(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072877
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】びん底検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/90 20060101AFI20220510BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
G01N21/90 A
G01N21/84 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020182560
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】000178826
【氏名又は名称】日本山村硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 大輔
(72)【発明者】
【氏名】反保 悟郎
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA15
2G051AB01
2G051AB06
2G051AB07
2G051BB01
2G051CA04
2G051CB02
2G051CC07
2G051DA02
2G051DA09
2G051DA11
2G051DA13
2G051EA08
2G051EB01
2G051EC06
2G051ED01
2G051ED08
2G051ED09
2G051ED23
(57)【要約】
【課題】丸びん、異形びんのいずれに対してもびん底検査を行うことができるびん底検査装置を提供する。
【解決手段】本発明のびん底検査装置10は、びん底B3を支持するびん底支持部22と、中心角が第1の角度θ1の扇形状24を含む形状の窓孔部23を有する円形形状の支持プレート20と、支持プレート20を中心軸Cの回りに第1の角度θ1づつ間欠的に回転させて、窓孔部23の扇形状24のびん底B3に対する周方向の位置を切り替える駆動機構30と、検査対象のびんBが支持プレート20の回転に伴って共回りするのを規制する規制機構40と、支持プレート20の下方に配置される照明装置43と、窓孔部23の位置毎にびん底B3を撮像してびん底全体の画像を取得するカメラ42と、カメラ42により取得された複数のびん底画像を用いて欠陥の有無を判定する欠陥判定部61を有する画像処理装置50と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象のびんについてびん底の欠陥の有無を検査するびん底検査装置であって、
びん底を支持するびん底支持部と、中心角が第1の角度θ1の扇形状を含む形状の窓孔部を有し、外形がびん底の外形を含む大きさの円形形状である支持プレートと、
前記支持プレートを中心軸の回りに前記第1の角度θ1づつ間欠的に回転させて、びん底に対する前記窓孔部の周方向の位置を切り替える駆動機構と、
前記支持プレートに支持された検査対象のびんが前記支持プレートの回転に伴って共回りするのを規制する規制機構と、
前記支持プレートの下方に配置され、びん底に向けて照明光を照射する照明装置と、
びん底の全体が視野に入るように設置され、びん底に対する前記窓孔部の周方向の位置毎にびん底を撮像してびん底全体を含む画像を取得するカメラと、
前記カメラにより取得された画像を用いて欠陥の有無を判定する欠陥判定部を有する画像処理装置と、を備える、びん底検査装置。
【請求項2】
前記画像処理装置は、前記カメラにより撮像された複数のびん底画像のそれぞれについて、前記扇形状に対応する領域を切り出す切出処理部と、
切り出された領域の画像から前記びん底全体を含む画像を合成する合成処理部と、
びん底についての基準画像を記憶する記憶部と、
前記基準画像を用いて、前記びん底全体を含む画像に検査領域を設定する検査領域設定部とをさらに備え、
前記欠陥判定部は、前記検査領域内の欠陥の有無を判定する、請求項1に記載のびん底検査装置。
【請求項3】
前記基準画像は、欠陥の有無の判定基準が異なる複数の検査ゲートを含み、
前記検査領域設定部は、前記基準画像を用いて前記びん底全体を含む画像に前記各検査ゲートに対応する検査領域を設定する、請求項2に記載のびん底検査装置。
【請求項4】
前記窓孔部は、中心角が前記第1の角度θ1よりも大きい第2の角度θ2である扇形状である第1の窓孔部を有し、前記扇形状は、第1の窓孔部の周方向の中央に位置する、請求項1から3のいずれかに記載のびん底検査装置。
【請求項5】
前記びん底支持部は、周方向に等間隔に複数設けられ、外周部から内側に向けて突出しており、
前記窓孔部は、前記びん底支持部の間に形成される第1の窓孔部を複数有し、前記各第1の窓孔部は前記扇形状を含む、請求項1から請求項4のいずれかに記載のびん底検査装置。
【請求項6】
前記第1の角度θ1は360度/θ1が整数となるように設定され、
前記カメラによる撮像回数Nは、N=360度/(前記窓孔部に含まれる前記扇形状の数×前記第1の角度θ1)である、請求項1から5のいずれかに記載のびん底検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の形態のガラスびんについて、びん底を撮像して取得した画像によりびん底に欠陥があるかどうかを検査するためのびん底検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラスびんは、複数のセクションに分かれた製びん機により、セクション毎に個々の成形型を用いて同じガラスびんが一斉に製造される。各セクションで次々に製造されたガラスびんは、搬送系により最終の包装工程まで搬送される。製造されたガラスびん(以下、「びん」という。)の中には、成形型の不良や製びん機の運転状態に起因した欠陥が発生する場合があり、搬送途中の検査工程では、複数の項目について、びんの欠陥の有無が検査される。
【0003】
検査工程に設置されるびん検査装置としては、スターホイールの周囲に円陣に配置された複数の検査ステーションを有するものがあり、スターホイールの周面に設けられた複数の凹部内へ次々に導入されたびんは、スターホイールの間欠回転により各検査ステーションへ順送りされる。各検査ステーションには、検査装置が個々に配設され、各検査装置では、少なくとも1種類の欠陥種目について、欠陥の有無がそれぞれ検査される。検査の結果、欠陥をもつと判断されたガラスびんは、不良品として回収される。
【0004】
このようなびん検査装置において、びんに混入した異物や泡等の欠陥を、カメラによりびんを撮像した画像により検査することが行われている。例えば特許文献1に記載の検査装置はびんの胴部の欠陥を検査するものであり、検査ステーションにおいて、中心軸回りに回転自由な水平テーブルにびんが載せられ、水平テーブルを回転させながらびんの胴部に照明装置から光を照射し、びんからの反射光をラインスキャンカメラで受光してガラス容器の全周にわたって撮像を行うことで、びんの胴部の欠陥検査が行われる。
【0005】
びん検査装置において、検査対象のびんのびん底を検査することも行われているが(例えば、特許文献2)、上記の検査装置のように、びん底が水平テーブルにより支持されると、光が水平テーブルに遮られてびん底に光を照射することができず、びん底の欠陥を検査することができない。これに対して、水平テーブルを光が透過する透明な素材から構成することも考えられるが、水平テーブルへのびんの導入出が繰り返されると、水平テーブルの表面に傷が付き、水平テーブルの傷を誤ってびん底の欠陥として検出してしまうおそれがある。
【0006】
図13、
図14に示すびん底の検査装置においては、びんを直立姿勢で宙吊りに支持している。スターホイールは上下方向に2枚設けられており、上側のホイール102Aがびん100の首部100aに対応する高さに位置し、下側のホイール102Bがびん100の胴部100bの下方部分に対応する高さに位置しており、びんは各ホイール102A、102Bの凹部103A、103Bに導入される。上下の各ホイール102A、102Bの凹部103A、103Bの上または下には、それぞれ2つのローラー104A、104Bが位置している。
図14に示すように、凹部103A、103Bの対向位置であってびん100の胴部100bに対応する高さ位置に、押し付けガイド105が設けられている。押し付けガイド105は、凹部103A、103Bに対して近接、離反可能である。押し付けガイド105によりびん100を凹部103A、103Bの内面に向けて押し付けることで、ローラー104A、104Bと押し付けガイド105とでびん100を宙に浮かせた状態でびん100を直立姿勢に支持する。検査対象のびん100の下方位置に照明装置106が設置され、びん100の上方位置にカメラ107が配置されており、拡散光がびん底に向けて下方から照射され、カメラ107はびん口越しにびん底を撮像する。これにより、光が遮られることなくびん底に光が照射され、びん底全体を検査領域とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4253742号公報
【特許文献2】特開2015-190872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
検査対象のびんが平面から見たびんの胴部の形状が円形であるいわゆる丸びんの場合、
図13、
図14の例に示すように、びんの荷重がローラー104A、104Bと押し付けガイド105に均等に分散し、びんは直立姿勢で安定に支持される。しかし、胴部の平面形状が四角形や多角形、楕円形などの丸びん以外のびん(以下、「異形びん」という。)の場合には、別の検査ステーションでびんを回転させる際に、ローラー104Bが回転の障害となり、ローラー104Bを設置することができない。このため、びんをローラー104Aと押し付けガイド105とで支持すると、びんが直立姿勢にならずに傾いた状態で支持されることがあり、上記のびん底の検査装置では異形びんの検査ができないという問題がある。
【0009】
本発明は、丸びんに加え異形びんであってもびん底の欠陥検査を行うことができるびん底検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のびん底検査装置は、検査対象のびんについてびん底の欠陥の有無を検査するものであり、びん底を支持するびん底支持部と、中心角が第1の角度θ1の扇形状を含む形状の窓孔部を有し、外形がびん底の外形を含む大きさの円形形状である支持プレートと、前記支持プレートを中心軸の回りに前記第1の角度θ1づつ間欠的に回転させて、びん底に対する前記窓孔部の周方向の位置を切り替える駆動機構と、前記支持プレートに支持された検査対象のびんが前記支持プレートの回転に伴って共回りするのを規制する規制機構と、前記支持プレートの下方に配置され、びん底に向けて照明光を照射する照明装置と、びん底の全体が視野に入るように設置され、びん底に対する前記窓孔部の周方向の位置毎にびん底を撮像してびん底全体を含む画像を取得するカメラと、前記カメラにより取得された画像を用いて欠陥の有無を判定する欠陥判定部を有する画像処理装置と、を備える。
【0011】
検査ステーションに導入されたびんは支持プレートのびん底支持部によりびん底が支持されて直立姿勢で安定して載置される。支持プレートには中心角が第1の角度θ1の扇形状を含む形状の窓孔部が設けられているので、支持プレートの下方に設けられた照明装置による光のうち窓孔部を通った光がびん底に照射される。カメラによりびん底を撮像すると、そのびん底画像には少なくとも窓孔部の扇形状に対応する箇所が写し出されるが、びん底支持部に対応する箇所は光が照射されないため写し出されない。支持プレートは駆動機構により間欠回転するが、規制機構によりびんは共回りせず、支持プレートが回転する毎にびん底に対する窓孔部の周方向の位置が移動する。窓孔部の扇形状のびん底に対する位置を切り替えることで、カメラにより窓孔部の扇形状を通してびん底の全体が撮像される。画像処理装置はこの撮像されたびん底の画像を用いて欠陥の有無を判定する。
【0012】
上記の構成によれば、びんを支持プレートに載置してびん底検査を行っているので、丸びんだけでなく異形びんについても支持プレートによりびん底を支持して直立姿勢に保つことができ、丸びん、異形びんのいずれについても欠陥の検査を行うことができる。
【0013】
前記画像処理装置は、前記カメラにより撮像された複数のびん底画像のそれぞれについて、前記扇形状に対応する領域を切り出す切出処理部と、切り出された領域の画像から前記びん底全体を含む画像を合成する合成処理部と、びん底についての基準画像を記憶する記憶部と、前記基準画像を用いて、前記びん底全体を含む画像に検査領域を設定する検査領域設定部とをさらに備え、前記欠陥判定部は、前記検査領域内の欠陥の有無を判定してもよい。
【0014】
上記の画像処理装置において、前記基準画像は、欠陥の有無の判定基準が異なる複数の検査ゲートを含み、前記検査領域設定部は、前記基準画像を用いて前記びん底全体を含む画像に前記各検査ゲートに対応する検査領域を設定してもよい。
【0015】
前記窓孔部は、中心角が前記第1の角度θ1よりも大きい第2の角度θ2である扇形状である第1の窓孔部を有し、前記扇形状は、第1の窓孔部の周方向の中央に位置してもよい。
【0016】
前記びん底支持部は、周方向に等間隔に複数設けられ、外周部から内側に向けて突出しており、前記窓孔部は、前記びん底支持部の間に形成される第1の窓孔部を複数有し、前記各第1の窓孔部は前記扇形状を含んでいてもよい。
【0017】
前記第1の角度θ1は360度/θ1が整数となるように設定され、前記カメラによる撮像回数Nは、N=360度/(前記窓孔部に含まれる扇形状の数×前記第1の角度θ1)であってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、丸びんに加え異形びんであってもびん底の欠陥検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係るびん底検査装置の概略構成を示す側面図である。
【
図2】びん底検査装置の概略構成を示す部分平面図であり、(A)は
図1のX1-X1に沿う平面図、(B)は
図1のX2-X2に沿う断面図である。
【
図4】支持プレートの一例を示す平面図であり、(A)は支持プレートが第1の位置、(B)は第2の位置にあることを示す図である。
【
図5】支持プレートの他の例を示す平面図であり、(A)は支持プレートが第1の位置、(B)は第2の位置にあることを示す図である。
【
図6】支持プレートの他の例を示す平面図であり、(A)は支持プレートが第1の位置、(B)は第2の位置、(C)は第3の位置にあることを示す図である。
【
図7】(A)(B)は支持プレートの他の例を示す平面図である。
【
図8】画像処理装置の制御部が備える機能を示す機能ブロック図である。
【
図9】びん底の合成画像を合成処理の概要を説明するための図である。
【
図10】(A)は基準画像、(B)はびん底合成画像に基準画像を重ねた状態を示す図である。
【
図11】欠陥の検出処理を説明するフローチャートである。
【
図12】びん検査装置の概略構成を示す平面図である。
【
図13】従来のびん底検査装置の概略構成を示す側面図である。
【
図14】従来のびん底検査装置の概略構成の一部分を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。この発明のびん底検査装置10は、
図1に示すように、検査対象のびんBについてびん底B3の欠陥の有無を検査するものである。検査対象のびんBには、胴部B2及びびん底B3の平面形状が円形であるびん(以下、「丸びん」という。)に加え、胴部B2の平面形状及びびん底B3の平面形状が四角形や多角形、楕円形などの異形びんを含む。以下、胴部B2及びびん底B3の平面形状が四角形のびんであるいわゆる角びんを検査対象として説明する。本明細書において、丸びん、異形びんを区別しないか、両方を含む場合は「びんB」と言う。異形びん、丸びんともに、首部B1は平面からみた形状が円形である。
【0021】
びん底検査装置10は、
図12に示すようなびん検査装置のひとつの検査ステーション(例えばT5)に設けられる。びん検査装置は、スターホイール2の周囲に複数個の検査ステーションT1~T5が円陣に配置された構成のものである。製びん機から搬送コンベヤ5により送られてきた検査対象のびんBは、搬入コンベア5aを経てスターホイール2の外周面に形成された凹部3に導入される。スターホイール2は図示しない間欠回転機構により図中、矢印Pで示す方向へ所定の角度づつ間欠送りされ、これにより各びんBが各検査ステーションT1~T5へ順次導かれる。各検査ステーションT1~T5で検査が行われた後、検査済のびんBは検査の結果に応じて良品と不良品とに弁別され、搬出コンベア6aを経て良品は搬送コンベヤ6へ送り出されて次の工程へ送られ、不良品は図示しないリジェクト機構の動作によりリジェクトテーブル6bに回収される。
【0022】
図1、
図2に示すように、スターホイール2は上下2枚のホイール2A、2Bからなり、それぞれに凹部3A、3Bが設けられている。上ホイール2Aの凹部3Aは下ホイール2Bの凹部3Bよりも窪みが浅く形成されている。上下の各ホイール2A、2Bは、凹部3A、3BにびんBが導入された状態で、上ホイール2AがびんBの首部B1の高さ位置、下ホイール2Bが胴部B2の下部分(裾部)の高さ位置となるように配置されている。上ホイール2Aのすぐ下には2つのローラー4が位置し、各ローラ-4は外周部の一部が凹部3Aに突出している。このローラー4は、後述する押し付けガイド41とともに、びんBが支持プレート20の回転と共に共回りするのを防ぐ。下ホイール2Bと同じ高さ位置及びびんBの胴部B2の上部分に対応する位置には、スターホイール2の間欠回転時に凹部21に導入されたびんBが凹部3A、3Bから飛び出すのを防ぐために外周ガイド7が設けられている。
【0023】
製びん機で製造される検査対象のびんBは、
図3の例に示すように、びん底B3に当該びんBを成形した金型の型番を表す「136」のような数字Ya、その型番をコードで表した点列Yb、びんBの製造元を表す「YS」のような文字Ycなどの情報が同じ仮想の円周上もしくは同心円上に配置されている。これらの数字Ya、点列Yb、および文字Ycは、びん底B3の表面より盛り上がるような突起物や彫刻(以下、「突起物等Y」という。)によって表されている。
図3に示すびんBは、びん底B3の点列Ybによるコードが表される部分の表面近くにそれぞれ欠陥が存在する不良品である。欠陥とは、びんBの表面または内部に含まれる異物、泡、シワなどを言い、
図3の例では欠陥は異物Xである。本発明のびん底検査装置10は、びん底B3に加え、びん底B3とびんBの胴部B2との間の立ち上がり部分であるコーナー部B4に存在する欠陥の有無を検査することができる。
【0024】
びん底検査装置10は、
図1に示すように、びん底B3を支持する支持プレート20と、支持プレート20を中心軸Cの回りに第1の角度θ1づつ間欠的に回転させる駆動機構30と、支持プレート20に支持された検査対象のびんBが支持プレート20の回転に伴って共回りするのを規制する規制機構40と、支持プレート20の下方に配置され、びん底B3に向けて照明光を照射する照明装置43と、びん底B3の全体が視野に入るように設置されるカメラ42と、カメラ42により撮像された複数のびん底画像を用いて欠陥の有無を判定する欠陥判定部61を備える画像処理装置50と、駆動機構30、規制機構40、カメラ42等と接続されてこれらの各動作を制御するコントローラー70とを備える。なお、
図12に示したびん検査装置は、コントローラー70へ検査の開始タイミングを与えたり、びん底B3の検査結果を受け取ってリジェクト機構へ駆動タイミングを与えたりするタイミングコントローラー(図示せず)を含むものである。
【0025】
コントローラー70は、びん底検査に際して、駆動機構30を動作させて支持プレート20を第1の角度θ1ずつ間欠回転させる制御や、間欠回転毎にカメラ42を動作させてびん底B3を撮像させる制御、画像処理装置50にびん底B3の画像を処理させる制御等の制御を実行する。
【0026】
図1において、支持プレート20の中心軸Cの延長線C1上には、支持プレート20の下方に照明装置43が配置され、びんBのびん口の上方に、びん口よりびん底B3を覗くようにカメラ42が配置されている。カメラ42はびん口越しにびん底全体が撮像できる視野Wが設定され、びん底B3を透過した透過光がカメラ42に入射する。
【0027】
照明装置43は、びん底B3に向けて拡散光を照射する既知の拡散光源であり、
図4(A)、
図4(B)に示すように、支持プレート20に向けて、支持プレート20の外形よりも一回り大きい領域41Aに拡散光を照射可能である。
【0028】
支持プレート20は、
図4(A)、
図4(B)に示すように、平面からみた形状(外形)がびん底B3の外形を含む大きさの円形形状であり、環状の円周部21と、円周部21から内側に向けて突出してびん底B3を支持する複数のびん底支持部22とを有している。複数のびん底支持部22は同じ形状を有し周方向に等間隔に設けられている。円周部21の内側であってびん底支持部22が設けられていない中空の領域が窓孔部23である。窓孔部23は、びん底支持部22の間に周方向に形成され同じ形状を有する複数の扇形状の第1の窓孔部23aと、第1の窓孔部23aと連続しびん底支持部22より内側(中心軸C寄り)に位置する第2の窓孔部23bとからなる。
【0029】
以下、支持プレート20のびん底支持部22の形状、第1の窓孔部23aの形状、第2の窓孔部23bの形状の説明において「扇形状」の語を用いているが、「扇形状」とは、円の2本の半径とその間にある円弧によって囲まれた形状を言い、円の中心は支持プレート20の中心軸Cに一致する。また、後述する扇形状24の「扇形状」の語についても同様である。
【0030】
各第1の窓孔部23aは、第1の角度θ1よりも大きく設定された中心角が第2の角度θ2である扇形状であり、中心角が第1の角度θ1の扇形状24を含む。扇形状24は仮想であり、「仮想の扇形状」とも言う。仮想の扇形状24は第1の窓孔部23aの周方向の中央に設定される。仮想の扇形状24と第1の窓孔部23aの周方向の両側の径方向の端縁、すなわちびん底支持部22の端縁との間の扇形状の領域はそれぞれ中心角が第4の角度θ4であり、本実施形態では第4の角度θ4を15度に設定している。照明装置43からの光が窓孔部23を通過してびん底B3に照射される際に、びん底支持部22の近傍付近ではびん底支持部22の影になり十分な光がびん底B3に届かない可能性があるため、仮想の扇形状24をびん底支持部22からそれぞれが第4の角度θ4ずつ狭めて設定することで、仮想の扇形状24の領域では確実に光が通過するようにしている。
【0031】
びん底支持部22は、中心角が第3の角度θ3の扇形状において、中心軸C側の先端部分を円弧状に切り取った形状であり、この切り取られた領域が第2の窓孔部23bとなり、第1の窓孔部23aと連続する。すなわち、第2の窓孔部23bは、半径が第1の窓孔部23aよりも小さい中心角が第3の角度θ3の扇形状である。
【0032】
第2の窓孔部23bの半径の長さは、仮想の扇形状24がびん底支持部22の影にならないように、びん底支持部22が仮想の扇形状24から十分に離れるように設定される。仮想の扇形状24は、詳細は後述するが、びん底全体を含む画像を合成して生成する際に複数の撮像されたびん底画像G1、G2から切り出されるびん底領域g1、g2に相当する。
【0033】
第2の角度θ2、第3の角度θ3は、第1の窓孔部23aの数×第2の角度θ2+びん底支持部22の数×第3の角度θ3=360度となるように設定される。
図4(A)、
図4(B)に示す実施形態では、第3の角度θ3が60度のびん底支持部22は、支持プレート20の中心軸Cに対して対角位置(中心軸Cを通る直径上にあり互いに向き合う位置)に一対設けられており、これらびん底支持部22に挟まれる対角位置には、第2の角度θ2が120度の第1の窓孔部23aが一対形成されている。そして、仮想の扇形状24の第1の角度θ1は90度に設定されている。
【0034】
支持プレート20の外周面には溝25が1周にわたって設けられ、溝25内を支持プレート20の駆動機構30を構成する4個のベアリング33(後述)が転動するようになっている(
図1)。
【0035】
駆動機構30は、支持プレート20を中心軸Cの回りに第1の角度θ1づつ間欠的に回転させ、窓孔部23の仮想の扇形状24のびん底B3に対する周方向の位置を切り替えるものである。駆動機構30は、
図1に示すように、駆動源であるモータ31と、モータ31の回転を支持プレート20に伝達する動力伝達機構32と、支持プレート20を支持する複数のベアリング33と、を含む。動力伝達機構32は、モータ31に取付けられた第1ギア32aと、第1ギア32aと噛み合い支持プレート20と一体の第2ギア32bとを含んでいる。第2ギア32bは支持プレート20の下面に取付けられているが、円環状であるので、照明装置43からびん底B3に向けて照射される拡散光は第2のギア32bによって遮断されない。
【0036】
規制機構40は、
図1、
図2(A)に示すように、上のホイール2Aの凹部3Aに対向する位置に設けられ、図示しない移動機構により凹部3Aに近接、離反可能な押し付けガイド41を含む。押し付けガイド41は、平面からみた形状が凹部3Aに向けて凸となる半円状の当接部41aと、当接部41aの支持部材41bとを備え、当接部41aは検査対象のびんBを傷つけないように合成樹脂やゴム等から構成される。押し付けガイド41の当接部41aが凹部3Aに導入されたびんBの首部B1と当接して、上のホイール2のすぐ下に位置するローラー4に押し付けることで、びんBを支持プレート20に載置した状態で定位させ、支持プレート20の間欠回転の際にびんBが支持プレート20の回転に伴って共回りするのを防いでいる。
【0037】
支持プレート20の回転とびん底B3のカメラ42による撮像について説明する。びん底検査においては、びんBは支持プレート20上に載置されており、規制機構40により支持プレート20の回転による共回りが規制されている。このため、支持プレート20を回転させたとき、びん底B3に対する支持プレート20の相対位置が移動する。
図4(A)においては、支持プレート20は第1の位置にあり、第1の窓孔部23aが図中縦方向に位置している。駆動機構30により支持プレート20が第1の角度θ1である90度回転すると、
図4(B)に示すように、第1の窓孔部23aが図中横方向に位置する第2の位置となる。第1の位置、第2の位置のそれぞれにおいて、照明装置43からの光が支持プレート20の下方からびん底B3に向けて照射されると、支持プレート20の円周部21及びびん底支持部22により光は遮られるが、光は窓孔部23を通過する。このため、カメラ42により撮像されるびん底画像には窓孔部23に対応する領域が写し出される。窓孔部23の周方向の端の周辺は、びん底支持部22の影になり光が十分にびん底B3に届かない場合があるが、取得されるびん底画像には少なくともびん底B3の仮想の扇形状24に対応する領域が明瞭に写し出される。なお、カメラ42に対する支持プレート20の相対位置(第1の位置、第2の位置)の座標は予め設定されている。
【0038】
支持プレート20の回転角と仮想の扇形状24の中心角とは同じ角度(第1の角度θ1)に設定している。仮想の扇形状24の中心角と同じ角度で支持プレート20を回転させることで、仮想の扇形状24のびん底B3に対する周方向の位置を切り替えて仮想の扇形状24が中心軸Cの回りを一周する。
【0039】
第1の角度θ1は、120度以下であって360度/θ1が整数となるように設定されている。びん底全体を撮像するために、1回のびん底検査につきカメラ42による撮像回数Nは、撮像回数N=360度/(窓孔部23に含まれる仮想の扇形状24の数n×第1の角度θ1)である。
図4(A)、
図4(B)の実施形態では、窓孔部23の2つの第1の窓孔部23aのそれぞれに1つの仮想の扇形状24が含まれるので、n=2、θ1=90度であり、N=360度/(2×90度)=2回に設定される。また、第1の角度θ1を120度以下に設定しているが、これは、第1の窓孔部23aの中心角を120度より大きくすると、びん底支持部22の中心角である第3の角度θ3が小さく設定されてびん底支持部22のサイズが小さくなり、支持プレート20にびんBを載置したときに安定してびん底B3を支持することができなくなるからである。
【0040】
図4(A)に示す第1の位置のときに1回目の撮像が行われ、支持プレート20を第1の位置から第1の角度θ1である90度回転させ、
図4(B)に示す第2の位置となったときに2回目の撮像が行われる。これにより、各第1の窓孔部23aに設定された仮想の扇形状24が中心角360度の全てにわたって位置してびん底全体が撮像される。この実施形態では、支持プレート20は一対の窓孔部23と一対のびん底支持部22とを備えているので、駆動機構30は、第1の位置と第2の位置とが交互に現われるように支持プレート20を第1の角度θ1(90度)の回転角度で往復回転させてもよく、一方向に第1の角度θ1(90度)ずつ回転させてしてもよい。
【0041】
支持プレート20は
図4(A)、
図4(B)の実施形態に限定されず、例えば、
図5(A)、
図5(B)に示すものであってもよい。
図5(A)、
図5(B)の実施形態では、びん底支持部22が周方向に等間隔に4つ(二対)設けられており、第1の窓孔部23aがそれぞれ周方向に等間隔に4つ(二対)設けられている。仮想の扇形状24の中心角及び支持プレート20の回転角度である第1の角度θ1は45度に設定し、第1の窓孔部23aの第2の角度θ2は60度に設定し、第3の角度θ3は30度に設定している。
図5(A)、
図5(B)の実施形態においては、撮像回数Nは、仮想の扇形状24の数n=4、第1の角度θ1=45度であるから、N=360度/(4×45度)=2回である。
図5(A)の第1の位置において撮像を行った後、駆動機構30により支持プレート20を第1の角度θ1である45度回転させて
図5(B)に示す第2の位置とし、二度目の撮像を行う。これによりびん底全体が撮像される。
【0042】
図6(A)~
図6(C)は支持プレート20のさらに他の例である。
図6(A)~
図6(C)の実施形態では、びん底支持部22が周方向に等間隔に2つ設けられており、第1の窓孔部23aがそれぞれ周方向に等間隔に2つ設けられている。仮想の扇形状24の中心角及び支持プレート20の回転角度である第1の角度θ1は60度に設定し、第1の窓孔部23aの第2の角度θ2は90度に設定し、第3の角度θ3は90度に設定し、第4の角度θ4は15度に設定している。
図6(A)~
図6(C)の実施形態では、撮像回数Nは、仮想の扇形状24の数n=2、第1の角度θ1=60度であるから、N=360度/(2×60度)=3回である。すなわち、
図6(A)の第1の位置において撮像を行った後、駆動機構30により支持プレート20を第1の角度θ1である60度時計回り(または反時計回り)に回転させて
図6(B)に示す第2の位置として2度目の撮像を行い、さらに駆動機構30により支持プレート20を第1の角度θ1である60度同じ方向に回転させて
図6(C)に示す第3の位置として3度目の撮像を行う。これによりびん底全体が撮像される。
【0043】
図7(A)は支持プレート20のさらに他の例である。びん底支持部22及び第1の窓孔部23aは必ずしも対角位置に対に設けられる必要はなく、
図7(A)は3つのびん底支持部22が周方向に等間隔をあけて設けられている。
図7(A)の実施形態においては、仮想の扇形状24の中心角及び支持プレート20の回転角度である第1の角度θ1は60度に設定し、第1の窓孔部23aの第2の角度θ2は90度に設定し、第3の角度θ3は30度に設定し、第4の角度θ4は15度に設定している。この場合、第1の位置における撮像を行った後、駆動機構30が第1の角度θ1=60度で支持プレート20を回転させて支持プレート20を第2の位置(図示せず)とし、2回目の撮像を行う。これによりびん底全体が撮像される。
【0044】
図7(B)は支持プレート20のさらに他の例である。
図7(B)の支持プレート20は、びん底支持部22を1つ備え、第3の角度θ3を240度に設定している。窓孔部23は扇形状の第1の窓孔部23aを1つ備え、第2の窓孔部23bは備えていない。仮想の扇形状24の中心角及び支持プレート20の回転角度である第1の角度θ1は90度に設定し、第1の窓孔部23aの第2の角度θ2は120度に設定し、第4の角度θ4は15度に設定している。この場合、第1の位置における撮像を行った後、第2、第3、第4の各位置となるように支持プレート20を第1の角度θ1ずつ間欠回転させ、第2~第4の各位置においてそれぞれ合計4回の撮像を行うことで、びん底全体が撮像される。
【0045】
図8は、画像処理装置50の制御部51の構成を機能ブロック図で示したものである。制御部51は、カメラ42により撮像された複数のびん底画像を取り込んで処理し、欠陥の有無を判定する。画像処理装置50は制御部51と記憶部65とを有し、CPUやメモリなどを有するコンピュータにより実現される。制御部51には、記憶部65に記憶されているプログラムにより、画像取込部52、切出処理部53、合成処理部54、びん底認識処理部55、補正処理部56、検査領域設定部57、濃淡処理部58、濃淡判定部59、欠陥検出部60、欠陥判定部61の各機能が設定されている。また、記憶部65には、びん底画像に対する仮想の扇形状24の座標、びん底B3の基準画像G4、濃淡閾値、サイズ閾値等が記憶されている。また、記憶部65には、制御部51の各部により、カメラにより撮像された第1、第2の各びん底画像G1、G2や、制御部51により処理された各びん底領域g1、g2、びん底B3の合成画像G3、濃淡処理後の画像等が記憶される。
【0046】
以下、
図4(A)、
図4(B)に示す支持プレート20を用いた場合を例にして制御部51の各部の動作を説明する。画像取込部52は、コントローラー70からの指令に応じて、びん底B3に対する支持プレート20の相対位置が変わる毎にカメラ42により撮像されたびん底画像を取り込むもので、支持プレート20の第1の位置における第1のびん底画像G1と、支持プレート20の第2の位置における第2のびん底画像G2とが取り込まれる。
図9(A)は第1のびん底画像G1の例であり、
図9(C)は第2のびん底画像G2の例である。第1、第2の各びん底画像G1、G2のうち、びん底B3の支持プレート20の円周部21及びびん底支持部22に対応する領域は照明装置43による拡散光がカメラ42に届かないため黒く写り、窓孔部23に対応する領域は拡散光が通過するためびん底B3が写し出される。第1、第2の各びん底画像G1、G2には、支持プレート20に支持されたびんBのびん底B3のエッジEも写し出される。びん底B3のエッジEとは、びん底B3とコーナー部B4との境目を言う。また、図示例のびん底画像G1、G2には、欠陥である異物Xが異物の画像X1として写し出されるとともに、びん底B3に設けられた突起物等Yが突起物等の画像Y1として薄く写し出されている。
【0047】
記憶部65には、第1、第2の各びん底画像G1、G2に対する第1の窓孔部23aの仮想の扇形状24(
図9(A)、
図9(C)において一点鎖線で示す領域)の座標が予め記憶されている。切出処理部53は記憶部65に記憶されたこの座標に基づいて、撮像された第1、第2の各びん底画像G1、G2から、仮想の扇形状24に対応する領域をびん底領域g1、g2として切り出し、記憶部65に記憶する。
図9(B)、
図9(D)は切り出されたびん底領域g1、g2の画像の例を示している。
図9(B)では図中縦方向に中心軸Cに対する対角位置に中心角が第1の角度θ1=90度の扇形状の領域、すなわち合計で中心角が180度の領域を切り出し、
図9(D)は図中横方向に中心軸Cに対する対角位置に中心角が第1の角度θ1=90度の扇形状の領域、すなわち合計で中心角が180度の領域を切り出している。
【0048】
合成処理部54は、記憶部65に記憶された切り出されたびん底領域g1、g2からびん底全体を含む画像(「合成画像G3」という。)を合成し、記憶部65に記憶する。
図9(E)は、
図9(B)、
図9(D)に示すびん底領域g1、g2を合成して生成されたびん底B3の合成画像G3の例であり、中心角が360度の領域の画像が生成される。このびん底B3の合成画像G3にはびん底全体の形状を表す矩形状のエッジEが表われる。なお、
図9(A)~
図9(E)に示す画像は、合成画像G3の合成を説明するための図であり、実際の画像とは異なっている。
【0049】
記憶部65には、基準画像G4が記憶されている。基準画像G4は、例えば
図10(A)に示すように、検査対象のびんBのびん底B3のエッジEの画像であり、検査の開始前に予め取得したびんBのびん底B3の画像よりエッジ抽出を行って記憶部65に記憶したものである。記憶部65にはびん底検査装置10で検査される様々な形状のびんBの基準画像が記憶されている。基準画像G4のびん底B3のエッジEは、
図10(A)の横方向に沿う辺と、縦方向に沿う辺とを有する。また、基準画像G4のびん底B3のエッジE内は、欠陥の有無の判定基準が異なる複数の検査ゲートRに区分けされている。
図10(A)の例では、検査ゲートRは、びん底B3の中央部に位置する円形状の第1のゲートR1と、第1のゲートR1の外周を取り囲むように設けられる環状の第2のゲートR2と、第2のゲートR2の周縁とびん底B3のエッジEとの間に設定される第3のゲートR3とを含んでいる。第1~第3の各ゲートR1~R3において、判定基準である濃淡閾値(後述)、サイズ閾値(後述)がそれぞれ個別に設定されており、ゲート毎に異なる濃淡閾値、サイズ閾値を設定することが可能である。なお、びん底B3とびんBの胴部B2との間を連結するコーナー部B4を検査する場合には、検査ゲートRはびん底B3のエッジE内だけでなく、エッジEの外側にも設定される。
【0050】
びん底認識処理部55は、記憶部65に登録されたびん底B3のエッジの基準画像G4を用いて、
図10(B)に示すように、記憶部65に記憶されたびん底B3の合成画像G3に対してパターンマッチング処理を実施することにより、びん底B3の合成画像G3の横方向(または縦方向)に対する傾き角度と回転中心座標を検出する。この場合、パターンマッチング処理は、合成画像G3よりエッジ抽出を行った画像に対して行うのが望ましい。補正処理部56は、検出された傾き角度と回転中心座標を用いて合成画像G3を中心位置に移動させるとともに回転させ、この補正された画像を記憶部65に記憶する。なお、基準画像G4をびん底B3の合成画像G3に合わせて回転、移動補正してもよい。検査領域設定部57は、基準画像G4と補正後のびん底B3の合成画像G3とを重ね合わせて、びん底B3の合成画像G3に検査領域rを設定する。基準画像G4には複数の検査ゲートRが設定されており、検査領域設定部57は、基準画像G4を用いて合成画像G3に第1~第3の各ゲートR1~R3に対応する第1~第3の各検査領域r1~r3を設定する。なお、
図10(A)、
図10(B)に示す画像は、基準画像G4及び検査領域rの設定を説明するための図であり、実際に撮像される画像とは異なっている。
【0051】
びん底B3の合成画像G3は、濃淡画像であって画素ごとに明度が256階調で表されており、暗いほど数値は小さい。濃淡処理部58は、各画素について、所定の画素数だけ離れた近傍の他の画素との明度差を算出する濃淡処理を行う。濃淡判定部59は、記憶部65に記憶された濃淡閾値を用いて、濃淡処理により得られた明度差の値が濃淡閾値を超えた画素を検出して2値の検出画像を記憶する。この検出画像は、濃淡閾値を超えた画素を「1」、それ以外の画素を「0」とする2値画像である。
【0052】
濃淡閾値はびん底B3の合成画像G3に設定された第1~第3の各検査領域r1~r3毎にそれぞれ設定される。びん底B3に存在する突起物等Yはカメラ42により撮像されたびん底画像G1、G2や合成画像G3に突起物等の画像Y1として明度が低く写し出されており、突起物等Yの位置に対応する第2の検査領域r2においては、写し出された突起物等の画像Y1が欠陥として検出されない程度に濃淡閾値の値を他の検査領域r2よりも高く設定している。
【0053】
欠陥検出部60は、濃淡判定部59で検出された濃淡閾値を超えた画素のうち、連続している画素を2値の検出画像より抽出し、抽出した画素の数をカウントする。例えば、ある程度大きな異物の画像X1は、濃淡処理によって画像X1の輪郭を構成する画素が「1」、輪郭の内側の画素が「0」となり、輪郭を構成する「1」の画素が環状に連続するため、この環状を形成する画素数をカウントする。欠陥判定部61は、欠陥検出部60でカウントされた欠陥の画素数が、記憶部65に記憶されたサイズ閾値以上か否かを判定する。サイズ閾値以上の場合には、検査対象のびんBは欠陥が存在すると判断される。サイズ閾値はびん底B3の合成画像G3に設定された第1~第3の各検査領域r1~r3毎にそれぞれ設定される。
【0054】
図11は、びん底検査装置10の画像処理装置50およびコントローラー70により実施される欠陥検査の処理の手順を示している。これらの手順(図中、各手順を「ST」で示す。)は、びんBが検査ステーションに導入されるタイミングに合わせて、順次、そして繰り返し実行される。以下、
図4の支持プレート20を用いた例について、
図11中の各手順を説明する。なお、検査開始時には、支持プレート20は
図4(A)に示す第1の位置にあり、照明装置43は光をびん底B3に向けて照射した状態となっているものとする。
【0055】
ST1では、コントローラー70は、びん底検査装置10が設けられた検査ステーションに検査対象のびんBが導入され、支持プレート20に載置された状態にあるか否かを判断する。「Yes」の場合には、次のステップに進む。「No」の場合には、コントローラー70はST1が「Yes」になるまで待機する。次のST2では、コントローラー70は、カメラ42に
図9(A)に示すような第1のびん底画像G1を撮像させ、画像処理装置50の画像取込部52に画像G1を取り込ませる。切出処理部53は、
図9(B)に示すように、第1のびん底画像G1から仮想の扇形状24に対応する形状の領域をびん底領域g1として切り出して、記憶部65に記憶する(ST3)。
【0056】
コントローラー70は駆動機構30を動作させ、支持プレート20を中心軸C回りに第1の角度θ1回転させる(ST4)。これにより、支持プレート20は
図4(B)に示す第2の位置となる。
【0057】
次に、コンローラー70はカメラ42に
図9(C)に示すような第2のびん底画像G2を撮像させ、画像処理装置50の画像取込部52に画像G2を取り込ませる(ST5)。切出処理部53は、
図9(D)に示すように、第2のびん底画像G2から、予め記憶部65に記憶された仮想の扇形状24に対応する形状の領域をびん底領域g2として切り出して、記憶部65に記憶する(ST6)。
【0058】
合成処理部54は、第1、第2の各びん底画像G1、G2から切り出されたびん底領域g1、g2を合成して、
図9(E)に示すようなびん底全体を含む合成画像G3を生成し、記憶部65に記憶する(ST7)。
【0059】
びん底認識処理部55は、
図10(A)に示す記憶部65に記憶されたびん底B3の基準画像G4を用いて、びん底B3の合成画像G3に対するパターンマッチング処理を実施することにより、びん底B3の合成画像G3の横方向(または縦方向)に対する傾き角度と回転中心座標を検出する(ST8)。補正処理部56は、前のステップで得られた傾き角度と回転中心座標に基づき、びん底B3の合成画像G3を中心位置に移動させて回転し、その補正された画像を記憶する(ST9)。検査領域設定部57は、基準画像G4を用いて補正されたびん底B3の合成画像G3に複数の検査領域r1~r3を設定する(ST10)。
【0060】
濃淡処理部58は、びん底B3の合成画像G3の各画素について、所定の画素数だけ離れた近傍の他の画素との明度差を算出する濃淡処理を行い(ST11)、濃淡判定部59は、記憶部65から濃淡閾値を読み出し、濃淡処理により得られた明度差の値が濃淡閾値を超えた画素を検出し、その検出画像を記憶する(ST12)。濃淡閾値はびん底B3の合成画像G3に設定された第1~第3の各検査領域r1~r3毎にそれぞれ設定されている。
【0061】
欠陥検出部60は、濃淡判定部59で検出された濃淡閾値を超えた画素のうち、連続している画素を抽出し、その画素数をカウントする(ST13)。また、連続した画素が環状になっている場合には、環状部分の画素数をカウントする。欠陥判定部61は、記憶部65からサイズ閾値を読み出し、欠陥検出部60でカウントされた画素数が、サイズ閾値より小さいか否かを判定する(ST14)。サイズ閾値より小さい場合には、びんBのびん底B3には欠陥が存在しないと判断され、検査対象のびんBに対する検査を終了する。サイズ閾値以上の場合には、検査対象のびんBのびん底B3には欠陥が存在すると判断される。サイズ閾値はびん底B3の合成画像G3に設定された第1~第3の各検査領域r1~r3毎にそれぞれ設定されており、欠陥判定部61は、欠陥検出部60でカウントされた画素の検査領域rに応じたサイズ閾値を用いて欠陥の有無を判定する。
【0062】
ST14で検査対象のびんBに欠陥があると判定されると、コントローラー70はびん検査装置のリジェクト機構(図示せず)に欠陥のあるびんBを除去する指示を出し(ST15)、リジェクト機構は当該びんBをリジェクトテーブル6bへ送り出す等の動作を行う。
【0063】
上記の構成によれば、びんBを支持プレート20に載置してびん底検査を行っているので、丸びんだけでなく異形びんにおいても支持プレート20によりびん底B3を支持して直立姿勢に保つことができ、丸びん、異形びんのいずれについても欠陥の検査を行うことができる。
【0064】
また、びん底B3を突起物等Yが設けられた箇所に応じて複数の検査領域r1~r3に分け、各検査領域r1~r3ごとに欠陥を検出する判定基準を異ならせているため、突起物等Yを誤って欠陥と判定することを防ぎ、精度の高い判定を行うことができる。
【0065】
照明装置43からの光は窓孔部23を通過するが、窓孔部23の縁に近い部分は縁の影になり中央部に比べて光が通過しにくいが、本実施形態では、仮想の扇形状24は第1の窓孔部23aの周方向の中央に設定され、窓孔部23の縁から離れているので、少なくとも仮想の扇形状24の領域では窓孔部23の縁の影にならずに光を撮像に十分な程度に通過させることができるため、鮮明な画像が得られ、検査の性能が高められる。
【0066】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
10 びん底検査装置
20 支持プレート
22 びん底支持部
23 窓孔部
23a 第1の窓孔部
23b 第2の窓孔部
24 扇形状(仮想の扇形状)
30 駆動機構
40 規制機構
41 押し付けガイド
42 カメラ
43 照明装置
50 画像処理装置
51 制御部
53 切出処理部
54 合成処理部
57 検査領域設定部
61 欠陥判定部
65 記憶部
B 検査対象のびん
B3 びん底
C 中心軸
G1、G2 びん底画像
G3 びん底全体を含む画像(合成画像)
G4 基準画像
r 検査領域
R 検査ゲート
θ1 第1の角度
θ2 第2の角度