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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073121
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】自動包装機及び包装材料切換方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 41/12 20060101AFI20220510BHJP
   B65H 19/18 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
B65B41/12 501
B65B41/12 501J
B65H19/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020182907
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】390031749
【氏名又は名称】株式会社トパック
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】正井 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】竹内 銀治郎
【テーマコード(参考)】
3F064
【Fターム(参考)】
3F064AA03
3F064BB02
3F064BB20
3F064BB22
3F064BB29
3F064DA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】継ぎ位置と切断位置を出来るだけ近くに設定できる新たな自動継ぎ機構を備えた自動包装機及び包装材料切換方法を提供する。
【解決手段】自動包装機(10)において連続供給される包装材料を第1のロール(22A)から供給される第1の包装材料(13A)から第2のロール(22B)から供給される第2の包装材料(13B)に切り換える包装材料切換方法は,第2の包装材料の第1の包装材料に対向する面に両面テープを貼り付ける工程1と,第1の包装材料の搬送方向に第1の包装材料と同じ速度で移動しながら,第1の位置において,第1の包装材料と第2の包装材料を挟持して両面テープにて第1の包装材料に第2の包装材料を貼り付け,包装材料搬送方向に関して第1の位置の上流側において,第1の包装材料の搬送経路(44A)に進出して第1の包装材料を切断する工程2と,挟持された第1の包装材料と第2の包装材料を解放する工程3とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動包装機(10)において連続供給される包装材料を第1のロール(22A)から供給されている第1の包装材料(13A)から別の第2のロール(22B)から供給される第2の包装材料(13B)に切り換える包装材料切換方法であって,
(a)前記第2の包装材料(13B)の前記第1の包装材料(13A)に対向する面に両面テープを貼り付ける工程1と,
(b)前記工程1の後に,前記第1の包装材料(13A)の搬送方向に前記第1の包装材料(13A)と同じ速度で移動しながら,
前記第1の包装材料(13A)と前記第2の包装材料(13B)を挟持することによって前記両面テープを介して前記第1の包装材料(13A)に前記第2の包装材料(13B)を貼り付け,
前記第1の包装材料(13A)及び前記第2の包装材料(13B)の搬送方向に関して,前記第1の包装材料(13A)に前記第2の包装材料(13B)を貼り付けた位置の上流側において,前記第1の包装材料(13A)の搬送経路(44A)に進出して前記第1の包装材料(13A)を切断し,
挟持された前記第1の包装材料(13A)と前記第2の包装材料(13B)を解放する工程2を含むことを特徴とする包装材料切換方法。
【請求項2】
第1のロール(22A)から供給される第1の包装材料(13A)に第2のロール(22B)から供給される第2の包装材料(13B)を連結することによって,供給される包装材料を前記第1の包装材料(13A)から前記第2の包装材料(13B)に切り替え,また,前記第2のロール(22B)から供給される前記第2の包装材料(13B)に前記第1のロール(22A)から供給される前記第1の包装材料(13A)を連結することによって,供給される包装材料を前記第2の包装材料(13B)から前記第1の包装材料(13A)に切り換える切換機構(27)を備えた自動包装機(10)であって,
前記切換機構(27)は,
前記第1のロール(22A)から供給される前記第1の包装材料(13A)の第1の搬送経路(44A)と前記第2のロール(22B)から供給される前記第2の包装材料(13B)の第2の搬送経路(44B)を挟むように,前記第1の搬送経路(44A)と前記第2の搬送経路(44B)にそれぞれ対向配置され,前記第1の包装材料(13A)を吸引して保持し得る第1の包装材料吸引部(46A)及び前記第2の包装材料(13B)を吸引して保持し得る第2の包装材料吸引部(46B)と,
前記第1の包装材料吸引部(46A)に負圧を供給して前記第1の包装材料吸引部(46A)に前記第1の包装材料(13A)を吸引して保持させる第1の吸引手段(55A)と,
前記第2の包装材料吸引部(46B)に負圧を供給して前記第2の包装材料吸引部(46B)に前記第2の包装材料(13B)を吸引して保持させる第2の吸引手段(55B)と,
前記第1の包装材料(13A)と前記第2の包装材料(13B)の搬送方向に関して前記第1の包装材料吸引部(46A)と前記第2の包装材料吸引部(46B)の上流側に,前記第1の搬送経路(44A)と前記第2の搬送経路(44B)にそれぞれ対向配置された第1の包装材切断刃(64A)及び第2の包装材料切断刃(64B)と,
前記第1の包装材料吸引部(46A)と前記第2の包装材料吸引部(46B)を,前記第1の包装材料吸引部(46A)と前記第2の包装材料吸引部(46B)が離間した後退位置と,前記第1の包装材料吸引部(46A)と前記第2の包装材料吸引部(46B)が当接する前進位置との間を移動させる吸引部移動手段(56A,56B)と,
前記第1の包装材切断刃(64A)を,前記第1の包装材切断刃(64A)が前記第1の搬送経路(44A)から後退した後退位置と,前記第1の包装材切断刃(64A)が前記第1の搬送経路(44A)を貫通する前進位置との間を移動させる第1の切断刃移動手段(70A)と,
前記第2の包装材切断刃(64B)を,前記第2の包装材切断刃(64B)が前記第2の搬送経路(44B)から後退した後退位置と,前記第2の包装材切断刃(64B)が前記第2の搬送経路(44B)を貫通した前進位置との間を移動させる第2の切断刃移動手段(70B)と,
前記第1の包装材料吸引部(46A),前記第2の包装材料吸引部(46B),前記第1の包装材料切断刃(64A),及び前記第2の包装材料切断刃(64B)を,前記第1の包装材料(13A)と前記第2の包装材料(13B)の前記搬送方向に,前記第1の包装材料(13A)と前記第2の包装材料(13B)の搬送速度と同じ速度で移動させる等速移動手段(40)と,
前記第1の吸引手段(55A),前記第2の吸引手段(55B),前記吸引部移動手段(56A,56B),前記第1の切断刃移動手段(70A),前記第2の切断刃移動手段(70B),及び前記等速移動手段(40)を制御する制御部,を備えたことを特徴とする自動包装機。
【請求項3】
前記第1の包装材料吸引部(46A)は,前記第1の包装材料(13A)を吸着して保持する第1の包装材料保持面(51A)を有し,
前記第1の包装材料保持面(51A)は,前記第1の包装材料吸引部(46A)に接続された吸引孔(52A)を有し,
前記第2の包装材料吸引部(46B)は,前記第2の包装材料(13B)を吸着して保持する第2の包装材料保持面(51B)を有し,
前記第1の包装材料保持面(51B)は,前記第1の包装材料吸引部(46B)に接続された吸引孔(52B)を有する,ことを特徴とする請求項2に記載の自動包装機。
【請求項4】
前記第1の包装材料吸引部(46A)は,前記第1の包装材料(13A)の幅方向に平行な軸(53A)を中心に回転して,前記第1の包装材料保持面(51A)が前記第1の搬送経路(44A)に対向する対向位置と,前記第1の包装材料保持面(51A)が前記第1の搬送経路(44A)に対向しない非対向位置との間を移動でき,
前記第2の包装材料吸引部(46B)は,前記第2の包装材料(13B)の幅方向に平行な軸(53B)を中心に回転して,前記第2の包装材料保持面(51B)が前記第2の搬送経路(44B)に対向する対向位置と,前記第2の包装材料保持面(51B)が前記第2の搬送経路(44B)に対向しない非対向位置との間を移動できるように構成されている,ことを特徴とする請求項2に記載の自動包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ロールから送り出される包装材料を加工して,粉末,粒状物,液体などの種々の被包装材料を連続的に自動包装する自動包装機,特に,包装材料の供給を一つのロールから別のロールに切り換えるとき,前記一つのロールから供給されている包装材料に前記別のロールから供給される包装材料を自動的に連結する(継ぐ)ための方法と機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ロールから連続的に送り出される包装材料を用いて被包装材料を連続的に自動包装する自動包装機として,現在使用中の包装材料を供給しているロールの包装材料が無くなる前に,予め用意しておいた別の包装材料の先端を使用中の包装材料に継ぐことで,自動包装機の運転を長期間停止することなく包装作業を継続できるようにした自動継ぎ機構が,特許文献1,2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-225810号公報
【特許文献2】特開2006-21888号公報
【0004】
特許文献1の自動継ぎ機構は,現在供給されている包装材料に,予備の新しい包装材料の先端を両面テープで貼り付けるだけのものであって,包装材料が継がれた後は,現在供給されている包装材料と新しい包装材料と一緒に送り出される。そのため,継がれた後に2重になっている所及び包装材料の終端は,紙管に貼り付けされているが,その紙管の一部を剥がした所がフィルムガイドに詰まり,結果,自動的に連結する(継ぐ)作業が失敗に終わるおそれがあった。
【0005】
これに対し,特許文献2の自動継ぎ機構は,現在供給されている包装材料の切断手段を備えているため,特許文献1のような欠点はない。ただし,特許文献2に記載された実施形態の自動継ぎ機構では,包装材料の接着位置と包装材料の切断位置が離れているため,継ぎ位置の後に現在供給されている包装材料が約数十センチ続き,その2重に重なっている部分がフィルムガイド14に詰まって,接合部が剥れるおそれがあった。また,現在供給されている包装材料の終端が自由になった状態で継がれることもあるため,現在供給されている包装材料に対して新たな包装材料が幅方向にずれる(オフセットする)おそれがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで,本発明は,継ぎ位置と切断位置を出来るだけ近くに設定でき,また,継ぎ目が幅方向にもずれることのない,新たな自動継ぎ機構を備えた自動包装機及び包装材料切換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る包装材料切換方法は,
自動包装機(10)において連続供給される包装材料を第1のロール(22A)から供給されている第1の包装材料(13A)から別の第2のロール(22B)から供給される第2の包装材料(13B)に切り換える包装材料切換方法であって,
(a)前記第2の包装材料(13B)の前記第1の包装材料(13A)に対向する面に両面テープを貼り付ける工程1と,
(b)前記工程1の後に,前記第1の包装材料(13A)の搬送方向に前記第1の包装材料(13A)と同じ速度で移動しながら,
前記第1の包装材料(13A)と前記第2の包装材料(13B)を挟持することによって前記両面テープを介して前記第1の包装材料(13A)に前記第2の包装材料(13B)を貼り付け,
前記第1の包装材料(13A)及び前記第2の包装材料(13B)の搬送方向に関して,前記第1の包装材料(13A)に前記第2の包装材料(13B)を貼り付けた位置の上流側において,前記第1の包装材料(13A)の搬送経路(44A)に進出して前記第1の包装材料(13A)を切断し,
挟持された前記第1の包装材料(13A)と前記第2の包装材料(13B)を解放する,工程2を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば,包装材料の継ぎ位置の後ろに包装材料が2重になっている箇所を短くできる。また,継がれた包装材料が幅方向にずれることもない。さらに,自動包装機を停止することなく連続駆動できる。また,包装材料の継ぎ位置と切断位置を出来るだけ近くに設定できる。そのため,包装材料の不良部分を出来るだけ短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る自動包装機の正面図。
図2図1に示す自動包装機における包装材料の搬送経路を示す平面図。
図3図1に示す自動的に包装材料を連結する機構における昇降部,包装材料接合部,及び包装材料切断部の正面図。
図4図3に示す昇降部,包装材料接合部,及び包装材料切断部の構成を示す側面図。
図5図3に示す昇降部,及び包装材料接合部の構成を示す平面図。
図6図3に示す昇降部,及び包装材料切断部の構成を示す平面図。
図7】包装材料の継ぎ動作を説明する正面図。
図8】包装材料の継ぎ動作を説明する正面図。
図9】包装材料の継ぎ動作を説明する正面図。
図10】包装材料の継ぎ動作を説明する正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下,添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお,以下の説明では,発明の理解を容易にするために,図面に表示された装置構成部品等の位置関係又は配置状態等を説明する際に,特定の方向を示す用語(「上」,「下」,「右」,「左」及びそれらを含む他の用語)を使用するが,それらの使用は発明の理解を容易にするためのものであって,本発明の技術的範囲はそれらの用語の意味によって特定の形態に限定的に解釈されるものではない。
【0011】
〔1〕自動包装機の概略構成と概略動作:
以下に説明する実施形態の自動包装機は,連続的に供給される熱融着性シートからなる包装材料を用いて,所定量の粉剤〔例えば,食用調味料(砂糖など),薬剤(粉剤,顆粒剤など)〕を包装した袋を連続的に製造する装置である。ただし,本発明は実施形態の自動包装機に限定されるものでなく,他の包装材料(例えば,液体)を包装する自動包装機にも適用可能である。
【0012】
図1図2を参照して自動包装機の構成をその動作と共に概略説明する。図示する自動包装機10によれば,目的の包装袋を形成するための材料となる包装材料は,筐体11の前面(図1に表れる部分)に設けた包装材料供給部12から連続的に供給される。包装材料は,熱融着性の合成樹脂フィルム,紙の内面に熱融着フィルムを貼り合わせた複合フィルム,紙に熱融着性の繊維を混抄した複合フィルムなどが用いられる。包装材料供給部12から供給された包装材料13(13A,13B)は,上方に搬送された後,包装材料13の主面(表面及び裏面)をほぼ水平に維持した状態で水平方向に搬送される。水平に送り出される包装材料13(13A,13B)の上面は,その長手方向中央部を,シート搬送方向に向かって次第に折り曲げるガイド部14に接触し,該中央部の両側にある部分を上方に折り上げた状態で,折り合わされる。折り合わされた連続包装材料13は,筐体11の内部に収容されているモータ15の駆動に基づいて回転する円形テーブル16の動きに同期して該テーブル16の周方向に搬送されながら,縦方向シール部17によって所定の間隔ごとにシールされ,これにより上部を開放した袋部(包装材料充填部)18が連続的に形成される。隣接する縦方向シールの間の袋部18には,その上部開口端から,粉剤供給シュート19が挿入され,このシュート19を通じて所定量の粉剤が投入される。袋部18に粉剤が投入された包装材料は,上端シール部20に供給され,袋部18の上端開口部が熱封止される。封止された袋部18は,必要に応じて,縦方向シール部にミシン目等の切断部が設けられ,または必要に応じて縦方向シール部で切断されて個々の包装袋に分離される。
【0013】
〔2〕包装材料供給部の構成:
包装材料供給部12は,筐体11の前面に配置されており,図上左側に配置された第1のロール支軸21Aと,図上右側に配置された第2のロール支軸21Bを有し,第1の包装材料13Aを巻回したロール22A,22Bがこれらの支軸21A,21Bに回転可能に支持される。ロール22Aから供給される包装材料13A又はロール22Bから供給される包装材料13Bは,筐体11の前面に設けた複数のローラ23A,23B,24,25,26を経由してガイド部14に案内される。なお,ロール22A,22Bは,中央に中空円筒体(例えば,紙管)を有し,この中空円筒体の周囲にテープ等で貼り付けて包装材料13A,13Bがそれぞれ巻回されている。
【0014】
〔3〕継ぎ機構(切換機構)の構成:
包装材料供給部12はまた継ぎ機構(切換機構)27を有する。継ぎ機構27は,第1のロール22A(又は第2のロール22B)から第1の包装材料13A(又は第2の包装材料13B)を供給している状態で,該第1のロール22A(又は第2のロール22B)の包装材料残量が所定の必要残量を超えて減少した場合,現在供給されている第1の包装材料13A(又は第2の包装材料13B)に第2の包装材料13B(又は第1の包装材料13A)を継ぐものである。
【0015】
(3.1)昇降部:
図4,5に示すように,継ぎ機構27は昇降部28を有する。昇降部28は,筐体11の前壁31に沿って配置された昇降プレート32を有する。昇降プレート32の背面(前壁31に対向する面)には,上下方向(z,z’方向)に平行に伸びる2つのリニアガイド33が固定されている。筐体前壁31には,上下方向(z,z’方向)に平行に伸びる2つのスライドレール34が固定されており,33がスライドレール34に昇降可能に係合されている。
【0016】
昇降プレート32の背面にはまた,2つのリニアガイド33の間に,上下方向(z,z’方向)に伸びるラック35が固定されている。ラック35にはピニオン歯車36が噛み合っている。ピニオン歯車36は,筐体前壁31を前後に貫通する回転軸37の前端に固定されている。回転軸37の後端には,かさ歯車38が固定されている。かさ歯車38は別のかさ歯車39にかみ合っており,この別のかさ歯車39がモータ40(等速移動手段)に連結されている。モータ40は筐体前壁31に固定されている。したがって,モータ40の回転(正転と逆転)が,かさ歯車38,39,回転軸37,ピニオン歯車36,及びラック35に伝達されて,昇降プレート32が上下方向に移動する。
【0017】
昇降プレート32には,昇降プレート32の前面下部に,昇降プレート32から前方(y方向)に突出する支持台41(図4参照)が固定されている。昇降プレート32にはまた,支持台41の上方に配置されて昇降プレート32から前方(y方向)に突出する包装材料接合部42と,包装材料接合部42と支持台41の間に配置されて昇降プレート32から前方(y方向)に突出する包装材料切断部43が固定されている。
【0018】
(3.2)包装材料接合部:
図1に示すように,実施形態の自動包装機10では,第1のロール22Aから送り出された第1の包装材料13Aがローラ23Aからローラ24に進む第1の搬送経路44Aと第2のロール22Bから送り出された第2の包装材料13Bがローラ23Bからローラ24に進む第2の搬送経路44Bが,中央線45を挟んで対称となるように,ローラ23A,23B,24の位置が決められている。以下の説明において,適宜,中央線45の左右に位置する領域をそれぞれ「左領域」,「右領域」という。
【0019】
図5に示すように,包装材料接合部42は,中央線45(図1参照)を挟んで対向する一対の吸着圧接部46(第1の吸着圧接部46Aと第2の吸着圧接部46B)を有する。吸着圧接部46A,46Bは,中央線45を挟んでほぼ対称な構造と大きさを有する。具体的に,各吸着圧接部46A,46Bは,水平方向(x,x’方向)に伸びるリニアガイド47A,47Bを有する。リニアガイド47A,47Bに対応して,昇降プレート32の前面には,水平方向に伸びるスライドレール48が固定されている。リニアガイド47A,47Bはスライドレール48に係合されており,吸着圧接部46A,46Bが水平方向に移動できるようになっている。
【0020】
リニアガイド47A,47Bには,該リニアガイド47A,47Bから前方(y方向)に突出する細長い支持部49A,49Bと,該支持部49A,49Bに沿って配置された細長い包装材料保持部50A,50Bが支持されている。包装材料保持部50A,50Bは,中央線45(図1,3参照)を挟んで対向するように,左領域の包装材料保持部50Aはそれを支持する支持部49Aの右側に配置され,右領域の包装材料保持部50Bはそれを支持する支持部49Bの左側に配置されている。
【0021】
包装材料保持部50A,50Bは,前後方向(y,y’方向)に伸びる平坦な外側面(以下,「包装材料保持面」という。)51A,51Bを有する。包装材料保持面51A,51Bには,前後方向(y,y’方向)に一定の間隔をあけて吸引孔52A,52Bが形成されている。包装材料保持部50A,50Bの内部には,包装材料保持部50A,50Bの中心軸53A,53Bに沿って前後方向(y,y’方向)に伸びる細長い中空マニホールド54A,54Bが形成されており,中空マニホールド54A,54Bに吸引孔52A,52Bの末端が接続されている。中空マニホールド54A,54Bの一端(前端部)は閉鎖され,中空マニホールド54A,54Bの他端(後端部)は開口されており,開口された中空マニホールド54A,54Bの後端部に吸引源(吸引手段)55A,55B(例えば,真空ポンプ)が接続されている。
【0022】
包装材料保持部50A,50Bは,中心軸53A,53Bを中心に所定角度範囲を回転可能に支持部49A,49Bに支持されており,包装材料保持面51A,51Bが中央線45に対向する対向位置と,包装材料保持面51A,51Bが上方に向けられた非対向位置(準備位置)との間を往復移動できるようになっている(図7,8参照)。
【0023】
吸着圧接部(包装材料吸引部)46A,46Bの支持部49A,49Bには,エアーシリンダ(吸引部移動手段)56A,56Bが連結されている。エアーシリンダ56A,56Bは,本体57A,57Bと,本体57A,57Bから進出後退するピストンロッド58A,58Bを備えており,支持部49A,49Bを挟んで中央線45の反対側に配置され,ピストンロッド58A,58Bを水平方向(x,x’方向)に向けた状態で,支持台41(図4参照)から上方に伸びる柱59A,59Bに本体57A,57Bが固定され,ピストンロッド58A,58Bの先端が支持部49A,49Bに連結されている。したがって,各吸着圧接部46A,46Bは,エアーシリンダ56A,56Bの駆動に基づいて,中央線45から後退して包装材料保持面51A,51Bが離間した後退位置(図5参照)と,中央線45に接近して包装材料保持面51A,51Bの間に包装材料13A,13Bを挟んで圧接する前進位置(図3参照)との間を往復できるようになっている。
【0024】
(3.2)包装材料切断部:
包装材料切断部43は,中央線45を挟んで対向する一対の切断刃部(第1の切断刃部60Aと第2の切断刃部60B)を有する。
【0025】
切断刃部60A,60Bは,中央線45を挟んでほぼ対称な構造と大きさを有する。具体的に,各切断刃部60A,60Bは,水平方向(x,x’方向)に伸びるリニアガイド61A,61Bを有する。昇降プレート32の前面には,水平方向に伸びるスライドレール62が固定されている。リニアガイド61A,61Bはスライドレール62に係合されており,切断刃部60A,60Bが水平方向に移動できるようになっている。
【0026】
リニアガイド61A,61Bには,該リニアガイド61A,61Bから前方(y方向)に突出する細長い支持部63A,63Bを有する。支持部63A,63Bには,中央線45に対向する面に,前後方向(y,y’方向)に沿って伸びる板状の刃64A,64Bが,刃先65A,65Bを中央線45に向けた状態で支持されている。刃64A,64Bは,三角形の小さな刃を連続的に設けた刃でもよいし,直線状の刃先を有する刃であってもよい。
【0027】
安全上の観点から,刃64A,64Bの刃先65A,65Bは保護板66A,66Bによって保護されている。具体的に,保護板66A,66Bには,刃先65A,65Bが貫通可能な細長い開口67A,67Bが形成されている。また,保護板66A,66Bの両端部分と,支持部63A,63Bとの間にはばね68A,68Bが配置されており,通常の状態で(ばねが自然状態にあるとき),保護板66A,66Bの開口67A,67B内に刃先65A,65Bが収まる,又は保護板66A,66Bの開口67A,67Bの後方に刃先65A,65Bが位置し(図3の右領域に示す後退位置),ばね68A,68Bの力に抗して保護板66A,66Bが63A,63Bに向けて移動されると,保護板66A,66Bの開口67A,67Bから刃先65A,65Bが突出して搬送経路44A,44Bを貫通するようになっている(図3の左領域に示す前進位置)。
【0028】
切断刃部60A,60Bの支持部63A,63Bには,エアーシリンダ(切断刃移動手段)70A,70Bが連結されている。エアーシリンダ70A,70Bは,本体71A,71Bと,本体71A,71Bから進退するピストンロッド72A,72Bを備えており,支持部63A,63Bを挟んで中央線45の反対側に配置され,ピストンロッド72A,72Bを水平方向(x,x’方向)に向けた状態で,支持台63A,63Bから上方に伸びる柱59A,59Bに本体71A,71Bが固定され,ピストンロッド72A,72Bの先端が支持部63A,63Bに連結されている。したがって,切断刃部60A,60Bは,エアーシリンダ70A,70Bの駆動に基づいて,中央線45から後退した後退位置と中央線45に向かって前進した前進位置との間を移動するようにしてある。
【0029】
左右の切断刃部60A,60Bの中間には,上下に間隔をあけて配置された一対の当接台73,74が昇降プレート32に固定されており,当接台73,74の間に形成された開口75が保護板66A,66Bの開口67A,67Bに対向している。したがって,エアーシリンダ70A,70Bによって支持部63A,63Bを後退位置から前進位置に移動すると,まず保護板66A,66Bが当接台73,74に当たり,次に刃先65A,65Bが保護板66A,66Bの開口67A,67Bを超えて当接板73,74の開口75に進入する。これにより,例えば,図3に示すように,第1の搬送経路44Aに沿って第1の包装材料13Aが送られている状態でエアーシリンダ70Aを作動すると,保護板66Aの開口67Aを貫通して当接台73,74の開口75に進入する刃先65Aによって,第1包装材料13Aが切断される。
【0030】
〔4〕継ぎ機構20の動作:
上述の継ぎ機構27を用いた包装材料の切り換えについて,第1のロール22Aから第1の包装材料13Aを供給する状態から第2のロール22Bから第2の包装材料13Bを供給する状態に切り替える動作,すなわち,第1の包装材料13Aに第2の包装材料13Bを継ぐ動作を説明する。なお,上述したモータ15,40,エアーシリンダ56A,56B,70A,70Bは,制御部(図示せず)に接続されており,制御部から出力される信号に基づいて動作される。
【0031】
(4.1:準備工程)
まず,オペレータは,第2の包装材料接合部42Bの吸着圧接部46Bを,中心軸53B(図5参照)を中心に回転して,図7に示すように包装材料保持面51Bを上方に向けて非対向位置(準備位置)に設定する。次に,オペレータは,第2のロール22Bから引き出された第2の包装材料13Bの先端面,特に,第1の包装材料13Aに対向する面に両面テープ(図示せず)を貼り付ける。次に,オペレータは,第2の包装材料13Bにおいて両面テープが貼り付けられた面と反対側の面を,上方に向けられた包装材料保持面51Bに載せる。包装材料保持面51Bに載せられた包装材料13Bは,吸引源55Bからマニホールド54B,吸引孔52Bに伝えられる負圧によって,包装材料保持面51Bに安定して保持される。最後に,オペレータは,第2の吸着圧接部46Bを逆方向に回転し,図8に示すように包装材料保持面51Bを第1の包装材料保持面51Aに対向させる。
【0032】
上述の説明では省略したが,包装材料保持面51Bには,包装材料13Bの幅に合わせた指標(例えば,突起,マーク)を設けておくことで,包装材料13Aの縁に第2の包装材料13Bの縁を正確に合わせることができる。
【0033】
(4.2:自動継ぎ処理)
以後の動作は,現在供給されている第1の包装材料13Aの供給が終了直前に(ただし,第1の包装材料13Aの終端は紙管に貼り付いている状態で),第1の包装材料13Aの終端直前を検知センサ(図示せず)が検知すると,制御部からの指示に基づいて自動的に行われる。
【0034】
まず,制御部は,モータ40を駆動して昇降プレート32を一定速度で上昇する(工程1)。昇降プレート32の上昇速度は,第1の包装材料13Aの搬送速度と同一又はほぼ同一である。
【0035】
次に,制御部はほぼ同時に又は少し早く包装材料接合部42のエアーシリンダ56A,56Bを駆動し,図9に示すように左右の吸着圧接部46A,46Bを互いに近づけて当接させる(工程2)。これにより,第2の包装材料13Bに貼り付けた両面テープが第1の包装材料13Aに接着し,第2の包装材料13Bの先端が第1の包装材料13Bに貼り付けられる。
【0036】
次に,制御部は,エアーシリンダ56A,56Bの駆動と同時に又はそれから僅かな時間遅れをもって,包装材料切断部43のエアーシリンダ70Aを駆動し,図3に示すように切断刃64Aを後退位置から前進位置に移動する(工程3)。これにより,切断刃64Aによって第1の包装材料13Aが切断される。
【0037】
最後に,制御部は,第1の包装材料切断部43のエアーシリンダ70Aを逆方向に駆動して,切断刃64Aを後退位置に移動する(工程4)。その後包装材料接合部42のエアーシリンダ56A,56Bを逆方向に駆動して,左右の吸着圧接部46A,46Bをそれぞれの後退位置に移動して包装材料13A,13Bを解放する。
【0038】
以上の包装材料接合部42における吸着圧接部46A,46Bの接近動作及び後退動作,包装材料切断部43における切断刃64Aの切断動作,及び包装材料13A,13Bの解放動作は,昇降プレート32の上昇中に行われる。したがって,切断される第1の包装材料13Aに無理なストレスがかかることがない。
【0039】
これにより,第1の包装材料13Aの供給が終了し,第2の包装材料13Bの供給が開始される。すなわち,供給される包装材料が第1の包装材料13Aから第2の包装材料13Bに切り換わる。また,継がれた包装材料13Bは,モータ15を停止することなく連続的に供給される。
【0040】
以上,第1の包装材料13Aに第2の包装材料13Bを継ぐ動作を説明したが,第2の包装材料13Bに第1の包装材料13Aを継ぐ動作も同様に行われる。
【0041】
このように,実施形態に係る自動包装機10によれば,図面から明らかなように,包装材料接合部31と包装材料切断部32を限りなく近づけることができる。その結果,第1の包装材料13Aと第2の包装材料13との接合位置から第1の包装材料13Aの終端部までの距離が短くなる。図面に表された自動包装機の実機では,接合位置から終端部までの距離を約3cm未満に抑えることができた。
【0042】
また,実施形態に係る自動包装機10によれば,包装材13Aが紙管に貼り付いた状態,即ち包装材料に張力がかかった状態で包装材料を接合する為,幅方向のずれが無い。又,包装材料の継ぎ動作に関連した吸着圧接部46A,46Bの前進動作及び後退動作と包装材料の切断動作が,包装材料との間で相対的な速度差の無い環境で行われるため,包装材料に無理なストレスが作用することがない。
【符号の説明】
【0043】
10:自動包装機
11:筐体
13:包装材料
15:モータ
22A,22B:ロール
27:継ぎ機構
28:昇降部
42:包装材料接合部
43:包装材料切断部
44A,44B:搬送経路
46A,46B:吸着圧接部(包装材料吸引部)
50A,50B:包装材料保持部
51A,51B:包装材料保持面(吸着面)
52A,52B:吸引孔
55A,55B:吸引源(吸引手段)
56A,56B:エアーシリンダ(吸引部移動手段)
60A,60B:切断刃部
64A,64B:刃
70A,70B:エアーシリンダ(切断刃移動手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10