(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072671
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】ラチェットレンチハンドル
(51)【国際特許分類】
B25B 13/46 20060101AFI20220510BHJP
【FI】
B25B13/46 C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020182236
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】390003436
【氏名又は名称】株式会社山下工業研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】内藤 孝道
(57)【要約】
【課題】工具回転時のトルクを低下させず、ハンドルヘッドも大型化させずにハンドルの振り幅も小さくして従来の物より高性能かつ高品質で作業性も向上させる。
【解決手段】作動片9をラチェット歯6に対向して噛合するラチェット歯6側には正転用作動歯9a1および逆転用作動歯9a2が設けられたツメ体9aと、切換え駒14が係合するカム縁16が設けられる一方、そのカム縁16とは組付けボルト10を介し反対側には、ツメ体9aの切換え駒14側に当接する受け体9bとに分割して構成し、回転体3のラチェット歯6にツメ体9aの正転用作動歯9a1に噛合させてアダプターtを正転方向に回転させる場合は、ツメ体9aの正転用作動歯9a1とツメ体9aの第1正転用ツメ体側傾斜面9a3とによる楔効果によって回転体3の回転が止まってアダプターtを正転方向に回転させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作ハンドル先端のハンドルヘッドに、アダプターの接続部を備えた回転体を設け、切換え駒の操作により前記回転体の周側に連続させて設けたラチェット歯に作動片に設けた正転用作動歯と逆転用作動歯のいずれか一方を選択的に噛合させて前記操作ハンドルを正転方向又は逆転方向に回転させるようにしたラチェットレンチハンドルであって、
前記作動片は、
前記ラチェット歯に対向して噛合するラチェット歯側には、前記正転用作動歯および逆転用作動歯が設けられたツメ体と、
前記ハンドルヘッドに組付けボルトを介し回動可能に取り付けられ、前記切換え駒が係合するカム縁が設けられる一方、そのカム縁とは前記組付けボルトを介し反対側には、前記ツメ体の前記切換え駒側に当接する受け体とに分割して構成され、
前記ツメ体の前記正転用作動歯および逆転用作動歯の反対側となる切換え駒側には、前記正転用作動歯および逆転用作動歯にそれぞれ対向する正転用ツメ体側傾斜面と逆転用ツメ体側傾斜面とが設けられ、その正転用ツメ体側傾斜面および逆転用ツメ体側傾斜面は、それぞれ、当該ツメ体の中心から離れるに従って前記正転用作動歯および逆転用作動歯との間隔が徐々に広がるよう傾斜して形成されている一方、
前記受け体のツメ体側には、前記操作ハンドルを正転方向又は逆転方向に回転させる際に前記正転用ツメ体側傾斜面と逆転用ツメ体側傾斜面とにそれぞれ当接する正転用受け体側傾斜面と逆転用受け体側傾斜面とが設けられていることを特徴とするラチェットレンチハンドル。
【請求項2】
請求項1記載のラチェットレンチハンドルにおいて、さらに、
前記ツメ体の切換え駒側における前記正転用ツメ体側傾斜面側には、前記操作ハンドルの逆転方向の空転時に前記受け体を押圧して前記ツメ体と前記受け体とを一体で空転させるための逆転空転時ツメ体側押圧面が設けられている一方、前記ツメ体の切換え駒側における前記逆転用ツメ体側傾斜面側には、前記操作ハンドルの正転方向の空転時に前記受け体を押圧して前記ツメ体と前記受け体とを一体で空転させるための正転空転時ツメ体側押圧面が設けられ、
前記受け体のツメ体側における前記正転用受け体側傾斜面側には、前記操作ハンドルの逆転方向の空転時に前記逆転空転時ツメ体側押圧面に押圧されて前記ツメ体と前記受け体とを一体で空転させるための逆転空転時受け体側押圧面が設けられている一方、前記受け体のツメ体側における前記逆転用受け体側傾斜面側には、前記操作ハンドルの正転方向の空転時に前記正転空転時ツメ体側押圧面に押圧されて前記ツメ体と前記受け体とを一体で空転させるための逆転空転時受け体側押圧面が設けられていることを特徴とするラチェットレンチハンドル。
【請求項3】
請求項2記載のラチェットレンチハンドルにおいて、
前記正転用ツメ体側傾斜面と前記正転空転時ツメ体側押圧面とがなす角度、前記逆転用ツメ体側傾斜面と前記逆転空転時ツメ体側押圧面とがなす角度、前記正転用受け体側傾斜面と前記逆転空転時受け体側押圧面とがなす角度、および前記逆転用受け体側傾斜面と前記正転空転時受け体側押圧面とがなす角度は、それぞれ、90度より大で、かつ、180度より小さい鈍角であることを特徴とするラチェットレンチハンドル。
【請求項4】
請求項2または請求項3記載のラチェットレンチハンドルにおいて、
前記正転用ツメ体側傾斜面、前記逆転用ツメ体側傾斜面、前記正転用受け体側傾斜面、および前記逆転用受け体側傾斜面は、それぞれ、前記逆転空転時ツメ体側押圧面、前記正転空転時ツメ体側押圧面、前記逆転空転時受け体側押圧面、および前記正転空転時受け体側押圧面によって分割されており、分割された前記正転用ツメ体側傾斜面、前記逆転用ツメ体側傾斜面、前記正転用受け体側傾斜面、および前記逆転用受け体側傾斜面は、それぞれ前記逆転空転時ツメ体側押圧面、前記正転空転時ツメ体側押圧面、前記逆転空転時受け体側押圧面、および前記正転空転時受け体側押圧面の内側となるそれぞれの傾斜面よりも外側となるそれぞれの傾斜面の方が水平に近い角度であることを特徴とするラチェットレンチハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドルヘッドに設けた回転体にアダプター(ソケット)を組付けて、ボルトを締付けたり、緩めたりするために用いるラチェットレンチハンドルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハンドルヘッドに設けた回転体にアダプター(ソケット)を組付けて、ボルトを締付けたり、緩めたりするラチェットレンチハンドルとして、例えば、
図10に示す構成のラチェットレンチハンドルA’(特許文献1参照。)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記特許文献1のラチェットレンチハンドルA’では、その歯数が例えば36枚程度と少ないため、後述する
図6に示すようにラチェット歯6’の1つの山(1歯)が作動片に設けた正転用作動歯または逆転用作動歯のいずれか一方の1つの山(1歯)を乗り越えるためにハンドル1’を10度程度大きく振る必要があった。
【0005】
そのため、前記特許文献1のラチェットレンチハンドルA’において回転体3’のラチェット歯6’および作動片9’の正転用作動歯および逆転用作動歯の歯数を2倍近く増やすことも試みたが、前記特許文献1のラチェットレンチハンドルA’では、
図10に示すように回転体の回転トルクをそのラチェット歯6’から作動片9’の歯で受けてハンドルヘッド1a’の組み付けボルト10’より切換え駒14’側のハンドルヘッド1a’で受けるように構成しているため、36枚歯が限界で、これ以上、回転体3’のラチェット歯6’および作動片9’の正転用作動歯および逆転用作動歯の歯数を増やすと、歯自体が細かくなり、回転体3’のラチェット歯6’と作動片9’の正転用作動歯および逆転用作動歯とが滑り易くなるという別の問題が発生した。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、工具回転時のトルクを低下させず、ハンドルヘッドも大型化させずにハンドルの振り幅も小さくして従来の物より高性能かつ高品質で作業性も向上させることができるラチェットレンチハンドルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドルは、操作ハンドル先端のハンドルヘッドに、アダプターの接続部を備えた回転体を設け、切換え駒の操作により前記回転体の周側に連続させて設けたラチェット歯に作動片に設けた正転用作動歯と逆転用作動歯のいずれか一方を選択的に噛合させて前記操作ハンドルを正転方向又は逆転方向に回転させるようにしたラチェットレンチハンドルであって、前記作動片は、前記ラチェット歯に対向して噛合するラチェット歯側には、前記正転用作動歯および逆転用作動歯が設けられたツメ体と、前記ハンドルヘッドに組付けボルトを介し回動可能に取り付けられ、前記切換え駒が係合するカム縁が設けられる一方、そのカム縁とは前記組付けボルトを介し反対側には、前記ツメ体の前記切換え駒側に当接する受け体とに分割して構成され、前記ツメ体の前記正転用作動歯および逆転用作動歯の反対側となる切換え駒側には、前記正転用作動歯および逆転用作動歯にそれぞれ対向する正転用ツメ体側傾斜面と逆転用ツメ体側傾斜面とが設けられ、その正転用ツメ体側傾斜面および逆転用ツメ体側傾斜面は、それぞれ、当該ツメ体の中心から離れるに従って前記正転用作動歯および逆転用作動歯との間隔が徐々に広がるよう傾斜して形成されている一方、前記受け体のツメ体側には、前記操作ハンドルを正転方向又は逆転方向に回転させる際に前記正転用ツメ体側傾斜面と逆転用ツメ体側傾斜面とにそれぞれ当接する正転用受け体側傾斜面と逆転用受け体側傾斜面とが設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係るラチェットレンチハンドルでは、さらに、前記ツメ体の切換え駒側における前記正転用ツメ体側傾斜面側には、前記操作ハンドルの逆転方向の空転時に前記受け体を押圧して前記ツメ体と前記受け体とを一体で空転させるための逆転空転時ツメ体側押圧面が設けられている一方、前記ツメ体の切換え駒側における前記逆転用ツメ体側傾斜面側には、前記操作ハンドルの正転方向の空転時に前記受け体を押圧して前記ツメ体と前記受け体とを一体で空転させるための正転空転時ツメ体側押圧面が設けられ、前記受け体のツメ体側における前記正転用受け体側傾斜面側には、前記操作ハンドルの逆転方向の空転時に前記逆転空転時ツメ体側押圧面に押圧されて前記ツメ体と前記受け体とを一体で空転させるための逆転空転時受け体側押圧面が設けられている一方、前記受け体のツメ体側における前記逆転用受け体側傾斜面側には、前記操作ハンドルの正転方向の空転時に前記正転空転時ツメ体側押圧面に押圧されて前記ツメ体と前記受け体とを一体で空転させるための逆転空転時受け体側押圧面が設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係るラチェットレンチハンドルでは、前記正転用ツメ体側傾斜面と前記正転空転時ツメ体側押圧面とがなす角度、前記逆転用ツメ体側傾斜面と前記逆転空転時ツメ体側押圧面とがなす角度、前記正転用受け体側傾斜面と前記逆転空転時受け体側押圧面とがなす角度、および前記逆転用受け体側傾斜面と前記正転空転時受け体側押圧面とがなす角度は、それぞれ、90度より大で、かつ、180度より小さい鈍角であることも特徴とする。
また、本発明に係るラチェットレンチハンドルでは、前記正転用ツメ体側傾斜面、前記逆転用ツメ体側傾斜面、前記正転用受け体側傾斜面、および前記逆転用受け体側傾斜面は、それぞれ、前記逆転空転時ツメ体側押圧面、前記正転空転時ツメ体側押圧面、前記逆転空転時受け体側押圧面、および前記正転空転時受け体側押圧面によって分割されており、分割された前記正転用ツメ体側傾斜面、前記逆転用ツメ体側傾斜面、前記正転用受け体側傾斜面、および前記逆転用受け体側傾斜面は、それぞれ前記逆転空転時ツメ体側押圧面、前記正転空転時ツメ体側押圧面、前記逆転空転時受け体側押圧面、および前記正転空転時受け体側押圧面の内側となるそれぞれの傾斜面よりも外側となるそれぞれの傾斜面の方が水平に近い角度であることも特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドル1では、作動片は、ラチェット歯に対向して噛合するラチェット歯側には正転用作動歯および逆転用作動歯が設けられたツメ体と、切換え駒が係合するカム縁が設けられる一方、そのカム縁とは組付けボルトを介し反対側には、ツメ体の切換え駒側に当接する受け体とに分割して構成され、ツメ体の正転用作動歯および逆転用作動歯の反対側となる切換え駒側には、当該ツメ体の中心の左右両側に正転用作動歯および逆転用作動歯にそれぞれ対向する正転用ツメ体側傾斜面と逆転用ツメ体側傾斜面とが設けられ、その正転用ツメ体側傾斜面および逆転用ツメ体側傾斜面は、それぞれ、当該ツメ体の中心から離れるに従って正転用作動歯および逆転用作動歯との間隔が徐々に広がるよう傾斜して形成されている一方、受け体のツメ体側には、アダプターを正転方向又は逆転方向に回転させる際に正転用ツメ体側傾斜面と逆転用ツメ体側傾斜面とにそれぞれ当接する正転用受け体側傾斜面と逆転用受け体側傾斜面とを設けている。
そのため、回転体のラチェット歯に作動片の正転用作動歯に噛合させてアダプターを正転方向に回転させる場合は、作動片の正転用作動歯とツメ体の正転用ツメ体側傾斜面とによる楔効果によって回転体の回転が止まってアダプターを正転方向に回転できる一方、回転体のラチェット歯に作動片の逆転用作動歯に噛合させてアダプターを逆転方向に回転させる場合は、作動片の逆転用作動歯とツメ体の逆転用ツメ体側傾斜面とによる楔効果によって回転体の回転が止まってアダプターを逆転方向に回転することができる。
その結果、本発明によれば、工具回転時のトルクを、ラチェット歯を介してツメ体と受け体とに分割して構成された作動片によって受け、その作動片を介して組み付けボルトより切換え駒側のハンドルヘッドで受けるように構成しているため、工具回転時のトルクを低下させず、かつ、ハンドルヘッドも大型化させずにアダプターを回転させることができる。
また、作動片をツメ体と受け体とに分割して構成すると共に、作動片の正転用作動歯とツメ体の正転用ツメ体側傾斜面および作動片の逆転用作動歯とツメ体の逆転用ツメ体側傾斜面とによる楔効果によって回転体の回転を止めてアダプターを正転方向および逆転方向に回転させるように構成したため、ラチェット歯および作動片に設けた正転用作動歯と逆転用作動歯の歯数を増大させても滑ること等を防止することができ、ハンドルの振り幅も小さくして従来の物より高性能かつ高品質で作業性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドルの要部切欠正面図である。
【
図3】本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドルの分解断面図である。
【
図4】(a),(b)は、それぞれ、本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドルを構成する作動片を構成するツメ体と受け体の平面図である。
【
図5】本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドルの正転時のロック状態を示す要部切欠正面図である。
【
図6】特許文献1に開示された従来のラチェットレンチハンドルにおいて回転体のラチェット歯の1山(1歯)を超えるために必要な操作ハンドルの回転角度を示す説明図である。
【
図7】本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドルにおいて回転体のラチェット歯の1山(1歯)を超えるために必要な操作ハンドルの回転角度を示す説明図である。
【
図8】本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドルの正転時において回転体からツメ体および受け体を介してハンドルヘッドに伝達される回転トルクの方向を示す図である。
【
図9】本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドルにおいて逆転時に工具回転ができるように切換え駒を切換えた状態を示す要部切欠正面図である。
【
図10】特許文献1に記載の従来のラチェットレンチハンドルの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドル1の一例について、図面を参照して説明する。なお、下記に説明する実施形態はあくまで本発明の一例であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で適宜変更可能である。特に、以下の説明では回転体3のラチェット歯6の歯数を倍増して72山(72個)で説明するが、これはあくまで一例であり、ラチェット歯6の歯数は、72山(72個)以外、例えば、72山(72個)より少ない例えば60山(60個)でも、さらには72山(72個)より多い例えば90山(90個)でも108山(108個)等でも勿論良く、本発明の範囲に当然に含まれるものである。
【0011】
尚、本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドルAは、回転体3のラチェット歯6の歯数、および作動片9以外の基本的な構成は、本出願人が特許出願して特許になった上述の特許文献1の特許第5568273号公報に開示されたラチェットレンチハンドルと同じであるので、特許第5568273号公報に開示されたラチェットレンチハンドルとは異なる回転体3や作動片9の構成および動作等を中心に説明する。
【0012】
本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドルAは、
図1~
図3に示すように操作ハンドル1の先端のハンドルヘッド1aに、アダプターtの接続部を備えた回転体3を設け、切換え駒14の操作により回転体3の周側に連続させて設けたラチェット歯6に作動片9に設けた正転用作動歯9a1と逆転用作動歯9a2のいずれか一方を選択的に噛合させてアダプターtを正転方向又は逆転方向に回転させるもので、上述の特許文献1の特許第5568273号公報に開示されたラチェットレンチハンドルとは異なり、回転体3の周側に連続させて設けたラチェット歯6の歯数を例えば36山(36個)から72山(72個)に倍増すると共に、それに合わせて正転用作動歯9a1と逆転用作動歯9a2の数も倍増し、かつ、作動片9を一体ではなく、ツメ体9aと、受け体9bに2分割して構成したことを特徴とするものである。また、組付けボルト10の外周に設けていたカラー11は省略している。
【0013】
(作動片9)
作動片9は、
図1~
図3等に示すように、作動片9の上側、すなわちラチェット歯6側を構成する部材であってラチェット歯6に対向して噛合するラチェット歯6側には、正転用作動歯9a1および逆転用作動歯9a2が設けられたツメ体9aと、切換え駒14が係合するカム縁16が設けられる一方、そのカム縁16とは組付けボルト10を介し反対側には、ツメ体9aの切換え駒14側に当接する受け体9bとに分割して構成されている。
【0014】
(ツメ体9a)
ツメ体9aは、
図4(a)に示すように、図上、上側には回転体3の周側に連続させて設けたラチェット歯6に噛合う正転用作動歯9a1および逆転用作動歯9a2が設けられている共に、正転用作動歯9a1および逆転用作動歯9a2の反対側となる切換え駒14側、すなわち図上、下側には当該ツメ体9aの中心の左右両側に正転用作動歯9a1および逆転用作動歯9a2にそれぞれ対向する第1正転用ツメ体側傾斜面9a3と第1逆転用ツメ体側傾斜面9a4とが設けられ、その第1正転用ツメ体側傾斜面9a3および第1逆転用ツメ体側傾斜面9a4は、それぞれ、当該ツメ体9aの中心から離れるに従って正転用作動歯9a1および逆転用作動歯9a2の列とは間隔が徐々に広がるよう傾斜して形成されている。
【0015】
また、ツメ体9aの切換え駒14側における第1正転用ツメ体側傾斜面9a3側には、ラチェットレンチハンドルAの逆転方向の空転時に受け体9bを押圧してツメ体9aと受け体9bとを一体で空転させるための逆転空転時ツメ体側押圧面9a5が設けられている一方、ツメ体9aの切換え駒14側における第1逆転用ツメ体側傾斜面9a4側には、ラチェットレンチハンドルAの正転方向の空転時に受け体9bを押圧してツメ体9aと受け体9bとを一体で空転させるための正転空転時ツメ体側押圧面9a6が設けられている。
【0016】
ここで、第1正転用ツメ体側傾斜面9a3と逆転空転時ツメ体側押圧面9a5とがなす角度α、および第1逆転用ツメ体側傾斜面9a4と正転空転時ツメ体側押圧面9a6とがなす角度βは、それぞれ、90度より大で、かつ、180度より小さい鈍角にしている。
【0017】
また、逆転空転時ツメ体側押圧面9a5の外側、つまり逆転空転時ツメ体側押圧面9a5を介し第1正転用ツメ体側傾斜面9a3の反対側には第2正転用ツメ体側傾斜面9a7が設けられている一方、正転空転時ツメ体側押圧面9a6の外側、つまり正転空転時ツメ体側押圧面9a6を介し第1逆転用ツメ体側傾斜面9a4の反対側には、第2逆転用ツメ体側傾斜面9a8を設けている。
【0018】
つまり、正転用ツメ体側傾斜面を構成する第1正転用ツメ体側傾斜面9a3と第2正転用ツメ体側傾斜面9a7は、逆転空転時ツメ体側押圧面9a5によって2分されている一方、逆転用ツメ体側傾斜面を構成する第1逆転用ツメ体側傾斜面9a4と第2逆転用ツメ体側傾斜面9a8は正転空転時ツメ体側押圧面9a6によって2分されている。
【0019】
そして、正転時に回転体3のラチェット歯6に噛合するツメ体9aの角度が変わって、受け体9bに対するツメ体9aの角度が変わる場合でも、回転体3のラチェット歯6と正転用作動歯9a1とが滑らずに確実に噛合って回転体3の回転トルクや応力等をツメ体9aから受け体9bに確実に伝達させるため、第1正転用ツメ体側傾斜面9a3と第2正転用ツメ体側傾斜面9a7の傾斜角度は異なる角度で、内側の第1正転用ツメ体側傾斜面9a3よりも外側の第2正転用ツメ体側傾斜面9a7の傾斜角度を水平に近付けている。同様に、逆転時に回転体3のラチェット歯6と正転用作動歯9a1とが滑らずに確実に噛合って回転体3の回転トルクや応力等をツメ体9aから受け体9bに確実に伝達させるため、内側の第1逆転用ツメ体側傾斜面9a4の傾斜角度よりも外側の第2逆転用ツメ体側傾斜面9a8の傾斜角度を水平に近付けている。
【0020】
(受け体9b)
受け体9bは、
図1~
図3等に示すように作動片9の下側、すなわち作動片9の切換え駒14側を構成する部材であって、受け体9bのツメ体9a側には、
図4(b)に示すようにアダプターtを正転方向又は逆転方向に回転させる際に第1正転用ツメ体側傾斜面9a3と第1逆転用ツメ体側傾斜面9a4とにそれぞれ当接する第1正転用受け体側傾斜面9b1と第1逆転用受け体側傾斜面9b2とが設けられており、回転体3のラチェット歯6にツメ体9aの正転用作動歯9a1に噛合させてアダプターtを正転方向に回転させる場合は、ツメ体9aの正転用作動歯9a1とツメ体9aの第1正転用ツメ体側傾斜面9a3とによる楔効果によって回転体3の回転が止まってアダプターtを正転方向に回転できる一方、回転体3のラチェット歯6にツメ体9aの逆転用作動歯9a2に噛合させてアダプターtを逆転方向に回転させる場合は、ツメ体9aの逆転用作動歯9a2とツメ体9aの第1逆転用ツメ体側傾斜面9a4とによる楔効果によって回転体3の回転が止まってアダプターtを逆転方向に回転できるように構成している。
【0021】
また、受け体9bのツメ体9a側における第1正転用受け体側傾斜面9b1側には、ラチェットレンチハンドルAの逆転方向の空転時に逆転空転時ツメ体側押圧面9a5に押圧されてツメ体9aと受け体9bとを一体で空転させるための逆転空転時受け体側押圧面9b3が設けられている一方、受け体9bのツメ体9a側における第1逆転用受け体側傾斜面9b2側には、ラチェットレンチハンドルAの正転方向の空転時に正転空転時ツメ体側押圧面9a6に押圧されてツメ体9aと受け体9bとを一体で空転させるための正転空転時受け体側押圧面9b4を設けている。
【0022】
ここで、第1正転用受け体側傾斜面9b1と逆転空転時受け体側押圧面9b3とがなす角度α’、および第1逆転用受け体側傾斜面9b2と正転空転時受け体側押圧面9b4とがなす角度β’は、それぞれ、第1正転用ツメ体側傾斜面9a3と逆転空転時ツメ体側押圧面9a5とがなす角度α、および第1逆転用ツメ体側傾斜面9a4と正転空転時ツメ体側押圧面9a6とがなす角度βと同じとなり、それぞれ、90度より大で、かつ、180度より小さい鈍角となる。
【0023】
また、逆転空転時受け体側押圧面9b3の外側、つまり逆転空転時受け体側押圧面9b3を介し第1正転用受け体側傾斜面9b1の反対側には第2正転用受け体側傾斜面9b5を設ける一方、正転空転時受け体側押圧面9b4の外側、つまり正転空転時受け体側押圧面9b4を介し第1逆転用受け体側傾斜面9b2の反対側には、第2逆転用受け体側傾斜面9b6を設けている。
【0024】
そして、正転時に回転体3のラチェット歯6に噛合するツメ体9aの角度が変わって、受け体9bに対するツメ体9aの角度が変わる場合でも、回転体3のラチェット歯6と正転用作動歯9a1とが滑らずに確実に噛合って回転体3の回転トルクや応力等をツメ体9aから受け体9bに確実に伝達させるため、第1正転用ツメ体側傾斜面9a3と第2正転用ツメ体側傾斜面9a7の傾斜角度の関係と同様に内側の第1正転用受け体側傾斜面9b1の傾斜角度よりも外側の第2正転用受け体側傾斜面9b5の傾斜角度を水平に近付けている。同様に、逆転時に回転体3のラチェット歯6と正転用作動歯9a1とが滑らずに確実に噛合って回転体3の回転トルクや応力等をツメ体9aから受け体9bに確実に伝達させるため、第1逆転用ツメ体側傾斜面9a4と第2逆転用ツメ体側傾斜面9a8の傾斜角度の関係と同様に内側の第1逆転用受け体側傾斜面9b2の傾斜角度よりも外側の第2逆転用受け体側傾斜面9b6の傾斜角度を水平に近付けている。
【0025】
尚、受け体9bの下側、すなわち切換え駒14側には、特許文献1と同様に切換え駒14の押しピン15先端が係合するカム縁16が設けられている。
【0026】
<実施形態のラチェットレンチハンドルAの動作>
次に以上のように構成された実施形態のラチェットレンチハンドルAの動作について説明する。
【0027】
(正転時ロック状態)
図5は、実施形態のラチェットレンチハンドルAの正転時のロック状態を示す図である。
図5に示すように切換え駒14の押しピン15を
図5上、右側に倒すと、
図1に示すニュートラル状態から作動片9を構成するツメ体9aおよび受け体9bが組み付けボルト10を中心に反時計回りに回転し、回転体3のラチェット歯6にツメ体9aの正転用作動歯9a1が噛合う。
【0028】
ここで、本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドルAでは、上述の特許文献1の特許第5568273号公報に開示されたラチェットレンチハンドルのラチェット歯6の歯数の36山とは異なり、回転体3のラチェット歯6の歯数を例えば72山(72個)に倍増すると共に、それに合わせて正転用作動歯9a1と逆転用作動歯9a2の数も倍増している。
【0029】
そのため、特許文献1に開示された作動片9’が一体式で、回転体3’のラチェット歯6’の歯数が36山(36歯)のラチェットレンチハンドルA’の場合において、例えば、
図6に示すように10度回転させた時にラチェット歯6’の1山(1歯)を乗り越えることができる。
【0030】
これに対し、本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドルAでは、回転体3のラチェット歯6の歯数が従来の36山の2倍の72山(72個)と倍増しているため、
図7に示すように従来の1/2である5度回転させた時にラチェット歯6の1山(1歯)を乗り越えることができ、ラチェットレンチハンドルAの振り幅を小さくすることができる。
【0031】
これにより、特許文献1に開示された従来のラチェットレンチハンドルA’と同じ長さとすると、実施形態のラチェットレンチハンドルAは、ラチェット歯6の1山(1歯)を乗り越えるために従来のラチェット判断よりもほぼ1/2のスペースを確保すれば作業できることになる。
【0032】
そのため、本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドルAでは、
図6に示す上述の特許文献1の特許第5568273号公報に開示されたラチェットレンチハンドルA’と比較して、
図7に示すようにラチェットレンチハンドルAを振る角度が1/2になるため、従来の物より少ない振り角度でラチェットレンチハンドルの機能を発揮することが可能となり、狭い箇所での作業性を大幅に向上させることができる。
【0033】
これに対し、操作ハンドル1を反時計周りに回転させた場合は、作動片9を構成するツメ体9aが回転体3のラチェット歯6に噛合って、作動片9を構成するツメ体9aおよび受け体9bが一体となり、操作ハンドル1の回転トルクを回転体3に伝達できるため、工具を操作ハンドル1と同様に反時計周りに回転させることができる。
【0034】
(正転時ロック状態で工具を回転させる場合)
本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドルAを使用して工具を回転させる場合には、アダプターtに工具を装着し、
図5に示すような正転時のロック状態において操作ハンドル1を反時計周りであるX方向に回転させることによって回転体3を正転させ、工具を正転させることができる。
【0035】
つまり、作動片9はツメ体9aと受け体9bとの2部材で分割構成しているため、
図5に示すロック状態で操作ハンドル1を反時計周りであるX方向に回転させた場合は、ツメ体9aの第1正転用ツメ体側傾斜面9a3(
図4(a)参照。)と受け体9bの第1正転用受け体側傾斜面9b1(
図4(b)参照。)とが圧接すると共に、ツメ体9aの第2正転用ツメ体側傾斜面9a7(
図4(a)参照。)と受け体9bの第2正転用受け体側傾斜面9b5(
図4(b)参照。)とが圧接し、その際、ツメ体9aの楔効果によって作動片9を構成するツメ体9aおよび受け体9bが一体となる。
【0036】
そのため、ツメ体9aの楔効果によって作動片9を構成するツメ体9aおよび受け体9bが一体となることによって操作ハンドル1の回転トルクを回転体3に伝達できるため、回転体3を正転させ、工具を正転させることができる。
【0037】
また、作動片9はツメ体9aと受け体9bとの2部材で分割構成されているため、アダプターtを正転方向に回転させるために操作ハンドル1を反時計周りであるX方向に回転させると、
図8に示すように回転体3のラチェット歯6とツメ体9aの正転用作動歯9a1とが噛合ってツメ体9aおよび受け体9bは組み付けボルト10を中心に時計周りの回転トルクがかかる。
【0038】
そのため、
図8に示すようにツメ体9aの第1正転用ツメ体側傾斜面9a3と受け体9bの第1正転用受け体側傾斜面9b1とが強く圧接すると共に、ツメ体9aの第2正転用ツメ体側傾斜面9a7(
図4(a)参照。)と受け体9bの第2正転用受け体側傾斜面9b5(
図4(b)参照。)とが強く圧接して、上述の特許文献1の特許第5568273号公報に開示されたラチェットレンチハンドルA’と同様に回転体3の回転トルクをツメ体9aおよび受け体9bを介して組み付けボルト10よりも下方、すなわち切換え駒14に近接する操作ハンドル1の反対側の受圧縁部18に伝達することができる。
【0039】
(正転時ロック状態で逆転方向へ空転)
尚、操作ハンドル1を時計周りであるY方向に逆転させた場合は、実施形態のラチェットレンチハンドルAでは、作動片9はツメ体9aと受け体9bとの2部材で分割構成しているが、ツメ体9aの逆転空転時ツメ体側押圧面9a5(
図4(a)参照。)が受け体9bの逆転空転時受け体側押圧面9b3(
図4(b)参照。)を押圧するため、ツメ体9aと受け体9bとが一体となってY方向に逆転することが可能となり、作動片9を構成するツメ体9aおよび受け体9bが組み付けボルト10を中心に揺動し、回転体3のラチェット歯6とツメ体9aの正転用作動歯9a1とが滑って空転することができる。
【0040】
(逆転時ロック状態で工具を回転させる場合および空転)
尚、
図9に示すように切換え駒14を、
図5とは逆に、すなわち
図5状、左方向に倒して逆転時ロック状態に切り替えた場合は、
図9に示すように回転体3のラチェット歯6とツメ体9aの逆転用作動歯9a2(
図4(a)参照。)とが噛合うことになる。
【0041】
これにより、操作ハンドル1を時計周りであるY方向に回転させた場合、ツメ体9aと受け体9bとの2部材で分割構成しているものの、ツメ体9aの第1逆転用ツメ体側傾斜面9a4(
図4(a)参照。)と受け体9bの第1逆転用受け体側傾斜面9b2(
図4(b)参照。)とが圧接すると共に、ツメ体9aの第2逆転用ツメ体側傾斜面9a8(
図4(a)参照。)と受け体9bの第2逆転用受け体側傾斜面9b6(
図4(b)参照。)とが圧接すると共に、その楔効果によって作動片9を構成するツメ体9aおよび受け体9bが一体となる。
【0042】
そのため、ツメ体9aの楔効果によって作動片9を構成するツメ体9aおよび受け体9bが一体となることによって操作ハンドル1の回転トルクを回転体3に伝達できるため、回転体3をY方向に逆転させ、工具を逆転させることができる。
【0043】
また、操作ハンドル1を反時計周りであるX方向に回転させた場合は、作動片9をツメ体9aと受け体9bとの2部材で分割構成しているものの、ツメ体9aの正転空転時ツメ体側押圧面9a6(
図4(a)参照。)が受け体9bの正転空転時受け体側押圧面9b4(
図4(b)参照。)を押圧するため、ツメ体9aと受け体9bとが一体となってX方向に回転することが可能となり、作動片9を構成するツメ体9aおよび受け体9bが組み付けボルト10を中心に揺動して、回転体3のラチェット歯6とツメ体9aの逆転用作動歯9a2(
図4(a)参照。)とが滑って空転することができる。
【0044】
<本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドルAのまとめ>
以上説明したように、本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドルAでは、作動片9は、ラチェット歯6に対向して噛合するラチェット歯6側には正転用作動歯9a1および逆転用作動歯9a2が設けられたツメ体9aと、ハンドルヘッド1aに組付けボルト10を介し回動可能に取り付けられ、切換え駒14が係合するカム縁16が設けられる一方、そのカム縁16とは組付けボルト10を介し反対側には、ツメ体9aの切換え駒14側に当接する受け体9bとに分割して構成し、ツメ体9aの正転用作動歯9a1および逆転用作動歯9a2の反対側となる切換え駒14側には、当該ツメ体9aの中心の左右両側に正転用作動歯9a1および逆転用作動歯9a2にそれぞれ対向する第1正転用ツメ体側傾斜面9a3および第2正転用ツメ体側傾斜面9a7と第1逆転用ツメ体側傾斜面9a4および第2逆転用ツメ体側傾斜面9a8を設け、その第1正転用ツメ体側傾斜面9a3および第2正転用ツメ体側傾斜面9a7と第1逆転用ツメ体側傾斜面9a4および第2逆転用ツメ体側傾斜面9a8は、それぞれ、当該ツメ体9aの中心から離れるに従って正転用作動歯9a1および逆転用作動歯9a2との間隔が徐々に広がるよう傾斜している一方、受け体9bのツメ体9a側には、アダプターtを正転方向又は逆転方向に回転させる際に第1正転用ツメ体側傾斜面9a3および第2正転用ツメ体側傾斜面9a7と第1逆転用ツメ体側傾斜面9a4および第2逆転用ツメ体側傾斜面9a8にそれぞれ当接する第1正転用受け体側傾斜面9b1および第2正転用受け体側傾斜面9b5と第1逆転用受け体側傾斜面9b2および第2逆転用受け体側傾斜面9b6とを設けている。
【0045】
これにより、
図5等に示すように回転体3のラチェット歯6にツメ体9aの正転用作動歯9a1に噛合させて操作ハンドル1を反時計回りであるX方向に回転させる場合は、ツメ体9aの正転用作動歯9a1とツメ体9aの第1正転用ツメ体側傾斜面9a3および第2正転用ツメ体側傾斜面9a7とによる楔効果によって回転体3の回転が止まってアダプターtを反時計回りであるX方向に回転できる一方、
図9に示すように回転体3のラチェット歯6にツメ体9aの逆転用作動歯9a2に噛合させて操作ハンドル1を時計回りであるY方向に回転させる場合は、ツメ体9aの逆転用作動歯9a2とツメ体9aの第1逆転用ツメ体側傾斜面9a4および第2逆転用ツメ体側傾斜面9a8とによる楔効果によって回転体3の回転が止まってアダプターtを時計回りであるY方向に回転させることができる。
【0046】
また、作動片9をツメ体9aと受け体9bとの2部材で分割構成しているものの、工具回転時のトルクを、回転体3のラチェット歯6を介してツメ体9aおよび受け体9bによって一体で受けて、上述の特許文献1の特許第5568273号公報に開示されたラチェットレンチハンドルA’と同様に組み付けボルト10よりも下方、すなわち切換え駒14に近接する操作ハンドル1の反対側の受圧縁部18に伝達することができる。
【0047】
また、作動片9をツメ体9aと受け体9bとに分割して構成すると共に、ツメ体9aの正転用作動歯9a1とツメ体9aの第1正転用ツメ体側傾斜面9a3および第2正転用ツメ体側傾斜面9a7およびツメ体9aの逆転用作動歯9a2とツメ体9aの第1逆転用ツメ体側傾斜面9a4および第2逆転用ツメ体側傾斜面9a8とによる楔効果によって回転体3の回転を止めてアダプターtを正転方向および逆転方向に回転させるようにしたため、ラチェット歯6および作動片9に設けた正転用作動歯9a1と逆転用作動歯9a2の歯数を増大させても滑らず、ハンドルの振り幅も小さくして従来の物より高性能かつ高品質で作業性も向上させることができる。
【0048】
特に、本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドルAでは、第1正転用ツメ体側傾斜面9a3と逆転空転時ツメ体側押圧面9a5とがなす角度αと、第1逆転用ツメ体側傾斜面9a4と正転空転時ツメ体側押圧面9a6とがなす角度β、第1正転用受け体側傾斜面9b1と逆転空転時受け体側押圧面9b3とがなす角度α’、および第1逆転用受け体側傾斜面9b2と正転空転時受け体側押圧面9b4とがなす角度β’は、それぞれ、90度より大で、かつ、180度より小さい鈍角としている。
【0049】
そのため、回転体3のラチェット歯6がツメ体9aの正転用作動歯9a1または逆転用作動歯9a2に噛合って回転体3の回転トルクがツメ体9aに伝達した際に、ツメ体9aにおける回転体3のラチェット歯6に噛合っていない側が少し浮上る等して受け体9bから離れようとしてツメ体9aの正転用作動歯9a1または逆転用作動歯9a2が確実に噛合うので、ラチェット歯6および作動片9に設けた正転用作動歯9a1と逆転用作動歯9a2の歯数を増大させても滑に難くなり、この点でもハンドルの振り幅も小さくして従来の物より高性能かつ高品質で作業性も向上させることができる。
【0050】
また、本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドルAでは、さらに、
図4(a),(b)等に示すようにツメ体9aの切換え駒14側における第1正転用ツメ体側傾斜面9a3側には、ラチェットレンチハンドルAの逆転方向の空転時に受け体9bを押圧してツメ体9aと受け体9bとを一体で空転させるための逆転空転時ツメ体側押圧面9a5を設ける一方、ツメ体9aの切換え駒14側における第1逆転用ツメ体側傾斜面9a4側には、ラチェットレンチハンドルAの正転方向の空転時に受け体9bを押圧してツメ体9aと受け体9bとを一体で空転させるための正転空転時ツメ体側押圧面9a6を設け、受け体9bのツメ体9a側における第1正転用受け体側傾斜面9b1側には、ラチェットレンチハンドルAの逆転方向の空転時に逆転空転時ツメ体側押圧面9a5に押圧されてツメ体9aと受け体9bとを一体で空転させるための逆転空転時受け体側押圧面9b3を設ける一方、受け体9bのツメ体9a側における第1逆転用受け体側傾斜面9b2側には、ラチェットレンチハンドルAの正転方向の空転時に正転空転時ツメ体側押圧面9a6に押圧されてツメ体9aと受け体9bとを一体で空転させるための正転空転時受け体側押圧面9b4を設けている。
【0051】
そのため、本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドルAによれば、作動片9をツメ体9aと受け体9bとの2部材で分割構成しているものの、空転時にはツメ体9aと受け体9bとが一体となって組み付けボルト10を中心に揺動して、回転体3のラチェット歯6とツメ体9aの正転用作動歯9a1および逆転用作動歯9a2とが滑って空転することができるので、ラチェットレンチハンドルAの空転機能も確実に発揮することができる。
【0052】
また、本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドルAでは、逆転空転時ツメ体側押圧面9a5、正転空転時ツメ体側押圧面9a6,逆転空転時受け体側押圧面9b3および正転空転時受け体側押圧面9b4によってそれぞれ第1正転用ツメ体側傾斜面9a3および第2正転用ツメ体側傾斜面9a7、第1逆転用ツメ体側傾斜面9a4および第2逆転用ツメ体側傾斜面9a8、第1正転用受け体側傾斜面9b1および第2正転用受け体側傾斜面9b5、第1逆転用受け体側傾斜面9b2および第2逆転用受け体側傾斜面9b6に分割されており、外側の第2正転用ツメ体側傾斜面9a7、第2逆転用ツメ体側傾斜面9a8、第2正転用受け体側傾斜面9b5および第2逆転用受け体側傾斜面9b6は、それらの内側の第1正転用ツメ体側傾斜面9a3、第1逆転用ツメ体側傾斜面9a4、第1正転用受け体側傾斜面9b1および第1逆転用受け体側傾斜面9b2よりも水平に近い角度に形成している。
【0053】
そのため、本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドルAでは、回転体3のラチェット歯6がツメ体9aの正転用作動歯9a1または逆転用作動歯9a2に噛合って回転体3の回転トルクがツメ体9aに伝達した際に、ツメ体9aにおける回転体3のラチェット歯6に噛合っていない側が少し浮上る等して受け体9bから離れ、回転体3のラチェット歯6がツメ体9aの内側の第1正転用ツメ体側傾斜面9a3、第1逆転用ツメ体側傾斜面9a4、第1正転用受け体側傾斜面9b1および第1逆転用受け体側傾斜面9b2から離れようとした場合でも、それらより水平に近い外側の第2正転用ツメ体側傾斜面9a7、第2逆転用ツメ体側傾斜面9a8、第2正転用受け体側傾斜面9b5および第2逆転用受け体側傾斜面9b6が確実に当接して回転体3の回転トルクや応力等をツメ体9aから受け体9bに伝達することができるので、ラチェット歯6および作動片9に設けた正転用作動歯9a1と逆転用作動歯9a2の歯数を増大させてもさらに滑り難くなると共に、ハンドルの振り幅も小さくして従来の物より高性能かつ高品質で作業性も向上させることができる。
【符号の説明】
【0054】
A ラチェットレンチハンドル
1 操作ハンドル
1a ハンドルヘッド
1a’ ハンドルヘッド構成材
2”a 蓋板
2 収納室
2’ 上壁
2” 下壁
2A 第一収納部
2B 第二収納部
2C 第三収納部
2a’,2a” 開口
3 回転体
4,4’ 段部
t アダプター
5 角軸
6 ラチェット歯
7 コイルばね
8 球体
9 作動片
9a ツメ体
9a1 正転用作動歯
9a2 逆転用作動歯
9a3 第1正転用ツメ体側傾斜面
9a4 第1逆転用ツメ体側傾斜面
9a5 逆転空転時ツメ体側押圧面
9a6 正転空転時ツメ体側押圧面
9a7 第2正転用ツメ体側傾斜面
9a8 第2逆転用ツメ体側傾斜面
9b 受け体
9b1 第1正転用受け体側傾斜面
9b2 第1逆転用受け体側傾斜面
9b3 逆転空転時受け体側押圧面
9b4 正転空転時受け体側押圧面
9b5 第2正転用受け体側傾斜面
9b6 第2逆転用受け体側傾斜面
10 組付けボルト
14 切換え駒
15 押しピン
16 カム縁
17 接触縁部
17’ 凹入縁(凹入段部)
18 受圧縁部
18’ 突出縁
19 突部片
20 切欠
21 主体部
21’ 段部
22 操作レバー
23 支持穴
24 コイルばね
25 透孔
26 ねじ孔
30 受穴
【手続補正書】
【提出日】2021-08-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作ハンドル先端のハンドルヘッドに、アダプターの接続部を備えた回転体を設け、切換え駒の操作により前記回転体の周側に連続させて設けたラチェット歯に作動片に設けた正転用作動歯と逆転用作動歯のいずれか一方を選択的に噛合させて前記操作ハンドルを正転方向又は逆転方向に回転させるようにしたラチェットレンチハンドルであって、
前記作動片は、
前記ラチェット歯に対向して噛合するラチェット歯側には、前記正転用作動歯および逆転用作動歯が設けられたツメ体と、
前記ハンドルヘッドに組付けボルトを介し回動可能に取り付けられ、前記切換え駒が係合するカム縁が設けられる一方、そのカム縁とは前記組付けボルトを介し反対側には、前記ツメ体の前記切換え駒側に当接する受け体とに分割して構成され、
前記ツメ体の前記正転用作動歯および逆転用作動歯の反対側となる切換え駒側には、前記正転用作動歯および逆転用作動歯にそれぞれ対向する正転用ツメ体側傾斜面と逆転用ツメ体側傾斜面とが設けられ、その正転用ツメ体側傾斜面および逆転用ツメ体側傾斜面は、それぞれ、当該ツメ体の中心から離れるに従って前記正転用作動歯および逆転用作動歯との間隔が徐々に広がるよう傾斜して形成されている一方、
前記受け体のツメ体側には、前記操作ハンドルを正転方向又は逆転方向に回転させる際に前記正転用ツメ体側傾斜面と逆転用ツメ体側傾斜面とにそれぞれ当接する正転用受け体側傾斜面と逆転用受け体側傾斜面とが設けられていることを特徴とするラチェットレンチハンドル。
【請求項2】
請求項1記載のラチェットレンチハンドルにおいて、さらに、
前記ツメ体の切換え駒側における前記正転用ツメ体側傾斜面側には、前記操作ハンドルの逆転方向の空転時に前記受け体を押圧して前記ツメ体と前記受け体とを一体で空転させるための逆転空転時ツメ体側押圧面が設けられている一方、前記ツメ体の切換え駒側における前記逆転用ツメ体側傾斜面側には、前記操作ハンドルの正転方向の空転時に前記受け体を押圧して前記ツメ体と前記受け体とを一体で空転させるための正転空転時ツメ体側押圧面が設けられ、
前記受け体のツメ体側における前記正転用受け体側傾斜面側には、前記操作ハンドルの逆転方向の空転時に前記逆転空転時ツメ体側押圧面に押圧されて前記ツメ体と前記受け体とを一体で空転させるための逆転空転時受け体側押圧面が設けられている一方、前記受け体のツメ体側における前記逆転用受け体側傾斜面側には、前記操作ハンドルの正転方向の空転時に前記正転空転時ツメ体側押圧面に押圧されて前記ツメ体と前記受け体とを一体で空転させるための正転空転時受け体側押圧面が設けられていることを特徴とするラチェットレンチハンドル。
【請求項3】
請求項2記載のラチェットレンチハンドルにおいて、
前記正転用ツメ体側傾斜面と前記逆転空転時ツメ体側押圧面とがなす角度、前記逆転用ツメ体側傾斜面と前記正転空転時ツメ体側押圧面とがなす角度、前記正転用受け体側傾斜面と前記逆転空転時受け体側押圧面とがなす角度、および前記逆転用受け体側傾斜面と前記正転空転時受け体側押圧面とがなす角度は、それぞれ、90度より大で、かつ、180度より小さい鈍角であることを特徴とするラチェットレンチハンドル。
【請求項4】
請求項2または請求項3記載のラチェットレンチハンドルにおいて、
前記正転用ツメ体側傾斜面、前記逆転用ツメ体側傾斜面、前記正転用受け体側傾斜面、および前記逆転用受け体側傾斜面は、それぞれ、前記逆転空転時ツメ体側押圧面、前記正転空転時ツメ体側押圧面、前記逆転空転時受け体側押圧面、および前記正転空転時受け体側押圧面によって分割されており、分割された前記正転用ツメ体側傾斜面、前記逆転用ツメ体側傾斜面、前記正転用受け体側傾斜面、および前記逆転用受け体側傾斜面は、それぞれ前記逆転空転時ツメ体側押圧面、前記正転空転時ツメ体側押圧面、前記逆転空転時受け体側押圧面、および前記正転空転時受け体側押圧面の内側となるそれぞれの傾斜面よりも外側となるそれぞれの傾斜面の方が水平に近い角度であることを特徴とするラチェットレンチハンドル。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドルは、操作ハンドル先端のハンドルヘッドに、アダプターの接続部を備えた回転体を設け、切換え駒の操作により前記回転体の周側に連続させて設けたラチェット歯に作動片に設けた正転用作動歯と逆転用作動歯のいずれか一方を選択的に噛合させて前記操作ハンドルを正転方向又は逆転方向に回転させるようにしたラチェットレンチハンドルであって、前記作動片は、前記ラチェット歯に対向して噛合するラチェット歯側には、前記正転用作動歯および逆転用作動歯が設けられたツメ体と、前記ハンドルヘッドに組付けボルトを介し回動可能に取り付けられ、前記切換え駒が係合するカム縁が設けられる一方、そのカム縁とは前記組付けボルトを介し反対側には、前記ツメ体の前記切換え駒側に当接する受け体とに分割して構成され、前記ツメ体の前記正転用作動歯および逆転用作動歯の反対側となる切換え駒側には、前記正転用作動歯および逆転用作動歯にそれぞれ対向する正転用ツメ体側傾斜面と逆転用ツメ体側傾斜面とが設けられ、その正転用ツメ体側傾斜面および逆転用ツメ体側傾斜面は、それぞれ、当該ツメ体の中心から離れるに従って前記正転用作動歯および逆転用作動歯との間隔が徐々に広がるよう傾斜して形成されている一方、前記受け体のツメ体側には、前記操作ハンドルを正転方向又は逆転方向に回転させる際に前記正転用ツメ体側傾斜面と逆転用ツメ体側傾斜面とにそれぞれ当接する正転用受け体側傾斜面と逆転用受け体側傾斜面とが設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係るラチェットレンチハンドルでは、さらに、前記ツメ体の切換え駒側における前記正転用ツメ体側傾斜面側には、前記操作ハンドルの逆転方向の空転時に前記受け体を押圧して前記ツメ体と前記受け体とを一体で空転させるための逆転空転時ツメ体側押圧面が設けられている一方、前記ツメ体の切換え駒側における前記逆転用ツメ体側傾斜面側には、前記操作ハンドルの正転方向の空転時に前記受け体を押圧して前記ツメ体と前記受け体とを一体で空転させるための正転空転時ツメ体側押圧面が設けられ、前記受け体のツメ体側における前記正転用受け体側傾斜面側には、前記操作ハンドルの逆転方向の空転時に前記逆転空転時ツメ体側押圧面に押圧されて前記ツメ体と前記受け体とを一体で空転させるための逆転空転時受け体側押圧面が設けられている一方、前記受け体のツメ体側における前記逆転用受け体側傾斜面側には、前記操作ハンドルの正転方向の空転時に前記正転空転時ツメ体側押圧面に押圧されて前記ツメ体と前記受け体とを一体で空転させるための正転空転時受け体側押圧面が設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係るラチェットレンチハンドルでは、前記正転用ツメ体側傾斜面と前記逆転空転時ツメ体側押圧面とがなす角度、前記逆転用ツメ体側傾斜面と前記正転空転時ツメ体側押圧面とがなす角度、前記正転用受け体側傾斜面と前記逆転空転時受け体側押圧面とがなす角度、および前記逆転用受け体側傾斜面と前記正転空転時受け体側押圧面とがなす角度は、それぞれ、90度より大で、かつ、180度より小さい鈍角であることも特徴とする。
また、本発明に係るラチェットレンチハンドルでは、前記正転用ツメ体側傾斜面、前記逆転用ツメ体側傾斜面、前記正転用受け体側傾斜面、および前記逆転用受け体側傾斜面は、それぞれ、前記逆転空転時ツメ体側押圧面、前記正転空転時ツメ体側押圧面、前記逆転空転時受け体側押圧面、および前記正転空転時受け体側押圧面によって分割されており、分割された前記正転用ツメ体側傾斜面、前記逆転用ツメ体側傾斜面、前記正転用受け体側傾斜面、および前記逆転用受け体側傾斜面は、それぞれ前記逆転空転時ツメ体側押圧面、前記正転空転時ツメ体側押圧面、前記逆転空転時受け体側押圧面、および前記正転空転時受け体側押圧面の内側となるそれぞれの傾斜面よりも外側となるそれぞれの傾斜面の方が水平に近い角度であることも特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明に係るラチェットレンチハンドルでは、作動片は、ラチェット歯に対向して噛合するラチェット歯側には正転用作動歯および逆転用作動歯が設けられたツメ体と、切換え駒が係合するカム縁が設けられる一方、そのカム縁とは組付けボルトを介し反対側には、ツメ体の切換え駒側に当接する受け体とに分割して構成され、ツメ体の正転用作動歯および逆転用作動歯の反対側となる切換え駒側には、当該ツメ体の中心の左右両側に正転用作動歯および逆転用作動歯にそれぞれ対向する正転用ツメ体側傾斜面と逆転用ツメ体側傾斜面とが設けられ、その正転用ツメ体側傾斜面および逆転用ツメ体側傾斜面は、それぞれ、当該ツメ体の中心から離れるに従って正転用作動歯および逆転用作動歯との間隔が徐々に広がるよう傾斜して形成されている一方、受け体のツメ体側には、アダプターを正転方向又は逆転方向に回転させる際に正転用ツメ体側傾斜面と逆転用ツメ体側傾斜面とにそれぞれ当接する正転用受け体側傾斜面と逆転用受け体側傾斜面とを設けている。
そのため、回転体のラチェット歯に作動片の正転用作動歯に噛合させてアダプターを正転方向に回転させる場合は、作動片の正転用作動歯とツメ体の正転用ツメ体側傾斜面とによる楔効果によって回転体の回転が止まってアダプターを正転方向に回転できる一方、回転体のラチェット歯に作動片の逆転用作動歯に噛合させてアダプターを逆転方向に回転させる場合は、作動片の逆転用作動歯とツメ体の逆転用ツメ体側傾斜面とによる楔効果によって回転体の回転が止まってアダプターを逆転方向に回転することができる。
その結果、本発明によれば、工具回転時のトルクを、ラチェット歯を介してツメ体と受け体とに分割して構成された作動片によって受け、その作動片を介して組み付けボルトより切換え駒側のハンドルヘッドで受けるように構成しているため、工具回転時のトルクを低下させず、かつ、ハンドルヘッドも大型化させずにアダプターを回転させることができる。
また、作動片をツメ体と受け体とに分割して構成すると共に、作動片の正転用作動歯とツメ体の正転用ツメ体側傾斜面および作動片の逆転用作動歯とツメ体の逆転用ツメ体側傾斜面とによる楔効果によって回転体の回転を止めてアダプターを正転方向および逆転方向に回転させるように構成したため、ラチェット歯および作動片に設けた正転用作動歯と逆転用作動歯の歯数を増大させても滑ること等を防止することができ、ハンドルの振り幅も小さくして従来の物より高性能かつ高品質で作業性も向上させることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
次に、本発明に係る実施形態のラチェットレンチハンドルAの一例について、図面を参照して説明する。なお、下記に説明する実施形態はあくまで本発明の一例であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で適宜変更可能である。特に、以下の説明では回転体3のラチェット歯6の歯数を倍増して72山(72個)で説明するが、これはあくまで一例であり、ラチェット歯6の歯数は、72山(72個)以外、例えば、72山(72個)より少ない例えば60山(60個)でも、さらには72山(72個)より多い例えば90山(90個)でも108山(108個)等でも勿論良く、本発明の範囲に当然に含まれるものである。