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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072936
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】ピッキングシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20220510BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
B65G1/00 501B
B65G1/137 F
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020182644
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小西 誠
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022EE01
3F022EE09
3F022FF01
3F022JJ09
3F022LL33
3F022MM13
3F022PP04
3F522AA02
3F522BB06
3F522BB24
3F522BB29
3F522BB32
3F522BB36
3F522CC01
3F522DD03
3F522DD04
3F522DD32
3F522HH03
3F522HH18
3F522JJ01
3F522JJ03
3F522LL57
(57)【要約】
【課題】ピッキングシステムにおいて、複数種類の荷物に対して、ピッキング後に効率よく搬出可能にする。
【解決手段】ピッキングシステム1において、切り出しコンベヤ9は、荷物箱Bが入ったトレイTがクレーン7によって移載されるとトレイTの縁部の少なくとも一部を下方から支持するトレイ支持プレート21と、トレイ支持プレート21に移載されたトレイTの下方において切り欠きT1に対応して配置されたフリーローラ23a及びモータローラ23bと、フリーローラ23a及びモータローラ23bに対して相対的にトレイ支持プレート21を下降させることで、トレイTの切り欠きT1内にフリーローラ23a及びモータローラ23bを通してトレイT内の荷物箱Bをフリーローラ23a及びモータローラ23bによって下方から支持させる昇降装置25と、を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に貫通する貫通部を有するトレイに対して、作業者が荷物を投入するためのピッキングシステムであって、
複数のトレイ収納部を備えたラックと、
前記ラックの下部に配置され、作業者による前記荷物の投入を可能にする開口を有する投入間口と、
前記ラックの正面に配置され、前記トレイを前記トレイ収納部と前記投入間口との間で移載する移載装置と、
前記荷物が入った前記トレイが前記移載装置によって移載されると前記トレイの縁部の少なくとも一部を下方から支持するトレイ支持部と、前記トレイ支持部に移載された前記トレイの下方において前記貫通部に対応して配置された搬送部と、前記搬送部に対して相対的に前記トレイ支持部を下降させることで、前記トレイの前記貫通部内に前記搬送部を通して前記トレイ内の前記荷物を前記搬送部によって下方から支持させる昇降部と、を有する切り出しコンベヤと、
前記切り出しコンベヤに隣接して配置され、前記切り出しコンベヤから供給された前記荷物を搬出する搬出コンベヤと、
を備える、ピッキングシステム。
【請求項2】
前記切り出しコンベヤ及び前記搬出コンベヤは、前記ラックに対して、前記ラックの前記投入間口の前記開口と反対側に配置されており、
前記搬出コンベヤは、前記ラックの延長方向に沿って延びており、前記ラックの端部よりさらに延びた位置にある端部を有している、請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項3】
前記切り出しコンベヤ及び前記搬出コンベヤは、前記投入間口の側方に配置されている、請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項4】
前記投入間口とは別に設けられ、前記荷物を作業者に供給可能な供給間口をさらに備えている、請求項1~3のいずれかに記載のピッキングシステム。
【請求項5】
前記搬送部は上下方向に固定されており、
前記昇降部は、前記トレイ支持部を下降させることで、前記搬送部の上に前記荷物を支持させる、請求項1~4のいずれかに記載のピッキングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキングシステム、特に、作業者が荷物をトレイに投入することで仕分けするものに関する。
【背景技術】
【0002】
仕分けシステム及び仕分方法として、ラック背面の作業スペースで投入作業を行うことが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2012/032865号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来では、物品が投入される箱の種類が複数ある場合は、ピッキング後にそれらの箱を効率よく搬出することが実現されていなかった。
【0005】
本発明の目的は、ピッキングシステムにおいて、複数種類の荷物をピッキング後に効率よく搬出可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明の一見地に係るピッキングシステムは、上下方向に貫通する貫通部を有するトレイに対して、作業者が荷物を投入するためのシステムである。ピッキングシステムは、ラックと、移載装置と、投入間口と、切り出しコンベヤと、搬出コンベヤとを備えている。
ラックは、複数のトレイ収納部を備えている。
投入間口は、ラックの下部に配置され、作業者による荷物の投入を可能にする開口を有する。
移載装置は、ラックの正面に配置され、トレイをトレイ収納部と投入間口との間で移載する。
切り出しコンベヤは、荷物が入ったトレイが移載装置によって移載されるとトレイの縁部の少なくとも一部を下方から支持するトレイ支持部と、トレイ支持部に移載されたトレイの下方において貫通部に対応して配置された搬送部と、搬送部に対して相対的にトレイ支持部を下降させることで、トレイの貫通部内に搬送部を通してトレイ内の荷物を搬送部によって下方から支持させる昇降部と、を有する。
搬出コンベヤは、切り出しコンベヤに隣接して配置され、切り出しコンベヤから供給された荷物を搬出する。
【0008】
このピッキングシステムでは、移載装置が、ラックのトレイ収納部からトレイを投入間口に搬送する。そして、作業者が投入間口の開口から荷物をトレイに投入する。一例として、作業者は、荷物箱をトレイに設置し、荷物箱内に複数の商品(荷物の一例)を入れる。
次に、移載装置が、荷物箱が入ったトレイを切り出しコンベヤのトレイ支持部の上に載置する。
次に、昇降部が搬送部に対して相対的にトレイ支持部を下降させる。すると、トレイの貫通部内に搬送部が通って、トレイ内の荷物を下方から支持する。
最後に、搬送部が荷物を搬出コンベヤに搬出し、さらに搬出コンベヤが荷物を搬出する。
【0009】
このピッキングシステムでは、トレイ内の荷物は切り出しコンベヤによってトレイから切り離されて、さらに搬出コンベヤによって搬出される。したがって、複数の種類の荷物を各々収納可能なトレイを用意することで、それら荷物はピッキング後に効率よく搬出される。
【0010】
切り出しコンベヤ及び搬出コンベヤは、ラックに対して、ラックの投入間口の開口と反対側に配置されていてもよい。
搬出コンベヤは、ラックの延長方向に沿って延びており、ラックの端部よりさらに延びた位置にある端部を有していてもよい。
このピッキングシステムでは、作業者は、ラックの裏側に回ることなく、搬出コンベヤの端部に素早くアクセスできる。したがって、作業者は、荷物をトレイに投入後に、連続して荷物の取り去り作業を行うことができる。
【0011】
切り出しコンベヤ及び搬出コンベヤは、投入間口の側方に配置されていてもよい。
このピッキングシステムでは、作業者は、投入間口の前から移動して、搬出コンベヤにスムーズにかつ素早く荷物にアクセスできる。したがって、作業者は、荷物をトレイに投入後に、連続して荷物の取り去り作業を行うことができる。
【0012】
このピッキングシステムは、供給間口をさらに備えていてもよい。供給間口は、投入間口とは別に設けられ、荷物を作業者に供給可能であってもよい。
このピッキングシステムでは、例えば、作業者は供給間口から荷物箱(荷物の一種)を受け取って、その荷物箱を投入間口にあるトレイの上に置くことができる。
【0013】
搬送部は上下方向に固定されていてもよい。
昇降部は、トレイ支持部を下降させることで、搬送部の上に荷物を支持させてもよい。
このピッキングシステムでは、搬送部に比べて軽量なトレイ支持部を移動させるので、昇降部の駆動力を小さく設定できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のピッキングシステムでは、複数種類の荷物をピッキング後に効率よく搬出できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態のピッキングシステムの概略斜視図。
図2】ピッキングシステムの概略斜視図。
図3】ピッキングシステムの模式的平面図。
図4】ピッキングシステムの制御構成を示すブロック図。
図5】切り出しコンベヤの概略斜視図。
図6】切り出しコンベヤの概略斜視図。
図7】切り出しコンベヤの模式的平面図。
図8】切り出しコンベヤにトレイが載置された状態の模式的平面図。
図9】トレイに荷物箱が載置された状態の模式的平面図。
図10】切り出しコンベヤの動作の一状態を示す模式的正面図。
図11】切り出しコンベヤの動作の一状態を示す模式的正面図。
図12】切り出しコンベヤの動作の一状態を示す模式的正面図。
図13】第2実施形態のピッキングシステムの概略斜視図。
図14】ピッキングシステムの概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.第1実施形態
(1)ピッキングシステムの構成
図1図3を用いて、ピッキングシステム1を説明する。図1は、第1実施形態のピッキングシステムの概略斜視図である。図2は、ピッキングシステムの概略斜視図である。図3は、ピッキングシステムの模式的平面図である。
ピッキングシステム1は、商品容器15(後述)に収納された複数の商品P(例えば、商品、製品の部品など)を、作業者Wが出荷先ごとに定められた荷物箱B(後述)に仕分けて投入することで仕分けを行うことを補助するものである。以下の説明では、図3の左右方向を第1水平方向(矢印X)とし、図3の上下方向を第2水平方向(矢印Y)とする。第1水平方向と第2水平方向は直交している。なお、鉛直方向は矢印Zで示されている。
【0017】
ピッキングシステム1は、ラック3と、投入間口5と、クレーン7と、切り出しコンベヤ9と、搬出コンベヤ11とを有している。
【0018】
ラック3は、トレイTを収納するための複数のトレイ保管棚3aを上部に有している。ラック3は、平面視で第1水平方向に延びている。
トレイTは、上部が開口しており、荷物箱Bと、荷物箱Bに投入される商品Pを収容する容器である。トレイTは、複数種類のサイズが異なる荷物箱Bを収納できる。トレイTは、図5図9(後述)に示すように、上下方向に貫通する複数の切り欠きT1(貫通部の一例)を有する。複数の切り欠きT1は、第2水平方向に平行に延びている。
【0019】
投入間口5は、図1及び図2に示すように、ラック3の下部に配置されている。投入間口5は、トレイTが載置され、当該トレイTに荷物箱Bを投入可能な設備である。投入間口5は、複数(例えば、8台)設けられている。投入間口5は、作業者Wによる荷物の投入を可能にする開口5aを有する。開口5aは、第2水平方向の第1側(図3の下側)を向いている。つまり、投入間口5の第2水平方向第1側が、作業者Wが仕分け作業を行う作業スペースRとなる。
【0020】
作業者Wは、作業スペースRにおいて、荷物箱Bを投入間口5にあるトレイTに配置し、さらに商品PをトレイT内に投入する。
商品Pは、図3に示すように、商品容器15に格納されている。商品容器15は、商品Pが収容された容器であり、仕分けのためにピッキングシステム1へ商品Pを搬送する際に使用される。商品容器15は、カートラック17によって作業スペースRに供給される。なお、本実施形態においては、商品容器15には、1次ピッキングが行われた複数種類の商品Pが混在して収納されている。そのため、商品Pの仕分けを効率化できる。
カートラック17と、カートラック17に置かれた商品容器15内の商品Pとには、バーコード、2次元コード、RFIDタグなどのIDが付与されている。
【0021】
供給間口19には、荷物箱Bを搬送するコンベヤ(図示せず)が接続されている。供給間口19は、ラック3において投入間口5とは別に設けられ、荷物箱Bを作業者に供給可能である。この場合、作業者は、供給間口19から荷物箱Bを受け取って、その荷物箱Bを投入間口5にあるトレイTの上に置くことができる。なお、供給間口19は、ラック3と一体でも、別体でもよい。また、供給間口は、投入間口の上方の複数箇所に配置されてもよい。さらに、供給間口を設けずに、ロボット等により自動でトレイに荷物箱を供給させてもよい。
【0022】
クレーン7は、トレイTを、トレイ保管棚3aと投入間口5及び切り出しコンベヤ9との間で移載する。クレーン7は、ラック3の正面に配置され、具体的には、ラック3の作業スペースRと第2水平方向の反対側(第2水平方向第2側)に位置されている。
クレーン7は、公知の技術であり、フレーム7aと、フレーム7aに上下方向に移動可能に支持された第1水平方向に延びるレール7bと、レール7bを昇降させる昇降部7cと、レール7bに載った移載機7dと、移載機7dをレール7bに沿って第1水平方向に走行させる駆動部7eとを有している。移載機7dは、フロントフック式移載機である。フロントフック式を用いることで、隙間が小さくでき、トレイ保管棚3aの保管効率を上げることができる
【0023】
(2)切り出しコンベヤの構成
図5図9を用いて、切り出しコンベヤ9を説明する。図5及び図6は、切り出しコンベヤの概略斜視図である。図7は、切り出しコンベヤの模式的平面図である。図8は、切り出しコンベヤにトレイが載置された状態の模式的平面図である。図9は、トレイに荷物箱が載置された状態の模式的平面図である。
切り出しコンベヤ9は、トレイTに載せられた荷物箱Bを、トレイTから離して搬送可能な状態にする。切り出しコンベヤ9は、ラック3に対して、ラック3の投入間口5の開口5aと反対側(第2水平方向第2側)に配置されている。詳細には、切り出しコンベヤ9は、クレーン7のラック3と反対側に配置されている。
【0024】
切り出しコンベヤ9は、トレイ支持プレート21と、ローラ装置23と、昇降装置25と、フレーム27とを備えている。
トレイ支持プレート21(トレイ支持部の一例)は、フレーム27に対して上下方向に移動可能である。トレイ支持プレート21は、四角形の枠状部材であり、荷物箱Bが入ったトレイTがクレーン7によって移載されると、トレイTの縁部を下方から支持する。
【0025】
ローラ装置23(搬送部の一例)は、図5図7に示すように、複数のフリーローラ23aとモータローラ23bとを有している。フリーローラ23a及びモータローラ23bは、第2水平方向に長く延びている。モータローラ23bは第1水平方向の真ん中に位置している。フリーローラ23a及びモータローラ23bは、搬送面全体が、第1水平方向第1側(図1の左側)が第1水平方向第2側(図1の右側)より高い傾斜面になるように配置されている。また、さらに、フリーローラ23a及びモータローラ23bは、図8に示すように、トレイ支持プレート21に移載されたトレイTの下方においてスリットすなわち切り欠きT1に対応して配置されている。具体的には、フリーローラ23a及びモータローラ23bは、切り欠きT1より平面視で小さく、切り欠きT1の真下に配置されているので、切り欠きT1を上下方向に通過できる。ローラ装置23は、フレーム27に対して上下方向に固定されている。
【0026】
昇降装置25(昇降部の一例)は、トレイ支持プレート21を昇降する。昇降装置25は、公知技術であり、モータ、モータの回転力を上下方向に変換する機構(例えば、ボールネジ機構、ラック及びピニオン)、ガイド機構等を有している。トレイ支持プレート21は、上側位置にあるときに(図5)、図9に示すように、クレーン7からのトレイTを移載されることができる。トレイ支持プレート21は、トレイTが載った状態で下降すると、トレイTも下降する。そのため、トレイ支持プレート21が下側位置にある(図6)と、ローラ装置23がトレイTの切り欠きT1から上側に突出して、荷物箱Bを下方から支持する。これにより、荷物箱BがトレイTから切り離される。そして、荷物箱Bは、ローラ装置23の傾斜構造及びモータローラの駆動によって、下流へ搬送される。
上記のようにローラ装置23に比べて軽量なトレイ支持プレート21を移動させるので、昇降装置25の駆動力を小さく設定できる。
【0027】
搬出コンベヤ11は、切り出しコンベヤ9から供給された荷物箱Bを搬出する。搬出コンベヤ11は、ラック3の投入間口5と反対側に配置されており、切り出しコンベヤ9に隣接して下流側に配置されている。搬出コンベヤ11は、例えば、複数のフリーローラが徐々に低い位置に配置したローラーシュートであり、荷物箱Bがバッファされる。なお、搬出コンベヤ11の下流端には、ブレーキをかけたローラ又はストッパが配置されており、荷物箱Bを停止させる。
搬出コンベヤ11は、ラック3の延長方向(第1水平方向)に沿って延びており、ラック3の端部3bよりさらに延びた位置にある端部11aを有している。
【0028】
(3)ピッキングシステムの制御構成
図4を用いて、ピッキングシステム1の制御構成を説明する。図4は、ピッキングシステムの制御構成を示すブロック図である。ピッキングシステム1は、コントローラ51を有している。
コントローラ51は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。コントローラ51は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで、各種制御動作を行う。
【0029】
コントローラ51は、単一のプロセッサで構成されていてもよいが、各制御のために独立した複数のプロセッサから構成されていてもよい。
コントローラ51の各要素の機能は、一部又は全てが、制御部を構成するコンピュータシステムにて実行可能なプログラムとして実現されてもよい。その他、コントローラ51の各要素の機能の一部は、カスタムICにより構成されていてもよい。
【0030】
コントローラ51には、クレーン7(昇降部7c、移載機7d、駆動部7e)及び切り出しコンベヤ9(モータローラ23b、昇降装置25)が接続されており、コントローラ51はこれら装置を制御可能である。
ピッキングシステム1には、カートラック17のIDを読むための第1IDリーダ53と、商品PのIDを読むための第2IDリーダ55と、商品PをどのトレイTに仕分けるかを表示するためのディスプレイ57とが設けられている。
【0031】
コントローラ51は、カートラック17のIDを読み出すことにより、その中の商品のIDと仕分け先のトレイTの位置のデータを読み出し、商品PのIDを読み出すことにより、仕分先の投入間口5を決定して、該当する投入間口5のディスプレイ57に表示する。なお、ディスプレイ57の構成及び動作は公知の技術である。
コントローラ51には、図示しないが、トレイT、荷物箱B等の大きさ、形状及び位置検出するセンサ、各装置の状態を検出するためのセンサ及びスイッチ、並びに情報入力装置が接続されている。
【0032】
(4)ピッキングシステムの動作
ピッキングシステム1では、作業者Wが、仕分けるべき商品Pを収納した荷物箱Bが置かれたカートラック17を作業スペースRに運ぶ。
ピッキングシステム1では、クレーン7が、ラック3のトレイ保管棚3aからトレイTを投入間口5に搬送する。
【0033】
作業者Wが、トレイTの上に荷物箱B(荷物の一例)をセットする。
作業者Wは、カートラック17のIDをスキャンし、その後、商品容器15から商品Pを取り出してIDをバーコードリーダなどにより読み取る。読み取った商品Pの情報は、コントローラ51に送信される。
【0034】
コントローラ51は、商品Pの出荷先を特定する。コントローラ51は、各投入間口5に対して、商品Pの出荷先を割り当て、特定した出荷先を作業者Wに教示する。出荷先の教示は、例えば、ピッキングシステム1の各投入間口5に対応して設けられたディスプレイ57を点灯させることにより行われる。作業者Wは、ディスプレイ57が点灯した投入間口5に商品Pを投入することで、適切な出荷先のトレイTに商品Pを投入できる。
【0035】
上記のように、作業者Wは、商品容器15から商品Pを取り出したあと、当該商品Pの出荷先を認識し、認識した出荷先が割り当てられた投入間口5から当該商品Pを投入することにより、商品Pを適切な出荷先の荷物箱Bに投入できる。その結果、ピッキングシステム1での仕分け作業を効率化できるので、ピッキングシステム1全体の能力を向上できる。
【0036】
投入間口5に配置されたトレイTのうち、指定された全ての種類の商品Pを指定された数量だけ投入して、商品Pの仕分けが完了した荷物箱Bができると、クレーン7が、投入間口5からトレイTを搬出して、それを切り出しコンベヤ9のトレイ支持プレート21の上に載置する。つまり、商品Pの投入が完了したトレイTは、クレーン7により、投入間口5から切り出しコンベヤ9に直接搬送される。
なお、変形例として、商品Pの仕分けが完了しなかった仕掛かり荷物箱Bが格納されたトレイTをラック3に格納することで、別の作業のために投入間口5を空けることもできる。
【0037】
(5)切り出しコンベヤの動作
図5図12を用いて、切り出しコンベヤ9の動作を説明する。図9は、トレイに荷物箱が載置された状態の模式的平面図である。図10図12は、切り出しコンベヤの動作の一状態を示す模式的正面図である。
図5及び図10に示すように、トレイTが載置されるときに、切り出しコンベヤ9において、トレイ支持プレート21が上側位置にある。したがって、トレイTはトレイ支持プレート21に載せられる。
【0038】
次に、切り出しコンベヤ9の昇降装置25が、トレイ支持プレート21をローラ装置23に対して下降させる。トレイ支持プレート21が下側位置に到達すると、図6及び図11に示すように、トレイTの切り欠きT1内にローラ装置23が通って、トレイT内の荷物箱Bを下方から支持する。
最後に、図12に示すように、切り出しコンベヤ9のローラ装置23が荷物箱Bを搬出コンベヤ11に搬出し、さらに搬出コンベヤ11が荷物箱Bを搬出する。
【0039】
このピッキングシステム1では、トレイT内の荷物箱Bは、切り出しコンベヤ9によってトレイTから切り離されて、さらに搬出コンベヤ11によって搬出される。切り出しコンベヤ9は、簡単な構造で効率よく上記動作を行うことができる。
上記の動作において、図8に示すように、切り出しコンベヤ9の上にはトレイTが残る。残ったトレイTは、クレーン7によって回収され、ラック3に格納される。
【0040】
ピッキングシステム1では、上述のように、搬出コンベヤ11は、ラック3の延長方向(第1水平方向)に沿って延びており、ラック3の端部3bよりさらに延びた位置にある端部11aを有している。したがって、作業者Wは、ラック3の第2水平方向第2側に回ることなく、搬出コンベヤ11の端部11aに第2水平方向第1側から素早くアクセスできる。したがって、作業者Wは、荷物箱BをトレイTに投入後に、連続して荷物箱Bの取り去り作業を行うことができる。
【0041】
2.第2実施形態
第1実施形態では、切り出しコンベヤ及び搬出コンベヤは投入間口の反対側に配置されていた。しかし、切り出しコンベヤ及び搬出コンベヤは互いに隣接していればよく、それらの位置は特に限定されない。
【0042】
図13及び図14を用いて、切り出しコンベヤ及び搬出コンベヤの変形例を第2実施形態として説明する。図13は、第2実施形態のピッキングシステムの概略斜視図である。図14は、ピッキングシステムの概略斜視図である。
なお、第2実施形態の基本構成及び基本動作は第1実施形態と同じである。以下、異なる点を説明する。
【0043】
図13及び図14に示すように、切り出しコンベヤ9A及び搬出コンベヤ11Aは、投入間口5の側方に配置されている。具体的には、切り出しコンベヤ9Aは、投入間口5の第1方向片側(図14の右側)に配置されている。さらに、搬出コンベヤ11Aは、切り出しコンベヤ9Aの第1方向片側(図14の右側)に配置されている。
このピッキングシステム1Aでは、作業者Wは、投入間口5の前から移動して、スムーズにかつ素早く、搬出コンベヤ11A上にある荷物箱Bにアクセスできる。したがって、作業者Wは、商品PをトレイTに投入後に、連続して荷物箱Bの取り去り作業を行うことができる。
【0044】
3.実施形態の共通事項
第1実施形態及び第2実施形態は下記を共通に有している。
ピッキングシステム(例えば、ピッキングシステム1、1A)は、上下方向に貫通する貫通部(例えば、切り欠きT1)を有するトレイ(例えば、トレイT)に対して、作業者(例えば、作業者W)が荷物(例えば、荷物箱B、商品P)を投入するためのシステムである。ピッキングシステムは、ラックと、移載装置と、投入間口と、切り出しコンベヤと、搬出コンベヤとを備えている。
ラック(例えば、ラック3)は、複数のトレイ収納部(例えば、トレイ保管棚3a)を備えている。
投入間口(例えば、投入間口5)は、ラックの下部に配置され、作業者による荷物の投入を可能にする開口(例えば、開口5a)を有する。
移載装置(例えば、クレーン7)は、ラックの正面に配置され、トレイをトレイ収納部と投入間口との間で移載する。
切り出しコンベヤ(例えば、切り出しコンベヤ9、9A)は、荷物が入ったトレイが移載装置によって移載されるとトレイの縁部の少なくとも一部を下方から支持するトレイ支持部(例えば、トレイ支持プレート21)と、トレイ支持部に移載されたトレイの下方において貫通部に対応して配置された搬送部(例えば、フリーローラ23a及びモータローラ23b)と、搬送部に対して相対的にトレイ支持部を下降させることで、トレイの貫通部内に搬送部を通してトレイ内の荷物を搬送部によって下方から支持させる昇降部(例えば、昇降装置25)と、を有する。
搬出コンベヤ(例えば、搬出コンベヤ11、11A)は、切り出しコンベヤに隣接して配置され、切り出しコンベヤから供給された荷物を搬出する。
【0045】
このピッキングシステムでは、トレイ内の荷物は切り出しコンベヤによってトレイから切り離されて、さらに搬出コンベヤによって搬出される。したがって、複数の種類の荷物が各々トレイに収納可能であれば、それら荷物はピッキング後に効率よく搬出される。
【0046】
4.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【0047】
(1)切り出しコンベヤの変形例
(1-1)昇降装置の変形例
昇降装置は、シリンダを用いてもよい。
切り出しコンベヤにおいて、トレイ支持プレートが上下に移動不能に固定されており、ローラが昇降してもよい。
(1-2)搬送部の変形例
切り出しコンベヤにおいて、モータローラの本数や位置は限定されない。モータローラは省略されてもよい。
切り出しコンベヤにおいて、複数のローラの搬送面は水平でもよい。
切り出しコンベヤにおいて、ローラは、1本の切り欠きに対して第2水平方向に複数並んでいてもよい。
トレイTの切り欠きは第1水平方向に延びていてもよく、その場合、ローラは1本の切り欠きに対して第1水平方向に複数並んでいてもよい。また、ローラではなく、ベルトコンベヤ等の他の種類のコンベヤが、切り欠きに対応して第1水平方向に延びていてもよい。
【0048】
(2)移載装置の変形例
移載装置は、走行部、昇降部、及び移載部を有するスタッカクレーンでもよい。
移載機は、リアフック式移載機、スライドフォークでもよい。
(3)その他
搬出コンベヤは、駆動ローラ、滑り台、駆動ベルトコンベヤでもよい。
商品容器15の作業スペースRへの供給は、ベルトコンベヤ、ローラコンベヤなどのコンベヤであってもよい。
荷物箱Bの作業スペースRヘの供給は、ベルトコンベヤ、ローラコンベヤなどのコンベヤであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、作業者が荷物をトレイに投入することで仕分けするピッキングシステムに広く適用できる。
【符号の説明】
【0050】
1 :ピッキングシステム
3 :ラック
3a :トレイ保管棚
3b :端部
5 :投入間口
5a :開口
7 :クレーン
7a :フレーム
7b :レール
7c :昇降部
7d :移載機
7e :駆動部
9 :切り出しコンベヤ
11 :搬出コンベヤ
11a :端部
15 :商品容器
17 :カートラック
19 :供給間口
21 :トレイ支持プレート
23 :ローラ装置
23a :フリーローラ
23b :モータローラ
25 :昇降装置
27 :フレーム
51 :コントローラ
52 :ディスプレイ
53 :第1IDリーダ
55 :第2IDリーダ
57 :ディスプレイ
B :荷物箱
P :商品
R :作業スペース
T :トレイ
T1 :切り欠き
W :作業者
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