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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072644
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】交通流を最適化するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20220510BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20220510BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220510BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20220510BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20220510BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20220510BHJP
【FI】
G08G1/01 D
G08G1/09 F
G08G1/16 A
G16Y10/40
G16Y40/10
G16Y40/30
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020182201
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】000153443
【氏名又は名称】株式会社 日立産業制御ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】織野 真琴
(72)【発明者】
【氏名】穴澤 誠
(72)【発明者】
【氏名】松雪 克哉
(72)【発明者】
【氏名】田口 健一
(72)【発明者】
【氏名】國貞 祐貴
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181DD02
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF12
5H181FF13
5H181LL04
5H181LL09
5H181MB01
5H181MC04
5H181MC12
(57)【要約】
【課題】交通流を最適化できる期待を高める。
【解決手段】道路に関わる複数のインフラ設備に、複数の機器である複数のインフラ機器が備えられる。複数のインフラ機器の各々には、道路上の複数のエリアのうちの少なくとも一つのエリアが対応付けられている。各インフラ機器が、当該インフラ機器に対応した自エリアに進入した車両である対象車両から、対象車両の走行ルートを表す情報を含んだ走行情報を受信する。当該インフラ機器は、自エリア及びその隣のエリアのうちの少なくとも一つのエリアを含み対象車両の走行ルートに従う一つ以上のエリアであるエリア群における他車両(対象車両以外の車両)の走行予定情報を基に対象車両について作成された走行計画に基づき、対象車両の走行制御のための車両制御指令を対象車両に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に関わる複数のインフラ設備に備えられる複数の機器である複数のインフラ機器を備え、
各インフラ機器は、
道路上の複数のエリアのうちの当該インフラ機器に対応した自エリアに進入した車両である対象車両から、当該対象車両の走行ルートを表す情報を含んだ走行情報を受信し、
当該自エリア及びその隣のエリアのうちの少なくとも一つのエリアを含み当該対象車両の走行ルートに従う一つ以上のエリアであるエリア群における他車両の走行予定情報を基に当該対象車両について作成された走行計画に基づき、当該対象車両の走行制御のための車両制御指令を当該対象車両に送信する、
交通流最適化システム。
【請求項2】
前記対象車両の走行計画は、前記対象車両から走行情報を受信したインフラ機器により作成された計画である、
請求項1に記載の交通流最適化システム。
【請求項3】
前記道路は、少なくとも一つの進行方向について複数の走行レーンを含み、
前記自エリアが、前記複数の走行レーンに跨っている場合、前記対象車両の走行計画は、当該複数の走行レーンのうちのいずれの走行レーンを当該対象車両が走行するかを含む計画である、
請求項2に記載の交通流最適化システム。
【請求項4】
前記自エリアが、前記複数の走行レーンに跨っている場合、
当該自エリアに対応したインフラ機器が、一つ以上のセンサであるセンサ群を有しており、
前記走行計画は、当該インフラ機器の前記センサ群により検出された値から当該インフラ機器により推定された、走行レーン毎の路面状態を表す情報に基づき作成される、
請求項3に記載の交通流最適化システム。
【請求項5】
前記作成された走行計画は、下記のうちの少なくとも一つに基づく、
・前記自エリアに進入した車両が速度変更無しに当該車両の走行中の走行レーンを走行したと仮定した場合に当該車両が当該走行レーンを走行中の別の車両に追いつくか否か、
・当該走行中の走行レーンよりも適切な走行レーンが当該自エリアに存在するか否か、
前記自エリアに関し、各走行レーンについて、当該走行レーンの適切さは、下記のうちの少なくとも一つに基づく、
・隣のエリアから当該走行レーンに進入予定の車両があるか否か、
・当該走行レーンの状態が走行不可の状態であるか否か、
・走行レーン減少により当該走行レーンが一部存在しないか否か、
請求項3に記載の交通流最適化システム。
【請求項6】
前記エリア群は、前記自エリアを基点とし前記対象車両の走行ルートに重なる複数のエリアであり、自エリアの他に、自エリアからM番目(Mは自然数)までの下流側のエリアと、自エリアからN番目(Nは自然数)までの上流側のエリアとのうちの少なくとも一方を含む、
請求項1に記載の交通流最適化システム。
【請求項7】
道路に関わる複数のインフラ設備に備えられる複数の機器である複数のインフラ機器のうち、車両の走行ルートを表す情報を含んだ走行情報を自エリアに進入した当該車両である対象車両から受信したインフラ機器が、当該自エリア及びその隣のエリアのうちの少なくとも一つのエリアを含み当該対象車両の走行ルートに従う一つ以上のエリアであるエリア群における他車両の走行予定情報を基に当該対象車両について作成された走行計画に基づき、当該対象車両の走行制御のための車両制御指令を当該対象車両に送信し、
前記複数のインフラ機器の各々は、道路上の複数のエリアのうちの当該インフラ機器に対応した自エリアに進入した車両から走行情報を受信することができるようになっている、
交通流最適化方法。
【請求項8】
道路に関わる複数のインフラ設備に備えられる複数の機器である複数のインフラ機器のいずれかのインフラ機器で実行されるコンピュータプログラムであって当該インフラ機器に、
車両の走行ルートを表す情報を含んだ走行情報を、当該インフラ機器に対応した自エリアに進入した当該車両である対象車両から受信し、
当該自エリア及びその隣のエリアのうちの少なくとも一つのエリアを含み当該対象車両の走行ルートに従う一つ以上のエリアであるエリア群における他車両の走行予定情報を基に当該対象車両について作成された走行計画に基づき、当該対象車両の走行制御のための車両制御指令を当該対象車両に送信する、
ことを実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、道路を走行する車両の走行制御に関する。
【背景技術】
【0002】
交通流の最適化のためには各車両の走行(例えば、走行レーン及び速度)が適切である必要がある。車両の走行制御に関する技術として、例えば、特許文献1に開示の技術が知られている。特許文献1に開示の技術は、優先順位の異なる複数の自律走行車両が同一車線を混在して走行する場合に、優先順位が高い自律走行車両の走行を優先させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-144668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術では、走行順番が単に自律走行車両の優先順位に従い決まるため、交通流の最適化の期待は低い。例えば、特許文献1に開示の技術では、優先順位の異なる複数の自律走行車両が同一車線に混在する場合には優先順位の低い自律走行車両が必ず道を譲ることになるが、各車両の走行ルートや道路状況によっては、優先順位の低い自律走行車両が道を譲らずに優先順位の高い自律走行車両が車線変更して進む方が交通流としては最適になる場合がある。しかし、特許文献1に開示の技術では、そのような制御はできず、故に、交通流の最適化の期待は低い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
道路に関わる複数のインフラ設備に、複数の機器である複数のインフラ機器が備えられる。複数のインフラ機器の各々には、道路上の複数のエリアのうちの少なくとも一つのエリアが対応付けられている。各インフラ機器が、当該インフラ機器に対応した自エリアに進入した車両である対象車両から、対象車両の走行ルートを表す情報を含んだ走行情報を受信する。当該インフラ機器は、自エリア及びその隣のエリアのうちの少なくとも一つのエリアを含み対象車両の走行ルートに従う一つ以上のエリアであるエリア群における他車両(対象車両以外の車両)の走行予定情報を基に対象車両について作成された走行計画に基づき、対象車両の走行制御のための車両制御指令を対象車両に送信する。
【発明の効果】
【0006】
交通流を最適化できる期待が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1の実施形態に係る交通流最適化システムの概略構成図である。
図2】複数の車両の交通流最適化前の走行の一例を示す図である。
図3】複数の車両の交通流最適化後の走行の一例を示す図である。
図4】車両とインフラ機器の動作を示すシーケンス図である。
図5】インフラ機器とサーバの動作を示すシーケンス図である。
図6】進入予定更新処理のフローチャートである。
図7】エリア情報送信処理のフローチャートである。
図8】路面状態更新処理のフローチャートである。
図9】エリア最適化処理のフローチャートである。
図10】交通流最適化の第1の具体例の模式図である。
図11】交通流最適化の第2の具体例の模式図である。
図12】交通流最適化の第2の具体例に対応した路面状態更新処理の概要を表すフローチャートである。
図13】交通流最適化の第2の具体例に対応したエリア最適化処理の概要を表すフローチャートである。
図14】交通流最適化の第3の具体例の模式図である。
図15】交通流最適化の第3の具体例に対応したエリア最適化処理の概要を表すフローチャートである。
図16】本発明の第2の実施形態に係る交通流最適化システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明では、「インターフェース装置」は、1つ以上のインターフェースデバイスでよい。当該1つ以上のインターフェースデバイスは、1つ以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば1つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし2つ以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
【0009】
また、以下の説明では、「メモリ」は、1つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも1つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0010】
また、以下の説明では、「永続記憶装置」は、1つ以上の永続記憶デバイスである。永続記憶デバイスは、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(例えば補助記憶デバイス)であり、具体的には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)である。
【0011】
また、以下の説明では、「記憶装置」は、メモリと永続記憶装置の少なくともメモリでよい。
【0012】
また、以下の説明では、「プロセッサ」は、1つ以上のプロセッサデバイスである。少なくとも1つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスであるが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも1つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも1つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも1つのプロセッサデバイスは、処理の一部又は全部を行うハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0013】
また、以下の説明では、「yyy部」の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、1つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることで実現されてもよいし、1つ以上のハードウェア回路(例えばFPGA又はASIC)によって実現されてもよい。プログラムがプロセッサによって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置及び/又はインターフェース装置等を用いながら行われるため、機能はプロセッサの少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機又は計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が1つの機能にまとめられたり、1つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0014】
また、以下の説明では、同種の要素を区別しないで説明する場合には、参照符号のうちの共通部分(又は、参照符号)を使用し、同種の要素を区別する場合は、参照符号(又は、要素のID)を使用することがある。
[第1の実施形態]
【0015】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る交通流最適化システムの概略構成図である。
【0016】
道路に関し、街灯、信号機、無線通信用ポール、中央分離帯、電柱、ルート案内、標識又は看板といった様々なインフラ設備が存在する。道路の周辺(例えば近辺)に存在する建物も、道路に関わる広義のインフラ設備と解釈されてよい。道路それ自体も、広義のインフラ設備と解釈されてよい。
【0017】
このようなインフラ設備に、車両2から情報を受信し当該車両2に車両制御指令を送信する機器が備えられる。
【0018】
すなわち、交通流最適化システム1は、道路に関わる複数のインフラ設備に備えられる複数の機器である複数のインフラ機器3を備える。複数のインフラ機器3の各々には、道路上の複数のエリアのうちの少なくとも一つのエリアが対応付けられている。言い換えれば、インフラ機器3とエリアは、1:1でもよいし1:n(nは2以上の整数)でもよい。本実施形態では、インフラ機器3とエリアは1:1である。また、「道路上の複数のエリア」は、本実施形態では、道路の長手方向に沿ってシーケンシャルに並んだエリアである。なお、複数のエリアは、進路方向に沿った道路全域を区切ることで得られた複数の区画(例えば、交差点形状の区画、交差点と交差点を結ぶ道路区間を構成する二つ以上の区画)に該当するとしてもよい。エリアとエリアは必ずしも互いに隣接していなくてもよい。例えば、少なくとも一つのエリア間において、エリアとその隣のエリアは互いに一部重複していてもよいし、エリアとその隣のエリアが離れていてもよい。
【0019】
各インフラ機器3は、当該インフラ機器3の自エリアに進入した車両2と通信する。このため、インフラ機器3が備えられるインフラ設備として、自エリアに進入する車両2と当該インフラ機器3が通信可能な程度に近い場所に存在するいずれかの設備が採用されてよい。
【0020】
一つのインフラ機器3を例に取る。インフラ機器3が、自エリアに進入した車両2(以下、車両2のうちインフラ機器3の自エリアに進入した車両2を「対象車両2」と称する)から、対象車両2の走行ルートを表す情報を含んだ走行情報を受信する。インフラ機器3は、自エリア及びその隣のエリアのうちの少なくとも一つのエリアを含み対象車両2の走行ルートに従う一つ以上のエリアであるエリア群における他車両の走行予定情報を基に対象車両2について作成された走行計画に基づき、対象車両2の走行制御のための車両制御指令を対象車両2に送信する。各車両について、「走行予定情報」は、当該車両の予定された走行を表す情報であり、例えば、走行予定の走行レーンのID、車両の速度、車両停止の有無を含む。各車両について、「走行予定情報」は、当該車両の走行計画に基づく情報(例えば、当該走行計画に車両制御指令に従う情報)であってもよい。
【0021】
このように、複数のインフラ設備に備えられた複数のインフラ機器3にそれぞれ道路上のエリアが対応付けられている。インフラ機器3は、対象車両2(自エリアに進入した車両2)から走行ルートを表す情報を含んだ走行情報を受信し、当該走行ルートに従うエリア群の他車両の走行予定情報を基に作成された走行計画に基づく車両制御指令を当該車両2に送信する。当該車両2の走行は、当該車両2が進入するエリアに対応したインフラ機器3からの車両制御指令に従い制御されればよい。このため、各車両2ついて通信遅延が生じる可能性が低く、故に、交通流を最適化できる期待が高まる。
【0022】
以下、交通流最適化システム1を詳細に説明する。
【0023】
交通流最適化システム1は、上述したように、道路に関わる複数のインフラ設備に備えられる複数の機器である複数のインフラ機器3を備える。本実施形態では、交通流最適化システム1は、更に、複数のインフラ機器3と通信可能なサーバ4を備える。各インフラ機器3は、車両2及びサーバ4と通信可能である。各インフラ機器3は、当該インフラ機器3に対応したエリアである自エリアの隣のエリアに関する情報を、サーバ4から受信する。すなわち、サーバ4が、各エリアに関する情報を、当該エリアに対応したインフラ機器3から収集して一元管理しており、各インフラ機器3に、当該インフラ機器3の自エリアの隣のエリアに関する情報を送信する。
【0024】
車両2は、第1通信部7と、ルート管理部5と、走行制御部6とを備える。車両2が一つ以上の機器ユニットを備えていて、これらの要素5~7は、一つの機器ユニットに備えられてもよいし、二つ以上の機器ユニットに備えられてもよい。車両2は、運転手による操作に従い走行する車両でもよいし、運転手の操作の無しに(又は運転手の操作を一部必要として)自律走行可能な車両でもよい。
【0025】
第1通信部7は、一定間隔(例えば、10msec)毎に、走行情報を近距離無線通信(例えば、120m)で送信する。この走行情報は、車両2が存在するエリアに対応したインフラ機器3により受信される。走行情報は、車両2の走行ルートを表す情報を含んだ情報である。具体的には、例えば、走行情報は、走行ルートを表す情報の他に、プローブ情報、車両IDを表す情報、現在時刻(例えば、年月日時分秒)を表す情報、及び、車両2の現在位置を表す情報(例えば、GPS(Global Positioning System)信号により特定された緯度及び経度を表す情報)を含んでよい。プローブ情報は、例えば、車両の速度、アクセル制御値、ブレーキ制御値及びハンドル角度等を表す情報でよい。走行ルートを表す情報は、ルート管理部5から取得された情報である。
【0026】
また、第1通信部7は、インフラ機器3から車両制御指令を受信し、受信した車両制御指令を走行制御部6に出力する。
【0027】
走行制御部6には、インフラ機器3から第1通信部7を通じて受信した車両制御指令に従い、車両2のアクセル、ブレーキ、ハンドル角等を制御することで車両2の走行性を制御する。車両制御指令は、例えば、減速、加速、加減速後の速度、レーン変更、停止等の指令でよい。
【0028】
ルート管理部5は、いわゆるカーナビゲーション機能である。すなわち、ルート管理部5は、図示しない地図データを参照し、車両2の目的地と現在地を基に走行ルートを決定し、車両2の現在位置と、決定された走行ルートを表す情報とを、第1通信部7に出力する。
【0029】
インフラ機器3は、インターフェース装置、記憶装置及びそれらに接続されたプロセッサを備え更にセンサ群12を備えた機器でよい。インフラ機器3は、センサ群12と、レーン管理部11と、走行計画部10と、第2通信部15と、車両管理部9と、第1通信部8とを備える。
【0030】
センサ群12は、一つ以上のセンサである。例えば、センサ群12は、自エリア(インフラ機器3に対応したエリア)を撮影するカメラ13と、自エリアの路面状況を監視する路面センサ14である。路面センサ14は、例えば、走行レーン毎に設けられてもよい。
【0031】
レーン管理部11は、センサ群12からの情報に基づいて自エリアの状態を推定し、推定された自エリア状態を表す情報を走行計画部10に通知する。「自エリア状態」は、例えば、新たに車両2が進入すること、新たに進入する車両2が走行している走行レーンのID、自エリアにおける一つ以上の走行レーンの各々の路面状態、といったことを含んでよい。各走行レーンについて、「路面状態」は、走行レーンにおける障害物(例えば、工事中、事故車等)の有無を含んでよい。
【0032】
車両管理部9は、第1通信部8から各車両2の走行情報を取得し、この走行情報を第2通信部15に出力する。また、車両管理部9は、自エリアの各車両の走行予定情報を第2通信部15に出力する。各車両2について、「走行情報」は、当該車両2から受信した情報でよく、「走行予定情報」は、当該車両2の走行計画に基づく情報であり当該車両2の予定される走行を表す情報(例えば、当該車両2の車両制御指令に従う情報)でよい。第2通信部15は、走行情報及び走行予定情報をサーバ4に送信する。自エリア及びその隣のエリアの各々について、エリアに関する情報は、当該エリアにおける車両2の走行情報及び走行予定情報を含み、更に、当該エリアのIDを含んでもよい。なお、各エリアについて、車両2の退出予定情報(いずれの走行レーンからいつ退出する予定であるかを表す情報)は、当該車両2の走行予定情報に含まれていてよく、退出予定情報は、走行計画を基に決定された情報でもよいし、車両2が当該エリアに進入して当該エリアから退出するまでの間に定期的に当該車両2から受信される走行情報を基に車両管理部9により更新された最新の退出予定を表す情報でもよい。また、各エリアについて、当該エリアの隣のエリアにおける車両毎の退出予定情報を含んだ走行予定情報を基に、当該エリアに進入予定の車両に関する情報(例えば、車両のID(例えば、車載装置のID、車両のナンバー)と、車両の走行レーンのIDとを含んだ情報)が特定されてよい。また、各エリアについて、当該エリアに関する情報は、当該エリアの走行レーン毎の路面状態(例えば、障害物の有無)を表す情報を含んでもよいし、当該エリアに存在する信号機の点灯制御(例えば、いつ何色が点灯するか)を表す情報を含んでもよい。
【0033】
車両管理部9は、自エリア以外の一つ以上のエリア(例えば隣のエリア)に関する情報(サーバ4から第2通信部15を通じて受信した情報)と、自エリアに関する情報(対象車両2(自エリアに新たに進入する車両2)の走行情報と、自エリアに存在する他車両2の走行予定情報)とを走行計画部10に出力する。車両管理部9は、それらの情報を基に走行計画部10により作成された走行計画に基づいて、対象車両2の走行制御のための車両制御指令を決定し、決定した車両制御指令を第1通信部8に出力する。第1通信部8が、その車両制御指令を、対象車両2に送信する。
【0034】
走行計画部10は、自エリアに関する情報と自エリア以外の一つ以上のエリア(例えば隣のエリア)に関する情報とを車両管理部9から取得する。また、走行計画部10は、自エリア状態を表す情報をレーン管理部11から受ける。走行計画部10は、車両管理部9からの情報とレーン管理部11からの情報とに基づき、対象車両2の走行計画を作成する。走行計画部10は、作成された走行計画を車両管理部9に通知する。なお、走行計画部10は、レーン管理部11からの情報(自エリア状態を表す情報)を、車両管理部9に通知してよい。車両管理部9は、自エリアに関する情報として、レーン管理部11からの情報(自エリア状態を表す情報)を含んだ情報を、第2通信部15を通じてサーバ4に送信してもよい。
【0035】
第2通信部15は、サーバ4と通信する。具体的には、第2通信部15は、車両管理部9から取得した情報(典型的には、自エリアに関する情報)をサーバ4に送信する。また、第2通信部15は、サーバ4から情報(典型的には、自エリア以外の一つ以上のエリアに関する情報)を受信し、受信した情報を車両管理部9に通知する。
【0036】
第1通信部8、車両管理部9、走行計画部10、レーン管理部11及び第2通信部15の少なくとも一つにより入出力される情報は、インフラ機器3の記憶装置に格納される。
【0037】
サーバ4は、インターフェース装置、記憶装置及びそれらに接続されたプロセッサを備えた物理的な計算機システム(一つ以上の物理計算機)でもよいし、当該物理的な計算機システム(例えばクラウド基盤)上で実現された論理的な計算機システム(例えば、クラウドコンピューティングシステム)でもよい。サーバ4は、エリア管理部16と、データベース17とを備える。
【0038】
データベース17には、エリア毎に、エリアに関する情報と、エリアに対応したインフラ機器3のIDとが格納されている。
【0039】
エリア管理部16は、各インフラ機器3から、当該インフラ機器3に対応したエリアに関する情報を受信し、当該インフラ機器3に対応した情報として、当該受信した情報をデータベース17に格納する。また、エリア管理部16は、各インフラ機器3に、当該インフラ機器3に対応したエリアの隣のエリアに関する情報をデータベース17から読み出し、読み出した情報を、当該インフラ機器3に送信する。
【0040】
インフラ機器3と車両2の組毎に、「エリア群」は、自エリアを基点とし当該車両2の走行ルートに重なる複数のエリアである。「エリア群」は、自エリアの他に、自エリアからM番目までの下流側のエリア(Mは自然数)と、自エリアからN番目までの上流側のエリア(Nは自然数)とのうちの少なくとも一方を含む。なお、「上流側」とは、進行方向と逆方向側を意味し、「下流側」とは、進行方向と順方向側を意味する。
【0041】
各車両2について、「走行予定情報」は、自エリアにおける予定された走行を表す情報に加えて、自エリアを基点としたエリア群に含まれ自エリアからM番目での下流側のエリアの各々における予定された走行を表す情報を含んでもよい。
【0042】
図2及び図3を参照して、交通流最適化の一例を説明する。
【0043】
インフラ設備21A~21Cにインフラ機器3A~3Cが備えられている。インフラ設備21A~21Cに対応したエリア20A~20Cがある。エリア20の形状及び範囲は、当該エリアに対応したインフラ機器3又はインフラ設備21の位置を基点として任意の形状及び範囲が定義されてよい。各エリア20の形状及び範囲を表す情報が、サーバ4に蓄積されていてもよい。各インフラ機器3に、当該インフラ機器3の自エリアを基点としたエリア群を構成するエリア毎に、エリア20の形状及び範囲を表す情報が蓄積されていてもよい。各エリア20の形状及び範囲は、当該エリア20に対応したインフラ機器3が通信可能な範囲に基づく。
【0044】
図2に示すように、インフラ機器3Aが、エリア20Aに進入した車両2A~2Dの各々から走行情報を受信する。図2が示す例によれば、同一進行方向について2つの走行レーンがある。左側の走行レーンにおいて、車両2Aが車両2Dよりも先を走行している。右側の走行レーンにおいて、車両2Bが車両2Cよりも先を走行している。車両2Aの走行情報が表す走行ルートは、直進し分岐をやがて斜め左方向に進むルートである。車両2Bの走行情報が表す走行ルートは、一つ目の交差点(インフラ設備21Aの近傍の交差点)を右折するルートである。車両2Cの走行情報が表す走行ルートは、直進し分岐をやがて斜め右方向に進むルートである。車両2Dの走行情報が表す走行ルートは、直進し二つ目の交差点(インフラ設備21B近傍の交差点)を左折するルートである。
【0045】
ここで、エリア20Aが自エリアの場合、エリア群は、エリア20Aから2番目までの下流側のエリア(M=2)、すなわち、1番目の下流側のエリア20Bと、2番目の下流側のエリア20Cを含むとする。インフラ機器3Aは、エリア20A~20Cの各々のエリアに関する情報を基に、車両2A~2Dの各々の走行計画を作成し、車両2A~2Dの各々に、当該車両2の走行計画に基づく車両制御指令を送信する。図3が示す例によれば、車両2A~2Dの走行は次のように制御される。すなわち、車両2Aの走行は、車両2Aの走行レーン及び速度は変更されずに維持される。車両2Bは、走行レーンは変更されず一つ目の交差点で右折前に停止される。車両2Dは、走行レーンは変更されず減速される。車両2Cが、停止した車両2Bと減速した車両2Dとの間でレーン変更を行って直進する。そして、車両2Cが、一つ目の交差点を過ぎた後、車両2Aの後方でレーン変更を行って直進する。
【0046】
以上のようにして、エリア20毎に、当該エリア20の交通流が最適化される。結果として、道路全体としての交通流の最適化が期待される。
【0047】
また、各エリア20の交通流の最適化は、当該エリア20に進入した車両2毎に決定されたエリア群に関する情報を基に行われる。各エリア20及び各車両2について、「エリア群」は、当該車両2の走行ルートに重なり当該エリア20の他に当該エリア20からM番目までの下流側のエリアと当該エリア20からN番目までの上流側のエリアとのうちの少なくとも一方を含む。このため、各エリア20について、当該エリア20の他に当該エリア20の下流側のエリアと当該エリア20の上流側のエリアとの少なくとも一方のエリアに関する情報も考慮した交通流最適化が行われる。具体的には、例えば、エリア群が下流側のエリアを含む場合、車両が自エリアから退出し下流側の隣のエリアに進入した直後も当該下流側の隣のエリアにおける最適な交通流の維持が期待される。また、例えば、エリア群が上流側のエリアを含む場合、車両が上流側の隣のエリアから退出し自エリアに進入した直後も自エリアにおける最適な交通流の維持が期待される。
【0048】
また、各車両の走行計画は、サーバ4ではなく、当該車両から走行情報を受信したインフラ機器3により作成されるので、多くの車両の走行計画の作成に関する負荷を、複数のインフラ機器3に分散することができる。
【0049】
また、各車両の走行計画は、複数の走行レーンのうちのいずれの走行レーンを当該車両が走行するかを含む計画である。このため、エリア毎に、当該エリアを走行する車両の走行レーンを最適な走行レーンとすることができる。
【0050】
また、各エリアについて、各車両の走行計画は、当該エリアにおける走行レーン毎の路面状態(インフラ機器3のセンサ群12から取得された値を基に推定された走行レーン毎の路面状態)を基に作成されるので、走行不可の走行レーンを走行対象レーンから除外した最適な走行計画の作成が期待できる。
【0051】
以下、本実施形態で行われる処理の例の詳細を説明する。
【0052】
図4は、車両2とインフラ機器3の動作を示すシーケンス図である。
【0053】
車両2は、一定間隔(例えば、10msec)毎に、走行情報をインフラ機器3に送信する(S101)。例えば、車両2とインフラ機器3間の通信は、近距離無線通信でよい。インフラ機器3は、例えば、定期的に問合せを発信し、当該問合せを受信した車両2から走行情報を受信してもよい。
【0054】
インフラ機器3は、走行情報を受信した場合、走行情報が表す走行ルートに重なるエリア群を決定し、当該エリア群に関する情報をチェックする(S102)。エリア群に関する情報は、例えば、サーバ4から受信しインフラ機器3の記憶装置に格納された情報を含んでよい。エリア群に関する情報は、例えば、自エリアにおける他車両(走行情報の送信元の車両である対象車両以外の車両)の走行予定情報を含む。
【0055】
インフラ機器3は、自エリア内の各走行レーンの路面状態を、センサ群12からの値を基に推定する(S103)。インフラ機器3は、エリア群に関する情報(自エリア内の各走行レーンについてS103で推定された路面状態を表す情報を含む)を基に、対象車両の走行計画を作成し(S104)、当該走行計画に基づく車両制御指令を対象車両に送信する(S105)。なお、S104では、他車両の走行計画が更新されてもよく、S105では、走行計画が更新された他車両に、更新後の走行計画に基づく車両制御指令が送信されてもよい。車両制御指令(例えば、ルート変更、速度調整等)を受信した車両2は、当該車両制御指令に従い、走行を制御する。
【0056】
図5は、インフラ機器3とサーバ4の動作を示すシーケンス図である。
【0057】
各インフラ機器3とサーバ4の間は定期的にS201~S208の処理が行われる。
【0058】
インフラ機器3は、サーバ4に対して、自エリアを含むエリア群に含まれ得るエリアであって、自エリアからM番目までの下流側のエリアと自エリアからN番目までの上流側のエリアとのうちの少なくとも一方のエリアに関する情報を問い合わせる(S201)。当該問合せは、例えば、インフラ機器3のID、問合せ対象のエリア毎のIDを含んでよい。
【0059】
サーバ4は、S201の問合せを受信した場合、当該問合せから特定されるエリアID毎のエリア情報(エリアに関する情報)を、データベース17から取得し、取得したエリア情報を問合せ元のインフラ機器3に応答する(S202)。問合せ対象のエリアが、自エリアよりも上流側の隣のエリアを含んでいれば、当該隣のエリアのエリア情報から、当該隣のエリアを退出し自エリアに進入する予定の車両を特定することができる。問合せ対象のエリアが、自エリアよりも下流側の隣のエリアを含んでいれば、自エリアを一定時間内に退出し当該隣のエリアに進入予定の走行レーンに他車両が存在するか否かを特定できる。なお、本実施形態の説明において、「一定時間内に進入」及び「一定時間内に退出」の「一定時間」は、所定の周期(例えば、走行情報を受信する又は問い合わせる周期)を基に定められた時間(例えば当該周期のP倍(例えばP≧1))でよい。
【0060】
インフラ機器3は、S203で受信したエリア情報を基に、自エリアに関する進入予定情報(例えば、自エリアにおける走行レーン毎に、上流側の隣のエリアから進入する予定の車両のIDと進入予定時刻とを表す情報を含んだ情報)を更新する(S204)。また、インフラ機器3は、自エリア内の各走行レーンの路面状態を、センサ群12からの値を基に推定する(S205)。インフラ機器3は、S204での更新後の情報と、S205で推定された路面状態とを基に、自エリアに関する情報を更新し(S206)、更新後の情報をサーバ4に送信する(S207)。
【0061】
サーバ4は、インフラ機器3の自エリアについてのS206での更新後の情報を受信し、受信した情報をデータベース17に格納する(S208)。これにより、当該インフラ機器3の自エリアに関する最新の情報がサーバ4に蓄積される。
【0062】
図6は、進入予定更新処理のフローチャートである。この処理は、インフラ機器3が行う処理であり、例えば定期的に行われる。
【0063】
インフラ機器3の車両管理部9が、第2通信部15を通じて、自エリアを含むエリア群に含まれ得るエリア(隣のエリアを含む)を指定した問合せをサーバ4に送信し(S301)、当該問合せに応答して、指定したエリアに関する情報をサーバ4から取得する(S302)。
【0064】
車両管理部9が、S302で取得された情報を参照し、自エリアにおける走行レーン毎に、隣のエリアから自エリアの当該走行レーンに一定時間内に進入予定の車両があるか否かを判定する(S303)。
【0065】
車両管理部9は、S303の判定の結果、少なくとも一つの走行レーンに進入予定の車両があれば(S303:YES)、当該走行レーンのIDと、当該走行レーンに進入予定の車両のIDと、当該車両の進入予定時刻とを含んだ進入予定情報を、インフラ機器3の記憶装置に格納する(S304)。当該進入予定情報は、自エリアに関する情報の一部である。
【0066】
図7は、エリア情報送信処理のフローチャートである。この処理は、インフラ機器3が行う処理であり、例えば定期的に行われる。
【0067】
インフラ機器3の車両管理部9が、自エリアに関する情報要素(例えば、走行中の車両及び退出レーン、退出予定時間等を表す情報)を集約し(S401)、集約された複数の情報要素の集合を、自エリアに関する情報として、サーバ4に送信する(S402)。
【0068】
図8は、路面状態更新処理のフローチャートである。この処理は、インフラ機器3が行う処理であり、例えば定期的に行われる。
【0069】
インフラ機器3のレーン管理部11が、センサ群12から値を取得する(S501)。レーン管理部11が、S501で取得された値を基に、各走行レーンについて当該走行レーンは走行可能か否か判定する(S502)。
【0070】
S502の判定の結果、少なくとも一つの走行レーンについて障害物が存在する等の理由により走行不可が検出された場合(S502:NO)、レーン管理部11が、当該走行レーンの路面状態が走行不可であると更新する(S503)。具体的には、例えば、インフラ機器3の記憶装置に、各走行レーンについて、路面状態を表す情報が格納されており、走行不可が検出された走行レーンについて、路面状態を表す情報が、走行不可を表す情報に更新される。走行レーンが「走行不可」とされる理由は、障害物の検出に限られないでよい(例えば、路面凍結が検出された場合も走行レーンが「走行不可」とされてよい)。
【0071】
各走行レーンの路面状態を表す情報も、図7のS401で集約される情報要素に該当し、故に、自エリアに関する情報に含まれる。各走行レーンの路面状態を表す情報は、車両の走行計画の作成の際に参照される。
【0072】
図9は、エリア最適化処理のフローチャートである。
【0073】
インフラ機器3の第1通信部8が、自エリアに進入した車両2から走行情報を受信する(S601)。
【0074】
次に、車両管理部9は、S601で受信した走行情報が表す走行ルートが重なり自エリアを含むエリア群に関する情報を走行計画部10に出力する(S602)。エリア群のうちの自エリアに関する情報は、インフラ機器3内で集約された情報要素の集合でよく、エリア群のうちの他エリアに関する情報は、サーバ4から取得された情報でよい。いずれの複数のエリアが走行ルートに重なるかを特定するために、複数のエリアを表す情報(例えば、エリア毎の形状及び範囲を表し緯度経度を含んだ情報)がインフラ機器3に記憶されていてよい。
【0075】
走行計画部10は、自エリアにおける走行レーン毎の路面状態を表す情報をレーン管理部11から取得し、当該情報を基に、走行可能な走行レーンを特定する(S603)。走行計画部10は、S603で特定された走行可能な走行レーンと、S602で車両管理部9から出力された情報(エリア群に関する情報)とを基に、S601で受信された走行情報の送信元の車両についての走行計画の作成を開始する(S604)。具体的には、S605~S611を含む処理である走行計画作成処理が開始される。
【0076】
すなわち、走行計画部10は、対象車両が現在の速度で現在の走行レーンを走行した場合に当該走行レーンを走行する前方の車両に一定時間内に追いつくか否かを判定する(S605)。
【0077】
S605の判定結果が真の場合(S605:YES)、走行計画部10は、対象車両の進行方向について他により適した他レーンが存在するか否かを判定する(S606)。S606の判定結果が真の場合(S606:YES)、走行計画部10は、対象車両のレーン変更を含んだ走行計画を作成する(S608)。一方、S606の判定結果が偽の場合(S606:NO)、走行計画部10は、対象車両の現在の走行レーンでの減速を含む走行計画を作成する(S609)。
【0078】
S605の判定結果が偽の場合(S605:NO)、走行計画部10は、対象車両の進行方向について対象車両の現在の走行レーンが最適であるかど否かを判定する(S607)。S607の判定結果が真の場合(S607:YES)、走行計画部10は、対象車両の現在の走行を維持すること(例えば、速度と走行レーンは現状のままであること)を含む走行計画を作成する(S610)。一方、S607の判定結果が偽の場合(S607:NO)、走行計画部10は、対象車両のレーン変更を含む走行計画を作成する(S611)。
【0079】
S608~S611の後、走行計画部10は、作成した走行計画を車両管理部9に出力し、車両管理部9が、当該走行計画に基づく車両制御指令を記憶装置に格納する(S612)。第1通信部8が、S612で格納された車両制御指令を対象車両に送信する(S613)。
【0080】
以下、本実施形態における交通流最適化の幾つかの具体例を説明する。
【0081】
図10は、交通流最適化の第1の具体例の模式図である。
【0082】
第1の具体例によれば、信号機の無いT字路を含む道路について交通流最適化が行われる。第1の具体例では、交通流最適化前は、例えば下記の通りである。
・自エリア20Gに関し、走行中の車両として車両2F~2Hがある。車両2Fが、左側の走行レーンを直進して退出予定である。車両2Gが、車両2Fの後方を、左側走行レーンを直進して退出予定である。車両2Hが、右側走行レーンを右折して退出予定である。
・自エリア20Gに関し、自エリア20Gの上流側の隣のエリア20Hから進入予定の車両2Jがある。車両2Jは、エリア20Hを左折により退出してエリア20Gの左側走行レーンに進入予定である。
・自エリア20Gに関し、自エリア20Gの上流側の隣のエリア20Fから進入予定の車両2Kがある。車両2Kは、エリア20Fを直進により退出してエリア20Gの右側走行レーンに進入予定である。
【0083】
第1の具体例に従う交通流最適化によれば、例えば下記の通りである。
・車両2Jは、エリア20Gの左側走行レーンへ進入しその後右折のために右側走行レーンへのレーン変更の必要があるが、事前に周辺車両2F~2Hの各々の走行予定情報がわかっているため、車両2Jに適切なタイミングで左側走行レーンへの進入するための車両制御指令を車両2Jに送信することができる。
・車両2Kは右側走行レーンに居続けた場合、車両2Hの右折の影響を受けるが、事前に周辺車両2F~2Hの走行予定情報がわかっているため、車両2Kの左側走行レーンへのレーン変更を行うための車両制御指令を車両2Kに送信することができる。
・車両2Kの走行計画が左側走行レーンへレーン変更する走行計画となる場合、車両2K及び車両2Jのうちの一方の走行計画を、車両2Jの左側走行レーンへの進入と異なるタイミングで車両2Kが左側走行レーンへのレーン変更を行う走行計画に変更することができる。
【0084】
図11は、交通流最適化の第2の具体例の模式図である。
【0085】
第2の具体例によれば、同一進行方向につき一走行レーンの道路において、車両2Pの走行レーンでありエリア20P内に障害物(例えば工事又は事故車)43がある。一比較例によれば、車両2Pは一般に障害物43の手前で停止することになるが、本具体例によれば、エリア20Pに対応したインフラ機器3から車両2P及び対向車両2Qの各々に対する車両制御指令に従い、車両2P及び対向車両2Qのいずれも、停止することなく且つ互いに衝突することなく走行を継続することが期待できる。
【0086】
図12は、第2の具体例に対応した路面状態更新処理の概要を表すフローチャートである。
【0087】
インフラ機器3のレーン管理部11が、センサ群12から値を取得し(S701)、当該値に基づいて、左側走行レーンの障害物を検出する(S702)。レーン管理部11は、左側走行レーンの路面状態を走行不可として管理する(S703)。
【0088】
図13は、第3の具体例に対応したエリア最適化処理の概要を表すフローチャートである。
【0089】
図11に示した車両2Pが対象車両であるとする。車両2Pについて、図9のS601~S603が行われる(S801~S803)。そして、図9のS604~S611の概要として、S804及びS805が行われる。すなわち、走行計画部10が、対向車両2Qの走行予定情報を基に、車両2Pのレーン変更タイミングとして、対向車両2Qと衝突することの無いレーン変更タイミング(例えば、障害物43より所定距離手前のレーン変更位置にてレーン変更したときには対向車両2Qが既に車両2Pの後方を走行しているタイミング)を決定する(S804)。走行計画部10が、当該レーン変更位置にてレーン変更を行うための加速又は減速といった速度調整と、S804で決定されたレーン変更タイミング(例えば、レーン変更時刻)とを含んだ走行計画を作成する(S805)。その後、図9のS612及びS613が行われる(S806及びS807)。
【0090】
図14は、交通流最適化の第3の具体例の模式図である。
【0091】
第3の具体例によれば、エリア20Rにおいて、走行レーン幅が減少することでやがて二つの走行レーンが一つの走行レーンが一つになるが、このような場合、車両2R~2Tが一斉に当該一つの走行レーンに進入することを防ぐことができる。
【0092】
図15は、交通流最適化の第3の具体例に対応したエリア最適化処理の概要を表すフローチャートである。
【0093】
図14に示した車両2Sが対象車両であるとする。車両2Sについて、図9のS601~S602が行われる(S901~S902)。そして、図9のS603~S611の概要として、S903及びS904が行われる。すなわち、走行計画部10が、車両2R及び2Tの各々の走行予定情報を基に、車両2Sのレーン変更タイミングとして、車両2Sが右側走行レーンにおける車両2Rと車両2Tとの間に位置するレーン変更タイミングを決定する(S903)。車両2Rと車両2Tの間に車両2Sを位置させる理由は、車両2Rは車両2Sよりも前方にあり車両2Tは車両2Sよりも後方にあるためである。走行計画部10が、S903で決定したレーン変更タイミングと、車両2Sの加速とを含む走行計画を作成する(S904)。その後、図9のS612及びS613が行われる(S905及びS906)。なお、この一連の処理に関し、車両2Rの走行計画(走行予定情報)が、車両2Rの加速を含む走行計画に変更されることと、車両2Tの走行計画(走行予定情報)が、車両2Sの減速を含む走行計画に変更されることとの少なくとも一つが行われてよく、以って、車両2Rと車両2T間の距離がより長くされて、車両Sの右側走行レーンへのレーン変更が行い易くする制御が行われてよい。
【0094】
図9図15を参照した説明によれば、走行計画は、下記のうちの少なくとも一つに基づく。
・自エリアに進入した車両が速度変更無しに当該車両の走行中の走行レーンを走行したと仮定した場合に当該車両が当該走行レーンを走行中の別の車両に追いつくか否か。
・当該走行中の走行レーンよりも適切な走行レーンが当該自エリアに存在するか否か。
【0095】
また、自エリアに関し、各走行レーンについて、当該走行レーンの適切さは、下記のうちの少なくとも一つに基づく。
・隣のエリアから当該走行レーンに進入予定の車両があるか否か。
・当該走行レーンの状態が走行不可の状態であるか否か。
・走行レーン減少により当該走行レーンが一部存在しないか否か。
【0096】
このような処理ロジックにより、適切なレーンと適切なレーン変更タイミングとに従う走行計画の作成が期待でき、以って、交通流最適化に貢献することができる。
[第2の実施形態]
【0097】
第2の実施形態を説明する。その際、第1の実施形態との相違点を主に説明し、第1の実施形態の共通点については説明を省略又は簡略する。
【0098】
図16は、本発明の第2の実施形態に係る交通流最適化システムの概略構成図である。
【0099】
第2の実施形態によれば、各インフラ機器3は、自エリア以外のエリアに関する情報を、サーバ4に代えて(又は加えて)、当該エリアに対応したインフラ機器3から取得する。具体的には、例えば、インフラ機器3の第2通信部63同士が通信することで、エリアに関する情報の送受信が行われる。
【0100】
以上、幾つかの実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施形態の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。例えば、各インフラ機器3が、自エリアを走行する車両の走行計画を作成することに代えて又は加えて、サーバ4が、各エリアについて、当該エリアを走行する車両の走行計画を作成してもよい。この場合、サーバ4は、インフラ機器3に、当該インフラ機器3の自エリアについて作成された走行計画を表す情報を送信してもよいし、車両の車両制御指令を生成しインフラ機器3を通じて当該車両制御指令を当該車両に送信してもよい。
【符号の説明】
【0101】
1…交通流最適化システム、2…車両、3…インフラ機器、4…サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2021-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に関わる複数のインフラ設備に備えられる複数の機器である複数のインフラ機器を備え、
各インフラ機器は、
道路における交差点及び交差点間の道路区間上の複数のエリアのうちの当該インフラ機器に対応したエリアである自エリアに進入した車両である対象車両から、当該対象車両の走行ルートを表す情報を含んだ走行情報を受信し、
当該自エリア及びその隣のエリアをむ二つ以上のエリアにおける他車両の走行予定情報を基に当該対象車両について作成された走行計画に基づき、当該対象車両の走行制御のための車両制御指令を当該対象車両に送信
前記二つ以上のエリアは、前記自エリアを基点とし前記受信した走行情報が表す走行ルートに重なる前記自エリアからM番目(Mは自然数)までの下流側のエリアを含み、
前記他車両の走行予定情報は、当該他車両が進入したエリアからM番目までの下流側のエリアの各々における予定された走行を表す情報を含む、
交通流最適化システム。
【請求項2】
前記対象車両の走行計画は、前記対象車両から走行情報を受信したインフラ機器により作成された計画である、
請求項1に記載の交通流最適化システム。
【請求項3】
前記道路は、少なくとも一つの進行方向について複数の走行レーンを含み、
前記自エリアが、前記複数の走行レーンに跨っている場合、前記対象車両の走行計画は、当該複数の走行レーンのうちのいずれの走行レーンを当該対象車両が走行するかを含む計画である、
請求項2に記載の交通流最適化システム。
【請求項4】
前記自エリアが、前記複数の走行レーンに跨っている場合、
当該自エリアに対応したインフラ機器が、一つ以上のセンサであるセンサ群を有しており、
前記走行計画は、当該インフラ機器の前記センサ群により検出された値から当該インフラ機器により推定された、走行レーン毎の路面状態を表す情報に基づき作成される、
請求項3に記載の交通流最適化システム。
【請求項5】
前記作成された走行計画は、下記のうちの少なくとも一つに基づく、
・前記自エリアに進入した車両が速度変更無しに当該車両の走行中の走行レーンを走行したと仮定した場合に当該車両が当該走行レーンを走行中の別の車両に追いつくか否か、
・当該走行中の走行レーンよりも適切な走行レーンが当該自エリアに存在するか否か、
前記自エリアに関し、各走行レーンについて、当該走行レーンの適切さは、下記のうちの少なくとも一つに基づく、
・隣のエリアから当該走行レーンに進入予定の車両があるか否か、
・当該走行レーンの状態が走行不可の状態であるか否か、
・走行レーン減少により当該走行レーンが一部存在しないか否か、
請求項3に記載の交通流最適化システム。
【請求項6】
前記二つ以上のエリアは、前記自エリアからN番目(Nは自然数)までの上流側のエリアを含む、
請求項1に記載の交通流最適化システム。
【請求項7】
道路に関わる複数のインフラ設備に備えられる複数の機器である複数のインフラ機器のうち、車両の走行ルートを表す情報を含んだ走行情報を自エリアに進入した当該車両である対象車両から受信したインフラ機器が、道路における交差点及び交差点間の道路区間上の複数のエリアのうちの当該自エリア及びその隣のエリアをむ二つ以上のエリアにおける他車両の走行予定情報を基に当該対象車両について作成された走行計画に基づき、当該対象車両の走行制御のための車両制御指令を当該対象車両に送信し、
前記二つ以上のエリアは、前記自エリアを基点とし前記受信した走行情報が表す走行ルートに重なる前記自エリアからM番目(Mは自然数)までの下流側のエリアを含み、
前記他車両の走行予定情報は、当該他車両が進入したエリアからM番目までの下流側のエリアの各々における予定された走行を表す情報を含み、
前記複数のインフラ機器の各々は、道路における交差点及び交差点間の道路区間上の複数のエリアのうちの当該インフラ機器に対応したエリアである自エリアに進入した車両から走行情報を受信することができるようになっている、
交通流最適化方法。
【請求項8】
道路に関わる複数のインフラ設備に備えられる複数の機器である複数のインフラ機器のいずれかのインフラ機器で実行されるコンピュータプログラムであって当該インフラ機器に、
車両の走行ルートを表す情報を含んだ走行情報を、道路における交差点及び交差点間の道路区間上の複数のエリアのうちの当該インフラ機器に対応したエリアである自エリアに進入した当該車両である対象車両から受信し、
当該自エリア及びその隣のエリアをむ二つ以上のエリアにおける他車両の走行予定情報を基に当該対象車両について作成された走行計画に基づき、当該対象車両の走行制御のための車両制御指令を当該対象車両に送信する、
ことを実行させ
前記二つ以上のエリアは、前記自エリアを基点とし前記受信した走行情報が表す走行ルートに重なる前記自エリアからM番目(Mは自然数)までの下流側のエリアを含み、
前記他車両の走行予定情報は、当該他車両が進入したエリアからM番目までの下流側のエリアの各々における予定された走行を表す情報を含む、
コンピュータプログラム。
【手続補正書】
【提出日】2021-08-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に関わる複数のインフラ設備に備えられる複数の機器である複数のインフラ機器を備え、
交差点と交差点間の道路区間とを含んだ道路全体の長手方向に沿ってシーケンシャルに並んだ複数のエリアがあり、
前記複数のインフラ機器の各々について、当該インフラ機器に対応したエリアである自エリアがあり、
各インフラ機器は、
前記複数のエリアのうちの該インフラ機器自エリアに進入した車両である対象車両から、当該対象車両の走行ルートを表す情報を含んだ走行情報を受信し、
当該自エリアその隣のエリアを含む二つ以上のエリアに存在する他車両の走行予定情報を基に当該対象車両について作成された走行計画に基づき、当該対象車両の走行制御のための車両制御指令を当該対象車両に送信し、
当該インフラ機器における前記他車両の走行予定情報は、当該インフラ機器が受信した情報であり、
前記二つ以上のエリアは、前記自エリアを基点とし前記受信した走行情報が表す走行ルートに重なる前記自エリアからM番目(Mは自然数)までの下流側のエリアを含み、当該下流側とは、前記対象車両の走行ルートに対して進行方向と順方向側のことであり、
前記他車両の走行予定情報は、当該他車両の走行計画に基づく情報であって当該他車両に送信された車両制御指令に従う情報であり、当該他車両が進入したエリアからM番目までの下流側のエリアの各々における当該他車両の予定された走行を表す情報を含当該他車両が進入したエリアを自エリアとしたインフラ機器から送信された情報であり、当該下流側とは、当該他車両の走行ルートに対して進行方向と順方向側のことである、
交通流最適化システム。
【請求項2】
前記対象車両の走行計画は、前記対象車両から走行情報を受信したインフラ機器により作成された計画である、
請求項1に記載の交通流最適化システム。
【請求項3】
前記道路は、少なくとも一つの進行方向について複数の走行レーンを含み、
前記自エリアが、前記複数の走行レーンに跨っている場合、前記対象車両の走行計画は、当該複数の走行レーンのうちのいずれの走行レーンを当該対象車両が走行するかを含む計画である、
請求項2に記載の交通流最適化システム。
【請求項4】
前記自エリアが、前記複数の走行レーンに跨っている場合、
当該自エリアに対応したインフラ機器が、一つ以上のセンサであるセンサ群を有しており、
前記走行計画は、当該インフラ機器の前記センサ群により検出された値から当該インフラ機器により推定された、走行レーン毎の路面状態を表す情報に基づき作成される、
請求項3に記載の交通流最適化システム。
【請求項5】
前記作成された走行計画は、下記のうちの少なくとも一つに基づく、
・前記自エリアに進入した車両が速度変更無しに当該車両の走行中の走行レーンを走行したと仮定した場合に当該車両が当該走行レーンを走行中の別の車両に追いつくか否か、
・当該走行中の走行レーンよりも適切な走行レーンが当該自エリアに存在するか否か、
前記自エリアに関し、各走行レーンについて、当該走行レーンの適切さは、下記のうちの少なくとも一つに基づく、
・隣のエリアから当該走行レーンに進入予定の車両があるか否か、
・当該走行レーンの状態が走行不可の状態であるか否か、
・走行レーン減少により当該走行レーンが一部存在しないか否か、
請求項3に記載の交通流最適化システム。
【請求項6】
前記二つ以上のエリアは、前記自エリアからN番目(Nは自然数)までの上流側のエリアを含む、
請求項1に記載の交通流最適化システム。
【請求項7】
道路に関わる複数のインフラ設備に備えられる複数の機器である複数のインフラ機器のうち、車両の走行ルートを表す情報を含んだ走行情報を自エリアに進入した当該車両である対象車両から受信したインフラ機器が、当該自エリアその隣のエリアを含む二つ以上のエリアに存在する他車両の走行予定情報を基に当該対象車両について作成された走行計画に基づき、当該対象車両の走行制御のための車両制御指令を当該対象車両に送信し、
当該インフラ機器における前記他車両の走行予定情報は、当該インフラ機器が受信した情報であり、
前記複数のインフラ機器の各々について、当該インフラ機器に対応したエリアである自エリアがあり、
前記二つ以上のエリアは、前記自エリアを基点とし前記受信した走行情報が表す走行ルートに重なる前記自エリアからM番目(Mは自然数)までの下流側のエリアを含み、当該下流側とは、前記対象車両の走行ルートに対して進行方向と順方向側のことであり、
前記他車両の走行予定情報は、当該他車両の走行計画に基づく情報であって当該他車両に送信された車両制御指令に従う情報であり、当該他車両が進入したエリアからM番目までの下流側のエリアの各々における予定された走行を表す情報を含み、当該他車両が進入したエリアを自エリアとしたインフラ機器から送信された情報であり、当該下流側とは、当該他車両の走行ルートに対して進行方向と順方向側のことであり、
交差点と交差点間の道路区間とを含んだ道路全体の長手方向に沿ってシーケンシャルに並んだ複数のエリアがあり、
前記複数のインフラ機器の各々について、当該インフラ機器に対応したエリアである自エリアがあり、
前記複数のインフラ機器の各々は、前記複数のエリアのうちの当該インフラ機器自エリアに進入した車両から走行情報を受信することができるようになっている、
交通流最適化方法。
【請求項8】
道路に関わる複数のインフラ設備に備えられる複数の機器である複数のインフラ機器のいずれかのインフラ機器で実行されるコンピュータプログラムであって当該インフラ機器に、
車両の走行ルートを表す情報を含んだ走行情報を当該インフラ機器自エリアに進入した当該車両である対象車両から受信し、
当該自エリア及びその隣のエリアを含む二つ以上のエリアに存在する他車両の走行予定情報を基に当該対象車両について作成された走行計画に基づき、当該対象車両の走行制御のための車両制御指令を当該対象車両に送信する、
ことを実行させ、
当該インフラ機器における前記他車両の走行予定情報は、当該インフラ機器が受信した情報であり、
交差点と交差点間の道路区間とを含んだ道路全体の長手方向に沿ってシーケンシャルに並んだ複数のエリアがあり、
前記複数のインフラ機器の各々について、当該インフラ機器に対応したエリアである自エリアがあり、
前記二つ以上のエリアは、前記自エリアを基点とし前記受信した走行情報が表す走行ルートに重なる前記自エリアからM番目(Mは自然数)までの下流側のエリアを含み、当該下流側とは、前記対象車両の走行ルートに対して進行方向と順方向側のことであり、
前記他車両の走行予定情報は、当該他車両の走行計画に基づく情報であって当該他車両に送信された車両制御指令に従う情報であり、当該他車両が進入したエリアからM番目までの下流側のエリアの各々における当該他車両の予定された走行を表す情報を含み、当該他車両が進入したエリアを自エリアとしたインフラ機器から送信された情報であり、当該下流側とは、当該他車両の走行ルートに対して進行方向と順方向側のことである、
コンピュータプログラム。