(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007298
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】取付具
(51)【国際特許分類】
F16B 37/08 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
F16B37/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020110195
(22)【出願日】2020-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000108524
【氏名又は名称】ヘラマンタイトン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】100142376
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】上野 聖治
(57)【要約】
【課題】 着脱に関して良好な作業性を得ることができて強い振動に耐えることが可能な取付具を提供する。
【解決手段】 取付具10は、基部20と係合部22と嵌込部24と交差突出部と双方隣接部28と基外突出部30とを備える。係合部22が、並行突出部40,42の対を有している。基外突出部30は、並行突出部40,42の対の双方から等距離の位置に近づくにつれて並行突出部40,42の対の間に向かって突出する。基外突出部30は、並行突出部40,42の対の双方から等距離の位置から離れるにつれ並行突出部40,42の対の間から離れる。基外突出部30は、並行突出部40,42の対の間隔以上の幅を有する。基外突出部30は、双方隣接部28から突出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔を形成する基部と、
所定の太さのボルトの雄ねじ部に係合可能な係合部と、
前記基部に接続され、かつ、前記基部を前記ボルトが貫通すると前記ボルトがスライド可能に嵌め込まれる嵌込部とを備える取付具であって、
前記係合部が、前記基部にそれぞれ連なり、互いに並行するように延び、かつ、前記基部を前記ボルトが貫通するとき前記ボルトの前記雄ねじ部にそれぞれ引掛可能な並行突出部の対を有しており、
前記基部から、前記並行突出部の対の一方から他方へ向かう方向に対して交差する方向へ向かって突出する交差突出部と、
前記交差突出部から前記並行突出部の対に並行するように突出する双方隣接部と、
前記並行突出部の対の双方から等距離の位置に近づくにつれて前記並行突出部の対の間に向かって突出し、前記並行突出部の対の双方から等距離の位置から離れるにつれ前記並行突出部の対の間から離れ、前記並行突出部の対の間隔以上の幅を有し、かつ、前記双方隣接部から突出する基外突出部とをさらに備えていることを特徴とする取付具。
【請求項2】
前記双方隣接部が、前記並行突出部の対の双方に隣接し、
前記基外突出部が、
前記並行突出部の対の双方から等距離の位置に近づくにつれて前記並行突出部の対の間に向かって突出し、前記並行突出部の対の双方から等距離の位置から離れるにつれ前記並行突出部の対の間から離れ、前記並行突出部の対の間から前記並行突出部の対の一方の背後へ向かって延びる一方対向面形成部と、
前記並行突出部の対の一方から他方へ向かう方向について前記一方対向面形成部との間で間隙が形成されるように配置され、前記並行突出部の対の双方から等距離の位置に近づくにつれて前記並行突出部の対の間に向かって突出し、前記並行突出部の対の双方から等距離の位置から離れるにつれ前記並行突出部の対の間から離れ、前記並行突出部の対の間から前記並行突出部の対の他方の背後へ向かって延びる他方対向面形成部とを有していることを特徴とする請求項1に記載の取付具。
【請求項3】
前記双方隣接部の形状が、前記並行突出部の対の一方から他方へ向かう方向に沿って延びる板状であることを特徴とする請求項2に記載の取付具。
【請求項4】
前記並行突出部が、
前記交差突出部が突出する方向に沿って延び前記基外突出部に対向する交差対向部と、
前記並行突出部の対の一方から他方へ向かう方向に沿って突出し前記ボルトの前記雄ねじ部と噛み合う突起部とを有しており、
前記一方対向面形成部が前記並行突出部の対の一方の前記交差対向部に対向しており、
前記他方対向面形成部が前記並行突出部の対の他方の前記交差対向部に対向していることを特徴とする請求項2に記載の取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはボルトに対する取付具が開示されている。この取付具は、ボルトに着脱可能に取り付けられるように構成されている。この取付具は、本体部と、係合部と、操作部とを備える。本体部は、ボルトのねじ部を挿通させ得る貫通孔を有する。係合部は、係合突起を有する。係合突起は、貫通孔に挿通されたボルトのねじ部と係合する。係合部は、本体部に弾性変形可能に支持されたものである。操作部は、ボルトのねじ部に対する係合突起の係合を解除する。
【0003】
特許文献1に示された発明によれば、その取付具はボルトに対して容易に取り付け得る。特許文献1に示された発明によれば、その取付具は破壊することなく容易に取り外し得る。特許文献1に示された発明によれば、着脱に関するその取付具の作業性は良好である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された取付具には、耐振動性において改良の余地がある。本発明の目的は、着脱に関して良好な作業性を得ることができて強い振動に耐えることが可能な取付具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
図面を参照し本発明を説明する。なおこの欄で図中の符号を使用したのは発明の内容の理解を助けるためである。この欄で図中の符号を使用することには発明の内容を図示した範囲に限定する意図がない。
【0007】
上述された目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、取付具10は、基部20と、係合部22と、嵌込部24とを備える。基部20は孔300を形成する。係合部22は所定の太さのボルト200の雄ねじ部220に係合可能である。嵌込部24は基部20に接続される。嵌込部24には、基部20をボルト200が貫通するとそのボルト200がスライド可能に嵌め込まれる。係合部22が、並行突出部40,42の対を有している。並行突出部40,42の対は、基部20にそれぞれ連なる。並行突出部40,42の対は、互いに並行するように延びる。並行突出部40,42の対は、基部20をボルト200が貫通するときボルト200の雄ねじ部220にそれぞれ引掛可能である。取付具10は、交差突出部26と、双方隣接部28と、基外突出部30とをさらに備えている。交差突出部26は、基部20から、並行突出部40,42の対の一方から他方へ向かう方向に対して交差する方向へ向かって突出する。双方隣接部28は、交差突出部26から並行突出部40,42の対に並行するように突出する。基外突出部30は、並行突出部40,42の対の双方から等距離の位置に近づくにつれて並行突出部40,42の対の間に向かって突出する。基外突出部30は、並行突出部40,42の対の双方から等距離の位置から離れるにつれ並行突出部40,42の対の間から離れる。基外突出部30は、並行突出部40,42の対の間隔以上の幅を有する。基外突出部30は、双方隣接部28から突出する。
【0008】
並行突出部40,42の対は、基部20にそれぞれ連なる。並行突出部40,42の対は、基部20をボルト200が貫通するときボルト200の雄ねじ部220にそれぞれ引掛可能である。並行突出部40,42の対がそのボルト200の雄ねじ部220にそれぞれ引っ掛かると、そのボルト200は基部20の孔300から抜け難くなる。並行突出部40,42の対は、互いに並行するように延びる。これにより、取付具10およびボルト200が振動を受けたとき並行突出部40,42の対の双方が同時にボルト200から外れる可能性が低くなる。並行突出部40,42の対の双方が同時にボルト200から外れる可能性が低くなると、取付具10は強い振動に耐えることが可能となる。嵌込部24には、基部20をボルト200が貫通するとそのボルト200がスライド可能に嵌め込まれる。これにより、そのボルト200の動きが制限される。その結果、そのボルト200の動きが制限されない場合に比べて、取付具10およびボルト200が振動を受けたとき並行突出部40,42の対の双方が同時にボルト200から外れる可能性が一層低くなる。並行突出部40,42の対の双方が同時にボルト200から外れる可能性が一層低くなると、取付具10は一層強い振動に耐えることが可能となる。交差突出部26は、基部20から、並行突出部40,42の対の一方から他方へ向かう方向に対して交差する方向へ向かって突出する。双方隣接部28は、交差突出部26から並行突出部40,42の対に並行するように突出する。これにより、双方隣接部28に対してこれを並行突出部40,42の対の方へ向かう外力を加えると、交差突出部26および双方隣接部28の少なくとも一方が撓む。交差突出部26および双方隣接部28の少なくとも一方が撓むので双方隣接部28の突出端は並行突出部40,42の対の方へ傾く。基外突出部30は、並行突出部40,42の対の双方から等距離の位置に近づくにつれて並行突出部40,42の対の間に向かって突出する。基外突出部30は、並行突出部40,42の対の双方から等距離の位置から離れるにつれ並行突出部40,42の対の間から離れる。基外突出部30は、並行突出部40,42の対の間隔以上の幅を有する。基外突出部30は、双方隣接部28から突出する。これにより、双方隣接部28の突出端が並行突出部40,42の対の方へ傾き基外突出部30が並行突出部40,42の対に接触すると、基外突出部30は並行突出部40,42の対を押し広げる。並行突出部40,42の対が押し広げられると、並行突出部40,42の対はボルト200の雄ねじ部220から離れる。並行突出部40,42の対がボルト200の雄ねじ部220から離れると、ボルト200と取付具10との接続を解除できる。これにより、双方隣接部28の突出端を並行突出部40,42の対の方へ傾かせることでボルト200と取付具10との接続は解除できることとなる。その結果、着脱に関して良好な作業性を得ることができて強い振動に耐えることが可能な取付具が提供される。
【0009】
また、上述した双方隣接部28が、並行突出部40,42の対の双方に隣接することが望ましい。この場合、基外突出部30が、一方対向面形成部62と、他方対向面形成部64とを有していることが望ましい。一方対向面形成部62は、並行突出部40,42の対の双方から等距離の位置に近づくにつれて並行突出部40,42の対の間に向かって突出する。一方対向面形成部62は、並行突出部40,42の対の双方から等距離の位置から離れるにつれ並行突出部40,42の対の間から離れる。一方対向面形成部62は、並行突出部40,42の対の間から並行突出部40,42の対の一方の背後へ向かって延びる。他方対向面形成部64は、並行突出部40,42の対の一方から他方へ向かう方向について一方対向面形成部62との間で間隙が形成されるように配置される。他方対向面形成部64は、並行突出部40,42の対の双方から等距離の位置に近づくにつれて並行突出部40,42の対の間に向かって突出する。他方対向面形成部64は、並行突出部40,42の対の双方から等距離の位置から離れるにつれ並行突出部40,42の対の間から離れる。他方対向面形成部64は、並行突出部40,42の対の間から並行突出部40,42の対の他方の背後へ向かって延びる。
【0010】
双方隣接部28は、並行突出部40,42の対の双方に隣接する。一方対向面形成部62は、並行突出部40,42の対の双方から等距離の位置に近づくにつれて並行突出部40,42の対の間に向かって突出する。一方対向面形成部62は、並行突出部40,42の対の双方から等距離の位置から離れるにつれ並行突出部40,42の対の間から離れる。一方対向面形成部62は、並行突出部40,42の対の間から並行突出部40,42の対の一方の背後へ向かって延びる。他方対向面形成部64は、並行突出部40,42の対の双方から等距離の位置に近づくにつれて並行突出部40,42の対の間に向かって突出する。他方対向面形成部64は、並行突出部40,42の対の双方から等距離の位置から離れるにつれ並行突出部40,42の対の間から離れる。他方対向面形成部64は、並行突出部40,42の対の間から並行突出部40,42の対の他方の背後へ向かって延びる。これにより、並行突出部40,42の対の方へ向かう外力が双方隣接部28に加えられると、一方対向面形成部62が並行突出部40,42の対の一方を押すと同時に他方対向面形成部64が並行突出部40,42の対の他方を押すこととなる。一方対向面形成部62が並行突出部40,42の対の一方を押すと同時に他方対向面形成部64が並行突出部40,42の対の他方を押すと、並行突出部40,42の対は押し広げられることとなる。これにより、双方隣接部28に外力を加えることでボルト200と取付具10との接続は解除できることとなる。他方対向面形成部64は、並行突出部40,42の対の一方から他方へ向かう方向について一方対向面形成部62との間で間隙が形成されるように配置される。これにより、一方対向面形成部62と他方対向面形成部64との間で間隙が形成されない場合に比べ、一方対向面形成部62と他方対向面形成部64とがボルト200と干渉する可能性が低くなる。その可能性が低くなるので、並行突出部40,42の対の間を大きく押し広げることが可能になる。並行突出部40,42の対の間を大きく押し広げることが可能になると、取り外しが容易になる。その結果、着脱に関して良好な作業性を得ることができて強い振動に耐えることが可能な取付具が提供される。
【0011】
もしくは、上述した双方隣接部28の形状が、並行突出部40,42の対の一方から他方へ向かう方向に沿って延びる板状であることが望ましい。
【0012】
双方隣接部28がそのような板状であると、双方隣接部28が軸状である場合に比べ、双方隣接部28は並行突出部40,42の対の一方から他方へ向かう方向へは撓み難くなる。双方隣接部28が撓み難いと、その撓みが原因となって並行突出部40,42の対が押し広げられなくなる可能性が低くなる。その結果、着脱に関して良好な作業性を得ることができて強い振動に耐えることが可能な取付具が提供される。
【0013】
また、上述した並行突出部40,42が、交差対向部80と、突起部82とを有していることが望ましい。交差対向部80は、交差突出部26が突出する方向に沿って延びる。交差対向部80は、基外突出部30に対向する。突起部82は、並行突出部40,42の対の一方から他方へ向かう方向に沿って突出する。突起部82は、ボルト200の雄ねじ部220と噛み合う。この場合、一方対向面形成部62が並行突出部40,42の対の一方の交差対向部80に対向していることが望ましい。この場合、他方対向面形成部64が並行突出部40,42の対の他方の交差対向部80に対向していることが望ましい。
【0014】
一方対向面形成部62が並行突出部40,42の対の一方の交差対向部80に対向しており、他方対向面形成部64が並行突出部40,42の対の他方の交差対向部80に対向している。交差対向部80は、交差突出部26が突出する方向に沿って延びる。これにより、一方対向面形成部62と他方対向面形成部64とが並行突出部40,42の対を押し広げようとするとき、並行突出部40,42の対の間は広がりやすくなる。その結果、着脱に関して良好な作業性を得ることができて強い振動に耐えることが可能な取付具が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、着脱に関して良好な作業性を得ることができて強い振動に耐えることが可能な取付具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる取付具による板状物の連結状況が示される斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態にかかる取付具の底面方向から見た斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態にかかる取付具の平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態にかかる係合部および嵌込部のある方向から見た形態が示される図である。
【
図5】本発明の一実施形態にかかる取付具のうち交差突出部と双方隣接部と基外突出部との形態が示される図である。
【
図6】本発明の一実施形態にかかる取付具にスタッドボルトが貫通しているときのその取付具の断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態にかかる取付具の取り外し時における状況が示される図である。
【
図8】本発明の一実施形態にかかる一方並行突出部と他方並行突出部とが押し拡げられている状況を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面の参照を伴いつつ、本発明の実施形態が説明される。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能は同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返されない。
【0018】
[取付具の構成]
図1は、本実施形態にかかる取付具10による板状物240の連結状況が示される斜視図である。
図2は、本実施形態にかかる取付具10の底面方向から見た斜視図である。
図3は、本実施形態にかかる取付具10の平面図である。
図1乃至
図3に基づいて、本実施形態にかかる取付具10の構成が説明される。
【0019】
本実施形態にかかる取付具10は、重ねられた複数枚(
図1に示されるものの場合は2枚)の板状物240,240を連結するために用いられる。本実施形態にかかる取付具10は、基部20と、係合部22と、嵌込部24と、交差突出部26と、双方隣接部28と、基外突出部30とを備える。本実施形態の場合、基部20と、係合部22と、嵌込部24と、交差突出部26と、双方隣接部28と、基外突出部30とは一体である。
【0020】
本実施形態にかかる基部20の外形は筒形である。本実施形態にかかる基部20には孔300が形成されている。この孔300をスタッドボルト200が貫通する。
【0021】
係合部22は基部20の内周面に接続される。係合部22は上述されたスタッドボルト200の雄ねじ部220に係合可能となる所定の位置に配置される。これにより、本実施形態にかかる係合部22は所定の太さのボルトの200雄ねじ部220に係合可能となる。なお、本実施形態において「係合」とは引っ掛かることを意味する。
【0022】
嵌込部24は基部20の内周面に接続される。上述されたスタッドボルト200が基部20の孔300を貫通すると、嵌込部24にはそのスタッドボルト200がスライド可能に嵌め込まれる。
【0023】
交差突出部26は、基部20の外周から突出する。双方隣接部28は、交差突出部26から突出する。基外突出部30は双方隣接部28から突出する。
【0024】
図4は、本実施形態にかかる係合部22および嵌込部24のある方向から見た形態が示される図である。
図1乃至
図4に基づいて本実施形態にかかる係合部22および嵌込部24の構成が説明される。
【0025】
本実施形態の場合、係合部22は、一方並行突出部40と他方並行突出部42とを有している。本実施形態の場合、一方並行突出部40と他方並行突出部42とは、基部20の内周面にそれぞれ連なる。本実施形態の場合、一方並行突出部40と他方並行突出部42とは、互いに並行するように延びる。本実施形態の場合、一方並行突出部40の形態と他方並行突出部42の形態とは同一である。これにより、係合部22は、並行突出部40,42の対を有することとなる。本実施形態において、一方並行突出部40と他方並行突出部42とのうち一方から他方へ向かう方向は「並行突出部配列方向」と称される。
【0026】
本実施形態にかかる一方並行突出部40は、交差対向部80と、突起部82とを有している。
【0027】
本実施形態の場合、交差対向部80は板状である。交差対向部80は、基部20が延びる方向と交差突出部26が突出する方向とに沿って延びている。交差対向部80のうち先端部の幅は、交差対向部80のうち底部の幅に比べて狭い。これにより、交差対向部80のうち先端部は、基部20の内周面との間に隙間を形成している。一方、交差対向部80のうち底部は基部20の内周面に直接連なっている。その結果、交差対向部80は力を受けて撓むことが可能である。
図4に示されているように、本実施形態の場合、交差対向部80のうち先端における端部120は、基部20を介して基外突出部30に対向する。
【0028】
突起部82は、交差対向部80から突出する。突起部82の突出方向は、一方並行突出部40と他方並行突出部42とのうち一方から他方へ向かう方向に沿う。本実施形態の場合、突起部82の先端には雌ねじ部100が形成されている。これにより、突起部82は上述されたスタッドボルト200の雄ねじ部220と噛み合い得る。突起部82がスタッドボルト200の雄ねじ部220と噛み合い得るので、一方並行突出部40と他方並行突出部42とは、上述されたスタッドボルト200が基部20を貫通するときそのスタッドボルト200の雄ねじ部220にそれぞれ引掛可能である。
【0029】
なお、本実施形態において、双方隣接部28は、交差突出部26から並行突出部40,42の対に並行するように突出している。双方隣接部28の幅は並行突出部40,42の対の間隔以上である。その結果、双方隣接部28は、一方並行突出部40と他方並行突出部42との双方に隣接することとなる。基外突出部30は、並行突出部40,42の対に向かって突出している。基外突出部30は、並行突出部40,42の対の双方から等距離の位置に近づくにつれて並行突出部40,42の対の間に向かって突出する。基外突出部30は、並行突出部40,42の対の双方から等距離の位置から離れるにつれ並行突出部40,42の対の間から離れる。基外突出部30は、並行突出部40,42の対の間隔以上の幅を有する。
【0030】
本実施形態の場合、嵌込部24は、一方包囲曲面形成部46と、他方包囲面形成部48とを有している。本実施形態の場合、一方包囲曲面形成部46と他方包囲面形成部48とは、基部20の内周面にそれぞれ連なる。本実施形態の場合、一方包囲曲面形成部46と他方包囲面形成部48とは、互いに並行するように延びる。本実施形態の場合、一方包囲曲面形成部46の形態と他方包囲面形成部48の形態とは同一である。これにより、嵌込部24は、包囲曲面形成部46,48の対を有することとなる。
【0031】
本実施形態にかかる一方包囲曲面形成部46の内周面は曲面となっている。その曲面は、並行突出部40,42の対に沿って延びる。この曲面のうちこの曲面が延びる方向に対して直交する断面における曲率半径は、上述されたスタッドボルト200の雄ねじ部220の外径の2分の1よりわずかに大きい。一方包囲曲面形成部46はその内周面が上述されたスタッドボルト200の雄ねじ部220に接し得る所定の位置に配置される。これにより、嵌込部24は、基部20の孔300のうちスタッドボルト200の貫通が想定されている所定の位置を係合部22と共に取り囲むこととなる。その結果、上述されたスタッドボルト200が基部20を貫通すると、一方包囲曲面形成部46の内周面はそのスタッドボルト200の雄ねじ部220に沿うこととなる。
【0032】
図5は、本実施形態にかかる取付具10のうち交差突出部26と双方隣接部28と基外突出部30との形態が示される図である。本実施形態の場合、基外突出部30は、一方対向面形成部62と、他方対向面形成部64とを有している。
【0033】
一方対向面形成部62は、一方並行突出部40と他方並行突出部42との双方から等距離の所定の位置に近づくにつれて一方並行突出部40と他方並行突出部42との間に向かって突出する。
図5に示された形態の場合には、一方対向面形成部62と他方対向面形成部64との中間位置が一方並行突出部40と他方並行突出部42との双方から等距離の位置の例である。一方対向面形成部62は、一方並行突出部40と他方並行突出部42との双方から等距離の所定の位置から離れるにつれそれらの間から離れる。一方対向面形成部62は、それらの間からそれらの一方の背後へ向かって延びる。
【0034】
他方対向面形成部64は、並行突出部配列方向について一方対向面形成部62との間で間隙が形成されるように配置される。他方対向面形成部64は、一方並行突出部40と他方並行突出部42との双方から等距離の位置に近づくにつれてそれらの間に向かって突出する。他方対向面形成部64は、それらの双方から等距離の位置から離れるにつれそれらの間から離れる。他方対向面形成部64は、それらの間からそれらの他方の背後までにわたり延びる。
【0035】
[取付具の製造方法]
本実施形態にかかる取付具10は、射出成型によって製造される。すなわち、本実施形態にかかる取付具10は、これを形成するための図示されない金型の中へ合成樹脂を注入することにより製造される。
【0036】
[取付具の使用方法]
図6は、本実施形態にかかる取付具10にスタッドボルト200が貫通しているときのその取付具10の断面図である。以下、
図6に基づいて、本実施形態にかかる取付具10による重ねられた2枚の板状物240の連結方法が説明される。まず、作業者は、板状物240のうちの1枚にねじ孔を形成する。そのねじ孔の有効径は上述されたスタッドボルト200のねじ込みが可能な径である。そのねじ孔を形成するための具体的手順は周知なのでその詳細な説明は繰り返されない。そのねじ孔が形成されると、作業者は、残る板状物240に孔を形成する。その孔の位置は、上述された2枚の板状物240が予め定められた位置関係を保つように重ねられたときに上述されたねじ孔に重なる位置である。残る板状物240に孔が形成されると、作業者は、上述されたねじ孔に上述されたスタッドボルト200をねじ込む。これにより、そのねじ孔が形成されている板状物240からスタッドボトルが立ち上がっていることとなる。ねじ孔にスタッドボルト200がねじ込まれると、作業者は、そのスタッドボルト200に他の板の孔を貫通させる。そのスタッドボルト200が他の板の孔を貫通すると、作業者は、そのスタッドボルト200に本実施形態にかかる取付具10の基部20の孔300を貫通させる。その孔300を貫通したスタッドボルト200は、嵌込部24に進入する。同時に、そのスタッドボルト200は、一方並行突出部40と他方並行突出部42との間に進入する。作業者は、本実施形態にかかる取付具10を板状物240に押し付ける。本実施形態にかかる取付具10が板状物240に押し付けられると、一方並行突出部40の突起部82の雌ねじ部100と他方並行突出部42の突起部82の雌ねじ部100とがスタッドボルト200の雄ねじ部220に引っ掛かる。一方並行突出部40の突起部82の雌ねじ部100と他方並行突出部42の突起部82の雌ねじ部100とがスタッドボルト200の雄ねじ部220に引っ掛かると、本実施形態にかかる取付具10か板状物240から離れなくなる。これにより、重ねられた2枚の板状物240,240は連結される。
【0037】
図7は、本実施形態にかかる取付具10の取り外し時における状況が示される図である。
図8は、一方並行突出部40と他方並行突出部42とが押し拡げられている状況を示す概念図である。
図7と
図8とに基づいて、重ねられた2枚の板状物240を連結している取付具10の取外方法が説明される。作業者は、本実施形態にかかる取付具10の双方隣接部28,28の対を指260,260でつまむ。つままれることにより、双方隣接部28,28の対は押されることとなる。押された双方隣接部28,28は撓む。双方隣接部28,28が撓むと双方隣接部28,28から突出する一方対向面形成部62は一方並行突出部40に接触する。他方対向面形成部64は他方並行突出部42に接触する。双方隣接部28,28がさらに撓むと、一方対向面形成部62が接触する一方並行突出部40と他方対向面形成部64が接触する他方並行突出部42とは押し広げられる。これに伴い、一方並行突出部40の突起部82と他方並行突出部42の突起部82とがスタッドボルト200から離れる。それらの突起部82が離れると、作業者はスタッドボルト200から本実施形態にかかる取付具10を引き抜く。これにより、本実施形態にかかる取付具10は取り外される。
【0038】
[本実施形態にかかる取付具の効果]
本実施形態にかかる取付具10において、嵌込部24によりスタッドボルト200の動きが制限される。一方並行突出部40と他方並行突出部42とはスタッドボルト200の雄ねじ部220に引っ掛かる。これにより、そのスタッドボルト200が抜け難くなる。一方並行突出部40と他方並行突出部42とは、互いに並行するように延びる。これにより、取付具10およびスタッドボルト200が振動を受けたとき一方並行突出部40と他方並行突出部42とが同時にスタッドボルト200から外れる可能性が低くなる。それらが同時にスタッドボルト200から外れる可能性が低くなると、取付具10は強い振動に耐えることが可能となる。
【0039】
双方隣接部28に対してこれを一方並行突出部40および他方並行突出部42の方へ向かう外力を加えると、双方隣接部28が傾く。双方隣接部28が傾くので基外突出部30は一方並行突出部40および他方並行突出部42の方へ傾く。基外突出部30が一方並行突出部40および他方並行突出部42の方へ傾きこれらに接触すると、基外突出部30はこれらを押し広げる。これらが押し広げられると、これらはスタッドボルト200から離れる。これらがスタッドボルト200から離れると、スタッドボルト200と取付具10との接続を解除できる。これにより、双方隣接部28を傾かせることでスタッドボルト200と取付具10との接続は解除できることとなる。
【0040】
その結果、着脱に関して良好な作業性を得ることができて強い振動に耐えることが可能な取付具10が提供される。
【0041】
また、本実施形態にかかる取付具10の双方隣接部28は、一方並行突出部40および他方並行突出部42の双方に隣接する。これにより、双方隣接部28が押されると、一方対向面形成部62が一方並行突出部40を押すと同時に他方対向面形成部64が他方並行突出部42を押すこととなる。一方対向面形成部62が一方並行突出部40を押すと同時に他方対向面形成部64が他方並行突出部42を押すと、一方並行突出部40および他方並行突出部42は押し広げられることとなる。これにより、双方隣接部28に力を加えることでスタッドボルト200と取付具10との接続は解除できることとなる。
【0042】
他方対向面形成部64は、並行突出部配列方向について一方対向面形成部62との間で間隙が形成されるように配置される。これにより、一方対向面形成部62と他方対向面形成部64との間で間隙が形成されない場合に比べ、一方対向面形成部62と他方対向面形成部64とがスタッドボルト200と干渉する可能性が低くなる。その可能性が低くなるので、一方並行突出部40と他方並行突出部42との間を大きく押し広げることが可能になる。それらの間を大きく押し広げることが可能になると、本実施形態にかかる取付具10の取り外しが容易になる。
【0043】
また、本実施形態にかかる双方隣接部28が板状なので、双方隣接部28が軸状である場合に比べ、双方隣接部28は一方並行突出部40と他方並行突出部42とのうち一方から他方へ向かう方向へは撓み難くなる。双方隣接部28が撓み難いと、その撓みが原因となって一方並行突出部40と他方並行突出部42とが押し広げられなくなる可能性が低くなる。
【0044】
また、本実施形態にかかる取付具10において、一方対向面形成部62が一方並行突出部40の交差対向部80に対向しており、他方対向面形成部64が他方並行突出部42の交差対向部80に対向している。これらの交差対向部80は、交差突出部26が突出する方向に沿って延びる。これにより、一方対向面形成部62と他方対向面形成部64とが一方並行突出部40および他方並行突出部42を押し広げようとするとき、それらの間は広がりやすくなる。
【0045】
[変形例の説明]
今回開示された実施形態はすべての点で例示である。本発明の範囲は上述した実施形態に基づいて制限されるものではない。もちろん、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更をしてもよい。
【0046】
例えば、基部20と係合部22と嵌込部24とは一体でなくても良い。すなわち、これらは互いに接続されている別の部品であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
10…取付具
20…基部
22…係合部
24…嵌込部
26…交差突出部
28…双方隣接部
30…基外突出部
40…一方並行突出部
42…他方並行突出部
62…一方対向面形成部
64…他方対向面形成部
80…交差対向部
82…突起部
120…端部
200…スタッドボルト
220…雄ねじ部
240…板状物
260…指
300…孔