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特開2022-72611結晶性酸化物膜、該結晶性酸化物膜を有する構造体、及び該結晶性酸化物膜の製造方法
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  • 特開-結晶性酸化物膜、該結晶性酸化物膜を有する構造体、及び該結晶性酸化物膜の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072611
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】結晶性酸化物膜、該結晶性酸化物膜を有する構造体、及び該結晶性酸化物膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/40 20060101AFI20220510BHJP
   C04B 35/01 20060101ALI20220510BHJP
   H01L 21/365 20060101ALI20220510BHJP
   H01L 21/368 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
C23C16/40
C04B35/01
H01L21/365
H01L21/368 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020182146
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006183
【氏名又は名称】三井金属鉱業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】511187214
【氏名又は名称】株式会社FLOSFIA
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和真
(72)【発明者】
【氏名】池田 真
(72)【発明者】
【氏名】柳生 慎悟
(72)【発明者】
【氏名】井川 拓人
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F053
【Fターム(参考)】
4K030AA14
4K030BA42
4K030BA45
4K030BA54
4K030BA59
4K030BB03
4K030CA05
4K030CA17
4K030EA01
4K030EA03
4K030FA10
4K030GA02
4K030JA01
4K030JA09
4K030JA10
4K030JA18
4K030LA12
5F045AA03
5F045AB40
5F045AD07
5F045AD08
5F045AD09
5F045AD10
5F045AD11
5F045AD12
5F045AD13
5F045AF01
5F045AF11
5F045AF13
5F045BB16
5F045DA52
5F045EE02
5F045EK07
5F045HA16
5F053AA50
5F053BB05
5F053BB58
5F053BB60
5F053DD20
5F053FF02
5F053GG03
5F053HH04
5F053PP03
5F053RR20
(57)【要約】
【課題】導電性が高い、希土類金属をドープしたペロブスカイト型酸化物薄膜を提供すること。
【解決手段】組成式A(式中、A及びBは互いに異なる金属元素を表し、Xは0.95≦X≦1.05であり、Yは0.60≦Y≦1.05である。)で表されるペロブスカイト型酸化物に希土類元素がドープされてなる酸化物を含む結晶性酸化物膜である。この結晶性酸化物膜は、(004)面に対して測定されたX線回折法のロッキングカーブ半値幅が0.25度以下である。前記組成式におけるAが第2族元素、特にSrであり、Bが第14族元素、特にSnであることが好適である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成式A(式中、A及びBは互いに異なる金属元素を表し、Xは0.95≦X≦1.05であり、Yは0.60≦Y≦1.05である。)で表されるペロブスカイト型酸化物に希土類元素がドープされてなる酸化物を含む結晶性酸化物膜であって、
(004)面に対して測定されたX線回折法のロッキングカーブ半値幅が0.25度以下である結晶性酸化物膜。
【請求項2】
前記組成式におけるAが第2族元素であり、Bが第14族元素である、請求項1に記載の結晶性酸化物膜。
【請求項3】
前記組成式におけるAがSrであり、BがSnである、請求項2に記載の結晶性酸化物膜。
【請求項4】
前記希土類元素がLaである、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の結晶性酸化物膜。
【請求項5】
導電率が5.0S/cm以上7000S/cm以下である、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の結晶性酸化物膜。
【請求項6】
移動度が1.0cm/V/S以上100cm/V/S以下である、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の結晶性酸化物膜。
【請求項7】
キャリア密度が1.0×1014cm-3以上1.0×1022cm-3以下である、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の結晶性酸化物膜。
【請求項8】
格子定数が3.800Å以上4.300Å以下であって且つ酸化物を含む基板と、該基板上に形成された結晶性酸化物膜とを有し、
前記結晶性酸化物膜の結晶が、前記基板の結晶面に揃えて配列されている、構造体であって、
前記結晶性酸化物膜は、組成式A(式中、A及びBは互いに異なる金属元素を表し、Xは0.95≦X≦1.05であり、Yは0.60≦Y≦1.05である。)で表されるペロブスカイト型酸化物に希土類元素がドープされてなる酸化物を含み、(004)面に対して測定されたX線回折法のロッキングカーブ半値幅が0.25度以下である、構造体。
【請求項9】
前記結晶性酸化物膜の(004)面が、前記基板の(002)面に揃えて配列されている、請求項8に記載の構造体。
【請求項10】
前記組成式におけるAが第2族元素であり、Bが第14族元素である、請求項8又は9に記載の構造体。
【請求項11】
前記組成式におけるAがSrであり、BがSnである、請求項10に記載の構造体。
【請求項12】
前記希土類元素がLaである、請求項8ないし11のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項13】
前記結晶性酸化物膜は、前記基板と当接する面と反対側の面の面積が25mm以上であり、
前記結晶性酸化物膜は、その厚さが90nm以上180nm以下である、請求項8ないし12のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項14】
ドーパントがドーピングされた結晶性酸化物膜を結晶性基板上に形成する結晶性酸化物膜の製造方法であって、
前記結晶性基板上に前記結晶性酸化物膜の前駆体層を形成し、
前記前駆体層上に前記ドーパントを含むドーパント含有層を形成し、次いで
前記前駆体層及びドーパント含有層を加熱して前記結晶性酸化物膜を得る、結晶性酸化物膜の製造方法。
【請求項15】
非晶質の前記前駆体層を形成する、請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
第2族元素を含む前記前駆体層を形成する、請求項14又は15に記載の製造方法。
【請求項17】
第14族元素を更に含む前記前駆体層を形成する、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記結晶性酸化物膜がペロブスカイト型結晶構造を有するように加熱する、請求項14ないし17のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項19】
希土類元素を含む前記ドーパント含有層を形成する、請求項14ないし18のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項20】
前記前駆体層の厚さに対する前記ドーパント含有層の厚さの比が0.04以上0.5以下となるように、これらの層を形成する請求項14ないし19のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項21】
格子定数が3.800Å以上4.300Å以下であって且つ酸化物を含む結晶性基板と、
組成式A(式中、A及びBは互いに異なる金属元素を表し、Xは0.95≦X≦1.05であり、Zは0.95≦Z≦1.05である。)で表される酸化物からなる非晶質の第一の層と、
希土類元素の酸化物からなる非晶質の第二の層とが、この順で積層されてなる、多層構造体。
【請求項22】
請求項21に記載の多層構造体を、不活性ガス雰囲気中で加熱して、第二の層に含まれる希土類元素を第一の層中に拡散させて、組成式A(式中、A及びBは互いに異なる金属元素を表し、Xは0.95≦X≦1.05であり、Yは0.60≦Y≦1.05である。)で表されるペロブスカイト型酸化物に希土類元素がドープされてなる酸化物を含む結晶性酸化物膜を形成する、構造体の製造方法。
【請求項23】
900℃以上で加熱して、第二の層に含まれる希土類元素を第一の層中に拡散させるとともに、前記結晶性酸化物膜の(004)面を、前記結晶性基板の(002)面に揃える請求項22に記載の製造方法。
【請求項24】
900℃以上で加熱して、第一の層に含まれるB元素を第二の層中に拡散させるとともに、前記結晶性酸化物膜の(004)面を、前記結晶性基板の(002)面に揃える請求項23に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶性酸化物膜及び該結晶性酸化物膜を有する構造体に関する。また本発明は、結晶性酸化物膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ストロンチウムスズ酸化物にランタンをドープした材料は、酸化物半導体や透明導電体として有用なものである。従来、この材料からなる酸化物半導体や透明導電体は、主としてパルスレーザーデポジション(PLD)法によって形成されていた。例えば特許文献1には、Laを3原子%含むSrSnO膜を、PLD法によって、Nbを含むSrTiO基板上に堆積させることが記載されている。同文献においては、この膜を光化学電極のカソードとして用い、水素イオンを含む亜硝酸電解液、亜硫酸電解液又は炭酸電解液を原料に用いることで水素ガスを発生させている。
【0003】
非特許文献1には、PLD法によって、LaをドープしたSrSnO薄膜をエピタキシャル成長させることが記載されている。この薄膜は、390nmから1600nmの波長領域において透明であることが、同文献には記載されている。
【0004】
非特許文献2には、ランタンをドープしたSrSnO薄膜をPLD法によってMgO基板上に形成し、これを真空中でアニールすることで高導電性とすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-24913号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Journal of Physics D: Applied Physics 48 (2015) 455106
【非特許文献2】Appl. Phys. Lett. 116, 022103 (2020)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、LaをドープしたSrSnOをはじめとする希土類金属をドープしたペロブスカイト型酸化物薄膜は様々な分野で有用な材料である。この薄膜の製造には上述のとおりPLD法が採用されていた。しかし、PLD法は、大面積の薄膜の製造に不向きであるという点や、成膜レートが低いという点において、工業的には見合わない方法であった。また、PLD法で形成された前記の薄膜は、その導電率を十分に高めることができなかった。
したがって本発明の課題は、希土類金属をドープしたペロブスカイト型酸化物薄膜の導電性の向上にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、組成式A(式中、A及びBは互いに異なる金属元素を表し、Xは0.95≦X≦1.05であり、Yは0.60≦Y≦1.05である。)で表されるペロブスカイト型酸化物に希土類元素がドープされてなる酸化物を含む結晶性酸化物膜であって、
(004)面に対して測定されたX線回折法のロッキングカーブ半値幅が0.25度以下である結晶性酸化物膜を提供するものである。
【0009】
また本発明は、格子定数が3.800Å以上4.300Å以下であって且つ酸化物を含む基板と、該基板上に形成された結晶性酸化物膜とを有し、
前記結晶性酸化物膜の結晶が、前記基板の結晶面に揃えて配列されている、構造体であって、
前記結晶性酸化物膜は、組成式A(式中、A及びBは互いに異なる金属元素を表し、Xは0.95≦X≦1.05であり、Yは0.60≦Y≦1.05である。)で表されるペロブスカイト型酸化物に希土類元素がドープされてなる酸化物を含み、(004)面に対して測定されたX線回折法のロッキングカーブ半値幅が0.25度以下である、構造体を提供するものである。
【0010】
更に本発明は、ドーパントがドーピングされた結晶性酸化物膜を結晶性基板上に形成する結晶性酸化物膜の製造方法であって、
前記結晶性基板上に前記結晶性酸化物膜の前駆体層を形成し、
前記前駆体層上に前記ドーパントを含むドーパント含有層を形成し、次いで
前記前駆体層及びドーパント含有層を加熱して前記結晶性酸化物膜を得る、結晶性酸化物膜の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、導電性が高く、希土類金属がドープされ、B元素欠損と酸素欠損が生じたペロブスカイト型酸化物薄膜が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る結晶性酸化物膜を製造するために好適に用いられる装置を示す模式図である。
図2】実施例1で得られた結晶性酸化物膜のX線回折測定の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明は結晶性酸化物膜に関するものである。本発明に係る結晶性酸化物膜(以下、単に「酸化物膜」という。)はペロブスカイト型結晶構造を有する。詳細には、本発明に係る酸化物膜は、以下の組成式(1)で表されるペロブスカイト型酸化物に希土類元素がドープされてなる酸化物を含むものである。
(1)
式中、A及びBは互いに異なる金属元素を表し、Xは0.95≦X≦1.05であり、Yは0.60≦Y≦1.05である。
以下、この酸化物膜について詳細に説明する。
【0014】
本発明に係る酸化物膜におけるペロブスカイト型酸化物を構成するA元素及びB元素としては、イオンサイズ及び/又は価数が異なる様々な金属イオンを用いることができる。そして、A元素とB元素との組み合わせを適切に選択することで、所望の導電性を有する酸化物膜を得ることができる。
A元素(すなわちペロブスカイト型結晶構造のAサイトに位置する元素)としては、例えば第2族元素や希土類元素を用いることができる。A元素の価数は典型的には二価であるが、これに限られない。
一方、B元素(すなわちペロブスカイト型結晶構造のBサイトに位置する元素)としては、例えば各種の遷移金属元素が挙げられる。B元素の価数は典型的には四価であるが、これに限られない。
【0015】
A元素としては、本発明に係る酸化物膜の導電性を向上させる観点から第2族元素を用いることが好ましく、特に好ましい元素はSrである。
一方、B元素としては、本発明に係る酸化物膜の導電性を向上させる観点から第14族元素を用いることが好ましく、特に好ましい元素はSnである。
【0016】
前記の組成式(1)で表されるペロブスカイト型酸化物においてA元素のモル比であるXは、上述のとおり0.95以上1.05以下であり、好ましくは0.97以上1.03以下であり、一層好ましくは0.98以上1.02以下である。ペロブスカイト型酸化物がこの範囲でA元素を含有することで、該ペロブスカイト型酸化物に適切な酸素欠損が生じ、本発明に係る酸化物膜の導電性の向上を図ることが可能となる。
一方、前記の組成式(1)で表されるペロブスカイト型酸化物においてB元素のモル比であるYは、上述のとおり0.60以上1.05以下であり、好ましくは0.70以上0.95以下であり、一層好ましくは0.80以上0.90以下である。ペロブスカイト型酸化物がこの範囲でB元素を含有することで、該ペロブスカイト型酸化物に適切なB元素欠損及び酸素欠損が生じ、本発明に係る酸化物膜の導電性の向上を図ることが可能となる。
【0017】
前記の組成式(1)で表されるペロブスカイト型酸化物には希土類元素がドープされている。希土類元素をドープすることで本発明に係る酸化物膜の導電性の向上を図ることが可能となる。理論に拘束されないが、希土類元素は、ペロブスカイト型結晶構造におけるAサイトに位置していることが、換言すればA元素の一部と置換されていることが、導電性の向上の観点から好ましい。
【0018】
前記の希土類元素としては、例えばLa、Ce、Sc、Y、Ybなどが挙げられる。これらの希土類元素は1種を単独で用いることができ、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
前記の組成式(1)で表されるペロブスカイト型酸化物における希土類元素の含有量の制御は、本発明に係る酸化物膜を製造するための前駆体層及びドーパント含有層の厚さを制御することで達成される。具体的には、前駆体層に対するドーパント含有層の厚さの割合で表して、0.04以上0.5以下とすることが好ましく、0.05以上0.2以下とすることが更に好ましく、0.1以上0.2以下とすることが一層好ましい。前駆体層に対するドーパント含有層の厚さをこの範囲に設定することで、本発明に係る酸化物膜の導電性の向上を図ることが可能となる。前駆体層及びドーパント含有層の詳細については後述する。
【0019】
本発明に係る酸化物膜に含まれるA元素及びB元素並びに希土類元素の量は、例えば断面TEMによって観察される断面部分をEDS測定することによって算出できる。酸素の量は、例えば酸素・窒素分析装置(株式会社日立ハイテクノロジーズ製のPS3520UVDD)によって測定できる。
【0020】
本発明に係る酸化物膜は、前記の組成式(1)で表されるペロブスカイト型酸化物に希土類元素がドープされてなる酸化物のみから構成されていてもよく、あるいは該酸化物に加えて他の酸化物を含んで構成されていてもよい。本発明に係る酸化物膜の導電性を一層高める観点からは、該酸化物膜は、前記の組成式(1)で表されるペロブスカイト型酸化物に希土類元素がドープされてなる酸化物のみから構成されていることが好ましい。
【0021】
本発明に係る酸化物膜がペロブスカイト型結晶構造を有しているか否かは、例えば粉末X線回折法や表面X線回折法などによって確認できる。
【0022】
本発明に係る酸化物膜は(004)面に優先配向していることが好ましい。これによって該酸化物膜の導電性が一層向上する。酸化物膜を(004)面に優先配向させるには、例えば後述する酸化物膜の好適な製造方法に従い、格子定数が所定の範囲内であり且つ(002)面に優先配向した結晶性基板上に酸化物膜を形成すればよい。
【0023】
本発明に係る酸化物膜について本発明者が鋭意検討した結果、該酸化物膜の導電率は、X線回折法のロッキングカーブ半値幅(以下「FWHM」ともいう。)と密接に関係していることが判明した。詳細には、本発明に係る酸化物膜は、そのFWHMの値が小さくなるほど、導電率が高まることが判明した。この理由は現在のところ明確ではないが、FWHMの値が小さくなるに連れて本発明に係る酸化物膜におけるペロブスカイト型酸化物の結晶粒のサイズが大きくなり、粒界における電気抵抗が低下するためであると本発明者は考えている。この観点から、本発明に係る酸化物膜におけるFWHMの値を0.25度以下に設定し、好ましくは0.20以下、更に好ましくは0.15以下に設定する。FWHMの下限値に特に制限はなく、小さければ小さいほど好ましいが、0.05程度にFWHMの値が小さければ本発明の所期の目的は達成される。
【0024】
FWHMの値は、本発明に係る酸化物膜を対象としたX線回折測定によって決定される。FWHMの値は、本発明に係る酸化物膜の(004)面の回折ピークに基づき決定される。(004)面の回折ピークを選定した理由は、本発明に係る酸化物膜を対象としたX線回折測定によって得られる回折ピークのうち、(004)面に由来するピークが最も高強度であることによるものである(後述する図2参照)。
【0025】
FWHMの値の具体的な測定方法は以下のとおりである。
XRD装置の解析ソフトウエアPDXL2を用いて得られた酸化物膜の(004)面の回折ピークの1/2の強度値における2θ(deg)を算出する。
【0026】
次に、本発明に係る酸化物膜の好適な製造方法について説明する。本製造方法は、ドーパントである希土類元素がドーピングされた結晶性酸化物膜を結晶性基板上に形成する工程を有する。詳細には、本製造方法は、以下の工程に大別される。
第1工程:結晶性基板上に結晶性酸化物膜の前駆体層を形成する工程。
第2工程:前駆体層上にドーパントである希土類元素を含むドーパント含有層を形成する工程。
第3工程:前駆体層及びドーパント含有層を加熱して、該ドーパント含有層中のドーパント、すなわち希土類元素を該前駆体層中にドーピングするか、これと同時に又はこれと別に、前駆体層中のB元素をドーパント含有層中に拡散させて結晶性酸化物を得る工程。
以下、それぞれの工程について以下に詳細に説明する。
【0027】
<第1工程>
本工程においては、まず結晶性基板を用意する。結晶性基板は、目的とする酸化物膜の結晶性を制御するために用いられる。結晶性基板は、目的とする酸化物膜を形成するための下地として機能するものを広く包含し、例えば文字どおり板状のものであってもよく、あるいは薄膜状のものであってもよい。目的とする酸化物膜がペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物を含むものであることを考慮すると、結晶性基板は立方晶の結晶構造を有するものであることが好ましく、特に格子定数が3.800Å以上4.300Å以下である立方晶の結晶構造を有するものであることが好ましい。この範囲の格子定数を有する結晶性基板を用いることで、該基板上に結晶方位の揃った酸化物膜を首尾よく形成することができる。この利点を一層顕著なものとする観点から、結晶性基板の格子定数は、3.850Å以上4.200Å以下であることが更に好ましく、3.900Å以上4.100Å以下であることが一層好ましい。
【0028】
前記の結晶性基板は酸化物を含んで構成されていることが好ましい。酸化物としては、例えばSrTiO、MgO、KTaO、NdScO、NdGaOなどが挙げられる。これらの酸化物を含む結晶性基板は単結晶のものであることが好ましい。特に、結晶性基板の表面、すなわち目的とする酸化物膜の前駆体層が形成される面の面指数が(002)面であることが、該基板上に結晶方位の揃った酸化物膜を首尾よく形成できる点から好ましい。
【0029】
結晶性基板の表面に、目的とする酸化物膜の前駆体層を形成するには各種の薄膜形成法を採用することができる。薄膜形成法として例えばPLD法を採用することもできるが、第1工程において酸化物膜の前駆体層を形成し、第2工程においてドーパント含有層を形成することを考慮すると、薄膜形成法としてミストCVD法(ミスト化学気相成長法)を採用することが有利である。ミストCVD法においては、前駆体層を形成するための原料溶液をミスト状にした状態で、非真空下に(一般には大気圧下に)、前記の結晶性基板上に輸送する。このとき結晶性基板は加熱状態としておく。結晶性基板上に輸送されたミスト状の原料溶液は、該基板の表面で加熱されて徐々に気化し、化学反応によって目的とする前駆体が層状に生成する。
【0030】
前駆体層を形成するための原料溶液としては、目的とする酸化物膜を構成するA元素及びB元素を含むものが用いられる。原料溶液は、A元素源及びB元素源の溶解が可能な溶媒にこれらの元素源が溶解してなるものである。溶媒としては、A元素源及びB元素源の種類に応じて適切なものが用いられ、その例としては、水及び各種の有機溶媒、例えばアルコール類、ケトン類及び芳香族類などが挙げられる。
【0031】
原料溶液におけるA元素及びB元素の濃度は、ミストCVD法によって目的とする前駆体層を首尾よく形成できるように適切に調整される。一般的には、原料溶液におけるA元素及びB元素の濃度を、それぞれ独立に、好ましくは0.01モル%以上50モル%以下に設定することで満足すべき結果が得られる。
【0032】
ミスト状の原料溶液は基板上で加熱されて化学反応する。基板の温度は、原料溶液に含まれるA元素源及びB元素源の種類に応じて適切に設定される。一般的には、基板の温度を好ましくは300℃以上900℃以下に設定することで満足すべき結果が得られる。
【0033】
このようにして結晶性基板上にA元素及びB元素を含む前駆体層が形成される。この状態での前駆体層は非晶質である。この前駆体層は、A元素及びB元素を含む酸化物から構成されている。具体的には、前駆体層は、組成式A(式中、A及びBは互いに異なる金属元素を表し、Xは0.95≦X≦1.05であり、Zは0.95≦Z≦1.05である。)で表される酸化物からなる。A元素は第2族元素であることが好ましく、特にSrであることが好ましい。一方、B元素は第14族元素であることが好ましく、特にSnであることが好ましい。したがって前駆体層は好ましくはSr及びSnを含む酸化物から構成されている。
【0034】
<第2工程>
本工程においては、第1工程において形成された前駆体層上にドーパント含有層を直接形成する。ドーパント含有層を形成するには各種の薄膜形成法を採用することができる。上述した前駆体層をミストCVD法によって形成することが有利であることとの関連で、ドーパント含有層もミストCVD法によって形成することが有利である。
【0035】
ドーパント含有層を形成するための原料溶液としては、目的とする酸化物膜にドーパントとして含有される元素を含むものが用いられる。原料溶液は、ドーパント元素源の溶解が可能な溶媒にドーパント元素源が溶解してなるものである。溶媒としては、ドーパント元素源の種類に応じて適切なものが用いられ、その例としては、水及び各種の有機溶媒、例えばアルコール類、ケトン類及び芳香族類などが挙げられる。
【0036】
原料溶液におけるドーパントの濃度は、ミストCVD法によって目的とするドーパント含有層を首尾よく形成できるように適切に調整される。一般的には、原料溶液におけるドーパントの濃度を、好ましくは0.01モル%以上10モル%以下に設定することで満足すべき結果が得られる。
【0037】
ミスト状の原料溶液は、前駆体層が形成された基板上で加熱されて化学反応する。基板の温度は、原料溶液に含まれるドーパント元素源の種類に応じて適切に設定される。一般的には、基板の温度を好ましくは300℃以上900℃以下に設定することで満足すべき結果が得られる。
【0038】
このようにして前駆体層上にドーパントを含むドーパント含有層が形成される。この状態でのドーパント含有層は非晶質である。このドーパント含有層は例えばドーパントを含む酸化物から構成されている。ドーパントは希土類元素であることが好ましく、特にLaであることが好ましい。
【0039】
前駆体層及びドーパント含有層は、前駆体層の厚さに対するドーパント含有層の厚さの比が好ましくは0.04以上0.5以下となるように形成されることが、目的とする酸化物膜を首尾よく得られる点から好ましい。この観点から、前駆体層の厚さに対するドーパント含有層の厚さの比は0.05以上0.2以下であることが更に好ましく、0.1以上0.2以下であることが一層好ましい。
【0040】
前駆体層の厚さに対するドーパント含有層の厚さの比は上述のとおりであることが好ましいところ、前駆体層そのものの厚さは50nm以上150nm以下であることが好ましく、ドーパント含有層そのものの厚さは1nm以上50nm以下であることが好ましい。前駆体層及びドーパント含有層のそれぞれの厚さは段差計によって測定することができる。
【0041】
第2工程までが完了した時点では、結晶性基板と、組成式A(式中、A及びBは互いに異なる金属元素を表し、Xは0.95≦X≦1.05であり、Zは0.95≦Z≦1.05である。)で表される酸化物からなる非晶質の前駆体層(第一の層)と、希土類元素の酸化物からなる非晶質のドーパント含有層(第二の層)とが、この順で積層されてなる多層構造体が得られる。この多層積層体は、本発明の酸化物膜を製造するための前駆構造体として工業的に有用である。
【0042】
<第3工程>
本工程においては、上述した多層構造体における前駆体層及びドーパント含有層を加熱する。加熱によって前駆体層の構成元素及び/又はドーパント含有層の構成元素が熱拡散するとともに結晶化が起こる。加熱温度や加熱時間を適切に調整することで、ドーパント含有層からドーパントの少なくとも一部が前駆体層の少なくとも一部に熱拡散してドーピングが行われる。あるいは、前駆体層に含まれるB元素の少なくとも一部がドーパント含有層の少なくとも一部に熱拡散する。加熱条件によっては、前駆体層とドーパント含有層との界面にB元素と希土類元素との酸化物が微量生成する場合がある。例えばB元素がSnでありドーパントがLaである場合にはLaSnが生成する場合がある。いずれの場合であっても、目的とする酸化物膜が、ペロブスカイト型結晶構造を有するように前駆体層及びドーパント含有層を加熱することが好ましい。これによって、目的とする結晶性酸化物膜が、結晶性基板上に形成されてなる構造体が得られる。
なお、B元素の少なくとも一部がドーパント含有層に拡散する際に、電荷補償のために前駆体層中に酸素欠損が発生する。
【0043】
加熱によって形成された酸化物膜はその結晶が、結晶性基板の結晶面に揃えて配列されていることが、該酸化物膜の導電性を一層高める観点から好ましい。特に、酸化物膜の(004)面が、結晶性基板の(002)面に揃えて配列されていることが、該酸化物膜の導電性を更に一層高める観点から好ましい。
【0044】
第2工程で得られた多層構造体を用いて、目的とする酸化物膜を有する構造体を得るには、加熱を不活性ガス雰囲気下又は真空下に行う。不活性ガスとしては窒素及び希ガスを用いることができる。真空下で加熱を行う場合には系内の圧力を1.0Pa以下に設定することが好ましい。
加熱温度は900℃以上に設定することが、ドーパント含有層からのドーパントの熱拡散を首尾よく行う点、前駆体層の結晶化を首尾よく行う点、及び前駆体層の結晶化によって生じた酸化物膜のFWHMの値を上述した値とすることができる点から好ましい。この観点から、加熱温度は950℃以上、特に1000℃以上に設定することが好ましい。
加熱温度の上昇に伴い酸化物膜のFWHMの値は徐々に低下していくことを本発明者は確認している。しかし、加熱温度を過度に高めると、それまで低下していたFWHMの値が上昇に転じることも本発明者は確認している。この観点から、加熱温度の上限は1100℃以下に設定することが好ましく、更に好ましくは1075℃以下、一層好ましくは1050℃以下に設定する。
加熱時間は、加熱温度が上述した範囲内であることを条件として、2時間以上10時間以下に設定することが好ましく、更に好ましくは3時間以上7時間以下であり、一層好ましくは4時間以上6時間以下である。
【0045】
以上の方法によって、結晶性基板と、その基板上に形成された結晶性酸化物膜とを有する構造体が得られる。この構造体は、上述したミストCVD法によって得られることに起因して、酸化物膜における基板と当接する面と反対側の面(つまり露出面)の面積をこれまでよりも大きくすることが容易である。例えば、露出面の面積が好ましくは25mm以上、更に好ましくは50mm以上、一層好ましくは100mm以上である酸化物膜を容易に形成することが可能である。また前記結晶性酸化物膜の厚さは、90nm以上180nm以下であることが、導電性と製造性の確保の観点から好ましい。
【0046】
このようにして得られた構造体における結晶性酸化物膜は、FWHMが上述の値になるように調整されていることから、該酸化物膜はその導電性が高いものとなっている。詳細には、前記の構造体における結晶性酸化物膜は、その導電率が好ましくは5.0S/cm以上という高い値を示し、更に好ましくは100S/cm以上であり、一層好ましくは300S/cm以上である。導電率はその値が高いほど望ましいが、上限値は一般的には、7000S/cmである。
【0047】
上述した導電率との関係で、前記の構造体における結晶性酸化物膜は、その移動度が好ましくは1.0cm/V/s以上という高い値を示し、更に好ましくは5.0cm/V/s以上であり、一層好ましくは20cm/V/s以上である。移動度はその値が高いほど望ましいが、上限値は一般的には、100cm/V/sである。
また、前記の構造体における結晶性酸化物膜は、そのキャリア密度が好ましくは1.0×1014cm-3以上という高い値を示し、更に好ましくは1.0×1019cm-3以上であり、一層好ましくは1.0×1020cm-3以上である。キャリア密度はその値が高いほど望ましいが、上限値は一般的には、1.0×1022cm-3である。
【0048】
結晶性酸化物膜の導電率、移動度及びキャリア密度の測定方法は、後述する実施例において説明する。
【実施例0049】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
【0050】
〔実施例1〕
(1)SrSnO膜の成膜
(1-1)成膜装置
図1を用いて、本実施例で用いたミストCVD装置1を説明する。ミストCVD装置1は、キャリアガスを供給するキャリアガス源2と、キャリアガス源2から送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁3と、原料溶液4aが収容されるミスト発生源4と、水5aが入れられる容器5と、容器5の底面に取り付けられた超音波振動子6と、成膜室7と、ミスト発生源4から成膜室7までをつなぐ供給管9と、成膜室7内に設置されたホットプレート8とを備えている。ホットプレート8上には、□15mmの単結晶SrTiO(立方晶、格子定数:3.905Å)からなる基板10が設置されている。基板10の表面は、単結晶SrTiOの(002)面が露出していた。
【0051】
(1-2)成膜準備
Sr化合物及びSn化合物が溶媒に溶解した原料溶液4aをミスト発生源4内に収容した。次に、ホットプレート8上に設置された基板10を、該ホットプレート8を作動させて加熱した。引き続き、流量調節弁3を開いて、キャリアガス源2からキャリアガスを成膜室7に供給し、成膜室7の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した。キャリアガスとして窒素を用いた。
【0052】
(1-3)SrSnO膜の形成
超音波振動子6を2.4MHzで振動させ、その振動を、水5aを通じて原料溶液4aに伝播させることによって、原料溶液4aを霧化させてミスト4bを生成させた。ミスト4bはキャリアガスによって輸送され、供給管9内を通り成膜室7内に導入された。大気圧下、加熱された基板10上でミストが熱反応して、基板10上にSrSnO膜が形成された。得られたSrSnO膜は非晶質であった。
【0053】
(2)LaO膜の形成
La化合物が溶媒に溶解した原料溶液を用いたこと以外は、(1)と同様にして、(1-3)において得られたSrSnO膜上にLaO膜を形成した。得られたLaO膜は非晶質であった。このようにして、単結晶SrTiOからなる基板と、非晶質SrSnO膜と、非晶質LaO膜とからなる多層構造体を得た。SrSnO膜の厚さに対するLaO膜の厚さの比は以下の表1に示すとおりであった。
【0054】
(3)加熱処理
前項(2)で得られた多層構造体を窒素雰囲気下で熱処理した。熱処理条件は、以下の表1に示すとおりであった。このようにして、単結晶SrTiOからなる基板上に結晶性酸化物膜が形成されてなる構造体を得た。この構造体における結晶性酸化物膜の露出面の面積は225mmであった。
X線回折測定の結果、この酸化物膜はペロブスカイト型結晶構造を有するSrSnOであり、酸化物膜の(004)面が、単結晶SrTiOからなる基板の(002)面と揃っていることが確認された。X線回折測定結果を図2に示す。また元素分析の結果から、この酸化物膜にはLaがドープされていることが確認された。
【0055】
〔実施例2ないし4〕
LaO膜の厚さ及び熱処理の温度を表1に示すとおりに変更した以外は実施例1と同様にして、単結晶SrTiOからなる基板上に結晶性酸化物膜が形成されてなる構造体を得た。X線回折測定の結果、この酸化物膜はペロブスカイト型結晶構造を有するSrSnOであり、酸化物膜の(004)面が、単結晶SrTiOからなる基板の(002)面と揃っていることが確認された。
実施例2の構造体をEDSで分析した結果、SrとLaの合計モル数に対するLaのモル数の割合は0.210であった。
【0056】
〔比較例1ないし3〕
LaOx膜の厚さ及び熱処理の温度を表1に示すとおりに変更した以外は実施例1と同様にして、単結晶SrTiOからなる基板上に結晶性酸化物膜が形成されてなる構造体を得た。
【0057】
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた構造体における結晶性酸化物膜について、上述した方法で(004)面のFWHMの値を求めた。更に、以下の方法で導電率、移動度及びキャリア密度を測定した。それらの結果を以下の表1に示す。
【0058】
〔導電率〕
ホール効果測定装置(ナノメトリクス・ジャパン株式会社製HL5500PC)を用いて、以下の式から算出した。
ρ=(πt/ln2)(V/I
ρ:体積抵抗(Ω・cm)
t:サンプル厚さ(cm)
:測定される電圧(V)
:印可される電流(A)
【0059】
〔移動度〕
ホール効果測定装置(ナノメトリクス・ジャパン株式会社製HL5500PC)を用いて、以下の式から算出した。
μ=-RHS/ρ=-(V/(I・B))/(ρ/t)
μ:電子移動度(cm/V・s)
HS:シートホール係数(m/C)
ρ:シート抵抗(Ω/Sq.)
:測定されるホール電圧(V)
:印可される電流(A)
B:印加される磁場(T)
ρ:体積抵抗(Ω・cm)
t:サンプル厚さ(cm)
【0060】
〔キャリア密度〕
ホール効果測定装置(ナノメトリクス・ジャパン株式会社製HL5500PC)を用いて、以下の式から算出した。
N=(1/q・t・RHS)=I・B/(q・t・V
N:キャリア密度(cm-3
HS:シートホール係数(m/C)
:測定されるホール電圧(V)
:印可される電流(A)
B:印加される磁場(T)
t:サンプル厚さ(cm)
q:電荷(C)
【0061】
【表1】
【0062】
表1に示す結果から明らかなとおり、各実施例で得られた構造体における酸化物膜は、その導電率が高く、また移動度及びキャリア密度も高いことが分かる。なお、比較例の構造体における酸化物膜は絶縁体であったことから、導電率、移動度及びキャリア密度のいずれも測定値が得られなかった。
【符号の説明】
【0063】
1 ミストCVD装置
2 キャリアガス源
3 流量調節弁
4 ミスト発生源
4a 原料溶液
4b ミスト
5 容器
5a 水
6 超音波振動子
7 成膜室
8 ホットプレート
9 供給管
10 基板
図1
図2