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  • 特開-食品包装袋および食品包装体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007285
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】食品包装袋および食品包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/28 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
B65D30/28 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020110161
(22)【出願日】2020-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】509009038
【氏名又は名称】アイワ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119367
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 理
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(72)【発明者】
【氏名】中村 雄一郎
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AD15
3E064AE04
3E064BA01
3E064BB03
3E064BC18
3E064EA04
3E064EA09
3E064EA12
3E064EA18
3E064FA06
3E064GA02
3E064HP01
3E064HP03
(57)【要約】
【課題】紙シートを素材として使用しながらも、開封しやすい四面体状の食品包装体を提供する。
【解決手段】
食品包装袋1は、長方形の紙シートである第1シート部2および第2シート部3と、第1シート部2と第2シート部3が接続されている両側辺4および底辺5と、底辺5に対向し第1シート部2と第2シート部3が接続されていない上辺6と、第1シート部2または第2シート部3の少なくとも一方において上辺6に平行に設けられた長さ方向に亀裂の進行方向性を有する開封誘導テープ7と、上辺6と開封誘導テープ7の下端部の間に形成された掴み空間8を有し、開封誘導テープ7が設けられたシート部2で他方のシート部3に向いた面に熱溶着性材料が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形の紙シートである第1シート部および第2シート部と、第1シート部と第2シート部が接続されている両側辺および底辺と、底辺に対向し第1シート部と第2シート部が接続されていない上辺と、第1シート部または第2シート部の少なくとも一方において上辺に平行に設けられた長さ方向に亀裂の進行方向性を有する開封誘導テープと、上辺と開封誘導テープの下端部の間に形成された掴み空間を有し、
開封誘導テープが設けられたシート部で他方のシート部に向いた面に熱溶着性材料が設けられている食品包装袋。
【請求項2】
ポリラミネート層を有する1枚の紙シートがポリラミネート層を内側になるように折り曲げられて形成される長方形の第1シート部および第2シート部と、第1シート部と第2シート部が熱圧着により接続されている両側辺と、折り曲げ線により形成される底辺と、底辺に対向し第1シート部と第2シート部が接続されていない上辺と、第1シート部または第2シート部の少なくとも一方において上辺から20mm以上40mm以下の位置に上辺に平行に設けられた長さ方向に亀裂の進行方向性を有する開封誘導テープを有する食品包装袋。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の食品包装袋により食品が収納され、上辺の両端部同士を合わせて上辺が封止されて四面体状に形成され、開封誘導テープの長さ中央の位置において重なり合ったシート部が接続された接続部が設けられ、接続部の範囲内において開封誘導テープに切り欠き部が形成されている食品包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食品を包装するための四面体状の包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
牛乳等の飲料用の包装材として、四面体状のものは古くより使用されていた。4面のいずれかの中心付近に穴が通しやすい加工がされていて、そこにストローを刺して内容物を飲用する。
【0003】
特許文献1などには、固形物の食品を収容できる四面体状の包装体が記載されている。これらの包装体では、四面体の4辺のいずれかの中央部に開封を容易にする手段が設けられ、ここから四面体を2分割するように切り開く。開封された時には、舟形となり、それを容器のようにテーブルにおいて中の食品を食べることができる。また、袋の素材はプラスチックである。
【0004】
特許文献2には、袋材の内側面に貼着配置される開封破断テープを備えた四面包装体が記載されている。開封破断テープは、底辺の端部から閉塞部の中央部位である袋材の上部開口部の端部に至る開封口を形成するよう左右側面部の内側面に設けられる。
【0005】
引用文献3にはファスナーが設けられた袋体が設けられている。引用文献1や引用文献2で使用される袋はプラスチックフィルムで形成され、引用文献3の袋体のシートもプラスチックシートであるが、同文献には「紙シートでも良い」との記載が一か所だけ表れる(0023段落)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3997251号特許公報
【特許文献2】特許第4523663号特許公報
【特許文献3】特開2016-147718号公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の飲料用の四面体状容器は内容物を指で取り出せるように大きく切り開くことが困難であり、固形の食品用に使用するには適していない。一方、特許文献1や特許文献2などに記載の包装袋はプラスチックフィルムを主要な素材としている。プラスチック製の容器は使用後には、可燃物と分別して廃棄しなければならい。また、回収されなかったプラスチックは環境に流出し、海洋汚染の原因物質の一つともなっていると指摘されており、生態系への悪影響も問題化している。
【0008】
特許文献3には袋の主要部材であるシートについて、紙シートを使用してもよいとの記載があるが、プラスチックシートによる説明があるのみで、紙シートを使用した形態についての説明はない。紙は多数の繊維が絡み合った構造であり、物理的な性質に方向性がない。同文献の図5や0043段落での説明のように、切り込みを設けても、そこから発生した亀裂の進行方向を定めることはできず、容易に開封することはできない。
【0009】
この発明は、紙シートを素材として使用しながらも、開封しやすい四面体状の食品包装体およびそのための食品包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するため、この発明の食品包装袋は、長方形の紙シートである第1シート部および第2シート部と、第1シート部と第2シート部が接続されている両側辺および底辺と、底辺に対向し第1シート部と第2シート部が接続されていない上辺と、第1シート部または第2シート部の少なくとも一方において上辺に平行に設けられた長さ方向に亀裂の進行方向性を有する開封誘導テープと、上辺と開封誘導テープの下端部の間に形成されてた掴み空間とを有し、開封誘導テープが設けられたシート部で他方のシート部に向いた面に熱溶着性材料が設けられている。
【0011】
ポリラミネート層を有する1枚の紙シートを使用し、ポリラミネート層を内側になる折り曲げにより第1シート部および第2シート部を形成することが好ましい。第1シート部と第2シート部が両側辺で熱圧着により接続され、第1シート部または第2シート部の少なくとも一方において上辺から20mm以上40mm以下の位置に開封誘導テープを設けることが好ましい。
【0012】
さらに、この発明の食品包装体は、上述の食品包装袋により食品が収納され、上辺の両端部同士を合わせて上辺が封止されて四面体状に形成され、開封誘導テープの長さ中央の位置において重なり合ったシート部が接続された接続部が設けられ、接続部の範囲内において開封誘導テープに切り欠き部が形成されている。
【発明の効果】
【0013】
この発明の食品包装袋は紙シートを主要な素材としているので、使用後は可燃ごみとして簡単に廃棄処分できる。切断補助テープにより簡単に四面体状の上辺に沿って開封でき、大きな開口を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】食品包装袋を示す正面図である。
図2】同a-a端面図である。
図3】食品包装袋の展開図である。
図4】食品包装袋の原反を示す平面図である。
図5】食包装袋の製造方法の例を模式的に示す平面図である。
図6】食品包装体を示す右側面図である。
図7】同左側面図である。
図8】食品包装体の開封状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明を実施するための形態について図面に基づいて説明する。図1は食品包装袋を示す正面図、図2は同a-a端面図である。食品包装袋1は、概ね同形の長方形の第1シート部2および第2シート部3の重なりによる袋体である。第1シート部2および第2シート部3は紙シートである。この袋体の両側辺4と底辺5は第1シート部2および第2シート部3が繋がっていて、上辺6は繋がっていない開口状態である。
【0016】
第1シート部2または第2シート部3の少なくとも一方において、その外側の面、すなわち、他のシート部に対向した面とは逆の面に、上辺6に平行に開封誘導テープ7が取り付けられている。本例では、第1シート部2に開封誘導テープ7が設けられている。以下、この例に基いて説明する。開封誘導テープ7は主に5mm以上15mm以下の幅のテープであり、その長さ方向に沿って亀裂の進行方向性を有する。つまり、上辺に平行な向きに亀裂が進行しやすくなっている。開封誘導テープ7は食品包装袋1の全幅、すなわち、左右の側辺まで延びていることが好ましい。
【0017】
上辺6と開封誘導テープ7の間には距離Lが設けられている。これにより、上辺2と開封誘導テープ7の下端部の間に掴み空間8が形成される。上辺6と開封誘導テープ7の間の距離Lは20mm以上40mm以下であることが好ましく、開封時に掴みやすく、しかも袋体の収納力を大きくできる。本例では30mmである。
【0018】
第1シート部2と第2シート部3は2枚の分離したシートで構成し、これを重ねて側辺4および底辺5を接続して袋体を形成してもよい。本例では、第1シート部2および第2シート部3は1枚の紙シートの折り曲げによって形成されている。図3は、食品包装袋の展開図を示している。
【0019】
紙シート10は熱溶着性材料を有する。ここでは、ポリラミネート層が設けられれいる。ポリラミネート層は図3において奥側の面に設けられている。紙シート10の幅は食品包装袋の幅と同じであり、高さは食品包装袋1の高さの2倍、すなわち第1シート部2と第2シート部3の高さを足した長さである。そして、紙シート10の上辺に沿って開封誘導テープ7が上辺に平行に設けられている。上辺と開封誘導テープ7の間の距離Lは20mm以上40mm以下になっている。
【0020】
この紙シート10を高さ方向の中心線CLに沿って山折りすることによって、第1シート部2と第2シート部に分かれる。このとき、ポリラミネート層は第1シート部2と第2シート部3の間に内向きに位置する。一方、開封誘導テープ7は外側に表れる。そして、中心線CLに沿った折り曲げ線が袋体の底辺となる。また、両側辺に沿って熱圧着がなされ第1シート部2と第2シート部3が接続されて、側辺も閉じられた袋体が形成される。
【0021】
食品包装袋の製造方法の例について説明する。図4は食品包装袋の原反を示す平面図である。原反20は、図の左右方向に沿って伸びた所定の幅の帯状の連続シート21が基材となっている。連続シート21は、紙シートである。そして、図4において奥側の面にポリラミネート層が設けられている。その幅は食品包装袋1の第1シート部2と第2シート部3の高さを足した寸法である。中心線CLが折り曲げ線になり、これよりも上の領域が第1シート部2となり、下の部分が第2シート部3となる。そして、連続シート21の上辺付近に中心線に平行に開封誘導テープ7が連続的に図4において手前側の面に貼り付けられている。
【0022】
図5は食品包装袋の製造方法の例を模式的に示す平面図である。連続シート21はロール(図示省略)から引き出され、図5において左方向に進行する。下流において連続シート21は中心線に沿って山折りされる。このとき、ポリラミネート層は二つ折りの内側になる。二つ折りになった連続シート21に対して長さ方向に垂直に熱溶着を行って、第1シート部2と第2シート部3を細長い接続部22で接続する。この接続部22は食品方法袋の幅に対応する間隔で周期的に設けられる。そして、接続部22の中心線に沿って切断する。こうして切り離された袋体が食品包装袋1となる。原反20を送り出しながらこの作業を継続することによって食品包装袋が順次製造される。
【0023】
以上の工程により切り出された袋状の部材は食品を収納する前の食品包装袋になる。ついで、食品包装袋を使用した食品包装体の製造方法について説明する。食品包装袋1の上辺6を開き、中に内容物となる固定物の食品xを入れる。適用される食品には特に制限はなく、たとえばゆでた枝豆などのスナック菓子などを入れることができる。あるいは惣菜などの調理食品でもよい。
【0024】
ついで熱圧着などにより上辺部を封止する。ここで、図1に示す上辺の端部A,B同士を合わせるように閉じる。こうして、食品包装袋1の上辺部6の中点であった点Cと点Dが封止された時の端部となる。これにより、四面体状の包装体が形成される。封止により形成された辺部が四面体状の食品包装体1の上部に表れているが、その上縁から30mmの距離に開封誘導テープ7の下辺が位置している。食品包装袋の上辺部の一方の端部であった点A付近から他端部B付近にかけて開封誘導テープ7は伸びており、四面体の上辺の端部Cの近くで開封誘導テープ7は長さ中央の位置において折り返している。この開封誘導テープ7の長さ中央の位置においても重なり合った第1シート部2が熱溶着によって接続された接続部31が設けられる。この接続部31は上端部を封止する熱溶着の範囲から連続するように形成してもよく、あるいは、スポット的に形成してもよい。そして、この接続部31の範囲内において開封誘導テープ7に切り欠き部32を形成する。切り欠き32の先端部は開封誘導テープ7の幅中央に位置することが好ましい。
【0025】
図6は食品包装体を示す右側面図、図7は同左側面図である。食品包装体10は四面体状に形成され、密封状態になる。開封誘導テープ7には切り込み32が設けられているが、接続部31の範囲内なので空気の出入りはなく、包装体は密封されている。
【0026】
食品包装体の開封方法について説明する。開封誘導テープ7の切り込み32から開封を開始する。切り込み32の上に掴み空間が形成されているので指で掴みやすく、強い力を加えることができる。切り込み31より発生した亀裂は開封誘導テープ7の中心線に沿って進行する。これによって開封誘導テープ7が取り付けられている第1シート部2が引き裂かれていく。第1シート2部は紙シートであるためそれ自体では亀裂を特定方向に導く性質はない。しかし、開封誘導テープ7はその長さ方向に亀裂の進行方向性を有するので、この開封誘導テープ7の進行方向性に導かれて、第1シート部2は上辺に沿って開封される。亀裂が途中で意図しない方向に進行することは生じにくい。
【0027】
こうして、上辺の半分が切り開かれる。得られた開口より指や箸を入れて、内部の食品を取り出すことができる。あるいは、開口が下を向くように傾けて、食品を外に出してもよい。上辺の半分が切り開きにより得られた開口は、食品を取り出すのに十分な大きさである。一方で、上辺の半分はまだ接続されているので、食品包装体30の四面体の形状はほとんど崩れない。
【0028】
食品の一部だけを食べた場合には、そのまま余った分を包装体の中に残しておくことができる。開封しているので完全には密封されていないが、開口は狭く、ほとんど閉じた状態なので、異物は進入しにくく、空気の出入りも少ない。そのまま冷蔵庫に置くこともできる。
【0029】
最後まで食べるときは、包装体を大きく開くこともできる。すでに切断は上辺の中点A・B、すなわち、第1シート部2と第2シート部3が接続されている側辺接続部22まで達している。矢印で示すように力を加えて、側辺接続部22における接続を切り離し、第1シート部2と第2シート部3を分離することにより、包装体を真っ二つに割ることができる。このとき、包装体は舟形の形状になるので、そのまま皿のようになる。
【0030】
この発明の食品包装袋および食品包装体は、製造が容易であり、コストも小さい。包装する前は平らな薄い状態であり、保管場所を取らず、運送も容易であるので、図1に示す袋体の状態で食品メーカなど食品を包装する業者に提供することもできる。四面体の形状で包装することにより、容積は大きく、多量の食品を収納できる。食品包装袋は、紙を主な素材とするので使用後は可燃ごみとして廃棄処分できる。環境中に出た場合でも、ほとんどが短期間で自然分解し、環境への影響は小さい。
【符号の説明】
【0031】
1.食品包装袋
2.第1シート部
3.第2シート部
4.側辺
5.底辺
6.上辺(開口部)
7.開封誘導テープ
8.掴み空間
20.原反
21.連続シート
22.側辺接続部
30.食品包装体
31.接続部
32.切り欠き
x.食品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8