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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072844
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】マット
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/12 20060101AFI20220510BHJP
【FI】
A47C27/12 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020182506
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】595084807
【氏名又は名称】株式会社アテックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】絹田 務
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AC12
3B096AD04
(57)【要約】
【課題】使用者が快適にマットを使用できるようにする。
【解決手段】マットM1は、ベッドBの床面Sに配置され、使用者Uが横たわるためのマット本体10と、マット本体10に設けられ、床面Sの外側に配置される耳部20と、耳部20に設けられ、マット本体10の内部を流通する空気流Aを発生させるためのファン30と、マット本体10に設けられ、空気流Aが外部からマット本体10に流入するための通気部50とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝具の床面に配置され、使用者が横たわるためのマット本体と、
前記マット本体に設けられ、前記床面の外側に配置される耳部と、
前記耳部に設けられ、前記マット本体の内部を流通する空気流を発生させるための空気流発生部と、
前記マット本体に設けられ、前記空気流が外部から前記マット本体に流入し又は前記マット本体から外部に流出するための通気部と
を備える、マット。
【請求項2】
請求項1に記載のマットにおいて、
前記耳部は、前記マット本体の外周端部から突出して設けられている、マット。
【請求項3】
請求項2に記載のマットにおいて、
前記通気部は、前記マット本体の上面において、前記耳部が設けられた外周端部とは反対側の外周端部に寄った領域に設けられている、マット。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のマットおいて、
前記通気部は、前記マット本体の上面における第1領域に設けられ、
前記第1領域の面積は、前記マット本体の上面において前記第1領域を除く領域である第2領域の面積よりも小さい、マット。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のマットにおいて、
前記マット本体は、内部を空気が流通可能な第1クッション層と、該第1クッション層の両面にそれぞれ設けられた第1カバー層とを有し、
前記耳部は、前記第1クッション層と一体であり内部を空気が流通可能な第2クッション層と、該第2クッション層の両面にそれぞれ設けられ各々が前記第1カバー層と一体の第2カバー層とを有する、マット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が横たわるためのマットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のマットとして、特許文献1には、クッション体と、前記クッション体の内部に空気を流通させるためのファン装置(空気流発生部)とを含む、マットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3221519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の特許文献1のものでは、使用者が横たわる床面に対応するマットに、空気流発生部が設けられているので、空気流発生部の感触がマットに横たわる使用者に違和感や不快感を与える場合がある。このことから、従来のマットは、使用者がより快適に使用するために改善の余地がある。
【0005】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用者がマットを快適に使用できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明では、使用者が横たわる床面の外側に空気流発生部を配置した。
【0007】
本発明の第1の開示は、寝具の床面に配置され、使用者が横たわるためのマット本体と、マット本体に設けられ、床面の外側に配置される耳部と、耳部に設けられ、マット本体の内部を流通する空気流を発生させるための空気流発生部と、マット本体に設けられ、空気流が外部からマット本体に流入し又はマット本体から外部に流出するための通気部とを備える。
【0008】
この第1の開示では、マット本体に、床面の外側に配置される耳部を設け、この耳部に、マット本体の内部を流通する空気流を発生させるための空気流発生部を設けた。すなわち、空気流発生部が、使用者が横たわるマット本体に設けられていないので、空気流発生部が使用者に違和感や不快感を与えない。したがって、使用者がマットを快適に使用できる。
【0009】
第2の開示は、第1の開示において、耳部は、マット本体の外周端部に設けられているので、使用の際、邪魔にならず、使用者がマットを快適に使用できる。
【0010】
第3の開示は、第2の開示において、通気部は、マット本体の上面において、耳部が設けられた外周端部とは反対側の外周端部に寄った領域に設けられている。
【0011】
すなわち、マットの上面視(平面視)において、通気部及び空気流発生部は、マット本体に横たわる使用者の位置を挟むような関係となる。このため、通気部から空気流発生部へ又は空気流発生部から通気部へ向かう空気流は、マット本体おいて使用者が横たわる領域を通過する。その結果、この空気流によって、マット本体における使用者が横たわる領域の温度を調整しやすく且つ湿度を低下させやすい。したがって、使用者がマットを快適に使用できる。
【0012】
第4の開示は、第1~第3の開示のいずれか1つにおいて、通気部は、マット本体の上面における第1領域に設けられ、第1領域の面積は、マット本体の上面において第1領域を除く領域である第2領域の面積よりも小さい。
【0013】
この第4の開示では、マット本体の上面において、通気部が設けられた第1領域の面積は、通気部が設けられていない第2領域の面積よりも小さいので、通気部で流入又は流出する空気流がマット本体に横たわる使用者に直接当たり得る範囲が小さい。すなわち、空気流が使用者に直接当たりにくい。このため、使用者は、空気流が直接当たることによる不快な感じを受けにくい。また、通気部で流入又は流出する空気流が使用者によって妨げられにくいので、空気流が確実にマット本体の内部を流通し、温度及び湿度が低下するという効果が確実に得られる。以上より、使用者がマットを快適に使用できる。
【0014】
第5の開示は、第1~第4の開示のいずれか1つにおいて、マット本体は、内部を空気が流通可能な第1クッション層と、第1クッション層の両面にそれぞれ設けられた第1カバー層とを有し、耳部は、第1クッション層と一体であり内部を空気が流通可能な第2クッション層と、第2クッション層の両面にそれぞれ設けられ各々が前記第1カバー層と一体の第2カバー層とを有する。
【0015】
この第5の開示では、第1~第4の発明の効果を奏する具体的な構成が得られる。また、第2クッション層は第1クッション層と一体であり、いずれのクッション層も内部を空気が流通できるので、マット本体及び耳部の内部に、空気流の連続した流路を確保できる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によると、使用者がマットを快適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係るマットの斜視図である。
図2図1のII-II断面図である。
図3】マットの耳部を右手側から見た平面図である。
図4】第1実施形態の変形例に係るマットを上から見た平面図である。
図5】第2実施形態に係る図4相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の各実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物又はその用途を制限することを意図しない。
【0019】
[第1実施形態]
―マットの構成―
図1は本発明の第1実施形態に係るマットM1を示し、図2は、図1のII-II断面図である。マットM1は、寝具に敷いて使用するものであり、使用者Uが横たわるためのものである。本実施形態では、寝具はシングルベッドB(以下、単に「ベッド」という。)である。
【0020】
なお、以下の説明において、「縦方向」とは、使用者UがマットM1に横たわった際の身体の身長方向を意味し、「横方向」及び「左右方向」とは、身体の幅方向であり上面視(平面視)で身長方向と垂直な方向を意味する。また、「頭側」、「足側」、「左右一方側」及び「左右他方側」とは、使用者UがマットM1に仰向けで横たわった際に、使用者Uの頭、足、右手及び左手がそれぞれ位置する相対的な方向を意味する。「頭側」、「足側」、「左右一方側」及び「左右他方側」という表現は、マットM1の相対的な方向を表すためにのみ用い、マットM1と使用者Uの身体との関係を特定して本発明の範囲を限定するものではない。
【0021】
マットM1は、図1に示すように、ベッドBの床面Sの縦方向略中央に配置される、略矩形状のマット本体10を備える。マット本体10は、使用者Uが横たわるためのものである。マット本体10は、縦方向の長さが、ベッドBの床面Sの縦方向の長さの略半分であり、横方向の長さが、床面Sの横方向の長さと略同じである。マット本体10の厚さは、例えば、1~7cm程度である。
【0022】
マット本体10は、図2に示すように、第1クッション層10aと、第1クッション層10aの両面(上面及び下面)にそれぞれ設けられた第1カバー層10b,10cとを有する。なお、両第1カバー層10b,10cは、後述する耳部20が設けられた部位を除いてマット本体10の外周端部において互いに一体となっており、第1クッション層10aの外側略全体を覆っている。
【0023】
第1クッション層10aは、例えば、線状の熱可塑性樹脂材が三次元状に不規則に絡み合った三次元網状構造物(立体網状構造物)から構成されている。このような構成により、第1クッション層10aは、マット本体10に適度な剛性及びクッション性を与え、且つ、その内部に後述する空気流Aの流路を確保できる。すなわち、第1クッション層10aは、空気流Aの流通層となる。また、第1クッション層10aは、使用者Uの荷重による圧縮によって空気流Aの流路が失われないように、適度な剛性を有する。このため、マット本体10の略全体の領域で、空気流Aの流路を、第1クッション層10aに確保できる。
【0024】
第1カバー層10b,10cは、布製である。具体的に、上側の第1カバー層10bは、後述する第1領域R1では、空気流Aが外部からマット本体1に流入しやすいように、通気性のよい素材(例えばメッシュ生地)から構成されている。上側の第1カバー層10bにおける第1領域R1を除く第2領域R2及び下側の第1カバー層10cは、例えば、ポリエステル及び綿を含む気密性の高い混紡生地層(例えば、ポリエステル85%、綿15%)並びにこの混紡生地層に積層された不織布層により構成されている。上側の第1カバー層10bの第2領域R2及び下側の第1カバー層10cは、上側の第1カバー層10bの第1領域R1よりも気密性が高く、すなわち、空気を通しにくい。このため、上側の第1カバー層10bの第2領域R2及び下側の第1カバー層10cは、外部からの空気の流入(吸入)及び外部への流出(排気)を抑制し、使用者Uに直接に空気流Aが当たるのを抑制する。すなわち、空気をマット本体1内でほとんど漏らさず流通させることができる。
【0025】
また、マットM1は、マット本体10に設けられ、上面視で、床面Sの外側に配置される耳部20を備える。具体的に、耳部20は、マット本体10の左右他方側の外周端部において足側寄りの位置に設けられており、床面Sの左右他方側においてマット本体10の外周端部から突出して設けられ、下方に延びている。耳部20の、基端部21(マット本体10との接続部)における縦方向の長さは、マット本体10の縦方向の長さの25~50%程度である。耳部20の先端部22における縦方向の長さは、基端部21における縦方向の長さよりも少し短くなっている。耳部20の基端部21から先端部22までの長さ(図2において、上下方向の長さ)は、先端部22の縦方向の長さ乃至基端部21の縦方向の長さ程度である。
【0026】
耳部20は、第1クッション層10aと一体で第1クッション層10aと同じ素材の第2クッション層20aを有する。第2クッション層20aの縦方向の長さは耳部20の縦方向の長さと略同じであり、第2クッション層20aの上下方向の長さは耳部20の上下方向の長さの略半分である。すなわち、第2クッション層20aは、耳部20の基端部21から下方の先端部22に向かって、耳部20の上下方向の長さの略半分の位置までの領域に形成されている(図2の破線部分を参照)。言い換えると、第2クッション層20aは耳部20の基端部21から後述するファン30の第1部31にある空気流通口まで設けている。第2クッション層20aの下部には、後述するファン30を配置するための、半円状のファン配置部Hが切欠形成されている。
【0027】
なお、第2クッション層20aは、耳部20を図2のように基端部21で折り曲げ可能な素材で構成されているものの、クッション層20aの基端部21の位置にV字溝や薄肉部を設けることにより、さらに折り曲げやすくしてもよい。
【0028】
また、耳部20は、第2クッション層20aの両面(図2において、左右他方側の面及び左右一方側の面)にそれぞれ設けられ各々が第1カバー層10b,10cと一体の第2カバー層20b,20cを有する(以下、図2における耳部20の左右他方側を「表側」、左右一方側を「裏側」という場合がある。)。すなわち、表側の第2カバー層20bは、上側の第1カバー層10bと一体であり、裏側の第2カバー層20cは、下側の第1カバー層10cと一体である。両面の第2カバー層20b,20cは、布製であり、具体的には、例えば、下側の第1カバー層10cと同様に、気密性の高い混紡生地層と、不織布層とが互いに積層されて構成されている。両第2カバー層20b,20cは、耳部20の外周端部において、互いに一体となっており、第2クッション層20aの外側を覆っている。なお、表側の第2カバー層20bの略中央には、第2クッション層20aのファン配置部Hに対応した孔が形成されている。
【0029】
裏側の第2カバー層20cには、マットM1の製造及びメンテナンスを容易にするためのファスナー20dが設けられている。ファスナー20dを開放すると、後述するファン30のメンテナンスができる。
【0030】
また、マットM1は、耳部20に設けられ、マット本体10の内部を流通する空気流Aを発生させるための空気流発生部としてのファン30を備える。具体的に、ファン30は、その裏側の面が裏側の第2カバー層20cと対向するように配置された円形状の第1部31と、第1部31よりも大径の略傘状の第2部32とを有する。第1部31の略上半分は、第2クッション層20aのファン配置部Hに配置されている。ファン30は、表側の第2カバー層20bに対して、着脱自在に固定されている。
【0031】
図3は、耳部20を裏側から示す。マットM1は、ファン30を操作するためのコントローラ40を備えている。コントローラ40は、耳部20の外部に配置され、電気コードCを介して、一方側でファン30に接続されるとともに、他方側で電源アダプター41に接続されている。ファン30及びコントローラ40を互いに接続する電気コードCは、耳部20のファスナー20dの開口部を通って耳部20の内部から外部へ延びている。
【0032】
また、図1に示すように、マットM1は、マット本体10に設けられ、空気流Aが外部からマット本体10に流入するための通気部50を備える。通気部50は、マット本体10の上面において、耳部20が設けられた左右他方側の外周端部とは反対側である左右一方側の外周端部に寄った領域(マット本体10の横方向の中央部よりも左右一方側の領域)である第1領域R1に設けられている。すなわち、通気部50は、前述したように、通気性のよい素材(例えばメッシュ生地)から構成された、第1領域R1における第1カバー層10bそのものである。
【0033】
ファン30の羽根30aの回転により発生する空気流Aは、通気部50からマット本体10の内部に流入し、マット本体10の第1クッション層10aを左右他方側に向かって流通する。空気流Aは、さらにマット本体10の左右他方側の外周端部から耳部20内の第2クッション層20aを流通し、ファン30から外部へ流出する(図1及び図2の矢印を参照)。
【0034】
第1領域R1は、空気流Aが通気部50から流入するのを使用者Uの身体が妨げないようにし、空気流Aをマット本体10の使用者Uが横たわる領域に確実に流通させるという観点から、マット本体10の左右一方側の外周端部に沿って設けられていることが好ましい。また、第1領域R1は、例えば、矩形状であり、その横方向の長さは、マット本体10の横方向の長さの10%以上33%以下であることが好ましい。また、第1領域R1の面積は、第2領域R2の面積よりも小さい(第2領域R2の面積の50%以下)ことが好ましく、第2領域R2の面積の20%以上35%以下であることがより好ましい。本実施形態の第1領域R1は、左右一方側の外周端部に沿ってマット本体10の縦方向全体を占めるように縦方向に長い略矩形状に形成され、その横方向の長さがマット本体10の横方向の長さの15%以上30%以下が好ましい。
【0035】
―作用・効果―
本実施形態では、マット本体10に、床面Sの外側に配置される耳部20が設けられ、この耳部20に、マット本体10の内部を流通する空気流Aを発生させるためのファン30が設けられている。この構成により、マット本体10の内部を流通する空気流Aによって、マット本体10において使用者Uが横たわる領域の温度を調整し、湿気を除去するという効果が得られる。
【0036】
また、本実施形態では、ファン30が、使用者Uが横たわるマット本体10に設けられていないので、ファン30が使用者Uに違和感や不快感を与えない。また、使用者Uがマット本体10上で掛布団などを使用した場合でも、掛布団がファン30を覆わないので、ファン30における空気の流入又は流出の効率が低下しない。特に、本実施形態のようにファン30から空気が排気される場合、掛布団とマット本体10との間に、排気された空気が流入しないので、温度調整及び湿気除去の効果が低下しない。以上より、使用者Uがマット1を快適に使用できる。
【0037】
また、本実施形態では、耳部20は、マット本体10の外周端部に設けられているので、使用の際、邪魔にならず、使用者UがマットM1を快適に使用できる。
【0038】
また、本実施形態では、通気部50は、マット本体10の上面において、耳部20が設けられた左右他方側の外周端部とは反対側の左右一方側の外周端部に寄った第1領域R1に設けられている。すなわち、マットM1の上面視において、通気部50及びファン30は、マット本体10に横たわる使用者Uの位置を左右両側から挟むような関係となる。このため、通気部50からファン30へ向かう空気流Aは、マット本体10において使用者Uが横たわる領域を通過する。その結果、この空気流Aによって、使用者Uが横たわる領域で、温度を調整しやすく且つ湿気を除去しやすい。したがって、使用者Uが快適にマットM1を使用できる。
【0039】
ところで、マット本体10の内部を流通する空気流Aは、その流路が短いほど、新鮮な空気により近い状態のまま、使用者Uが横たわる領域を流通しファン30から流出するので、温度調整及び湿気除去の効果がより高くなる。ここで、本実施形態では、通気部50及びファン30が、マットM1の上面視で、マット本体10に横たわる使用者Uの位置を左右両側で挟むような関係にあるので、空気流Aは、使用者Uが横たわる領域の左右一方側から左右他方側に、すなわち横方向に流通する。このような構成は、空気流Aが、使用者Uの頭から足まで、すなわち縦方向全体に流通する構成と比較して、空気流Aの流路が短い。このため、温度調整及び湿気除去の効果が比較的高く、使用者Uが快適にマットM1を使用できる。
【0040】
また、本実施形態では、通気部50が設けられた、マット本体10の上面における第1領域R1の面積は、マット本体10の上面において第1領域R1を除く領域である第2領域R2の面積よりも小さいので、通気部50でマット本体10に流入する空気流Aがマット本体10に横たわる使用者Uに直接当たり得る範囲が小さい。すなわち、空気流Aが使用者Uに直接当たりにくい。このため、使用者Uは、空気流Aが直接当たることによる不快な感じを受けにくい。また、通気部50でマット本体10の内部へ流入する空気流Aがマット本体10に横たわる使用者Uによって妨げられにくいので、空気流Aが確実にマット本体10の内部を流通し、使用者Uが横たわる領域で、温度を調整し且つ湿気を除去するという効果が確実に得られる。以上より、使用者Uが快適にマットM1を使用できる。
【0041】
また、本実施形態では、第2クッション層20aは第1クッション層10aと一体であり、いずれのクッション層10a,20aも内部を空気が流通できるので、マット本体10及び耳部20の内部に、空気流Aの連続した流路を確保できる。このため、例えば、第2カバー層20b,20c同士が密着して空気流Aの流路が失われる、という状況が発生する虞がない。したがって、使用者Uが快適にマットM1を使用できる。
【0042】
[第1実施形態の変形例]
以上の説明では、マットM1を敷く寝具として、ベッドBを例として示したが、これに限られない。例えば、マットM1は、図4に示すように、敷布団F(寝具)の上に敷いて使用してもよい。すなわち、マット本体10を、敷布団Fの上面(床面)の縦方向略中央に配置してもよい。
【0043】
敷布団Fは、畳(図示しない)の上に敷かれており、耳部20もまた、図4に示すように、畳の上に載置されている。すなわち、この変形例では、マット本体10をベッドBの床面Sに配置した図2の状態と比較して、耳部20とマット本体10とのなす角度が180度により近くなっている。
【0044】
このように、マットM1は、寝具の形態に合わせて、耳部20を折り曲げる角度を自由に変えられるので、使用しやすい。
【0045】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態に係るマットM2を示す。本実施形態に係るマットM2は、マット本体10の形状及びサイズ、耳部20の数及び位置、ファン30の数及び位置並びに通気部50の位置が、第1実施形態に係るマットM1と異なる。
【0046】
具体的に、本実施形態では、マット本体10の縦方向の長さが第1実施形態のマット本体10の縦方向の長さの略2倍であり、全体の形状及び大きさが寝具としての敷布団Fの床面Sの形状及び大きさと略同じである。
【0047】
また、耳部20,20は、マット本体10の足側の外周端部に2つ、横方向に並んで設けられている。各耳部20には、ファン30が1つずつ設けられている。
【0048】
また、通気部50は、マット本体10の上面において、耳部20,20が設けられた足側の外周端部とは反対側である頭側の外周端部に寄った第1領域R1に設けられている。具体的に、第1領域R1は、頭側の外周端部に沿ってマット本体10の横方向全体を占めるように横方向に長い略矩形状に形成され、その縦方向の長さはマット本体10の縦方向の長さの10%以上30%以下である。
【0049】
このように、本実施形態に係るマットM2では、マット本体10のサイズが第1実施形態のものよりも大きく、使用者Uの身体全体の下側に配置されているので、使用者Uが横たわる領域全体で、温度を調整し且つ湿気を除去するという効果が得られる。また、ファン30,30は、マット本体10の足側の外周端部に2つ並んで設けられているので、ファン30が1つしか設けられていない構成と比較して、より多くの空気流Aを流通させることができる。このため、温度調整及び湿気除去の効果が高くなる。以上より、使用者Uが快適にマットM2を使用できる。
【0050】
[その他の実施形態]
前述の第1実施形態では、マットM1の縦方向の長さは、ベッドBの縦方向の長さの略半分であるが、これに代えて、ベッドBの縦方向の長さと同じ、すなわち、使用者Uの身長よりも長くしてもよい。また、耳部20は、マット本体10の左右他方側の外周端部に1つのみ設けられているが、これに代えて、複数の耳部20,20,…が縦方向に隣り合って設けられ、複数の耳部20,20,…の各々にファン30が設けられていてもよい。また、左右一方側のみ又は左右両側に、耳部20及びファン30を設けてもよい。
【0051】
また、前述の各実施形態では、マットM1,M2を敷いて使用するための寝具は、ベッドB又は布団Fであるが、これに限られず、寝具は、使用者Uが横たわることができればよい。例えば、寝具は、ソファ、畳又は床であってもよい。
【0052】
また、前述の各実施形態では、ファン30は、空気流Aを、通気部50において外部からマット本体10に流入させ、ファン30において外部へ流出させるように発生させるが、空気流Aをこの逆の方向となるように発生させてもよい。すなわち、ファン30は、空気流Aを、ファン30において外部から耳部20に流入させ、通気部50において外部へ流出させるように発生させてもよい。
【0053】
また、前述の各実施形態では、第2クッション層20aは第1クッション層10aと一体であるが、第1クッション層10aとは別体として、耳部20をその基端部21で折り曲げやすくしてもよい。この場合、第2クッション層20aは、例えば、三次元メッシュ構造、ダブルラッセル構造等の立体構造編物又は立体構造織物によって構成してもよい。また、この場合、第2クッション層20aの外側(第2カバー層20b,20cとの間)に空気流の流路を確保するという観点から、第2クッション層20aの厚さを、第1クッション層10aの厚さよりも薄く(例えば、5mm~3cm程度)してもよい。
【0054】
また、前述の各実施形態では、通気部50は、第1領域R1における第1カバー層10bにより構成されているが、これに限定されない。通気部50は、マット本体10の内部及び外部の間で空気が流入又は流出できるように通気性を備えていればよい。
【0055】
なお、第1クッション層10a及び第2クッション層20aの材質は、内部を空気が流通可能であればよく、例えば、三次元メッシュ構造、ダブルラッセル構造等の立体構造編物又は立体構造織物から構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、使用者が横たわるためのマットとして有用である。
【符号の説明】
【0057】
M1 第1実施形態に係るマット
M2 第2実施形態に係るマット
U 使用者
B ベッド(寝具)
F 布団(寝具)
A 空気流
10 マット本体
10a 第1クッション層
10b 第1カバー層
10c 第1カバー層
20 耳部
20a 第2クッション層
20b 第2カバー層
20c 第2カバー層
30 ファン(空気流発生部)
50 通気部
R1 第1領域
R2 第2領域
図1
図2
図3
図4
図5