(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072508
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】炭酸ガス減少装置
(51)【国際特許分類】
B01J 19/08 20060101AFI20220510BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
B01J19/08 E
H05H1/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020181982
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】502030271
【氏名又は名称】石川 泰男
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 泰男
【テーマコード(参考)】
2G084
4G075
【Fターム(参考)】
2G084AA26
2G084CC14
2G084DD04
2G084DD21
2G084EE09
4G075AA04
4G075BA05
4G075CA02
4G075CA47
4G075CA51
4G075DA02
4G075EA06
4G075EB21
4G075EB41
4G075FA03
4G075FB02
4G075FB03
4G075FC20
(57)【要約】
【課題】空気中の炭酸ガスを減少せしめる。
【解決手段】加熱されるステンレス製のケーシング1内に酸化防止用のカーボン筒3を入れ、このカーボン筒3内に金網からなる増幅材5を収納してプラズマ空間6を形成し、注入されたCO
2をCとO、更には水素に崩壊せしめて炭酸ガスの量を減少せしめる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱されたケーシングと、このケーシング内に支持されるカーボン体と、このカーボン体内に収納され電磁波に反応する金属から形成され電磁波のエネルギーを増幅する増幅材からなる炭酸ガス減少装置。
【請求項2】
前記カーボン体は、円筒状のカーボン筒からなり、このカーボン筒内に、アルミニウムの金網、亜鉛の金網、真鍮の金網を寿し状に丸めた増幅材からなる請求項1記載の炭酸ガス減少装置。
【請求項3】
前記カーボン体は、円柱状をなし、この円柱内に軸方向に空洞を形成し、この空洞内に前記増幅材を着脱自在に挿入した請求項1又は2記載の炭酸ガス減少装置。
【請求項4】
前記カーボン体内に電磁波を供給するマグネトロンが設けられた請求項1記載の炭酸ガス減少装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼ガス中の炭酸ガスを減少させるための炭酸ガス減少装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステンテスの反応セル内にNaOH、KOH等の反応剤を供給し、この反応セル内に水蒸気を供給して、この水蒸気と反応セルの内壁間の反応により核反応を生ぜしめる技術を本件開発者は開示している(WO2012/011499A1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この出願においては、具体的に地球温暖化防止のために炭酸ガスを減少させる技術は何ら開示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の炭酸ガス減少装置は、加熱されたケーシングと、このケーシング内に支持されるカーボン体と、このカーボン体内に収納され電磁波に反応する金属から形成され電磁波のエネルギーを増幅する増幅材からなる
前記カーボン体は、円筒状のカーボン筒からなり、このカーボン筒内に、アルミニウムの金網、亜鉛の金網、真鍮の金網を寿し状に丸めた増幅材からなることが好ましい。
【0006】
前記カーボン体は、円柱状をなし、この円柱内に軸方向に空洞を形成し、この空洞内に前記増幅材を着脱自在に挿入することが好ましい。
【0007】
前記カーボン体内に電磁波を供給するマグネトロンが設けられることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の炭酸ガス減少装置の概略構成図である。
【
図4】加熱炉に取付けられるタイプの炭酸ガス減少装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1において、本発明の炭酸ガス減少装置M
1は、ステンテス製の円筒状のケーシング1を有し、このケーシング1は加熱ヒータ2によって300~600℃に加熱され、前記ケーシング1内壁には空洞のカーボン体としてのカーボン筒3が保持されている。
【0011】
前記カーボン筒3内には、カーボン筒3内壁から放射される電磁波のエネルギーを増幅するための種々の金属網4(
図3)を重ね合わせて寿し状に丸めた増幅材5が収納され、増幅材5中の空隙がプラズマ空間6を形成している。このプラズマ空間6には、炭酸ガスが供給される供給管7とプラズマ空間6のプラズマ反応によって炭酸ガスの原子核の一部が崩壊して生成された水素と、CO
2が解離して生成された酸素(O
2)(Cは固体として内部に残る)及び反応しなかった炭酸ガス(CO
2)を排出する排出管8が連なっている。また、前記プラズマ空間6には、ケーシング1の加熱温度が低く、電磁波のエネルギーが少ない場合に、必要に応じて作動されるマグネトロン9の導波管10が伸びている。
【0012】
次に作用について説明する。
【0013】
先ず、加熱ヒータ2によって、ステンレスのケーシング1が300~600℃に加熱されると、カーボン筒3も加熱され、マイクロ波、遠赤外線及び赤外線(周波数109~1013程度)が放射される。カーボン筒3の内壁からの放射は定常波であり、そのエネルギーはその周波数の2乗に比例し(シュレジンジャーの波動方程式)、赤外線の定常波はγ(ガンマ線)のエネルギーを有することとなる。エネルギーの大きい定常波が、金属網4に当たると、その表面は局部的に高温となり、原子が飛び出して気化する。実験では金属網4は、アルミ線、亜鉛線、真鍮線の3種の混合体からなり、それらの金属の原子の固有振動数と当たった電磁波が共鳴すると、大きなエネルギーとなり、プラズマ空間の原子数が増え、この原子は高速でプラズマ空間内を走行し、互いに衝突も起こるし、電磁波により電離してイオンと電子に分離し、プラズマ空間6を形成する。このイオンと電子と発生している電磁波は相互作用して電磁波のエネルギーを増幅し、確率的なタイミングでハイデルベルグの不確定性原理に基づいて短時間の間、高エネルギーを発生する。この高エネルギーにより、時としてCO2の原子核が崩壊して水素が発生するし、紫外線(周波数1015~16程度)のエネルギーが発生した場合には、CとOとの結合が切れて、C(固体)とO2(気体)に分かれ、排出管8からはH2ガスとO2ガスが排出される。プラズマ反応が弱い場合には、マグネトロン9を作動させてマイクロ波(周波数109~12)を供給すれば、高エネルギーの発生が多くなり、炭酸ガスの減少割合を大きくすることができる。
【0014】
前記増幅材が、酸化すると、その表面に酸化物が付着し、電磁波を放射したり反射しなくなるが、CO
2からの分離酸素は、カーボン筒の表面(C)と反応して再び気体のCO
2となり、金網上の固体の酸化膜の形成が減少し、増幅材の使用期間が延びる。本発明の増幅材は、空気中の炭酸ガスを分解できるので、焼却炉の煙突又は火力発電所の燃焼装置に取付けることができる。その場合の炭酸ガス減少装置M
2は、
図4に示すように円筒状のケーシング20と、その中に収納される円柱状のカーボン体21とを有する。
【0015】
前記カーボン体21には、その軸方向に複数の空洞22がくり抜かれ、この空洞22内に金網を丸めた増幅材23が交換可能に挿し込まれている。焼却炉からの熱風は炭酸ガスを含んだ空気であるが、空気中の炭酸ガスは分離されて30~50%程度H2、O2となり、装置M2から排出される。なお、この時には、部分的に空気中の酸素と窒素も極く一部分解される。なお、カーボン体21は熱風によって加熱され特別な加熱装置は不要となる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、火力発電所及び焼却炉の技術分野に適用できる。
【符号の説明】
【0017】
1…ケーシング
2…加熱ヒータ
3…カーボン筒
4…金属網
5…増幅材
6…プラズマ空間
9…マグネトロン
20…ケーシング
21…カーボン体
22…空洞
23…増幅材