってしまう。扉はぱたぱたとはためいてしまう。扉の外縁と本体の側面との間で隙間の解消は難しい。意匠性は低下する。
【0005】
本発明は、扉を不要としながら収容物の提示および目隠しを実現することができる容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1側面によれば、不透明な材質から形成される下筒と、透明な材質から形成され、前記下筒に同軸に前記下筒に嵌め込まれ、直立姿勢の前記下筒の上端から上方に延びる中筒と、不透明な材質から形成され、前記中筒に同軸に取り外し自在に前記下筒の上端に結合され、前記中筒を覆い隠す上筒とを備える容器は提供される。
【0007】
中筒の内側に収容物は収容されることができる。中筒の外周に上筒が被せられると、収容物は目隠しされることができる。上筒が取り外されると、収容物は透明な中筒を通して視覚的に提示されることができる。上筒の取り外しまで収容物は目隠しされるので、こうした容器がプレゼントに用いられると、受取手のわくわく感は作り出されることができる。こうして扉を不要としながら収容物の提示および目隠しは実現されることができる。その後、受取手は運搬にあたって再び中筒の外周に上筒を被せることができる。このとき、中筒は、下筒に結合される上筒の動きを案内することができる。上筒が動くとき、上筒と収容物との干渉は回避されることができる。上筒の結合にあたって収容物の破損は回避されることができる。こうした容器は例えば切り花の運搬に重宝されることができる。
【0008】
前記下筒と前記上筒とは同一の外径を有すればよい。下筒に上筒が結合されると、上筒および下筒は1つの筒体として観察されることから、良好な意匠性は確保されることができる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、扉を不要としながら収容物の提示および目隠しを実現することができる容器は提供されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る容器の外観を概略的に示す正面図である。
【
図2】第1実施形態に係る容器の分解斜視図である。
【
図3】第2実施形態に係る容器の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
【0012】
図1は本発明の第1実施形態に係る容器11の外観を概略的に示す。容器11は、不透明な材質から形成される下筒12と、不透明な材質から形成され、直立姿勢の下筒12の上端12aに結合される上筒13とを備える。下筒12は円筒体に形成される。直立姿勢の下筒12では円筒体の中心軸Lxは重力方向に一致する。
【0013】
上筒13は下筒12に同軸に結合される。上筒13と下筒12とは同一の外径を有することから、下筒12の円筒面(外周面)と上筒13の円筒面(外周面)とは面一に広がり連続する。下筒12に上筒13が結合されると、下筒12および上筒13は1本の円筒体を構成する。下筒12の下端には下筒12の内空間を塞ぐ底板14が結合される。上筒13の上端には上筒13の内空間を塞ぐ天板15が結合される。ここでは、下筒12および上筒13はダンボール紙や厚紙から成形される。
【0014】
下筒12の上端12aは例えば中心軸Lxに交差する1仮想平面で仕切られることができる。仮想平面は中心軸Lxに直交してもよく特定の角度で傾斜してもよい。上筒13の下端13aは中心軸Lx回りに全周にわたって下筒12の上端12aに上方から重ねられる。上筒13の下端13aは下筒12の上端12aに密に重なって1境界線を描いてもよい。その他、上筒13および下筒12の境界には周方向に連続または不連続の溝が配置されてもよい。上筒13は軸方向(反重力方向)に引き上げられて下筒12から取り外されることができる。
【0015】
図2に示されるように、容器11は、下筒12に同軸に下筒12に嵌め込まれ、直立姿勢の下筒12の上端12aから上方に延びる中筒17をさらに備える。中筒17は透明な材質から形成される。透明な材質には例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)樹脂やアクリル樹脂、ポリカーボネートといった樹脂材のほかガラスといった無機材が用いられることができる。中筒17の内側に収容空間は区画される。中筒17の下端には下筒12内で収容空間を塞ぐ底板が結合される。中筒17の上端は例えば中心軸Lxに直交する仮想平面で仕切られる。収容空間は中筒17の上端で開放される。収容空間に収容物は配置される。ここでは、収容空間には切り花18が配置される。切り花18は透明な中筒17越しに視覚的に提示されることができる。下筒12に上筒13が結合されると、上筒13は中筒17を覆い隠す。切り花18は目隠しされる。
【0016】
中筒17の嵌め込みにあたって下筒12の内空間には嵌め合い筒19が密に差し込まれる。こうして嵌め合い筒19は下筒12に固定される。嵌め合い筒19は下筒12に同軸の円筒体で形成される。嵌め合い筒19の外周面と下筒12の上端12aとで環状の段差が形成される。
【0017】
嵌め合い筒19の内側に中筒17は密に嵌め込まれる。こうして中筒17は下筒12に固定される。中筒17の外周面と嵌め合い筒19の上端とで環状の段差は形成される。嵌め合い筒19はダンボール紙や厚紙から成形されることができる。嵌め合い筒19は下筒12と同一の材質から成形されればよい。嵌め合い筒19は下筒12に一体化されることができる。下筒12および上筒13の結合にあたって上筒13の下端13aから上筒13内に嵌め合い筒19は密に抜き差し自在に差し込まれる。こうして上筒13は下筒12に固定される。
【0018】
中筒17の内側に切り花18は収容されることができる。このとき、切り花18は、重力方向に沿って直立する主軸18aと、主軸18aの上端に結合される花18bと、主軸18aから延びる側軸18cの自由端に結合される葉18dとを有する。
【0019】
主軸18aには、中心軸Lxに直交する仮想平面内で主軸18aの位置を調整する固定具21が連結される。固定具21は、主軸18aに巻き付けられる針金22で主軸18aに結合される中心材21aと、中心材21aから中心軸Lxの遠心方向に延びて中筒17の内面に接触する複数の腕材21bとを有する。腕材21bは、例えば2本であれば中心軸Lx回りに180度の間隔で配置され、例えば3本であれば中心軸Lx回りに120度の間隔で配置され、4本であれば中心軸Lx回りに90度の間隔で配置されればよい。固定具21は例えば中心軸Lxに直交する仮想平面に沿った姿勢を維持することができる。中心材21aは針金22に代えて紐で主軸18aに縛り付けられてもよい。
【0020】
主軸18aの下端には、主軸18aの切り口に水分を補給する補水具23が装着される。補水具23は、下方から主軸18aの下端を覆う袋体23aと、袋体23aに収容される多孔質体23bとを有する。多孔質体23bは毛細管現象の働きで水を吸い込むことができる。多孔質体23bに主軸18aの切り口は接触する。多孔質体23bに保持される水は切り口から主軸18aに吸い上げられることができる。袋体23aは例えば水に不透過な樹脂材その他から形成されることができる。多孔質体23bはセラミックスや樹脂、金属その他の焼結体から形成されることができる。
【0021】
中筒17の外周に上筒13が被せられると、切り花18は目隠しされることができる。上筒13が取り外されると、切り花18は透明な中筒17を通して視覚的に観察者に提示されることができる。上筒13の取り外しまで切り花18は目隠しされるので、こうした容器11がプレゼントに用いられると、受取手のわくわく感は作り出されることができる。こうして扉を不要としながら切り花18の提示および目隠しは実現されることができる。
【0022】
その後、受取手は運搬にあたって再び中筒17の外周に上筒13を被せることができる。このとき、中筒17は、下筒12に結合される上筒13の動きを案内することができる。上筒13が動くとき、上筒13と切り花18との干渉は回避されることができる。上筒13の結合にあたって切り花18の破損は回避されることができる。こうした容器11は切り花18の運搬に重宝される。
【0023】
本実施形態では、下筒12と上筒13とは同一の外径を有する。下筒12に上筒13が結合されると、上筒13および下筒12は1つの筒体として観察されることから、良好な意匠性は確保されることができる。
【0024】
図3に示されるように、第2実施形態に係る容器11aは、前述と同様な下筒12および上筒13に加えて、下筒12に同軸に下筒12に嵌め込まれ、直立姿勢の下筒12の上端12aから上方に延びる中筒26を備える。中筒26は、下端から上方に延びて均一な外径を有する嵌め合い域26aと、嵌め合い域26aの上端から上方に延びて、上方にいくにつれて先細るテーパー域26bとを有する。中筒26は透明な材質から形成される。透明な材質には例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)樹脂やアクリル樹脂、ポリカーボネートといった樹脂材のほかガラスといった無機材が用いられることができる。中筒26の内側に収容空間は区画される。中筒26の下端には下筒12内で収容空間を塞ぐ底板が結合される。中筒26の上端は例えば中心軸Lxに直交する仮想平面で仕切られる。収容空間は中筒26の上端で開放される。収容空間には切り花18が配置される。切り花18は透明な中筒26越しに視覚的に提示されることができる。下筒12に上筒13が結合されると、上筒13は中筒26を覆い隠す。切り花18は目隠しされる。
【0025】
中筒26は下筒12の内空間に密に差し込まれる。こうして中筒26は下筒12に固定される。このとき、中筒26の嵌め合い域26aは下筒12の上端12aよりも決められた大きさで上方に広がる。下筒12および上筒13の結合にあたって上筒13の下端13aから上筒13内に中筒26は挿入される。上筒13に中筒26の嵌め合い域26aが密に差し込まれると、上筒13は下筒12に固定される。第2実施形態では嵌め合い筒は省略されることができる。その一方で、中筒26のテーパー域26bでは中筒26の差し込みにあたって中筒26と上筒13との干渉は回避されることができる。下筒12に上筒13が結合されると、下筒12および上筒13は1本の円筒体を構成する。本実施形態では嵌め合い域26aおよいbテーパー域26bは継ぎ目なく連続するので、上筒13が取り外された際に見栄えは高められることができる。
【符号の説明】
【0026】
11…容器、12…下筒、13…上筒、17…中筒。
【手続補正書】
【提出日】2021-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不透明な材質から形成される下筒と、
透明な材質から形成され、前記下筒に同軸に前記下筒に嵌め込まれ、直立姿勢の前記下筒の上端から上方に延びる中筒と、
不透明な材質から形成され、前記中筒に同軸に取り外されて前記中筒越しに視覚的に収容物を提示する第1位置、および、前記中筒に同軸に前記下筒の上端に結合され、前記中筒を覆い隠す第2位置の間で変位自在に配置される上筒と
を備えることを特徴とする容器。
【請求項2】
請求項1に記載の容器において、前記下筒と前記上筒とは同一の外径を有することを特徴とする容器。