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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072468
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9794 20170101AFI20220510BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20220510BHJP
   A61K 8/9767 20170101ALI20220510BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20220510BHJP
   A61K 36/899 20060101ALI20220510BHJP
   A61K 36/53 20060101ALI20220510BHJP
   A61K 36/282 20060101ALI20220510BHJP
   A61K 36/8994 20060101ALI20220510BHJP
   A61K 36/15 20060101ALI20220510BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220510BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220510BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220510BHJP
   A61K 31/45 20060101ALI20220510BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20220510BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20220510BHJP
   A61K 8/63 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
A61K8/9794
A61K8/9789
A61K8/9767
A61Q19/08
A61K36/899
A61K36/53
A61K36/282
A61K36/8994
A61K36/15
A61P43/00 107
A61P17/00
A61K9/08
A61K31/45
A61K31/704
A61K8/49
A61K8/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020181926
(22)【出願日】2020-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 智佳
(72)【発明者】
【氏名】門 隆之
(72)【発明者】
【氏名】小林 伸次
(72)【発明者】
【氏名】森山 昌明
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB31
4C076CC21
4C076DD37
4C076DD38
4C076DD39
4C076FF11
4C083AA082
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC242
4C083AC342
4C083AC392
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC612
4C083AC712
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD112
4C083AD352
4C083AD392
4C083AD531
4C083AD532
4C083CC02
4C083CC03
4C083DD12
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE12
4C083EE16
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC19
4C086EA10
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA63
4C086NA05
4C086ZA89
4C086ZC52
4C086ZC75
4C088AB03
4C088AB29
4C088AB38
4C088AB74
4C088AB77
4C088AC01
4C088AC04
4C088CA03
4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZC75
(57)【要約】      (修正有)
【課題】しわの予防・改善、抗老化、抗炎症、毛穴収縮、美白、はり・弾力の向上において優れた効果を有し、肌のべたつきが低減され、肌なじみのよい皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】イネ、ローズマリー、セージ、ヨモギ、ハトムギから選ばれる少なくとも1種の植物素材、並びに、ナイアシン及びグリチルリチン酸を含有する皮膚外用剤である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イネ、ローズマリー、セージ、ヨモギ、ハトムギから選ばれる少なくとも1種の植物素材、並びに、ナイアシン及びグリチルリチン酸を含有する皮膚外用剤。
【請求項2】
さらに、松樹皮を含有する請求項1に記載の皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の植物素材、ナイアシン及びグリチルリチン酸を含有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、美容業界等においては、身体のコラーゲンを保護し、維持するための研究がなされている。皮膚の表皮は、角質層、顆粒層、有棘層、基底層及び基底膜からなり、真皮は、線維芽細胞及びこれらの細胞の外にあって皮膚構造を支持するエラスチン、コラーゲン等の細胞外マトリックスにより構成されている。コラーゲンは皮膚の主成分であり、弾力性のある繊維状のタンパク質である。コラーゲン産生量が正常であれば、しみやくすみのない滑らかな肌となり、弾力のある血管が形成される。しかしながら、コラーゲンは、体内でコラゲナーゼの作用により分解してしまう。
【0003】
コラゲナーゼは、加齢や紫外線等によって活性化される。活性化されたコラゲナーゼによってコラーゲンが分解されると、皮膚は弾力性が低下し、角質は異常剥離を始めるため、肌ははり・弾力やつやを失い、荒れ、しわ等の老化症状を呈するようになる。よって、コラーゲンの分解を抑制し、皮膚の老化を防止するために、コラゲナーゼ活性阻害剤となり得る種々の物質が研究されている。このような中、コラゲナーゼ活性阻害剤の代表的なものとして、グアバの葉(特許文献1)、ハマメリス抽出物(特許文献2)等が知られている。しかしながら、従来のコラゲナーゼ阻害剤は、必ずしも効果が十分でなく、製品への配合では、有効な結果を得るに至っていない場合があった。
【0004】
また、従来、美容業界等においては、抗炎症作用や毛穴縮小作用、美白作用を有する植物由来成分に関する研究がなされている。皮膚の色は、メラニンに代表される着色成分の表皮及び真皮内における種類や量によって決まるが、様々な外的、内的因子によって制御されている。これらの因子によってメラニンの過剰な生成が行われると、局所的な色素沈着、しみ、そばかす等の炎症を引き起こし、美容上の大きな問題となる。また、メラニンの過剰な生成によって引き起こされる炎症によって、皮膚のターンオーバーが乱れ、肌細胞が未熟なまま育って毛穴がへこんだり、毛穴周りの細胞やコラーゲンが増殖して凸状に盛り上がったりして、毛穴に凹凸ができ、美容上の大きな問題となっている。
【0005】
紫外線や睡眠不足、疲労等によってチロシナーゼが活性化されると、このチロシナーゼによって、必須アミノ酸であるチロシンがドーパキノンとなり、ドーパキノンの酵素的又は非酵素的酸化作用によりメラニンの生成が促される。よって、抗炎症剤や毛穴縮小剤、美白剤では、チロシナーゼ活性を阻害することが重要である。このような中、チロシナーゼ阻害剤の代表的なものとして、バショウ属植物の葉又はその抽出物(特許文献3)、サラシア属植物の抽出物(特許文献4)等が知れている。しかしながら、従来のチロシナーゼ阻害剤は、必ずしも効果が十分でなく、製品への配合では、有効な効果を得るに至っていない場合があった。
【0006】
さらに、従来、美容作用や薬理作用を発揮させるために、植物由来の美容成分や薬効成分を含む外用剤が利用されている。植物由来の成分は、その効果が弱く、外用剤に添加した場合に美容効果や薬理効果を十分に得ることができないという問題点が残されている。また、植物由来の成分は、抽出成分における活性濃度が低いために、外用剤における配合量がしばしば多くなってしまうことから、外用剤の感触、使用感、色、臭い、安定性、物性等に影響を及ぼすだけでなく、製造コストも高くなるという問題点が残されている。
【0007】
そこで、植物由来成分と、植物由来成分以外の成分を組み合わせることで、植物由来成分の美容作用や薬理作用を十分に発揮させたり、植物由来成分の配合量を減らしたりする方法が提案されている。たとえば、ラン科シラン属に属する植物の抽出物とコウジ酸とを配合することにより、植物由来成分が低配合でも美容効果を十分に発揮する方法が挙げられる(特許文献5)。しかしながら、従来の、植物由来成分と、植物由来成分以外の成分を組み合わせた外用剤は、皮膚に塗布した際に肌がべたつき、肌なじみが悪く、不快な使用感を与えるという問題点が残されている。また、従来の、植物由来成分と、植物由来成分以外の成分を組み合わせた外用剤は、必ずしも効果が十分でなく、製品への配合では、有効な効果を得るに至っていない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7-291873号公報
【特許文献2】特開平8-283133号公報
【特許文献3】特開2008-056587号公報
【特許文献4】特開2008-120774号公報
【特許文献5】特開2002-128654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、特定の植物素材と、特定の植物素材以外の成分を組み合わせることで、植物素材が低配合でも美容効果や薬理効果を十分に発揮することのできる皮膚外用剤を提供することにある。また、本発明は、上記事情に鑑み、特定の植物素材と、特定の植物素材以外の成分を組み合わせることで、皮膚のしわの予防・改善、抗老化の美容作用の優れた皮膚外用剤を提供することにある。また、本発明は、上記事情に鑑み、特定の植物素材と特定の植物素材以外の成分を組み合わせることで、抗炎症、毛穴縮小、美白作用の優れた皮膚外用剤を提供することにある。また、本発明は、上記事情に鑑み、特定の植物素材と特定の植物素材以外の成分を組み合わせることで、肌のべたつきが低減され、肌なじみがよく、使用感が向上し、皮膚のはり・弾力が向上・改善の美容作用の優れた皮膚外用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、驚くべきことに、特定の植物素材、ナイアシン及びグリチルチリン酸を含有することで、特定の植物素材のみを使用した場合に比べて、コラゲナーゼを阻害でき、皮膚のしわの予防・改善、抗老化に優れた皮膚外用剤が製造できることを見出した。また、特定の植物素材、ナイアシン及びグリチルリチン酸を含有することで、特定の植物素材のみを使用した場合に比べて、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れた皮膚外用剤が製造できることを見出した。さらに、特定の植物素材、ナイアシン及びグリチルリチン酸を含有することで、特定の植物素材のみを使用した場合に比べて、肌のべたつきが低減され、肌なじみがよく、使用感に優れ、皮膚のはり・弾力の向上・改善の美容作用に優れた皮膚外用剤が製造できることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]イネ、ローズマリー、セージ、ヨモギ、ハトムギから選ばれる少なくとも1種の植物素材、並びに、ナイアシン及びグリチルリチン酸を含有する皮膚外用剤。
[2]イネ、ローズマリー、セージ、ヨモギ、ハトムギから選ばれる少なくとも1種の植物素材、並びに、ナイアシン、グリチルリチン酸及び松樹皮抽出物を含有する皮膚外用剤。
[3]イネ、ローズマリー、セージ、ヨモギ、ハトムギから選ばれる少なくとも1種の植物素材、並びに、ナイアシン及びグリチルリチン酸を含有するしわの予防・改善剤。
[4]イネ、ローズマリー、セージ、ヨモギ、ハトムギから選ばれる少なくとも1種の植物素材、並びに、ナイアシン及びグリチルリチン酸を含有する抗老化剤。
[5]イネ、ローズマリー、セージ、ヨモギ、ハトムギから選ばれる少なくとも1種の植物素材、並びに、ナイアシン及びグリチルリチン酸を含有する抗炎症剤。
[6]イネ、ローズマリー、セージ、ヨモギ、ハトムギから選ばれる少なくとも1種の植物素材、並びに、ナイアシン及びグリチルリチン酸を含有する毛穴縮小剤。
[7]イネ、ローズマリー、セージ、ヨモギ、ハトムギから選ばれる少なくとも1種の植物素材、並びに、ナイアシン及びグリチルリチン酸を含有する美白剤。
[8]イネ、ローズマリー、セージ、ヨモギ、ハトムギから選ばれる少なくとも1種の植物素材、並びに、ナイアシン及びグリチルリチン酸を含有するはり・弾力の向上・改善剤。
[9]イネ、ローズマリー、セージ、ヨモギ、ハトムギから選ばれる少なくとも1種の植物素材、並びに、ナイアシン及びグリチルリチン酸を含有するコラゲナーゼ阻害剤。
[10]イネ、ローズマリー、セージ、ヨモギ、ハトムギから選ばれる少なくとも1種の植物素材、並びに、ナイアシン及びグリチルリチン酸を含有するチロシナーゼ阻害剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明の皮膚外用剤によれば、コラゲナーゼを阻害できることから、皮膚のしわの予防・改善、抗老化に優れた美容作用を奏することができる。また、本発明の皮膚外用剤によれば、チロシナーゼを阻害できることから、優れた抗炎症作用、毛穴縮小作用、美白作用を奏することができる。また、本発明の皮膚外用剤によれば、肌のべたつきが低減され、肌なじみがよく、優れた使用感を有し、優れたはり・弾力の向上・改善作用を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1、2、6及び7のコラゲナーゼ阻害の評価を示すグラフである。
図2】実施例3のコラゲナーゼ阻害の評価を示すグラフである。
図3】実施例8及び9のコラゲナーゼ阻害の評価を示すグラフである。
図4】実施例1及び6のチロシナーゼ阻害の評価を示すグラフである。
図5】実施例7乃至9のチロシナーゼ阻害の評価を示すグラフである。
図6】実施例10乃至14の使用感、はり・弾力の評価を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の皮膚外用剤は、特定の植物素材、ナイアシン及びグリチルリチン酸を含有することを特徴とする。
【0015】
以下、本発明の組成物について、その好ましい実施形態に基づいて説明する。
【0016】
<特定の植物素材>
本発明において、特定の植物素材とは、イネ、ローズマリー、セージ、ヨモギ、ハトムギの総称である。以下、本発明の特定の植物について詳述する。
【0017】
<イネ>
イネは、イネ科イネ属に属する、学名がOryza sativaの穀物である。本発明で用いるイネの種類としては、特に制限はないが、ジャポニカ種、インディア種等を挙げることができる。本発明で用いるイネの部位としては、特に制限はないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、種子である籾が好ましく、籾から籾殻を除いた玄米がより好ましく、玄米の外皮、胚、糊粉層がさらに好ましく、玄米を精米した際に副産物として得られる、果皮、種皮、胚皮等の部分であるコメヌカを用いることが特に好ましい。
【0018】
本発明においては、種々のイネの加工物を使用することができ、加工形態としては、特に制限はないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、粉砕物、粉砕末、抽出物、抽出末が好ましく、粉砕末、抽出物、抽出末がより好ましく、抽出物が特に好ましい。抽出に用いる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ヘキサン等の有機溶媒、酢酸、クエン酸、又は、これらの水溶液等の酸性水溶液、もしくは、これらの混合溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本発明でイネの抽出物又は抽出末を用いる場合、イネの抽出溶媒としては、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、水、エタノール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、又はこれらの混合溶媒が好ましく、水、エタノール、1,3-ブチレングリコール、又はこれらの混合溶媒がより好ましく、1,3-ブチレングリコールと水の混合溶媒が特に好ましい。
【0019】
<ローズマリー>
ローズマリーは、シソ科マンネンロウ属に属する、和名がマンネンロウで、学名がRosmarinus officinalis L.の常緑性低木であり、香辛料、調味料、香料、ハーブ、生薬等としても用いられている。本発明で用いるローズマリーの部位としては、全体を用いてもいずれの部位を用いてもよく、特に制限はないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、花、葉、枝が好ましく、花、葉がより好ましく、葉が特に好ましい。
【0020】
本発明においては、種々のローズマリーの加工物を使用することができ、加工形態としては、特に制限はないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、乾燥物、粉砕物、粉砕末、搾汁物、搾汁末、抽出物、抽出末が好ましく、搾汁物、抽出物がより好ましく、抽出物が特に好ましい。抽出に用いる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ヘキサン等の有機溶媒、酢酸、クエン酸、又は、これらの水溶液等の酸性水溶液、もしくは、これらの混合溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本発明でローズマリーの抽出物又は抽出末を用いる場合、イネの抽出溶媒としては、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、エタノール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、グリセリン又はこれらと水の混合溶媒が好ましく、エタノール、1,3-ブチレングリコール、又は、これらと水の混合溶媒がより好ましく、1,3-ブチレングリコールと水の混合溶媒が特に好ましい。
【0021】
<セージ>
セージは、シソ科アサギリ属に属する多年草又は常緑低木であり、香辛料、調味料、香料、ハーブ、生薬としても用いられている。本発明で用いるセージとしては、特に制限はないが、和名がヤクヨウサルビアで学名がSalvia officinalisのセージや、和名がオニサルビアで学名がSalvia sclarea L.のクラリセージ等を用いることができる。セージの部位としては、全体を用いてもいずれの部位を用いてもよく、特に制限はないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、花や葉、枝が好ましく、葉が特に好ましい。
【0022】
本発明においては、種々のセージの加工物を使用することができ、加工形態としては、特に制限はないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、乾燥物、粉砕物、粉砕末、搾汁物、搾汁末、抽出物、抽出末が好ましく、搾汁物、抽出物がより好ましく、抽出物が特に好ましい。抽出に用いる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ヘキサン等の有機溶媒、酢酸、クエン酸、又は、これらの水溶液等の酸性水溶液、もしくは、これらの混合溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本発明でセージの抽出物又は抽出末を用いる場合、セージの抽出溶媒としては、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、エタノール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、グリセリン又はこれらと水の混合溶媒が好ましく、エタノール、1,3-ブチレングリコール、又は、これらと水の混合溶媒がより好ましく、1,3-ブチレングリコールと水の混合溶媒が特に好ましい。
【0023】
<ヨモギ>
ヨモギは、キク科に属する、学名がArtemisia indica Willd. var. maximowicziiの多年草であり、香辛料、調味料、ハーブ、生薬としても用いられている。本発明で用いるヨモギの種類としては、特に制限はないが、ヨモギ、ニガヨモギ、タラゴン、ニトロフヨモギ、オニオトコヨモギ、カワラヨモギ、オトコヨモギ、ハマヨモギ、カワラニンジン、クソニンジン、イヌヨモギ、ミヤマオトコヨモギ、エゾハハコヨモギ、サマニヨモギ、タカネヨモギ、ハハコヨモギ、シコタンヨモギ、シロヨモギ、イワヨモギ、ヒメヨモギ、ワタヨモギ、ケショウヨモギ、ヒトツバヨモギ、チシマヨモギ、ヒロハウラジロヨモギ、ヒロハヤマヨモギ、ユキヨモギ、ヤブヨモギ、オオヨモギ、ニシヨモギ、アサギリソウ、キタダケヨモギ等を挙げることができる。本発明で用いるヨモギの使用部位としては、全体を用いてもいずれの部位を用いてもよく、特に制限はないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、花、穂、茎、葉、枝、根茎、根、種子が好ましく、茎、葉、枝がより好ましく、葉が特に好ましい。
【0024】
本発明においては、種々のヨモギの加工物を使用することができ、加工形態としては、特に制限はないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、乾燥物、粉砕物、粉砕末、搾汁物、搾汁末、抽出物、抽出末が好ましく、搾汁物、抽出物がより好ましく、抽出物が特に好ましい。抽出に用いる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ヘキサン等の有機溶媒、酢酸、クエン酸、又は、これらの水溶液等の酸性水溶液、もしくは、これらの混合溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本発明でセージの抽出物又は抽出末を用いる場合、ヨモギの抽出溶媒としては、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、エタノール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、グリセリン又はこれらと水の混合溶媒が好ましく、エタノール、1,3-ブチレングリコール、又は、これらと水の混合溶媒がより好ましく、1,3-ブチレングリコールと水の混合溶媒が特に好ましい。
【0025】
<ハトムギ>
ハトムギは、イネ科ジュズダマ属に属する、学名がCoix lacryma-jobi var. ma-yuenの穀物である。本発明で用いるハトムギの部位としては、全体を用いてもいずれの部位を用いてもよく、特に制限はないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、種皮、種子が好ましく、ヨクイニンと呼ばれる種皮を除いた種子が特に好ましい。
【0026】
本発明においては、種々のハトムギの加工物を使用することができ、加工形態としては、特に制限はないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、粉砕物、粉砕末、抽出物、抽出末が好ましく、搾汁物、抽出物がより好ましく、抽出物が特に好ましい。抽出に用いる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ヘキサン等の有機溶媒、酢酸、クエン酸、又は、これらの水溶液等の酸性水溶液、もしくは、これらの混合溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本発明でハトムギの抽出物又は抽出末を用いる場合、ヨモギの抽出溶媒としては、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、エタノール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、グリセリン又はこれらと水の混合溶媒が好ましく、エタノール、1,3-ブチレングリコール、又は、これらと水の混合溶媒がより好ましく、1,3-ブチレングリコールと水の混合溶媒が特に好ましい。
【0027】
本発明の皮膚外用剤において、特定の植物素材は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本発明の皮膚外用剤において、特定の植物素材の合計量の下限値は、特に制限されないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、皮膚外用剤の全量に対して、0.00001重量%以上が好ましく、0.0001重量%以上がよりに好ましく、0.001重量%以上が最も好ましい。また、本発明の皮膚外用剤において、特定の植物素材の合計量の上限値は、特に制限されないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、皮膚外用剤の全量に対して、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、1重量%以下が最も好ましい。
【0028】
<ナイアシン>
ナイアシンは、ニコチン酸と、ニコチン酸の誘導体であるナイアシンの総称であり、ビタミB3とも呼ばれ、糖質、脂質、タンパク質の代謝に不可欠な成分である。本発明のナイアシンとしては、ニコチン酸、ニコチン酸の誘導体のいずれを用いてもよく、特に制限はないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、ニコチン酸の誘導体を用いることが好ましく、ナイアシンアミド(ニコチン酸アミド)を用いることが特に好ましい。本発明のナイアシンは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、本発明で用いるナイアシンは、天然物から抽出したものも使用することができるし、公知の方法によって合成したものを使用することもできる。
【0029】
本発明でナイアシンとして用いられるナイアシンアミドは、ニコチン酸の誘導体の1種で、ニコチン酸のアミド化合物であり、ニコチン酸アミド、ニコチンアミド、ピリジン-3-カルボン酸とも呼ばれる。ナイアシンアミドには、人体の外部表面に塗布された場合に、ケラチノサイトからの抗微生物ペプチド(AMP)の分泌を誘導することによって、人体の外部表面を病原菌から保護する効果を有することが知られている。
【0030】
本発明の皮膚外用剤において、ナイアシンの配合量の下限値は、特に制限されないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、皮膚外用剤の全量に対して、0.0005重量%以上が好ましく、0.005重量%以上がよりに好ましく、0.005重量%以上が最も好ましい。また、本発明の皮膚外用剤において、ナイアシンの配合量の上限値は、特に制限されないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、皮膚外用剤の全量に対して、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、1重量%以下が最も好ましい。
【0031】
<グリチルリチン酸>
グリチルリチン酸は、トリテルペン配糖体の一種であり、甘草の根に含まれる成分である。本発明のグリチルリチン酸としては、グリチルリチン酸及びその誘導体並びにその塩のいずれを用いてもよい。グリチルリチン酸としては、たとえば、βグリチルリチン酸が挙げられる。グリチルリチン酸誘導体としては、たとえば、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルレチン酸ステアリルが挙げられる。本発明のグリチルリチン酸としては、特に制限はないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、グリチルリチン酸誘導体を用いることが好ましく、グリチルリチン酸ジカリウムを用いることが特に好ましい。本発明のグリチルチリン酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、本発明で用いるグリチルリチン酸は、天然物から抽出したものも使用することができるし、公知の方法によって合成したものを使用することもできる。
【0032】
本発明でグリチルリチン酸として用いられるグリチルリチン酸ジカリウムは、グリチルチリン酸の誘導体の1種で、グリチルチリン酸二カリウム、グリチルリチン酸2K、グリチルリチン酸K2、グリチノンK2とも呼ばれる。グリチルリチン酸ジカリウムには、頭皮に塗布された場合に、育毛・養毛効果を有することが知られている。
【0033】
本発明の皮膚外用剤において、グリチルリチン酸の配合量の下限値は、特に制限されないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、皮膚外用剤の全量に対して、0.00001重量%以上が好ましく、0.0005重量%以上がよりに好ましく、0.0001重量%以上が最も好ましい。また、本発明の皮膚外用剤において、グリチルリチン酸の配合量の上限値は、特に制限されないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、皮膚外用剤の全量に対して、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、1重量%以下が最も好ましい。
【0034】
本発明の皮膚外用剤において、ナイアシンに対するグリチルリチン酸の配合比率の下限値は、特に制限されないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、ナイアシン100重量%に対して、0.0001重量%以上が好ましく、0.001重量%以上がよりに好ましく、0.01重量%以上が最も好ましい。また、本発明の皮膚外用剤において、ナイアシンに対するグリチルリチン酸の配合比率の上限値は、特に制限されないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、ナイアシン100重量%に対して、200重量%以下が好ましく、100重量%以下がより好ましく、20重量%以下が最も好ましい。
【0035】
本発明の皮膚外用剤において、ナイアシン及びグリチルリチン酸に対する特定の植物素材の配合比率は、特に制限されないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、ナイアシン及びグリチルリチン酸の合計量を1とした場合、1:0.005~20が好ましく、1:0.05~10がより好ましく、1:0.5~5が最も好ましい。
【0036】
本発明の皮膚外用剤において、特定の植物素材、ナイアシン及びグリチルリチン酸の合計量の下限値は、特に制限されないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、皮膚外用剤の全量に対して、0.0005重量%以上が好ましく、0.005重量%以上がよりに好ましく、0.005重量%以上が最も好ましい。また、本発明の皮膚外用剤において、特定の植物素材、ナイアシン及びグリチルリチン酸の合計量の上限値は、特に制限されないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、さらに、肌のべたつきを低減でき、肌なじみを向上させることができ、はり・弾力の向上・改善作用に優れる点から、皮膚外用剤の全量に対して、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、0.5重量%以下が最も好ましい。
【0037】
<松樹皮>
本発明においては、松樹皮を配合することが好ましい。本発明で用いられる松樹皮の原料としては、フランス海岸松(Pinus Martima)、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ等を挙げることができ、これらの中でも、フランス海岸松が好ましい。
【0038】
本発明においては、種々の松樹皮の加工物を使用することができ、加工形態としては、特に制限はないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、粉砕物、粉砕末、抽出物、抽出末が好ましく、搾汁物、抽出物がより好ましく、抽出物が特に好ましい。松樹皮抽出物を用いる場合、得られた抽出物をそのまま用いてもよいし、必要に応じて濃縮又は乾燥して、液状、ペースト状、又は粉末として用いてもよい。また、松樹皮抽出物は、市販品を用いることができ、たとえば、株式会社東洋新薬製の松樹皮抽出物を用いることができる。
【0039】
本発明で使用する松樹皮は、主な成分の一つとして、プロアントシアニジンを含有する。プロアントシアニジンは、フラバン-3-オール及び/又はフラバン-3,4-ジオールを構成単位とする重合度が2以上の縮重合体からなる化合物群である。
【0040】
本発明で使用する松樹皮は、プロアントシアニジンとして重合度が2以上の縮重合体が含有されていることが好ましい。特に、重合度が低い縮重合体が多く含まれるプロアントシアニジンが好ましい。重合度の低い縮重合体としては、例えば、重合度が2~30の縮重合体(2~30量体)であり、重合度が2~10の縮重合体(2~10量体)が好ましく、重合度が2~4の縮重合体(2~4量体)がさらに好ましい。本明細書では、重合度が2~4の重合体を、OPC(Oligomeric proanthocyanidin)という。本発明に用いられる松樹皮は、OPCを20質量%以上含有することが好ましく、30質量%以上含有することがより好ましく、40質量%以上含有することがさらに好ましい。
【0041】
本発明において、松樹皮抽出物を用いる場合、松の樹皮を水又は有機溶媒で抽出して得られる。抽出に水を用いる場合、温水、熱水が好ましく用いられる。抽出に有機溶媒を用いる場合、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ブタン、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール等の食品あるいは薬剤の製造に許容される有機溶媒が好ましく用いられる。これらの水、有機溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上の溶媒を組み合わせて用いてもよい。特に、水、エタノール、含水エタノール等が好ましく用いられる。
【0042】
松樹皮から松樹皮抽出物を抽出する方法としては、特に制限はないが、例えば、加温抽出法や超臨界流体抽出法等の抽出法が用いることができる。松樹皮抽出物の抽出方法においては、複数の抽出方法を組み合わせてもよい。
【0043】
本発明の皮膚外用剤において、松樹皮抽出物の配合量の下限値は、特に制限されないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、皮膚外用剤の全量に対して、0.000005重量%以上が好ましく、0.00001重量%以上がよりに好ましく、0.00005重量%以上が最も好ましい。また、本発明の皮膚外用剤において、松樹皮抽出物の配合量の上限値は、特に制限されないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、皮膚外用剤の全量に対して、20重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましく、5重量%以下が最も好ましい。
【0044】
本発明の皮膚外用剤において、特定の植物素材、ナイアシン及びグリチルリチン酸の合計量に対する松樹皮抽出物の配合比率は、特に制限されないが、コラゲナーゼを阻害でき、しわの予防・改善、抗老化作用に優れる点から、また、チロシナーゼを阻害でき、抗炎症、毛穴縮小、美白作用に優れる点から、特定の植物素材、ナイアシン及びグリチルリチン酸の合計量を1とした場合、1:0.00001~50が好ましく、1:0.00005~35がより好ましく、1:0.0001~25が最も好ましい。
【0045】
本発明の皮膚外用剤は、皮膚のしわの改善、抗老化、抗炎症、毛穴収縮、美白に有用であり、化粧品、医薬部外品、外用医薬品等の皮膚外用剤に好適に利用され得る。
【0046】
本発明の皮膚外用剤は、必要に応じて、本発明の成分以外の他の成分を添加することができる。本発明の成分以外の他の成分としては、たとえば、その他の有効成分、防腐剤、pH調整剤、油脂、香料、着色剤、酸化防止剤、防菌防かび剤、アルコール、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤、無機塩、滑沢剤、溶剤、精製水等の、通常、皮膚外用剤に使用される成分の一種以上を使用することができる。本発明の溶解型マイクロニードル製剤は、優れた成型性、溶解性の点で、精製水を添加することが好ましい。
【0047】
以下、本発明の皮膚外用剤に含有される、本発明の成分以外の他の成分について、その代表的なものを更に説明する。
【0048】
本発明の皮膚外用剤に含有される有効成分としては、特に限定されることなく、化粧品、医薬部外品、外用医薬品等に用いられる薬剤や、特定の植物素材及び松樹皮以外の植物等を目的に応じ使用することができる。代表的なものとして、例えば、メフェナム酸、フェニルブタゾン、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、アラントイン、グアイアズレン、パンテノール、アラントイン等の抗炎症剤、アスコルビン酸及びその誘導体並びにそれらの塩、システイン及びその誘導体並びにその塩、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン、プラセンタ、ハイドロキノン及びその誘導体、レゾルシン及びその誘導体、グルタチオン等の美白剤、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤、サリチル酸、オウバク抽出物等の殺菌剤、トコフェロール及びその誘導体、甘草、アロエ、茶葉等の植物成分、エストラジオール等のホルモン等が挙げられる。なお、植物成分を使用する場合は、その全草、葉(葉身、葉柄等)、果実(成熟、未熟等)、種子、花(花弁、子房等)、茎、根茎、根、塊根等を、そのまま、切断、破砕、粉砕、搾取、抽出して用いるか、又はこれら処理されたものを乾燥もしくは粉末化して用いることができる。
【0049】
本発明の皮膚外用剤は、皮膚のしわの改善及び/又は予防、抗老化、抗炎症、毛穴収縮、美白、はり・弾力の改善の効果を奏するものであり、美容作用を有するため、乾燥による小じわを目立たなくすること、肌の若返り、炎症による肌荒れを減らすこと、肌を滑らかにすること、肌の透明感、肌のたるみを改善すること、肌質改善、皮膚をすこやかに保つことを目的とした、化粧品、医薬部外品、薬品等の医薬品のいずれにも好適に使用することができる。
【0050】
本発明の皮膚外用剤は、製品の包装等に、本発明の成分(特定の植物素材、ナイアシン及びグリチルリチン酸)が皮膚のしわの改善及び/又は予防、抗老化、抗炎症、毛穴収縮、美白、はり・弾力の改善等の美容の有効成分として表示されているものに限られない。たとえば、有効成分を特定していないものであってもよく、本発明の成分以外の特定の素材を有効成分として表示したものであってもよい。
【0051】
本発明の皮膚外用剤は、後述する実施例で示された皮膚のしわの改善及び/又は予防、抗老化、抗炎症、毛穴収縮、美白、はり・弾力の改善の効果を奏することにより、しわの改善用組成物、しわの予防用組成物、抗老化用組成物、老化予防用組成物、抗炎症用組成物、炎症の低減用組成物、炎症の改善用組成物、毛穴収縮用組成物、美白組成物、はり・弾力の改善用組成物、美容組成物として優れたものとなり得る。
【実施例0052】
以下、実施例を挙げて本発明の皮膚外用剤を更に詳細に説明する。しかし、本発明の技術的範囲は、かかる実施例に限定されない。以下、特に断らない場合、「%」は重量%を表す。
【0053】
<試験1 コラゲナーゼ阻害の評価>
特定の植物素材として、玄米の果皮、種皮、胚及び糊粉層粉砕物の混合物を1,3-ブチレングリコールと水の混合溶媒で抽出したコメヌカエキスを用いた。
特定の植物素材として、ローズマリーの葉を1,3-ブチレングリコールと水の混合溶媒で抽出したローズマリー葉エキスを用いた。
特定の植物素材として、セージの葉を1,3-ブチレングリコールと水の混合溶媒で抽出したセージ葉エキスを用いた。
特定の植物素材として、ヨモギの葉を1,3-ブチレングリコールと水の混合溶媒で抽出したヨモギ葉エキスを用いた。
特定の植物素材として、ハトムギの種子を1,3-ブチレングリコールと水の混合溶媒で抽出したヨクイニンエキスを用いた。
ナイアシンとして、ナイアシンアミドを用いた。
グリチルリチン酸として、グリチルリチン酸ジカリウムを用いた。
松樹皮として、フランス海岸松の樹皮を熱水で抽出したフランスカイガンショウ樹皮エキス(乾燥粉末)を用いた。
【0054】
(サンプル溶液の調製)
50%1,3-ブチレングリコール水溶液(50%BG)を用いて、表1に記載の被験物質の濃度が0.12%となるように調製した。チューブミキサーにて60分間撹拌した後、遠心し上清を回収して、被験物質の最終濃度が0.003%となるように50%BGを用いて希釈し、サンプル溶液を調製した。被験物質を入れない溶液をブランク溶液とした。
【0055】
【表1】
【0056】
(酵素溶液の調製)
コラゲナーゼB(Clostridium histolyticum由来、Roche製)を、0.1%BSA(ウシ血清アルブミン)含有ダルベッコPBS(Phosphate Buffer Saline)(-)を用いて10μg/mLとなるよう調製した。
【0057】
(蛍光基質溶液の調製)
DMSOで溶解した蛍光基質(MOCAc-Pro-Leu-Gly-Leu-A2pr(DNP)-Ala-Arg-NH2)を、0.1%BSA含有ダルベッコPBS(-)を用いて5μMに希釈した。
【0058】
(コラゲナーゼ阻害活性の測定)
被験溶液(Sample test)の調製は以下のように行った。96ウェル蛍光用プレートへサンプル溶液を50μL/wellで添加した後、酵素溶液を100μL/wellで添加し、37℃で10分間インキュベートを行った。さらに、蛍光基質溶液を50μL/wellで添加し、遮光して37℃、60分間インキュベートを行った。320nmで励起し、405nmにおける蛍光強度を測定した。
【0059】
被験溶液(Sample blank)の調製は以下のように行った。96ウェル蛍光用プレートへブランク溶液を50μL/wellで添加した後、酵素溶液を100μL/wellで添加し、37℃で10分間インキュベートを行った。さらに、蛍光基質溶液に代えて0.1%BSA含有ダルベッコPBS(-)を50μL/wellで添加し、遮光して37℃、60分間インキュベートを行った。320nmで励起し、405nmにおける蛍光強度を測定した。
【0060】
対照溶液(Control test)の調製は以下のように行った。96ウェル蛍光用プレートへサンプル溶液を50μL/wellで添加した後、酵素溶液を100μL/wellで添加し、37℃で10分間インキュベートを行った。さらに、蛍光基質溶液を50μL/wellで添加し、遮光して37℃、60分間インキュベートを行った。320nmで励起し、405nmにおける蛍光強度を測定した。
【0061】
対照溶液(Control blank)の調製は以下のように行った。96ウェル蛍光用プレートへブランク溶液を50μL/wellで添加した後、酵素溶液を100μL/wellで添加し、37℃で10分間インキュベートを行った。さらに、蛍光基質溶液に代えて0.1%BSA含有ダルベッコPBS(-)を50μL/wellで添加し、遮光して37℃、60分間インキュベートを行った。320nmで励起し、405nmにおける蛍光強度を測定した。
【0062】
各被験物質のコラゲナーゼ阻害率は下記の式にて算出した。
コラゲナーゼ阻害率(%)
=(1 - [(Sample test - Sample blank) / (Control test - Control blank)])×100
【0063】
(式中、「Sample test」は、被験溶液(Sample test)の蛍光強度を示し、「Sample blank」は、被験溶液(Sample blank)の蛍光強度を示し、「Control test」は、対照溶液(Control test)の蛍光強度を示し、「Control blank」は、対照溶液(Control blank)の蛍光強度を表す。)
【0064】
その結果を図1乃至3に示す。図1に示されるように、本発明の実施例1及び2に係る特定の植物素材、ナイアシンアミド及びグリチルリチン酸ジカリウムを含む場合、比較例1、2に係る特定の植物素材、及び、比較例6に係るナイアシンアミド及びグリチルチリン酸ジカリウムを含む場合に比べて、コラゲナーゼ活性が明らかに阻害された。すなわち、本発明に係る特定の植物素材、ナイアシン及びグリチルリチン酸の組み合わせは、しわの予防・改善、抗老化に有用である。また、本発明の実施例6、7に係る特定の植物素材、ナイアシンアミド、グリチルリチン酸ジカリウム及び松樹皮抽出物を含む場合、実施例1、2に係る特定の植物素材、ナイアシンアミド及びグリチルリチン酸ジカリウムを含む場合に比べて、コラゲナーゼ活性がさらに阻害された。すなわち、本発明に係る特定の植物素材、ナイアシン及びグリチルリチン酸に、さらに、松樹皮を組み合わせると、しわの予防・改善、抗老化に極めて有用である。
【0065】
また、図2に示されるように、本発明の実施例3に係る特定の植物素材、ナイアシンアミド及びグリチルリチン酸ジカリウムを含む場合、比較例3に係る特定の植物素材、及び、比較例6に係るナイアシンアミド及びグリチルチリン酸ジカリウムを含む場合に比べて、コラゲナーゼ活性が明らかに阻害された。すなわち、本発明に係る特定の植物素材、ナイアシン及びグリチルリチン酸の組み合わせは、しわの予防・改善、抗老化に有用である。
【0066】
また、図3に示されるように、本発明の実施例8、9に係る特定の植物素材、ナイアシンアミド、グリチルリチン酸ジカリウム及び松樹皮抽出物を含む場合、比較例4、5に係る特定の植物素材、比較例6に係るナイアシンアミド及びグリチルチリン酸ジカリウム、比較例7に係る松樹皮抽出物を含む場合に比べて、コラゲナーゼ活性が明らかに阻害された。すなわち、本発明に係る特定の植物素材、ナイアシン、グリチルリチン酸及び松樹皮の組み合わせは、しわの予防・改善、抗老化に有用である。
【0067】
<試験2 チロシナーゼ阻害の評価>
特定の植物素材、ナイアシン、グリチルリチン酸、松樹皮として、試験1で用いたものと同じものを用いた。
【0068】
(サンプル溶液の調製)
50%BGを用いて、被験物質の濃度が0.09%となるように調製した。チューブミキサーにて60分間撹拌した後、遠心し上清を回収して、被験物質の最終濃度が0.01%となるように50%BGを用いて希釈し、サンプル溶液を調製した。被験物質を入れない溶液をブランク溶液とした。
【0069】
(酵素溶液の調製)
チロシナーゼ(マッシュルーム由来、CALZYME製)を、1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を用いて15units/mlとなるように調製した。
【0070】
(基質溶液の調製)
L-β-(3,4Dihydroxyphenyl)alanine(L-DOPA溶液、和光純薬工業株式会社製)を、1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を用いて0.3mg/mlとなるように調製した。
【0071】
(チロシナーゼ阻害活性の測定)
被験溶液(Sampl test)の調製は以下のように行った。96ウェルプレートにサンプル溶液を100μl/wellで添加した後、酵素溶液を100μl/wellで添加し、37℃で10分間インキュベートを行った。さらに、基質溶液を100μl/wellで添加し、遮光して37℃で5分間インキュベートを行った。475nmにおける吸光度を測定した。
【0072】
被験溶液(Sampl blank)の調製は以下のように行った。96ウェルプレートにブランク溶液を100μl/wellで添加した後、酵素溶液を100μl/wellで添加し、37℃で10分間インキュベートを行った。さらに、基質溶液に代えて1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を100μl/wellで添加し、遮光して37℃で5分間インキュベートを行った。475nmにおける吸光度を測定した。
【0073】
対照溶液(Control test)の調製は以下のように行った。96ウェルプレートに50%BGを100μl/wellで添加した後、酵素溶液を100μl/wellで添加し、37℃で10分間インキュベートを行った。さらに、基質溶液を100μl/wellで添加し、遮光して37℃で5分間インキュベートを行った。475nmにおける吸光度を測定した。
【0074】
対照溶液(Control blank)の調製は以下のように行った。96ウェルプレートに50%BGを100μl/wellで添加した後、酵素溶液を100μl/wellで添加し、37℃で10分間インキュベートを行った。さらに、基質溶液に代えて1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を100μl/wellで添加し、遮光して37℃で5分間インキュベートを行った。475nmにおける吸光度を測定した。
【0075】
チロシナーゼ活性阻害は次の式から求められる阻害率で表した。
チロシナーゼ阻害率(%)
=(1 - [(Sample test - Sample blank) / (Control test - Control blank)])×100
【0076】
(式中、「Sample test」は、被験溶液(Sample test)の吸光度を示し、「Sample blank」は、被験溶液(Sample blank)の吸光度を示し、「Control test」は、対照溶液(Contorl test)の吸光度を示し、「Control blank」は、対照溶液(Control blank)の吸光度を表す。)
【0077】
その結果を図4及び5示す。図4に示されるように、本発明の実施例1に係る特定の植物素材、ナイアシンアミド及びグリチルリチン酸ジカリウムを含む場合、比較例1に係る特定の植物素材、及び、比較例6に係るナイアシンアミド及びグリチルチリン酸ジカリウムを含む場合に比べて、チロシナーゼ活性が明らかに阻害された。すなわち、本発明に係る特定の植物素材、ナイアシン及びグリチルリチン酸の組み合わせは、抗炎症、毛穴縮小、美白に有用である。また、本発明の実施例6に係る特定の植物素材、ナイアシンアミド、グリチルリチン酸ジカリウム及び松樹皮抽出物を含む場合、実施例1に係る特定の植物素材、ナイアシンアミド及びグリチルリチン酸ジカリウムを含む場合に比べて、チロシナーゼ活性がさらに阻害された。すなわち、本発明に係る特定の植物素材、ナイアシン及びグリチルリチン酸に、さらに、松樹皮を組み合わせると、抗炎症、毛穴縮小、美白に極めて有用である。
【0078】
また、図5に示されるように、本発明の実施例7乃至9に係る特定の植物素材、ナイアシンアミド、グリチルリチン酸ジカリウム及び松樹皮抽出物を含む場合、比較例2、4、5に係る特定の植物素材、比較例6に係るナイアシンアミド及びグリチルチリン酸ジカリウムを含む場合に比べて、チロシナーゼ活性が明らかに阻害された。すなわち、本発明に係る特定の植物素材、ナイアシン、グリチルリチン酸及び松樹皮の組み合わせは、抗炎症、毛穴縮小、美白に有用である。
【0079】
<試験例3 使用感及びはり・弾力の評価>
特定の植物素材、ナイアシン、グリチルリチン酸として、試験1で用いたものと同じものを用いた。
【0080】
表2の組成となるように、特定の植物素材、ナイアシン、グリチルリチン酸を混合して試験品を調製した。得られた溶液を男女3人の顔に塗布し、使用感(肌のべたつき、試験品の肌なじみ)、はり・弾力を以下の評価基準で点数を付けて、評価した。
【0081】
・肌のべたつきの評価基準
塗布から10秒経過時のべたつきが、ない:3
塗布から10秒経過時のべたつきが、わずかにある:2
塗布から10秒経過時のべたつきが、ややある:1
塗布から10秒経過時のべたつきが、非常にある:0
【0082】
・試験品の肌なじみの評価基準
塗布から肌になじむまでの時間が、10秒未満:3
塗布から肌になじむまでの時間が、10秒以上20秒未満:2
塗布から肌になじむまでの時間が、20秒以上30秒未満:1
塗布から肌になじむまでの時間が、30秒以上:0
【0083】
・はり・弾力の評価基準
塗布から30分経過時のはり・弾力が、塗布前と比べて、顕著に良好になった:3
塗布から30分経過時のはり・弾力が、塗布前と比べて、良好になった:2
塗布から30分経過時のはり・弾力が、塗布前と比べて、やや良好になった:1
塗布から30分経過時のはり・弾力が、塗布前と比べて、変わらなかった:0
【0084】
男女3人それぞれが付けた点数の平均点を算出し、以下の基準で試験品を◎、○、△、×で評価した。
・試験品の評価基準
平均点が2.5以上:◎
平均点が1.5以上2.5未満:○
平均点が0.5以上1.5未満:△
平均点が0.5未満:×
【0085】
結果を図6及び表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】
その結果を図6及び表2に示す。図6及び表2に示されるように、本発明の実施例10乃至14に係る特定の植物素材、ナイアシンアミド及びグリチルリチン酸ジカリウムを含む場合、比較例8乃至12に係る特定の植物素材、及び、比較例13に係るナイアシンアミド及びグリチルリチン酸ジカリウムを含む場合に比べて、肌へのべたつき、肌なじみ、はり・弾力において優れている。すなわち、本発明に係る特定の植物素材、ナイアシン及びグリチルリチン酸を組み合わせると、皮膚外用剤の肌べたつきが低減されたものであり、肌なじみがよく、また、はり・弾力の向上・改善に有用である。
【0088】
以下、発明の皮膚外用剤の種々の態様の処方例を挙げる。しかし、本発明の技術的範囲は、かかる処方例に限定されない。以下、特に断らない場合、「%」は重量%を表す。
【0089】
<処方例1及び2>
含浸シート用液
特定の植物素材、ナイアシン、グリチルリチン酸、松樹皮を精製水に溶解して溶液を調製した。溶液を不織布に含浸させて含浸させて含浸シート状パックを得た。得られた含浸シート状マスクは、皮膚のしわの予防・改善、抗老化、抗炎症、毛穴縮小、美白、はり・弾力の向上・改善に優れたものであった。また、得られた含浸シート状マスクは、肌へのべたつきが低減され、肌なじみのよいものであった。
【0090】
【表3】
【0091】
<処方例3及び4>
化粧水
特定の植物素材、ナイアシン、グリチルリチン酸、松樹皮を調製し、化粧水を得た。得られた化粧水は、皮膚しわの予防・改善、抗老化、抗炎症、毛穴縮小、美白、はり・弾力の向上・改善に優れたものであった。また、得られた化粧水は、肌へのべたつきが低減され、肌なじみのよいものであった。
【0092】
【表4】
【0093】
<処方例5及び6>
乳液
特定の植物素材、ナイアシン、グリチルリチン酸、松樹皮を調製し、乳液を得た。得られた乳液は、皮膚のしわの予防・改善、抗老化、抗炎症、毛穴縮小、美白、はり・弾力の向上・改善に優れたものであった。また、得られた乳液は、肌へのべたつきが低減され、肌なじみのよいものであった。
【0094】
【表5】
【0095】
<処方例7及び8>
クリーム
特定の植物素材、ナイアシン、グリチルリチン酸、松樹皮を調製し、クリームを得た。得られたクリームは、皮膚のしわの予防・改善、抗老化、抗炎症、毛穴縮小、美白、はり・弾力の向上・改善に優れたものであった。また、得られたクリームは、肌へのべたつきが低減され、肌なじみのよいものであった。
【0096】
【表6】
【0097】
<処方例9及び10>
オールインワンジェル
特定の植物素材、ナイアシン、グリチルリチン酸、松樹皮を調製し、オールインワンジェルを得た。得られたオールインワンジェルは、皮膚のしわの予防・改善、抗老化、抗炎症、毛穴縮小、美白、はり・弾力の向上・改善に優れたものであった。また、得られたオールインワンジェルは、肌へのべたつきが低減され、肌なじみのよいものであった。
【0098】
【表7】
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の組成物は、いわゆる化粧品、医薬部外品、医薬品として用いることができることから、産業上有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6