(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073143
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】コンピュータプログラム、情報処理装置、ユーザ端末装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20220510BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020182940
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】399085233
【氏名又は名称】株式会社船井総研ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】菊池 功
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC04
(57)【要約】
【課題】製品の生産工程における担当者の作業負担を軽減することができるコンピュータプログラム、情報処理装置、ユーザ端末装置及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】コンピュータプログラムは、コンピュータに、対象製品の受注に関する受注関連情報を取得し、取得した受注関連情報に基づいて、過去に受注した製品の中から対象製品に関連する関連製品を特定し、特定した関連製品に基づいて、過去に受注した製品と製品の生産工程に関する生産工程情報とを対応付けた生産工程データベースを参照して、関連製品に関する生産工程情報を出力する、処理を実行させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
対象製品の受注に関する受注関連情報を取得し、
取得した受注関連情報に基づいて、過去に受注した製品の中から前記対象製品に関連する関連製品を特定し、
特定した関連製品に基づいて、過去に受注した製品と前記製品の生産工程に関する生産工程情報とを対応付けた生産工程データベースを参照して、前記関連製品に関する生産工程情報を出力する、
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項2】
コンピュータに、
前記関連製品の情報をユーザ端末装置へ出力する、
処理を実行させる請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
コンピュータに、
ユーザ端末装置から前記関連製品の情報及び複数の生産工程情報の中から所要の生産工程情報を特定する特定情報を取得し、
前記関連製品に関する生産工程情報であって、前記特定情報で特定される生産工程情報を前記ユーザ端末装置へ出力する、
処理を実行させる請求項1又は請求項2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記受注関連情報は、
前記対象製品に関する図面情報、文書情報及び音声情報の少なくとも1つを含む、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記生産工程情報は、
構想設計、部品設計、部品加工、業務指示、工程指示、NC加工プログラム、生産計画、工程管理、工数管理、原価管理及び検査結果の少なくとも1つに関する情報を含む、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
コンピュータに、
特定した関連製品の情報を、生産工程内のユーザ端末装置に配信する、
処理を実行させる請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
対象製品の受注に関する受注関連情報を取得する取得部と、
取得した受注関連情報に基づいて、過去に受注した製品の中から前記対象製品に関連する関連製品を特定する特定部と、
特定した関連製品に基づいて、過去に受注した製品と前記製品の生産工程に関する生産工程情報とを対応付けた生産工程データベースを参照して、前記関連製品に関する生産工程情報を出力する出力部と
を備える情報処理装置。
【請求項8】
対象製品に関連する関連製品の情報及び複数の生産工程情報の中から所要の生産工程情報を特定する特定情報を情報処理装置へ出力する出力部と、
前記関連製品に関する生産工程情報であって前記特定情報で特定される生産工程情報を前記情報処理装置から取得する取得部と
を備えるユーザ端末装置。
【請求項9】
対象製品の受注に関する受注関連情報を取得し、
取得した受注関連情報に基づいて、過去に受注した製品の中から前記対象製品に関連する関連製品を特定し、
特定した関連製品に基づいて、過去に受注した製品と前記製品の生産工程に関する生産工程情報とを対応付けた生産工程データベースを参照して、前記関連製品に関する生産工程情報を出力する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータプログラム、情報処理装置、ユーザ端末装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
受注した製品を製造して顧客に納品するまでの間には、受注した製品の見積、設計、製造、検査、管理など様々な生産工程を経る必要があり、各生産工程においては、受注した製品に関する、生産工程特有の生産工程情報を作成する必要がある。
【0003】
特許文献1には、製品の設計図面を作成する際に、設計図面に含まれる部材の物理量データ及び加工種別データに基づいて製品の見積コストを算出する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の装置では、製品の見積を作成することができるが、製品が完成するまでの各生産工程において必要となる生産工程情報については考慮されていない。このため、各生産工程における担当者は、製品の受注の都度、製品に関する生産工程情報を作成する必要があり、作業に係る負担が大きいという問題がある。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、製品の生産工程における担当者の作業負担を軽減することができるコンピュータプログラム、情報処理装置、ユーザ端末装置及び情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、対象製品の受注に関する受注関連情報を取得し、取得した受注関連情報に基づいて、過去に受注した製品の中から前記対象製品に関連する関連製品を特定し、特定した関連製品に基づいて、過去に受注した製品と前記製品の生産工程に関する生産工程情報とを対応付けた生産工程データベースを参照して、前記関連製品に関する生産工程情報を出力する、処理を実行させる。
【0008】
本発明の実施の形態に係る情報処理装置は、対象製品の受注に関する受注関連情報を取得する取得部と、取得した受注関連情報に基づいて、過去に受注した製品の中から前記対象製品に関連する関連製品を特定する特定部と、特定した関連製品に基づいて、過去に受注した製品と前記製品の生産工程に関する生産工程情報とを対応付けた生産工程データベースを参照して、前記関連製品に関する生産工程情報を出力する出力部とを備える。
【0009】
本発明の実施の形態に係るユーザ端末装置は、対象製品に関連する関連製品の情報及び複数の生産工程情報の中から所要の生産工程情報を特定する特定情報を情報処理装置へ出力する出力部と、前記関連製品に関する生産工程情報であって前記特定情報で特定される生産工程情報を前記情報処理装置から取得する取得部とを備える。
【0010】
本発明の実施の形態に係る情報処理方法は、対象製品の受注に関する受注関連情報を取得し、取得した受注関連情報に基づいて、過去に受注した製品の中から前記対象製品に関連する関連製品を特定し、特定した関連製品に基づいて、過去に受注した製品と前記製品の生産工程に関する生産工程情報とを対応付けた生産工程データベースを参照して、前記関連製品に関する生産工程情報を出力する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、製品の生産工程における担当者の作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施の形態の情報処理システムの構成の一例を示す模式図である。
【
図2】ユーザ端末装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】サーバの構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】図面情報に基づく関連製品の特定方法の一例を示す模式図である。
【
図6】文書情報に基づく関連製品の特定方法の一例を示す模式図である。
【
図7】情報処理システムによる情報の流れの第1例を示す模式図である。
【
図8】情報処理システムによる情報の流れの第2例を示す模式図である。
【
図10】対象製品に関連する関連製品の見積情報を検索する場合の検索画面の一例を示す模式図である。
【
図11】見積情報の検索結果の一例を示す模式図である。
【
図13】情報処理システムによる情報の流れの第3例を示す模式図である。
【
図14】関連製品の生産工程情報を検索する場合の検索画面の一例を示す模式図である。
【
図16】生産工程情報画面の一例を示す模式図である。
【
図18】情報処理システムによる情報の流れの第4例を示す模式図である。
【
図19】情報処理システムによる情報の流れの第5例を示す模式図である。
【
図20】検索結果画面の他の例を示す模式図である。
【
図21】生産工程情報選択画面の一例を示す模式図である。
【
図22】情報処理システムによる情報の流れの第6例を示す模式図である。
【
図23】生産工程情報検索のための画面の一例を示す模式図である。
【
図24】情報処理システムによる情報の流れの第7例を示す模式図である。
【
図25】サーバ50の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施の形態の情報処理システムの構成の一例を示す模式図である。情報処理システムは、情報処理装置としてのサーバ50を備える。サーバ50には、製品DB71、生産工程DB72、見積DB73、及び営業DB74が接続されている。サーバ50は、社内LANやインターネットなどの通信ネットワーク1に接続されている。通信ネットワーク1には、複数のユーザ端末装置10が接続されている。ユーザ端末装置10は、例えば、営業部門、設計部門、製造部門、検査部門、及び管理部門の各担当者が使用することができる。ユーザ端末装置10は、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン等で構成することができる。設計部門、製造部門、検査部門、及び管理部門は、一例であるが、製品の設計、製造、試験、管理などの生産工程に係る部署であれば、どのような名称でもよい。また、図示していないが、製品の集荷、保守などの工程を担当する部署を含めてもよい。各部門のユーザ端末装置10は、通信ネットワーク1を介してサーバ50との間で情報の授受を行うことができる。
【0014】
図2はユーザ端末装置10の構成の一例を示すブロック図である。ユーザ端末装置10は、装置全体を制御する制御部11、通信部12、記憶部13、表示パネル14、及び操作部15を備える。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などで構成することができる。
【0015】
通信部12は、通信ネットワーク1を介して、サーバ50との間で所要の情報の送受信を行うことができる。
【0016】
記憶部13は、半導体メモリ又はハードディスク等で構成され、所要の情報を記憶することができる。なお、記憶部13に代えて、クラウドサーバ内の記憶装置を用いてもよい。
【0017】
表示パネル14は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイで構成することができる
【0018】
操作部15は、例えば、キーボード、マウス等で構成することができる。また、操作部15は、タッチパネル等で構成され、表示パネル14上で文字の入力操作、表示パネル14に表示されたアイコン、画像又は文字等に対する操作を行うようにしてもよい。
【0019】
図3はサーバ50の構成の一例を示すブロック図である。サーバ50は、サーバ50全体を制御する制御部51、取得部52、インタフェース部53、記憶部54、特定部55、及び出力部56を備える。特定部55は、抽出部551、及び算出部552を備える。制御部51は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などで構成することができる。記憶部54は、半導体メモリ又はハードディスク等で構成することができ、サーバ50の各部での処理結果などの所要の情報を記憶することができる。なお、サーバ50は、複数のサーバによって機能を分散させてもよい。また、サーバ50は、クラウドサーバでもよい。
【0020】
インタフェース部53は、製品DB71、生産工程DB72、見積DB73、及び営業DB74との間のインタフェース機能を提供する。インタフェース部53は、制御部51の制御の下、製品DB71、生産工程DB72、見積DB73、及び営業DB74にアクセスし、所要の情報の読み出し、書き込みを行うことができる。
【0021】
取得部52は、通信ネットワーク1を介して、ユーザ端末装置10から所要の情報を取得することができる。取得部52は、ユーザ端末装置10から、対象製品に関する受注関連情報を取得することができる。受注関連情報は、対象製品の営業情報、対象製品(例えば、受注した製品)を特定するとともに対象製品を製造して顧客に納品するのに必要な情報であり、顧客から直接又は間接的に取得した情報とすることができる。営業情報には、受注に結び付いた営業情報だけでなく、受注に結び付かなかった営業情報も含む。受注関連情報は、例えば、顧客のニーズ、対象製品に関する図面情報、対象製品に関する文書情報、対象製品に関する音声情報、対象製品に関する画像情報、動画情報又は数値情報などを含む。顧客のニーズは、例えば、顧客との面談において作成されたメモや議事録、顧客から提示された要望書、依頼書、仕様書、図面、質問、相談などを含む。
【0022】
特定部55は、取得部52を介して取得した受注関連情報に基づいて、製品DB71を参照して、過去に受注した製品の中から対象製品に関連する関連製品を特定することができる。例えば、受注関連情報によって特定される対象製品と類似する製品を、過去に受注した製品の中から探索し、類似する製品が探索できた場合、当該製品を関連製品として特定することができる。関連製品の特定方法の詳細は後述する。
【0023】
特定部55は、特定した関連製品に基づいて、過去に受注した製品と当該製品の提案情報とを対応付けた提案DB74を参照して、関連製品に関する提案情報を特定する(抽出する)ことができる。提案情報は、例えば、顧客のニーズに対する提案概要書、提案事例、製品の概要書、提案図面などを含む。なお、提案情報に、後述の見積情報や生産工程情報を含めてもよい。
【0024】
特定部55は、特定した関連製品に基づいて、過去に受注した製品と当該製品の見積情報とを対応付けた見積DB73を参照して、関連製品に関する見積情報を特定する(抽出する)ことができる。見積情報の詳細は後述する。
【0025】
特定部55は、特定した関連製品に基づいて、過去に受注した製品と当該製品の生産工程に関する生産工程情報とを対応付けた生産工程DB72を参照して、関連製品に関する生産工程情報を特定する(抽出する)ことができる。生産工程情報の詳細は後述する。
【0026】
出力部56は、通信ネットワーク1を介して、ユーザ端末装置10に対して、所要の情報を出力することができる。出力部56は、特定した関連製品に対応する生産工程情報をユーザ端末装置10に出力することができる。
【0027】
上述の構成により、対象製品に類似する関連製品の生産工程情報を得ることができるので、対象製品の生産工程情報を最初から作成しなくても、関連製品の生産工程情報を利用して対象製品の生産工程情報を作成することが可能となり、製品の生産工程における担当者の作業負担を軽減することができる。また、顧客のニーズに対して、過去の顧客ニーズによって収集された提案情報(提案事例)を探し出して参考提案とし、参考事例を必要に応じて修正等を行って顧客に提示することができる。
【0028】
次に、関連製品の特定方法について説明する。以下では、受注関連情報が図面情報である場合と文書情報である場合について説明する。まず、受注関連情報が図面情報、画像情報、動画情報又は数値情報である場合について説明する。
【0029】
図4は図面情報に基づく関連製品の特定方法の一例を示す模式図である。対象製品の図面データを図面aとする。抽出部551は、図面aの画像特徴量aを抽出することができる。この場合、抽出部551は、CNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)などのニューラルネットワークを用いることができる。抽出部551は、さらに、抽出した画像特徴量aに対して一義的なベクトルを生成するベクトル化演算(例えば、二進数のハッシュ値への変換など)を行ってベクトルaを生成することができる。対象製品の図面が複数の図面で構成される場合には、それぞれの図面についてベクトルを生成し、後述のように、各ベクトルについてのコサイン類似度を算出し、算出したコサイン類似度の統計値(例えば、平均値、中央値など)に基づいて最終的なコサイン類似度を求めてもよい。なお、ニューラルネットワークを用いる構成に代えて、パターンマッチングのような手法を用いてもよい。
【0030】
図5は製品DB71の構成の一例を示す模式図である。製品DB71は、過去に受注して、製造、出荷等を実際に行った製品について、製品番号、製品名、図面データ、文書データ、音声変換済データ(音声を文字情報に変換したデータ)、画像データ、動画データ又は数値データを対応付けて記録している。1つの製品番号に対応する製品には、1又は複数の部品を含めてもよい。図面データは、例えば、製品の2次元又は3次元CAD(Computer Aided Design)データ、PDF(Portable Document Format)データなどを含む。文書データは、製品に関する仕様書、報告書、説明書、アンケート、顧客のニーズ、質問、依頼、相談などを含み、エクセルファイルやワードファイルなどを含む。音声変換済データは、例えば、製品に関する営業担当者と顧客との間の会話などを含み、顧客のニーズ、質問、依頼、相談などの会話が含まれる。
【0031】
抽出部551は、製品DB71を参照して、過去の製品の図面データについても同様の処理を行う。
図4の例では、製品番号:P0002、製品名BBB1の図面データF0002の画像特徴量Aを抽出する。抽出部551は、抽出した画像特徴量Aに対してベクトル化演算を行ってベクトルAを生成する。抽出部551は、製品DB71に記録されている製品(例えば、全製品でもよく、所要の製品でもよい)について、同様の処理を行ってベクトルを生成する。
【0032】
算出部552は、対象製品の図面データに基づいて生成されたベクトルaと、過去の製品の図面データに基づいて生成されたベクトルA(ベクトルAは、製品毎に複数ある)とのコサイン類似度を算出することができる。コサイン類似度が1に近づくと類似度が高く、コサイン類似度が0に近づくと類似度が低い。これにより、対象製品と関連する関連製品を類似度という尺度で特定することができるとともに、類似度合いの順位を確認することができる。
【0033】
なお、関連製品の特定は、ベクトルを用いる構成に限定されるものではなく、公知の手法を用いてもよい。また、図面に記載された線図から、線で囲まれる領域が占める面積、領域の重心、輪郭の周囲長などを計算できる特徴モーメントを用いてもよい。
【0034】
図6は文書情報に基づく関連製品の特定方法の一例を示す模式図である。文書データは、対象製品や過去の製品に関する仕様書、報告書、説明書、アンケート、Q&A、顧客のニーズ、質問、依頼、相談などの文書を含み、エクセルファイルやワードファイルを用いることができる。これらの文書は、定型フォーマットで記載されていることが多い。一例として、
図6に示すように、文書データが、複数の項目と、各項目についての内容(文章)とで構成されているとする。
【0035】
抽出部551は、対象製品の文書データ内の各項目1、2、3、…の文章a、b、c、…に対して、形態素解析を行って、文章を単語単位に分割する。単語に分割した後、文章毎に各単語・類似単語が何回出現したかを計数し、語彙数をベクトル長とするベクトルを生成する。図に示すように、文章aのベクトルa、文章bのベクトルb、文章cのベクトルc、…を生成する。
【0036】
抽出部551は、製品DB71を参照して、過去の製品の文書データについても同様の処理を行う。
図6の例では、製品番号:P0004、製品名AAA2の文書データについて、文章AのベクトルA、文章BのベクトルB、文章CのベクトルC、…を生成する。なお、対象製品と過去の製品の文章データ内の項目1、2、3、…は、同じ項目であるとする。
【0037】
算出部552は、対象製品の文章データに基づいて生成されたベクトルaと、過去の製品の文章データに基づいて生成されたベクトルAとのコサイン類似度を算出することができる。同様に、算出部552は、対象製品の文章データに基づいて生成されたベクトルbと、過去の製品の文章データに基づいて生成されたベクトルBとのコサイン類似度を算出することができる。複数の項目それぞれについて算出されたコサイン類似度に基づいて、対象製品と過去の製品との類似度を算出することができる。この場合、対象製品と過去の製品との類似度は、複数の項目それぞれについて算出されたコサイン類似度の平均値でもよく、中央値でもよく、最大値又は最小値でもよい。なお、類似度は、コサイン類似度に限定されるものではなく、他の方法を用いて類似度を算出してもよい。
【0038】
なお、文書類似度の算出は、上述のような単語の出現回数による文書のベクトル化に限定されるものではなく、Word2Vec、Dec2Vecなどの分散表現を用いた手法、ルールベースなどの公知の方法を用いればよい。
【0039】
音声データ同士の類似度の算出は、音声データをテキスト変換して文書データとし、文書類似度の算出方法を用いればよい。また、音声データをテキスト化し、機械学習された識別器に入力して類似度を求めてもよい。
【0040】
関連製品の特定の際には、図面情報、文書情報、音声情報、画像情報、動画情報及び数値情報の全部を用いてもよく、図面情報と文書情報、図面情報と音声情報、あるいは図面情報のみ、図面情報と画像情報、図面情報と数値情報などの如く、図面情報、文書情報、音声情報、画像情報、動画情報及び数値情報の一部だけを用いてもよい。
【0041】
上述のように、受注関連情報は、対象製品に関する図面情報、文書情報及び音声情報の少なくとも1つを含む。図面情報は、対象製品に関する図面データであり、例えば、2次元又は3次元CADデータ、PDFデータなどを含む。文書情報は、対象製品に関する仕様書、報告書、説明書、アンケートなどを含み、エクセルファイルやワードファイルなどを含む。音声情報は、例えば、対象製品に関する営業担当者と顧客との間の会話などを含み、顧客のニーズ、質問、依頼、相談などの会話が含まれる。これにより、様々な伝達媒体を介して、対象製品に関する情報を顧客から幅広く収集することができる。
【0042】
次に、本実施の形態の情報処理システムの動作について説明する。
【0043】
図7は情報処理システムによる情報の流れの第1例を示す模式図である。顧客のニーズを営業部門の担当者が入手すると、営業部門の担当者が使用するユーザ端末装置10において、顧客のニーズが入力され、入力された顧客のニーズは、サーバ50へ出力される。サーバ50は、営業DB74を参照して、顧客のニーズに対応する提案情報を特定し、特定した提案情報を営業部門の担当者が使用するユーザ端末装置10に出力する。ここで、顧客のニーズは、顧客との面談において作成されたメモや議事録、顧客から提示された要望書、依頼書、仕様書、図面などを含む。提案情報は、顧客のニーズに対する提案概要書、製品の概要書、提案図面などを含む。
【0044】
なお、サーバ50は、入力された顧客のニーズに基づいて、見積DB73を参照して、顧客のニーズに対応する見積情報(例えば、見積金額、見積条件、見積計算書など)を特定し、特定した見積情報を営業部門の担当者が使用するユーザ端末装置10に出力してもよい。また、サーバ50は、入力された顧客のニーズに基づいて、生産工程DB72を参照して、顧客のニーズに対応する生産工程情報(例えば、外観図、構想図、構想設計図など)を特定し、特定した生産工程情報を営業部門の担当者が使用するユーザ端末装置10に出力してもよい。
【0045】
図8は情報処理システムによる情報の流れの第2例を示す模式図である。対象製品の受注に関する受注関連情報を営業部門の担当者が入手すると、営業部門の担当者が使用するユーザ端末装置10において、対象製品の受注関連情報が入力され、入力された受注関連情報は、サーバ50へ出力される。サーバ50は、見積DB73を参照して、対象製品に関連する関連製品の見積情報を特定し、特定した見積情報を営業部門の担当者が使用するユーザ端末装置10に出力する。
【0046】
図9は見積DB73の構成の一例を示す模式図である。見積DB73は、例えば、製品名と対応付けて、見積情報及び詳細情報を含む。見積情報は、例えば、見積金額、見積条件などの情報を含む。詳細情報は、例えば、見積日、見積の作成者、商談結果などを含む。製品名を特定すれば、当該製品の見積情報及び詳細情報も特定することができる。なお、見積DBの構成は、
図9に例示するものに限定されない。
【0047】
図10は対象製品に関連する関連製品の見積情報を検索する場合の検索画面の一例を示す模式図である。検索画面では、受注関連情報としての図面データのファイル名、文書データのファイル名、音声データのファイル名を選択して入力することができる。なお、図面データ、文書データ、音声データの全てを入力する必要はない。図面データが選択されると、対象製品の図面が表示される。また、文書データが選択されると、対象製品の文書が表示される。また、対象製品に関連する関連製品を何個抽出するかは、上位の類似度のうち何個を抽出するか、又は類似度がいくつ以上のものを抽出するかを選択することができる。「検索」アイコンを操作することにより、受注関連情報がサーバ50へ送信される。
【0048】
図11は見積情報の検索結果の一例を示す模式図である。検索結果画面には、類似度の高い順に、順位と関連製品の図面が表示される。図の例では、順位が1位、2位、3位、4位の順に対象製品に関連する関連製品1、関連製品2、関連製品3、関連製品4を図示している。なお、関連製品を表示する場合、類似度が閾値以上の関連製品を表示してもよく、あるいは類似度が上位のものから所定数の関連製品を表示してもよい。
図11に示すように、関連製品の図面とともに、関連製品の図面データのファイル名、関連製品の見積金額、類似度を表示することができる。
【0049】
上述のように、関連製品の見積情報(例えば、見積金額)を表示することにより、担当者は、対象製品に関連する関連製品の図面及び見積情報を容易に確認することができる。また、関連製品の図面を確認することができるので、例えば、関連製品の見積情報を対象製品の見積情報として使用できるのか、あるいは若干の修正作業を要するのかを直ちに把握でき、担当者の利便性が向上する。
【0050】
次に、生産工程について説明する。
【0051】
図12は生産工程情報の一例を示す模式図である。
図12は、過去に受注して製造、出荷等を実際に行った製品(図では、製品番号:XXXX、製品名:ABC)の生産工程情報であり、製品毎に図に示すような生産工程情報が生産工程DB72に記録されている。図に示すように、製品に関わる部門を、例えば、設計部門、製造部門、管理部門、及び検査部門とする。設計部門は、構想設計(生産工程ID=1)、部品設計(生産工程ID=2)の各生産工程を担当する。製造部門は、生産指示(生産工程ID=3)、NC加工、機械加工、板金プレス加工、溶接加工、組立加工等(生産工程ID=4)の各生産工程を担当する。管理部門は、生産計画(生産工程ID=5)、工程管理(生産工程ID=6)、原価管理(生産工程ID=7)の各生産工程を担当する。検査部門は、検査(生産工程ID=8)の生産工程を担当する。なお、部門の名称や区分の仕方、工程の名称や区分の仕方は、図の例に限定されるものではなく、製品の分野や製品の属性に応じて適宜変更してよい。また、生産工程IDは、生産工程を特定できる情報であればIDに限定されない。
【0052】
構想設計で使用又は作成される生産工程情報は、例えば、製品の外観図、構想図、構想設計図などを含む。部品設計で使用又は作成される生産工程情報は、例えば、製品の外観図、構想図、構想設計図、部品図、詳細設計図などを含む。
【0053】
生産指示で使用又は作成される生産工程情報は、例えば、製品の外観図、加工指示書、業務指示書、工程指示書などを含む。NC加工で使用又は作成される生産工程情報は、例えば、製品の外観図、加工指示書、業務指示書、工程指示書、NC加工プログラムなどを含む。
【0054】
生産計画で使用又は作成される生産工程情報は、例えば、製品の外観図、加工指示書、業務指示書、工程指示書、発注書、設備機器スペック表、工程管理表、工数管理表などを含む。工程管理で使用又は作成される生産工程情報は、例えば、工程管理表、工数管理表などを含む。原価管理で使用又は作成される生産工程情報は、例えば、原価管理表などを含む。
【0055】
検査で使用又は作成される生産工程情報は、例えば、検査表、良品・不良品・故障事例集などを含む。
【0056】
上述のように、生産工程情報は、構想設計、部品設計、部品加工、業務指示、工程指示、NC加工プログラム、生産計画、工程管理、工数管理、原価管理及び検査結果の少なくとも1つに関する情報を含む。これにより、対象製品の生産工程情報を最初から作成するのではなく、既に作成されている、対象製品に関連する(類似する)関連製品の生産工程情報を利用して対象製品用の生産工程情報に作成することができ、製品の生産に関わる生産工程の全工程において、生産性向上、品質向上、付加価値率の向上を図ることができる。
【0057】
図13は情報処理システムによる情報の流れの第3例を示す模式図である。対象製品の受注関連情報が営業部門から入力されると、まず設計部門で製品の設計が行われるのが一般的である。
図13の例では、設計部門の担当者が使用するユーザ端末装置10において、対象製品の受注関連情報が入力され、入力された受注関連情報は、サーバ50へ出力される。サーバ50は、設計部門の担当者が使用するユーザ端末装置10に対して、対象製品に関連する関連製品の生産工程情報、例えば、部品設計で使用又は生成される生産工程情報を出力する。以下、ユーザ端末装置10において、対象製品の受注関連情報を入力する際に、ユーザ端末装置10が表示する画面を参照して説明する。
【0058】
図14は関連製品の生産工程情報を検索する場合の検索画面の一例を示す模式図である。検索画面は、担当者が対象製品に関連する関連製品及び生産工程情報を検索する際に、受注関連情報を入力するとともに、検索要求をサーバ50に対して出力するための画面である。検索画面では、受注関連情報としての図面データのファイル名、文書データのファイル名、音声データのファイル名を選択して入力することができる。なお、図面データ、文書データ、音声データの全てを入力する必要はない。図面データが選択されると、対象製品の図面が表示される。また、文書データが選択されると、対象製品の文書が表示される。また、関連製品を検索する場合、上位の類似度のうち何個を検索して抽出するか、又は類似度がいくつ以上のものを検索して抽出するかを選択することができる。生産工程IDにIDを入力することにより、担当者が担当する生産工程を特定してサーバ50に通知することができる。「検索」アイコンを操作することにより、受注関連情報、生産工程IDと共に検索要求がサーバ50へ送信される。
【0059】
図15は検索結果画面の一例を示す模式図である。検索結果は、対象製品に関連する(類似する)関連製品の情報を含む。検索結果画面には、類似度の高い順に、順位と関連製品の図面が表示される。図の例では、順位が1位、2位、3位、4位の順に対象製品に類似する関連製品1、関連製品2、関連製品3、関連製品4が表示されている。なお、表示される関連製品の数は、類似度が閾値以上の関連製品を表示してもよく、あるいは類似度が上位のものから所定数の関連製品を表示してもよい。
図15に示すように、関連製品の図面とともに、関連製品の図面データのファイル名、関連製品の類似度を表示することができる。
【0060】
上述のように、対象製品に関連製品を、その類似度、類似順位とともに表示するので、担当者は、対象製品に関連する関連製品を、類似度順に確認することができる。
【0061】
表示された関連製品のうち、所要の関連製品を選択して、「生産工程情報」アイコンを操作することにより、当該関連製品の生産工程情報のうち、生産工程IDで特定される生産工程で使用又は作成される生産工程情報を表示することができる。
【0062】
図16は生産工程情報画面の一例を示す模式図である。
図16の例では生産工程を「部品設計」としている。生産工程情報画面では、選択された関連製品1の外観図、構想図、構想設計図、部品図、詳細設計図などが表示されている。設計部門の担当者は、対象製品に関連する関連製品の外観図、構想図、構想設計図、部品図、詳細設計図などを入手することができるので、例えば、対象製品の部品図を作成する場合、関連製品の部品図を編集することにより、対象製品の部品図を作成することができ、作業負担の軽減、生産性の向上を図ることができる。また、既に品質上問題なく作成済の部品図を利用できるので、最初から部品図を作成する場合に比べて、ヒューマンエラーが入り込む余地が少なくなり、品質の向上も図ることができる。外観図、構想図、構想設計図、部品図、詳細設計図のいずれかを選択して「編集」アイコンを操作することにより、以下に示すように、編集画面を表示することができる。なお、生産工程情報は、
図16の例に限定されない。
【0063】
図17は編集画面の一例を示す模式図である。
図17の例では、部品図の編集画面が表示されている。編集ツールボックスには、編集アイコンEd1~Ed8が配置され、各編集アイコンには、編集に必要な機能が割り当てられている。「プレビュー」アイコンを操作すると、編集後の部品図を表示することができる。「名前を付けて保存」アイコンを操作すると、編集後の部品図に新しいファイル名を付与して保存することができる。「削除」アイコンを操作すると、編集中、あるいは編集後などの部品図を削除することができる。「印刷」アイコンを操作すると、編集後の部品図を印刷することができる。
【0064】
図18は情報処理システムによる情報の流れの第4例を示す模式図である。
図13に例示した第3例と同様に、製造部門の担当者が使用するユーザ端末装置10において、対象製品の受注関連情報が入力されると、入力された受注関連情報は、サーバ50へ出力される。サーバ50は、製造部門の担当者が使用するユーザ端末装置10に対して、対象製品に関連する関連製品の生産工程情報、例えば、生産指示で使用又は生成される生産工程情報(例えば、製品の外観図、加工指示書、業務指示書、工程指示書など)を出力することができる。また、図示していないが、管理部門、検査部門においても同様である。
【0065】
図19は情報処理システムによる情報の流れの第5例を示す模式図である。前述の第3例及び第4例では、受注関連情報がサーバ50へ送信されると、サーバ50は、一連の処理の流れにおいて、関連製品の情報だけでなく関連製品の生産工程情報をユーザ端末装置10に出力する構成であった。第4例では、サーバ50は、関連製品の情報だけをユーザ端末装置10に出力する。
図19に示すように、例えば、設計部門の担当者が使用するユーザ端末装置10において、対象製品の受注関連情報が入力されると、サーバ50は、関連製品の情報(製品番号、製品名など)を設計部門の担当者が使用するユーザ端末装置10に出力する。サーバ50は、さらに、対象製品の受注関連情報と関連製品の情報(製品番号、製品名など)を、他の部門である、製造部門、管理部門、検査部門の担当者が使用するユーザ端末装置10にも出力することができる。これにより、全生産工程の担当者間で、対象製品に関連する関連製品の情報を共有することができる。
【0066】
上述の第5例では、検索画面は、
図14の場合と同様であるので、説明は省略する。
【0067】
図20は検索結果画面の他の例を示す模式図である。
図20に例示する検索結果画面は、
図19に例示する第5例において、ユーザ端末装置10が表示するものである。
図14に例示する検索結果画面との相違点は、「関連製品決定」アイコンを備える点である。例えば、設計部門の担当者が使用するユーザ端末装置10において、担当者が、チェックボックスにチェックを付けて関連製品1を選択して「関連製品決定」アイコンを操作すると、対象製品に関連する関連製品は関連製品1であることが決定され、
図19に示すように、決定された関連製品の情報が、他の部門である、製造部門、管理部門、検査部門の担当者が使用するユーザ端末装置10にも出力される。これにより、対象製品に関連する関連製品の情報を生産工程の各担当者間で共有することができる。なお、関連製品の決定は、生産工程の中でも上流側に位置する設計部門の担当者が行うことが望ましいが、他の部門の担当者が行ってもよい。
【0068】
製品の種類によっては、製品に固有の1つの生産工程で製造される場合だけでなく、同じ製品であっても異なる複数の生産工程のうち所要の生産工程を選定して製造される場合もある。例えば、同じ製品でも、使用される地域や国、環境、要求スペック等の要求事項に応じて最適な生産工程を用いる必要がある。以下では、同一の関連製品に関する複数種類の生産工程情報の中から所要の生産工程情報を選択する方法について説明する。
【0069】
図21は生産工程情報選択画面の一例を示す模式図である。
図21に示すように、類似順位xxの関連製品xxが選択されて表示されているとする。選択された関連製品xxに関連する生産工程情報が、例えば、生産工程情報xx-1(例えば、ハイスペック用)、生産工程情報xx-2(例えば、通常スペック用)、生産工程情報xx-3(例えば、外国向け仕様)の3種類存在するとすると、サーバ50は、生産工程情報xx-1、生産工程情報xx-2、生産工程情報xx-3を表示するとともに、それぞれの生産工程情報の詳細情報を表示するための「詳細」アイコン、所要の生産工程情報を選択するための「選択」アイコンを表示することができる。これにより、担当者は、対象製品の要求事項に適した生産工程情報を得ることができる。
【0070】
上述のように、サーバ50は、生産工程IDで特定される複数の生産工程情報を選択可能にユーザ端末装置へ出力し、ユーザ端末装置から所要の生産工程情報の選択を受け付けた場合、当該関連製品に関する生産工程情報を出力することができる。
【0071】
生産工程情報を必要とするタイミングは、生産工程の上流側と下流側とで異なる場合がある。例えば、設計部門では、受注後、直ちに対象製品の設計を行うため、早いタイミングで生産工程情報が必要になる。一方、製造部門では、設計が完了した後、対象製品の製造が開始される場合が多く、生産工程情報を必要とするタイミングは、設計部門より遅い場合が多い。管理部門や検査部門も同様である。以下では、必要なタイミングで関連製品の生産工程情報を取得できる方法について説明する。
【0072】
図22は情報処理システムによる情報の流れの第6例を示す模式図である。
図19において説明したように、各部門の担当者は、関連製品の情報(製品番号、製品名など)を既に取得している。設計部門の担当者は、対象製品の生産工程情報の作成を開始するタイミングで、生産工程情報検索の処理を行う。具体的には、ユーザ端末装置10を使って、対象製品に関連する関連製品の製品番号・製品名をサーバ50に出力することができる。サーバ50は、設計部門の担当者が使用するユーザ端末装置10に対して、当該関連製品の生産工程情報、例えば、部品設計で使用又は生成される生産工程情報を出力する。
【0073】
図23は生産工程情報検索のための画面の一例を示す模式図である。生産工程情報を検索するためには、各部門の担当者は、関連製品の情報(例えば、製品番号、製品名など)を選択する。図では製品番号を選択している。担当者は、さらに、自身が担当する生産工程の工程IDを選択する。図では部品設計を選択している。関連製品及び工程IDを選択した後、「検索」アイコンを操作することにより、ユーザ端末装置10から、生産工程情報の検索依頼及び生産工程の工程IDがサーバ50に出力される。サーバ50は、取得した関連製品の情報と生産工程の工程IDとに基づいて、生産工程DB72を参照して、所要の生産工程情報を抽出し、抽出した生産工程情報をユーザ端末装置10に出力することができる。この場合、設計部門の担当者は、
図16に例示したような生産工程情報を得ることができる。
【0074】
上述のように、サーバ50は、ユーザ端末装置10から、関連製品の情報及び複数の生産工程情報の中から所要の生産工程情報を特定する特定情報を取得することができる。関連製品の情報は、例えば、関連製品の製品番号や製品名とすることができるが、これに限定されない。所要の生産工程情報は、担当者が担当する生産工程において必要となる生産工程情報とすることができる。特定情報は、生産工程情報を特定することができる情報であればよく、例えば、生産工程IDや工程名、部署名等であってもよい。サーバ50は、関連製品の情報に基づいて、取得した特定情報で特定される生産工程情報をユーザ端末装置10へ出力することができる。これにより、各生産工程の担当者は、予め取得した関連製品の情報をユーザ端末装置10に入力することにより、関連製品に関する生産工程情報であって、担当者が担当する生産工程又は担当者が所属する部署において必要となる生産工程情報を所要のタイミングで入手することができる。
【0075】
図24は情報処理システムによる情報の流れの第7例を示す模式図である。
図22に例示した第6例と同様に、製造部門の担当者は、対象製品の生産工程情報の作成を開始するタイミングで、生産工程情報検索の処理を行うことができる。具体的には、ユーザ端末装置10を使って、対象製品に関連する関連製品の製品番号・製品名をサーバ50に出力することができる。サーバ50は、製造部門の担当者が使用するユーザ端末装置10に対して、当該関連製品の生産工程情報、例えば、生産指示で使用又は生成される生産工程情報(例えば、製品の外観図、加工指示書、業務指示書、工程指示書など)を出力することができる。また、図示していないが、管理部門、検査部門においても同様である。
【0076】
図25はサーバ50の処理手順の一例を示すフローチャートである。以下では便宜上、処理の主体を制御部51として説明する。制御部51は、対象製品の受注関連情報を取得し(S11)、取得した受注関連情報に基づいて対象製品に関連する(類似する)関連製品を特定する(S12)。関連製品の特定には、製品番号や製品名を用いることができる。
【0077】
制御部51は、特定した関連製品の情報(製品番号、製品名など)をユーザ端末装置10へ出力し(S13)、関連製品の選定を受け付けたか否かを判定する(S14)。関連製品の選定を受け付けていない場合(S14でNO)、制御部51は、ステップS14の処理を続ける。
【0078】
関連製品の選定を受け付けた場合(S14でYES)、制御部51は、関連製品に関する生産工程情報を特定し、特定した生産工程情報をユーザ端末装置10へ出力し(S15)、処理を終了する。
【0079】
サーバ50は、CPU(プロセッサ)、ROM及びRAM(メモリ)などを備えた汎用コンピュータを用いて実現することもできる。すなわち、
図25に示すような、各処理の手順を定めたコンピュータプログラムをコンピュータに備えられたRAM(メモリ)にロードし、コンピュータプログラムをCPU(プロセッサ)で実行することにより、コンピュータ上でサーバ50を実現することができる。コンピュータプログラムは記録媒体に記録され流通されてもよく、あるいは、ネットワークを介して、コンピュータにインストールされてもよい。
【0080】
本実施の形態のコンピュータプログラムは、コンピュータに、対象製品の受注に関する受注関連情報を取得し、取得した受注関連情報に基づいて、過去に受注した製品の中から前記対象製品に関連する関連製品を特定し、特定した関連製品に基づいて、過去に受注した製品と前記製品の生産工程に関する生産工程情報とを対応付けた生産工程データベースを参照して、前記関連製品に関する生産工程情報を出力する、処理を実行させる。
【0081】
本実施の形態の情報処理装置は、対象製品の受注に関する受注関連情報を取得する取得部と、取得した受注関連情報に基づいて、過去に受注した製品の中から前記対象製品に関連する関連製品を特定する特定部と、特定した関連製品に基づいて、過去に受注した製品と前記製品の生産工程に関する生産工程情報とを対応付けた生産工程データベースを参照して、前記関連製品に関する生産工程情報を出力する出力部とを備える。
【0082】
本実施の形態の情報処理方法は、対象製品の受注に関する受注関連情報を取得し、取得した受注関連情報に基づいて、過去に受注した製品の中から前記対象製品に関連する関連製品を特定し、特定した関連製品に基づいて、過去に受注した製品と前記製品の生産工程に関する生産工程情報とを対応付けた生産工程データベースを参照して、前記関連製品に関する生産工程情報を出力する。
【0083】
コンピュータプログラムは、対象製品の受注に関する受注関連情報を取得する。受注関連情報は、対象製品(例えば、受注した製品)を特定するとともに対象製品を製造して顧客に納品するのに必要な情報であり、顧客から直接又は間接的に取得した情報とすることができる。受注関連情報は、例えば、対象製品に関する図面情報、対象製品に関する文書情報、対象製品に関する音声情報などを含む。
【0084】
コンピュータプログラムは、取得した受注関連情報に基づいて、過去に受注した製品の中から対象製品に関連する関連製品を特定する。例えば、受注関連情報によって特定される対象製品と類似する製品を、過去に受注した製品の中から探索し、類似する製品が探索できた場合、当該製品を関連製品として特定することができる。
【0085】
コンピュータプログラムは、特定した関連製品に基づいて、過去に受注した製品と当該製品の生産工程に関する生産工程情報とを対応付けた生産工程データベースを参照して、関連製品に関する生産工程情報を出力する。すなわち、生産工程データベースを参照して、特定した関連製品に対応する生産工程情報を抽出して出力することができる。
【0086】
上述の構成により、対象製品に類似する関連製品の生産工程情報を得ることができるので、対象製品の生産工程情報を最初から作成しなくても、関連製品の生産工程情報を利用して対象製品の生産工程情報を作成することが可能となり、製品の生産工程における担当者の作業負担を軽減することができる。
【0087】
本実施の形態のコンピュータプログラムは、コンピュータに、前記関連製品の情報をユーザ端末装置へ出力する、処理を実行させる。
【0088】
コンピュータプログラムは、関連製品の情報をユーザ端末装置へ出力する。ユーザ端末装置は、製品の各生産工程における担当者が使用する端末装置とすることができる。対象製品に関連する(類似する)関連製品が特定された場合、関連製品の情報をユーザ端末装置へ出力することにより、対象製品に関連する関連製品の情報を生産工程の各担当者が共有することができる。
【0089】
本実施の形態のコンピュータプログラムは、コンピュータに、ユーザ端末装置から前記関連製品の情報及び複数の生産工程情報の中から所要の生産工程情報を特定する特定情報を取得し、前記関連製品に関する生産工程情報であって、前記特定情報で特定される生産工程情報を前記ユーザ端末装置へ出力する、処理を実行させる。
【0090】
本実施の形態のユーザ端末装置は、対象製品に関連する関連製品の情報及び複数の生産工程情報の中から所要の生産工程情報を特定する特定情報を情報処理装置へ出力する出力部と、前記関連製品に関する生産工程情報であって前記特定情報で特定される生産工程情報を前記情報処理装置から取得する取得部とを備える。
【0091】
コンピュータプログラムは、ユーザ端末装置から関連製品の情報及び複数の生産工程情報の中から所要の生産工程情報を特定する特定情報を取得する。関連製品の情報は、例えば、関連製品の製品番号や製品名とすることができるが、これに限定されない。所要の生産工程情報は、担当者が担当する生産工程において必要となる生産工程情報とすることができる。特定情報は、生産工程情報を特定することができる情報であればよく、例えば、生産工程IDや工程名、部署名等であってもよい。
【0092】
コンピュータプログラムは、関連製品に関する生産工程情報であって、取得した特定情報で特定される生産工程情報をユーザ端末装置へ出力する。これにより、各生産工程の担当者は、予め取得した関連製品の情報をユーザ端末装置に入力することにより、関連製品に関する生産工程情報であって、担当者が担当する生産工程又は担当者が所属する部署において必要となる生産工程情報を所要のタイミングで入手することができる。
【0093】
本実施の形態のコンピュータプログラムにおいて、前記受注関連情報は、前記対象製品に関する図面情報、文書情報及び音声情報の少なくとも1つを含む。
【0094】
受注関連情報は、対象製品に関する図面情報、文書情報及び音声情報の少なくとも1つを含む。図面情報は、対象製品に関する図面データであり、例えば、2次元又は3次元CADデータ、PDFデータなどを含む。文書情報は、対象製品に関する仕様書、報告書、説明書、アンケートなどを含み、エクセルファイルやワードファイルなどを含む。音声情報は、例えば、対象製品に関する営業担当者と顧客との間の会話などを含み、顧客のニーズ、質問、依頼、相談などの会話が含まれる。
【0095】
これにより、様々な伝達媒体を介して、対象製品に関する情報を顧客から幅広く収集することができる。
【0096】
本実施の形態のコンピュータプログラムにおいて、前記生産工程情報は、構想設計、部品設計、部品加工、業務指示、工程指示、NC加工プログラム、生産計画、工程管理、工数管理、原価管理及び検査結果の少なくとも1つに関する情報を含む。
【0097】
生産工程情報は、構想設計、部品設計、部品加工、業務指示、工程指示、NC加工プログラム、生産計画、工程管理、工数管理、原価管理及び検査結果の少なくとも1つに関する情報を含む。これにより、対象製品の生産工程情報を最初から作成するのではなく、既に作成されている、対象製品に関連する(類似する)関連製品の生産工程情報を利用して対象製品用の生産工程情報に作成することができ、製品の生産に関わる生産工程の全工程において、生産性向上、品質向上、付加価値率の向上を図ることができる。
【0098】
本実施の形態のコンピュータプログラムは、コンピュータに、特定した関連製品の情報を、生産工程内のユーザ端末装置に配信する。
処理を実行させる
【0099】
コンピュータプログラムは、特定した関連製品の情報を、生産工程内のユーザ端末装置に配信する。例えば、生産工程の各部門の中で、対象製品に関連する関連製品を決定する主幹部門を設計部門とすると、設計部門で決定した関連製品の情報を生産工程内の他の部門に通知することができ、関連製品の情報を部門間で共有することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 通信ネットワーク
10 ユーザ端末装置
11 制御部
12 通信部
13 記憶部
14 表示パネル
15 操作部
50 サーバ
51 制御部
52 取得部
53 インタフェース部
54 記憶部
55 特定部
551 抽出部
552 算出部
56 出力部
71 製品DB
72 生産工程DB
73 見積DB
74 営業DB