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特開2022-73144コンピュータプログラム、物品関連情報探索装置及び物品関連情報探索方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073144
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】コンピュータプログラム、物品関連情報探索装置及び物品関連情報探索方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20220510BHJP
   G06Q 10/04 20120101ALI20220510BHJP
【FI】
G06T7/00 300F
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020182941
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】399085233
【氏名又は名称】株式会社船井総研ホールディングス
(71)【出願人】
【識別番号】520025703
【氏名又は名称】株式会社お多福lab
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】菊池 功
(72)【発明者】
【氏名】和泉 龍徳
【テーマコード(参考)】
5L049
5L096
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L096AA09
5L096BA12
5L096DA02
5L096EA27
5L096FA67
5L096HA09
5L096JA03
5L096MA07
(57)【要約】
【課題】物品に関する関連情報を提供することができるコンピュータプログラム、物品関連情報探索装置及び物品関連情報探索方法を提供する。
【解決手段】コンピュータプログラムは、コンピュータに、第1物品が特定された図面データを取得し、取得した図面データに基づいて、第1物品に関する特徴量を抽出し、抽出した第1物品に関する特徴量と、予め記憶した複数の第2物品それぞれに関する特徴量との類似度を算出し、算出した類似度に基づいて、記憶した複数の第2物品の中から1又は複数の第2物品を特定し、特定した第2物品に関する関連情報を出力する、処理を実行させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
第1物品が特定された図面データを取得し、
取得した図面データに基づいて、前記第1物品に関する特徴量を抽出し、
抽出した前記第1物品に関する特徴量と、予め記憶した複数の第2物品それぞれに関する特徴量との類似度を算出し、
算出した類似度に基づいて、記憶した複数の第2物品の中から1又は複数の第2物品を特定し、
特定した第2物品に関する関連情報を出力する、
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項2】
コンピュータに、
前記第1物品が特定されたCADデータを取得し、
取得したCADデータに基づいて点群データを生成し、
生成した点群データに基づいて前記第1物品に関する法線ベクトルを算出し、
算出した法線ベクトルに基づいて前記第1物品に関する特徴量としての特徴ベクトルを抽出し、
抽出した特徴ベクトルと、予め記憶した複数の第2物品に関する特徴ベクトルとの類似度を算出する、
処理を実行させる請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
コンピュータに、
複数の物品に関する法線ベクトルをクラスタリングした複数のクラスタに基づいて、前記第1物品に関する法線ベクトルを分類し、分類結果に基づいて前記第1物品に関する特徴ベクトルを抽出する、
処理を実行させる請求項2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
コンピュータに、
生成した点群データに対して主成分分析を行って前記第1物品の座標系を特定し、
特定した座標系での前記第1物品の法線ベクトルを算出する、
処理を実行させる請求項2又は請求項3に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
コンピュータに、
特定した前記第1物品の座標系に対して所定の座標変換を行って複数の座標系を生成し、
生成した各座標系での前記第1物品の法線ベクトルを算出し、
算出した法線ベクトルに基づいて、各座標系での特徴ベクトルを抽出し、
抽出した特徴ベクトルと、予め記憶した複数の第2物品に関する、前記座標変換によって生成された各座標系での特徴ベクトルとの類似度を算出する、
処理を実行させる請求項4に記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記関連情報は、前記第2物品の図面及び見積情報を含む、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記関連情報は、前記第2物品が特定された図面データを含む、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
コンピュータに、
前記第1物品に関する特徴量と特定した複数の第2物品の特徴量との各類似度を、類似順位とともに出力する、
処理を実行させる請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
コンピュータに、
特定した第2物品に関する詳細情報の出力要求を受け付け、
受け付けた出力要求に基づいて前記第2物品に関する詳細情報を出力する、
処理を実行させる請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
前記第1物品に関する特徴量を抽出して記憶した場合、前記第1物品が特定されたCADデータを含む図面データを破棄する、
処理を実行させる請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
コンピュータに、
前記第2物品に関する関連情報の出力要求を受け付ける前に、前記第1物品が特定されたCADデータを含む図面データを取得した場合、取得した図面データに基づいて、前記第1物品の特徴量を抽出して記憶し、
前記第2物品に関する関連情報の出力要求を受け付けた場合、記憶した特徴量を用いて、前記第2物品に関する関連情報を出力する、
処理を実行させる請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
第1物品が特定された図面データを取得する取得部と、
取得した図面データに基づいて、前記第1物品に関する特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
複数の第2物品それぞれに関する特徴量を記憶する記憶部と、
抽出した前記第1物品に関する特徴量と、記憶した複数の第2物品それぞれに関する特徴量との類似度を算出する算出部と、
算出した類似度に基づいて、記憶した複数の第2物品の中から1又は複数の第2物品を特定する特定部と、
特定した第2物品に関する関連情報を出力する出力部と
を備える、
物品関連情報探索装置。
【請求項13】
第1物品が特定された図面データを取得し、
取得した図面データに基づいて、前記第1物品に関する特徴量を抽出し、
抽出した前記第1物品に関する特徴量と、予め記憶した複数の第2物品それぞれに関する特徴量との類似度を算出し、
算出した類似度に基づいて、記憶した複数の第2物品の中から1又は複数の第2物品を特定し、
特定した第2物品に関する関連情報を出力する、
物品関連情報探索方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータプログラム、物品関連情報探索装置及び物品関連情報探索方法
【背景技術】
【0002】
近年、製品や製品に使用される部品などの物品の多くは、CAD(Computer Aided Design)システムを用いて設計されている。物品の製造には、固定費や変動費などの様々な経費が必要であり、物品の設計段階で見積もりを行うことが一般的である。また、見積コストが高い場合には、設計変更が必要となる場合もある。
【0003】
特許文献1には、製品の設計図面を作成する際に、設計図面に含まれる部材の物理量データ及び加工種別データに基づいて製品の見積コストを算出する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-196344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の装置では、設計者は、設計図面の作図が完了すると、設計図面に含まれる製品又は部材に関するデータを操作する必要があり、製品を設計する都度、見積コストを算出するための作業が必要であり煩雑である。また、特許文献1の装置では、見積を提供することはできるものの、生産工程や販売時などの段階で必要となる物品に関する情報を提供することができない。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、物品に関する関連情報を提供することができるコンピュータプログラム、物品関連情報探索装置及び物品関連情報探索方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、第1物品が特定された図面データを取得し、取得した図面データに基づいて、前記第1物品に関する特徴量を抽出し、抽出した前記第1物品に関する特徴量と、予め記憶した複数の第2物品それぞれに関する特徴量との類似度を算出し、算出した類似度に基づいて、記憶した複数の第2物品の中から1又は複数の第2物品を特定し、特定した第2物品に関する関連情報を出力する、処理を実行させる。
【0008】
本発明の実施の形態に係る物品関連情報探索装置は、第1物品が特定された図面データを取得する取得部と、取得した図面データに基づいて、前記第1物品に関する特徴量を抽出する特徴量抽出部と、複数の第2物品それぞれに関する特徴量を記憶する記憶部と、抽出した前記第1物品に関する特徴量と、記憶した複数の第2物品それぞれに関する特徴量との類似度を算出する算出部と、算出した類似度に基づいて、記憶した複数の第2物品の中から1又は複数の第2物品を特定する特定部と、特定した第2物品に関する関連情報を出力する出力部とを備える。
【0009】
本発明の実施の形態に係る物品関連情報探索方法は、第1物品が特定された図面データを取得し、取得した図面データに基づいて、前記第1物品に関する特徴量を抽出し、抽出した前記第1物品に関する特徴量と、予め記憶した複数の第2物品それぞれに関する特徴量との類似度を算出し、算出した類似度に基づいて、記憶した複数の第2物品の中から1又は複数の第2物品を特定し、特定した第2物品に関する関連情報を出力する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、物品に関する関連情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態の物品関連情報探索システムの構成の一例を模式図である。
図2】特徴量抽出部の構成の一例を示すブロック図である。
図3】法線ベクトルの算出方法の一例を示す模式図である。
図4】製品の設計者が使用する座標系の一例を示す模式図である。
図5】座標変換の一例を示す模式図である。
図6】法線ベクトルのクラスタ生成方法の一例を示す模式図である。
図7】法線ベクトルのクラスタの一例を示す模式図である。
図8】特徴ベクトルの抽出方法の一例を示す模式図である。
図9】特徴量DBの構成の一例を示す模式図である。
図10】特徴ベクトルの類似度算出の一例を示す模式図である。
図11】関連情報DBの構成の一例を示す模式図である。
図12】検索画面の一例を示す模式図である。
図13】検索結果の一例を示す模式図である。
図14】物品関連情報探索装置による関連情報探索処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態の物品関連情報探索システムの構成の一例を模式図である。物品関連情報探索システムは、物品関連情報探索装置50を備える。物品関連情報探索装置50には、通信ネットワーク1を介して端末装置10が接続される。物品関連情報探索装置50には、図面データDB61、特徴量DB62、クラスタDB63、及び関連情報DB64が接続されている。物品関連情報探索装置50は、サーバで構成してもよく、パーソナルコンピュータ(PC)等で構成してもよい。物品関連情報探索装置50は、複数の装置(例えば、サーバ、PC)に分散してもよい。端末装置10は、製品(物品とも称する)の設計者などのユーザが使用する端末装置であり、PC、スマートフォン、タブレット端末を用いることができる。なお、本明細書では、製品は、製品を構成する部品も含むものとする。
【0013】
ユーザが端末装置10を用いて対象製品(第1物品)の図面データをアップロードすると、物品関連情報探索装置50は、図面データを取得する。物品関連情報探索装置50は、取得した図面データに基づいて、対象製品に類似する類似製品(第2物品)に関する関連情報を端末装置10へ出力することができる。
【0014】
物品関連情報探索装置50は、装置全体を制御する制御部51、データ取得部52、特徴量抽出部53、記憶部54、出力部55、類似度算出部56、及び特定部57を備える。制御部51は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などで構成することができる。
【0015】
データ取得部52は、通信モジュール等を備え、端末装置10から、図面データを取得することができる。図面データは、例えば、3次元CAD(Computer Aided Design)データとすることができるが、3次元CADデータに限定されるものではなく、例えば、2次元CADデータ、PDF(Portable Document Format)データ等であってもよい。制御部51は、データ取得部52を介して取得した図面データを図面データDB61に記憶することができる。
【0016】
特徴量抽出部53は、データ取得部52で取得した図面データに基づいて、対象製品に関する特徴量を抽出することができる。特徴量は、多数の製品の中から類似する製品同士を探索する処理に使用できる特徴量であればよい。制御部51は、特徴量抽出部53で抽出した特徴量を、当該特徴量が抽出された製品と対応付けて特徴量DB62に記憶することができる。特徴量の抽出の詳細は後述する。
【0017】
記憶部54は、半導体メモリ又はハードディスク等で構成することができ、物品関連情報探索装置50の各部での処理結果などの所要の情報を記憶することができる。
【0018】
類似度算出部56は、対象製品に関する特徴量と、特徴量DB62に記憶された被探索対象の製品に関する特徴量との類似度を算出する。特徴量DB62は、例えば、既に設計された製品と当該製品に関する特徴量とが対応付けて記憶されている。特徴量DB62の詳細は後述する。
【0019】
特定部57は、類似度算出部56で算出した類似度に基づいて、対象製品に類似する類似製品を特定する。対象製品に類似する類似製品を特定する際には、例えば、類似度が閾値以上の製品を特定してもよく、あるいは類似度が上位のものから所定数の製品を特定してもよい。
【0020】
制御部51は、関連情報DB64にアクセスすることにより、特定部57で特定した類似製品に関する関連情報を特定することができる。関連情報DB64は、製品と当該製品に関する関連情報とが対応付けて記憶されている。関連情報は、ユーザが新たに製品を設計した際に、設計した製品に関して必要な情報であり、ユーザが、図面データや他のデータを用いて新たに生成する必要がある情報とすることができる。関連情報DB64の詳細は後述する。
【0021】
出力部55は、通信モジュール等を備え、制御部51が特定した関連情報を端末装置10へ出力することができる。端末装置10は、関連情報を取得し、取得した関連情報を表示パネルに表示することができる。
【0022】
上述の構成により、設計者などのユーザは、設計した対象製品の図面データを準備して物品関連情報探索装置50にアップロードするだけで、例えば、過去に設計された多数(例えば、数千種類)の製品の中から対象製品に類似する類似製品を特定でき、特定した類似製品に関する関連情報を確認することができる。
【0023】
すなわち、ユーザは、設計した対象製品と類似する類似製品の関連情報を取得することができる。取得した関連情報は、対象製品に関する関連情報として代替的に利用することができる。また、ユーザは、製品を設計する都度、製品に関する関連情報を最初から生成するための作業が不要となり、類似製品の関連情報を用いて(例えば、提供された関連情報に対して若干の修正作業を加えるだけで)、対象製品に関する関連情報を生成できるので、ユーザの利便性が向上する。
【0024】
次に、特徴量の抽出方法の詳細について説明する。
【0025】
図2は特徴量抽出部53の構成の一例を示すブロック図である。特徴量抽出部53は、点群データ生成部531、法線ベクトル算出部532、主成分分析部533、座標変換部534、及び特徴ベクトル抽出部535を備える。
【0026】
点群データ生成部531は、取得した3次元CADデータに基づいて点群データを生成する。点群データは、例えば、XYZ座標において、製品表面の多数の点の集合データであり、製品の表面の位置及び形状を表現することができる。
【0027】
法線ベクトル算出部532は、点群データ生成部531で生成した点群データに基づいて対象製品に関する法線ベクトルを算出する。
【0028】
図3は法線ベクトルの算出方法の一例を示す模式図である。図3(A)は、対象製品の点群データの一例を示す。図中、黒丸で示す点の集合が点群データであり、ポイントデータとも称する。図3では、便宜上、対象製品を断面が四角い中空の環状体としている。図3(B)に示すように、法線ベクトルは、点群データによって特定されるポリゴン(三角形)毎に求めることができ、ポリゴンそれぞれの表面に垂直な方向の単位ベクトルを法線ベクトルとすることができる。図3(C)に示すように、対象製品の法線ベクトルは、XYZ座標において、原点を始点とする単位ベクトル(原点からの向きが特定されている)の集合となる。なお、図3(C)に示す、XYZ座標系は、後述のように、対象製品の点群データの主成分分析を行って決定することができる。
【0029】
図4は製品の設計者が使用する座標系の一例を示す模式図である。図4(A)は、CADを用いて設計する対象製品であるとする。同じ製品を設計する際に、座標系は設計者が決定できるので、例えば、図4(B)から図5(E)に示すような座標系を使用することができる。図4(B)~図4(E)以外の座標系を使用することもできる。このように、一般的に、設計者が製品を設計する際の座標系は、設計者が独自に設定することができる。同じ製品でも、座標系が異なれば、点群データも異なり、法線ベクトルも異なる。
【0030】
主成分分析部533は、点群データ生成部531で生成した点群データに対して主成分分析を行って対象製品の座標系を特定する。主成分分析は、3次元点群データのばらつき、すなわち分散を最大にするような向きの固有ベクトルの3方向を特定する。主成分分析により、対象製品の座標系(XYZ)を特定することができる。
【0031】
このように、主成分分析により、設計者が採用する座標系に代えて、基準の座標系として、製品固有の座標系を用いることができ、設計時に使用される座標系の相違による影響を無くすことができる。
【0032】
座標変換部534は、主成分分析部533によって特定した製品の座標系に対して所定の座標変換を行って複数の座標系を生成する。
【0033】
図5は座標変換の一例を示す模式図である。図5では、座標系1~6の6つの座標系(XYZ)を例示している。座標系1は、主成分分析によって特定された座標系(XYZ)である。座標系2は、座標系1に対して、XYZ→YZX変換を行ったものである。座標系3は、座標系1に対して、XYZ→ZXY変換を行ったものである。座標系4は、座標系1のXYZを反転させたものである。座標系5は、座標系2のXYZを反転させたものである。座標系6は、座標系3のXYZを反転させたものである。
【0034】
法線ベクトル算出部532は、主成分分析部533によって特定された座標系を含む、各座標系1~6での法線ベクトル{N1}~{N6}を算出することができる。各座標系での法線ベクトルを算出は、点群データに基づいて算出した法線ベクトルを各座標系における座標軸に射影して求めることができる。なお、図5の例では、6つの座標系を例示したが、座標系の数は6つに限定されるものではなく、例えば、座標系1~3の如く3つでもよく、他の数でもよい。座標系の数を増やすことにより、後述のように、類似度の算出の精度を高めることができる。
【0035】
次に、特徴量の一例として特徴ベクトルの抽出方法について説明する。
【0036】
特徴ベクトル抽出部535は、算出した法線ベクトルに基づいて対象製品に関する特徴量としての特徴ベクトルを抽出することができる。なお、図5に示すように、対象製品の座標系を座標系1~座標系6とすると、座標系毎に法線ベクトルが算出されるので、特徴ベクトルも座標系毎に抽出することができる。以下、具体的に説明する。
【0037】
図6は法線ベクトルのクラスタ生成方法の一例を示す模式図である。図6に示すように、予め、クラスタを生成するために適宜選定された、複数の製品の図面データ(3次元CADデータ)に対して、前述と同様の、点群データ生成、法線ベクトル算出、及び主成分分析等の前処理を行うことにより、複数の製品それぞれの固有の座標系での法線ベクトルを算出する。複数の製品の数は、適宜決定することができるが、例えば、10個、20個、30個などとすることができる。複数の製品それぞれの法線ベクトルを1つの集合データとして纏め、法線ベクトル間の類似度に基づいて法線ベクトルを複数のクラスタにグループ分けしておく。クラスタリングには、機械学習を用いることができる。クラスタの数は、5~10程度とすることができるが、これに限定されない。生成されたクラスタは、各クラスタを構成する法線ベクトルの情報とともにクラスタDB63に記憶(登録)しておくことができる。
【0038】
図7は法線ベクトルのクラスタの一例を示す模式図である。図7の例では、お互いに類似する法線ベクトルを1つのクラスタにグループ化することにより、全体として5つのクラスタC1、C2、C3、C4、C5が生成された様子を示す。
【0039】
図8は特徴ベクトルの抽出方法の一例を示す模式図である。特徴ベクトル抽出部535は、対象製品に関する法線ベクトルを複数のクラスタに分類し、分類結果に基づいて対象製品に関する特徴ベクトルを抽出することができる。例えば、図8に示すように、複数のクラスタをC1、C2、C3、C4、C5とする。対象製本の法線ベクトルの集合を{N}とし、クラスタC1~C5それぞれに分類された法線ベクトルの数(度数)をn1、n2、n3、n4、n5とする。ここで、{N}=n1+n2+n3+n4+n5である。特徴ベクトルFVは、FV=(n1、n2、n3、n4、n5)で表すことができる。なお、法線ベクトルを求めた後に、法線ベクトルの正規化(ベクトルの大きさを1にする)をして特徴ベクトルとする。
【0040】
制御部51は、特徴ベクトルが抽出される都度、抽出した特徴ベクトルを特徴量DB62に記憶(登録)することができる。なお、特徴量DB62に登録する特徴ベクトルは、物品関連情報探索装置50によって抽出されたものに限定されるものではなく、他の装置によって抽出された特徴ベクトルを登録してもよい。
【0041】
図9は特徴量DB62の構成の一例を示す模式図である。特徴量DB62は、例えば、製品番号、製品名、図面データ(CADデータ)、特徴ベクトル、設計情報などを対応付けて構成することができる。特徴ベクトルは、図5に例示した各座標系での特徴ベクトルを含む。設計情報は、製品を設計する際に設計者が取り扱う情報(例えば、設計条件、仕様書、規格、特性データや試験データなど)を含む。図9のような構成により、特徴ベクトル(例えば、FV01101)を元に、特徴ベクトルと対応付けられた製品番号P0001、製品名XXX、図面データA00100、設計情報D00200を特定できる。
【0042】
類似度算出部56は、対象製品の各座標系での特徴ベクトルそれぞれと、特徴量DB62に記憶した複数の被探索製品の各座標系での特徴ベクトルそれぞれとの類似度を算出する。特徴量DB62に記憶した被探索製品の各座標系での特徴ベクトルも、対象製品と同様に、主成分分析によって特定した座標系、及び特定した座標系に対して所定の座標変換を行って生成した座標系での法線ベクトルを算出して求めることができる。
【0043】
図10は特徴ベクトルの類似度算出の一例を示す模式図である。対象製品の座標系1~6での特徴ベクトルをFV11、FV12、FV13、FV14、FV15、FV16とする。被探索製品の座標系1~6での特徴ベクトルをFV21、FV22、FV23、FV24、FV25、FV26とする。類似度算出部56は、例えば、特徴ベクトルFV11~FV16と、特徴ベクトルFV21の組み合わせ(6通り)について類似度を算出する。類似度は、例えば、コサイン類似度を用いればよい。対象製品の特徴ベクトルと被探索製品の特徴ベクトルとの類似度は、6通りについて求めた類似度のうち最も類似する値を採用することができる。対象製品と被探索製品について同じ座標変換を行った場合には、類似度の算出においては、座標変換を行わない場合と同じになるので、結果として、生成される座標系の数である、6通りの組み合わせを用いればよい。
【0044】
各座標系での特徴ベクトルを抽出し、座標系それぞれでの対象製品と被探索製品との特徴ベクトル同士の類似度を算出することにより、複数の座標系それぞれにおける類似度を算出することになり、精度よく類似度を算出することができる。
【0045】
法線ベクトルは、製品表面のポリゴンの向きを特定するので、特徴ベクトルは、製品表面をポリゴン(三角形)で表現した場合に、ポリゴン表面の向きや同じような向きのポリゴンの数を特徴付ける特徴量とすることができる。これにより、製品の表面の形状や位置等に基づいて製品間の類似度を算出することができる。
【0046】
図9に例示したように、対象製品の特徴ベクトルと類似する被探索製品の特徴ベクトルが特定されると、対象製品と類似する類似製品を特定することができる。制御部51は、関連情報DB64にアクセスすることにより、特定部57で特定した類似製品に関する関連情報を特定することができる。
【0047】
図11は関連情報DB64の構成の一例を示す模式図である。関連情報は、製品名と対応付けて、例えば、見積情報と詳細情報に区分することができる。見積情報は、例えば、見積金額、見積条件などの情報を含む。詳細情報は、例えば、見積日、見積の作成者、商談結果などを含む。製品名を特定すれば、当該製品の見積情報及び詳細情報も特定することができる。なお、関連情報は、図11に例示するものに限定されない。
【0048】
次に、端末装置10での画面表示例について説明する。
【0049】
図12は検索画面の一例を示す模式図である。検索画面は、ユーザが対象製品に類似する類似製品を検索する際に検索要求を物品関連情報探索装置50に対して出力するための画面である。検索画面には、選択された対象製品の図面データのファイル名を表示する表示領域、対象製品の図面データのファイルを選択する選択領域、選択された対象製品の画像を表示する表示領域が表示される。また、対象製品に類似する類似製品を特定する際に、上位の類似度のうち何個を特定するか、又は類似度がいくつ以上のものを特定するかを選択することができる。「検索」アイコンを操作することにより、対象製品の図面データと共に検索要求が物品関連情報探索装置50へ送信される。なお、図示していないが、対象製品の図面データだけを先に物品関連情報探索装置50にアップロードし、後から検索要求を出力してもよい。
【0050】
図13は検索結果の一例を示す模式図である。検索結果は、対象製品に類似する類似製品に関する関連情報を含む。検索結果画面には、類似度の高い順に、順位と類似製品の図面が表示される。図の例では、順位が1位、2位、3位、4位の順に対象製品に類似する製品1、製品2、製品3、製品4を図示している。なお、表示される類似製品の数は、類似度が閾値以上の類似製品を表示してもよく、あるいは類似度が上位のものから所定数の類似製品を表示してもよい。図13に示すように、類似製品の図面とともに、類似製品の図面データのファイル名、類似製品の見積金額、類似度を表示することができる。
【0051】
上述のように、対象製品と類似製品との類似度(厳密には特徴量又は特徴ベクトル同士の類似度)を、類似順位とともに表示するので、ユーザは、対象製品に類似する類似製品を、類似度順に確認することができる。
【0052】
関連情報は、類似製品の図面及び見積情報(例えば、見積金額)を含む。これにより、ユーザは、対象製品に類似する類似製品の図面及び見積情報を容易に検索して確認することができる。また、類似製品の図面を確認することができるので、例えば、類似製品の見積情報を対象製品の見積情報として使用できるのか、あるいは若干の修正作業を要するのかを直ちに把握でき、ユーザの利便性が向上する。
【0053】
また、関連情報は、類似製品が特定された図面データ(ファイル)を含む。これにより、ユーザは、対象製品に類似する類似製品の図面データを最初から生成する必要がなく、類似製品の図面データ(例えば、CADデータ)を活用することができる。例えば、対象製品の設計変更が必要になった場合などに、類似製品の図面データの一部を活用することができる。
【0054】
図13に示すように、「詳細」アイコンを操作することにより、類似製品の詳細情報を表示することができる。詳細情報は、図11に例示したような情報であるが、図11の例に限定されるものではなく、適宜設定すればよい。関連情報が見積情報の場合、詳細情報は、例えば、見積日、見積作成者、見積後の商談結果などを含めてもよい。これにより、ユーザは、類似製品についての詳細な情報を容易に確認することができる。
【0055】
図面データDB61が、例えば、外部のクラウドサービスを利用したデータベースの場合、制御部51は、対象製品の特徴量を抽出して特徴量DB62に記憶した場合、図面データDB61に記憶した対象製品の図面データを破棄してもよい。図面データには、機密情報が含まれる場合もあるので、図面データを破棄することにより、外部のクラウドサービスに図面データが長期に記憶されることを防止し、セキュリティを向上させることができる。
【0056】
制御部51は、対象製品の図面データを取得した場合、取得した図面データに基づいて、対象製品の特徴量を抽出し、抽出した特徴量を特徴量DB62に記憶する。制御部51は、対象製品に類似する類似製品に関する関連情報の出力要求を受け付けたか否かを判定し、出力要求を受け付けた場合、記憶した特徴量を用いて類似製品に関する関連情報を出力することができる。すなわち、関連情報の出力要求を受け付ける前に図面データを取得した場合には、先に特徴量を抽出して記憶しておく。これにより、関連情報の出力要求を受け付けたことをトリガとして特徴量を抽出する場合に比べて、比較的処理時間を要する特徴量抽出を早い段階で完了しておくことができるので、関連情報の出力要求を受け付けてから関連情報を出力するまでの時間を短縮できる。
【0057】
図14は物品関連情報探索装置50による関連情報探索処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下では便宜上、処理の主体を制御部51として説明する。制御部51は、対象製品の図面データを取得し(S11)、取得した図面データに基づいて点群データを生成する(S12)。制御部51は、ポリゴン毎に法線ベクトルを算出し(S13)、群データに対して主成分分析を行い(S14)、対象製品の座標系を特定する。
【0058】
制御部51は、特定した座標系に対して所定の座標変換を行い(S15)、生成された座標系毎の法線ベクトルを算出する(S16)。制御部51は、座標系毎に、法線ベクトルを予め決定された複数のクラスタに分類し、分類結果に基づいて特徴ベクトルを抽出して特徴量DB62に登録する(S17)。
【0059】
制御部51は、端末装置10からの検索要求の有無を判定し(S18)、検索要求が無い場合(S18でNO)、ステップS18の処理を続ける。検索要求があった場合(S18でYES)、制御部51は、抽出した特徴ベクトル(対象製品の特徴ベクトル)と、登録済の製品(探索対象製品)の特徴ベクトルとの類似度を算出する(S19)。
【0060】
制御部51は、算出した類似度に基づいて対象製品に類似する製品(類似製品)を特定し(S20)、関連情報DB64にアクセスして、特定した製品の関連情報を出力し(S21)、処理を終了する。
【0061】
本実施の形態の物品関連情報探索装置50は、CPU(プロセッサ)、ROM及びRAM(メモリ)などを備えた汎用コンピュータを用いて実現することもできる。すなわち、図14に示すような、各処理の手順を定めたコンピュータプログラムをコンピュータに備えられたRAM(メモリ)にロードし、コンピュータプログラムをCPU(プロセッサ)で実行することにより、コンピュータ上で物品関連情報探索装置50を実現することができる。コンピュータプログラムは記録媒体に記録され流通されてもよく、あるいは、ネットワークを介して、コンピュータにインストールされてもよい。
【0062】
本実施の形態では、関連情報として、類似製品に関する見積情報を例に挙げて説明したが、関連情報は見積情報に限定されるものではない。例えば、類似製品についての生産計画、工程管理、検査・検品、類似製品用の金型設計、金型管理、治具設計などの生産工程において必要となる情報を含めてもよく、あるいは製品説明、取扱説明、保守管理などの販売時又は販売以降の段階で必要となる情報であってもよい。
【0063】
本実施の形態では、特徴量の一例として特徴ベクトルを例に挙げて説明したが、特徴量は特徴ベクトルに限定されるものではない。例えば、図面に記載された線図から、線で囲まれる領域が占める面積、領域の重心、輪郭の周囲長などを計算できる特徴モーメントを用いてもよい。また、ニューラルネットワークを使って多数の図面データを学習しておき、ニューラルネットワークにより抽出された特徴量を用いてもよい。この場合、図面データは、2次元CADデータ、PDFデータなどを用いることができる。
【0064】
本実施の形態のコンピュータプログラムは、コンピュータに、第1物品が特定された図面データを取得し、取得した図面データに基づいて、前記第1物品に関する特徴量を抽出し、抽出した前記第1物品に関する特徴量と、予め記憶した複数の第2物品それぞれに関する特徴量との類似度を算出し、算出した類似度に基づいて、記憶した複数の第2物品の中から1又は複数の第2物品を特定し、特定した第2物品に関する関連情報を出力する、処理を実行させる。
【0065】
本実施の形態の物品関連情報探索装置は、第1物品が特定された図面データを取得する取得部と、取得した図面データに基づいて、前記第1物品に関する特徴量を抽出する特徴量抽出部と、複数の第2物品それぞれに関する特徴量を記憶する記憶部と、抽出した前記第1物品に関する特徴量と、記憶した複数の第2物品それぞれに関する特徴量との類似度を算出する算出部と、算出した類似度に基づいて、記憶した複数の第2物品の中から1又は複数の第2物品を特定する特定部と、特定した第2物品に関する関連情報を出力する出力部とを備える。
【0066】
本実施の形態の物品関連情報探索方法は、第1物品が特定された図面データを取得し、取得した図面データに基づいて、前記第1物品に関する特徴量を抽出し、抽出した前記第1物品に関する特徴量と、予め記憶した複数の第2物品それぞれに関する特徴量との類似度を算出し、算出した類似度に基づいて、記憶した複数の第2物品の中から1又は複数の第2物品を特定し、特定した第2物品に関する関連情報を出力する。
【0067】
コンピュータプログラムは、第1物品が特定された図面データを取得する。第1物品は、例えば、新たに設計された物品であり、探索対象の物品である。コンピュータプログラムは、取得した図面データに基づいて、第1物品に関する特徴量を抽出する。特徴量は、多数の物品の中から類似する物品同士を探索できる特徴量であればよい。コンピュータプログラムは、複数の第2物品それぞれに関する特徴量を記憶する。第2物品は、例えば、既に設計された物品であり、特徴量も既に抽出されている物品とすることができる。第2物品は、被探索対象の物品である。
【0068】
コンピュータプログラムは、第1物品の特徴量と、記憶した第2物品それぞれの特徴量との類似度を算出し、算出した類似度に基づいて1又は複数の第2物品を特定する。第2物品を特定する際には、例えば、類似度が閾値以上の第2物品を特定してもよく、あるいは類似度が上位のものから所定数の第2物品を特定してもよい。コンピュータプログラムは、特定した第2物品に関する関連情報を出力する。関連情報は、第1物品を新たに設計した際に、第1物品に関して必要な情報であり、設計者(ユーザ)が、図面データや他のデータを用いて新たに生成する必要がある情報とすることができる。
【0069】
上述の構成により、設計者は、第1物品が特定された図面データを準備するだけで、例えば、過去に設計された複数の第2物品の中から第1物品に類似する第2物品を特定でき、特定した第2物品に関する関連情報が提供される。すなわち、設計者は、第1物品と類似する第2物品の関連情報を取得することができる。取得した関連情報は、第1物品に関する関連情報として代替的に利用することができる。また、設計者は、物品を設計する都度、物品に関する関連情報を最初から生成するための作業が不要となり、提供された関連情報を用いて(例えば、提供された関連情報に対して若干の修正作業を加えるだけで)、第1物品に関する関連情報を生成できるので、設計者の利便性が向上する。
【0070】
本実施の形態のコンピュータプログラムは、コンピュータに、前記第1物品が特定されたCADデータを取得し、取得したCADデータに基づいて点群データを生成し、生成した点群データに基づいて前記第1物品に関する法線ベクトルを算出し、算出した法線ベクトルに基づいて前記第1物品に関する特徴量としての特徴ベクトルを抽出し、抽出した特徴ベクトルと、予め記憶した複数の第2物品に関する特徴ベクトルとの類似度を算出する、処理を実行させる。
【0071】
コンピュータプログラムは、第1物品が特定されたCADデータを取得し、取得したCADデータに基づいて点群データを生成する。点群データは、例えば、XYZ座標において、物品表面の多数の点の集合データであり、物品の表面の位置及び形状を表現することができる。
【0072】
コンピュータプログラムは、生成した点群データに基づいて第1物品に関する法線ベクトルを算出する。例えば、点群データによって特定されるポリゴン(三角形)それぞれの表面に垂直な方向の単位ベクトルを法線ベクトルとすることができる。第1物品の法線ベクトルは、XYZ座標において、原点を始点とする単位ベクトル(原点からの向きが特定されている)の集合となる。
【0073】
コンピュータプログラムは、算出した法線ベクトルに基づいて第1物品に関する特徴量としての特徴ベクトルを抽出する。特徴ベクトルは、第1物品の各法線ベクトルの向き、数などによって特定される分布状態を表すことができる。コンピュータプログラムは、第1物品の特徴ベクトルと、第2物品の特徴ベクトルとの類似度を算出することができる。類似度の算出には、例えば、コサイン類似度を用いることができる。
【0074】
特徴ベクトルは、物品表面をポリゴン(三角形)で表現した場合に、ポリゴン表面の向きや同じような向きのポリゴンの数を特徴付ける特徴量とすることができる。上述の構成により、物品の表面の形状や位置等に基づいて物品間の類似度を算出することができる。
【0075】
本実施の形態のコンピュータプログラムは、コンピュータに、複数の物品に関する法線ベクトルをクラスタリングした複数のクラスタに基づいて、前記第1物品に関する法線ベクトルを分類し、分類結果に基づいて前記第1物品に関する特徴ベクトルを抽出する、処理を実行させる。
【0076】
複数の物品に関する法線ベクトルをクラスタリングして得られた複数のクラスタを予め準備しておく。クラスタリングには、機械学習を用いることができ、複数の物品の法線ベクトル間の類似度に基づいて法線ベクトルを複数のクラスタにグループ分けしておくことができる。複数の物品は、適宜選定すればよい。
【0077】
コンピュータプログラムは、第1物品に関する法線ベクトルを複数のクラスタに分類し、分類結果に基づいて第1物品に関する特徴ベクトルを抽出することができる。例えば、複数のクラスタをC1、C2、C3、C4、C5とする。第1物品の法線ベクトルの集合を{N}とし、クラスタC1~C5それぞれに分類された法線ベクトルの数をn1、n2、n3、n4、n5とする。ここで、{N}=n1+n2+n3+n4+n5である。特徴ベクトルFVは、FV=(n1、n2、n3、n4、n5)で表すことができる。
【0078】
本実施の形態のコンピュータプログラムは、コンピュータに、生成した点群データに対して主成分分析を行って前記第1物品の座標系を特定し、特定した座標系での前記第1物品の法線ベクトルを算出する、処理を実行させる。
【0079】
コンピュータプログラムは、生成した点群データに対して主成分分析を行って第1物品の座標系を特定し、特定した座標系での第1物品の法線ベクトルを算出する。主成分分析は、3次元点群データのばらつき、すなわち分散を最大にするような向きの固有ベクトルの3方向を特定する。主成分分析により、第1物品の座標系(XYZ)を特定する。一般的に、設計者が物品を設計する際の座標系は、設計者が独自に設定することができる。同じ物品であっても、座標系が異なれば、点群データも異なり、法線ベクトルも異なる。そこで、主成分分析により、設計者が採用する座標系に代えて、基準の座標系として、物品の固有の座標系を用いることができ、設計時の座標系の相違を無視することができる。
【0080】
本実施の形態のコンピュータプログラムは、コンピュータに、特定した前記第1物品の座標系に対して所定の座標変換を行って複数の座標系を生成し、生成した各座標系での前記第1物品の法線ベクトルを算出し、算出した法線ベクトルに基づいて、各座標系での特徴ベクトルを抽出し、抽出した特徴ベクトルと、予め記憶した複数の第2物品に関する、前記座標変換によって生成された各座標系での特徴ベクトルとの類似度を算出する、処理を実行させる。
【0081】
コンピュータプログラムは、主成分分析によって特定した第1物品の座標系に対して所定の座標変換を行って複数の座標系を生成する。所定の座標変換は、例えば、特定した座標系XYZに対して、XYZ→YZX変換、XYZ→ZXY変換、前述の3つの座標系それぞれを反転する座標変換を含む。生成される座標系は6通りの座標系とすることができる。
【0082】
コンピュータプログラムは、生成した各座標系での第1物品の法線ベクトルを算出し、算出した法線ベクトルに基づいて、各座標系での特徴ベクトルを抽出する。各座標系での法線ベクトルを算出は、点群データに基づいて算出した法線ベクトルを各座標系における座標軸に射影して求めることができる。コンピュータプログラムは、第1物品の各座標系での特徴ベクトルそれぞれと、予め記憶した複数の第2物品の各座標系での特徴ベクトルそれぞれとの類似度を算出する。
【0083】
第2物品の各座標系での特徴ベクトルも、第1物品と同様に、主成分分析によって特定した座標系、及び特定した座標系に対して所定の座標変換を行って生成した座標系での第2物品の法線ベクトルを算出して求めることができる。
【0084】
各座標系での特徴ベクトルを抽出し、座標系それぞれでの第1物品と第2物品との特徴ベクトル同士の類似度を算出することにより、複数の座標系それぞれにおける類似度を算出することになり、精度よく類似度を算出することができる。
【0085】
本実施の形態のコンピュータプログラムにおいて、前記関連情報は、前記第2物品の図面及び見積情報を含む。
【0086】
関連情報は、第2物品の図面及び見積情報を含む。これにより、設計者は、第1物品と類似する第2物品の図面及び見積情報を容易に探索して確認することができる。また、第2物品の図面を確認することができるので、例えば、第2物品の見積情報を第1物品の見積情報として使用できるのか、あるいは若干の修正作業を要するのかを直ちに把握でき、設計者の利便性が向上する。
【0087】
本実施の形態のコンピュータプログラムにおいて、前記関連情報は、前記第2物品が特定された図面データを含む。
【0088】
関連情報は、第2物品が特定された図面データを含む。これにより、設計者は、第1物品と類似する第2物品の図面データを最初から生成する必要がなく、第2物品の図面データ(例えば、CADデータ)を活用することができる。
【0089】
本実施の形態のコンピュータプログラムは、コンピュータに、前記第1物品に関する特徴量と特定した複数の第2物品の特徴量との各類似度を、類似順位とともに出力する、処理を実行させる。
【0090】
コンピュータプログラムは、第1物品に関する特徴量と特定した複数の第2物品の特徴量との各類似度を、類似順位とともに出力する。これにより、設計者は、第1物品に類似する第2物品を、類似度順に確認することができる。
【0091】
本実施の形態のコンピュータプログラムは、コンピュータに、特定した第2物品に関する詳細情報の出力要求を受け付け、受け付けた出力要求に基づいて前記第2物品に関する詳細情報を出力する、処理を実行させる。
【0092】
コンピュータプログラムは、特定した第2物品に関する詳細情報の出力要求を受け付けると、第2物品に関する詳細情報を出力する。詳細情報は、適宜設定すればよく、例えば、第2物品の関連情報についての詳細情報とすることができる。関連情報が見積情報の場合、詳細情報は、例えば、見積日、見積作成者、見積後の商談結果などを含めてもよい。これにより、設計者は、第1物品と類似する第2物品についての詳細な情報を容易に確認することができる。
【0093】
本実施の形態のコンピュータプログラムは、コンピュータに、前記第1物品に関する特徴量を抽出して記憶した場合、前記第1物品が特定されたCADデータを含む図面データを破棄する、処理を実行させる。
【0094】
コンピュータプログラムは、第1物品に関する特徴量を抽出して記憶した場合、第1物品が特定されたCADデータを含む図面データを破棄する。図面データには、機密情報が含まれる場合もある。そこで、外部のクラウドサービスを利用して、取得したCADデータを含む図面データを記憶する場合には、特徴量を抽出して記憶した後は、記憶した図面データを破棄する。これにより、外部のクラウドサービスに図面データが長期に記憶されることを防止し、セキュリティを向上させることができる。
【0095】
本実施の形態のコンピュータプログラムは、コンピュータに、前記第2物品に関する関連情報の出力要求を受け付ける前に、前記第1物品が特定されたCADデータを含む図面データを取得した場合、取得した図面データに基づいて、前記第1物品の特徴量を抽出して記憶し、前記第2物品に関する関連情報の出力要求を受け付けた場合、記憶した特徴量を用いて、前記第2物品に関する関連情報を出力する、処理を実行させる。
【0096】
コンピュータプログラムは、第1物品が特定されたCADデータを含む図面データを取得した場合、取得した図面データに基づいて、第1物品の特徴量を抽出して記憶する。第2物品に関する関連情報の出力要求を受け付けたか否かを判定し、出力要求を受け付けた場合、記憶した特徴量を用いて第2物品に関する関連情報を出力する。これにより、関連情報の出力要求を受け付ける前に図面データを取得した場合には、先に特徴量を抽出して記憶しておく。これにより、関連情報の出力要求を受け付けたことをトリガとして、特徴量を抽出する場合に比べて、比較的処理時間を要する特徴量抽出を早い段階で完了しておくことができるので、関連情報の出力要求を受け付けてから関連情報を出力するまでの時間を短縮できる。
【符号の説明】
【0097】
1 通信ネットワーク
10 端末装置
50 物品関連情報探索装置
51 制御部
52 データ取得部
53 特徴量抽出部
54 記憶部
55 出力部
56 類似度算出部
57 特定部
61 図面データDB
62 特徴量DB
63 クラスタDB
64 関連情報DB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14