(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073147
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】箱体の製造方法及び箱体用のブランク
(51)【国際特許分類】
B31B 70/62 20170101AFI20220510BHJP
【FI】
B31B70/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020182947
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】000129493
【氏名又は名称】株式会社クラウン・パッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】100093931
【弁理士】
【氏名又は名称】長屋 直樹
(72)【発明者】
【氏名】増田 明浩
【テーマコード(参考)】
3E075
【Fターム(参考)】
3E075AA03
3E075AA05
3E075BA02
3E075CA01
3E075DA15
3E075DA32
3E075DC20
3E075DC43
3E075DC44
3E075DD02
3E075DD45
3E075GA03
3E075GA04
(57)【要約】
【課題】ワンタッチ底を有する箱体で、箱体の側面を形成する側面部の糊代部の下辺が略円弧状である箱体の製造方法において、糊代部の接着を容易に行なうことができる製造方法及び該製造方法に用いる箱体用のブランクを提供する。
【解決手段】ブランク1の糊代部18の下辺18aが円弧状に形成されるとともに、右底面板部22には罫線22kが形成され、右底面板部22の先端をアーム部112により引き上げて、右底面板部22を右側面部12に対して折り曲げる際に、ブランク1の搬送路の上方に固定して設けられた変形部形成部122に接することにより、罫線22kを含む領域を凹状として変形部を形成する。これにより、右底面板部22における糊代部18の下辺に沿った領域が対応する領域と第4側面部間の隙間が広がっていて、糊代部18の下辺18aに沿った領域を右側面部12と右底面板部22の隙間に挿入しやすくなる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワンタッチ底を有する箱体の製造方法であって、
箱体用のブランクで、側面部(5)と、側面部の下辺から連設された底面部(7)を有し、側面部が、糊代部(18)と第1側面部(16)と第2側面部(14)と第3側面部(10)と第4側面部(12)を有し、糊代部、第1側面部、第2側面部、第3側面部、第4側面部の順に折れ線を介して連設され、底面部が、第1側面部から折れ線を介して連設された第1底面板部(26)と、第2側面部から折れ線を介して連設された第2底面板部(24)と、第3側面部から折れ線を介して連設された第3底面板部(20)と、第4側面部から折れ線を介して連設された第4底面板部(22)を有し、糊代部(18)は、略円弧状の下辺(18a)と、該略円弧状の下辺の上端から連設され糊代部と第1側面部間の折れ線である第1折れ線(C1)と略平行な側辺(18b)とを有し、糊代部の下辺に沿った領域は、第1折れ線又は第1折れ線の延長線(C1’)である第1直線と第1側面部と第1底面板部間の折れ線である第2折れ線(17)又は第2折れ線の延長線(17’)である第2直線との交点(P)から第1直線に対して上側に略45度の角度をなす仮想直線(Q)から突出して形成され、第1底面板部は、第1側面部から折れ線を介して連設された第1本体部(26-1)と、第1本体部から折れ線を介して連設された第1先端部(26-2)とを有し、第3底面板部は、第3側面部から折れ線を介して連設された第2本体部(20-1)と、第2本体部から折れ線を介して連設された第2先端部(20-2)とを有し、第4底面板部は、第4底面板部の第3底面板部側とは反対側の辺部で第4側面部と第4底面板部間の折れ線である第3折れ線(13)に対して略45度の角度をなす辺部である傾斜辺(22a)を有し、第4底面板部には、該傾斜辺から第3折れ線と略平行な変形部形成用罫線(22k)が設けられ、該変形部形成用罫線は、箱体の内側となる面からの押罫により形成され、該変形部形成用罫線と傾斜片の接点(J)から第3折れ線までの長さ(L1)は、糊代部の下辺の側辺側の端部(S)から第2折れ線の延長線までの長さ(L2)よりも短く形成され、第3折れ線に沿って罫線が形成され、第3折れ線に沿った該罫線が、箱体の内側となる面からの押罫により形成されている箱体用のブランクにおいて、第1底面板部を第1側面部に対して折り曲げるとともに第1先端部を第1本体部に対して折り曲げ、第3底面板部を第3側面部に対して折り曲げるとともに第2先端部を第2本体部に対して折り曲げ、第2底面板部を第2側面部に対して折り曲げ、第4底面板部を第4側面部に対して折り曲げる底面部折曲げ工程で、第4底面板部の第4側面部に対する折曲げの開始から終了までの期間におけるいずれかの時において、第4底面板部の変形部形成用罫線を含む領域を箱体の内側となる面からみて凹状とすることによる変形部(W)を形成する底面部折曲げ工程と、
糊代部の外側の面に接着剤を塗布するとともに、第2底面板部と第1先端部のいずれかと、第4底面板部と第2先端部のいずれかに接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
第1側面部を第2側面部に対して折り曲げるとともに、第4側面部を第3側面部に対して折り曲げて、第4側面部の内側の面に糊代部を接着するとともに、第2底面板部と第1先端部を接着し、第4底面板部と第2先端部とを接着する接着工程と、
を有することを特徴とする箱体の製造方法。
【請求項2】
ブランクにおいて、変形部形成用罫線の傾斜辺側とは反対側の端部から第4側面部の第3側面部側とは反対側の辺部(D)の延長線までの長さ(L3)は、糊代部の下辺の側辺側の端部(S)から第1折れ線までの長さ(L4)と略同一であることを特徴とする請求項1に記載の箱体の製造方法。
【請求項3】
該変形部形成用罫線と傾斜片の接点(J)から第3折れ線までの長さ(L1)は、糊代部の下辺の側辺側の端部(S)から第2折れ線の延長線までの長さ(L2)の略半分であることを特徴とする請求項1又は2に記載の箱体の製造方法。
【請求項4】
底面部折曲げ工程において、ブランクが搬送手段により底面部側を先頭にするとともに箱体の内側となる面を上側として搬送され、搬送されるブランクの第4底面板部の先端を回動自在に設けられたアーム部によりひっかけた状態でブランクが搬送されることにより、アーム部が第4底面板部の先端をひっかけた状態で上方に回動して、第4底面板部の先端側が引き上げられ、搬送手段により搬送されるブランクの搬送路の上方に固定して設けられた変形部形成部で、ブランクの搬送方向における下流側に棒状部(122-1)を有する変形部形成部(122)における棒状部の下流側の先端部(122a)が、第4底面板部の先端側が引き上げられることにより第4底面板部が第4側面部に対して回動した状態で、第4底面板部の変形部形成用罫線を含む領域に接することにより変形部が形成されることを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の箱体の製造方法。
【請求項5】
ワンタッチ底を有する箱体用のブランクであって、
側面部(5)と、側面部の下辺から連設された底面部(7)を有し、側面部が、糊代部(18)と第1側面部(16)と第2側面部(14)と第3側面部(10)と第4側面部(12)を有し、糊代部、第1側面部、第2側面部、第3側面部、第4側面部の順に折れ線を介して連設され、底面部が、第1側面部から折れ線を介して連設された第1底面板部(26)と、第2側面部から折れ線を介して連設された第2底面板部(24)と、第3側面部から折れ線を介して連設された第3底面板部(20)と、第4側面部から折れ線を介して連設された第4底面板部(22)を有し、
糊代部(18)は、略円弧状の下辺(18a)と、該略円弧状の下辺の上端から連設され糊代部と第1側面部間の折れ線である第1折れ線(C1)と略平行な側辺(18b)とを有し、糊代部の下辺に沿った領域は、第1折れ線又は第1折れ線の延長線(C1’)である第1直線と第1側面部と第1底面板部間の折れ線である第2折れ線(17)又は第2折れ線の延長線(17’)である第2直線との交点(P)から第1直線に対して上側に略45度の角度をなす仮想直線(Q)から突出して形成され、
第1底面板部は、第1側面部から折れ線を介して連設された第1本体部(26-1)と、第1本体部から折れ線を介して連設された第1先端部(26-2)とを有し、
第3底面板部は、第3側面部から折れ線を介して連設された第2本体部(20-1)と、第2本体部から折れ線を介して連設された第2先端部(20-2)とを有し、
第4底面板部は、第4底面板部の第3底面板部側とは反対側の辺部で第4側面部と第4底面板部間の折れ線である第3折れ線(13)に対して略45度の角度をなす辺部である傾斜辺(22a)を有し、第4底面板部には、該傾斜辺から第3折れ線と略平行な変形部形成用罫線(22k)が設けられ、該変形部形成用罫線は、箱体の内側となる面に形成された押罫により形成され、該変形部形成用罫線と傾斜片の接点(J)から第3折れ線までの長さ(L1)は、糊代部の下辺の側辺側の端部(S)から第2折れ線の延長線までの長さ(L2)よりも短く形成され、第3折れ線に沿って罫線が形成され、第3折れ線に沿った該罫線が、箱体の内側となる面に形成された押罫により形成されていることを特徴とする箱体用のブランク。
【請求項6】
ブランクにおいて、変形部形成用罫線の傾斜辺側とは反対側の端部から第4側面部の第3側面部側とは反対側の辺部(D)の延長線までの長さ(L3)は、糊代部の下辺の側辺側の端部(S)から第1折れ線までの長さ(L4)と略同一であることを特徴とする請求項5に記載の箱体用のブランク。
【請求項7】
該変形部形成用罫線と傾斜片の接点(J)から第3折れ線までの長さ(L1)は、糊代部の下辺の側辺側の端部(S)から第2折れ線の延長線までの長さ(L2)の略半分であることを特徴とする請求項5又は6に記載の箱体用のブランク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱体の製造方法と該製造方法に用いるブランクに関するものであり、特に、ワンタッチ底を有する箱体の製造方法と、該製造方法に用いるブランクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、箱体の側面部を扁平状に畳んだ状態で底面部が折り畳まれ、側面部を広げることにより底面部が略平板状に形成される、いわゆるワンタッチ底が知られている。
【0003】
このワンタッチ底を有する箱体用のブランクの例としては、
図12に示すブランク201が挙げられ、ブランク201は、側面部205と、側面部205の下辺から連設された底面部207と、側面部205の上辺から連設された右フラップ部230及び左フラップ部232と、蓋部240とを有し、側面部205は、前側面部210と、右側面部212と、左側面部214と、後側面部216と、糊代部218とを有し、蓋部240は、蓋部本体242と、先端部244とを有している。また、底面部207は、前側面部210から連設された前底面板部220と、右側面部212から連設された右底面板部222と、左側面部214から連設された左底面板部224と、後側面部216から連設された後底面板部226とを有し、前底面板部220は、本体部220-1と、先端部220-2とを有し、後底面板部226は、本体部226-1と、先端部226-2とを有している。なお、ブランク201の展開状態においては、右底面板部222と左底面板部224とは同大同形状に形成され、前底面板部220と後底面板部226とは同大同形状に形成されていて、右底面板部222においては、右側面部212と右底面板部222間の折れ線213(右側面部212の下辺としてもよい)の前側面部210側とは反対側の端部(下辺の一方の側の端部)の側から直線状の辺部222aが設けられ、この辺部222aと右側面部212の折れ線213とがなす角度は45度となっている。つまり、辺部222aは、折れ線213の方向に対して傾斜している。
【0004】
ここで、
図12に示すブランク201の糊代部218においては、糊代部218の下辺218aが、後側面部216と糊代部218間の折れ線C1に対して45度の角度を有しており、このように、ワンタッチ底を有する箱体において、糊代部の下辺が糊代部と隣接する側面部(後側面部)との間の折れ線に対して45度をなす構成とするのが一般的である。
【0005】
つまり、
図12に示すブランク201、すなわち、展開状態の箱体の底面部207を組み立てる、すなわち、底貼りするには、
図13に示すように、底面部207を構成する各部を折り曲げ、右底面板部222と左底面板部224と糊代部218に接着剤を塗布した状態で、右側面部212を前側面部210に対して折り曲げ、後側面部216を左側面部214に対して折り曲げることにより、糊代部218が右側面部212の内側の面に接着され、右底面板部222が先端部220-2に接着され、左底面板部224が先端部226-2に接着されて、
図14に示す状態となる。
【0006】
糊代部218の下辺218aは折れ線C1に対して45度をなし、辺部222aは折れ線213に対して45度をなすので、
図14に示す状態では、下辺218aは、辺部222aに沿った状態となっていて、糊代部218と右底面板部222とは重ならないので、糊代部218を右側面部212の内側の面に接着させるのに、特に支障はない。
【0007】
ここで、
図15に示すように、側面部305の上下方向の長さが短い場合には、必然的に糊代部318の長さも短くなり、糊代部318の面積が小さくなるので、糊代部318全体としての接着力が弱くなり、特に、糊代部318の下辺318aの後側面部316と糊代部318間の折れ線C1に対する角度が45度であるので、糊代部318の下端にいくほど接着力が弱くなり、また、糊代部318への接着剤の塗布に際しては、折れ線C1に近接した領域までは塗布しないので、糊代部318の下端領域は接着できないという問題がある。
【0008】
なお、
図15に示す箱体用のブランク301は、側面部305の上下方向の長さが短い点以外はブランク201と同様の構成であり、ブランク301は、側面部305と、側面部305の下辺から連設された底面部307と、側面部305の上辺から連設された右フラップ部330及び左フラップ部332と、蓋部340とを有し、側面部305は、前側面部310と、右側面部312と、左側面部314と、後側面部316と、糊代部318とを有し、蓋部340は、蓋部本体342と、先端部344とを有している。また、底面部307は、前底面板部320と、右底面板部322と、左底面板部324と、後底面板部326とを有し、前底面板部320は、本体部320-1と、先端部320-2とを有し、後底面板部326は、本体部326-1と、先端部326-2とを有している。また、右底面板部322の辺部222aと右側面部212の下辺とがなす角度は45度であり、糊代部318の下辺318aと折れ線C1とがなす角度は45度となっている。
【0009】
そこで、側面部の糊代部の下辺を略円弧状に形成したものが知られており、これにより、糊代部の下端領域の接着領域を大きくして、ワンタッチ底を有する箱体で側面部の上下方向の長さが短い箱体の場合に糊代部の接着力を向上させることができる。つまり、
図16に示す箱体用のブランク301’のように、糊代部318’の下辺318’aを略円弧状に形成する。
図16に示すブランク301’は、糊代部318’の下辺318’aが略円弧状をしている以外は、
図15に示すブランク301と同様である。
【0010】
なお、このように側面部の糊代部の下辺を略円弧状に形成した例を示す先行技術文献として、特許文献1の計量枡がある。
【0011】
この
図16に示すブランク301’の底面部307を底貼りする工程は、ブランク201の場合と同様であり、
図17(a)に示すように、底面部307を構成する各部を折り曲げ、右底面板部322と左底面板部324と糊代部318’に接着剤を塗布した状態で、右側面部312を前側面部310に対して折り曲げ、後側面部316を左側面部314に対して折り曲げることにより、糊代部318’が右側面部312の内側の面に接着されて、
図17(b)に示す状態とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、
図17(b)に示すように、糊代部318’の一部が右底面板部322と重なった状態になるので、
図15(a)の状態から
図15(b)の状態にする際に、糊代部318’を右側面部312と右底面板部322の間に挿入させる必要があり、箱体の製造装置で製造する場合には、右側面部312を前側面部310に対して折り曲げるタイミングと、後側面部316を左側面部314に対して折り曲げるタイミングを緻密に調整しなければならないという問題があった。
【0014】
そこで、ワンタッチ底を有する箱体で、箱体の側面を形成する側面部の糊代部の下辺が略円弧状である箱体の製造方法において、糊代部の接着を容易に行なうことができる製造方法及び該製造方法に用いる箱体用のブランクを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記問題点を解決するために創作されたものであって、第1には、ワンタッチ底を有する箱体の製造方法であって、箱体用のブランク(箱体用のシート状のブランクとしてもよい)で、側面部(5)と、側面部の下辺から連設された底面部(7)を有し、側面部が、糊代部(18)と第1側面部(16)と第2側面部(14)と第3側面部(10)と第4側面部(12)を有し、糊代部、第1側面部、第2側面部、第3側面部、第4側面部の順に折れ線を介して連設され、底面部が、第1側面部から折れ線を介して連設された第1底面板部(26)と、第2側面部から折れ線を介して連設された第2底面板部(24)と、第3側面部から折れ線を介して連設された第3底面板部(20)と、第4側面部から折れ線を介して連設された第4底面板部(22)を有し、糊代部(18)は、略円弧状の下辺(18a)と、該略円弧状の下辺の上端から連設され糊代部と第1側面部間の折れ線である第1折れ線(C1)と略平行な側辺(18b)とを有し、糊代部の下辺に沿った領域は、第1折れ線又は第1折れ線の延長線(C1’)である第1直線と第1側面部と第1底面板部間の折れ線である第2折れ線(17)又は第2折れ線の延長線(17’)である第2直線との交点(P)から第1直線に対して上側に略45度の角度をなす仮想直線(Q)から突出して形成され、第1底面板部は、第1側面部から折れ線を介して連設された第1本体部(26-1)と、第1本体部から折れ線を介して連設された第1先端部(26-2)とを有し、第3底面板部は、第3側面部から折れ線を介して連設された第2本体部(20-1)と、第2本体部から折れ線を介して連設された第2先端部(20-2)とを有し、第4底面板部は、第4底面板部の第3底面板部側とは反対側の辺部で第4側面部と第4底面板部間の折れ線である第3折れ線(13)に対して略45度の角度をなす辺部である傾斜辺(22a)を有し、第4底面板部には、該傾斜辺から第3折れ線と略平行な変形部形成用罫線(22k)が設けられ、該変形部形成用罫線は、箱体の内側となる面からの押罫により形成され、該変形部形成用罫線と傾斜片の接点(J)から第3折れ線までの長さ(L1)は、糊代部の下辺の側辺側の端部(S)から第2折れ線の延長線までの長さ(L2)よりも短く形成され、第3折れ線に沿って罫線が形成され、第3折れ線に沿った該罫線が、箱体の内側となる面からの押罫により形成されている箱体用のブランクにおいて、第1底面板部を第1側面部に対して折り曲げるとともに第1先端部を第1本体部に対して折り曲げ、第3底面板部を第3側面部に対して折り曲げるとともに第2先端部を第2本体部に対して折り曲げ、第2底面板部を第2側面部に対して折り曲げ、第4底面板部を第4側面部に対して折り曲げる底面部折曲げ工程で、第4底面板部の第4側面部に対する折曲げの開始から終了までの期間におけるいずれかの時において、第4底面板部の変形部形成用罫線を含む領域を箱体の内側となる面からみて凹状とすることによる変形部(W)を形成する底面部折曲げ工程と、糊代部の外側の面に接着剤を塗布するとともに、第2底面板部と第1先端部のいずれかと、第4底面板部と第2先端部のいずれかに接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、第1側面部を第2側面部に対して折り曲げるとともに、第4側面部を第3側面部に対して折り曲げて、第4側面部の内側の面に糊代部を接着するとともに、第2底面板部と第1先端部を接着し、第4底面板部と第2先端部とを接着する接着工程と、を有することを特徴とする。
【0016】
第1の構成においては、底面部折曲げ工程において、第4底面板部に変形部を形成するので、接着工程で、糊代部を第4側面部に接着する際に、第4側面部と第4底面板部間の隙間、具体的には、第4底面板部における糊代部の下辺に沿った領域が対応する領域と第4側面部間の隙間が広がっていて、糊代部、特に、下辺に沿った領域を第4側面部と第4底面板部の隙間に挿入しやすく、第4側面部と第1側面部を折り曲げるタイミングを緻密に調整する必要がなく、容易に糊代部の接着を行なうことができる。
【0017】
特に、第3折れ線に沿った罫線が箱体の内側となる面からの押罫により形成されているので、箱体の外側となる面からの押罫の場合に比べて、第4底面板部が第4側面部に対して折れ曲がりやすく、第4側面部と第4底面板部間の隙間が狭くなる傾向にあることから、変形部により隙間を広げることにより、糊代部を第4側面部と第4底面板部間の隙間に挿入しやすくすることができる。
【0018】
なお、上記第1の構成において、第1折れ線に沿って第1罫線が形成され、第2折れ線に沿って第2罫線が形成され、第3折れ線に沿って第3罫線が形成され、第1側面部と第2側面部間の折れ線に沿って第4罫線が形成され、第2側面部と第3側面部間の折れ線に沿って第5罫線が形成され、第3側面部と第4側面部間の折れ線に沿って第6罫線が形成され、第2側面部と第2底面板部間の折れ線に沿って第7罫線が形成され、第3側面部と第2本体部間の折れ線に沿って第8罫線が形成され、第1本体部と第1先端部間の折れ線に沿って第9罫線が形成され、第2本体部と第2先端部間の折れ線に沿って第10罫線が形成され、第1罫線と第2罫線と第3罫線と第4罫線と第5罫線と第6罫線と第7罫線と第8罫線と第9罫線と第10罫線は、箱体の内側となる面からの押罫により形成されていることを特徴とするものとしてもよい。
【0019】
また、第2には、上記第1の構成において、ブランクにおいて、変形部形成用罫線の傾斜辺側とは反対側の端部から第4側面部の第3側面部側とは反対側の辺部(D)の延長線までの長さ(L3)は、糊代部の下辺の側辺側の端部(S)から第1折れ線までの長さ(L4)と略同一であることを特徴とする。
【0020】
よって、変形部の変形部形成用罫線の方向の長さを少なくとも糊代部の幅よりも長くできるので、接着工程において、糊代部を変形部内に入り込みやすくすることができる。
【0021】
また、第3には、上記第1又は第2の構成において、該変形部形成用罫線と傾斜片の接点(J)から第3折れ線までの長さ(L1)は、糊代部の下辺の側辺側の端部(S)から第2折れ線の延長線までの長さ(L2)の略半分であることを特徴とする。
【0022】
よって、変形部における第3折れ線と直角方向における中央位置を、糊代部の第1折れ線に沿った方向における中央位置と略一致させることができ、糊代部の下辺に沿った領域が変形部により入り込みやすくなる。
【0023】
また、第4には、上記第1から第3までのいずれかの構成において、底面部折曲げ工程において、ブランクが搬送手段により底面部側を先頭にするとともに箱体の内側となる面を上側として搬送され、搬送されるブランクの第4底面板部の先端を回動自在に設けられたアーム部によりひっかけた状態でブランクが搬送されることにより、アーム部が第4底面板部の先端をひっかけた状態で上方に回動して、第4底面板部の先端側が引き上げられ、搬送手段により搬送されるブランクの搬送路の上方に固定して設けられた変形部形成部で、ブランクの搬送方向における下流側に棒状部(122-1)を有する変形部形成部(122)における棒状部の下流側の先端部(122a)が、第4底面板部の先端側が引き上げられることにより第4底面板部が第4側面部に対して回動した状態で、第4底面板部の変形部形成用罫線を含む領域に接することにより変形部が形成されることを特徴とする。
【0024】
よって、変形部形成部をブランクの搬送路の上方に固定して設けるのみで、第4底面板部の先端側がアーム部により引き上げられる点を利用して、変形部を形成することができるので、低コストで変形部を形成する構成を実現することができる。
【0025】
また、第5には、ワンタッチ底を有する箱体用のブランク(箱体用のシート状のブランクとしてもよい)であって、側面部(5)と、側面部の下辺から連設された底面部(7)を有し、側面部が、糊代部(18)と第1側面部(16)と第2側面部(14)と第3側面部(10)と第4側面部(12)を有し、糊代部、第1側面部、第2側面部、第3側面部、第4側面部の順に折れ線を介して連設され、底面部が、第1側面部から折れ線を介して連設された第1底面板部(26)と、第2側面部から折れ線を介して連設された第2底面板部(24)と、第3側面部から折れ線を介して連設された第3底面板部(20)と、第4側面部から折れ線を介して連設された第4底面板部(22)を有し、糊代部(18)は、略円弧状の下辺(18a)と、該略円弧状の下辺の上端から連設され糊代部と第1側面部間の折れ線である第1折れ線(C1)と略平行な側辺(18b)とを有し、糊代部の下辺に沿った領域は、第1折れ線又は第1折れ線の延長線(C1’)である第1直線と第1側面部と第1底面板部間の折れ線である第2折れ線(17)又は第2折れ線の延長線(17’)である第2直線との交点(P)から第1直線に対して上側に略45度の角度をなす仮想直線(Q)から突出して形成され、第1底面板部は、第1側面部から折れ線を介して連設された第1本体部(26-1)と、第1本体部から折れ線を介して連設された第1先端部(26-2)とを有し、第3底面板部は、第3側面部から折れ線を介して連設された第2本体部(20-1)と、第2本体部から折れ線を介して連設された第2先端部(20-2)とを有し、第4底面板部は、第4底面板部の第3底面板部側とは反対側の辺部で第4側面部と第4底面板部間の折れ線である第3折れ線(13)に対して略45度の角度をなす辺部である傾斜辺(22a)を有し、第4底面板部には、該傾斜辺から第3折れ線と略平行な変形部形成用罫線(22k)が設けられ、該変形部形成用罫線は、箱体の内側となる面に形成された押罫により形成され、該変形部形成用罫線と傾斜片の接点(J)から第3折れ線までの長さ(L1)は、糊代部の下辺の側辺側の端部(S)から第2折れ線の延長線までの長さ(L2)よりも短く形成され、第3折れ線に沿って罫線が形成され、第3折れ線に沿った該罫線が、箱体の内側となる面に形成された押罫により形成されていることを特徴とする。
【0026】
第5の構成においては、ブランクを製函する際に、底面部を折り曲げる底面部折曲げ工程において、第4底面板部の変形部形成用罫線を含む領域を箱体の内側となる面からみて凹状とすることによる変形部(W)を形成することにより、糊代部と第4側面部を接着するとともに、第2底面板部を第1先端部に接着し、第4底面板部を第2先端部に接着させる接着工程で、糊代部を第4側面部に接着する際に、第4側面部と第4底面板部間の隙間、具体的には、第4底面板部における糊代部の下辺に沿った領域が対応する領域と第4側面部間の隙間が広がっていて、糊代部、特に、下辺に沿った領域を第4側面部と第4底面板部の隙間に挿入しやすく、第4側面部と第1側面部を折り曲げるタイミングを緻密に調整する必要がなく、容易に糊代部の接着を行なうことができる。特に、第4底面板部には、変形部形成用罫線が形成されているので、変形部形成用罫線を含む領域を押すことにより変形部を形成しやすくできる。
【0027】
特に、第3折れ線に沿った罫線が箱体の内側となる面に形成された押罫により形成されているので、箱体の外側となる面に形成された押罫の場合に比べて、第4底面板部が第4側面部に対して折れ曲がりやすく、第4側面部と第4底面板部間の隙間が狭くなる傾向にあることから、変形部により隙間を広げることにより、糊代部を第4側面部と第4底面板部間の隙間に挿入しやすくすることができる。
【0028】
なお、上記第5の構成において、第1折れ線に沿って第1罫線が形成され、第2折れ線に沿って第2罫線が形成され、第3折れ線に沿って第3罫線が形成され、第1側面部と第2側面部間の折れ線に沿って第4罫線が形成され、第2側面部と第3側面部間の折れ線に沿って第5罫線が形成され、第3側面部と第4側面部間の折れ線に沿って第6罫線が形成され、第2側面部と第2底面板部間の折れ線に沿って第7罫線が形成され、第3側面部と第2本体部間の折れ線に沿って第8罫線が形成され、第1本体部と第1先端部間の折れ線に沿って第9罫線が形成され、第2本体部と第2先端部間の折れ線に沿って第10罫線が形成され、第1罫線と第2罫線と第3罫線と第4罫線と第5罫線と第6罫線と第7罫線と第8罫線と第9罫線と第10罫線は、箱体の内側となる面に形成された押罫により形成されていることを特徴とするものとしてもよい。
【0029】
また、第6には、上記第5の構成において、ブランクにおいて、変形部形成用罫線の傾斜辺側とは反対側の端部から第4側面部の第3側面部側とは反対側の辺部(D)の延長線までの長さ(L3)は、糊代部の下辺の側辺側の端部(S)から第1折れ線までの長さ(L4)と略同一であることを特徴とする。
【0030】
よって、変形部の変形部形成用罫線の方向の長さを少なくとも糊代部の幅よりも長くできるので、接着工程において、糊代部を変形部内に入り込みやすくすることができる。
【0031】
また、第7には、上記第5又は第6の構成において、該変形部形成用罫線と傾斜片の接点(J)から第3折れ線までの長さ(L1)は、糊代部の下辺の側辺側の端部(S)から第2折れ線の延長線までの長さ(L2)の略半分であることを特徴とする。
【0032】
よって、変形部における第3折れ線と直角方向における中央位置を、糊代部の第1折れ線に沿った方向における中央位置と略一致させることができ、糊代部の下辺に沿った領域が変形部により入り込みやすくなる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に基づく箱体の製造方法によれば、底面部折曲げ工程において、第4底面板部に変形部を形成するので、接着工程で、糊代部を第4側面部に接着する際に、第4側面部と第4底面板部間の隙間、具体的には、第4底面板部における糊代部の下辺に沿った領域が対応する領域と第4側面部間の隙間が広がっていて、糊代部、特に、下辺に沿った領域を第4側面部と第4底面板部の隙間に挿入しやすく、第4側面部と第1側面部を折り曲げるタイミングを緻密に調整する必要がなく、容易に糊代部の接着を行なうことができる。
【0034】
特に、第3折れ線に沿った罫線が箱体の内側となる面からの押罫により形成されているので、箱体の外側となる面からの押罫の場合に比べて、第4底面板部が第4側面部に対して折れ曲がりやすく、第4側面部と第4底面板部間の隙間が狭くなる傾向にあることから、変形部により隙間を広げることにより、糊代部を第4側面部と第4底面板部間の隙間に挿入しやすくすることができる。
【0035】
また、本発明に基づく箱体用のブランクによれば、ブランクを製函する際に、底面部を折り曲げる底面部折曲げ工程において、第4底面板部に変形部を形成することにより、糊代部と第4側面部を接着するとともに、第2底面板部を第1先端部に接着し、第4底面板部を第2先端部に接着させる接着工程で、糊代部を第4側面部に接着する際に、第4側面部と第4底面板部間の隙間、具体的には、第4底面板部における糊代部の下辺に沿った領域が対応する領域と第4側面部間の隙間が広がっていて、糊代部、特に、下辺に沿った領域を第4側面部と第4底面板部の隙間に挿入しやすく、第4側面部と第1側面部を折り曲げるタイミングを緻密に調整する必要がなく、容易に糊代部の接着を行なうことができる。特に、第4底面板部には、変形部形成用罫線が形成されているので、変形部形成用罫線を含む領域を押すことにより変形部を形成しやすくできる。
【0036】
特に、第3折れ線に沿った罫線が箱体の内側となる面に形成された押罫により形成されているので、箱体の外側となる面に形成された押罫の場合に比べて、第4底面板部が第4側面部に対して折れ曲がりやすく、第4側面部と第4底面板部間の隙間が狭くなる傾向にあることから、変形部により隙間を広げることにより、糊代部を第4側面部と第4底面板部間の隙間に挿入しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】ブランクを箱体の外側の面から見た平面図である。
【
図2】ブランクを箱体の内側の面から見た平面図である。
【
図4】ブランクを用いた箱体の製造方法を示すフローチャートである。
【
図5】ブランクを用いた箱体の製造方法を示す平面図である。
【
図6】ブランクを用いた箱体の製造方法を示す平面図である。
【
図7】ブランクを用いた箱体の製造方法を示す側面図である。
【
図8】変形部が形成された右底面板部を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は右側面図であり、(c)は左側面図であり、(d)は正面図であり、(e)は背面図であり、(f)は(a)におけるA-A断面図である。
【
図9】糊代部を右側面図に接着する直前の状態を示す平面図である。
【
図10】糊代部を右側面図に接着する直前の状態を示す背面図である。
【
図11】
図10において、Bの方向から見た状態を示す斜視図である。
【
図12】従来の箱体用のブランクを示す平面図である。
【
図13】
図12のブランクを用いた箱体の製造方法を示す平面図である。
【
図14】
図12のブランクを用いた箱体の製造方法を示す平面図である。
【
図15】従来の箱体用のブランクを示す平面図である。
【
図16】従来の箱体用のブランクを示す平面図である。
【
図17】
図16のブランクを用いた箱体の製造方法を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明においては、ワンタッチ底を有する箱体で、箱体の側面を形成する側面部の糊代部の下辺が略円弧状である箱体の製造方法において、糊代部の接着を容易に行なうことができる製造方法及び該製造方法に用いる箱体用のブランクを提供するという目的を以下のようにして実現した。
【0039】
本発明に基づく箱体の底面部の製造方法を実現するための箱体用のブランク1は、シート状のブランクであり、
図1、
図2に示すように構成され、ブランク1は、側面部5と、側面部5の下辺から連設された底面部7と、側面部5の上辺から連設された右フラップ部30及び左フラップ部32と、蓋部40とを有し、側面部5は、前側面部(第3側面部)10と、右側面部(第4側面部)12と、左側面部(第2側面部)14と、後側面部(第1側面部)16と、糊代部18とを有し、蓋部40は、蓋部本体42と、先端部44とを有している。
【0040】
また、ブランク1は、箱体を製造するためにシート状部材を打ち抜いて形成したものであり、段ボール製(例えば、薄型段ボール製)である。つまり、ブランク1から製造される箱体は、段ボール材(特に、両面段ボール材)により形成された箱体である。
【0041】
ブランク1において、側面部5の下辺(底面部7との境界線)、すなわち、前側面部10と前底面板部20間の折れ線(第8折れ線)11と、右側面部12と右底面板部22間の折れ線(第3折れ線)13と、左側面部14と左底面板部24間の折れ線(第7折れ線)15と、後側面部16と後底面板部26間の折れ線17は、1つの直線上に形成されている。
【0042】
また、糊代部18と後側面部16間の折れ線(第1折れ線)C1と、後側面部16と左側面部14間の折れ線(第4折れ線)C2と、左側面部14と前側面部10間の折れ線(第5折れ線)C3と、前側面部10と右側面部12間の折れ線(第6折れ線)C4は、互いに平行で、側面部5の下辺の方向に対して直角となっている。
【0043】
なお、前側面部10の横方向の長さ(折れ線C3と折れ線C4間の長さ)と後側面部16の横方向の長さ(折れ線C1と折れ線C2間の長さ)は同一に形成され、右側面部12の横方向の長さ(折れ線C4と右側面部12の折れ線C4とは反対側の辺部D間の長さ)と左側面部14の横方向の長さ(折れ線C2と折れ線C3間の長さ)は略同一であるが、右側面部12の横方向の長さが、左側面部14の横方向の長さよりも若干短く形成されている。なお、右側面部12の横方向の長さと左側面部14の横方向の長さを同一としてもよい。
【0044】
また、糊代部18は、折れ線C1と、折れ線C1の下端から連設されたから下辺18aと、下辺18aから連設された側辺18bと、側辺18bから連設された上辺18cに囲まれた形状を呈している。下辺18aは、円弧状(略円弧状としてもよい)を呈していて、糊代部18の下端領域は、下方に向けて円弧状に膨出している。側辺18bは、折れ線C1と平行(略平行としてもよい)の直線状を呈し、上辺18cは、折れ線C1に対して鋭角に傾斜した(つまり、側辺18b側に行くほど下方となるように傾斜している)直線状を呈している。
【0045】
下辺18aの下端(折れ線C1との接点)における接線は、折れ線17と平行な方向であり、下辺18aの上端(側辺18bとの接点)における接線は、側辺18bの方向となっている。つまり、下辺18aは、1/4円弧状となっている。
【0046】
糊代部18の下辺18aは、円弧状であるので、糊代部18(特に、糊代部18の下辺18aに沿った領域)は、折れ線C1の延長線C1’(第1直線)と折れ線17の延長線17’(第2直線)の交点Pから第1直線に対して上側に45度(略45度としてもよい)の角度をなす(つまり、αが45度)仮想直線Qから斜め下方に突出して形成されている。つまり、製函された箱体において、箱体を扁平状に折り畳んだ状態では、右底面板部22の辺部22aが仮想直線Qに沿った状態となるので、糊代部18と右底面板部22とが重なった状態となる(
図6(e)参照)。
【0047】
なお、
図3の例では、折れ線C1が高さ方向において折れ線17の位置まで形成されておらず、折れ線17が横方向において折れ線C1の位置まで形成されていないので、交点Pは、折れ線C1の延長線C1’と折れ線17の延長線17’の交点であるが、
図3において、折れ線C1が高さ方向において折れ線17の位置までに形成され、折れ線17が横方向において折れ線C1の位置まで形成されていない場合には、交点Pは、折れ線17の延長線と折れ線C1の交点であり、折れ線17が横方向において折れ線C1の位置まで形成され、折れ線C1が高さ方向において折れ線17の位置までに形成されていない場合には、交点Pは、折れ線C1の延長線と折れ線17の交点であり、折れ線C1が高さ方向において折れ線17の位置までに形成され、折れ線17が横方向において折れ線C1の位置まで形成されている場合には、交点Pは、折れ線17と折れ線C1の交点となる。つまり、交点Pは、折れ線C1又は折れ線C1の延長線である第1直線と折れ線17と折れ線17の延長線である第2直線の交点である。
【0048】
また、底面部7は、前側面部10から折れ線11を介して連設された前底面板部(第3底面板部)20と、右側面部12から折れ線13を介して連設された右底面板部(第4底面板部)22と、左側面部14から折れ線15を介して連設された左底面板部(第2底面板部)24と、後側面部16から折れ線(第2折れ線)17を介して連設された後底面板部(第1底面板部)26とを有し、前底面板部20は、本体部(第2本体部)20-1と、先端部(第2先端部)20-2とを有し、後底面板部26は、本体部(第1本体部)26-1と、先端部(第1先端部)26-2とを有している。
【0049】
なお、右底面板部22は、直線状の辺部(傾斜辺)22aと、辺部22aの端部から連設された直線状の辺部22bと、辺部22bの端部から連設された略円弧状の辺部22cと、辺部22cの端部から連設された直線状の辺部22dとを有し、辺部22aは、右底面板部22の前底面板部20側とは反対側の辺部であり、折れ線13に対して傾斜していて、辺部22aは、折れ線13の方向に対して45度(略45度としてもよい)の角度をなし、辺部22bは、折れ線13と略平行であり、辺部22dは、折れ線13に対して傾斜していて、辺部22dは、折れ線13に対して鋭角をなしている。
【0050】
また、右底面板部22においては、右側面部12が糊代部18と接着することから、右側面部12の横方向の長さが、左側面部14の横方向の長さよりも若干短く形成されている関係から、折れ線13の端部と辺部22aの端部の間に、右側面部12の折れ線C4とは反対側の辺部Dの延長線である辺部22eが設けられ、折れ線C4と辺部D間の長さが折れ線C2と折れ線C3間の長さと同一と仮定し、折れ線13もその分長くなると仮定した場合には、辺部22aの延長線は、折れ線13の背面側の端部(辺部Dの下端としてもよい)に接するように形成されている。
【0051】
さらに、右底面板部22においては、辺部22aにおける辺部22e側の位置からは、折れ線13と平行な罫線(変形部形成用罫線)22kが形成されている。この罫線22kは、ブランク1により形成される箱体の内側となる面側から押圧した押罫により形成されている。つまり、
図2に示す側から押圧した押罫により罫線22kが形成されている。
【0052】
ここで、罫線22kの具体的な形成位置は、罫線22kと辺部22aの接点Jから折れ線13までの長さL1(罫線22kと折れ線13間の長さL1としてもよい)が、糊代部18の略円弧状の下辺18aの側辺18b側の端部S(下辺18aの上端(下辺18aと側辺18bとの接点))から折れ線17の延長線までの長さL2(つまり、折れ線C1の方向に沿った長さ)よりも短く形成され(つまり、L1<L2)、長さL1が長さL2の略半分となっている(つまり、L1≒L2/2)。つまり、罫線22kの位置を変形部形成ユニット120(後述)により押して、罫線22kを含む領域を凹状とすることにより変形部W(
図8参照)が形成されるが(後述)、糊代部18を右側面部12の内側の面に接着させる際(特に、
図9~
図11(後述)の状態から糊代部18を右側面部12と右底面板部22間の隙間に挿入させる際)に、L1<L2とすることにより、右底面板部22における糊代部18の位置に対応する領域に変形部が形成されることにより、糊代部18の下辺18aに沿った領域が変形部W内に入り込みやすく、特に、L1≒L2/2とすることにより、変形部Wにおける折れ線13と直角方向における中央位置を、糊代部18の折れ線C1に沿った方向における中央位置と略一致させることができ、糊代部18の下辺18aに沿った領域が変形部W内により入り込みやすくなる。
【0053】
また、罫線22kにおける辺部22aとは反対側の端部から右側面部12の辺部Dの延長線までの長さL3は、糊代部18の下辺18aの上端から折れ線C1までの長さ(糊代部18の横方向の長さ(折れ線C1と側辺18b間の長さ)としてもよい)L4と同一(略同一としてもよい)となっている。これにより、変形部Wの長さ(横方向(罫線22kの方向)の長さ)を少なくとも長さL3の長さとすることができるので(
図8参照)、糊代部18を右側面部12の内側の面に接着させる際(特に、
図9~
図11(後述)の状態から糊代部18を右側面部12と右底面板部22間の隙間に挿入させる際)に、糊代部18を変形部W内に入り込みやすくしている。
【0054】
また、左底面板部24は、右底面板部22と略同一の構成であるが、辺部24aと、辺部24bと、辺部24cと、辺部24dとを有し、辺部22eに対応する辺部は設けられておらず、また、罫線22kに対応する罫線は設けられていない。なお、辺部24aは、折れ線15の方向に対して45度(略45度としてもよい)の角度をなしている。
【0055】
なお、変形部Wが形成されることにより、右底面板部22の内側となる面には凹状の凹部Uが形成されるので、当然、反対側の外側となる面には、凸状の凸部Vが形成される(
図8参照)。罫線22kは、横長に形成されていて、変形部Wは罫線22kに沿って形成されるので、変形部Wも基本的に横長の形状となる。なお、罫線22kは、箱体の内側となる面側から押圧した押罫により形成されているので、右底面板部22の内側の面に変形部Wを形成しやすいといえる。つまり、罫線22kを箱体の外側となる面から押圧した押罫により形成する場合に比べて、変形部Wを形成しやすい。
【0056】
また、前底面板部20と後底面板部26とは同大同形状に形成されていて、前底面板部20は、本体部20-1と、本体部20-1から折れ線(第10折れ線)20aを介して連設された先端部20-2とを有し、先端部20-2の内側の面が右底面板部22の外側の面に接着される。なお、折れ線20aの延長線は、折れ線C4の延長線と折れ線11の延長線の接点を通るように構成されている。また、後底面板部26は、本体部26-1と、本体部26-1から折れ線(第9折れ線)26aを介して連設された先端部26-2とを有し、先端部26-2の内側の面が左底面板部24の外側の面に接着される。なお、折れ線26aの延長線は、折れ線C2の延長線と折れ線17の延長線の接点を通るように構成されている。折れ線20aは、折れ線11の方向に対して45度(略45度としてもよい)の角度で傾斜し、折れ線26aは、折れ線17の方向に対して45度(略45度としてもよい)の角度で傾斜している。
【0057】
なお、本体部20-1には直角形状の辺部から形成された切欠部20bが形成されるとともに、本体部26-1には直角形状の辺部から形成された切欠部26bが形成され、側面部5を四角筒状に広げることにより、切欠部20bと切欠部26bが係合して、底面部7が組み立てられる。
【0058】
また、右フラップ部30は、右側面部12の上辺から折れ線を介して連設され、左フラップ32は、左側面部14の上辺から折れ線を介して連設され、蓋部本体42は、後側面部16の上辺から折れ線を介して連設され、先端部44は、蓋部本体42の後側面部16側とは反対側の辺部から折れ線を介して連設されている。
【0059】
なお、ブランク1においては、折れ線に沿って罫線が設けられ、具体的には、ブランク1により形成される箱体の内側となる面側から押圧した押罫により罫線(折曲げ用の罫線)が形成されている。つまり、
図2に示す側から押圧した押罫により罫線が形成され、ブランク1における細線で示された折れ線に沿って罫線が形成されている。
【0060】
ブランク1に設けられた罫線は、罫線22k及び罫線22k以外の罫線は、ともに箱体の内側となる面側から押圧した押罫により形成されているので、ブランク1を段ボールシートからトムソン加工により打ち抜いて製造する際に、罫線22kと罫線22k以外の罫線を同時に形成することができる。
【0061】
上記構成のブランク1を用いた箱体の製造方法、すなわち、製函方法(すなわち、底貼り方法)について、
図4~
図11に従い説明する。
図4に示すように、まず、底面部7を構成する各部を折り曲げる(底面部折曲げ工程(S11))。
【0062】
ブランクにより箱体を製造する製函装置における底面部折曲げ工程を行なう構成としての底面部折曲げ部は、展開状態のブランク1を搬送する搬送手段(具体的には、搬送ベルト(図示せず))と、前底面板部20を折り曲げるための前底面板部折曲げ部104と、右底面板部22を折り曲げるための右底面板部折曲げ部102と、左底面板部24を折り曲げるための左底面板部折曲げ部106と、後底面板部26を折り曲げるための後底面板部折曲げ部108と、罫線22kの位置に変形部を形成するための変形部形成ユニット120とを有している(
図5(b)、
図6(c)参照)。
【0063】
なお、前底面板部折曲げ部104と後底面板部折曲げ部108は、ブランクの搬送方向において、右底面板部折曲げ部102及び左底面板部折曲げ部106よりも上流側に設けられ、前底面板部折曲げ部104と後底面板部折曲げ部108は、ブランクの搬送方向において、同じ位置(略同じ位置としてもよい)に設けられている。また、右底面板部折曲げ部102と左底面板部折曲げ部106は、ブランクの搬送方向において同じ位置に設けられている。なお、右底面板部折曲げ部102と左底面板部折曲げ部106は、ブランクの搬送方向において同じ位置に設けられているとしたが、略同じ位置であればよく、例えば、右底面板部折曲げ部102が左底面板部折曲げ部106よりも下流側に設けられていてもよい。
【0064】
前底面板部折曲げ部104は、前底面板部20(特に、本体部20-1)を引っかけるアームユニット117と、先端部20-2を本体部20-1に対して折り曲げるとともに、本体部20-1が前側面部10に対して折り返され先端部20-2が本体部20-1に対して折り返された状態で押さえるためのガイド部137とを有し、後底面板部折曲げ部108は、後底面板部26(特に、本体部26-1)を引っかけるアームユニット118と、先端部26-2を本体部26-1に対して折り曲げるとともに、本体部26-1が後側面部16に対して折り返され先端部26-2が本体部26-1に対して折り返された状態で押さえるためのガイド部138とを有し(
図5(b)参照)、右底面板部折曲げ部102は、右底面板部22を引っかけるアームユニット110と、右底面板部22が右側面部12に対して折り返された状態で押さえるためのガイド部130とを有し、左底面板部折曲げ部106は、左底面板部24を引っかけるアームユニット116と、左底面板部24が左側面部14に対して折り返された状態で押さえるためのガイド部136とを有している(
図6(c)参照)。なお、ブランク1は、搬送レールH上を上記搬送手段により搬送される。
【0065】
ここで、アームユニット110とアームユニット116とアームユニット117とアームユニット118は同様の構成であるので、アームユニット110を例にとって説明すると、アームユニット110は、アーム部112と、アーム部112を回転自在に支持する支持部114とを有し、アーム部112は、帯板状部のアーム部本体112aと、アーム部本体112aの先端に設けられ、アーム部本体112aに対して屈曲した掛止部112bとを有し、掛止部112bが、搬送されてきたブランク1の右底面板部22の先端に引っかかるようになっている。支持部114は、アーム部112の基端側の端部を中心にブランク1の搬送方向に沿って回動自在に軸支している。つまり、支持部114は、固定して設けられている(つまり、製缶装置の固定物(例えば、フレーム)に固定された状態となっている)。なお、アーム部112は、支持部114に回転可能に支持されているのみであり、アーム部112自体が回転駆動するものではない。つまり、アーム部112は、支持部114にぶら下がっているのみである。
【0066】
アームユニット110以外のアームユニットもアームユニット110と同様の構成であり、アームユニット116におけるアーム部の先端が左底面板部24の先端に引っかかり、アームユニット117におけるアーム部の先端が前底面板部20(特に、本体部20-1)の先端に引っかかり、アームユニット118におけるアーム部の先端が後底面板部26(特に、本体部26-1)の先端に引っかかるようになっている。
【0067】
また、変形部形成ユニット120は、変形部形成部122と、変形部形成部122を吊り下げた状態で支持する支持部124とを有している。変形部形成部122は、全体に略円弧状に湾曲した棒状を呈している。変形部形成部122は、ブランク1の搬送路の上方に固定して設けられ、ブランク1の搬送方向(
図5~
図7における白抜き矢印に示す方向)に沿って設けられていて、平面視においては、
図5に示すように、ブランク1の搬送方向と平行に設けられ、側面視においては、搬送方向の上流側から下流側に向けて下方となり、水平方向(ブランクの搬送面(ブランクの下面が通過する仮想搬送面)の方向)に対する傾斜角度が上流側から下流側に向けて徐々に小さくなるように湾曲している。変形部形成部122の横断面は、円形であり、右底面板部22に接する下流側の端部(先端部122a)の形状は円形の平面状となっている。なお、変形部形成部122の先端部122aの形状は、略半球状としてもよい。変形部形成部122は、棒状を呈しているが、少なくとも、ブランク1の搬送方向の下流側に棒状を呈する棒状部122-1を有し、棒状部122-1のブランク搬送方向の下流側に先端部122aが設けられている。
【0068】
変形部形成部122は、変形部形成部122の直下にブランク1がある状態で、ブランク1の上面から間隔を介した位置に固定して設けられ、アーム部112により先端側が引き上げられて回動した右底面板部22の罫線22kの位置に変形部形成部122の先端部122aが接するようになっている。
【0069】
より具体的には、変形部形成部122の先端部122aは、横方向(折れ線13の方向)には、罫線22kの横方向における中心位置に接し、縦方向(折れ線13の方向とは直角の方向)には、罫線22kが先端部122aの中心(円形における中心)に接するようにするのが好ましい(
図8)。
【0070】
支持部124は、変形部形成部122に固定して設けられ、上下方向に伸びた棒状を呈している。この支持部124は、固定して設けられ(つまり、製缶装置の固定物に固定された状態となっている)、これにより、変形部形成ユニット120は、全体として固定して設けられている。
【0071】
なお、変形部形成ユニット120のブランク1の搬送方向における設置位置は、ブランク1が搬送されることにより、右底面板部22がアーム部112に引っかかり、右底面板部22がアーム部112に引っかかることにより、右底面板部22の先端側が引き上げられて右底面板部22が右側面部12に対して回動し、回動した右底面板部22が水平方向に対して傾斜したタイミングで先端部122aに接する(
図7(b)参照)位置であり、変形部形成ユニット120の支持部124は、アームユニット110の支持部114よりも搬送方向やや下流側に設けられている。つまり、右底面板部22の先端側が引き上げられることにより、右底面板部22が右側面部12に対して回動した状態で、先端部122aが右底面板部22の罫線22kを含む領域に接することにより、変形部Wが形成される。
【0072】
変形部形成部122により右底面板部22の罫線22kの位置を押すことにより、右底面板部22に変形部Wが形成される。つまり、罫線22kが設けられているので、変形部形成部122により罫線22kを含む領域を押すことにより、変形部Wを形成しやすい。
【0073】
なお、
図7の例では、
図7(b)のように右底面板部22が傾斜したタイミングで変形部Wを形成するが、右底面板部22の右側面部12に対する折曲げの開始(折曲げを開始した時としてもよい)(アーム部112による右底面板部22の先端側の引き上げを開始した時としてもよい)から折曲げの終了(折曲げを終了した時としてもよい)(右底面板部22が右側面部12に対して折り返された状態となる時としてもよい)までの期間におけるいずれかの時において、右底面板部22が先端部122aに接して変形部Wを形成するようにすればよい。
【0074】
なお、右底面板部22の右側面部12に対する折曲げの開始から右底面板部22の右側面部12に対する角度が90度となる時までの間におけるいずれかの時に右底面板部22が先端部122aに接して変形部Wを形成するようにしてもよい。また、右底面板部22の右側面部12に対する折曲げの開始を右底面板部22の右側面部12に対する角度が0度よりも大きくなった時としてもよい。
【0075】
このように、変形部形成部122をブランク1の搬送路の上方に固定して設けるのみで、右底面板部22の先端側がアーム部112により引き上げられる点を利用して、変形部Wを形成することができるので、低コストで変形部Wを形成する構成を実現することができる。
【0076】
また、ガイド部130、136における各ガイド部は同様の構成であるので、ガイド部130を例にとって説明すると、ガイド部130は、ガイド部本体132と、ガイド部本体132を吊り下げた状態で支持する支持部134とを有している。ガイド部本体132は、全体に略板状を呈し、ブランク1の搬送方向における上流側に設けられた傾斜部132aと、傾斜部132aの搬送方向下流側の端部から連設され、下流側に伸びた水平部132bとを有し、傾斜部132aは、上流側にいくほど上側となるように傾斜して形成され、水平部132bは、ブランクの搬送面と平行に設けられ、傾斜部132aと水平部132bは、ガイド部本体132の直下にブランク1がある状態で、ブランク1の上面から間隔を介した位置に固定して設けられている。
【0077】
支持部134は、ガイド部本体132に固定して設けられ、上下方向に伸びた棒状を呈している。この支持部134は、固定して設けられ(つまり、製缶装置の固定物に固定された状態となっている)、これにより、ガイド部130は、全体として固定して設けられている。
【0078】
ブランク1がガイド部130に向けて搬送されることにより、アーム部112により右側面部12に対して折り返された状態の右底面板部22が、傾斜部132aに接しながら、さらに右側面部12に対して折り返された状態となり、右底面板部22が、右側面部12に対して折り返された状態で、水平部132bの下面に接しながら水平部132bの下方を通過していき、右底面板部22が右側面部12に対して十分折り返された状態となる。
【0079】
また、ガイド部136は、ガイド部130と同様の構成であり、左底面板部24が、左側面部14に対して折り返された状態で、ガイド部136の下面に接しながら通過していく。
【0080】
また、前底面板部折曲げ部104におけるガイド部137は、アームユニット117のアーム部により本体部20-1が回動する際に、先端部20-2を本体部20-1に対して折り曲げるための上流側ガイド部137-1と、本体部20-1が前側面部10に対して折り返され先端部20-2が本体部20-1に対して折り返された状態で押さえるための略板状の下流側ガイド部137-2とを有している。下流側ガイド部137-2は、上流側ガイド部137-1から下流側に連設されている。つまり、本体部20-1と先端部20-2が折り返された状態で、下流側ガイド137-2の下面に接しながらブランク1が搬送されていく。
【0081】
また、後底面板部折曲げ部108におけるガイド部138は、アームユニット118のアーム部により本体部26-1が回動する際に、先端部26-2を本体部26-1に対して折り曲げるための上流側ガイド部138-1と、本体部26-1が後側面部16に対して折り返され先端部26-2が本体部26-1に対して折り返された状態で押さえるための略板状の下流側ガイド部138-2とを有している。下流側ガイド部138-2は、上流側ガイド部138-1から下流側に連設されている。つまり、本体部26-1と先端部26-2が折り返された状態で、下流側ガイド138-2の下面に接しながらブランク1が搬送されていく。
【0082】
なお、製函装置における上記底面部折曲げ部の構成は、変形部形成ユニット120以外は従来の製函装置に設けられているといえる。
【0083】
製函装置における上記底面部折曲げ工程を行なう構成は、以上のように形成されていて、この底面部折曲げ工程では、ブランク1が内側の面を上側にして底面部7側を先頭にして搬送され(
図5(a)参照)、前底面板部折曲げ部104において、アームユニット117のアーム部により本体部20-1が回動して本体部20-1が前側面部10に対して折り返され、本体部20-1が回動するタイミングで、先端部20-2が本体部20-1に対して折り返された状態となるとともに、後底面板部折曲げ部108において、アームユニット118のアーム部により本体部26-1が回動して本体部26-1が後側面部16に対して折り返され、本体部26-1が回動するタイミングで、先端部26-2が本体部26-1に対して折り返された状態となる(
図5(b)参照)。
【0084】
底面部折曲げ部においては、次に、右底面板部折曲げ部102と左底面板部折曲げ部106において、右底面板部22と左底面板部24が回動する。つまり、右底面板部22は、アームユニット110のアーム部112により回動し、左底面板部24は、アームユニット116のアーム部により回動する(
図6(c)参照)。
【0085】
例えば、右底面板部22については、右底面板部22の先端をアーム部112によりひっかけた状態でブランク1が搬送されることにより(
図7(a)参照)、アーム部112が右底面板部22をひっかけた状態で回動し、右底面板部22の先端側が引き上げられて、右底面板部22が回動する。
【0086】
そして、右底面板部22が回動して傾斜したタイミングで、右底面板部22が変形部形成部122の先端部122aに接して、右底面板部22が該先端部122aにより押されるので(
図7(b)参照)、
図8に示すように、罫線22kを含む領域が箱体の内側となる面から見て凹状に形成されて罫線22kを中心とした変形部Wが形成される。つまり、該罫線22kを含む領域が変形部Wとなる。
【0087】
そして、
図7(c)~
図7(d)に示すように、右底面板部22が右側面部12に対して折り返された状態となるとともに、左底面板部24が左側面部14に対して折り返された状態となり、その後、ブランク1がガイド部130、136を通過することにより、
図6(d)に示すように、右底面板部22と左底面板部24が側面部5に対して十分折り返された状態となる。
【0088】
なお、
図6(c)に示すように、前底面板部20の上側位置には、前底面板部20の折曲げ状態を維持するための略板状のガイド部139が設けられ、後底面板部26の上側位置には、後底面板部26の折曲げ状態を維持するための略板状のガイド部140が設けられている。
【0089】
以上のように、底面部折曲げ工程においては、後底面板部26を後側面部16に対して折り曲げるとともに先端部26-2を本体部26-1に対して折り曲げ、前底面板部20を前側面部10に対して折り曲げるとともに先端部20-2を本体部20-1に対して折り曲げ、左底面板部24を左側面部14に対して折り曲げ、右底面板部22を右側面部12に対して折り曲げ、底面部折曲げ工程により、ブランク1は、
図6(d)に示す状態となる。
【0090】
上記底面部折曲げ工程においては、変形部形成ユニット120により変形部Wを形成する点以外は、従来と同様であるといえる。なお、
図6(d)、(e)においては、製函装置の構成は省略されている。
【0091】
底面部折曲げ工程が行われる直前のブランク1においては、上記折曲げ用の罫線は設けられているものの、ブランク1におけるいずれの部分も該罫線を介して折り曲げられてはいない。
【0092】
なお、底面部折曲げ工程においては、右底面板部22と左底面板部24の折曲げが前底面板部20と後底面板部26の折曲げよりも後に行われる(つまり、底面部折曲げ工程が、後底面板部26を折り曲げるとともに先端部26-2を折り曲げ、前底面板部20を折り曲げるとともに先端部20-2を折り曲げる第1工程と、第1工程の後の第2工程であって、右底面板部22と左底面板部24を折り曲げる第2工程を有する)ものとしたが、右底面板部22と左底面板部24の折曲げを前底面板部20と後底面板部26の折曲げよりも前に行ってもよく、また、右底面板部22の折曲げと左底面板部24の折曲げと前底面板部20の折曲げと後底面板部26の折曲げを同じタイミングで行ってもよく、結果として、右底面板部22の折曲げと左底面板部24の折曲げと前底面板部20の折曲げと後底面板部26の折曲げのタイミングは任意である。
【0093】
次に、底面部折曲げ工程の次の工程においては、糊代部18に接着剤を塗布するとともに、右底面板部22と左底面板部24に接着剤を塗布する(接着剤塗布工程(S12))。具体的には、糊代部18の外側の面(
図6(d)における裏側の面)に接着剤を塗布した後に、右底面板部22と左底面板部24の外側の面(
図6(d)における表側の面)に接着剤を塗布する。
【0094】
製函装置における接着剤塗布工程を行なうための構成としては、ブランク1を搬送する搬送手段(具体的には、搬送ベルト(図示せず))や、糊代部18に接着剤を塗布するためのリング状部材(図示せず)と、右底面板部22と左底面板部24に接着剤を噴射して塗布する噴射装置(図示せず)が設けられている。なお、該リング状部材は、通過するブランク1の下方に設けられていて、搬送方向と直角方向の軸線を中心に回転可能に設けられ、糊代部18が、表面に接着剤が塗布された該リング状部材の上を通過することにより、糊代部18に接着剤が塗布される。なお、糊代部18への接着剤の塗布に際しては、糊代部18の略全面に接着剤が塗布されるが、折れ線C1に近接した領域までは通常塗布しない。
【0095】
また、右底面板部22への接着剤の塗布に際しては、右底面板部22における先端部20-2が接着する領域に接着剤が塗布され、左底面板部24への接着剤の塗布に際しては、左底面板部24における先端部26-2が接着する領域に接着剤が塗布される。
【0096】
製函装置における接着剤塗布工程を行なうための構成は、従来の製函装置に設けられているといえ、この接着剤塗布工程は、従来の製函方法における接着剤塗布工程と同様の方法である。
【0097】
なお、右底面板部22の代わりに先端部20-2に接着剤を塗布し、左底面板部24の代わりに先端部26-2に接着剤を塗布してもよい。
【0098】
次に、接着剤塗布工程の次の構成においては、右側面部12を前側面部10に対して折り曲げるとともに、後側面部16を左側面部14に対して折り曲げることにより、糊代部18と右側面部12を接着するとともに、左底面板部24と先端部26-2を接着し、右底面板部22と先端部20-2を接着する(接着工程(側面部折曲げ工程としてもよい)(S13))。
【0099】
製函装置における接着工程を行なうための構成としては、搬送方向に対して傾斜して設けられた搬送ベルト(図示せず)により、右側面部12と後側面部16を回動させて、右側面部12を前側面部10に対して折り返した状態として、右底面板部22を先端部20-2に接着するとともに、後側面部16を左側面部14に対して折り返した状態として、先端部26-2を左底面板部24に接着するとともに、糊代部18を右側面部12の内側の面に接着する(
図6(e)参照)。
【0100】
なお、製函装置における接着工程を行なうための構成は、従来の製函装置に設けられているといえ、この接着工程は、従来の製函方法における接着工程と同様の方法である。
【0101】
糊代部18が右側面部12の内側の面に接着する直前のタイミングでは、
図9~
図11に示すように、糊代部18が右側面部12の内側に入る直前の状態となるが、右底面板部22には変形部Wが形成されているので、糊代部18が右側面部12の内側に入りやすくなる。
【0102】
すなわち、糊代部18においては、下辺18aが略円弧状に形成されていて、糊代部18が右側面部12に接着した状態では、糊代部18が右底面板部22に重なることから(
図17参照)、糊代部18を右側面部12の内側の面に接着するには、糊代部18の下辺18aに沿った領域を右側面部12と右底面板部22の間に挿入する必要があるが、右底面板部22に変形部Wが形成されているので、右側面部12と右底面板部22間の隙間(具体的には、右底面板部22における糊代部18の下辺18aに沿った領域が対応する領域(すなわち、糊代部18が右側面部12の内側の面に接着した状態で、下辺18aに沿った領域と重なる領域を含む領域)と右側面部12間の隙間)が広がっていて、糊代部18(特に、下辺18aに沿った領域)を右側面部12と右底面板部22間の隙間に挿入しやすい。
【0103】
特に、ブランク1は、箱体の内側の面側から押圧した押罫により罫線が形成されているので、箱体の外側の面側から押圧した押罫の場合に比べて、右底面板部22が右側面部12に対して折れ曲がりやすく、右側面部12と右底面板部22間の隙間が狭くなる傾向にあることから、変形部Wにより隙間を広げることにより、糊代部18を右側面部12と右底面板部22間の隙間に挿入しやすくなる。つまり、箱体の外側の面側から押圧した押罫により罫線を形成した場合に比べて、箱体の内側の面側から押圧した押罫により罫線を形成する場合の方が、変形部Wにより隙間を広げることによる効果が大きいといえる。
【0104】
これにより、右側面部12と後側面部16を折り曲げるタイミングを緻密に調整する必要がなく、容易に糊代部18の接着を行なうことができる。
【0105】
つまり、
図16に示すように、ワンタッチ底を有する箱体のブランクで、糊代部318’の下辺318’aが略円弧状に形成されている場合には、接着工程において、右側面部312と後側面部316を折り曲げるための構成(例えば、搬送ベルト)を緻密に構成して、右側面部12と後側面部16を折り曲げるタイミングを緻密に調整する必要があり、特に、箱体の内側の面側から押圧した押罫により罫線の場合には、より緻密に調整する必要があるが、本実施例においては、上記のように、緻密な調整が必要ない。
【0106】
上記のブランク1を用いた箱体の製造方法においては、底面部折曲げ工程は、変形部Wを形成する点以外は従来と同様であり、接着剤塗布工程と接着工程は従来と同様であるので、結果として、変形部Wを形成する点以外は、従来と同様であるといえる。
【0107】
なお、上記の説明においては、第4側面部としての右側面部12が側面部5の右側面側を構成し、第2側面部としての左側面部14が側面部5の左側面側を構成するとしたが、ブランク1を左右対称の構成として、第4側面部としての右側面部12が側面部5の左側面側を構成し、第2側面部としての左側面部14が側面部5の右側面側を構成するようにしてもよい。つまり、第4側面部が側面部5の左側面側を構成し、第2側面部が側面部5の右側面側を構成することになる。その場合でも、ブランク1に設けられた罫線は、箱体の内側の面側からの押罫により形成したものとするが、箱体の外側の面側から押圧した押罫により形成したものであってもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 ブランク
5 側面部
7 底面部
10 前側面部
11、13、15、17、20a、26a 折れ線
12 右側面部
14 左側面部
16 後側面部
18 糊代部
18a 下辺
20 前底面板部
22a、22b、22c、22d、22e、24a、24b、24c、24d 辺部
20b、26b 切欠部
20-1 本体部
20-2 先端部
22 右底面板部
22k 罫線
24 左底面板部
26 後底面板部
26-1 本体部
26-2 先端部
30 右フラップ部
32 左フラップ部
40 蓋部
42 蓋部本体
44 先端部
102 右底面板部折曲げ部
104 前底面板部折曲げ部
106 左底面板部折曲げ部
108 後底面板部折曲げ部
110、116、117、118 アームユニット
112 アーム部
112a アーム部本体
112b 掛止部
114 支持部
120 変形部形成ユニット
122 変形部形成部
122-1 棒状部
122a 先端部
124 支持部
130、136、137、138、139、140 ガイド部
132 ガイド部本体
132a 傾斜部
132b 水平部
134 支持部
201、301、301’ ブランク
205、305 側面部
210、310 前側面部
212、312 右側面部
214、314 左側面部
216、316 後側面部
218、318、318’ 糊代部
218a、318a、318’a 下辺
220、320 前底面板部
220-1、226-1、320-1、320-2 本体部
220-2、226-2、320-2、326-2 先端部
222、322 右底面板部
222a、322a 辺部
224、324 左底面板部
226、326 後底面板部
230、330 右フラップ部
232、332 左フラップ部
240、340 蓋部
242、342 蓋部本体
244、344 先端部
C1、C2、C3、C4 折れ線
J 接点
P 交点
Q 仮想直線
S 端部
W 変形部
U 凹部
V 凸部