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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072923
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】座席装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/56 20060101AFI20220510BHJP
   B60N 2/22 20060101ALI20220510BHJP
   A47C 1/024 20060101ALI20220510BHJP
   A47C 7/74 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
B60N2/56
B60N2/22
A47C1/024
A47C7/74 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020182629
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】小川 征輝
(72)【発明者】
【氏名】長尾 裕
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3B099
【Fターム(参考)】
3B084JG02
3B084JG04
3B087BA07
3B087BD03
3B099AA05
3B099BA04
(57)【要約】
【課題】床側から導かれた空調空気が通される空調用通気路が設けられたリクライニング可能な座席装置を提供する。
【解決手段】座席装置1は、鉄道車両の床に設置される脚台2と、脚台2上に支持された台枠3と、横並び配置されて台枠3に支持された3つの座席とを備えている。各座席は、座部と、座部に対してリクライニング可能な背ズリ72とを備えている。座席装置1には、床下の通気路と接続されて空調空気が通される空調用通気路が設けられている。この空調用通気路は、台枠3上に取り付けられ、座部の下に配置された座部側ダクト6と、各背ズリ72の内部に設けられた背ズリ側空間75と、座部側ダクト6と各背ズリ側空間75とを繋いだ連結部8とを含んでいる。連結部8は蛇腹状に形成されており、背ズリ72のリクライニング角度に応じて変形する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と、前記座部に対してリクライニング可能な背ズリと、前記座部を支持し、床に設置される支持部と、を備えた座席装置であって、
前記座部の下から前記背ズリ内部を経由して前記背ズリ外に連通する空調用通気路が設けられており、
前記空調用通気路は、前記座部の下に設けられた座部側ダクトと、前記背ズリ内部に設けられた背ズリ側空間と、前記座部の後方を通って前記座部側ダクトと前記背ズリ側空間とを繋いだ連結部と、を含んでおり、
前記連結部が、前記背ズリのリクライニング角度に応じて変形可能に形成されている
ことを特徴とする座席装置。
【請求項2】
前記連結部が蛇腹状に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の座席装置。
【請求項3】
前記座部及び前記背ズリを複数組備え、これら座部及び背ズリは横並び配置されており、
前記座部側ダクトは、複数の座部に対して共通で一つ設けられており、
前記背ズリ側空間は、各背ズリ毎に設けられており、
前記座部側ダクトには前記座部と同数の出口が設けられ、各出口と各背ズリ側空間とが前記連結部で繋がれている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の座席装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座席装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
劇場やホールの床に据え付けられる座席の背ズリに通気路を設け、床下の通気路から導かれた空調空気を背ズリの通気路に通して背ズリ上部から外部へ吹き出すことで室内を空調する技術が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-154771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、背ズリがリクライニング可能な座席が設置された車両等に上記空調技術を適用することを検討したが、特許文献1の座席は背ズリがリクライニング不能であり、背ズリがリクライニング可能であるものにおいては上記空調技術をそのまま適用することはできなかった。
【0005】
そこで、本発明は、床側から導かれた空調空気が通される空調用通気路が設けられたリクライニング可能な座席装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、座部と、前記座部に対してリクライニング可能な背ズリと、前記座部を支持し、床に設置される支持部と、を備えた座席装置であって、前記座部の下から前記背ズリ内部を経由して前記背ズリ外に連通する空調用通気路が設けられており、前記空調用通気路は、前記座部の下に設けられた座部側ダクトと、前記背ズリ内部に設けられた背ズリ側空間と、前記座部の後方を通って前記座部側ダクトと前記背ズリ側空間とを繋いだ連結部と、を含んでおり、前記連結部が、前記背ズリのリクライニング角度に応じて変形可能に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、連結部が背ズリのリクライニング角度に応じて変形可能に形成されているので、背ズリのリクライニング状態に影響されることなく常時安定した通気を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態にかかる座席装置の斜視図である。
図2図1の座席装置の座部を外した状態の斜視図である。
図3図2の座席装置の空調用通気路を通される空調空気の流れを示す説明図である。
図4図2の座席装置を背面側からみた斜視図である。
図5図4の背ズリと連結部の分解図である。
図6図2の座席装置の正面図である。
図7図6の座席装置の右側面図である。
図8図6中のA-A線に沿った断面図である。
図9図6中のB-B線に沿った断面図である。
図10図6中のC-C線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態にかかる「座席装置」を図1~10を参照して説明する。図1に示す座席装置1は、鉄道車両の客室内に設置されるものである。
【0010】
座席装置1は、図1~4に示すように、客室内の床に設置される脚台2(支持部に相当する)と、脚台2上に回転盤を介して水平回転可能に支持された台枠3(支持部に相当する)と、横並び配置されて台枠3に支持された3つの座席7と、肘掛12と、を備えている。すなわち、本例の座席装置1は三人掛けタイプである。各座席7は、座部71と、座部71に対してリクライニング可能な背ズリ72と、を備えている。
【0011】
脚台2にはペダル11が取り付けられており、このペダル11を踏むことで台枠3を回転させることが可能になる。すなわち、座席7の向きを180度変えることができる。また、ペダル11を踏むことでリクライニング状態の背ズリ72がアップライト状態に復帰する。
【0012】
台枠3は、複数の金属性の棒が長方形枠状に組まれて構成されている。
【0013】
座席装置1には、床下の通気路(不図示)と接続されて温風・冷風等の空調空気が通される空調用通気路が設けられている。図3中の一点鎖線矢印は、空調用通気路を通される空調空気の流れを表している。この空調用通気路は、台枠3の下から座部71側に延びた不図示のダクトと、台枠3上に取り付けられ、座部71の下に配置された座部側ダクト6と、各背ズリ72の内部に設けられた背ズリ側空間75と、座部71の後方(着座者からみた後方)を通って座部側ダクト6と各背ズリ側空間75とを繋いだ連結部8と、で構成されている。
【0014】
座部側ダクト6は、図2,3に示す下板61と上板65とが組み付けられて構成され、台枠3よりも一回り小さい扁平な箱状に形成されている。下板61の中心部に形成された入り口62から座部側ダクト6内に送られた空調空気は、座部側ダクト6の背ズリ72側の長辺部に設けられた3つの出口66それぞれから連結部8を介して各背ズリ側空間75に送られる。このように座部側ダクト6は、3つの座部71に対して共通で一つ設けられており、座部71と同数の3つの出口66が設けられ、各出口66と各背ズリ側空間75とが連結部8で繋がれている。
【0015】
図3~10に示すように、各背ズリ側空間75は、背ズリフレーム76に取り付けられた前板77と後板78との間に設けられた空間であり、背ズリ72の下端から上端にわたって設けられている。背ズリ72下端の入り口73から背ズリ側空間75に送られた空調空気は、背ズリ72上端の吹き出し口74から外部に吹き出されて客室内を空調する。
【0016】
連結部8は、ゴム又は低剛性な合成樹脂で形成されており、図5に示すように、山部と谷部が交互に連続した蛇腹状の蛇腹部83と、蛇腹部83の一端に設けられた座部側接続部81と、蛇腹部83の他端に設けられた背ズリ側接続部82と、を一体で有している。座部側接続部81及び背ズリ側接続部82は、蛇腹部83の谷部とほぼ同径の環状に形成されている。また、本例では、連結部8と座部71との干渉を避けるため、連結部8全体を断面楕円形状とし、楕円の長軸が座部71の幅方向となるようにしている。
【0017】
背ズリ側接続部82は、図3,5,8に示すように、接続部材9を介して背ズリ側空間75の入り口73に接続される。接続部材9は、大径部91と小径部92とを有する樹脂部材である。接続部材9は、大径部91が背ズリ側接続部82内に嵌め込まれることで背ズリ側接続部82に固定され、小径部92が背ズリ側空間75の入り口73に差し込まれることで入り口73に固定される。同様に、座部側接続部81は、接続部材9を介して座部側ダクト6の出口66に接続される。
【0018】
このような連結部8は、図6~10に示すように、背ズリ72のリクライニング角度に応じて蛇腹部83が変形する。本例では、図8に示す背ズリ72のリクライニング状態において蛇腹部83が比較的自然状態に近く、図10に示す背ズリ72のアップライト状態において蛇腹部83がより曲がっている。このように、背ズリ側空間75の入り口73は、背ズリ72のリクライニング角度によって位置が変位するが、連結部8がこれに追従して変形する。このことにより、背ズリ72のリクライニング状態に影響されることなく常時安定した通気を行うことができる。
【0019】
上述した実施形態では、座席装置1が複数の座席7を備えていたが、本発明の座席装置は、座席が1つであってもよい。また、上述した実施形態では、鉄道車両に設置される座席装置1について説明したが、本発明の座席装置は鉄道車両以外、例えば自動車に設置されるものであってもよい。
【0020】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 座席装置
2 脚台(支持部)
3 台枠(支持部)
6 座部側ダクト
7 座席
8 連結部
71 座部
72 背ズリ
75 背ズリ側空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10