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特開2022-7269真贋判定システムおよび真贋判定システムにおいて利用される判定用識別コード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007269
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】真贋判定システムおよび真贋判定システムにおいて利用される判定用識別コード
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20220105BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20220105BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20220105BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/06
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020110138
(22)【出願日】2020-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】520216208
【氏名又は名称】JAPAN MADE事務局株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 隆仁
(72)【発明者】
【氏名】志田 大輔
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB21
5L049CC03
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】高い信頼度で真贋判定を行うことができる真贋判定システムおよび真贋判定システムにおいて利用される判定用識別コードを提供する。
【解決手段】製品を識別する固有の製品識別情報をブロックチェーン上に記録した際に取得したハッシュ値と製品識別情報とから判定用識別コードを生成し、受付けた判定用識別コードからハッシュ値と製品識別情報とを抽出し、抽出されたハッシュ値を用いて取得したブロックチェーン上に記録された製品識別情報と判定用識別コードから抽出された製品識別情報との整合関係を判定手段により判定し、その整合関係を出力する。また、製品識別情報の製品に対応する動画データを記録させる動画データ記録手段を更に備え、判定手段により整合することが判定された場合に、製品識別情報の製品に対応する動画データを視聴可能に出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を識別する固有の製品識別情報をブロックチェーン上に記録させる記録手段と、
前記ブロックチェーンから記録の際に取得した少なくともハッシュ値と前記製品識別情報とから判定用識別コードを生成する生成手段と、
前記判定用識別コードを受け付ける受付手段と、
前記受付手段で受付けた前記判定用コードから前記ハッシュ値と前記製品識別情報とを抽出する抽出手段と、
前記抽出された前記ハッシュ値を用いて前記ブロックチェーン上に記録された製品識別情報を取得し、前記判定用識別コードから抽出された製品識別情報との整合関係を判定する判定手段と、
前記判定手段で判定された整合関係を出力する出力手段と、
を有していることを特徴とする真贋判定システム。
【請求項2】
前記ブロックチェーンから記録の際に取得したハッシュ値と前記製品識別情報との少なくとも一方に対応させて、前記製品識別情報の製品に対応する動画データを記録させる動画データ記録手段を更に備え、
前記出力手段は、前記判定手段により整合することが判定された場合に、前記抽出手段により前記判定用識別コードから抽出された前記ハッシュ値と前記製品識別情報との少なくとも一方に基づいて当該製品識別情報の製品に対応する前記動画データを視聴可能に出力することを特徴とする請求項1に記載の真贋判定システム。
【請求項3】
前記動画データを分散型ファイルシステムに保管させ、前記動画データの保管に関するリンクデータと、前記識別情報とを対応付けて前記ブロックチェーン上に記録させることを特徴とする請求項2に記載の真贋判定システム。
【請求項4】
前記出力手段は、前記判定手段により整合することが判定された場合に、前記抽出された前記ハッシュ値を前記整合関係とともに出力することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の真贋判定システム。
【請求項5】
前記判定手段による判定処理を行うにあたり、製品識別情報毎に判定の履歴を記録管理する管理手段を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の真贋判定システム。
【請求項6】
真贋判定システムにおいて利用される判定用識別コードであって、
少なくとも製品を識別する固有の製品識別情報をブロックチェーン上に記録させた際に取得したハッシュ値と前記製品識別情報を符号化して生成された判定用識別コードであることを特徴とする真贋判定システムにおいて利用される判定用識別コード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の真贋を判定できる真贋判定システムおよび真贋判定システムにおいて利用される判定用識別コードに関する。
【背景技術】
【0002】
製造業において、特に技術力の高い製品やブランド力の高い製品などにおいては、他社に偽造品を製造され、正規品の販売に損害を受けることがある。正規品を販売する販売店が真贋の判断をして、このような偽造品に対応しているが、偽造品の精度は日々進歩するため、正確な真贋の判断に時間を要し、営業に支障をきたす問題を解決するのは容易ではない。また、昨今ではインターネットショッピングを始めとする通信販売が広く定着し、製品を購入できる販売店が多く、販売店によっては真贋の判断が十分でない場合もあり、消費者自身が真贋の判断ができることが求められている。このような課題に対し、従来の偽造品対策として、製品に付した識別情報の読取結果を利用してその製品が正規品であるか否かについて判定する真贋判定が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、インターネット上に配置されたサーバに固有の識別情報を記録した製品データベースを備えるとともに、当該識別情報を元に生成したデータを有するRFIDタグを製品にそれぞれ付しておき、このRFIDタグを端末により読み込み、サーバの製品データベースで照会を行うことで、真贋判定を行うものが開示されている。これによれば、サプライチェーンにおける様々な段階において、製品の真贋判定を簡便に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-25816号公報(第5頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、製品データベースにおいて製品に付した識別情報を記録管理する構成であることから、悪意あるハッキングにより偽の識別情報を製品データベースに追加される虞がある。偽の識別情報を製品データベースに追加され、かつ偽の識別情報を元に生成したデータを有するRFIDタグを製品に付された場合には、判定機能を有するサーバが偽造品を正規品と判定してしまう虞があり、真贋判定の信頼性を十分に確保できないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、高い信頼度で真贋判定を行うことができる真贋判定システムおよび真贋判定システムにおいて利用される判定用識別コードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の真贋判定システムは、
製品を識別する固有の製品識別情報をブロックチェーン上に記録させる記録手段と、
前記ブロックチェーンから記録の際に取得した少なくともハッシュ値と前記製品識別情報とから判定用識別コードを生成する生成手段と、
前記判定用識別コードを受け付ける受付手段と、
前記受付手段で受付けた前記判定用識別コードから前記ハッシュ値と前記製品識別情報とを抽出する抽出手段と、
前記抽出された前記ハッシュ値を用いて前記ブロックチェーン上に記録された製品識別情報を取得し、前記判定用識別コードから抽出された製品識別情報との整合関係を判定する判定手段と、
前記判定手段で判定された整合関係を出力する出力手段と、
を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、製品には生成手段にてブロックチェーンから記録の際に取得したハッシュ値と製品識別情報とから生成された判定用識別コードが付され、受付手段では、製品に付された判定用識別コードを消費者や販売業者から受け付け、抽出手段はこの判定用識別コードからハッシュ値および製品識別情報を抽出する。判定手段は、該ハッシュ値を用いてブロックチェーンから取得された製品識別情報と判定用識別コードから抽出された製品に付された製品識別情報との整合関係を判定する構成となっている。製品識別情報はブロックチェーンに記録され、該製品識別情報とブロックチェーンからその記録の際に取得したハッシュ値とを含めて判定用識別コードを生成することで、真贋判定に用いられる情報の改竄を防止することができる。また、製品に付された製品識別情報と、当該製品識別情報の記録先であるハッシュ値とが、判定用識別コードでのみ対応付けられているため、真贋判定に用いられる情報が改竄される虞がなく、高い信頼度で真贋判定を行うことができる。
【0008】
前記ブロックチェーンから記録の際に取得したハッシュ値と前記製品識別情報との少なくとも一方に対応させて、前記製品識別情報の製品に対応する動画データを記録させる動画データ記録手段を更に備え、
前記出力手段は、前記判定手段により整合することが判定された場合に、前記抽出手段により前記判定用識別コードから抽出された前記ハッシュ値と前記製品識別情報との少なくとも一方に基づいて当該製品識別情報の製品に対応する前記動画データを視聴可能に出力することを特徴としている。
この特徴によれば、整合することが判定された場合にのみ、製品識別情報に対応する動画を視聴することができるため、この動画の視聴をもって、正規品であるという判定に信頼感を得ることができることに加え、製造業者、販売業者等のサプライヤが製品について伝えたい思いやコンセプトを物語として知ることができ、正規品だけの所有欲を満たすことができる。
【0009】
前記動画データを分散型ファイルシステムに保管させ、前記動画データの保管に関するリンクデータと、前記識別情報とを対応付けて前記ブロックチェーン上に記録させることを特徴としている。
この特徴によれば、これら動画データと識別情報との関連性についてはブロックチェーン上でのみ対応関係が記録されるため、この対応関係に対しての改竄を防止できる。
【0010】
前記出力手段は、前記判定手段により整合することが判定された場合に、前記抽出された前記ハッシュ値を前記整合関係とともに出力することを特徴としている。
この特徴によれば、整合することが判定された場合にハッシュ値が出力されることから、消費者等のユーザにあっては判定に用いられたデータが、改竄を強力に抑制できるブロックチェーン上に記録されていることが分かり、正規品であるという判定に信頼感を得ることができる。
【0011】
前記判定手段による判定処理を行うにあたり、製品識別情報毎に判定の履歴を記録管理する管理手段を有することを特徴としている。
この特徴によれば、特定の製品の真贋判定の依頼回数が設定した回数より多い場合には、偽造品の販売に関与していると疑うことができ、当該製品について、当該製品を製造する製造業者に対して偽造品の注意喚起を行うことができる。
【0012】
前記課題を解決するために、本発明の真贋判定システムにおいて利用される判定用識別コードであって、
少なくとも製品を識別する固有の製品識別情報をブロックチェーン上に記録させた際に取得したハッシュ値と前記製品識別情報を符号化して生成された判定用識別コードであることを特徴としている。
この特徴によれば、製品の製品識別情報と、当該製品識別情報の記録先であるハッシュ値とが、判定用識別コードでのみ対応付けられているため、真贋判定に用いられる情報が改竄される虞がなく、高い信頼度で真贋判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例における真贋判定システムおよび真贋判定システムにおいて利用される判定用識別コードを構成するネットワークを示す概念図である。
図2】2次元コードの生成処理を示すフローチャートである。
図3】アプリ上に表示されるトップ画面を示す図である。
図4】同じく利用者ページを示す図である。
図5】同じく読み取り画面を示す図である。
図6】真贋判定処理を示すフローチャートである。
図7】正規品判定出力処理を示すフローチャートである。
図8】アプリ上に表示される正規品判定表示を示す図である。
図9】アプリ上に表示される偽造品判定表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る真贋判定システムおよび真贋判定システムにおいて利用される判定用識別コードを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0015】
実施例に係る真贋判定システムおよび真贋判定システムにおいて利用される判定用識別コードにつき、図1から図9を参照して説明する。
【0016】
真贋判定システムは、製品に付された製品識別情報の読取結果を利用してその製品が正規品であるか否かについて判定する真贋判定を行うことができるシステムであり、製造業者、販売業者、消費者(ユーザ)等に対して真贋判定サービスを提供する管理会社により運用されるものである。
【0017】
図1は、本発明の真贋判定システムを実現するためのシステム及びネットワークを示し、符号1は管理会社が真贋判定システムを提供するための管理サーバであり、符号2は操作端末としてのスマートフォンであり、管理サーバ1と操作端末2とはインターネットを通じて相互通信可能となっている。操作端末2は、2次元コードを読み取る読取手段としてのカメラ(図示略)と、読取手段で読み取られた2次元コードの情報(判定用識別コード)を管理サーバ1に送信する送信手段としての通信部(図示略)を有している。
【0018】
管理サーバ1は、真贋判定を行う処理サーバ3と、操作端末2とインターネットを通じて相互に接続されるサービスサーバ4とを備え、これら処理サーバ3とサービスサーバ4がネットワークで接続されて構成されている。
【0019】
管理サーバ1には、製造業者の端末7とインターネットを通じて相互に接続されており、端末7から真贋判定に用いられる2次元コードの生成依頼を受け付けることができる。端末7は、例えばコンピュータである。
【0020】
また、管理サーバ1は、真贋判定に用いられる情報を、記録サーバ5に記録させる構成となっている。記録サーバ5は、後述するブロックチェーンプラットフォームの動作環境及び分散型ファイルシステムの動作環境である複数のコンピュータ群8,9である。
【0021】
ブロックチェーンプラットフォームの動作環境及び分散型ファイルシステムの動作環境である複数のコンピュータ群8,9のうち、コンピュータ群8はIPFS(Inter Planetary File System)なる分散型ファイルシステムを構成する分散サーバ(保管サーバ)としてのノードである。コンピュータ群9は、Ethereumなるプラットフォームのブロックチェーンのブロックを生成する複数のノードであり、分散型ファイルシステムを構成する分散サーバとしてのノードでもある。
【0022】
製造業者の担当者は、真贋判定サービスを利用する際、端末7を用いて管理サーバ1に対して真贋判定サービスの利用を依頼する。依頼時には、真贋判定の対象とする製品について製品の製造時に付した固有のシリアル番号(製品識別情報)を含む各種情報(製造会社・品名・製造日・シリアル番号)のテキストデータと、当該製品に関する動画データとを、端末7を用いて管理サーバ1に送信する。
【0023】
この動画データとは、製造業者が製品について伝えたい思いやコンセプトを伝えるに当り、製造時の秘話などを織り交ぜて物語のように紹介するストーリーテリングの手法を用いて撮影・作成された動画である。
【0024】
真贋判定サービスの利用が依頼された場合の管理サーバ1が行うプロセスについて図2から図8を用いて説明する。まず、管理サーバ1が行う2次元コードの生成処理について図2のフローチャートを用いて説明する。
【0025】
管理サーバ1の処理サーバ3は、製造業者の端末7からシリアル番号を含む各種情報を受信可能となっている。製造業者の端末7からシリアル番号を受信すると、端末7から受信した各種情報内に、動画データが含まれているか否かを判別する(ステップSa01)し、動画データが含まれていた場合、この動画データを抽出し、IPFSのプラットフォームの分散型ファイルシステム(IPFSのネットワークを構成するコンピュータ群8(図1参照))上にアップロードし保管させる(動画データ記録手段,ステップSa02)。
【0026】
処理サーバ3は、IPFSの分散型ファイルシステムから返されたハッシュ値(以下「分散型ハッシュ値」という。)を一旦保持し、この分散型ハッシュ値とシリアル番号を含むテキストデータと合わせて、ブロックチェーン(ブロックチェーンのネットワークを構成するコンピュータ群9(図1参照))上にアップロードする(ステップSa03)。
【0027】
動画データが含まれていない場合には、シリアル番号を含むテキストデータをブロックチェーン上にアップロードし記録を行う(記録手段,ステップSa04)。なお、ステップSa03,04において、シリアル番号は暗号化されたデータであってもよい。
【0028】
処理サーバ3は、ブロックチェーンから返されたハッシュ値(以下「ブロックチェーンハッシュ値」という。)とシリアル番号とを符号化し2次元コードを生成する(生成手段,ステップSa05)。生成された2次元コードは、ここでは詳述しない印刷所にて印刷され、製造業者に郵送される。または、生成された2次元コードをPDF等にしてインターネットを介して、製造業者の端末7に送信するようにしてもよい。
【0029】
製造業者は、2次元コードを真贋判定の対象とする製品に付し、出荷を行う。2次元コードを付された製品は、製品を入荷した販売業者や消費者の希望により真贋を確かめることができる。次いで、真贋判定処理について図3から図8を用いて説明する。尚、ここでは消費者が真贋を希望した場合について説明する。
【0030】
真贋判定サービスを利用する場合、消費者は真贋判定サービスを提供する管理会社が提供する所定のアプリを操作端末2に予めインストールし、氏名や住所などの個人を特定する個人情報とユーザIDとパスワードを設定して利用者登録を行っておく。利用者の登録情報はサービスサーバ4に記録される。
【0031】
アプリが起動されると操作端末2には、図3に示されるようなトップ画面10が表示される。トップ画面10には、予め利用者登録を行ったユーザIDとパスワードの入力欄とログインボタン11が表示される。ログインボタン11が選択されると、アプリはサービスサーバ4に入力されたユーザIDとパスワードを送信する。サービスサーバ4は、ユーザIDとパスワードにより認証を行い、認証に成功した場合、アプリに利用者ページ12を表示させる。
【0032】
図4に示されるように、利用者ページ12には、当該利用者が行った真贋判定の履歴を参照できる判定履歴ボタン13と、2次元コードの読み取りを開始する読取ボタン14が表示される。サービスサーバ4はユーザID毎に行った真贋判定の履歴を記録管理(管理手段)しており、図では詳述しないが、判定履歴ボタン13が選択されると、真贋判定の履歴を閲覧することができる。
【0033】
読取ボタン14が選択されると、図5に示されるような読み取り画面15が表示される。消費者は、読み取り画面15を表示した状態で、手元の製品に付された2次元コードCを読み取らせる。
【0034】
図6は、管理サーバ1が行う真贋判定処理を示すフローチャートである。2次元コードが読み取られると、読み取られた読取データは管理サーバ1のサービスサーバ4に送信され、サービスサーバ4にて受け付けられる(受付手段)。サービスサーバ4は、受信した読取データを復号化(抽出手段,ステップSb01)し、当該読取データが真贋判定サービスで利用されるものであるかを確認した後、復号化したデータを処理サーバ3に送信する(ステップSb02)。
【0035】
復号化されたデータは、ブロックチェーンハッシュ値とシリアル番号であり、処理サーバ3は、復号化されたシリアル番号を一旦保持(ステップSb03)し、コンピュータ群9にアクセスしブロックチェーンハッシュ値からブロックチェーン上のデータを参照する(ステップSb04)。次いで、ブロックチェーンハッシュ値から参照されたブロックチェーン上のデータからシリアル番号を抽出し、ステップSb03で保持していたシリアル番号とステップSb04でブロックチェーンハッシュ値から参照されたシリアル番号の2つを照会し、これらの整合関係を判定(判定手段,ステップSb05)する。
【0036】
整合している場合には製品が正規品であると判定し、正規品判定出力処理に移る(ステップSb06)。整合していない場合にはサービスサーバ4に対して操作端末2に偽造品であることを示す偽造品判定表示を表示させる指示を行い(ステップSb07)、真贋判定処理を完了する。偽造品判定表示には、偽造品であることを説明する文言が表示される(後述する図9参照。)。
【0037】
また、処理サーバ3は、ステップSb04にてブロックチェーンハッシュ値が得られない場合には、偽造品判定表示を表示させる指示を行う(ステップSb07)。さらに、処理サーバ3は、ステップSb04にてブロックチェーンハッシュ値が得られものの、ブロックチェーン上にシリアル番号が存在しない場合についても偽造品判定表示を表示させる指示を行う(ステップSb07)。
【0038】
正規品判定出力処理について図7のフローチャートと図8を用いて説明する。処理サーバ3は、ブロックチェーンハッシュ値から参照されたブロックチェーン上のデータに分散型ハッシュが含まれているか否かを判定(ステップSc01)し、分散型ハッシュ値が含まれている場合には、分散型ハッシュ値から分散型ファイルシステム上の動画データを参照する(ステップSc02)。分散型ハッシュ値が含まれていない場合には、ブロックチェーンハッシュ値から参照されたブロックチェーン上のデータからシリアル番号を含む各種情報のテキストデータをアプリにおける正規品判定表示16にサービスサーバ4を通じて表示(ステップSc03)させ、正規品判定出力処理及び真贋判定処理を完了する。
【0039】
処理サーバ3は、分散型ハッシュ値から参照された動画データを抽出し、ストリーミング再生が可能な形式に変換した後、当該動画データをストリーミング再生できるリンク情報を生成する(ステップSc04)。そして、ブロックチェーンハッシュ値から参照されたデータからシリアル番号を含む各種情報のテキストデータとリンク情報とを、アプリにおける正規品判定表示16にサービスサーバ4を通じて表示(ステップSc05)させ、正規品判定出力処理及び真贋判定処理を完了する。
【0040】
図8に示されるように、正規品判定表示16には、正規品であることを説明する文言17、製造会社、品名、製造日、シリアル番号18、ブロックチェーンハッシュ値19、動画の動画視聴ボタン20が表示される。消費者は、真贋判定の結果として正規品判定表示16が表示されたことで、読み取った2次元コードが付された製品が正規品であることを確認することができる。昨今ではインターネットショッピングを始めとする通信販売が広く定着し、製品を購入できる販売店が多く、販売店によっては真贋の判断を省略、または故意に偽造品を販売するものもあり、このように消費者自身が真贋の判断ができることは、今後更に広く活用される通信販売において製品の信頼性を高め、消費者の購買意欲を高めることが期待できる。
【0041】
また、正規品判定表示16には、正規品であることを説明する文言に加えて、製造会社、品名、製造日、シリアル番号18、ブロックチェーンハッシュ値19が表示されるため、正規品であるという判定に信頼感を得ることができる。特に、正規品判定表示16にブロックチェーンハッシュ値19が表示されることで、判定に用いられたデータが改竄を強力に抑制できるブロックチェーン上に記録されていることが分かり、正規品であるという判定に信頼感を得ることができる。
【0042】
更に、正規品であった場合にのみ表示される動画の動画視聴ボタン20を選択し、動画視聴することができるため、正規品であるという判定に信頼感を得ることができることに加え、製造業者が製品について伝えたい思いやコンセプトを物語として知ることができ、正規品だけの所有欲を満たすことができる。
【0043】
また、サービスサーバ4は、生成した動画データをストリーミング再生できるリンク情報毎に閲覧履歴を記録している。詳しくは、リンク情報へアクセスした、すなわち動画を視聴した端末のIPアドレスやマックアドレスなどの端末情報を日時とともに記録し、かつ同様のリンク情報に対するアクセス回数すなわち視聴回数をカウントしている。この閲覧履歴の情報は、ブロックチェーン上にアップロードされ、記録される。そのため、この閲覧履歴の情報の改竄を防止することができる。また、閲覧履歴の記録以外にも、真贋判定の履歴を、製品識別番号であるシリアル番号ごとや、同一製品ごと、ユーザIDごとに記録管理してもよい。
【0044】
そして、サービスサーバ4は、予め設定した回数を超えた場合、閲覧回数が多いことを示す警告表示30(図9参照)を正規品判定表示16に表示するとともに、当該リンク情報を処理サーバ3に送信する。これによれば、閲覧回数が設定した回数より多い場合には、2次元コードそのものが複製され、複数の操作端末2から真贋判定の依頼があった可能性が疑われる。そのため、警告表示を見た消費者には、販売店や製造業者に問い合わせることで、正規品であるか否かを確認する行動を促す効果がある。
【0045】
また、サービスサーバ4は、生成した動画データをストリーミング再生できるリンク情報毎に閲覧履歴を記録する他、ユーザID毎にリンク情報に閲覧履歴を記録しており、不自然な回数で真贋判定の依頼を行うユーザIDを監視することができる。
【0046】
更に、サービスサーバ4は、シリアル番号毎に閲覧履歴を記録しており、不自然な回数で真贋判定の依頼が行われたシリアル番号について監視することで、当該シリアル番号が符号化された2次元コードの複製を疑うことができる。
【0047】
また、サービスサーバ4は、動画データをストリーミング再生できるリンク情報が閲覧される際には、閲覧を行う操作端末2から日時の情報に加え位置情報(GPS)を得るようになっており、閲覧履歴の情報にこれら日時の情報と位置情報を含めて記録するようになっている。これによれば、同じリンク情報、同じユーザID、同じシリアル番号のいずれかにおいて、複数の閲覧履歴の日時が同時または近接している場合には、偽造品との関与が疑われる。また、不自然な数で複数の閲覧履歴の位置情報が同位置または近接して密集している場合にも偽造品との関与が疑われる他、日時の情報と位置情報とを組み合わせることでより詳細に偽造品の関与を把握することができる。尚、製造業者の工場等では、テストように閲覧が複数回行われる可能性があるため、前記位置情報を用いることで、このような特定の場所での閲覧回数を、偽造品を疑う判断条件から除外するのが好ましい。
【0048】
また、サービスサーバ4は、製品の売買などにおける取引情報を受け付けることができるようになっており、シリアル番号毎にそれぞれの取引情報をブロックチェーン上に記録し、2次元コードから復元されたシリアル番号に基づき、必要に応じて閲覧できるようにしてもよい。これによれば、トレーサビリティを高めることができる。
【0049】
処理サーバ3は受信したリンク情報に対応するシリアル番号を注意喚起リストに記録し、以降、真贋判定の依頼に伴い受信したシリアル番号が注意喚起リストに記録されている場合には、当該シリアル番号に対応する2次元コードの情報の送信元である操作端末2の正規品判定表示16に警告表示を表示させる。これによれば、消費者に対して迅速に2次元コードそのものが複製された疑いがあることを警告することができる。
【0050】
上記した本実施例における真贋判定システムの構成をまとめると、管理サーバ1は、製品の製造会社が製品を識別するために付した固有の識別情報であるシリアル番号と、当該シリアル番号をブロックチェーン上に記録した際に取得したハッシュ値とから2次元コードを生成する。製造会社は、生成された2次元コードを製品に付加し、直接販売したり、販売業者に出荷したりできる。製品の購入者である消費者や販売業者は、スマートフォンなどの操作端末2を用いて製品に付された2次元コードを読み取り、管理サーバ1に対して真贋判定の依頼を行う。管理サーバ1は、操作端末から受付けた2次元コードの情報からブロックチェーンハッシュ値とシリアル番号とを復元し、復元されたブロックチェーンハッシュ値を用いてブロックチェーン上に記録されたシリアル番号を取得し、2次元コードから直接復元されたシリアル番号との整合関係を判定し、判定された整合関係を操作端末2に出力する構成となっている。これによれば、消費者や販売業者は操作端末2にアプリをインストールして、製品に付された2次元コードを読み取るだけで真贋判定を容易に行うことができる。また、製品に付された識別情報と、当該識別情報の記録先であるブロックチェーンハッシュ値とが、2次元コードでのみ対応付けられているため、真贋判定に用いられる情報に改竄される虞がなく、高い信頼度で真贋判定を行うことができる。
【0051】
また、管理サーバ1は、真贋判定処理により2つのシリアル番号が整合することが判定された場合、すなわち正規品である判定を行う際に、シリアル番号18とともに保管された動画データを視聴可能に操作端末2に出力するため、消費者は正規品であった場合にのみ表示される動画の動画視聴ボタン20を選択し、動画視聴することができるため、この動画の視聴をもって、正規品であるという判定に信頼感を得ることができる。
【0052】
また、管理サーバ1は、分散型ファイルシステムを構成するコンピュータ群8に動画データを保管させ、動画データの保管に関する関連データである分散型ハッシュ値とシリアル番号とを対応付けてブロックチェーンのノードであるコンピュータ群9に記録させる構成であり、これら動画データとシリアル番号との関連性についてはブロックチェーン上でのみ対応関係が記録されるため、この対応関係に対しての改竄を防止でき、悪意ある動画データのすり替えなどを防止できる。
【0053】
また、管理サーバ1は、真贋判定に用いる製品識別情報を製品の製造時に付与されたシリアル番号としているため、管理サーバ1は新たに真贋判定に用いる新たな識別情報と新たな識別情報とシリアル番号との対応関係を用意し、管理する必要がなく、悪意ある改竄の危険に晒されることがない。言い換えると、既に製品に付された固有のシリアル番号を用いて真贋判定を行うことで、確実に真贋判定の信頼性を維持することができる。
【0054】
また、2次元コード内のブロックチェーンハッシュ値とシリアル番号は、管理サーバ1でのみ復元が可能であり、なおかつ正規品の判定がされない限り視覚されない構成となっている。そのため、正規の2次元コードが単純に複製された場合にも、製品に付したシリアル番号と整合させることは難しく、悪意ある2次元コードの偽造を効果的に防止することができる。
【0055】
また、上記実施例においては、管理サーバ1では、ブロックチェーンから返されたブロックチェーンハッシュ値とシリアル番号とを符号化して2次元コードを生成しているが、ブロックチェーンハッシュ値とシリアル番号とに基づいて2次元コードを生成すればよく、符号化以外の方法を用いてもよい。
【0056】
また、サービスサーバ4は、真贋判定の依頼を受ける際に操作端末2よりユーザIDを受け付けており、ユーザID毎に真贋判定の履歴を記録管理しているため、管理会社は不正を検出し易い。例えば真贋判定の依頼件数が極端に多い場合は、偽造品の販売に関与していると疑うことができ、当該ユーザIDから真贋判定を依頼された種類の製品について、当該製品を製造する製造業者に対して偽造品の注意喚起を行うことができる。更に、真贋判定の履歴についてもブロックチェーン上に記録することで、改竄を防止することができる。
【0057】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0058】
例えば、前記実施例において、消費者や販売業者は、操作端末2にインストールしたアプリを用いて真贋判定の依頼を行う構成で説明したが、これに限らず、例えば管理サーバ1のサービスサーバ4にウェブアプリケーションを実行する機能を実装させ、操作端末2のブラウザ上で2次元バーコードの読み取り画面や判定結果を表示させてもよい。
【0059】
また、処理サーバ3は、受け付けた動画データを分散型ファイルシステムに保管した際に返された分散型ハッシュ値と、固有のリンク情報と、シリアル番号とを対応付けた対応テーブルを備え、固有のリンク情報とシリアル番号とを上述したブロックチェーン上に記録し、返されたブロックチェーンハッシュ値とシリアル番号とから2次元コードを生成するようにしてもよい。そして、対応テーブルにおける分散型ハッシュ値を変更可能とすることで、動画データを変更しても、固有のリンク情報との対応関係を維持することができ、最新の動画を消費者に視聴させることができる。
【0060】
また、シリアル番号を含む各種情報のテキストデータは、1種類のプラットフォームのブロックチェーン上に記録する構成に限らず、例えばシリアル番号のテキストデータを第1のプラットフォームのブロックチェーン上に記録し、第1のプラットフォームのブロックチェーンから返されたハッシュ値とその他のテキストデータまたは動画データとを第2のプラットフォームのブロックチェーン上に記録する構成としてもよい。これによれば、プラットフォーム毎の長所短所に応じて最適な組み合わせで記録を行うことができる。
【0061】
真贋判定の結果として出力される情報は、正規品であるか偽造品であるかの2択であったが、これに限らず、例えば判定結果の信頼度を点数化して出力してもよい。例えば、上述した動画の閲覧回数に基づき、設定した回数より多く視聴されている場合には、2次元コードそのものが複製された可能性が疑われるため、真贋判定を出力する際に、正規品判定結果としての信頼度を減点して出力する構成としてもよい。
【0062】
また、前記実施例におけるブロックチェーンは、パブリックチェーンの仕様でもよいし、管理会社が提供する管理サーバ1を構成する複数のコンピュータ上の環境で動作する、所謂プライベートチェーンであってもよい。
【0063】
また、消費者や販売業者が利用するクライアント側の操作端末は、スマートフォンに限らず、タブレットやコンピュータでもよい。
【0064】
また、真贋判定に用いられる判定用識別コードは、前記実施例のような2次元コードに符号化される構成に限らず、RFID内に記録される構成であってもよい。
【0065】
また、2次元コードは、印刷したシールを製品に貼付したりしてもよいし、製品に直接彫り込んで刻印されてもよい。
【0066】
また、閲覧履歴や真贋判定履歴については、ブロックチェーン上に記録する構成に限らず、サービスサーバ4の備えるストレージに保存される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 管理サーバ
2 操作端末
3 処理サーバ
4 サービスサーバ
7 端末
8 コンピュータ群
9 コンピュータ群
10 トップ画面
11 ログインボタン
12 利用者ページ
13 判定履歴ボタン
14 読取ボタン
15 画面
16 正規品判定表示
17 文言
18 シリアル番号
19 ブロックチェーンハッシュ値
20 動画視聴ボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9