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特開2022-73078温調流体循環装置及び温調流体循環システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073078
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】温調流体循環装置及び温調流体循環システム
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20220510BHJP
【FI】
F25B1/00 399Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020182848
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】594185097
【氏名又は名称】伸和コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】山脇 正勝
(72)【発明者】
【氏名】上田 禎一郎
(72)【発明者】
【氏名】酒井 勝敏
(72)【発明者】
【氏名】松林 秀弥
(57)【要約】      (修正有)
【課題】温調精度を向上させた温調流体循環装置を提供する。
【解決手段】温調流体循環1は、温調部2で温調された流体を流体供給対象を経由させて循環させる流路3と、前記流路3における前記流体供給対象Tの下流側であって前記温調部2による温調位置の上流側の位置に配置され、3つのポートのうちの2つのポート間の部分で前記流路の一部を構成する三方弁4と、前記流路3における前記温調部2による温調位置の下流側であって前記流体供給対象Tの上流側の位置から分岐し、前記三方弁4の3つのポートのうちの残り1つのポートに接続されるバイパス流路5と、を備える。前記流路3における前記流体供給対象Tの下流側であって前記三方弁4の上流側の位置を通流する流体の圧力は、圧力センサ9Pで検出される。そして、前記圧力センサ9Pが検出する流体の圧力が指定された目標圧力になるように前記三方弁4の開度が制御される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温調部で温調された流体を流体供給対象を経由させて循環させる流路と、
前記流路における前記流体供給対象の下流側であって前記温調部による温調位置の上流側の位置に配置され、3つのポートのうちの2つのポート間の部分で前記流路の一部を構成する三方弁と、
前記流路における前記温調部による温調位置の下流側であって前記流体供給対象の上流側の位置から分岐し、前記三方弁の3つのポートのうちの前記流路の一部を構成する2つのポートとは異なる残り1つのポートに接続されるバイパス流路と、
前記流路における前記流体供給対象の下流側であって前記三方弁の上流側の位置を通流する流体の圧力を検出する圧力センサと、
前記三方弁を制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記圧力センサが検出する流体の圧力が指定された目標圧力になるように前記三方弁の開度を制御する、温調流体循環装置。
【請求項2】
前記流路で流体を循環させるための駆動力を付与するポンプを備え、
前記ポンプを一定の駆動力で駆動させる、請求項1に記載の温調流体循環装置。
【請求項3】
前記流体は、液体であり、
前記流路における前記三方弁の下流側であって前記温調部による温調位置の上流側の位置に配置され、前記流路の一部を構成するタンクと、
前記タンクに貯留された液体の液面の高さを一定に維持する液面維持機構と、をさらに備える、請求項1又は2に記載の温調流体循環装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記流体供給対象の温度に関する情報を受信するように構成されており、前記情報に基づき前記流体供給対象の温度の変化率の絶対値が閾値以上になったと判定した場合に、フィードフォワード制御により、前記三方弁の開度を前記変化率の絶対値の大きさに応じた操作量で変更する、請求項1乃至3のいずれかに記載の温調流体循環装置。
【請求項5】
弁ユニットと、
第1側温調部で温調された流体を前記弁ユニットを経由させて循環させる第1側流路と、前記第1側流路における前記弁ユニットの下流側であって前記第1側温調部による温調位置の上流側の位置に配置され、3つのポートのうちの2つのポート間の部分で前記第1側流路の一部を構成する第1側三方弁と、前記第1側流路における前記第1側温調部による温調位置の下流側であって前記弁ユニットの上流側の位置から分岐し、前記第1側三方弁の3つのポートのうちの前記第1側流路の一部を構成する2つのポートとは異なる残り1つのポートに接続される第1側バイパス流路と、前記第1側流路における前記弁ユニットの下流側であって前記第1側三方弁の上流側の位置を通流する流体の圧力を検出する第1側圧力センサと、を備える第1温調流体循環装置と、
第2側温調部で温調された流体を前記弁ユニットを経由させて循環させる第2側流路と、前記第2側流路における前記弁ユニットの下流側であって前記第2側温調部による温調位置の上流側の位置に配置され、3つのポートのうちの2つのポート間の部分で前記第2側流路の一部を構成する第2側三方弁と、前記第2側流路における前記第2側温調部による温調位置の下流側であって前記弁ユニットの上流側の位置から分岐し、前記第2側三方弁の3つのポートのうちの前記第2側流路の一部を構成する2つのポートとは異なる残り1つのポートに接続される第2側バイパス流路と、前記第2側流路における前記弁ユニットの下流側であって前記第2側三方弁の上流側の位置を通流する流体の圧力を検出する第2側圧力センサと、を備える第2温調流体循環装置と、
前記第1側三方弁及び前記第2側三方弁を制御するコントローラと、を備え、
前記弁ユニットは、前記第1温調流体循環装置から受け入れた流体、前記第2温調流体循環装置から受け入れた流体、又は前記第1温調流体循環装置から受け入れた流体と前記第2温調流体循環装置から受け入れた流体とを混ぜ合わせた流体を温度制御対象に送り、前記温度制御対象を経由した流体を前記第1側流路又は/及び前記第2側流路に戻すようになっており、
前記コントローラは、前記第1側圧力センサが検出する流体の圧力が指定された第1側目標圧力になるように前記第1側三方弁の開度を制御するとともに、前記第2側圧力センサが検出する流体の圧力が指定された第2側目標圧力になるように前記第2側三方弁の開度を制御する、温調流体循環システム。
【請求項6】
前記第1温調流体循環装置が循環させる流体及び前記第2温調流体循環装置が循環させる流体は、同じ液体であり、
前記第1温調流体循環装置は、前記第1側流路における前記第1側三方弁の下流側であって前記第1側温調部による温調位置の上流側の位置に配置され、前記第1側流路の一部を構成する第1側タンクを備え、
前記第2温調流体循環装置は、前記第2側流路における前記第2側三方弁の下流側であって前記第2側温調部による温調位置の上流側の位置に配置され、前記第2側流路の一部を構成する第2側タンクを備え、
前記第1側タンクの液体貯留位置と前記第2側タンクの液体貯留位置とが、配管部材によって接続されている、請求項5に記載の温調流体循環システム。
【請求項7】
前記弁ユニットは、第1受け入れポート、第2受け入れポート及び供給ポートを含む弁ユニット側三方弁を有し、
前記弁ユニット側三方弁は、弁体の位置に応じて、前記第1受け入れポートで受け入れた前記第1温調流体循環装置からの流体と、前記第2受け入れポートで受け入れた前記第2温調流体循環装置からの流体との混合割合を変化させて、前記供給ポートから流出させることが可能であり、
前記コントローラは、前記弁ユニット側三方弁内の流体の圧力に関する情報を受信するように構成されており、前記情報に基づき前記弁ユニット側三方弁内の流体の圧力の変化率の絶対値が閾値以上になったと判定した場合に、フィードフォワード制御により、前記第1側三方弁の開度及び前記第2側三方弁の開度を前記変化率の絶対値の大きさに応じた操作量で変更する、請求項5又は6に記載の温調流体循環システム。
【請求項8】
前記弁ユニットは、第1受け入れポート、第2受け入れポート及び供給ポートを含む弁ユニット側三方弁を有し、
前記弁ユニット側三方弁は、弁体の位置に応じて、前記第1受け入れポートで受け入れた前記第1温調流体循環装置からの流体と、前記第2受け入れポートで受け入れた前記第2温調流体循環装置からの流体との混合割合を変化させて、前記供給ポートから流出させることが可能であり、
前記コントローラは、前記弁体に駆動力を付与するアクチュエータの負荷に関する情報を受信するように構成されており、前記情報に基づき前記アクチュエータの負荷の変化率の絶対値が閾値以上になったと判定した場合に、フィードフォワード制御により、前記第1側三方弁の開度及び前記第2側三方弁の開度を前記変化率の絶対値の大きさに応じた操作量で変更する、請求項5又は6に記載の温調流体循環システム。
【請求項9】
前記弁ユニットは、スプールの位置に応じて、前記第1温調流体循環装置から受け入れた流体と前記第2温調流体循環装置から受け入れた流体との混合割合を変化させて前記温度制御対象側に流出させることが可能なスプール弁を有しており、
前記コントローラは、前記スプール弁内の流体又は前記スプール弁から前記温度制御対象に流入する流体の圧力に関する情報を受信するように構成されており、前記情報に基づき前記スプール弁内の流体の圧力の変化率の絶対値が閾値以上になったと判定した場合に、フィードフォワード制御により、前記第1側三方弁の開度及び前記第2側三方弁の開度を前記変化率の絶対値の大きさに応じた操作量で変更する、請求項5又は6に記載の温調流体循環システム。
【請求項10】
前記弁ユニットは、スプールの位置に応じて、前記第1温調流体循環装置から受け入れた流体と前記第2温調流体循環装置から受け入れた流体との混合割合を変化させて前記温度制御対象側に流出させることが可能なスプール弁を有しており、
前記コントローラは、前記スプールに駆動力を付与するアクチュエータの負荷に関する情報を受信するように構成されており、前記情報に基づき前記アクチュエータの負荷の変化率の絶対値が閾値以上になったと判定した場合に、フィードフォワード制御により、前記第1側三方弁の開度及び前記第2側三方弁の開度を前記変化率の絶対値の大きさに応じた操作量で変更する、請求項5又は6に記載の温調流体循環システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温調した流体を流体供給対象又は温度制御対象に送り、流体供給対象又は温度制御対象を経由した流体を再度温調する温調流体循環装置及び温調流体循環システムに関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器を有する冷凍装置によって温調されたブライン等の流体を温度制御対象側に送り、温度制御対象を通過した流体を冷凍装置によって再度温調する流体循環装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、上記のような流体循環装置を複数備えるシステムが特許文献2に開示されている。特許文献2のシステムでは、2つの流体循環装置で温調される流体の温度が互いに異なり、2つの流体循環装置が温度制御対象側に送る流体を温度制御対象手前で混ぜ合わせることができる。これにより、温度制御対象側に送る流体の温度を迅速に所望温度に調節できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-145565号公報
【特許文献2】特開2013-105359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような流体循環装置において温度制御対象側から戻る流体の温度は、例えば温度制御対象の状態に応じて大きく変動することがあり、その結果、温度制御対象下流側の流体の圧力も大きく変動することがある。このような圧力変動は温度制御対象上流側の流体の通流状態に影響を与え、この影響は、流体の通流状態を乱し、温調精度を低下させる虞がある。
【0006】
また、特許文献2に開示されたシステムでは、温度制御対象から戻る流体が、流体を互いに異なる温度に温調する2つの流体循環装置に分配される。この場合、温度制御対象から戻る流体の圧力が2つの流体循環装置に与える影響は互いに相違し得る。この場合、温度制御対象手前で混ぜ合わされる流体の割合が目標値から大きく逸れる状況が生じ得るため、温調精度が顕著に低下する虞がある。
【0007】
本発明は上記事情を考慮してなされたものであり、流体の循環状態の安定性を向上させることで、流体による温調精度を向上させることができる温調流体循環装置及び温調流体循環システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施の形態にかかる温調流体循環装置は、温調部で温調された流体を流体供給対象を経由させて循環させる流路と、前記流路における前記流体供給対象の下流側であって前記温調部による温調位置の上流側の位置に配置され、3つのポートのうちの2つのポート間の部分で前記流路の一部を構成する三方弁と、前記流路における前記温調部による温調位置の下流側であって前記流体供給対象の上流側の位置から分岐し、前記三方弁の3つのポートのうちの前記流路の一部を構成する2つのポートとは異なる残り1つのポートに接続されるバイパス流路と、前記流路における前記流体供給対象の下流側であって前記三方弁の上流側の位置を通流する流体の圧力を検出する圧力センサと、前記三方弁を制御するコントローラと、を備える。そして、前記コントローラは、前記圧力センサが検出する流体の圧力が指定された目標圧力になるように前記三方弁の開度を制御する。
【0009】
また、本発明の一実施の形態にかかる温調流体循環システムは、弁ユニットと、第1側温調部で温調された流体を前記弁ユニットを経由させて循環させる第1側流路と、前記第1側流路における前記弁ユニットの下流側であって前記第1側温調部による温調位置の上流側の位置に配置され、3つのポートのうちの2つのポート間の部分で前記第1側流路の一部を構成する第1側三方弁と、前記第1側流路における前記第1側温調部による温調位置の下流側であって前記弁ユニットの上流側の位置から分岐し、前記第1側三方弁の3つのポートのうちの前記第1側流路の一部を構成する2つのポートとは異なる残り1つのポートに接続される第1側バイパス流路と、前記第1側流路における前記弁ユニットの下流側であって前記第1側三方弁の上流側の位置を通流する流体の圧力を検出する第1側圧力センサと、を備える第1温調流体循環装置と、第2側温調部で温調された流体を前記弁ユニットを経由させて循環させる第2側流路と、前記第2側流路における前記弁ユニットの下流側であって前記第2側温調部による温調位置の上流側の位置に配置され、3つのポートのうちの2つのポート間の部分で前記第2側流路の一部を構成する第2側三方弁と、前記第2側流路における前記第2側温調部による温調位置の下流側であって前記弁ユニットの上流側の位置から分岐し、前記第2側三方弁の3つのポートのうちの前記第2側流路の一部を構成する2つのポートとは異なる残り1つのポートに接続される第2側バイパス流路と、前記第2側流路における前記弁ユニットの下流側であって前記第2側三方弁の上流側の位置を通流する流体の圧力を検出する第2側圧力センサと、を備える第2温調流体循環装置と、前記第1側三方弁及び前記第2側三方弁を制御するコントローラと、を備える。
前記弁ユニットは、前記第1温調流体循環装置から受け入れた流体、前記第2温調流体循環装置から受け入れた流体、又は前記第1温調流体循環装置から受け入れた流体と前記第2温調流体循環装置から受け入れた流体とを混ぜ合わせた流体を温度制御対象に送り、前記温度制御対象を経由した流体を前記第1側流路又は/及び前記第2側流路に戻すようになっている。そして、前記コントローラは、前記第1側圧力センサが検出する流体の圧力が指定された第1側目標圧力になるように前記第1側三方弁の開度を制御するとともに、前記第2側圧力センサが検出する流体の圧力が指定された第2側目標圧力になるように前記第2側三方弁の開度を制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、流体の循環状態の安定性を向上させることで、流体による温調精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施の形態にかかる温調流体循環装置の概略構成を示す図である。
図2】第1の実施の形態にかかる温調流体循環装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
図3】本発明の第2の実施の形態にかかる温調流体循環システムの概略構成を示す図である。
図4】第2の実施の形態にかかる温調流体循環システムの動作の一例を説明するフローチャートである。
図5】本発明の第3の実施の形態にかかる温調流体循環システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施の形態の形態を説明する。
【0013】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる温調流体循環装置1の概略構成を示す図である。温調流体循環装置1は、温調部2で温調された流体を流体供給対象である温度制御対象Tを経由させて循環させる流路3を備える。温調部2は、一例として冷凍機の蒸発器であるが、その他の冷却機器でもよい。また、温度制御対象Tを加熱する場合には、温調部2は例えば電熱式のヒータ等でもよい。
【0014】
流路3が循環させる流体は例えばブラインであるが、水等の他の流体でもよい。本実施の形態における流路3は、それぞれ温度制御対象Tに接続される上流端部3Uと下流端部3Dとを有する。温調部2で温調された流体は、流路3の下流端部3Dから温度制御対象Tに供給され、温度制御対象Tを経由した流体は、流路3の上流端部3Uから流路3内に戻る。
【0015】
流路3における温度制御対象Tの下流側であって温調部2による温調位置の上流側の位置には、三方弁4が配置されている。三方弁4は、第1ポート4A、第2ポート4B及び第3ポート4Cを有し、第1ポート4Aと第3ポート4Cとの間の部分で流路3の一部を構成している。
【0016】
三方弁4の第2ポート4Bには、バイパス流路5が接続され、バイパス流路5は、流路3における温調部2による温調位置の下流側であって温度制御対象Tの上流側の位置から分岐している。
【0017】
三方弁4は比例式の三方弁であり、弁体を駆動するアクチュエータとしてのステッピングモータ4Mを有する。三方弁4は、ステッピングモータ4Mによって図示しない弁体の位置を調節し、弁体の位置に応じて、第1ポート4Aから第3ポート4Cに流れる流体の流量と、第2ポート4Bから第3ポート4Cに流れる流体の流量との割合を変化させる。
【0018】
第1ポート4Aと第3ポート4Cとが全開で接続された際には、温調部2で温調された流体がすべて温度制御対象T側に通流し、流体は、温度制御対象Tに経由しないようにバイパス流路5でバイパスされない。一方で、第2ポート4Bと第3ポート4Cとが全開で接続された際には、温調部2で温調された流体は温度制御対象T内を通流せず、温度制御対象Tに経由せずにバイパス流路5でバイパスされる。
【0019】
流路3における三方弁4の下流側であって温調部2による温調位置の上流側の位置には、タンク6が配置され、タンク6も流路3の一部を構成する。タンク6は、流体を一定量だけ貯留するようになっている。本実施の形態では、流路3で流体を循環させるための駆動力を付与するポンプ7がタンク6内に配置されている。本実施の形態では、温調流体循環装置1の運転が開始されると、ポンプ7が一定の駆動力で駆動される。
【0020】
また、本実施の形態では、上記流体が液体である。そして、タンク6には、貯留された液体である流体の液面の高さを一定に維持する液面維持機構8が接続されている。本実施の形態では、液面維持機構8が一定量の液体(循環される流体である液体と同じ液体)を貯留する容器であり、当該容器における液面貯留位置に接続された配管部材を、タンク6における液面貯留位置に接続させる。なお、液面貯留位置は、タンク6又は上記容器に一定量の液体が貯留された際の液面の高さよりも下方の位置のことである。タンク6又は上記容器に貯留される液体の量は、予め定められている。
【0021】
液面維持機構8は、タンク6の上流側の流体の圧力が上昇してタンク6の液面が上昇しようとした場合に、タンク6内の液体を液面維持機構8に送る一方、タンク6の上流側の流体の圧力が下降してタンク6の液面が下降しようとした場合には、液面維持機構8からタンク6内に液体を流入させる。このように液面維持機構8はタンク6の液面を一定に維持する機能を有することで、流路3におけるタンク6の上流側の部分の圧力変動を緩和させるようになっている。
【0022】
また、温調流体循環装置1は、圧力センサ9P及び温度センサ9Tと、これらセンサと電気的に接続するコントローラ100と、を備えている。圧力センサ9Pは、流路3における温度制御対象Tの下流側であって三方弁4の上流側の位置を通流する流体の圧力を検出する。温度センサ9Tは、温度制御対象Tの温度を検出する。
【0023】
コントローラ100は、例えばCPU、ROM等を有するコンピュータで構成されてもよい。この場合、ROMに格納されたプログラムに従い、各種処理を行う。なお、コントローラ100は、その他のプロセッサや電気回路(例えばFPGA(Field Programmable Gate Alley)等)で構成されてもよい。
【0024】
コントローラ100は、圧力センサ9Pから流体の圧力に関する情報を受信し、温度センサ9Tから温度制御対象Tの温度に関する情報を受信し、受信した情報に基づいて、圧力センサ9Pが検出する流体の圧力が指定された目標圧力になるように三方弁4の開度を制御する。ここで、目標圧力は、ユーザによってコントローラ100に入力される。
【0025】
本実施の形態におけるコントローラ100は、より詳しくは、圧力センサ9Pが検出した圧力と目標圧力との差分に基づいて、圧力センサ9Pが検出する流体の圧力が指定された目標圧力になるように三方弁4の開度をフィードバック制御するとともに、温度センサ9Tからの温度の情報に基づいて、三方弁4の開度をフィードフォワード制御するようになっている。
【0026】
上記フィードフォワード制御は、温度制御対象Tの温度の変化率の絶対値が閾値以上になったと判定され場合に実行され、このフィードフォワード制御では、三方弁4の開度を上記変化率の絶対値の大きさに応じた操作量で変更する。
【0027】
より詳しくは、温度制御対象Tの温度の変化率の絶対値が温度上昇側の閾値以上になった場合に、変化率の絶対値の大きさに比例した操作量で、第1ポート4Aと第3ポート4Cとの開度が大きくなるように三方弁4の開度が変更される。一方で、温度制御対象Tの温度の変化率の絶対値が温度下降側の閾値以上になった場合に、変化率の絶対値の大きさに比例した操作量で、第1ポート4Aと第3ポート4Cとの開度が小さくなるように三方弁4が操作される。
【0028】
上記温度の変化率とは、単位時間あたり温度の変化量を意味する。温度の変化率は、単位時間ごとに温度の移動平均値を算出し、最新の温度の移動平均値と1回前に算出した温度の移動平均値との差を、単位時間で割ることによって順次算出される。移動平均値を算出する際の時間範囲は、例えば変化率の算出タイミングから単位時間だけ遡った時間範囲でもよい。なお、温度センサ9Tは、移動平均値を算出する際の時間範囲で少なくとも5点以上温度を検出することが望ましい。
【0029】
なお、上記単位時間の長さは特に限られるものではないが、小さすぎるとノイズ成分の影響により変化率の算出精度が低下する虞があり、長すぎるとフィードフォワード制御が有効に発揮されなくなる虞がある。そのため、変化率を規定する時間間隔は、例えば0.5秒から3秒の間に設定されてもよい。
【0030】
図2は、温調流体循環装置1の動作の一例を説明するフローチャートである。以下、図2を参照しつつ温調流体循環装置1の動作の一例を説明する。
【0031】
ここで説明する動作は、一例として、温調流体循環装置1の運転が開始され、温度制御対象Tの温度が目標温度に到達した後に開始される。この際、三方弁4は予め定められた基準開度に制御され、基準開度は全閉と全開との間の中間開度とされる。そして、温度制御対象Tの温度が目標温度に到達したことが、例えば温度センサ9Tにより検出されると、まずステップ101において、コントローラ100は、温度センサ9Tからの情報に基づき温度制御対象Tの温度の変化率(以下、温度変化率)の絶対値が閾値以上になったか否かを監視する。
【0032】
ステップS101で温度変化率の絶対値が閾値以上になったことが判定された場合、コントローラ100は、ステップS102で三方弁4の開度を温度変化率の絶対値の大きさに応じた操作量で変更し、その後、ステップS103に処理を移行させる。一方で、ステップS101で温度変化率の絶対値が閾値以上になったことが判定されない場合には、処理がステップS103に移行する。
【0033】
そしてステップS103では、コントローラ100が、圧力センサ9Pが検出した圧力と目標圧力との差分に基づいて、圧力センサ9Pが検出する流体の圧力が指定された目標圧力になるように三方弁4の開度をフィードバック制御する。次いで、ステップS104では、コントローラ100が運転停止指令が生成されたか否かを検出し、検出された場合、温調流体循環装置1の運転を停止させ、検出されない場合には、処理をステップS101に戻す。
【0034】
以上に説明した本実施の形態では、温度制御対象Tから流出した流体の圧力を所望の値に維持できる。これにより、流路3における流体の循環状態の安定性を向上させることで、流体による温調精度を向上させることができる。
【0035】
とりわけ圧力センサ9Pに基づく目標圧力へのフィードバック制御と温度制御対象Tの温度の変化率に基づくフィードフォワード制御とを組み合わせることで、目標圧力への制御の信頼性及び迅速性を向上できる。また、タンク6の液面が液面維持機構8によって維持されることで、流路3におけるタンク6の上流側の部分の圧力変動、つまり温度制御対象Tから流出した流体の圧力変動を緩和させるようになっている。これにより、機械的な簡易な構成を用いて流体の循環状態の安定性を向上させることができるため、装置の信頼性を向上させることができる。
【0036】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態にかかる温調流体循環システムS1を説明する。図3は、温調流体循環システムS1の概略図である。本実施の形態における第1の実施の形態と同様の部分には、同一の符号が付されている。
【0037】
温調流体循環システムS1は、第1温調流体循環装置10と、第2温調流体循環装置20と、弁ユニット50と、コントローラ100と、を備える。
【0038】
図3においては、第1温調流体循環装置10及び第2温調流体循環装置20の主要部分がそれぞれ二点鎖線で囲まれている。第1温調流体循環装置10及び第2温調流体循環装置20は、第1の実施の形態にかかる温調流体循環装置1の構成と基本的に同一である。以下、まず、第1温調流体循環装置10及び第2温調流体循環装置20について説明する。
【0039】
まず、第1温調流体循環装置10は、第1側温調部12で温調された流体を流体供給対象である弁ユニット50を経由させて循環させる第1側流路13を備えている。第1側温調部12は、一例として冷凍機の蒸発器であるが、その他の冷却機器でもよい。
【0040】
第1側流路13が循環させる流体は例えばブラインであるが、水等の他の流体でもよい。本実施の形態における第1側流路13は、それぞれ弁ユニット50に接続される上流端部13Uと下流端部13Dとを有し、第1側温調部12で温調された流体は、第1側流路13の下流端部13Dから弁ユニット50に供給される。詳細は後述するが、弁ユニット50は受け入れた流体を温度制御対象Tに供給する。そして、本実施の形態では、温度制御対象Tから流出した流体を、弁ユニット50を経由させて上流端部13Uから第1側流路13内に戻すことが可能となっている。ただし、この例では、弁ユニット50を介して温度制御対象Tに第1温調流体循環装置10からの流体を流入させない場合には、温度制御対象Tからの流体は、弁ユニット50を経由して第1側流路13内には戻らない。
【0041】
第1側流路13における弁ユニット50の下流側であって第1側温調部12による温調位置の上流側の位置には、第1側三方弁14が配置されている。第1側三方弁14は、第1側第1ポート14A、第1側第2ポート14B及び第1側第3ポート14Cを有し、第1側第1ポート14Aと第1側第3ポート14Cとの間の部分で第1側流路13の一部を構成している。
【0042】
第1側三方弁14の第1側第2ポート14Bには、第1側バイパス流路15が接続され、第1側バイパス流路15は、第1側流路13における第1側温調部12による温調位置の下流側であって弁ユニット50の上流側の位置から分岐している。
【0043】
第1側三方弁14は比例式の三方弁であり、弁体を駆動するアクチュエータとしての第1側ステッピングモータ14Mを有する。第1側三方弁14は、第1側ステッピングモータ14Mによって図示しない弁体の位置を調節し、弁体の位置に応じて、第1側第1ポート14Aから第1側第3ポート14Cに流れる流体の流量と、第1側第2ポート14Bから第1側第3ポート14Cに流れる流体の流量との割合を変化させる。
【0044】
また、第1側流路13における第1側三方弁14の下流側であって第1側温調部12による温調位置の上流側の位置には、第1側タンク16が配置され、第1側タンク16も第1側流路13の一部を構成する。第1側タンク16は、液体である流体を一定量だけ貯留する。本実施の形態では、第1側流路13で流体を循環させるための駆動力を付与する第1側ポンプ17が第1側タンク16内に配置される。本実施の形態では、温調流体循環システムS1の運転が開始されると、第1側ポンプ17が一定の駆動力で駆動される。
【0045】
また、第1温調流体循環装置10は、第1側圧力センサ19Pを備え、第1側圧力センサ19Pはコントローラ100と電気的に接続されている。第1側圧力センサ19Pは、第1側流路13における弁ユニット50の下流側であって第1側三方弁14の上流側の位置を通流する流体の圧力を検出する。
【0046】
次いで、第2温調流体循環装置20も、第2側温調部22で温調された流体を流体供給対象である弁ユニット50を経由させて循環させる第2側流路23を備える。第2側温調部22も、一例として冷凍機の蒸発器であるが、その他の冷却機器でもよい。ただし、第2側温調部22は、第1側温調部12よりも低い温度まで流体を冷却する。すなわち、本実施の形態では、第1温調流体循環装置10で温調される流体の温度が第2温調流体循環装置20で温調される流体の温度よりも高くなるように、温調流体循システムS1が運転されるようになっている。
【0047】
第2側流路23が循環させる流体は、第1側流路13で循環する流体と同じ流体であり、例えばブラインであるが、水等の他の流体でもよい。本実施の形態における第2側流路23も、それぞれ弁ユニット50に接続される上流端部23Uと下流端部23Dとを有する。第2側温調部22で温調された流体は、第2側流路23の下流端部23Dから弁ユニット50に供給される。そして、上述したように、本実施の形態では、弁ユニット50は受け入れた流体を温度制御対象Tに供給する。そして、上述と同様に、温度制御対象Tから流出した流体を、弁ユニット50を経由させて上流端部23Uから第2側流路23内に戻すことが可能となっている。ただし、弁ユニット50を介して温度制御対象Tに第2温調流体循環装置20からの流体を流入させない場合には、温度制御対象Tからの流体は、弁ユニット50から第2側流路23内には戻らない。
【0048】
第2側流路23における弁ユニット50の下流側であって第2側温調部22による温調位置の上流側の位置にも、第2側三方弁24が配置されており、第2側三方弁24は、第2側第1ポート24A、第2側第2ポート24B及び第2側第3ポート24Cを有し、第2側第1ポート24Aと第2側第3ポート24Cとの間の部分で第2側流路23の一部を構成している。
【0049】
第2側三方弁24の第2側第2ポート24Bには、第2側バイパス流路25が接続され、第2側バイパス流路25は、第2側流路23における第2側温調部22による温調位置の下流側であって弁ユニット50の上流側の位置から分岐している。
【0050】
第2側三方弁24は比例式の三方弁であり、弁体を駆動するアクチュエータとしての第2側ステッピングモータ24Mを有する。第2側三方弁24は、第2側ステッピングモータ24Mによって図示しない弁体の位置を調節し、弁体の位置に応じて、第2側第1ポート24Aから第2側第3ポート24Cに流れる流体の流量と、第2側第2ポート24Bから第2側第3ポート24Cに流れる流体の流量との割合を変化させる。
【0051】
また、第2側流路23における第2側三方弁24の下流側であって第2側温調部22による温調位置の上流側の位置には、第2側タンク26が配置され、第2側タンク26も第2側流路23の一部を構成する。第2側タンク26は、液体である流体を一定量だけ貯留し、第2側流路23で流体を循環させるための駆動力を付与する第2側ポンプ27が第2側タンク26内に配置される。第2側ポンプ27も、温調流体循環システムS1の運転が開始されると一定の駆動力で駆動される。
【0052】
また、第2温調流体循環装置20は、第2側圧力センサ29Pを備え、第2側圧力センサ29Pはコントローラ100と電気的に接続されている。第2側圧力センサ29Pは、第2側流路23における弁ユニット50の下流側であって第2側三方弁24の上流側の位置を通流する流体の圧力を検出する。
【0053】
ここで、本実施の形態における上述の第1温調流体循環装置10及び第2温調流体循環装置20では、それぞれが循環させる流体が同じ液体であり、第1側タンク16の液体貯留位置と第2側タンク26の液体貯留位置とが、配管部材30によって接続されている。液面貯留位置は、タンクに一定量の液体が貯留された際の液面の高さよりも下方の位置のことである。タンクに貯留される液体の量は、予め定められている。
【0054】
配管部材30は、第1側タンク16と第2側タンク26との間での液体の流通を可能とする。これにより、第1側タンク16内の液体の液面と第2側タンク26内の液体の液面とが均一化され、それぞれに貯留された液体の圧力を均一化できる。本実施の形態では、弁ユニット50によって第1温調流体循環装置10からの液体と第2温調流体循環装置20からの液体とを混ぜ合わせて温度制御対象Tに供給できる。ここで、配管部材30により両液体の圧力が均一化されることで、混ぜ合わせた液体の温度を所望の温度に制御し易くなる。
【0055】
次いで、弁ユニット50について説明する。弁ユニット50は、第1温調流体循環装置10から受け入れた流体、第2温調流体循環装置20から受け入れた流体、又は第1温調流体循環装置10から受け入れた流体と第2温調流体循環装置20から受け入れた流体とを混ぜ合わせた流体を温度制御対象Tに送り、温度制御対象Tを経由した流体を第1側流路13又は/及び第2側流路23に戻すように構成されている。
【0056】
本実施の形態における弁ユニット50は、弁ユニット側供給三方弁51と、弁ユニット側戻し三方弁52と、を備えている。弁ユニット側供給三方弁51は、第1受け入れポート51A、第2受け入れポート51B及び供給ポート51Cを含み、第1受け入れポート51Aは、第1温調流体循環装置10の第1側流路13の下流端部13Dと接続し、第2受け入れポート51Bは、第2温調流体循環装置20の第2側流路23の下流端部23D内と接続している。また、供給ポート51Cは、流路を介して温度制御対象Tと接続している。
【0057】
弁ユニット側供給三方弁51は比例式の三方弁であり、弁体を駆動するアクチュエータとしてのステッピングモータ51Mを有している。弁ユニット側供給三方弁51は、ステッピングモータ51Mによって図示しない弁体の位置を調節し、弁体の位置に応じて、第1受け入れポート51Aで受け入れた第1温調流体循環装置10からの流体と、第2受け入れポート51Bで受け入れた第2温調流体循環装置20からの流体との混合割合を変化させて、供給ポート51Cから流出させることが可能である。
【0058】
一方で、弁ユニット側戻し三方弁52は、戻しポート52A、第1分配ポート52B及び第2分配ポート52Cを含み、戻しポート52Aは、流路を介して温度制御対象Tと接続している。また、第1分配ポート52Bは、第1温調流体循環装置10の第1側流路13の上流端部13Uと接続し、第2分配ポート52Cは、第2温調流体循環装置20の第2側流路23の上流端部23Uと接続している。
【0059】
弁ユニット側戻し三方弁52も比例式の三方弁であり、弁体を駆動するアクチュエータとしてのステッピングモータ52Mを有している。弁ユニット側戻し三方弁52は、ステッピングモータ52Mによって図示しない弁体の位置を調節し、弁体の位置に応じて、戻しポート52Aで受け入れた流体を、所定の割合で第1温調流体循環装置10と第2温調流体循環装置20とに戻すことが可能である。
【0060】
ここで本実施の形態では、弁ユニット側供給三方弁51と弁ユニット側戻し三方弁52とが同じ形式で同一のサイズとされる。そして、弁ユニット側供給三方弁51と弁ユニット側戻し三方弁52は、コントローラ100によって開度を制御される。詳しくは、弁ユニット側供給三方弁51及び弁ユニット側戻し三方弁52は、互いに同じ開度になるようにコントローラ100によって制御されるようになっている。
【0061】
また、本実施の形態における温調流体循環システムS1は、弁ユニット側供給三方弁51内の流体の圧力を、具体的には供給ポート51Cから流出する流体の圧力を検出する弁ユニット側圧力センサ54と、温度制御対象Tの温度を検出する温度センサ55と、を備えている。そして、コントローラ100は、第1側圧力センサ19P、第2側圧力センサ29P及び弁ユニット側圧力センサ54から流体に関する情報を受信するとともに、温度センサ55から温度制御対象Tの温度に関する情報を受信するように構成されている。
【0062】
以下、本実施の形態におけるコントローラ100について説明すると、コントローラ100は、第1側圧力センサ19Pが検出する流体の圧力が指定された第1側目標圧力になるように第1側三方弁14の開度を制御するとともに、第2側圧力センサ29Pが検出する流体の圧力が指定された第2側目標圧力になるように第2側三方弁24の開度を制御する。ここで、上記各目標圧力は、ユーザによってコントローラ100に入力される。
【0063】
より詳しくは、本実施の形態におけるコントローラ100は、第1側圧力センサ19Pが検出した流体の圧力と第1側目標圧力との差分に基づいて、第1側圧力センサ19Pが検出する流体の圧力が指定された第1側目標圧力になるように第1側三方弁14の開度をフィードバック制御するとともに、第2側圧力センサ29Pが検出した流体の圧力と第2側目標圧力との差分に基づいて、第2側圧力センサ29Pが検出する流体の圧力が指定された第2側目標圧力になるように第2側三方弁24の開度をフィードバック制御するようになっている。さらに、コントローラ100は、弁ユニット側圧力センサ54からの流体の圧力の情報に基づいて、第1側三方弁14及び第2側三方弁24それぞれの開度をフィードフォワード制御するようになっている。
【0064】
上記フィードフォワード制御は、弁ユニット側圧力センサ54からの情報に基づき弁ユニット側供給三方弁51内の圧力の変化率の絶対値が閾値以上になったと判定された場合に実行され、このフィードフォワード制御では、第1側三方弁14及び第2側三方弁24の開度を上記変化率の絶対値の大きさに応じた操作量で変更する。
【0065】
詳しくは、弁ユニット側供給三方弁51内の圧力の変化率の絶対値が上昇側の閾値以上になった場合に、変化率の絶対値の大きさに比例した操作量で、第1側第1ポート14Aと第1側第3ポート14Cとの開度が大きくなるように第1側三方弁14の開度が変更され、且つ、第2側第1ポート24Aと第2側第3ポート24Cとの開度が大きくなるように第2側三方弁24の開度が変更される。
一方で、弁ユニット側供給三方弁51内の圧力の変化率の絶対値が下降側の閾値以上になった場合に、変化率の絶対値の大きさに比例した操作量で、第1側第1ポート14Aと第1側第3ポート14Cとの開度が小さくなるように第1側三方弁14の開度が変更され、且つ、第2側第1ポート24Aと第2側第3ポート24Cとの開度が小さくなるように第2側三方弁24の開度が変更される。
【0066】
上記圧力の変化率とは、単位時間あたり圧力の変化量を意味する。圧力の変化率は、単位時間ごとに圧力の移動平均値を算出し、最新の圧力の移動平均値と1回前に算出した圧力の移動平均値との差を、単位時間で割ることによって順次算出される。移動平均値を算出する際の時間範囲は、例えば変化率の算出タイミングから単位時間だけ遡った時間範囲でもよい。また、弁ユニット側圧力センサ54は、移動平均値を算出する際の時間範囲で少なくとも5点以上圧力を検出することが望ましい。
【0067】
図4は、温調流体循環システムS1の動作の一例を説明するフローチャートである。以下、図4を参照しつつ温調流体循環システムS1の動作の一例を説明する。
【0068】
ここで説明する動作は、一例として、温調流体循環システムS1の運転が開始され、温度制御対象Tの温度が目標温度に到達した後に開始される。この際、第1側三方弁14及び第2側三方弁24は予め定められた基準開度に制御され、各基準開度は全閉と全開との間の中間開度とされる。そして、温度制御対象Tの温度が目標温度に到達したことが、例えば温度センサ55により検出されると、まずステップ201において、コントローラ100は、弁ユニット側圧力センサ54からの情報に基づき弁ユニット側供給三方弁51内の圧力の変化率(以下、圧力変化率)の絶対値が閾値以上になったか否かを監視する。
【0069】
ステップS201で圧力変化率の絶対値が閾値以上になったことが判定された場合、コントローラ100は、ステップS202で第1側三方弁14及び第2側三方弁24の開度を圧力変化率の絶対値の大きさに応じた操作量で変更し、その後、ステップS203に処理を移行させる。一方で、ステップS201で圧力変化率の絶対値が閾値以上になったことが判定されない場合には、処理がステップS203に移行する。
【0070】
そしてステップS203では、コントローラ100が、第1側圧力センサ19Pが検出した流体の圧力と第1側目標圧力との差分に基づいて、第1側圧力センサ19Pが検出する流体の圧力が指定された第1側目標圧力になるように第1側三方弁14の開度をフィードバック制御するとともに、第2側圧力センサ29Pが検出した流体の圧力と第2側目標圧力との差分に基づいて、第2側圧力センサ29Pが検出する流体の圧力が指定された第2側目標圧力になるように第2側三方弁24の開度をフィードバック制御する。
【0071】
次いで、ステップS204では、コントローラ100が運転停止指令が生成されたか否かを検出し、検出された場合、温調流体循環システムS1の運転を停止させ、検出されない場合には、処理をステップS201に戻す。
【0072】
以上に説明した第2の実施の形態では、温度制御対象Tから流出して第1側流路13及び/又は第2側流路23に戻る流体の圧力を所望の値に維持できる。これにより、第1側流路13及び/又は第2側流路23における流体の循環状態の安定性を向上させることで、流体による温調精度を向上させることができる。
【0073】
とりわけ第1側圧力センサ19P及び第2側圧力センサ29Pに基づく目標圧力へのフィードバック制御と、弁ユニット50側での流体の圧力の変化率に基づくフィードフォワード制御とを組み合わせることで、目標圧力への制御の信頼性及び迅速性を向上できる。
【0074】
なお、第2の実施の形態では、フィードフォワード制御が、弁ユニット側圧力センサ54が検出した圧力の情報に基づいて行われるが、これに代えて、弁ユニット側供給三方弁51のステッピングモータ51Mの負荷の変化率の絶対値に基づいてフィードフォワード制御が行われてもよい。すなわち、コントローラ100は、弁体に駆動力を付与するアクチュエータであるステッピングモータ51Mの負荷に関する情報を受信するように構成され、受信した負荷に関する情報に基づきステッピングモータ51Mの負荷の変化率の絶対値が閾値以上になったと判定した場合に、第1側三方弁14の開度及び第2側三方弁24の開度を上記変化率の絶対値の大きさに応じた操作量で変更するフィードフォワード制御を行ってもよい。この場合、特別なセンサをコントローラ100の内部の処理でフィードフォワード制御を実施し得るため、簡素化及び処理速度の観点で有利になる。
【0075】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態にかかる温調流体循環システムS2を説明する。図5は、温調流体循環システムS2の概略図である。本実施の形態における第1、第2の実施の形態と同様の部分には、同一の符号が付されている。本実施の形態では、弁ユニット60の構成が、第2の実施の形態で説明した弁ユニット50の構成と異なっている。
【0076】
弁ユニット60は、第1温調流体循環装置10から温度制御対象Tへの流体の通流及び遮断を切り換える第1スプール弁61と、第2温調流体循環装置20から温度制御対象Tへの流体の通流及び遮断を切り換える第2スプール弁62と、を有している。第1スプール弁61は比例式スプール弁であり、第1温調流体循環装置10から温度制御対象Tへ通流する流体の流量を調整可能に、第1温調流体循環装置10から温度制御対象Tへの流体の通流及び遮断を切り換えるように構成されている。同様に第2スプール弁62も比例式スプール弁であり、第2温調流体循環装置20から温度制御対象Tへ通流する流体の流量を調整可能に、第2温調流体循環装置20から温度制御対象Tへの流体の通流及び遮断を切り換えるように構成されている。
【0077】
また、温度制御対象Tからは第1循環流路63と第2循環流路64とが分岐して延び、第1循環流路63は第1スプール弁61と接続し、第2循環流路64は第2スプール弁62と接続している。これにより、温度制御対象Tから流出した流体が、第1循環流路63を通して第1スプール弁61に流入可能になるとともに、第2循環流路64を通して第2スプール弁62に流入可能になっている。
【0078】
そして、第1スプール弁61は、第1循環流路63からの流体を第1温調流体循環装置10に戻すためのポートを有し、第1温調流体循環装置10から温度制御対象Tへ通流する流体の流量の調整に連動して、第1循環流路63から第1温調流体循環装置10へ戻る流体の流量を調整するように構成されている。同様に、第2スプール弁62は、第2循環流路64から流体を第2温調流体循環装置20に戻すためのポートを有し、第2温調流体循環装置20から温度制御対象Tへ通流する流体の流量の調整に連動して、第2循環流路64から第2温調流体循環装置20へ戻る流体の流量を調整するように構成されている。
【0079】
また、本実施の形態では、第1スプール弁61内の流体の圧力、詳しくは流体を温度制御対象Tへ流出させるポート内の流体の圧力を検出する第1スプール内圧力センサ65が設けられる。そして、コントローラ100は、第1スプール内圧力センサ65から第1スプール弁61内の流体の圧力に関する情報を受信するように構成されている。そして、コントローラ100は、受信した情報に基づき第1スプール弁61内の流体の圧力の変化率の絶対値が閾値以上になったと判定した場合に、第1側三方弁14の開度及び第2側三方弁24の開度を上記変化率の絶対値の大きさに応じた操作量で変更するフィードフォワード制御を行うようになっている。なお、フィードフォワード制御では、第2の実施の形態と同様の処理がなされる。
【0080】
以上に説明した第3の実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様の作用効果が得られる。なお、第3の実施の形態では、第1スプール内圧力センサ65が第1スプール弁61におけるポート内の流体の圧力を検出するが、第1スプール内圧力センサ65は、第1スプール弁61のポートから流出した後、温度制御対象Tに流入する前の流体の圧力を検出してもよい。また、圧力センサは、第2スプール弁62側に設けられてもよい。
【0081】
また本実施の形態では、フィードフォワード制御が、第1スプール内圧力センサ65が検出した圧力の情報に基づいて行われるが、これに代えて、第1スプール弁61を駆動するソレノイドの負荷の変化率に基づいてフィードフォワード制御が行われてもよい。すなわち、コントローラ100は、弁体に駆動力を付与するアクチュエータであるソレノイドの負荷に関する情報を受信するように構成され、受信した負荷に関する情報に基づきソレノイドの負荷の変化率の絶対値が閾値以上になったと判定した場合に、第1側三方弁14の開度及び第2側三方弁24の開度を上記変化率の絶対値の大きさに応じた操作量で変更するフィードフォワード制御を行ってもよい。
【0082】
以上、各実施の形態を説明したが、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、上述の各実施の形態には種々の変更を加えることができる。このような変更された形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
1…温調流体循環装置、2…温調部、3…流路、3U…上流端部、3D…下流端部、4…三方弁、4A…第1ポート、4B…第2ポート、4C…第3ポート、4M…ステッピングモータ、5…バイパス流路、6…タンク、7…ポンプ、8…液面維持機構、9P…圧力センサ、9T…温度センサ、S1,S2…温調流体循環システム、10…第1温調流体循環装置、12…第1側温調部、13…第1側流路、13U…上流端部、13D…下流端部、14…第1側三方弁、14A…第1側第1ポート、14B…第1側第2ポート、14C…第1側第3ポート、14M…第1側ステッピングモータ、15…第1側バイパス流路、16…第1側タンク、17…第1側ポンプ、19P…第1側圧力センサ、20…第2温調流体循環装置、22…第2側温調部、23…第2側流路、23U…上流端部、23D…下流端部、24…第2側三方弁、24A…第2側第1ポート、24B…第2側第2ポート、24C…第2側第3ポート、24M…第2側ステッピングモータ、25…第2側バイパス流路、26…第2側タンク、27…第2側ポンプ、29P…第2側圧力センサ、30…配管部材、50…弁ユニット、51…弁ユニット側供給三方弁、51A…第1受け入れポート、51B…第2受け入れポート、51C…供給ポート、51M…ステッピングモータ、52…弁ユニット側戻し三方弁、52A…戻しポート、52B…第1分配ポート、52C…第2分配ポート、52M…ステッピングモータ、54…弁ユニット側圧力センサ、55…温度センサ、60…弁ユニット、61…第1スプール弁、62…第2スプール弁、63…第1循環流路、64…第2循環流路、65…第1スプール内圧力センサ、100…コントローラ、T…温度制御対象
図1
図2
図3
図4
図5