(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072996
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】グランドショート故障検出装置およびノード装置
(51)【国際特許分類】
H04L 25/02 20060101AFI20220510BHJP
H04B 3/46 20150101ALI20220510BHJP
【FI】
H04L25/02 301B
H04L25/02 V
H04B3/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020182733
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391008559
【氏名又は名称】株式会社トランストロン
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 哲
(72)【発明者】
【氏名】上鉢 敦
(72)【発明者】
【氏名】野原 康宏
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼間 広平
【テーマコード(参考)】
5K029
【Fターム(参考)】
5K029CC01
5K029DD24
5K029KK14
(57)【要約】
【課題】グランドショート故障の判定精度を上げることが可能なグランドショート故障検出装置およびノード装置を提供する。
【解決手段】2本の信号線を有し、2本の信号線それぞれの電位を変動させ、レセシブレベルおよびドミナントレベルのそれぞれを信号として、複数のノード装置間でデータの送受信を相互に行う通信ネットワークにおけるグランドショート故障検出装置において、2本の信号線のそれぞれに流れる電流の電流値を測定する電流測定部と、測定されたそれぞれの電流値の差分が所定値を超えるか否かを判定し、差分が所定値を超える場合、2本の信号線のうち、ドミナントレベルでは相対的に低い電位になる低電位側信号線のグランドショート故障が発生していることを示す判定結果を出力する判定部と、予め定められた信号の送信が完了した場合、差分が所定値を超えるか否かの判定がされるように、判定部を制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の信号線を有し、前記2本の信号線それぞれの電位を変動させ、前記2本の信号線間の電位差をレセシブレベルとドミナントレベルとに切り替え、前記レセシブレベルおよび前記ドミナントレベルのそれぞれを信号として、複数のノード装置間でデータの送受信を相互に行う通信ネットワークにおけるグランドショート故障検出装置において、
前記2本の信号線のそれぞれに流れる電流の電流値を測定する電流測定部と、
測定されたそれぞれの前記電流値の差分が所定値を超えるか否かを判定し、前記差分が所定値を超える場合、前記2本の信号線のうち、前記ドミナントレベルでは相対的低い電位になる低電位側信号線のグランドショート故障が発生していることを示す判定結果を出力する判定部と、
予め定められた信号の送信が完了した場合、前記差分が所定値を超えるか否かの判定がされるように、前記判定部を制御する制御部と、
を備える、
グランドショート故障検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記2本の信号線の電位が安定しない場合に、前記予め定められた信号が送信される制御を実行する、
請求項1に記載のグランドショート故障検出装置。
【請求項3】
前記2本の信号線の電位が安定しない場合は、前記データに含まれるノード装置の識別情報に基づいて前記複数のノード装置の優先順位を決める通信調停が行われる場合である、
請求項2に記載のグランドショート故障検出装置。
【請求項4】
前記予め定められた信号は、前記通信調停に用いられる、自身のノード装置の識別情報を有するデータを送信する場合の信号である、
請求項3に記載のグランドショート故障検出装置。
【請求項5】
前記予め定められた信号は、前記通信調停に用いられる、複数のノード装置の識別情報のいずれよりも高い優先順位を有するデータを送信する場合の信号である、
請求項3に記載のグランドショート故障検出装置。
【請求項6】
前記予め定められた信号は、前記ノード装置の識別情報を示す信号である、
請求項1から5のいずれか一項に記載のグランドショート故障検出装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のグランドショート故障検出装置を備える、ノード装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、グランドショート故障検出装置およびノード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信ネットワークとして、2本の信号線の電圧の作動によってCAN(Controller Area Network)の信号が送信されるCAN通信システムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、2本の信号線を有する通信ラインと、2本の信号線間に接続され、通信機能を有するノード装置と、2本の信号線のそれぞれの電位を測定する電位測定手段と、電位測定手段で測定された電位に基づいて、通信ラインにおいてグランドショート故障が発生しているか否かを判定するショート故障判定手段とを備えたショート故障検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、CAN通信システムにおいては、複数のノード装置から同時にデータの送信が試みられる場合がある。この場合には、データに含まれる識別情報(ID:identification information)に基づいて複数のノード装置の優先順位が決定され、優先順位に基づいて所定のノード装置からデータの送信がされる通信調停が行われる。
【0006】
しかしながら、通信調停中においては、複数のノード装置から2本の信号線に電流が伝送され、通信調停後においては、優先順位に基づいて、所定のノード装置から2本の信号線に電圧が伝送される。調停中は、2本の信号線の電流の差分が安定しない場合がある。これにより、2本の信号線(CANバス)の異常(ここではショート故障判定)の判断に誤りが生じる場合があるため、グランドショート故障の判定精度が低下するおそれがある。
【0007】
また、例えば、CAN通信システムが車両に搭載される場合においては、信号線のインダクタンス成分の差(例えば、ハーネスの長さの差)や複数のグランド間の電位差により、2本の信号線の電位が安定しない場合がある。これにより、グランドショート故障の判定精度が低下するおそれがある。
【0008】
本開示の目的は、グランドショート故障の判定精度を上げることが可能なグランドショート故障検出装置およびノード装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本開示におけるグランドショート故障検出装置は、
2本の信号線を有し、前記2本の信号線それぞれの電位を変動させ、前記2本の信号線間の電位差をレセシブレベルとドミナントレベルとに切り替え、前記レセシブレベルおよび前記ドミナントレベルのそれぞれを信号として、複数のノード装置間でデータの送受信を相互に行う通信ネットワークにおけるグランドショート故障検出装置において、
前記2本の信号線のそれぞれに流れる電流の電流値を測定する電流測定部と、
測定されたそれぞれの前記電流値の差分が所定値を超えるか否かを判定し、前記差分が所定値を超える場合、前記2本の信号線のうち、前記ドミナントレベルでは相対的に低い電位になる低電位側信号線のグランドショート故障が発生していることを示す判定結果を出力する判定部と、
予め定められた信号の送信が完了した場合、前記差分が所定値を超えるか否かの判定がされるように、前記判定部を制御する制御部と、
を備える。
【0010】
また、本開示におけるノード装置は、上記のグランドショート故障検出装置を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、2本の信号線(CANバス)の異常状態、ここではグランドショート故障の判定精度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施の形態に係るCANバスネットワークの一例を示す図である。
【
図2】制御装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態では、車載通信ネットワークについて、CANバスネットワークを一例にして説明する。
図1は、本開示の実施の形態に係るCANバスネットワークの一例を示す図である。
【0014】
図1に示すように、CANバスネットワークは、2本の信号線を有する。CANバスネットワークは、2本の信号線それぞれの電位を変動させ、2本の信号線間の電位差をレセシブレベルとドミナントレベルとに切り替え、レセシブレベルおよびドミナントレベルのそれぞれを信号として、複数のノード装置間でデータの送受信を相互に行う通信ネットワークである。
【0015】
図1に示すように、2本の信号線には複数のノード装置1,1A,1B,1Cが接続されている。また、2本の信号線には、ブレーキ警告灯のようなメーター5や、故障コード記録装置6が接続されている。信号線の断線やショート故障、センサの機能異常などの不具合が生じた場合、それらの情報は、故障コード(DTC:Diagnostic Trouble Code)として故障コード記録装置6に記録される。また、2本の通信線の両端には終端抵抗7が接続されている。
【0016】
2本の信号線(CANバスともいう)は、高電位側信号線CAN_Hおよび低電位側信号線CAN_Lにより構成されている。高電位側信号線CAN_Hは、レセシブレベルでは相対的に低い電位(例えば、基準電位近傍の電位)になり、ドミナントレベルでは相対的に高い電位(例えば、基準電位近傍の電位より高い電位)になる信号線である。低電位側信号線CAN_Lは、レセシブレベルでは相対的に高い電位(例えば、基準電位近傍の電位)になり、ドミナントレベルでは相対的に低い電位(例えば、基準電位近傍の電位より低い電位)になる信号線である。
【0017】
本実施の形態において、複数のノード装置1,1A,1B,1Cの中のノード装置1は、低電位側信号線CAN_Lのグランドショートを検出するグランドショート故障検出装置100の機能を有する。したがって、ノード装置1を説明することで、グランドショート故障検出装置100の説明に代える。なお、グランドショート故障検出装置100は、ノード装置1とは別個に独立して設けられてもよい。また、他のノード装置1A,1B,1Cがグランドショート故障検出装置100の機能を有してもよい。
【0018】
ノード装置1は、CANトランシーバ2と、制御装置3とを有する。
【0019】
CANトランシーバ2は、制御装置3とCANバスの物理配線の間との間のインターフェースを提供する。CANトランシーバ2は、物理配線を通して信号を伝送するため、データから差動信号への変換とその逆の変換、差動電圧の調整、動作電圧の確保、配線の保護などを行う。
【0020】
CANトランシーバ2は、電流測定部4を有している。電流測定部4は、高電位側信号線CAN_Hを流れる電流の電流値を周期的に測定する。また、電流測定部4は、低電位側信号線CAN_Lを流れる電流の電流値を周期的に測定する。また、電流測定部4は、測定した電流値のそれぞれを制御装置3に出力する。
【0021】
制御装置3は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等からなるマイクロコンピュータと入出力装置とを備えるECU(Electronic Control Unit)である。制御装置3は、例えば、CPUがROMに記憶されているプログラムを順次読み出して実行することで、取得部31、算出部32、判定部33、および、制御部34など種々の機能を実現する。制御装置3は、例えば、CANバス(2本の信号線)を介して通信相手のノード装置(例えば、ノード装置1A,1B,1Cのいずれかをいう)と送受信するデータの処理を実施する。
【0022】
また、制御装置3は、CANバスの状態を監視するなどの他の処理を実施する。これにより、他のノード装置(例えば、ノード装置1A,1B,1Cをいう)の優先順位が高いかどうかを判定する。制御装置3は、CANバスがアクディブな状態である他のノード装置がデータを送信中である状態や、送信を終了した直後の状態)である場合、通信相手のノード装置と送受信するデータの処理を実施しない。また、制御装置3は、CANバスがアイドル状態にあり、自身のノード装置1と他のノード装置とが同時に送信を試みる場合、通信調停を行う。通信調停においては、自身のノード装置1および他のノード装置のそれぞれが送信するデータに含まれる識別情報(ID)が用いられる。通信調停では、制御装置3は、識別情報に基づいて、自身のノード装置1および他のノード装置における優先順位を決定し、優先順位に基づいて通信相手のノード装置と送受信するデータの処理を実施する。
【0023】
取得部31は、2本の信号線(高電位側信号線CAN_Hの電流値および低電位側信号線CAN_L)それぞれの電流値を取得する。
【0024】
算出部32は、高電位側信号線CAN_Hの電流値と低電位側信号線CAN_Lの電流値との間の差分(以下、「電流値の差分」という)を算出する。
【0025】
判定部33は、算出された電流値の差分が所定値を超えるか否かについて判定する。判定部33は、電流値の差分が所定値を超える場合、低電位側信号線CAN_Lのグランドショート故障が発生していることを示す判断結果を出力する。具体的には、判定部33は、電流値の差分が所定値を超えた回数が所定数を超える場合、グランドショート故障が発生していることを示す判断結果を出力する。
【0026】
ところで、通信調停前においては、複数のノード装置のそれぞれから電圧が同時に2本の信号線に伝送される。通信調停後においては、優先順位に基づいて所定のノード装置から電圧が2本の信号線に伝送される。これにより、通信調停が行われる場合においては、取得部31に取得される2本の信号線の電位が安定しない場合がある。そのため、電流値の差分が安定しない。その結果、判定部33の判定に誤りが生じるおそれがある。
【0027】
そこで、本実施の形態においては、低電位側信号線CAN_Lのグランドショート故障が発生しているかの判定において、以下の処理が行われる。なお、ここでは、2本の信号線の電位が安定しない場合として、通信調停が行われる場合を一例に説明するが、2本の信号線の電位が安定しない場合としては、通信調停が行われる場合に限定されない。
【0028】
制御部34は、通信調停が行われない場合、電流値の差分が所定値を超えるか否かの判定がされるように判定部33を制御する。判定部33は、電流値の差分が所定値を超える場合、低電位側信号線CAN_Lのグランドショート故障が発生していることを示す判断結果を出力する。制御部34は、その判定結果が故障コード記録装置6へ送信されるようにCANトランシーバ2を制御する。
【0029】
通信調停が行われる場合、予め定められた信号が送信される。ここで、予め定められた信号とは、通信調停に用いられる自身のノード装置1の識別情報(ID)を有するデータを送信する場合の信号である。制御部34は、予め定められた信号の送信が完了したか否かを判定する。なお、予め定められた信号の送信が完了することは、調停に勝って自身のノード装置1でデータ送信された時点での電流の差分を使って判定をすることが出来、判定部33による判定に誤りが少ない状態である。
【0030】
制御部34は、予め定められた信号の送信が完了した場合、電流値の差分が所定値を超えるか否かの判定がされるように判定部33を制御する。そして、同様にして、判定部33は、電流値の差分が所定値を超える場合、低電位側信号線CAN_Lのグランドショート故障が発生していることを示す判断結果を出力する。制御部34は、その判定結果が故障コード記録装置6へ送信されるようにCANトランシーバ2を制御する。
【0031】
次に、動作の一例について説明する。
図2は、制御装置3の処理の一例を示すフローチャートである。本フローは、エンジンスイッチをオンした場合に開始される。制御装置3が、取得部31、算出部32、判定部33、および、制御部34のそれぞれの機能を有するものとして説明する。また、予め定められた信号の送信は、自身のノード装置1から行われるものとして説明する。
【0032】
先ず、ステップS100において、制御装置3は、高電位信号線CAN_Hの吐き出し電流の電流値を取得する。
【0033】
次に、ステップS110において、制御装置3は、低電位信号線CAN_Lの吸い込み電流の電流値を取得する。
【0034】
次に、ステップS120において、制御装置3は、高電位信号線CAN_Hの吐き出し電流の電流値と低電位信号線CAN_Lの吸い込み電流の電流値との差分を算出する。
【0035】
次に、ステップS130において、制御装置3は、算出された差分が所定値を超えるか否かについて判定する。差分が所定値を超える場合(ステップS130:YES)、処理はステップS140に遷移する。差分が所定値を超えない場合(ステップS130:NO)、処理はステップS100の前に戻る。
【0036】
ステップS140において、制御装置3は、通信調停であるか否かについて判定する。通信調停である場合(ステップS140:YES)、処理はステップS100の前に戻る。通信調停でない場合(ステップS140:NO)、処理はステップS150に遷移する。
【0037】
ステップS150において、制御装置3は、予め定められた信号が送信されるようにCANトランシーバ2を制御する。
【0038】
次に、ステップS160において、制御装置3は、予め定められた信号の送信が完了したか否かについて判定する。予め定められた信号の送信が完了した場合(ステップS160:YES)、処理はステップS170に遷移する。予め定められた信号の送信が完了しない場合(ステップS160:NO)、処理はステップS100の前に戻る。
【0039】
次に、ステップS170において、制御装置3は、低電位信号線CAN_Lのグランドショート故障が発生したと判定する。制御装置3は、判定結果が故障コード記録装置6へ送信されるようにCANトランシーバ2を制御する。
【0040】
上記実施の形態におけるグランドショート故障検出装置100は、2本の信号線を有し、2本の信号線それぞれの電位を変動させ、2本の信号線間の電位差をレセシブレベルとドミナントレベルとに切り替え、レセシブレベルおよびドミナントレベルのそれぞれを信号として、複数のノード装置間でデータの送受信を相互に行う通信ネットワークにおけるグランドショート故障検出装置において、2本の信号線のそれぞれにドミナント出力時に流れる電流の電流値を測定する電流測定部4と、測定されたそれぞれの電流値の差分が所定値を超えるか否かを判定し、差分が所定値を超える場合、2本の信号線のうち、レセシブレベルでは相対的に高い電位になり、ドミナントレベルでは相対的に低い電位になる低電位側信号線CAN_Lのグランドショート故障が発生していることを示す判定結果を出力する判定部33と、予め定められた信号の送信が完了した場合、差分が所定値を超えるか否かの判定がされるように、判定部33を制御する制御部と34と、を備える。
【0041】
上記構成により、予め定められた信号の送信が完了し、2本の信号線の電位が不安定な状態でないことを確認した上で、判定部33が電流値の差分が所定値を超えているか否かを判定するため、判定の誤りが減少する。これにより、グランドショート故障の判定精度を上げることが可能となる。
【0042】
また、上記実施の形態におけるグランドショート故障検出装置100においては、制御部34は、2本の信号線の電位が安定しない場合に、予め定められた信号が送信される制御を実行する。これにより、2本の信号線の電位が不安定な状態である場合、判定部33による判定が行われないため、判定の誤りを減少させることが可能となる。
【0043】
また、上記実施の形態におけるグランドショート故障検出装置100では、2本の信号線の電位が安定しない場合は、データに含まれるノード装置の識別情報に基づいて複数のノード装置の優先順位を決める通信調停が行われる場合である。これにより、2本の信号線の電位が不安定な状態となる場合がある通信調停では、2本の信号線の電位が不安定な状態でないことを確認した上で、判定部33による判定が行われるため、判定の誤りを減少させることが可能となる。
【0044】
また、上記実施の形態におけるグランドショート故障検出装置100では、通信調停が行われる場合に送信される予め定められた信号は、通信調停に用いられる、自身のノード装置1の識別情報を有するデータを送信する場合の信号である。この場合、自身のノード装置1から予め定められた信号が送信され、その信号の送信が完了した場合、2本の信号線の電位が不安定な状態でないことを自身の信号で確認することができ、グランドショート故障を的確に判定することが可能となるという利点がある。
【0045】
なお、上記実施の形態におけるグランドショート故障検出装置100では、2本の信号線の電位が安定しない場合として、通信調停が行われる場合を一例に挙げて説明したが、本開示はこれに限らない。例えば、信号線のインダクタンス成分の差や複数のグランド間の電位差により、2本の信号線の電位が安定しない場合でもよい。この場合、例えば、2本の信号線のインダクタンス成分を測定し、インダクタンス成分の差を算出し、インダクタンス成分の差が所定値を超える場合を、2本の信号線の電位が安定しない場合であるとしてもよい。また、例えば、複数のグランド間の電位を測定し、複数のグランド間の電位差を算出し、複数のグランド間の電位差が所定値を超える場合、2本の信号線の電位が安定しない場合であるとしてもよい。
【0046】
また、上記実施の形態では、通信調停が行われる場合に送信される予め定められた信号は、前記通信調停に用いられる、自身のノード装置1の識別情報を有するデータを送信する場合の信号として説明したが、本開示はこれに限らない。予め定められた信号の送信は、通信調停に用いられる複数のノード装置の識別情報よりも高い優先順位を有するデータを送信する場合の信号でもよい。この場合、通信調停に係る複数のノード装置の中で、自身のノード装置1の優先順位が最も高くない場合でも、例えば、自身の識別情報の優先順位が他のノード装置の識別情報の優先順位よりも低い場合であっても、通信調停に打ち勝って、自身のノード装置1から予め定められた信号を送信し、その信号の送信が完了したか否かの判定が、時間のロスがなく行えるため、グランドショート故障が発生したか否かの判定を定期的に行うことが可能となるという利点がある。
【0047】
その他、上記実施の形態は、何れも本開示の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本開示はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本開示は、グランドショート故障の判定精度を上げることが要求されるグランドショート故障検出装置を備えたノード装置に好適に利用される。
【符号の説明】
【0049】
1,1A,1B,1C ノード装置
2 CANトランシーバ
3 制御装置
4 電流測定部
5 メーター
6 故障コード記録装置
7 終端抵抗
31 取得部
32 算出部
33 判定部
34 制御部
100 グランドショート故障検出装置