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特開2022-72868ヘアカット練習用装置、ヘアカット練習用装置に用いられる植毛シート
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  • 特開-ヘアカット練習用装置、ヘアカット練習用装置に用いられる植毛シート 図1
  • 特開-ヘアカット練習用装置、ヘアカット練習用装置に用いられる植毛シート 図2
  • 特開-ヘアカット練習用装置、ヘアカット練習用装置に用いられる植毛シート 図3
  • 特開-ヘアカット練習用装置、ヘアカット練習用装置に用いられる植毛シート 図4
  • 特開-ヘアカット練習用装置、ヘアカット練習用装置に用いられる植毛シート 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072868
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】ヘアカット練習用装置、ヘアカット練習用装置に用いられる植毛シート
(51)【国際特許分類】
   A45D 44/14 20060101AFI20220510BHJP
   A45D 44/02 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
A45D44/14 A
A45D44/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020182548
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】511062221
【氏名又は名称】株式会社アートクライム
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】野村 知靖
(57)【要約】      (修正有)
【課題】製造の手間とコストを削減でき、経済性に優れたヘアカット練習用装置およびヘアカット練習用装置に用いられる植毛シートを提供する。
【解決手段】ヘアカット練習用装置1は、人頭の形状を模した頭部模型2と、頭髪をシート状部材に植毛してなる植毛シート3と、植毛シート3を頭部模型2に着脱自在に係止する係止部を備える。係止部が、頭部模型2の表面に配置された係止ピンと、係止ピンに係止される係止孔を含む。係止孔は植毛シート3の周縁部に設けられている。このため、頭部模型2に植毛シート3を装着する際のずれを防止し、頭部模型2に確実に固定して使用することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人頭の形状を模した頭部模型と、頭髪をシート状部材に植毛してなる植毛シートと、前記植毛シートを前記頭部模型に着脱自在に係止する係止部と、を備え、
前記係止部が、前記頭部模型の表面に配置された係止ピンと、前記係止ピンに係止される係止孔と、を含み、
前記係止孔は、前記植毛シートの周縁部に設けられたことを特徴とするヘアカット練習用装置。
【請求項2】
前記シート状部材は、弾性部材よりなる請求項1に記載のヘアカット練習用装置。
【請求項3】
前記頭髪は、前記シート状部材の表面から裏面に貫通され、
前記裏面に貫通された頭髪は、前記裏面に固着されている請求項1または2に記載のヘアカット練習用装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の植毛シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容師や理容師がヘアカットを練習するためのヘアカット練習用装置及び該装置に用いられる植毛シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、美容師や理容師がヘアカット技術を習得するため、人毛や人工毛よりなる頭髪が植毛された頭部模型、いわゆるカットウィッグが広く用いられている(非特許文献1)。
【0003】
ところで、カットウィッグの頭髪は、頭部模型に直に植毛されているため、ヘアカット練習が終わった後は、カットウィッグ全体を廃棄しなければならないという問題があった。例えば、ロングヘアーのヘアカット練習後、ショートヘアーのヘアカット練習に再利用する等、限られた範囲内での再利用は可能であるものの、一箇所を集中的に練習する場合には、練習のたびにカットウィッグ全体が不要となる。また、カットウィッグは保管に場所を取るという問題もあった。
【0004】
このような状況を改善するべく、特許文献1には、人体の頭蓋を模した基部の表面を複数個のブロックに区分し、各ブロックに頭髪を植えた殻部を係止した人体頭部模型が記載されている。
【0005】
しかし、特許文献1の人体頭部模型によれば、基部の丸みに沿うように定形の殻部を成形し、成形した立体形状の殻部について植毛し、また、係止機構を設ける必要があり、製造に手間とコストがかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-180350
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】モアリジョブ編集部、”トレーニングに欠かせない!美容師のためのウィッグ事情”、[online]、2017年3月26日、WEBマガジンMoreリジョブ、[令和2年5月8日検索]、インターネット<URL:https://relax-job.com/more/40358>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、製造の手間とコストを削減できる、ヘアカット練習用装置及び該装置に用いられる植毛シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のヘアカット練習用装置は、
(1)人頭の形状を模した頭部模型と、頭髪をシート状部材に植毛してなる植毛シートと、植毛シートを頭部模型に着脱自在に係止する係止部と、を備え、係止部が、頭部模型の表面に配置された係止ピンと、係止ピンに係止される係止孔と、を含み、係止孔は、植毛シートの周縁部に設けられたことを特徴とする。
【0010】
(2)また、シート状部材は、弾性部材よりなることが好ましい。
【0011】
(3)このとき、頭髪は、シート状部材の表面から裏面に貫通され、裏面に貫通された頭髪は、裏面に固着されていることが好ましい。
【0012】
本発明の植毛シートは、(1)~(3)のいずれか一つに記載された植毛シートである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のヘアカット練習用装置及び該装置に用いられる植毛シートによれば、弾性部材よりなるシート状部材を頭部模型の基材に沿って取り付けられるため、頭部模型の基材の多少の形状差を吸収し、汎用的に使用できるという効果を有する。また、シート状部材は2次元形状であるため、頭髪の植毛や係止部の形成手間を抑止できるという効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のヘアカット練習用装置の斜視図である。
図2図1の植毛シートの一部を突起から取り外した状態を示す模式図である。
図3】植毛シートの模式図である。
図4】頭部模型の固定部に植毛シートを取り付けた状態を示す、(a)模式図、(b)要部を拡大した断面模式図である。
図5】植毛シート1に毛髪を植毛し固定する工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をヘアカット練習用装置1に具体化した実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0016】
図1~3に示すように、ヘアカット練習用装置1は、人頭の形状を模した頭部模型2と、頭髪31をシート状部材32に植毛してなる植毛シート3と、植毛シート3を頭部模型2に着脱自在に係止する係止部4(係止ピン41及び係止孔42)から構成される。
【0017】
頭部模型2は、頭髪31を取り付ける頭髪エリア21を備え、頭髪エリア21は、破線で示すように、ヘアカット教示のための所定のセクション22に分割されている。セクション22の大きさや分割手法は、例えば、特に集中して練習したい頭髪領域、多い客層の骨格や毛量、所望するヘアデザインに応じて変更可能である。本願実施例では、頭頂部周辺の複数セクション22からなるトップセクション23と、頭側部周辺および後頭部周辺の複数のセクション22からなるアンダーセクション24として説明する。
【0018】
植毛シート3は、セクション22毎に製造することも、複数のセクション22を跨ぐように広範囲に製造することも可能である。例えば、図3(a)に示すように、トップセクション23に取り付けられる植毛シート3や、図3(b)に示すように、アンダーセクション24に取り付けられる植毛シート3等がある。
【0019】
植毛シート3は、頭髪31を植毛してなるシート状部材32から構成される。シート状部材32は、天然ゴムやシリコンゴム等の、密着性や可撓性に優れた弾性部材より構成され、頭髪エリア21の丸みに沿うように形成されている。シート状部材32の厚みは、0.5mm~3mm程度に設けることができる。取り付けの容易さや強度の観点からは、特に、1.5mm程度の厚みとすることが好ましい。
【0020】
図4に示すように、係止部4は、係止部4は、頭部模型2の表面に配置された係止ピン41と、係止ピン41に係止される係止孔42から構成され、係止孔42は、植毛シート3に開設されている。なお、係止ピン41と係止孔42の配置・大きさ・数はセクション22の形状や大きさに応じて適宜変更することができるが、ヘアカット練習に好適な状態で植毛シート3を固定できるように設けることが好ましい。
【0021】
係止ピン41は、マッシュルーム形状の頭部41aを備え、脚部41bを頭部模型2の内部に埋め込むことによって固定されている。係止ピン41は、トップセクション23の周縁部およびアンダーセクション24の周縁部に設けられている。また、係止ピン41の頭部41aは、係止孔42と係合し、抜け止めとして作用する。
【0022】
係止孔42は、ボタンホール状の形状を備え、植毛シート3の周縁部において外周から1~3mm程度内側に設けられている。また、係止孔42は、植毛シート3の角部3aに重点的に設けられている。このため、植毛シート3は、周縁部を基点としてトップセクション23又はアンダーセクション24にしっかりと取り付けられ、ヘアカット練習中に強く頭髪31が引っ張られた場合でも、植毛シート3の位置ズレを抑止できる。
【0023】
ここで、係止孔42の間隔は、係止ピン41の間隔よりも1~2mm程度狭く配置されている。このことにより、植毛シート3が僅かに引っ張られ、頭部模型2に密着して取り付けられる。
【0024】
図5(a)に示すように、頭髪31は、1本から3本程度の毛束を、縫い針等を用いてシート状部材32の表面32aから裏面32bに貫通させ、図5(b)に示すように、裏面32bに貫通させた頭髪31を、裏面32bに接着剤33等を用いて固着させることにより植毛される。頭髪31としては、人毛、化学繊維製の人工毛、又は、それらの混合を採用できる。また、毛束の本数や植毛間隔は、人頭の毛の生え具合を再現できるよう適宜調整される。
【0025】
以上の構成のヘアカット練習用装置1又は植毛シート3によれば、植毛シート3のみをを交換して繰り返しヘアカット練習ができるため、頭部模型2の廃棄を抑止することができる。また、植毛シート3の周縁部に係止孔42を設けたため、植毛シート3を頭髪エリア21の所定の位置に確実に配置でき、また、ヘアカット練習中の植毛シート3の位置ズレを防止できる。さらに、交換用の植毛シート3のシート状部材32は、弾性部材からなるため、折り重ねてコンパクトに保管できる。
【0026】
その他、トップセクション23毎、アンダーセクション24毎に、広範囲の植毛シート3で製造することにより、植毛の手間や係止部を設ける手間を減らし、製造コストを削減することができる。また、広範囲の植毛シート3を用いた場合、頭部模型2に着脱する際の手間を減らすことが可能となる。
【0027】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の構成を任意に変更して実施することも可能である。例えば以下のように変更して実施することも可能である。
(1)シート状部材32を頭部模型2により安定して固定するため、面ファスナーや磁石などの固定部材を補助的に加えること。
(2)係止孔42の破損を防止するため、係止孔42の開口部に、補強用の裏当てを設けること。
(3)使用済みのカットウィッグをバリカン等により均し、係止ピン41を付して頭部模型2として再利用する。
【符号の説明】
【0028】
1 ヘアカット練習用装置
2 頭部模型
3 植毛シート(a:角部)
4 係止部
21 頭髪エリア
22 セクション
23 トップセクション
24 アンダーセクション
31 頭髪
32 シート状部材(a:表面、b:裏面)
41 係止ピン(a:頭部、b:脚部)
42 係止孔
図1
図2
図3
図4
図5