(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072872
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】面光源装置および表示装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20220510BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20220510BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20220510BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220510BHJP
【FI】
F21S2/00 482
F21V5/00 510
G02F1/13357
F21Y115:10 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020182554
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼鳥 洋
(72)【発明者】
【氏名】桃井 拓郎
【テーマコード(参考)】
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H391AA03
2H391AB04
2H391AB42
2H391AC05
2H391AC10
2H391AC13
3K244AA01
3K244BA08
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA19
3K244FA03
3K244GA02
(57)【要約】
【課題】複数の発光素子に対して1つの光束制御部材を用いる面光源装置および表示装置であって、発光素子が均等の間隔で配置されていることが前提とされない面光源装置および表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】面光源装置は、基板上に配置された複数の発光素子と、前記複数の発光素子からの光の配光を制御するための複数の光束制御部材と、前記複数の光束制御部材から出射された光を拡散させつつ透過させる光拡散板と、を有する。前記複数の光束制御部材は、それぞれ、前記複数の発光素子のうちの2つ以上の発光素子の上に配置され、前記2つ以上の発光素子からの光の配光を制御する。1つの前記光束制御部材の下に配置された隣接する2つの前記発光素子の中心間距離D1と、隣接する2つの前記光束制御部材の下にそれぞれ配置された隣接する2つの前記発光素子の中心間距離D2とは異なる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配置された複数の発光素子と、
前記複数の発光素子からの光の配光を制御するための複数の光束制御部材と、
前記複数の光束制御部材から出射された光を拡散させつつ透過させる光拡散板と、
を有し、
前記複数の光束制御部材は、それぞれ、前記複数の発光素子のうちの2つ以上の発光素子の上に配置され、前記2つ以上の発光素子からの光の配光を制御し、
1つの前記光束制御部材の下に配置された隣接する2つの前記発光素子の中心間距離D1と、隣接する2つの前記光束制御部材の下にそれぞれ配置された隣接する2つの前記発光素子の中心間距離D2とが異なる、
面光源装置。
【請求項2】
前記複数の発光素子は、X方向と、前記X方向と直交するY方向とに格子状に配列されている、請求項1に記載の面光源装置。
【請求項3】
前記複数の光束制御部材のうちの1つの前記光束制御部材の下にある前記2つ以上の発光素子のみを点灯したときにおいて、当該1つの前記光束制御部材を含み、かつX方向において隣接する2つの前記光束制御部材の中心間の中点上を通るY方向に沿うY1-Y1線と、当該1つの前記光束制御部材を含み、かつ前記Y方向において隣接する2つの前記光束制御部材の中心間の中点上を通る前記X方向に沿うX1-X1線との交点をβ地点とし、当該1つの前記光束制御部材を含み、かつX方向において隣接する2つの前記光束制御部材の中心間の中点をα地点とし、前記光拡散板において前記α地点の直上に位置する点の輝度をα1とし、前記光拡散板において前記β地点の直上に位置する点の輝度をβ1としたときに、β1/α1≧0.61である、請求項2に記載の面光源装置。
【請求項4】
前記複数の光束制御部材のうちの1つの前記光束制御部材の下にある前記2つ以上の発光素子のみを点灯したときにおいて、当該1つの前記光束制御部材の下において前記X方向に隣接する2つの前記発光素子の中心を通るX2-X2線に対応する前記光拡散板上の線上の輝度分布の半値幅をAとしたときに、中心間距離D2≦A/1.13である、請求項2または3に記載の面光源装置。
【請求項5】
前記複数の光束制御部材のうちの1つの前記光束制御部材の下にある前記2つ以上の発光素子のみを点灯したときにおいて、当該1つの前記光束制御部材の下において前記X方向に隣接する2つの前記発光素子の中心を通るX2-X2線に対応する前記光拡散板上の線上の輝度分布の20%幅をBとしたときに、中心間距離D2≧B/1.98である、請求項2~4のいずれか一項に記載の面光源装置。
【請求項6】
前記発光素子の発光面は、平面視したときに一辺が1mm以下の矩形であり、
前記基板の表面と前記光拡散板の下面との間の距離である光学距離ODは、5mm以下である、
請求項1~5のいずれか一項に記載の面光源装置。
【請求項7】
前記光束制御部材の表側の外縁は、面取りした形状である、請求項1~6のいずれか一項に記載の面光源装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の面光源装置と、
前記面光源装置から出射された光を照射される表示部材と、
を有する、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面光源装置および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などの透過型画像表示装置では、近年、光源として複数の発光素子を有する、直下型の面光源装置が使用されている。また、発光素子は広い範囲に光を照射するために数多く配置されることがある。
【0003】
特許文献1は、複数の発光素子(ミニLED)上に配置された光束制御部材(マイクロアレイレンズ)を有する表示装置を開示している。このマイクロアレイレンズでは複数のレンズが支持プレートによって連なっており、基板に配置された多数の発光素子上に1つのマイクロアレイレンズが配置される。このようにすることで個々の発光素子上に個々のレンズを配置する必要がなく、実装時のハンドリング性が良好になり実装が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第110208984号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような表示装置では、一般的に、光を均等に出射するために複数の発光素子が均等の間隔で配置されている。しかしながら、複数の発光素子の間隔を固定すると、設計の自由度が下がり、細かな設計変更に柔軟に対応できないことがある。たとえば、複数の発光素子を所定の間隔で配置することを前提とした場合、表示装置や面光源装置のサイズを大きくすれば発光素子の数を必ず多くしなければならず、コストが増大してしまう。また、複数の発光素子の間隔を固定すると、表示装置または面光源装置のサイズによっては、表示装置または面光源装置に合うように複数の発光素子を適切に配置できないこともある。
【0006】
一方で、特許文献1に記載されているような光束制御部材(マイクロアレイレンズ)を用いる場合であって、複数の発光素子の間隔を変更するときは、複数のレンズの間隔を変更した光束制御部材(マイクロアレイレンズ)を製造しなおさなければならず、コストが増大してしまう。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、複数の発光素子に対して1つの光束制御部材を用いる面光源装置および表示装置であって、発光素子が均等の間隔で配置されていることが前提とされない面光源装置および表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の面光源装置は、基板上に配置された複数の発光素子と、前記複数の発光素子からの光の配光を制御するための複数の光束制御部材と、前記複数の光束制御部材から出射された光を拡散させつつ透過させる光拡散板と、を有し、前記複数の光束制御部材は、それぞれ、前記複数の発光素子のうちの2つ以上の発光素子の上に配置され、前記2つ以上の発光素子からの光の配光を制御し、1つの前記光束制御部材の下に配置された隣接する2つの前記発光素子の中心間距離D1と、隣接する2つの前記光束制御部材の下にそれぞれ配置された隣接する2つの前記発光素子の中心間距離D2とが異なる。
【0009】
本発明の表示装置は、上記の面光源装置と、前記面光源装置から出射された光を照射される表示部材と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の発光素子に対して1つの光束制御部材を用いる面光源装置および表示装置であって、発光素子が均等の間隔で配置されていることが前提とされない面光源装置および表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1A、Bは、実施の形態に係る面光源装置および表示装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2A、2Bは、実施の形態に係る面光源装置の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、発光素子と光束制御部材との配置を示す図である。
【
図5】
図5A~Cは、発光素子および光束制御部材の配置を変化させたときの輝度分布の変化を示す。
【
図6】
図6A~Cは、発光素子および光束制御部材の配置を変化させたときの輝度分布の変化を示す。
【
図7】
図7A、Bは、発光素子および光束制御部材の配置を変化させたときの輝度比率の変化を示す。
【
図8】
図8は、発光素子と光束制御部材との配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、本発明に係る面光源装置の代表例として、液晶表示装置のバックライトなどに適する面光源装置について説明する。これらの面光源装置は、面光源装置からの光を照射される表示部材102(例えば液晶パネル)と組み合わせることで、表示装置100’として使用されうる(
図1B参照)。
【0013】
(面光源装置の構成)
図1A、1Bは、本発明の実施の形態に係る面光源装置100の構成を示す図である。
図1Aは、平面図であり、
図1Bは、正面図である。
図2Aは、
図1Bに示されるA-A線の断面図であり、
図2Bは、
図1Aに示されるB-B線の断面図であり、
図3は、
図2Bの一部を拡大した部分拡大断面図である。
【0014】
図1A~3に示されるように、本実施の形態に係る面光源装置100は、筐体110と、基板201上に配置された複数の発光素子111と、複数の発光素子111からの光の配光を制御するための複数の光束制御部材200と、複数の光束制御部材200から出射された光を拡散させつつ透過させる光拡散板120とを有する。
【0015】
図3に示されるように、発光素子111は、基板201上に配置されている。また、
図2Aに示されるように、本実施の形態では、複数の発光素子111は、X方向と、X方向に直交するY方向とに格子状に配列されている。すなわち、本実施の形態では、X方向に一列に配列された複数の発光素子111を含む発光素子の列が、互いに平行になるようにY方向に複数配置されている。なお、この後説明するように、複数の発光素子111の間隔は、均等ではない。
【0016】
また、本実施の形態では、
図2Bに示される底板112の内面は、拡散反射面として機能する。また、筐体110の天板114には、開口部が設けられている。光拡散板120は、この開口部を塞ぐように配置されており、発光面として機能する。発光面の大きさは、特に限定されないが、例えば約400mm×約700mmである。
【0017】
発光素子111は、面光源装置100の光源であり、基板201上に実装されている。発光素子111は、例えば白色発光ダイオードや青色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。また、発光素子111の種類は、特に制限されないが、天面および側面から光を出射する発光素子111(例えば、COB型発光ダイオード)などが、本発明の実施の形態に係る面光源装置100において好適に用いられる。発光素子111のサイズは、特に制限されない。たとえば、発光素子111の発光面は、平面視したとき一辺が1mm以下の矩形である。
【0018】
光束制御部材200は、発光素子111から出射された光の配光を制御する光学部材であり、基板201上に固定されている。後述するように、光束制御部材200は、複数の入射ユニット210を有し、光束制御部材200は、各入射ユニット210(入射面220)の中心軸CAが各発光素子111の光軸LAに一致するように、複数の発光素子111の上に配置されている。なお、本実施の形態に係る光束制御部材200において、光束制御部材200の入射ユニット210(入射面220および第1反射面221)は回転対称である。この入射ユニット210の回転軸を「入射ユニット210、入射面320または第1反射面321の中心軸CA」という。また、「発光素子111の光軸LA」とは、発光素子111からの立体的な出射光束の中心の光線を意味する。発光素子111が実装された基板201と光束制御部材200の裏面との間には、発光素子111から発せられる熱を外部に逃がすための隙間が形成されていてもよいし、形成されていなくてもよい。
【0019】
光束制御部材200は、一体成形により形成されている。光束制御部材200の材料は、所望の波長の光を通過させ得る材料であれば特に限定されない。たとえば、光束制御部材200の材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの光透過性樹脂、またはガラスである。
【0020】
光拡散板120は、光拡散性を有する板状の部材であり、発光装置200からの出射光を拡散させつつ透過させる。通常、光拡散板120は、液晶パネルなどの表示部材102とほぼ同じ大きさである。たとえば、光拡散板120は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、スチレン・メチルメタクリレート共重合樹脂(MS)などの光透過性樹脂により形成される。光拡散性を付与するため、光拡散板120の表面に微細な凹凸が形成されているか、または光拡散板120の内部にビーズなどの光拡散子が分散している。
【0021】
基板201の表面と光拡散板120の下面との間の距離である光学距離ODは、特に限定されない。本実施の形態に係る面光源装置100は、非常に薄くすることが可能である。たとえば、光学距離ODは、5mm以下である。
【0022】
本実施の形態に係る面光源装置100では、各発光素子111から出射された光は、光束制御部材200により光拡散板120の所定の範囲を照らすように拡げられる。各光束制御部材200から出射された光は、さらに光拡散板120により拡散される。その結果、本実施の形態に係る面光源装置100は、面状の表示部材(例えば液晶パネル)102を均一に照らすことができる。
【0023】
本発明は、光束制御部材200と発光素子111との配置に特徴がある。光束制御部材200と発光素子111との配置について
図4を用いて説明する。
【0024】
図4に示されるように、複数の光束制御部材200は、それぞれ、複数の発光素子111のうちの2つ以上の発光素子111の上に配置され、これらの発光素子111からの光の配光を制御する。本実施の形態では、
図4に示されるように、光束制御部材200a~dのそれぞれの下には、4つの発光素子111が配置されている。
【0025】
ここで
図4に示されるように、本発明の面光源装置100では、1つの光束制御部材200の下に配置された隣接する2つの発光素子111の中心間距離D1と、隣接する2つの光束制御部材200の下にそれぞれ配置された隣接する2つの発光素子111の中心間距離D2とが異なる。一般的には、面光源装置100の発光面における輝度ムラを低減するために複数の発光素子111の配置は均等にすることが多いが、これは上述のように面光源装置100の設計の自由度を下げる。本発明は、複数の発光素子111を均等に配置するという考えに縛られることなく、複数の発光素子111の配置を上記のように均等にしないことを特徴とする。
【0026】
上記のように発光素子111を均等に配置しなければ、面光源装置100の設計の自由度を上げられるが、一方で、面光源装置100の発光面において輝度ムラが生じやすくなる。
図5A~C、
図6A~Cはこの問題に関し、発光素子111の中心間距離D2を拡げていったときの輝度分布の変化を示すグラフである。
【0027】
図4を用いて、異なる光束制御部材200の下に配置された隣接する2つの発光素子111の中心間距離D2を拡げていく態様について説明する。基板201の表面から光拡散板120の下面までの距離である光学距離ODを3mmとした場合において(
図3参照)、同じ光束制御部材200の下に配置された隣接する2つの発光素子111の中心間距離D1を18mmと固定して、異なる光束制御部材200の下に配置された隣接する2つの発光素子111の中心間距離D2を36mmから、2mmずつX方向およびY方向に46mmまで拡げていった。
図5Aはこのときの輝度分布の変化を示す。なお、これらの輝度分布は、4つの光束制御部材200の下に配置された全ての発光素子111を点灯したときの、
図4のX1-X1線上の光拡散板120における輝度分布を示している。4つの光束制御部材200以外の光束制御部材200の下に配置された発光素子111は点灯していない。X1-X1線は、Y方向において隣接する2つの光束制御部材200の中心間の中点上を通るX方向に沿う線である。Y1-Y1線は、X方向において隣接する2つの光束制御部材200の中心間の中点上を通るY方向に沿う線である。X1-X1線とY1-Y1線の交点がβ地点である。X方向またはY方向において隣接する2つの光束制御部材200の中心間の中点がα地点である。なお、光束制御部材200は後述する第1の光束制御部材200を用いた。
【0028】
また、
図5B、Cは、光学距離ODをそれぞれ4mm、5mmと設定した以外は
図5Aと同様にした場合の輝度分布を示す。
【0029】
図5A~Cに示されるように、中心間距離D2を徐々に大きくしていくと、4つの光束制御部材200a~dの真ん中にあるβ地点の輝度が最大であった状態から、徐々に暗くなっていき、α地点の輝度が最大輝度になっていくことがわかる。ここで面光源装置100の発光面における輝度ムラを低減するという観点から、β地点の輝度の落ち込みは最大輝度(α地点が最大輝度になった場合の最大輝度)から-2%以内であることが好ましい。
【0030】
下記の表1は、
図5A~Cに基づき、β地点の輝度の落ち込みが最大輝度(α地点が最大輝度になった場合の輝度)から-2%以内である場合は○とし、-2%を超える場合を×として示す。
【0031】
【0032】
表1に示されるように、光学距離ODが3mmまたは4mmのときは、中心間距離D2を40mmまで拡げてもβ地点の輝度の落ち込みが最大輝度から-2%以内であり、輝度ムラが実質的に生じていないことがわかる。また、光学距離ODが5mmのときは、中心間距離D2を42mmまで拡げてもβ地点の輝度の落ち込みが最大輝度から-2%以内であり、輝度ムラが実質的に生じていないことがわかる。
【0033】
図6A~Cは、後述する第2の光束制御部材200を用いた以外は上記の
図5A~Cと同様にしたときの輝度分布の変化を示す。
図6A~Cにおいても
図5A~Cと同様に、発光素子111の中心間距離D2を大きくしていくと4つの光束制御部材200a~dの真ん中にあるβ地点の輝度が最大であった状態から、徐々に暗くなっていき、α地点の輝度が最大輝度になっていくことがわかる。
【0034】
下記の表2は、
図6A~Cに基づき、β地点の輝度の落ち込みが最大輝度から-2%以内である場合は○とし、-2%を超える場合は×として示す。
【0035】
【0036】
表2に示されるように、後述する第2の光束制御部材200を用いた場合でも、光学距離ODが3mmまたは4mmのときは、中心間距離D2を40mmまで拡げてもβ地点の輝度の落ち込みが最大輝度から-2%以内であり、輝度ムラが実質的に生じていないことがわかる。また、光学距離ODが5mmのときは、中心間距離D2を42mmまで拡げてもβ地点の輝度の落ち込みが最大輝度から-2%以内であり、輝度ムラが実質的に生じていないことがわかる。
【0037】
上記のようにα地点とβ地点の輝度は、発光素子111の中心間距離D2をどこまで拡げられるかに関わり重要である。
図7A、Bのグラフはこのことに関する。具体的には、
図7A、Bは、
図4に示されるように、複数の光束制御部材200のうちの1つの光束制御部材200の下にあるすべての発光素子111のみを点灯したときにおいて、当該1つの光束制御部材200を含み、かつX方向において隣接する2つの光束制御部材200の中心間の中点上を通るY方向に沿うY1-Y1線と、当該1つの光束制御部材200を含み、かつY方向において隣接する2つの光束制御部材200の中心間の中点上を通るX方向に沿うX1-X1線との交点をβ地点とし、当該1つの光束制御部材200を含み、かつX方向において隣接する2つの光束制御部材200の中心間の中点をα地点とし、光拡散板120においてα地点の直上に位置する点の輝度をα1とし、光拡散板120においてβ地点の直上に位置する点の輝度をβ1としたときに、中心間距離D2を大きくしていったときのβ1とα1との関係であるβ1/α1(輝度比率)を示す。なお、
図7Aは後述する第1の光束制御部材200を用いた場合であり、
図7Bは後述する第2の光束制御部材200を用いた場合である。
【0038】
図7A、Bに示されるように、中心間距離D2を大きくしていくと、α地点の輝度α1よりβ地点の輝度β1の方がより大きく減少していくため輝度比率(β1/α1)は小さくなっていく。
【0039】
ここで、
図7Aおよび
図7Bにおいて、表1および表2から、輝度ムラが許容できるか否かの境界線(○と×の境界線)は、輝度比率(β1/α1)が0.61のところに引くことができる。すなわち、輝度比率(β1/α1)という観点からどこまで中心間距離D2を拡げられるかということを考えたときに、輝度比率(β1/α1)が0.61以上(β1/α1≧0.61)という関係を満たす範囲で中心間距離D2を拡げることができる。
【0040】
また、別の観点から考えると、1つの光束制御部材200から出射された光に起因する輝度分布の幅、特に半値幅は、中心間距離D2をどこまで拡げられるかに関わり重要であると考えられる。たとえば、輝度分布幅をより広ければ、β地点の輝度であるβ1が高くなり、中心間距離D2をより拡げられると考えられる。
図8および下記の表3はこの観点からの考察に関する。下記の表3は、
図8に示される複数の光束制御部材200a~dのうちの1つの光束制御部材200(例えば200c)の下にある全ての発光素子111のみを点灯したときのX2-X2線に対応する光拡散板130上の線上の輝度分布の輝度分布幅(mm)を示す。なお、X2-X2線は、1つの光束制御部材200の下においてX方向に隣接する2つの発光素子111の中心を通る線である。
【0041】
【0042】
表3に示されるように、第1の光束制御部材200と第2の光束制御部材200とでは、第2の光束制御部材200の方が、より輝度分布幅が広い。また、第1の光束制御部材200および第2の光束制御部材200のそれぞれにおいて、光学距離ODを大きくした方がより輝度分布幅が広くなった。上記のように、輝度分布幅は、
図8のβ地点の輝度β1およびα地点の輝度α1に影響を及ぼし重要と考えられる。下記の表4は、このことに関し輝度分布幅と中心間距離D2の関係を示す。
【0043】
具体的には、表4中の許容されるD2は、上記の表1に基づくものである。すなわち、表1に示されるように第1の光束制御部材200を用いる場合は、ODが3mmまたは4mmのときは、中心間距離D2は40mmまで拡げられ、ODが5mmのときは、中心間距離D2は42mmまで拡げられる。また、第2の光束制御部材を用いる場合も、ODが3mmまたは4mmのときは、中心間距離D2は40mmまで拡げられ、ODが5mmのときは、中心間距離D2は42mmまで拡げられる。表4は、このように許容される中心間距離D2で、半値幅Aおよび20%幅Bのそれぞれを割った値を表4に示す。
【0044】
【0045】
表4に示されるように、許容される中心間距離D2で半値幅Aを割った値であるA/D2の最小値は1.13であり、半値幅A/D2が1.13以上であれば、面光源装置100における輝度ムラを実質的に生じさせなくできると考えられる。すなわち、中心間距離D2≦A/1.13であれば面光源装置100からの光を均一にできると考えられる。
【0046】
一方で、輝度分布幅が広すぎると、ローカルディミング性能が悪くなってしまうと考えられる。表4に示されるように、許容される中心間距離D2で20%幅Bを割った値である20%幅B/D2の最大値は1.98であり、20%幅/D2が1.98以下であればローカルディミング性が良好であると考えられる。すなわち、中心間距離D2≧B/1.98であればローカルディミング性が良好であると考えられる。
【0047】
(光束制御部材の構成)
本発明の面光源装置100および表示装置100’に用いられる光束制御部材200の構成は、面光源装置100において用いられたときに上記のパラメータ等を満たす限り特に制限されない。以下に、本発明の面光源装置100および表示装置100’に好適に用いることができる光束制御部材200の例について説明する。
【0048】
図9A~Gは、本発明の面光源装置100および表示装置100’に好適に用いることができる第1の光束制御部材200を示す。
図9Aは光束制御部材200の平面図であり、
図9Bは斜視図であり、
図9Cは底面図であり、
図9Dは側面図である。また
図9Eは
図9AのE-E線に沿う断面図であり、
図9Fは
図9AのF-F線に沿う断面図であり、
図9Gは
図9AのG-G線に沿う断面図である。これらの断面図では、ハッチングを省略している。
【0049】
第1の光束制御部材200は、基板201上に配置された複数の発光素子111から出射された光の配向を制御するための光束制御部材200であって、複数の入射ユニット210と、出射ユニット230とを有する。複数の入射ユニット210は、発光素子111の配列に対応して配置されており、例えば格子状に配置されている。出射ユニット230は、基板201に沿う方向において複数の入射ユニット210の間に配置されている。
【0050】
複数の入射ユニット210は、発光素子111から出射された光をそれぞれ入射させる。入射ユニット210は、発光素子111から出射された光を入射させる入射面220と、入射面220で入射した光を出射ユニット230に向けて反射させる第1反射面221とを有する(
図9F参照)。
【0051】
入射面220は、光束制御部材200の裏側に配置され、発光素子111と対向する位置に形成されている凹部の内面である。入射面220は、発光素子111から出射された光の大部分を、その進行方向を制御しつつ光束制御部材200の内部に入射させる。入射面220は、発光素子111の光軸LAと交わり、光軸LAに対して回転対称(円対称)である。入射面220の形状は、特に限定されず、入射面220で入射した光が第1反射面221および第1出射面231に向かうように設定される。本実施の形態では、入射面220は、発光素子111の光軸LAから離れるにつれて基板201からの距離が徐々に短くなるような形状である。
【0052】
第1反射面221は、光束制御部材200の表側において入射面220を挟んで発光素子111と対向する位置に配置され、入射面220で入射した光を発光素子111の光軸LAから離れるように側方方向に反射させる。ここで、側方方向とは、光束制御部材200の外縁方向を意味しているのではなく、光軸を中心に360°径方向の外へ向かうことを意味する。
【0053】
このようにすることで、第1反射面221は、入射面220で入射した光が上方に抜けるのを抑制して発光素子111の直上に明部が発生するのを防ぐとともに、発光素子111間に光を導いて発光素子111間に暗部が発生するのも防ぐ。第1反射面221の形状は入射面220から入射した光を側方に反射させることができれば特に制限されない。第1反射面221は、例えば、発光素子111の光軸LAに対して回転対称(円対称)であり、かつ、発光素子111の光軸LAから離れるにつれて表側に向かう(基板201から離れる)ように構成されていてもよい。
【0054】
この回転対称の中心部分から外周部分にかけての母線は、発光素子111の光軸に対して傾斜した曲線または直線である。第1反射面221は、入射面220の中心軸CAを回転軸として、この母線を360°回転させた状態の凹面である。本実施の形態では、この母線は、曲線である。
【0055】
本実施の形態において、入射面220および第1反射面221は、それぞれ凹部の内面であり、平面視したときに、入射面220を構成する凹部の開口縁の面積に対して、第1反射面221を構成する凹部の開口縁の面積は、0.5倍~2.0倍であることが好ましい。また、0.5倍~1.5倍であることがより好ましく、0.5倍~1.3倍であることが特に好ましい。このように、入射面220に対する第1反射面221の大きさが、従来の全反射レンズよりも小さい。これは、発光素子111の中心から出射され入射面220に入射した光は、第1反射面221だけではなく、第1出射面231にも到達するように設計していることに起因する。
【0056】
出射ユニット230は、複数の入射ユニット210で入射した光を導光しながら出射させる。本実施の形態では、4つの入射ユニット210が仮想四角形の各角に配置されているとした場合、光束制御部材200は、仮想四角形の4つの辺に対応する位置にそれぞれ各辺に沿うように配置されている4つの出射ユニット230と、仮想四角形に取り囲まれるように配置されている1つの出射ユニット230とを有している。各出射ユニット230は、
図9A~Cに示されるように、光束制御部材200の裏側に配置される第2出射面232を有する。第2出射面232は、入射ユニット210の第1反射面221からの光を反射させる。また、出射ユニット230は、光束制御部材200の表側において第2出射面232と対向して配置され、入射ユニット210からの光の一部を反射させ、他の一部を出射させる第1出射面231を有する。
【0057】
また、出射ユニット230は、第1出射面231と第2出射面232との間を進む光が出射することを促進するための出射促進部234を有する。出射促進部234は、第1出射面231および第2出射面232のうちの少なくとも一方に配置されている。
【0058】
本実施の形態では、
図9Cに示されるように、出射促進部234は、第2出射面232に配置されている。出射促進部234が配置されることで、第1出射面231と第2出射面232との間隔が小さくなり光が出射されることが促進される。出射促進部234における第1出射面231と第2出射面232との間隔は、入射ユニット210から離れるほど小さくなっていることが好ましい。このような構成により、入射ユニット210から導かれた光は第1出射面231から出射されやすくなる。
【0059】
第1出射面231の形状は、特に制限されない。本実施の形態では、仮想四角形の4つの辺に対応する位置に配置されている4つの第1出射面231は凹面である(
図9A、B、G参照)。一方、前記仮想四角形に取り囲まれるように配置されている第1出射面231は、上下逆に配置された円錐台の上底および側面の一部により構成される凹面である(
図9E参照)。
【0060】
なお、出射促進部234の構成は、上記機能を発揮することができれば、上記の例に限定されない。たとえば、出射促進部234は、第1出射面231および第2出射面232のうちの少なくとも1つに配置された、凹面、粗面、フレネル面、溝および貫通孔からなる群より選ばれる少なくとも1つ以上であってもよい。
【0061】
出射促進部234が第1出射面231または第2出射面232に形成された凹面の場合、第1出射面231と第2出射面232との間隔が小さく形成されれば、第1出射面231と第2出射面232との間を進む光が第1出射面231から出射されやすくなる。出射促進部234が第2出射面232に形成された粗面の場合、第1出射面231と第2出射面232との間を進む光が、当該粗面において正反射ではなく乱反射するため、第1出射面231から出射されやすくなる。出射促進部234が第1出射面231に形成された粗面の場合、第1出射面231と第2出射面232との間を進む光が、当該粗面において正反射ではなく拡散透過するため、第1出射面231から出射されやすくなる。出射促進部234が第2出射面232に形成されたフレネル面または溝の場合、第1出射面231と第2出射面232との間を進む光が、当該フレネル面または当該溝を構成する面において第1出射面231における入射角が小さくなるように第1出射面231に向けて反射されるため、第1出射面231から出射されやすくなる。出射促進部234が第1出射面231に形成されたフレネル面または溝の場合、第1出射面231と第2出射面232との間を進む光が、当該フレネル面または当該フレネル面を構成する面において出射されるため、第1出射面231から出射されやすくなる。出射促進部234が第1出射面231と第2出射面232とに開口する貫通孔の場合、第1出射面231と第2出射面232との間を進む光が、当該貫通孔を構成する面において出射されるため、第1出射面231から出射されやすくなる。
【0062】
【0063】
第2の光束制御部材200は、第1の光束制御部材200と比べて第2出射面232に形成された出射促進部234がより大きい。第2の光束制御部材200の構成は、第1の光束制御部材200と略同様の構成であるため、同じ部材には同じ符号を付して説明を省略する。
【0064】
(光路)
図11Aは、第1の光束制御部材200の光路図である。
図11Aに示されるように、発光素子111から出射された光は、入射面220で光束制御部材200に入射する。入射面220で入射した光の一部は、直接出射ユニット230に向かい、他の一部は第1反射面221で反射されて出射ユニット230に向かう。出射ユニット230に到達した光は、第2出射面232と第1出射面231との間で繰り返し反射されて出射ユニット230内を導光される。このとき、第1出射面231に到達した光の一部は、反射されずに第1出射面231から出射される。
【0065】
このように、出射ユニット230に到達した光は、出射ユニット230の第2出射面232と第1出射面231との間を進みつつ、徐々に第1出射面231から出射される。ここで、出射ユニット230は、出射促進部234を有すると第2出射面232と第1出射面233との間隔が小さくなり、光の出射が促進される。
【0066】
図11Bは光束制御部材200の端部における配光を示す。
図11Bに示されるように光束制御部材200の表側の外縁の断面形状は矩形状でも、面取りした形状でもよい。面取りした形状としては、例えば、R面取り、C面(傾斜面)取り等が挙げられる。光束制御部材200の端部の断面形状を面取りすると、
図11Bに示されるように光束制御部材200で広い領域を照射することが可能であり、光束制御部材200の間が暗くなってしまうことを防ぐことができる。
【0067】
(効果)
本発明によれば、発光素子が均等の間隔で配置されていることが前提とされていない面光源装置および表示装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0068】
100 面光源装置
100’ 表示装置
102 表示部材
110 筐体
111 発光素子
112 底板
114 天板
120 光拡散板
200 光束制御部材
201 基板
210 入射ユニット
220 入射面
221 第1反射面
230 出射ユニット
231 第1出射面
232 第2出射面
CA 中心軸
LA 光軸