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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072832
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】花器
(51)【国際特許分類】
   A47G 7/02 20060101AFI20220510BHJP
【FI】
A47G7/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020182486
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】318017213
【氏名又は名称】株式会社フラワーベース
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】服部 健夫
(57)【要約】
【課題】切花を安定して支持すること。
【解決手段】花器は、上部開口11を有する周壁12及び上部開口11に対向する底壁13を有する花器本体10と、花器本体10の内部に収容されるとともに切花Fを挿通可能な複数の支持孔24を有する花留20とを備え花留20は、底壁13から上方に離れた位置にて周壁12に支持されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口を有する周壁及び前記上部開口に対向する底壁を有する花器本体と、
前記花器本体の内部に収容されるとともに切花を挿通可能な複数の支持孔を有する花留と、を備え、
前記花留は、前記底壁から上方に離れた位置にて前記周壁に支持されている、
花器。
【請求項2】
前記花留は、前記周壁の内周面に対向する外周面を有する外周部を備えており、
前記周壁の前記内周面は、下方ほど内周側に位置するように傾斜した第1テーパ部を含んでおり、
前記外周部の前記外周面は、下方ほど内周側に位置するように傾斜した第2テーパ部を含んでおり、
前記第1テーパ部と前記第2テーパ部とが面接触することで、前記花留が前記周壁に支持されている、
請求項1に記載の花器。
【請求項3】
前記外周部は、環状であり、
前記花留は、前記外周部の内周面に連結された複数の第1格子及び複数の第2格子と、を有しており、
前記複数の第1格子は、互いに平行に延びており、
前記複数の第2格子は、前記第1格子に対して交差するとともに互いに平行に延びており、
前記支持孔は、互いに隣り合う前記第1格子同士と、互いに隣り合う前記第2格子同士とによって区画されている、
請求項2に記載の花器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部開口を有する花器本体と、花器本体の内部に収容され、切花を支持する花留とを備える花器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生け花やフラワーアレンジメントにおいて用いられる花器がある。こうした花器は、上部開口を有する花器本体と、花器本体の内部に収容され、切花を支持する花留とを備えている。
【0003】
こうした花留としては、上方に向かって突出するとともに切花を支持する複数の針を有する剣山や、上方に向かって開口するとともに切花を支持する複数の支持孔を有するものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平1-4166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、こうした従来の花器においては、花留が花器本体の底壁上に載置された状態で使用される。この場合、切花の下端が花留によって支持されるため、切花が自重により下端を起点として傾きやすく、切花を安定して支持することが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための花器は、上部開口を有する周壁及び前記上部開口に対向する底壁を有する花器本体と、前記花器本体の内部に収容されるとともに切花を挿通可能な複数の支持孔を有する花留と、を備え、前記花留は、前記底壁から上方に離れた位置にて前記周壁に支持されている。
【0007】
同構成によれば、花留が花器本体の底壁から上方に離れた位置にて周壁に支持されているため、切花の茎の下端が底壁により支持されるとともに、切花の茎の途中の部分が花留の支持孔により支持される。したがって、切花を安定して支持することができる。
【0008】
上記花器において、前記花留は、前記周壁の内周面に対向する外周面を有する外周部を備えており、前記周壁の前記内周面は、下方ほど内周側に位置するように傾斜した第1テーパ部を含んでおり、前記外周部の前記外周面は、下方ほど内周側に位置するように傾斜した第2テーパ部を含んでおり、前記第1テーパ部と前記第2テーパ部とが面接触することで、前記花留が前記周壁に支持されていることが好ましい。
【0009】
同構成によれば、周壁の内周面の第1テーパ部と外周部の外周面の第2テーパ部とが面接触することで、花留が周壁に支持されている。このため、周壁の内周面に花留を支持する突部などを設けることなく、周壁によって花留を安定して支持することができる。これにより、花器本体の内周面を円滑面にすることができる。したがって、花器本体、ひいては花器の外観を向上できる。
【0010】
上記花器において、前記外周部は、環状であり、前記花留は、前記外周部の内周面に連結された複数の第1格子及び複数の第2格子と、を有しており、前記複数の第1格子は、互いに平行に延びており、前記複数の第2格子は、前記第1格子に対して交差するとともに互いに平行に延びており、前記支持孔は、互いに隣り合う前記第1格子同士と、互いに隣り合う前記第2格子同士とによって区画されていることが好ましい。
【0011】
同構成によれば、互いに平行に延びる複数の第1格子と、互いに平行に延びる第2格子とによって複数の支持孔が区画される。このため、支持孔を簡単な構成によって具現化することができる。また、花留の意匠性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、切花を安定して支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】花器の一実施形態について、花器の分解斜視図。
図2】同実施形態の花器の断面図。
図3】同実施形態の花留の平面図。
図4】同実施形態の花器に切花が生けられた状態の断面図。
図5】変形例の花留の平面図。
図6】他の変形例の花留の平面図。
図7】他の変形例の花器の断面図。
図8】同変形例の花器本体の平面図。
図9】他の変形例の花器本体の平面図。
図10】同変形例の花留の平面図。
図11】他の変形例の花留の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1図4を参照して、花器の一実施形態について説明する。
図1及び図2に示すように、花器は、花器本体10と、花留20とを備えている。花器本体10及び花留20は、いずれも硬質樹脂材料製である。
【0015】
まず、花器本体10について説明する。
図1及び図2に示すように、花器本体10は、上部開口11を有する円筒状の周壁12及び上部開口11に対向する底壁13を有している。
【0016】
上部開口11及び底壁13は、共に平面視円形状である。
周壁12の外径及び内径は、下方ほど小さい。
周壁12の内周面は、下方ほど内周側に位置するように傾斜した第1テーパ部12aを含んでいる。第1テーパ部12aは、全周にわたって設けられている。
【0017】
花器本体10は、円筒状の脚壁14を有している。脚壁14は、周壁12の外周面に連なるとともに下方に向かって延在している。
脚壁14の外径及び内径は、下方ほど大きい。脚壁14の外周面と周壁12の外周面とは、滑らかに連なっている。詳しくは、周壁12及び脚壁14の外周面は、上下方向に対して湾曲している。
【0018】
次に、花留20について説明する。
図1図3に示すように、花留20は、花器本体10の内部に収容されるとともに切花Fを挿通可能な複数の支持孔24を有している。花留20は、上部開口11を通じて花器本体10の内部に収容される。
【0019】
花留20は、周壁12の内周面に対向する外周面を有する円環状の外周部21を備えている。
外周部21の外周面は、下方ほど内周側に位置するように傾斜した第2テーパ部21aを含んでいる。第2テーパ部21aは、全周にわたって設けられている。
【0020】
図3に示すように、花留20は、外周部21の内周面に連結された複数の第1格子22及び複数の第2格子23とを有している。複数の第1格子22は、互いに平行に延びている。複数の第2格子23は、第1格子22に対して直交するとともに互いに平行に延びている。本実施形態の第1格子22及び第2格子23の数は、共に4つである。第1格子22及び第2格子23は、共に所定の厚さ及び所定の幅を有する帯板状である。
【0021】
図1及び図2に示すように、第1格子22及び第2格子23は、それらの幅方向が上下方向と一致するように配置されている。
図2及び図3に示すように、支持孔24は、互いに隣り合う第1格子22同士と、互いに隣り合う第2格子23同士とによって区画されて平面視正方形状の第1支持孔24aを含む。本実施形態では、9つの第1支持孔24aが設けられている。
【0022】
花留20は、第1支持孔24aの他に、外周部21と、第1格子22と、第2格子23とによって区画される複数の第2支持孔24b及び複数の第3支持孔24cを有している。
【0023】
第2支持孔24bは、外周部21と、1つの第1格子22と、1つの第2格子23とによって区画されている。
第3支持孔24cは、外周部21と、1つの第1格子22と、互いに隣り合う2つの第2格子23とによって、あるいは、外周部21と、互いに隣り合う2つ第1格子22と、1つの第2格子23とによって、区画されている。
【0024】
本実施形態では、4つの第2支持孔24b、及び8つの第3支持孔24cが設けられている。これら第2支持孔24b及び第3支持孔24cにも第1支持孔24aと同様にして切花Fが挿通可能である。
【0025】
図2に示すように、第1テーパ部12aと第2テーパ部21aとが全周にわたって面接触することで、花留20が周壁12に支持されている。花留20は、底壁13から上方に離れた位置にて周壁12に支持されている。花留20は、周壁12の上端よりも下方において支持されている。
【0026】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図4に示すように、花留20が花器本体10の底壁13から上方に離れた位置にて周壁12に支持されている。このため、切花Fの茎の下端が底壁13により支持されるとともに、切花Fの茎の途中の部分が花留20の支持孔24により支持される。
【0027】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)花器は、上部開口11を有する周壁12及び上部開口11に対向する底壁13を有する花器本体10と、花器本体10の内部に収容されるとともに切花Fを挿通可能な複数の支持孔24を有する花留20とを備えている。花留20は、底壁13から上方に離れた位置にて周壁12に支持されている。
【0028】
こうした構成によれば、上記作用を奏することから、切花Fを安定して支持することができる。その結果、切花Fの見栄えを良くすることが容易にできるといった効果や、切花Fの姿勢を長期間にわたって適切に保持することができるといった効果を奏することができる。
【0029】
(2)花留20は、周壁12の内周面に対向する外周面を有する外周部21を備えている。周壁12の内周面は、下方ほど内周側に位置するように傾斜した第1テーパ部12aを含んでいる。外周部21の外周面は、下方ほど内周側に位置するように傾斜した第2テーパ部21aを含んでいる。第1テーパ部12aと第2テーパ部21aとが面接触することで、花留20が周壁12に支持されている。
【0030】
こうした構成によれば、周壁12の内周面の第1テーパ部12aと外周部21の外周面の第2テーパ部21aとが面接触することで、花留20が周壁12に支持されている。このため、周壁12の内周面に花留20を支持する突部などを設けることなく、周壁12によって花留20を安定して支持することができる。これにより、花器本体10の内周面を円滑面にすることができる。したがって、花器本体10、ひいては花器の外観を向上できる。
【0031】
(3)外周部21は、環状である。花留20は、外周部21の内周面に連結された複数の第1格子22及び複数の第2格子23とを有している。複数の第1格子22は、互いに平行に延びている。複数の第2格子23は、第1格子22に対して直交するとともに互いに平行に延びている。支持孔24は、互いに隣り合う第1格子22同士と、互いに隣り合う第2格子23同士とによって区画された第1支持孔24aを含んでいる。
【0032】
こうした構成によれば、互いに平行に延びる複数の第1格子22と、互いに平行に延びる第2格子23とによって複数の第1支持孔24aが区画される。このため、支持孔24を簡単な構成によって具現化することができる。また、花留20の意匠性を向上させることができる。
【0033】
(4)花留20は、周壁12の上端よりも下方において支持されている。
例えば花留20を周壁12の上端において支持する構成においては、花留20に対して外力が作用することで、花留20が周壁12の上端を乗り越えて外に抜け出すおそれがある。
【0034】
この点、上記構成によれば、花留20が、周壁12の上端よりも下方において支持されているため、花留20の抜け出しを抑制することができる。
<変更例>
上記実施形態は、例えば以下のように変更して実施することもできる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0035】
・花器本体10及び花留20の大きさを適宜変更することができる。例えば、図5に示す花留20は、5つの第1支持孔24a、4つの第2支持孔24b、及び4つの第3支持孔24cを有している。例えば、図6に示す花留20は、1つの第1支持孔24a、及び4つの第2支持孔24bを有している。ただし、花留20は、第3支持孔24cを有していない。
【0036】
・上記実施形態では、円筒状の脚壁14について例示したが、これに代えて、周壁12の外周面に複数の脚部を設けることもできる。
図7及び図8に示すように、脚壁14を省略することもできる。
【0037】
図7及び図8に示すように、周壁12の上部開口11を平面視円形状とする一方、底壁13を平面視五角形状などの多角形状とすることもできる。この場合、周壁12の断面形状は上方から下方にかけて円形状から五角形状へと連続的に変化している。
【0038】
・花器本体10の上部開口11の形状は円形状に限定されず、四角形状や三角形状などの多角形状であってもよい。この場合、上部開口11の形状に応じて花留20の外周部21の形状を適宜変更すればよい。
【0039】
・例えば図9に示すように、周壁12の上部開口11を花形状にすることもできる。この場合、図10に示すように、花留20の外周部21の形状を上部開口11に対応した花形状にすればよい。
【0040】
・花留20は、環状の外周部21を有するものに限定されない。例えば、図11に示すように、花留120は、板状であり、その厚さ方向に貫通する複数の支持孔124を有するものであってもよい。
【0041】
・周壁12の内周面の第1テーパ部12aは、周方向において部分的に設けられていてもよい。この場合、外周部21の外周面の第2テーパ部21aについては、第1テーパ部12aに対向する部分にのみ設ければよい。
【0042】
・上記実施形態及び変形例では、周壁12の内周面に第1テーパ部12aを設けるとともに、外周部21の外周面に第2テーパ部21aを設けたが、第1テーパ部12a及び第2テーパ部21aのいずれか一方を省略することもできる。この場合であっても、花留20を底壁13から上方に離れた位置にて周壁12に支持させることはできる。
【0043】
・周壁12の内周面に、花留20を下方から支持する突部を設けるようにしてもよい。
・花留20は、周壁12の上端にて支持されるものであってもよい。
・花器本体10及び花留20の材料は、硬質樹脂材料に限定されず、金属やセラミックなどの他の材料によって形成することもできる。
【符号の説明】
【0044】
10…花器本体
11…上部開口
12…周壁
12a…第1テーパ部
13…底壁
14…脚壁
20,120…花留
21…外周部
21a…第2テーパ部
22…第1格子
23…第2格子
24,124…支持孔
24a…第1支持孔
24b…第2支持孔
24c…第3支持孔
F…切花
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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