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特開2022-72640転圧機械、及び、アスファルト混合物の密度推定システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072640
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】転圧機械、及び、アスファルト混合物の密度推定システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 22/00 20060101AFI20220510BHJP
   E01C 19/26 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
G01N22/00 S
E01C19/26
G01N22/00 U
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020182197
(22)【出願日】2020-10-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000201515
【氏名又は名称】前田道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】浅川 眞二
(72)【発明者】
【氏名】宮本 博文
【テーマコード(参考)】
2D052
【Fターム(参考)】
2D052AA03
2D052AC01
2D052BB01
2D052BB05
2D052CA01
(57)【要約】
【課題】少ない作業負担で路面を形成するアスファルト混合物の密度を推定することができるアスファルト混合物の密度推定方法、転圧機械、及び、アスファルト混合物の密度推定システムを提供する。
【解決手段】転圧機械10は、転圧機械本体1に取り付けられ、路面30のアスファルト混合物Aの密度を推定する密度推定装置11を備え、密度推定装置11は、路面30に向かって電磁波W1を発信する発信部3aと、路面30から反射した電磁波W1の反射波W2を受信する受信部3bと、反射波W2の特性を示す反射波情報に基づいて、路面30のアスファルト混合物の密度を推定する演算部4とを有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面を形成するアスファルト混合物の密度を推定するアスファルト混合物の密度推定方法であって、
前記路面に向かって電磁波を発信し、
前記路面から反射した前記電磁波の反射波を受信し、
前記反射波の特性を示す反射波情報に基づいて、前記路面の前記アスファルト混合物の密度を推定する、アスファルト混合物の密度推定方法。
【請求項2】
請求項1に記載のアスファルト混合物の密度推定方法であって、
前記反射波情報は、前記反射波の強度の経時的変化を示す情報である、アスファルト混合物の密度推定方法。
【請求項3】
請求項2に記載のアスファルト混合物の密度推定方法であって、
前記反射波の強度の経時的変化を示す前記反射波情報から特徴量を抽出し、
前記特徴量を学習済みモデルに入力することにより、前記アスファルト混合物の密度を推定し、
前記学習済みモデルは、前記アスファルト混合物の密度を前記特徴量に対して関連付けた教師データを用いて機械学習されている、アスファルト混合物の密度推定方法。
【請求項4】
請求項3に記載のアスファルト混合物の密度推定方法であって、
予め設定された少なくとも1つの特徴時点における前記反射波の強度を前記特徴量として抽出する、アスファルト混合物の密度推定方法。
【請求項5】
請求項4に記載のアスファルト混合物の密度推定方法であって、
予め取得された少なくとも2つの前記反射波情報に基づいて、前記アスファルト混合物の密度の各々に対応する前記反射波の強度の差が所定の閾値以上となる時点が前記特徴時点として設定される、アスファルト混合物の密度推定方法。
【請求項6】
請求項3に記載のアスファルト混合物の密度推定方法であって、
予め設定された少なくとも1つの特徴期間における前記反射波の強度の最大値を前記特徴量として抽出する、アスファルト混合物の密度推定方法。
【請求項7】
請求項6に記載のアスファルト混合物の密度推定方法であって、
予め取得された少なくとも2つの前記反射波情報に基づいて、前記特徴期間において、前記アスファルト混合物の密度の各々に対応する前記反射波の強度の最大値の差が所定の閾値以上となるように、前記特徴期間が設定される、アスファルト混合物の密度推定方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のアスファルト混合物の密度推定方法であって、
前記路面に向かって発信される前記電磁波の波長は、10~100cmである、アスファルト混合物の密度推定方法。
【請求項9】
アスファルト混合物によって形成された路面を締め固める転圧機械であって、
転圧機械本体と、
前記転圧機械本体に取り付けられ、前記路面の前記アスファルト混合物の密度を推定する密度推定装置を備え、
前記密度推定装置は、
前記路面に向かって電磁波を発信する発信部と、
前記路面から反射した前記電磁波の反射波を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記反射波の特性を示す反射波情報に基づいて、前記路面の前記アスファルト混合物の密度を推定する演算部とを有する、転圧機械。
【請求項10】
請求項9に記載の転圧機械であって、
前記密度推定装置の前記演算部が推定した前記アスファルト混合物の密度を示す密度推定情報を出力する出力装置をさらに備える、転圧機械。
【請求項11】
請求項10に記載の転圧機械であって、
前記出力装置が出力する前記密度推定情報は、前記路面の前記アスファルト混合物の密度分布を示す路面地図を含む、転圧機械。
【請求項12】
請求項10に記載の転圧機械であって、
前記密度推定装置の前記演算部は、前記アスファルト混合物の密度に基づいて、前記路面での前記転圧機械の移動経路を設定する、転圧機械。
【請求項13】
路面を形成するアスファルト混合物の密度を推定するアスファルト混合物の密度推定システムであって、
前記路面を締め固める転圧機械に取り付けられ、前記路面に向かって電磁波を発信する発信部と、前記路面から反射した前記電磁波の反射波を受信する受信部とを有する電磁波受発信装置と、
前記電磁波受発信装置から前記反射波の特性を示す反射波情報を取得し、前記反射波情報に基づいて、前記路面の前記アスファルト混合物の密度を推定する演算装置とを備える、アスファルト混合物の密度推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト混合物の密度推定方法、転圧機械、及び、アスファルト混合物の密度推定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
アスファルト混合物で形成される路面は、施工時に転圧機械によって所定の密度以上になるように締固められる。従来、施工後のアスファルト混合物の密度を確認するためには、施工後のアスファルト混合物から試料を切り抜き、試験場で計測された試料の質量に基づいて、アスファルト混合物の密度が測定されていた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-010032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、既に施工されたアスファルト混合物から試料を切り抜く場合は、アスファルト混合物の密度の測定にかかる作業負担が過大になってしまうという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、少ない作業負担で路面を形成するアスファルト混合物の密度を推定することができるアスファルト混合物の密度推定方法、転圧機械、及び、アスファルト混合物の密度推定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]上記課題を解決するために、本発明に係るアスファルト混合物の密度推定方法は、路面を形成するアスファルト混合物の密度を推定するものであって、前記路面に向かって電磁波を発信し、前記路面から反射した前記電磁波の反射波を受信し、前記反射波の特性を示す反射波情報に基づいて、前記路面の前記アスファルト混合物の密度を推定する、アスファルト混合物の密度推定方法である。
【0007】
[2]上記発明において、反射波情報は、前記反射波の強度の経時的変化を示す情報であってもよい。
【0008】
[3]上記発明において、反射波の強度の経時的変化を示す反射波情報から特徴量を抽出し、特徴量を学習済みモデルに入力することにより、アスファルト混合物の密度を推定し、学習済みモデルは、アスファルト混合物の密度を特徴量に対して関連付けた教師データを用いて機械学習されていてもよい。
【0009】
[4]上記発明において、予め設定された少なくとも1つの特徴時点における前記反射波の強度を前記特徴量として抽出してもよい。
【0010】
[5]上記発明において、予め取得された少なくとも2つの前記反射波情報に基づいて、前記アスファルト混合物の密度の各々に対応する前記反射波の強度の差が所定の閾値以上となる時点が前記特徴時点として設定されてもよい。
【0011】
[6]上記発明において、予め設定された少なくとも1つの特徴期間における前記反射波の強度の最大値を前記特徴量として抽出してもよい。
【0012】
[7]上記発明において、予め取得された少なくとも2つの前記反射波情報に基づいて、前記特徴期間において、前記アスファルト混合物の密度の各々に対応する前記反射波の強度の最大値の差が所定の閾値以上となるように、前記特徴期間が設定されてよい。
【0013】
[8]上記発明において、前記路面に向かって発信される前記電磁波の波長は、10~100cmであってもよい。
【0014】
[9]また、本発明に係る転圧機械は、アスファルト混合物によって形成された路面を締め固めるものであって、転圧機械本体と、前記転圧機械本体に取り付けられ、前記路面の前記アスファルト混合物の密度を推定する密度推定装置を備え、前記密度推定装置は、前記路面に向かって電磁波を発信する発信部と、前記路面から反射した前記電磁波の反射波を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記反射波の特性を示す反射波情報に基づいて、前記路面の前記アスファルト混合物の密度を推定する演算部とを有する、転圧機械である。
【0015】
[10]上記発明において、密度推定装置の前記演算部が推定した前記アスファルト混合物の密度を示す密度推定情報を出力する出力装置をさらに備えてもよい。
【0016】
[11]上記発明において、前記出力装置が出力する密度推定情報は、路面のアスファルト混合物の密度分布を示す路面地図を含んでもよい。
【0017】
[12]上記発明において、前記密度推定装置の前記演算部は、前記アスファルト混合物の密度に基づいて、前記路面での前記転圧機械の移動経路を設定してもよい。
【0018】
[13]また、本発明に係るアスファルト混合物の密度推定システムは、路面を形成するアスファルト混合物の密度を推定するものであって、前記路面を締め固める転圧機械に取り付けられ、前記路面に向かって電磁波を発信する発信部と、前記路面から反射した前記電磁波の反射波を受信する受信部とを有する電磁波受発信装置と、前記電磁波受発信装置から前記反射波の特性を示す反射波情報を取得し、前記反射波情報に基づいて、前記路面の前記アスファルト混合物の密度を推定する演算装置とを備える、アスファルト混合物の密度推定システムである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、路面から反射した電磁波の反射波の特性に基づいてアスファルト混合物の密度を推定するので、少ない作業負担で路面を形成するアスファルト混合物の密度を推定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態に係る転圧機械の構成を示す図である。
図2図1に示す電磁波受発信装置の発信部、及び、受信部の構成を示す図である。
図3図2に示す電磁波受発信装置の受信部が受信した電磁波の強度の経時的変化を示すグラフと、グラフ上の特徴時点とを示す図である。
図4図2に示す電磁波受発信装置が受発信する電磁波、及び、路面の表面の凹凸を示す図である。
図5図1に示す転圧機械に設けられた密度推定装置がアスファルト混合物の密度を推定するために用いる学習済みモデルを示す図である。
図6図2に示す電磁波受発信装置の受信部が受信した電磁波の強度の経時的変化を示すグラフと、グラフ上の特徴期間とを示す図である。
図7図7(a)は、図1に示す転圧機械に設けられた出力装置5が出力する路面地図の例を示す図であり、図7(b)は、図7(a)に示す路面地図に表示された移動経路の例を示す図である。
図8】第2実施形態に係るアスファルト混合物の密度推定システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
《第1実施形態》
図1~7を用いて、本実施形態に係る転圧機械10、及び、転圧機械10を用いたアスファルト混合物の密度推定方法について説明する。なお、図1において、紙面上左側が転圧機械10の前方であり、紙面上右側が転圧機械10の後方である。
図1に示すように、転圧機械10は、転圧機械本体1と、転圧機械本体1の前後に回転可能に設けられた略円筒形状のローラ2とを有している。また、転圧機械本体1には、操作者が座るための操作者席1aが設けられている。アスファルト混合物Aを路面30に施工する場合、アスファルト混合物Aを敷き均して路面30を形成した後、転圧機械10が路面30を移動することにより、アスファルト混合物Aはローラ2によって締固められる。アスファルト混合物Aがローラ2によって締固められることにより、アスファルト混合物Aの密度は上昇する。
【0022】
なお、転圧機械10は、例えば、タイヤローラ、又は、ロードローラ(マカダムローラ、タンデムローラ)である。また、転圧の工程の段階(初期転圧、二次転圧、仕上げ転圧)に応じて、使用する転圧機械10の種類を変えてもよい。例えば、初期転圧には、ロードローラを使用し、二次転圧、及び、仕上げ転圧には、タイヤローラを使用してもよい。
【0023】
また、転圧機械本体1には、電磁波受発信装置3と、電磁波受発信装置3に無線又は有線で接続される演算部4と、演算部4に無線又は有線で接続される出力装置5とが搭載されている。電磁波受発信装置3は、転圧機械本体1の前方に、前記路面30に対向するように設けられている。電磁波受発信装置3は、電磁波を発信する発信部3a、及び、電磁波を受信する受信部3bを有する。演算部4は、例えば、コンピュータである。出力装置5は、ディスプレイを有する端末であって、転圧機械本体1の操作者席1aの前方に取り外し可能に取り付けられている。出力装置5は、転圧機械本体1の操作者席1aの前方に固定されたディスプレイであってもよい。出力装置5は、演算部4が推定したアスファルト混合物Aの密度を示す密度推定情報を出力する。すなわち、出力装置5のディスプレイには、アスファルト混合物Aの密度を示す密度推定情報が画像情報又は文字情報として表示される。また、出力装置5は、スピーカを有しており、音声によって密度推定情報を出力してもよい。
なお、電磁波受発信装置3の発信部3a、及び、受信部3bと、演算部4とは、密度推定装置11を構成する。
【0024】
図2に示すように、電磁波受発信装置3の発信部3aは、電磁波W1を路面30に向けて発信する。電磁波受発信装置3の受信部3bは、路面30に反射した電磁波W1の反射波W2を受信する。発信部3a、及び、受信部3bは、アンテナ回路を有する板形状のボウタイアンテナであるが、これに限定されず、反射波W2を正確に取得できる形状、大きさであればよい。また、電磁波受発信装置3の径方向外側を筒形状の電磁波シールド(図示せず)で被覆してもよい。なお、電磁波受発信装置3の発信部3aが発信する電磁波W1は、周波数が300MHz~3GHzで、波長が10cm~100cmのUHF(Ultra High Frequency)である。
【0025】
次に、図3~6を用いて、転圧機械10に設けられた密度推定装置11によるアスファルト混合物Aの密度推定方法を説明する。
【0026】
図3は、受信部3bが受信した電磁波(電磁波W1,反射波W2)の情報に基づいて、オシロスコープを用いて作成された、電圧値の経時的変化を示す波形グラフである。図3に示す電圧値の正側の波形は、受信部3bが発信部3aから直接的に受信した電磁波W1(反射波W2以外の電磁波)の影響を受けている。一方、図3に示す電圧値の負側の波形は、受信部3bが受信した反射波W2の特性を示している。すなわち、図3に示す電圧値の負側の絶対値は、反射波W2の強度を示しており、図3に示す電圧値の負側の波形は、反射波W2の強度の経時的変化を示している。従って、受信部3bが受信した電磁波(電磁波W1,反射波W2)の情報は、反射波W2の強度の経時的変化を示す反射波情報を含んでいる。
【0027】
図3に示す破線のグラフは、締固め度100%に対応する密度を有するアスファルト混合物Aに向かって発信部3aから電磁波W1を投射した場合に、受信部3bが受信した電磁波(電磁波W1,反射波W2)の電圧値の経時的変化を示す図である。一方、実線のグラフは、締固め度85%に対応する密度を有するアスファルト混合物Aに向かって発信部3aから電磁波W1を投射した場合に、受信部3bが受信した電磁波(電磁波W1,反射波W2)の電圧値の経時的変化を示す図である。なお、締固め度とは、アスファルト混合物Aの施工時の基準密度(目標密度)を100%とした場合の密度の割合である。締固め度100%に対応する密度は、アスファルト混合物Aの種類や製造時の状況によって異なるが、例えば、2.255g/cmである。
【0028】
図3のグラフからは、アスファルト混合物Aの密度の違いが、負側の電圧値の波形、すなわち、反射波W2の強度の経時的変化に影響を及ぼしていることが分かる。ここで、図4に示すように、アスファルト混合物Aには骨材Agが含まれるため、路面30の表面には凹凸が形成されている。アスファルト混合物Aの密度が高くなる程、各々の骨材Agの間隔は小さくなるため、路面30の表面の凹凸は多くなる。従って、アスファルト混合物Aの密度に応じた路面30の表面の凹凸が、図3に示すように、反射波W2の強度の経時的変化に影響を及ぼす。
また、図3に示す電圧値のグラフの波形は、気温、湿度、気圧、空気の流れ等の影響も受けている。
【0029】
演算部4は、アスファルト混合物Aの密度に応じた反射波W2の強度の経時的変化を利用して、アスファルト混合物Aの密度を推定する。具体的には、図3に示すように、演算部4は、予め設定された3つの特徴時点P1,P2,P3における反射波W2の強度(負側の電圧値の絶対値)に基づいて、アスファルト混合物Aの密度を推定する。特徴時点P1,P2,P3は、特徴時点P1,P2,P3において、アスファルト混合物Aの密度の各々に対応する反射波W2の強度(負側の電圧値の絶対値)の差dP1,dP2,dP3が所定の閾値以上となるように設定される。図3では、締固め度100%の密度に対応する破線グラフと、締固め度85%の密度に対応する実線グラフとを比較した結果、反射波W2の強度(負側の電圧値の絶対値)の差dP1,dP2,dP3が1.0[V]以上となる時点が、特徴時点P1,P2,P3として設定されている。なお、本実施形態における「所定の閾値」は、1.0[V]に限定されず、電磁波受発信装置3のアンテナや測定器の性能に応じて、適宜設定される。
【0030】
なお、試験によって予め取得された少なくとも2つの反射波情報に基づいて、オペレータが、電圧値のグラフの波形を目視した結果、アスファルト混合物Aの密度の違いが最も顕著に現れている時点を特徴時点P1,P2,P3として予め設定してもよい。また、演算部4が、試験によって予め取得された少なくとも2つの反射波情報に基づいて、特徴時点P1,P2,P3を設定してもよい。設定される特徴時点は3つに限定されず、1つ、2つ、又は、4つ以上であってもよい。
【0031】
図5に示すように、演算部4は、機械学習を利用して、アスファルト混合物Aの密度D[mg/cm]を推定する。具体的には、演算部4は、反射波W2の強度の経時的変化を示す反射波情報から、特徴時点P1,P2,P3における反射波W2の強度(負側の電圧値の絶対値)E1[V],E2[V],E3[V]を特徴量として抽出する。そして、演算部4は、特徴量を示す電圧値E1[V],E2[V],E3[V]を学習済みモデル1001に入力することにより、ニューラルネットワークを用いて、アスファルト混合物Aの密度D[mg/cm]を算出する。
【0032】
特徴量として入力された反射波W2の強度(負側の電圧値の絶対値)E1[V],E2[V],E3[V]と、演算部4の学習済みモデル1001が出力した密度D[g/cm]の例を以下に示す。
【表1】
【0033】
なお、演算部4は、同じ場所で取得した複数の反射波情報に基づいて、反射波W2の強度のデータ(E1[V],E2[V],E3[V])の複数の組み合わせに対して、平均化やローパスフィルタ等の処理を施したデータを作成し、これらのデータを特徴量として学習済みモデル1001に入力してもよい。これにより、気温、湿度、気圧、空気の流れ等の影響をより小さくして、アスファルト混合物Aの密度の推定精度を向上させることができる。
【0034】
学習済みモデル1001は、アスファルト混合物Aの密度を特徴時点P1,P2,P3における反射波W2の強度に対して関連付けた教師データ1003を用いて機械学習されている。教師データ1003を取得するためには、まず、密度が既知のアスファルト混合物Aの供試体を用いて、同じ位置、又は、複数の異なる位置で、受信部3bが受信した電磁波(電磁波W1,反射波W2)の電圧値の経時的変化を示す測定データを、例えば、10000回分取得する。そして、10000回分の測定データから、アスファルト混合物Aの密度と、特徴時点P1,P2,P3における反射波W2の強度(負側の電圧値の絶対値)E1[V],E2[V],E3[V]との関係を示す機械学習用データを抽出する。さらに、10000回分の機械学習用データを8000回分の教師データと2000回分のテストデータに分けて、これらのデータを用いた数十回から数百回の学習によって、学習済みモデル1001を作成する。
【0035】
教師データ1003の例を以下に示す。
【表2】
【0036】
なお、特徴時点P1における反射波W2の強度E1[V]は、密度D[g/cm]が高いほど高い傾向にある。特徴時点P2における反射波W2の強度E2[V]は、密度D[g/cm]が高いほど低い傾向にある。特徴時点P3における反射波W3の強度E3[V]は、密度D[g/cm]が高いほど低い傾向にある。
【0037】
図6に示すグラフは、図3に示すグラフと同じものである。すなわち、演算部4は、予め設定された3つの特徴期間G1,G2,G3における反射波W2の強度(負側の電圧値の絶対値)の最大値に基づいて、アスファルト混合物Aの密度を推定してもよい。演算部4は、予め取得された少なくとも2つの反射波情報に基づいて、特徴期間G1,G2,G3において、アスファルト混合物Aの密度の各々に対応する反射波W2の強度の最大値の差dG1,dG2,dG3が所定の閾値以上となるように、特徴期間G1,G2,G3を設定する。具体的には、図6では、締固め度100%の密度に対応する破線グラフと、締固め度85%の密度に対応する実線グラフとを比較した結果、特徴期間G1,G2,G3の各々において、アスファルト混合物Aの密度の各々に対応する反射波W2の強度(電圧値)の最大値の差dG1,dG2,dG3が0.5[V]以上となるように、特徴期間G1,G2,G3を設定している。なお、図6において、反射波W2の強度(電圧値)の最大値は、グラフの負側の波形の頂点の電圧値である。すなわち、特徴期間G1,G2,G3の各々における反射波W2の強度の最大値は、反射波W2の電圧値の経時的変化率が負から正に変わる境界であって、経時的変化率が0になる時点の電圧値である。また、本実施形態における「所定の閾値」は、0.5[V]に限定されず、電磁波受発信装置3のアンテナや測定器の性能に応じて、適宜設定される。
【0038】
演算部4は、図6に示すように、特徴期間G1,G2,G3の各々における反射波W2の強度の最大値を特徴量として抽出する場合は、これらの特徴量を、学習済みモデル1001に入力することにより、アスファルト混合物Aの密度を推定してもよい。この場合の学習済みモデル1001は、アスファルト混合物Aの密度を特徴期間G1,G2,G3の各々における反射波W2の強度の最大値に対して関連付けた教師データを用いて機械学習されている。
【0039】
なお、学習済みモデル1001は、受信部3bが受信した電磁波(電磁波W1,反射波W2)の情報に基づいて、電圧値の経時的変化を示す波形グラフの全体的な形状、又は、グラフパターンを、アスファルト混合物Aの密度に関連付けた教師データを用いて学習させたものであってもよい。この場合は、演算部4は、図3,6に示す波形グラフの全体的な形状に基づいて、アスファルト混合物Aの密度を推定することができる。
【0040】
また、図7(a)に示すように、演算部4は、路面30のアスファルト混合物Aの密度分布を示す路面地図Mを作成する。転圧機械10の出力装置5は、路面地図Mを出力する。すなわち、転圧機械10の出力装置5のディスプレイには、密度推定情報として、路面30のアスファルト混合物Aの密度分布を示す路面地図Mが表示される。例えば、図7(a)に示す領域X1は、アスファルト混合物Aの密度が基準密度に達した領域であり、領域X2は、アスファルト混合物Aの密度が基準密度に達していない領域である。すなわち、領域X1では、アスファルト混合物Aが充分に締め固められており、領域X2では、アスファルト混合物Aの締固め度が不足している。
【0041】
また、図7(b)に示すように、演算部4は、アスファルト混合物Aの密度に基づいて、路面30での転圧機械10の移動経路Rを設定する。出力装置5のディスプレイには、移動経路Rが路面地図Mに重畳して表示される。具体的には、演算部4は、転圧機械10が領域X2を再度締固めるように、移動経路Rを作成する。また、演算部4は、アスファルト混合物Aの密度が低い程、転圧機械10がその領域をより多く締め固めるように、移動経路Rを作成してもよい。また、出力装置5のディスプレイには、GPS機能を利用して、路面地図Mにおける転圧機械10の現在位置が表示されてもよい。
【0042】
以上より、本実施形態に係る密度推定装置11は、路面30に向かって電磁波W1を発信する発信部3aと、路面30から反射した電磁波W1の反射波W2を受信する受信部3bと、反射波W2の特性を示す反射波情報に基づいて、アスファルト混合物Aの密度を推定する演算部4とを有する。これにより、密度推定装置11は、短時間で簡易にアスファルト混合物Aの密度を推定することができる。また、施工後のアスファルト混合物Aから試料を切り出さずにアスファルト混合物Aの密度を推定することができるため、路面30の品質を維持することができる。また、密度推定装置11は、敷き均し直後のアスファルト混合物Aが高温の状態であっても、路面30に非接触の状態でアスファルト混合物Aの密度を推定することができる。また、本実施形態に係る転圧機械10は、密度推定装置11を備えていることにより、アスファルト混合物Aの締固めを行いながら、アスファルト混合物Aの密度を推定することができる。
【0043】
また、密度推定装置11の演算部4は、反射波W2の強度の経時的変化を示す情報に基づいて、アスファルト混合物Aの密度を推定する。反射波W2の強度の経時的変化は、アスファルト混合物Aの密度の違いに影響されるため、密度推定装置11の演算部4は、アスファルト混合物Aの密度を精度よく推定することができる。
【0044】
密度推定装置11の演算部4は、反射波W2の強度の経時的変化を示す反射波情報から特徴量を抽出し、特徴量を学習済みモデル1001に入力することにより、アスファルト混合物Aの密度を推定する。学習済みモデル1001は、アスファルト混合物Aの密度を特徴量に対して関連付けた教師データを用いて機械学習されている。このように学習済みモデル1001を利用してアスファルト混合物Aの密度を推定することにより、気温、湿度、気圧、空気の流れ等の環境条件が密度推定に与える影響(ノイズ)を最小限にして、アスファルト混合物Aの密度をより精度よく推定することができる。
【0045】
学習済みモデル1001を利用してアスファルト混合物Aの密度を推定する場合は、予め設定された特徴時点P1,P2,P3における反射波W2の強度を特徴量として抽出する。また、アスファルト混合物Aの密度の各々に対応する反射波W2の強度の差が所定の閾値以上となる時点が特徴時点P1,P2,P3として設定される。これにより、反射波W2の強度の経時的変化を示す反射波情報から、アスファルト混合物Aの密度の違いにより影響を受けやすい特徴的なデータを特徴量として抽出することができる。
【0046】
また、学習済みモデル1001を利用してアスファルト混合物Aの密度を推定する場合は、予め設定された特徴期間G1,G2,G3における反射波W2の強度の最大値を特徴量として抽出してもよい。特徴期間G1,G2,G3は、アスファルト混合物Aの密度の各々に対応する反射波W2の強度の最大値の差が所定の閾値以上となるように設定される。これにより、アスファルト混合物Aの密度の違いにより反射波W2の波形(経時的変化)のタイミングにずれが生じる場合であっても、特徴期間G1,G2,G3において推移する電圧値から、アスファルト混合物Aの密度推定に適した特徴量を抽出することができる。
【0047】
また、路面30に向かって発信される電磁波W1の波長は、10~100cm(周波数:300MHz~3GHz)である。電磁波W1の波長が、10~100cmよりも短いミリ波(周波数:30GHz~300GHz/波長:1mm~10mm)やマイクロ波(周波数:3GHz~30GHz/波長:1cm~10cm)の場合は、電磁波W1が路面30の凹凸で乱反射してしまい、受信部3bが適切な反射波W2を受信できないおそれがある。また、電磁波W1の波長が10~100cmよりも長く、周波数が低い場合は、電磁波W1がアスファルト混合物Aを透過してしまうおそれがある。従って、電磁波W1の波長を10~100cm、周波数300MHz~3GHzをとすることにより、受信部3bは、アスファルト混合物Aの密度推定に適した反射波W2を受信することができる。
【0048】
また、転圧機械10の出力装置5のディスプレイは、密度推定装置11の演算部4が推定したアスファルト混合物Aの密度を示す密度推定情報を表示する。これにより、転圧機械10を操作する操作者は、路面30のアスファルト混合物Aの密度が基準密度に達したか否かを確認しながら、アスファルト混合物Aの締固め作業を行うことができる。
【0049】
また、図7(a)に示すように、出力装置5が出力する密度推定情報は、路面30のアスファルト混合物Aの密度分布を示す路面地図Mを含む。これにより、転圧機械10を操作する操作者は、路面30のアスファルト混合物Aの締固め作業の進捗を視覚的に確認しながら、アスファルト混合物Aの締固め作業を行うことができる。
【0050】
また、図7(b)に示すように、密度推定装置11の演算部4は、アスファルト混合物Aの密度に基づいて、路面30での転圧機械10の移動経路Rを設定する。これにより、操作者が移動経路Rに沿って転圧機械10を移動させることにより、密度が基準密度に達していない領域X2の締固め作業を効率よく行うことができる。また、転圧機械10は、自動運転によって移動経路Rに沿って自律的に移動することにより、アスファルト混合物Aの締固め作業を行ってもよい。
【0051】
《第2実施形態》
以下、本発明の第2実施形態に係る密度推定システム100について、図9に基づいて説明する。なお、同一の符号は、同一又は類似の構造を示すものであるため、以下において、その詳細な説明は省略する。
【0052】
密度推定システム100は、路面30を締め固める転圧機械20に取り付けられる電磁波受発信装置3と、電磁波受発信装置3から反射波情報を取得し、反射波情報に基づいてアスファルト混合物Aの密度を推定する演算装置24とを備える。電磁波受発信装置3は、第1実施形態と同様に、路面30に向かって電磁波W1を発信する発信部3aと、路面30から反射した電磁波W1の反射波W2を受信する受信部3bとを有する。演算装置24は、転圧機械20には搭載されておらず、既知の通信手段を介して、転圧機械20との間で情報のやり取りを行うことができる。演算装置24は、クラウドサーバであってもよい。なお、演算装置24は、第1実施形態に係る密度推定装置11の演算部4と同様の方法で、アスファルト混合物Aの密度を推定する。
【0053】
また、密度推定システム100は、電磁波受発信装置3、及び、演算装置24の他に、転圧機械20に搭載される出力装置5と、転圧機械20に搭載されていない第2出力装置25とを有している。第2出力装置25は、路面30の施工現場で用いられる端末であってもよく、施工現場から離れたオペレータ室に設けられるモニターであってもよい。出力装置5は、演算装置24から受信した密度推定情報を出力する。また。第2出力装置25も、既知の通信手段によって、演算装置24から密度推定情報を受信する。第2出力装置25は、ディスプレイに画像情報又は文字情報として密度推定情報を出力する。また、第2出力装置25は、スピーカを有していて、密度推定情報を音声として出力してもよい。また、密度推定情報は、図7(a),(b)に示すように、路面30のアスファルト混合物Aの密度分布を示す路面地図M、及び、路面地図Mに重畳して表示される移動経路Rが表示されていてもよい。
第2出力装置25は、密度推定システム100の出力装置を構成する。密度推定システム100は、出力装置として、出力装置5、及び、第2出力装置25を有しているが、これに限定されず、第2出力装置25のみを有していてもよい。
【0054】
オペレータは、第2出力装置25のディスプレイに表示された密度推定情報を確認しながら、転圧機械20を遠隔操作により制御してもよい。また、転圧機械20は、演算装置24から受信した制御指令に基づいて自動的に制御されてもよい。
【0055】
以上より、本実施形態に係る密度推定システム100は、転圧機械20に取り付けられる電磁波受発信装置3と、電磁波受発信装置3から反射波情報を取得し、反射波情報に基づいて、路面30のアスファルト混合物Aの密度を推定する演算装置とを備える。これにより、第1実施形態に係る密度推定装置11と同様に、密度推定システム100は、短時間で簡易にアスファルト混合物Aの密度を推定することができる。また、施工後のアスファルト混合物Aから試料を切り出さずにアスファルト混合物Aの密度を推定することができるため、路面30の品質を維持することができる。また、密度推定システム100は、敷き均し直後のアスファルト混合物Aが高温の状態であっても、路面30に非接触の状態でアスファルト混合物Aの密度を推定することができる。また、電磁波受発信装置3が転圧機械20に取り付けられていることにより、アスファルト混合物Aの締固め作業を行いながら、アスファルト混合物Aの密度を推定することができる。
【符号の説明】
【0056】
100…密度推定システム
10…転圧機械
1…転圧機械本体
3…電磁波受発信装置
3a…発信部
3b…受信部
4…演算部
5…出力装置
11…密度推定装置
24…演算装置
25…第2出力装置
30…路面
1001…学習済みモデル
1003…教師データ
A…アスファルト混合物
P1,P2,P3…特徴時点
G1,G2,G3…特徴期間
W1…電磁波
W2…反射波
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2021-02-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルト混合物によって形成された路面を締め固める転圧機械であって、
転圧機械本体と、
前記転圧機械本体に取り付けられ、前記路面の前記アスファルト混合物の密度を推定する密度推定装置を備え、
前記密度推定装置は、
前記路面に向かって電磁波を発信する発信部と、
前記路面から反射した前記電磁波の反射波を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記反射波の強度の経時的変化を示す反射波情報に基づいて、前記路面の前記アスファルト混合物の密度を推定する演算部とを有し、
前記演算部は、前記反射波情報から特徴量を抽出し、
前記特徴量を学習済みモデルに入力することにより、前記アスファルト混合物の密度を推定し、
前記学習済みモデルは、前記アスファルト混合物の密度を前記特徴量に対して関連付けた教師データを用いて機械学習されている、転圧機械。
【請求項2】
請求項に記載の転圧機械であって、
前記演算部は、予め設定された少なくとも1つの特徴時点における前記反射波の強度を前記特徴量として抽出する、転圧機械
【請求項3】
請求項に記載の転圧機械であって、
予め取得された少なくとも2つの前記反射波情報に基づいて、前記アスファルト混合物の密度の各々に対応する前記反射波の強度の差が所定の閾値以上となる時点が前記特徴時点として設定される、転圧機械
【請求項4】
請求項に記載の転圧機械であって、
前記演算部は、予め設定された少なくとも1つの特徴期間における前記反射波の強度の最大値を前記特徴量として抽出する、転圧機械
【請求項5】
請求項に記載の転圧機械であって、
予め取得された少なくとも2つの前記反射波情報に基づいて、前記特徴期間において、前記アスファルト混合物の密度の各々に対応する前記反射波の強度の最大値の差が所定の閾値以上となるように、前記特徴期間が設定される、転圧機械
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載の転圧機械であって、
前記路面に向かって発信される前記電磁波の波長は、10~100cmである、転圧機械
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の転圧機械であって、
前記密度推定装置の前記演算部が推定した前記アスファルト混合物の密度を示す密度推定情報を出力する出力装置をさらに備える、転圧機械。
【請求項8】
請求項に記載の転圧機械であって、
前記出力装置が出力する前記密度推定情報は、前記路面の前記アスファルト混合物の密度分布を示す路面地図を含む、転圧機械。
【請求項9】
請求項に記載の転圧機械であって、
前記密度推定装置の前記演算部は、前記アスファルト混合物の密度に基づいて、前記路面での前記転圧機械の移動経路を設定する、転圧機械。
【請求項10】
路面を形成するアスファルト混合物の密度を推定するアスファルト混合物の密度推定システムであって、
前記路面を締め固める転圧機械に取り付けられ、前記路面に向かって電磁波を発信する発信部と、前記路面から反射した前記電磁波の反射波を受信する受信部とを有する電磁波受発信装置と、
前記電磁波受発信装置から前記反射波の強度の経時的変化を示す反射波情報を取得し、前記反射波情報に基づいて、前記路面の前記アスファルト混合物の密度を推定する演算装置とを備え
前記演算装置は、
前記反射波情報から特徴量を抽出し、
前記特徴量を学習済みモデルに入力することにより、前記アスファルト混合物の密度を推定し、
前記学習済みモデルは、前記アスファルト混合物の密度を前記特徴量に対して関連付けた教師データを用いて機械学習されている、アスファルト混合物の密度推定システム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、転圧機械、及び、アスファルト混合物の密度推定システムに関するものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、少ない作業負担で路面を形成するアスファルト混合物の密度を推定することができる転圧機械、及び、アスファルト混合物の密度推定システムを提供することである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
[1]上記課題を解決するために、本発明に係る転圧機械は、アスファルト混合物によって形成された路面を締め固める転圧機械であって、転圧機械本体と、前記転圧機械本体に取り付けられ、前記路面の前記アスファルト混合物の密度を推定する密度推定装置を備え、前記密度推定装置は、前記路面に向かって電磁波を発信する発信部と、前記路面から反射した前記電磁波の反射波を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記反射波の強度の経時的変化を示す反射波情報に基づいて、前記路面の前記アスファルト混合物の密度を推定する演算部とを有し、前記演算部は、前記反射波情報から特徴量を抽出し、前記特徴量を学習済みモデルに入力することにより、前記アスファルト混合物の密度を推定し、前記学習済みモデルは、前記アスファルト混合物の密度を前記特徴量に対して関連付けた教師データを用いて機械学習されている、転圧機械である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
]上記発明において、前記演算部は、予め設定された少なくとも1つの特徴時点における前記反射波の強度を前記特徴量として抽出してもよい。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
]上記発明において、予め取得された少なくとも2つの前記反射波情報に基づいて、前記アスファルト混合物の密度の各々に対応する前記反射波の強度の差が所定の閾値以上となる時点が前記特徴時点として設定されてもよい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
]上記発明において、予め設定された少なくとも1つの特徴期間における前記反射波の強度の最大値を前記特徴量として抽出してもよい。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
]上記発明において、予め取得された少なくとも2つの前記反射波情報に基づいて、前記特徴期間において、前記アスファルト混合物の密度の各々に対応する前記反射波の強度の最大値の差が所定の閾値以上となるように、前記特徴期間が設定されてよい。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
]上記発明において、前記路面に向かって発信される前記電磁波の波長は、10~100cmであってもよい。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
]上記発明において、密度推定装置の前記演算部が推定した前記アスファルト混合物の密度を示す密度推定情報を出力する出力装置をさらに備えてもよい。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
]上記発明において、前記出力装置が出力する密度推定情報は、路面のアスファルト混合物の密度分布を示す路面地図を含んでもよい。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
]上記発明において、前記密度推定装置の前記演算部は、前記アスファルト混合物の密度に基づいて、前記路面での前記転圧機械の移動経路を設定してもよい。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
[1]また、本発明に係るアスファルト混合物の密度推定システムは、路面を形成するアスファルト混合物の密度を推定するものであって、前記路面を締め固める転圧機械に取り付けられ、前記路面に向かって電磁波を発信する発信部と、前記路面から反射した前記電磁波の反射波を受信する受信部とを有する電磁波受発信装置と、前記電磁波受発信装置から前記反射波の強度の経時的変化を示す反射波情報を取得し、前記反射波情報に基づいて、前記路面の前記アスファルト混合物の密度を推定する演算装置とを備え、前記演算装置は、前記反射波情報から特徴量を抽出し、前記特徴量を学習済みモデルに入力することにより、前記アスファルト混合物の密度を推定し、前記学習済みモデルは、前記アスファルト混合物の密度を前記特徴量に対して関連付けた教師データを用いて機械学習されている、アスファルト混合物の密度推定システムである。