IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 岩井 靖憲の特許一覧 ▶ 岩井 裕一の特許一覧

<>
  • 特開-切断装置および切断方法 図1
  • 特開-切断装置および切断方法 図2
  • 特開-切断装置および切断方法 図3
  • 特開-切断装置および切断方法 図4
  • 特開-切断装置および切断方法 図5
  • 特開-切断装置および切断方法 図6
  • 特開-切断装置および切断方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072545
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】切断装置および切断方法
(51)【国際特許分類】
   B23D 21/00 20060101AFI20220510BHJP
   B26D 3/16 20060101ALN20220510BHJP
【FI】
B23D21/00 510A
B23D21/00 510C
B26D3/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020182047
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】509306971
【氏名又は名称】岩井 靖憲
(71)【出願人】
【識別番号】520072763
【氏名又は名称】岩井 裕一
(74)【代理人】
【識別番号】100174816
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 貴久
(72)【発明者】
【氏名】岩井 靖憲
(72)【発明者】
【氏名】岩井 裕一
(57)【要約】      (修正有)
【課題】切断時の騒音や破片の飛散が少なく、短時間で容易に切断可能な切断装置を提供する。
【解決手段】本発明の切断装置は、管10を切断する切断装置であって、管10の外周面に沿って取り付けられる構造であって、ブレード111とブレード111を保持するブレード保持具112とを備える切断機構部110と、切断機構部110を管10の外周に沿って移動させる駆動装置120と、ブレード保持具112を動かすことにより、ブレード111を管10に喰い込むように管10の中心側に向かって動くよう制御する制御機構部130と、を備えることを特徴とする切断装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管を切断する切断装置であって、
前記管の外周面に沿って取り付けられる構造であって、ブレードと前記ブレードを保持するブレード保持具とを備える切断機構部と、
前記切断機構部を前記管の外周に沿って移動させる駆動装置と、
前記ブレード保持具を動かすことにより、前記ブレードを前記管に喰い込むように前記管の中心側に向かって動くよう制御する制御機構部と、を備えることを特徴とする切断装置。
【請求項2】
前記制御機構部は、前記切断機構部が前記管の外周に沿って移動するに伴って回転する回転板であり、前記回転板は、前記ブレード保持具と螺合可能なネジ部を有していることを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記切断機構部が前記管の外周に沿って移動するに伴って、前記回転板と接触することで前記回転板を回転させる回転支持具を備えることを特徴とする請求項2に記載の切断装置。
【請求項4】
前記ブレードは、前記管に対して略垂直に配置される円盤形状であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の切断装置。
【請求項5】
前記切断機構部を構成するプレートは、前記管に対して略垂直に配置され、前記管の外周に沿って湾曲している形状であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の切断装置。
【請求項6】
前記プレート間には、連結具が設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の切断装置。
【請求項7】
前記駆動装置は油圧ポンプであって、前記油圧ポンプのピストンロッドが伸縮することによって前記切断機構部を前記管の外周に沿って回転させることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の切断装置。
【請求項8】
前記油圧ポンプは、前記切断機構部に引っ掛けるためのフック部を有していることを特徴とする請求項7に記載の切断装置。
【請求項9】
前記切断機構部に軸支され、前記プレートの幅より大きく、前記ブレードの直径より小さい、前記管の外周面を転動可能な規制部材を備えることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の切断装置。
【請求項10】
管を切断する切断装置が実行する切断方法であって、
ブレードと前記ブレードを軸支するブレード保持具とを備える切断機構部を前記管の外周面に取り付ける取付け工程と、
駆動装置によって、前記切断機構部を前記管の外周面に沿って移動させる駆動工程と、
制御機構部によって、前記切断機構部を前記管の外周面に沿って回転させるに伴って前記ブレード保持具を動かすことにより、前記ブレードが前記管に喰い込むように前記管の中心側に動くよう制御する制御工程と、を含み、
前記駆動工程と前記制御工程とを繰り返すことによって前記管を切断することを特徴とする切断方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳鉄管および鋼鉄管等の管を切断する切断装置および切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、鋳鉄管および鋼鉄管は、水道管、下水道における種々の管、ガス管、および灌漑用水管など幅広い分野に使用されている。近年では、強靭性が高く衝撃にも強いことから、ダクタイル鋳鉄管が広く普及している。
【0003】
一方で、このような鋳鉄管および鋼鉄管は、施工時および廃棄時等において、加工や切断に時間がかかるという問題が指摘されている。
【0004】
そこで、作用点、力点、および支点の関係を利用したシンプルな構造で、鋳鉄管を切断可能な切断装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、解体作業機に取り付けられている破砕装置においても、上記シンプルな構造が採用されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3193130号公報
【特許文献2】特開2005‐290733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の鋳鉄管の切断装置は、作用点、力点、および支点の関係を利用したシンプルな構造、つまり管を挟み込んで破砕する形で切断するため、切断時の騒音や破片が飛散するなどの問題が生じていた。
【0007】
それ故に、本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的の1つは、切断時の騒音や破片の飛散が少なく、短時間で容易に切断可能な切断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも以下のような構成を備え、もしくは手順を実行する。なお、以下の説明において、本発明の理解を容易にするために図面に示されている符号等を付記する場合があるが、本発明の各構成要素は、図面に示されているものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0009】
本発明の一局面に係る切断装置は、管を切断する切断装置であって、前記管の外周面に沿って取り付けられる構造であって、ブレードと前記ブレードを保持するブレード保持具とを備える切断機構部と、前記切断機構部を前記管の外周に沿って移動させる駆動装置と、前記ブレード保持具を動かすことにより、前記ブレードを前記管に喰い込むように前記管の中心側に向かって動くよう制御する制御機構部と、を備えることを特徴とする切断装置。
かかる構成により、本発明の一局面に係る切断装置は、切断時の騒音や破片の飛散が少なく、短時間で容易に切断することができる。
【0010】
また、好ましくは、前記制御機構部は、前記切断機構部が前記管の外周に沿って移動するに伴って回転する回転板であり、前記回転板は、前記ブレード保持具と螺合可能なネジ部を有していることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係る切断装置は、切断機構部が回転するに伴って回転板を回転させることにより、ブレードを管に喰い込ませることができる。換言すれば、切断機構部を回転させるだけで管を切断できるため、半自動的切断装置と言える。これは、ブレード保持具と螺合する回転板が回転することにより、ブレードを保持するブレード保持具を動かすことができるためである。
【0011】
また、好ましくは、前記切断機構部が前記管の外周に沿って移動するに伴って、前記回転板と接触することで前記回転板を回転させる回転支持具を備えることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係る切断装置は、より簡易に回転板を回転させることができる。これは、回転板に接触するように回転支持具を設置するだけでよく、他の動力等を設ける必要がないためである。
【0012】
また、好ましくは、前記ブレードは、前記管に対して略垂直に配置される円盤形状であることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係る切断装置は、ブレードは管の外周面をスムーズに転動するため、切断時の騒音や破片の飛散が少なく、より確実に、短時間で容易に切断することができる。
【0013】
また、好ましくは、前記切断機構部を構成するプレートは、前記管に対して略垂直に配置され、前記管の外周に沿って湾曲している形状であることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係る切断装置は、プレートが湾曲している形状のため、ブレードの転動を阻害することを軽減し、より確実に管を切断することができる。
【0014】
また、好ましくは、前記プレート間には、連結具が設けられていることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係る切断装置は、強度を向上させることができる。
【0015】
また、好ましくは、前記駆動装置は油圧ポンプであって、前記油圧ポンプのピストンロッドが伸縮することによって前記切断機構部を前記管の外周に沿って回転させることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係る切断装置は、切断時の騒音を軽減することができるとともに、小型化も実現できる。
【0016】
また、好ましくは、前記油圧ポンプは、前記切断機構部に引っ掛けるためのフック部を有していることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係る切断装置は、より確実に切断機構部を回転させることができる。
【0017】
また、好ましくは、前記切断機構部に軸支され、前記プレートの幅より大きく、前記ブレードの直径より小さい、前記管の外周面を転動可能な規制部材を備えることを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係る切断装置は、規制部材によってプレートがブレードの転動を阻害することを軽減するため、より確実に管を切断することができる。
【0018】
また、本発明の一局面に係る切断方法は、管を切断する切断装置が実行する切断方法であって、ブレードと前記ブレードを軸支するブレード保持具とを備える切断機構部を前記管の外周面に取り付ける取付け工程と、駆動装置によって、前記切断機構部を前記管の外周面に沿って移動させる駆動工程と、制御機構部によって、前記切断機構部を前記管の外周面に沿って回転させるに伴って前記ブレード保持具を動かすことにより、前記ブレードが前記管に喰い込むように前記管の中心側に動くよう制御する制御工程と、を含み、前記駆動工程と前記制御工程とを繰り返すことによって前記管を切断することを特徴とする。
かかる構成により、本発明の一局面に係る切断方法によれば、切断時の騒音や破片の飛散が少なく、短時間で容易に切断することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、切断時の騒音や破片の飛散が少なく、短時間で容易に切断可能な切断装置および切断方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る切断装置100を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る切断装置100を構成する各部材を取り外した様子を示す分解斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る切断装置100を構成する各部材を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る切断装置100が実行する切断方法S200の処理の流れを示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態に係る切断装置100において、油圧ポンプ120のピストンロッド122が収縮している様子を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る切断装置100において、油圧ポンプ120のピストンロッド122が伸張している様子を示す図である。
図7】切断機構部110に配置されているブレード111の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、あくまで、本発明を実施するための具体的な一例を挙げるものであって、本発明を限定的に解釈させるものではない。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る切断装置100を示す斜視図であり、図2は、本発明の一実施形態に係る切断装置100を構成する各部材を取り外した様子を示す分解斜視図である。図1および図2において、切断装置100は、切断機構部110と、油圧ポンプ(駆動装置)120と、回転板(制御機構部)130とを備えており、固定具20を用いて切断対象となる鋳鉄管10に固定されている。また、切断装置100は、切断機構部110が鋳鉄管10の外周に沿って移動する際、回転板130と接触することで回転板130を回転させる回転支持具30を備えている。また、切断機構部110が鋳鉄管10の周りを正確に周回させるためのガイドローラー40を備えている。なお、固定具20には、油圧ポンプ120と回転支持具30とガイドローラー40が取り付けられている。
【0023】
切断機構部110は、ブレード111とブレード111を保持するブレード保持具112を有しており、ブレード111を押圧するように鋳鉄管10に喰い込ませることで鋳鉄管10を切断するものである。ブレード111及びブレード保持具112は、2枚のプレート113の間に配置されている。また、2枚のプレート113の間には、鋳鉄管10がプレート113に接触しないように規制部材114が設けられている。また、切断機構部110の強度を向上させるための連結具115が設けられている。なお後述で説明するが、連結具115は、切断機構部110の強度を向上させるだけでなく、フック部121を引っ掛けるものとなっている。
【0024】
油圧ポンプ120は、切断機構部110を鋳鉄管10に沿って移動させるためのものである。なお、油圧ポンプ120は切断機構部110に引っ掛けて移動させるためのフック部121を有している。なお、引っ掛ける場所は、切断機構部110の連結具115に引っ掛ける。連結具115に引っ掛けると、より確実に切断機構部110を移動させることができる。また、フック部121を引っ掛ける際は、ピストンロッド122を伸ばした状態で引っ掛けて、ピストンロッド122が縮んだ状態で取り外す。こうすることにより、切断機構部110を一方向に回転させることができる。
【0025】
回転板130は、切断機構部110のブレード保持具112と連結しており、回転板130が回転するとブレード保持具112が動き、ブレード111を鋳鉄管10の中心側に動くように制御する。これにより、ブレード111を鋳鉄管10に喰い込ませることができる。なお、中心側とは、鋳鉄管10を輪切りにした場合の断面の中心に近づく方向のことを示している。
【0026】
回転支持具30は固定具20に固定されており、回転板130の突起部に接触するように固定されている。そのため、切断機構部110が回転するに伴い、回転板130の突起部と回転支持具30とが接触することによって、回転板130を回転させることができる。なお、回転板130は中央に窪みが設けられており、その箇所に六角レンチが嵌ることができる構造をしている。そのため、窪みに六角レンチを嵌めて回転することで、手動でも回転板130を回転させることができる。
【0027】
ガイドローラー40は固定具20に固定されており、切断機構部110を一定の箇所を回転させるために設けられている。ガイドローラー40を設けることにより、切断機構部110が鋳鉄管の周りを周回する際、左右にブレない。なお、ガイドローラー40にはローラーが取り付けられており、切断機構部110のプレート113と接触した際、回転する構造となっている。ローラーを設けることにより、スムーズに切断機構部110を回転させることができる。
【0028】
図3は、本発明の一実施形態に係る切断装置100を構成する各部材を示す図である。
図3(A)に示すように切断機構部110は、ブレード111、ブレード保持具112、プレート113、規制部材114、連結具115を備えている。なお、切断機構部110は、図3(B)に示すように、3つのパーツに分解することが可能な構造をしているため、鋳鉄管10に取り付けるのが容易な構造となっている。図3(C)は、油圧ポンプ120を示す図である。油圧ポンプ120のフック部121は軸支されているため、回動可能な構造をしている。この構造により、切断機構部110の連結具115に取り付け及び取り外しが容易となっている。図3(D)は、回転板130及びブレード保持具112を示す図である。回転板130は、ブレード保持具112と螺合可能なネジ部131を有しており、ブレード保持具112と連結している。回転板130が回転するとブレード保持具112と螺合していくことにより、回転板130と連結している箇所との距離が変わるため、ブレード111の位置を変えることができる。換言すると、回転板130を回転させることによって、ブレード111を鋳鉄管10の中心側に近づくように動くよう制御することができる。なお、ブレード保持具112は、2枚のプレート113の間に配置される軸によって軸支されており、この軸を支点に回動する。そのため、梃子の原理のような形でブレード111を鋳鉄管10の中心側に動かせるため、より確実にブレード111を鋳鉄管10に喰い込ませることができる構造をしている。なお、回転板130は、切断機構部110の一部に組み込まれている。
【0029】
図4は、本発明の一実施形態に係る切断装置100が実行する切断方法S200の処理の流れを示すフローチャートである。図4において、切断装置100が実行する切断方法S200は、取付け工程S210と、駆動工程S220と、制御工程S230と、とを含み、鋳鉄管10が切断されるまで(切断判定工程S240)、駆動工程S220および制御工程S230が繰り返される。
【0030】
取付け工程S210において、切断機構部110を鋳鉄管10の外周面に取り付ける。なお、切断機構部110は、ガイドローラー40に沿うように取り付ける。
【0031】
駆動工程S220では、油圧ポンプ120を伸縮駆動させることによって切断機構部110を鋳鉄管10に沿って移動させる。より具体的には、油圧ポンプ120のピストンロッド122を伸ばした状態でフック部121を連結具115に引っ掛けた状態で縮めることを繰り返すことにより、切断機構部110をA方向に回転させる。
【0032】
制御工程S230では、回転板130が回転することでブレード保持具112を動かすことでブレード111を鋳鉄管10の中心側に動くよう制御し、ブレード111を鋳鉄管10に喰い込ませている。より具体的には、駆動工程S220において切断機構部110を移動させると回転板130が回転支持具30と接触することにより、回転板130が回転する。回転板130が回転することでブレード保持具112の動きを制御している。換言すれば、切断機構部110を回転させれば鋳鉄管10を切断することができるため、半自動化を実現していると言える。
【0033】
図5は、本発明の一実施形態に係る切断装置100において、油圧ポンプ120のピストンロッド122が収縮している様子を示す図であり、図6は、本発明の一実施形態に係る切断装置100において、油圧ポンプ120のピストンロッド122が伸張している様子を示す図である。図5において、油圧ポンプ120のピストンロッド122が収縮している状態でフック部121を取り外し、ピストンロッド122が伸張した状態でフック部121を取り付けた後にピストンロッド122を収縮させ、切断機構部110を回転させるということを繰り返すことで、A方向に切断機構部110をゆっくりと回転させる。
【0034】
切断機構部110を回転させて移動させるに伴い、回転板130も回転支持具30に接触し回転する。これにより、ブレード111が鋳鉄管10の中心側に近づく。その結果、ブレード111が鋳鉄管10に喰い込むことにより、鋳鉄管10を切断する。
【0035】
なお、プレート113は鋳鉄管10に対して略垂直に配置され、当該鋳鉄管10の外周に沿って湾曲している形状である。プレート113が湾曲形状であると、切断機構部110を回転させた際、鋳鉄管10と接触することをより確実に防ぐことができる。
【0036】
プレート113が鋳鉄管10の外周面に当接することを防止するための施策として、規制部材114が設けられている。規制部材114は、プレート113の軸に軸支され、プレート113の幅よりも大きく複数のブレード111の直径よりも小さいものである。その結果、プレート113が鋳鉄管10の外周面に当接することを回避しつつ、当該規制部材114が鋳鉄管10の外周面を転動するため、ブレード111もよりスムーズに鋳鉄管10の外周面を転動することができる。
【0037】
なお、規制部材114は、切断対象となる鋳鉄管10の厚さおよび素材、切断機構部110の大きさや形状、およびブレード111の大きさや配置に応じて適切な位置および個数を配置すればよい。
【0038】
図7は、切断機構部110に配置されているブレード111の形状を示す図である。図7において、ブレード111は、概ね円盤形状であるところ、鋳鉄管10に対して略垂直に配置され、当該鋳鉄管10の外周面の表面に喰い込んでいく刃部分の角度は、概ね40度程度である。
【0039】
ブレード111の刃部分の肉厚が薄くなり過ぎると破損し易くなるものの、鋳鉄管10の外周面の表面に喰い込んでいく際の抵抗が小さくなり、鋳鉄管10の切断時間を短縮することができる。ブレード111の刃部分の角度は、切断対象となる管の厚さおよび素材による強度に応じて、および切断に費やすことができる時間に応じて、適切なものを選択すればよい。具体的には、高炭素鋼を使用するのが好ましい。また、ブレード111に焼き入れを施すことによって強度を増しておけば、刃部分の角度が40度未満の肉厚が薄い刃でも破損する可能性を軽減することができる。
【0040】
なお、複数のブレード111の直径は全て同一であるが、配置される位置に応じて異なる直径のブレード111を用いても構わない。
【0041】
以上のように、本発明の一実施形態に係る切断装置100および切断方法S200によれば、容易に鋳鉄管を切断することができる。
【0042】
また、刃を高速に回転させて鋳鉄管10を切断しているのではなく、ブレード111を鋳鉄管10の外周面を転動させて押圧するように徐々に切断しているため、切断時の騒音や破片の飛散が少なく、また摩擦による火花も飛散することが少ない。
【0043】
なお、本実施形態では、駆動装置として油圧ポンプ120を用いたが、これに限定されるものではなく、切断機構部110を回転させることができれば、その他の駆動装置を使用しても構わない。例えば、騒音に制限がない場所であれば、モータ等を用いても構わない。
【0044】
本実施形態では、切断する対象を鋳鉄管10としたが、切断する対象の管はこれに限定されるものではなく、例えば、鋼鉄管、樹脂製の管であっても構わない。本発明の一実施形態に係る切断装置100および切断方法S200は、水道管、下水道における種々の管、ガス管、および灌漑用水管など幅広い分野に利用することができることは言うまでもない。
【0045】
以上、本発明の各実施形態についての具体的な説明を行った。上記説明は、あくまで一実施形態としての説明であって、本発明の範囲はこの一実施形態に留まらず、当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、水道管、下水道における種々の管、ガス管、および灌漑用水管の切断等に有用である。
【符号の説明】
【0047】
10 鋳鉄管
20 固定具
30 回転支持具
40 ガイドローラー
100 切断装置
110 切断機構部
111 ブレード
112 ブレード保持具
113 プレート
114 規制部材
115 連結具
120 油圧ポンプ(駆動装置)
121 フック部
122 ピストンロッド
130 回転板(制御機構部)
131 ネジ部
S200 切断方法
S210 取付け工程
S220 駆動工程
S230 制御工程
S240 切断判定工程

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7