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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073167
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】ハザード物質処理装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20220510BHJP
   B01L 1/00 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
C12M1/00 K
B01L1/00 C
B01L1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020182974
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】橋本 克紀
【テーマコード(参考)】
4B029
4G057
【Fターム(参考)】
4B029AA17
4B029BB20
4B029DG01
4B029GA08
4B029GB06
4B029GB10
4B029HA10
4G057AA05
(57)【要約】
【課題】 区画壁21の開口部21aをハザードエリアBに設けたシャッタ22によって閉鎖する場合に、ハザード物質が非ハザードエリアAに流出しないようにする。
【解決手段】 上記ハザードエリアBにおける開放状態の上記シャッタ22を位置させる開放位置に、上記シャッタ22の閉鎖面22aを覆うカバープレート36と、上記シャッタ22を上記カバープレート36で覆った状態に維持する開放ロック手段とを設け、上記ハザードエリアBと非ハザードエリアAとを連通させる際に、上記シャッタ22の閉鎖面22aを上記カバープレート36で覆い、ハザードエリアBに露出しない状態に維持する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無菌状態に維持された内部空間でハザード物質を取り扱うアイソレータを備えるとともに、上記アイソレータの内部空間をハザードエリアと非ハザードエリアとに区画する区画壁と、上記区画壁に形成された開口部を開閉するシャッタとを備えたハザード物質処理装置において、
上記ハザードエリアに、上記シャッタと、上記シャッタを上記区画壁の開口部を閉鎖する閉鎖位置で閉鎖状態に維持する閉鎖ロック手段と、上記シャッタを上記区画壁に沿って上記閉鎖位置と開放位置とに案内する案内部材とを設けるとともに、
上記開放位置に、上記シャッタの閉鎖面を覆うカバーと、上記シャッタを当該カバーで覆った状態に維持する開放ロック手段を設け、
上記ハザードエリアと非ハザードエリアとを連通させる際に、上記開放位置で上記シャッタの閉鎖面を上記カバーで覆い、当該閉鎖面がハザードエリアに露出しない状態に維持することを特徴とするハザード物質処理装置。
【請求項2】
上記ハザードエリアにおける上記開口部の周囲面および上記カバーの両方か、もしくは上記シャッタの閉鎖面に、上記開口部を囲繞する形状のシール部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載のハザード物質処理装置。
【請求項3】
上記開放位置に、上記シャッタを上記カバーで覆わない状態で支持する支持部材を設け、
上記ハザードエリアを洗浄する際は、上記シャッタによって上記開口部を閉鎖し、
上記ハザードエリアと非ハザードエリアとを連通させて除染する際は、上記シャッタを上記開放位置で上記支持部材に支持させることを特徴とする請求項2に記載のハザード物質処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハザード物質処理装置に関し、詳しくはハザード物質を取り扱うアイソレータを備え、当該アイソレータの内部空間を区画壁によってハザードエリアと非ハザードエリアとに区画するとともに、当該区画壁の開口部をシャッタによって開閉可能としたハザード物質処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬剤をバイアルなどの容器に充填する処理は、内部空間が無菌環境に維持されたアイソレータを備える処理装置において行われており、このうち上記薬剤として抗がん剤などの薬理活性の高い医薬品(高薬理活性医薬品)を取り扱う場合は、これらの薬剤がハザード物質として処理作業者の健康被害を生じさせる恐れがあることから、アイソレータから外部の作業者環境に流出しないようにする必要がある。
ここでアイソレータからハザード物質の流出を防止するため、上記アイソレータの内部空間を、上記ハザード物質を取り扱うハザードエリアと、それ以外の非ハザードエリアとに区画し、薬品の充填作業が終了する毎にハザードエリアの内部を洗浄して、飛散して機器や壁面に付着したハザード物質を洗い流すようにしている。
このように上記アイソレータをハザードエリアと非ハザードエリアとに区画する場合に、上記アイソレータの内部空間に区画壁を設け、当該区画壁に形成された開口部をシャッタによって開閉可能とした構成が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4524886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記特許文献1の構成において、上記シャッタをハザードエリア側に設けると、薬品の充填作業時に上記シャッタを開口部から退避させただけでは、シャッタの表面にハザード物質が付着する可能性がある。
その結果、薬品の充填作業後にハザードエリアの内部を洗浄するために、上記シャッタによって区画壁の開口部を閉鎖すると、シャッタにおける非ハザードエリア側の面である閉鎖面がハザード物質が付着した状態で開口部を介して非ハザードエリアに露出され、ハザード物質が非ハザードエリアに流出する危険性があった。
このような問題に鑑み、本発明はハザードエリアにおいて開放状態のシャッタの閉鎖面にハザード物質が付着することを防止し、区画壁の開口部をシャッタによって閉鎖した際に、ハザード物質の非ハザードエリアへの流出を阻止することが可能なハザード物質処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1にかかるハザード物質処理装置は、無菌状態に維持された内部空間でハザード物質を取り扱うアイソレータを備えるとともに、上記アイソレータの内部空間をハザードエリアと非ハザードエリアとに区画する区画壁と、上記区画壁に形成された開口部を開閉するシャッタとを備えたハザード物質処理装置において、
上記ハザードエリアに、上記シャッタと、上記シャッタを上記区画壁の開口部を閉鎖する閉鎖位置で閉鎖状態に維持する閉鎖ロック手段と、上記シャッタを上記区画壁に沿って上記閉鎖位置と開放位置とに案内する案内部材とを設けるとともに、
上記開放位置に、上記シャッタの閉鎖面を覆うカバーと、上記シャッタを当該カバーで覆った状態に維持する開放ロック手段を設け、
上記ハザードエリアと非ハザードエリアとを連通させる際に、上記開放位置で上記シャッタの閉鎖面を上記カバーで覆い、当該閉鎖面がハザードエリアに露出しない状態に維持することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、上記ハザードエリアと非ハザードエリアとを連通させる際には、上記シャッタの閉鎖面を上記カバーで覆い、当該シャッタの閉鎖面がハザードエリアに露出しない状態に維持されるため、当該閉鎖面にハザード物質が付着することはない。
そのため、上記ハザードエリアと非ハザードエリアとを区画するために、上記シャッタで上記区画壁の開口部を閉鎖した際に、上記シャッタにおける上記閉鎖面が非ハザードエリアに露出されても、当該閉鎖面にはハザード物質は付着していないことから、ハザード物質が非ハザードエリアに流出することはない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施例にかかるハザード物質処理装置の全体平面図
図2】区画壁をハザードエリア側からみた正面図
図3】シャッタをハザードエリア側からみた正面図
図4】上記区画壁およびシャッタの平面断面図
図5】上記シャッタの閉鎖位置における閉鎖状態を示す側面図
図6】上記シャッタの開放位置におけるカバーで覆った状態を示す側面図
図7】上記シャッタの開放位置における支持部材に支持させた状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について説明すると、図1はバイアルなどの容器Cにハザード物質からなる薬剤を充填する、ハザード物質処理装置としての薬剤充填ライン1を示している。
本実施例の薬剤充填ライン1は、容器Cの搬送経路の上流側から順に、空の容器Cを洗浄する容器洗浄部2、空の容器Cを滅菌する容器滅菌部3、滅菌された容器Cを受け渡す容器受渡し部4、空の容器Cに薬剤を充填する充填部5、薬剤の充填された容器Cを密閉する容器密閉部6、密閉された容器Cの外面を洗浄する容器外洗部7を備えている。
このうち、上記容器受渡し部4、上記充填部5、上記容器密閉部6は無菌状態に維持されたアイソレータ8の内部空間に設けられており、当該アイソレータ8の上流側に隣接した位置には、上記容器洗浄部2および容器滅菌部3を構成するハウジング2a、3aが気密を保った状態で接続され、上記アイソレータ8の下流側に隣接した位置には、上記容器外洗部7を収容するハザードブース9が気密を保った状態で接続されている。
【0009】
上記アイソレータ8は従来公知であるため詳細な説明については省略するが、上記アイソレータ8の内部空間は図示しない除染手段によって除染することが可能となっている。
具体的には過酸化水素蒸気などの除染媒体をアイソレータ8の内部空間に充満させ、これによりアイソレータ8に収容された機器や内壁を除染することが可能となっており、除染後、図示しない無菌エア供給手段によって内部空間に無菌エアを供給することによって外部に対して陽圧に維持されて、無菌状態が維持されるようになっている。
【0010】
以下、上記薬剤充填ライン1を構成する各部について説明すると、まず上記容器洗浄部2は、内部が外部に対して区画された上記ハウジング2aと、当該ハウジング2aの上流側に接続されて空の容器Cを供給する供給コンベヤ10と、ハウジング2aの内部に設けられた図示しない洗浄手段とによって構成されている。
上記洗浄手段は従来公知であるため詳細な説明は省略するが、容器Cの内部および外部の洗浄を行い、これを容器滅菌部3へと排出するものとなっている。
【0011】
次に上記容器滅菌部3は、内部が外部に対して区画された上記ハウジング3aと、その内部に設けられた図示しない滅菌手段とによって構成されており、洗浄された容器Cを加熱することにより滅菌を行うものとなっている。なお上記滅菌手段には従来公知のものを使用することができる。
ここで上記容器洗浄部2のハウジング2aと上記容器滅菌部3のハウジング3aとは気密を保った状態で接続されており、容器滅菌部3のハウジング3aと上記アイソレータ8とは気密を保った状態で接続されている。
これにより、容器洗浄部2によって洗浄された容器Cは上記容器滅菌部3において直ちに加熱滅菌され、その後滅菌された状態で無菌状態に維持されたアイソレータ8へと供給されるようになっている。
【0012】
上記容器受渡し部4は、上記容器滅菌部3から容器Cを排出する搬出コンベヤ11と、搬出コンベヤ11から一つずつ容器を取り出して搬送する第1スターホイール12とから構成されている。
上記搬出コンベヤ11および第1スターホイール12については従来公知であるため詳細な説明は省略するが、上記搬出コンベヤ11に沿って設けたスクリューなどの手段を用い、第1スターホイール12の外周縁に設けたポケットに一つずつ容器Cを供給するものとなっている。
【0013】
上記充填部5は、上記容器受渡し部4の第1スターホイール12から容器Cを受け取る第2、第3スターホイール13、14と、各容器Cに薬剤を充填する充填手段とを備えている。
上記第2、第3スターホイール13、14は、上記容器受渡し部4の第1スターホイール12と同期して回転し、これらが隣接する位置において容器Cを受渡しながら搬送するようになっている。
上記充填手段は複数の容器Cに対して一斉に薬剤の充填を行うことが可能な構成を有しており、従来公知の構成を有していることから、これ以上の説明については省略するものとする。
【0014】
上記容器密閉部6は、薬剤の充填された容器Cを密閉する密閉手段と、当該密閉手段の下流側に設けられた第4スターホイール15とを備え、上記充填部5の充填手段と上記密閉手段との間には薬剤の充填された容器Cを搬送する中間コンベヤ16が設けられている。
上記密閉手段は、上記容器の口部をゴム栓等を用いて密閉したり、容器の口部を加熱溶融させて密閉するようになっており、従来公知の構成を有したものとなっている。
上記密閉手段によって密閉された容器Cは、上記第4スターホイール15を介して上記容器外洗部7へと搬送される。
【0015】
上記容器外洗部7は上記ハザードブース9内に収容されており、上記容器密閉部6の第4スターホイール15から容器Cを受け取って搬送する第5スターホイール17と、密閉された容器Cの外部を洗浄する容器外洗手段と、洗浄された容器を上記排出コンベヤ18に受け渡すための第6スターホイール19とを備えている。
上記容器外洗手段は、密閉された容器の外部に洗浄液を噴射し、容器Cに付着した薬剤を洗い流すようになっており、従来公知の構成を有したものとなっている。
そして上記ハザードブース9には排出コンベヤ18が接続されており、洗浄が終了して上記第6スターホイール19によって搬送された容器Cを後工程へと排出するようになっている。
【0016】
ここで、本実施例で充填される薬剤は、抗がん剤などの薬理活性の高い医薬品となっており、このような高薬理活性医薬品による作業者への健康被害を防止するため、当該薬剤(ハザード物質)が外部の作業者環境に流出しないようにする必要がある。
上記薬剤は上記充填部5において容器Cに薬剤を充填する際に飛散する可能性が最も高いことから、上記充填部5およびその下流側に設けられた上記容器密閉部6および容器外洗部7を収容した領域は、薬剤の飛散の恐れがあるハザードエリアとなり、充填部5よりも上流側の領域は薬剤の飛散の恐れが少ない非ハザードエリアとなる。
そこで本実施例では、上記アイソレータ8の内部に区画壁21を設けて、この区画壁21の上流側を上記非ハザードエリアAに設定し、アイソレータ8における区画壁21の下流側をハザードエリアBに設定したものとなっている。
【0017】
また本実施例では、空中を漂うハザード物質からなる薬剤が外部に流出しないようにするため、上記非ハザードエリアAとハザードエリアBとハザードブース9との圧力関係を以下のように設定している。
まず上記アイソレータ8の内部は外部に対して陽圧に設定されており、このうち上記非ハザードエリアAを最も高い陽圧に設定し、上記ハザードエリアBをこれよりも低い陽圧に設定している。
これにより、非ハザードエリアAとハザードエリアBとの間に差圧が生じるため、ハザードエリアBで飛散した薬剤が非ハザードエリアAに流出しないようになっている。
次に、ハザードブース9の内部を外部の大気圧よりも陰圧に設定し、これにより上記ハザードエリアBが上記ハザードブース9よりも陽圧となる。
これにより、ハザードエリアBで飛散した薬剤をハザードブース9へと流入させ、さらにハザードブース9は大気圧よりも陰圧であることから、ハザードブース9から外部への薬剤の流出が防止されるようになっている。
【0018】
一方、ハザードエリアBにおいて飛散した薬剤は、充填部5や容器密閉部6を構成する機器、当該ハザードエリアBを構成するアイソレータ8の内壁や区画壁21に付着する恐れがある。
このように、ハザードエリアBでは、飛散した薬剤が付着して残留する恐れがあることから、薬剤の充填作業が終了したら水洗により洗浄する必要がある。
一方、薬剤の流入の恐れのない上記非ハザードエリアAについては、水洗による洗浄は不要であることから、水洗を行う際には上記区画壁21に設けた開口部21aをシャッタ22によって閉鎖し、非ハザードエリアAとハザードエリアBとを区画することによって、洗浄中にハザード物質がハザードエリアBから非ハザードエリアAへ流出することを防止するようになっている。
【0019】
以下、上記アイソレータ8の内部を上記ハザードエリアBと非ハザードエリアAとに区画する区画壁21および当該区画壁21を開閉するシャッタ22について説明する。
まず図1に示すように、上記区画壁21は上記アイソレータ8における容器受渡し部4と充填部5との間に設けられ、具体的には上記第1スターホイール12と第2スターホイール13との境界となる位置に設けられている。
このため薬剤の充填作業中は、上記区画壁21の開口部21aを開口させた状態で容器Cの搬送を行うが、薬剤の充填が終了した後、上記区画壁21の開口部21aをシャッタ22で閉鎖する際には、上記第2スターホイール13を取り外すようになっている。
【0020】
図2は上記アイソレータ8に設けられた区画壁21をハザードエリアB側から見た図を示し、この図2ではシャッタ22を鎖線にて示している。そして図3は同じ方向から見たシャッタ22を示し、また図4は上記区画壁21の平面断面図を、図5図7は上記シャッタ22の閉鎖位置もしくは開放位置における各状態を示したものとなっている。
まず図2において、上記区画壁21には上記ハザードエリアBと非ハザードエリアAとを連通させる横長の略長方形の開口部21aが形成され、図2において当該開口部21aは区画壁21の図示右方側に偏倚した位置に設けられている。
そしてシャッタ22は上記開口部21aを閉鎖する図示右方側に位置した閉鎖位置と、図示左方側に位置した開放位置との間で区画壁21に沿って往復動可能に設けられ、このシャッタ22の移動は図4に示すハザードエリアBの側壁21Aに設けたグローブ23によって、作業者が手動で行うものとなっている。
【0021】
まず、図3に示す上記シャッタ22の構成から説明すると、シャッタ22は一枚の板状の部材によって上記開口部21aと同様に横長の長方形に構成され、上記開口部21aを完全に閉鎖してさらにはみ出す大きさを有している。以下の説明において、上記シャッタ22における非ハザードエリアA側の面、すなわち閉鎖位置に位置した際に区画壁21aに面して上記開口部21aを閉鎖する面のことを閉鎖面22aと呼び、その逆側の面を表面22bと呼ぶ。
このシャッタ22の上部には、当該シャッタ22を閉鎖位置または開放位置において固定させるためのロック機構24が設けられている。
またシャッタ22における上記表面22bには、アイソレータ8の上記グローブ23を設けた側壁21Aに近い端部に、作業者が保持するための取っ手22cが設けられ、また上記閉鎖面22aには、開口部21aを囲繞する形状の無端状のシール部材25が固定されている。
さらにシャッタ22の上記表面22bの下部には、取付部材を介して金属製の丸棒26が水平方向に固定されており、シャッタ22を閉鎖位置と開放位置との間で移動させる際、この丸棒26が後述する案内部材27に案内されるようになっている。
【0022】
上記ロック機構24は、図4に示すように、シャッタ22における上記閉鎖面22aに設けたシール部材25よりも上方に、同じ高さ位置でシャッタ22を垂直に貫通して設けられた2つの回転軸28と、当該各回転軸28におけるシャッタ22の表面22b側に突出した部分に固定され、平行に設けられた2つのアーム29と、当該各アーム29の先端部に回動自在にに連結するリンク部材30と、上記各回転軸28におけるシャッタ22の閉鎖面22a側に突出した端部に設けられた板状のロック部材31とから構成されている。
また、上記回転軸28のうち、一方の上記取っ手22cに近い方の回転軸28のシャッタ22の表面22a側に突出した先端部には、作業者によって操作するためのハンドル32が設けられている。
このような構成により、作業者が上記ハンドル32を操作して上記一方の回転軸28を回転させると、上記各アーム29およびリンク部材30を介して他方の回転軸28も同じ方向に回転し、これによりシャッタ22の閉鎖面22a側で2つの回転軸28の端部に固定された上記ロック部材31が、同時に回転軸28を中心に縦長の起立状態と横長の横転状態の間で同方向に回動するようになっている。
【0023】
図2および図5に示すように、ハザードエリアB側のアイソレータ8の区画壁21には、ブラケット21bを介して上記シャッタ22の移動を案内するための案内部材27が、水平方向に高さを揃えて複数、シャッタ22の閉鎖位置と開放位置にそれぞれ3個ずつ設けられている。
図2において、隣接する案内部材27と案内部材27との間には所定の間隔が設けられており、また図5に示すように上記各案内部材27は断面コ字形の溝27aを有しており、当該溝27aの開口が上方を向くように設けられている。
上記案内部材27の溝27aに上記シャッタ22の丸棒26を収容することで、上記シャッタ22を支持するとともに、シャッタ22を閉鎖位置と開放位置との間で移動させる際に、上記丸棒26を区画壁21に沿って水平方向に案内するようになっている。
また、各溝27aの区画壁21とは逆側の側面は、区画壁21から離れるように上方に延長させて傾斜案内面27bを形成している。これにより、案内部材27に案内されてシャッタ22を移動させる際に、作業者はシャッタ22の上部を区画壁21から離れるように区画壁21に対して手前に傾斜させた状態で移動できるようになっている。
ここで、上記シャッタ22の丸棒26と上記案内部材27の断面コ字形の溝27aとが面接触ではなく線接触であるため、アイソレータ8の内部を除染ガスによって除染する際や、ハザードエリアBを水洗する際に、空間に露出する部分を大きくして、除染や水洗をより確実なものとすることができる。
また、複数の案内部材27を離隔させて点在させて設けたことにより、上記除染や水洗の際に、結露により液化した除染成分や水洗に用いる洗浄液が上記溝27a内に残留しにくくなっている。
【0024】
次に、図4に示すように、区画壁21のハザードエリアB側の面には、開口部21aを囲繞するように区画壁21から突出させて開口枠部材33が設けられており、当該開口枠部材33は断面コ字形を有するとともに、突出した端部にはフランジ部33aが形成されている。
当該フランジ部33aの上記シャッタ22の閉鎖面22aと面する端面33abは、上記閉鎖面22aに設けたシール部材25と密着するシール面として設けられている。
なお、本実施例では上記開口枠部材33の内周部分も含めて開口部21aを構成しており、上記フランジ部33aの端面33abは開口部21aの周囲面として構成されている。
図2に示すように、開口枠部材33の側壁21Aに近い端部の上方に位置させて、上記シャッタ22が開放位置から閉鎖位置に移動する際の移動端を規制する閉鎖側ストッパ46が、ハザードエリアB側の区画壁21に固定して設けられている。
当該閉鎖側ストッパ46は、移動されるシャッタ22の側壁21A側となる、開放位置から閉鎖位置への進行方向前方側端部の上方角部に当接して上記移動端を規制するようになっている。
これにより上記シャッタ22は、上記案内部材27に支持させて上記閉鎖側ストッパ46に当接させることで、閉鎖面22aが開口枠部材33により形成される開口部21aを完全に覆い、さらに、上記閉鎖面22aに設けたシール部材25が開口部21aを確実に囲繞する閉鎖位置に位置決めされるようになっている。
そして、上記シャッタ22によって区画壁21の開口部21aを閉鎖する閉鎖状態とするには、上記閉鎖位置に位置したシャッタ22のロック機構24を操作して、閉鎖位置に設けた閉鎖ロック手段によって、シャッタ22の閉鎖面22aを上記フランジ部33aに押し付けるようにして位置を固定し、上記シール部材25をフランジ部33aの端面33abに密着させ、これにより上記開口部21aが完全に密閉されて、アイソレータ8の内部空間が上記ハザードエリアBと非ハザードエリアAとに分離されるようになっている。
【0025】
図2において、上記開口部21aの上方には、上記シャッタ22のロック機構24と係合する閉鎖ロック手段として2つの縦長の固定片34が区画壁21に設けられ、これら固定片34と固定片34との間に閉鎖側センサ35が設けられている。
上記固定片34は、上記区画壁21から所定間隔を開けて設けられるとともに、上記閉鎖位置に位置決めされたシャッタ22のロック機構24を構成する上記各ロック部材31の上記側壁21A側に隣接して位置するように設けられており、上記開口枠部材33のフランジ部33aの上方に突出している。
上記シャッタ22のシール部材25を上記開口枠部材33のフランジ部33aの端面33abに密着させ、この状態で作業者が上記ロック機構24のハンドル32を操作すると、上記2つの縦長の起立状態のロック部材31が時計回りに回転して、それぞれ横長の横転状態となって上記固定片34の区画壁21側の面に重合し、シャッタ22がフランジ部33aに引き付けられて、シャッタ22の閉鎖面22aに設けたシール部材25が、フランジ部33aの端面33abに密着した状態に維持されるようになっている。
このとき、上記ロック部材31には、固定片34が隣接する側の端から徐々に厚みが増すように傾斜面が形成されており、上記ロック部材31を回転させた際に、ロック部材31が上記固定片34の区画壁21側の面に乗り上げやすくなっている。
【0026】
上記閉鎖側センサ35は、上記開口枠部材33のフランジ部33aの上方に設けられた近接センサとなっており、上記シャッタ22が閉鎖位置において上記シール部材25を挟んで上記フランジ部33aに密接している状態で、当該シャッタ22が閉鎖状態にあることを検出するものとなっている。
つまり、上記シャッタ22が閉鎖位置において、上方部が区画壁21から離れてフランジ部33aから離隔している状態や、シャッタ22が上記開放位置に位置している状態では、閉鎖側センサ35はシャッタ22を検出しないようになっている。
【0027】
図2に示すように、上記シャッタ22が位置する閉鎖位置に隣接する開放位置には、上記区画壁21における上記ハザードエリアB側の面に、上記シャッタ22のシール部材25が密着するカバープレート36が設けられている。当該カバープレート36の下方には上記シャッタ22の丸棒26を支持する案内部材27が設けられ、またカバープレート36の上方にはシャッタ22を傾斜した状態で支持するための離隔状態保持手段としての支持部材37が設けられている。
上記カバープレート36は上記シャッタ22の閉鎖面22aを覆うカバーとして平坦な板状部材によって構成され、上記シャッタ22における上記シール部材25で取り囲まれる範囲よりも大きなカバー面36aが形成され、このカバー面36aの外径寸法は、フランジ部33aの端面33abの外径寸法と共通したものとなっている。
また図6に示すように、カバープレート36と区画壁21との間には支持部材38が設けられており、これによりカバープレート36のカバー面36aは区画壁21と平行で、上記開口枠部材33のフランジ部33aの端面33abと同一平面を形成するものとなっている。
このような構成により、図6に示すように上記シャッタ22を区画壁21と平行に案内部材27に対して垂直に起立させた状態では、当該シャッタ22は上記カバープレート36に密接し、上記シール部材25の全周が上記カバープレート36のカバー面36aと密着することで、閉鎖面22aのシール部材25よりも内側の領域がハザードエリアBより隔離される。
【0028】
上記支持部材37は、図6および図7に示すように、ブラケット21cによって区画壁21に固定されて、上記カバープレート36よりも区画壁21から離れた位置に設けられており、上記シャッタ22を上記開放位置において上部が区画壁21から離れるように傾斜させて、当該シャッタ22の上端部が支持部材37の下端部に形成した段差形状37aに当接させることにより、当該シャッタ22を傾斜した状態に支持させることができるようになっている。
このようにシャッタ22を支持部材37によって傾斜した状態に支持させると、上記シャッタ22のシール部材25が上記カバープレート36から完全に離隔し、これによりカバープレート36のカバー面26aの全域およびシャッタ22の閉鎖面22aのシール部材25の内側の領域がハザードエリアBに露出するようになっている。
また、上記支持部材37は、図2に示すように、上記カバープレート36の横幅を超える長さを有して設けられており、上記側壁21Aから遠い閉鎖位置とは逆側の端部に開放側ストッパ37bが設けられている。
これにより、シャッタ22が閉鎖位置から開放位置へ移動する際に、開放側ストッパ37bがシャッタ22の進行方向前方側の上方角部に当接して移動を規制するようになっており、これによりシャッタ22を開放位置に位置決めできるようになっている。
さらには、上記支持部材37の上記側壁21Aに近い閉鎖位置側の端部の段差形状37aには、閉鎖位置に位置するシャッタ22の開放位置から閉鎖位置への進行方向後方側端部の上方角部が当接できるようになっている。
一方、上記閉鎖側ストッパ46にも、支持部材37の下端部に形成した段差形状37aと同様の段差形状46aを、段差形状37aと高さ位置を合わせて形成している。
これにより、閉鎖位置においても開放位置と同様に、上記支持部材37の閉鎖位置側の端部の段差形状37aと閉鎖側ストッパ46の段差形状46aとによって、シャッタ22を上部が区画壁21から離れるように傾斜させて支持することができるようになっている。
【0029】
そして図2に示すように、上記シャッタ22の開放位置にも、上記閉鎖位置に設けた閉鎖ロック手段と同様の構成を有する開放ロック手段が設けられており、上記カバープレート36の上方に、開口枠部材33に対する2つの固定片34および閉鎖側センサ35と同じ配置関係で、開放ロック手段としての2つの固定片39と開放側センサ40とが設けられている。
これにより、シャッタ22の2つのロック部材31が、上記2つの固定片34と重合するように上記2つの固定片39と重合し、シャッタ22をカバープレート36に密接した状態に維持させるようになっている。
また、上記開放側センサ40は、閉鎖側センサ35と同様にして上記シャッタ22が開放位置において上記カバープレート36に密接したことを検出するものとなっており、上記シャッタ22が上記支持部材37によって支持されている状態や、シャッタ22が上記閉鎖位置に位置している状態では、開放側センサ40はシャッタ22を検出しないようになっている。
【0030】
上記閉鎖側センサ35および上記開放側センサ40は、図示しない表示手段に接続されており、作業者はこの表示手段に表示された内容によってシャッタ22の位置や状態を確認することが可能となっている。
具体的には、上記シャッタ22が閉鎖位置に位置し、図5に示すようにシャッタ22が開口部21aのフランジ部33aに密接した状態では、上記閉鎖側センサ35が検知して、開口部21aがシャッタ22によって閉鎖状態であることが表示手段に表示される。
また上記シャッタ22が開放位置に位置し、図6に示すようにシャッタ22がカバープレート36に密接した状態では、上記開放側センサ40が検知して、シャッタ22がカバープレート36に密接していることが表示手段に表示される。
一方、上記シャッタ22が図7に示すように支持部材37によって支持されている状態や、図5図6に示す状態においてシャッタ22とフランジ部33aやカバープレート36との密接状態が不完全である場合、上記閉鎖側センサ35および開放側センサ40はシャッタ22を検出せず、図5または図6のいずれの状態にもなっていないことが表示されることとなる。
【0031】
以下、上記構成を有する薬剤充填ライン1の動作について説明する。
まず、上記薬剤充填ライン1によって容器Cに薬剤を充填する際の動作について説明する。
このとき、上記区画壁21では上記シャッタ22が開放位置に位置しており、かつ図6に示す上記カバープレート36に密接した状態となっている。そして表示手段には上記開放側センサ40の検出によってその旨の表示がされている。
このシャッタ22がカバープレート36に密接した状態では、上記シャッタ22に設けたシール部材25の内側の領域は、シャッタ22およびカバープレート36によってシール部材25の外側のハザードエリアBの空間から隔離されたものとなっている。
【0032】
この状態で、上記供給コンベヤ10より空の容器Cが供給されると、上記洗浄部2および容器滅菌部3において容器Cの洗浄および滅菌を行い、容器滅菌部3のハウジング3aからは滅菌された容器Cがアイソレータ8に区画された非ハザードエリアAの容器受渡し部4の搬出コンベヤ11へと受け渡される。
上記容器受渡し部4はアイソレータ8に収容されているため、容器Cは無菌環境下において搬送され、第1スターホイール12から上記充填部5の第2スターホイール13へと受け渡される。
【0033】
第2スターホイール13に受け渡された容器Cは上記区画壁21の開口部21aを通過することにより、上記アイソレータ8のハザードエリアBに進入し、上記充填部5において薬剤の充填が行われる。
また薬剤の充填された容器Cは引き続きハザードエリアBに設けられた容器密閉部6において密閉され、その後第4スターホイール15によって上記ハザードブース9に設けられた上記容器外洗部7の第5スターホイール17に供給される。
【0034】
ハザードブース9に設けられた容器外洗部7では容器Cの外面を洗浄することにより、充填の際に付着した薬剤を除去するものとなっている。
その後、外面が洗浄された容器Cは、容器外洗部7の第6スターホイール19からハザードブース9の外部に設けた排出コンベヤ18へと受け渡され、その後図示しない下流側の工程へと搬送される。
【0035】
このように、薬剤充填装置1において薬剤の充填を行う間、上記アイソレータ8の内部では上記ハザードエリアBに設けられた充填部5が薬剤を容器Cに充填するのに伴い、当該薬剤が飛散することとなる。
このとき上記区画壁21の開口部21aは開放されているが、当該区画壁21の上流側の非ハザードエリアAは下流側のハザードエリアBよりも陽圧であるため、薬剤が非ハザードエリアAに流出することが防止されている。
上記ハザードエリアBにおいて飛散した薬剤は、当該ハザードエリアBに露出している部分に付着し、また、上記シャッタ22についても、ハザードエリアBに位置していることから、薬剤が付着する恐れがある。
これに対して本実施例では、上記シャッタ22は上記開放位置に位置するカバープレート36に密接し、上記シャッタ22の閉鎖状態では非ハザードエリアAに露出される閉鎖面22aは、上記シール部材25の内側に位置する領域がハザードエリアBを構成する空間から隔離されており、薬剤が付着しないようになっている。
【0036】
そして、薬剤の充填作業が終了すると、充填中に飛散した薬剤を洗い流すため、ハザードエリアBの水洗を行う。
この場合に作業者は、まず上記アイソレータ8におけるハザードエリアBに設けたグローブ23を装着して、上記シャッタ22のロック機構24を操作し、シャッタ22がカバープレート36に密接した状態を解除する。
その後作業者は、シャッタ22の取っ手22aを把持し、シャッタ22の上部のロック部材31が固定片39や開放側センサ40および固定片34や閉鎖側センサ35と干渉しないように、シャッタ22の上部が区画壁21から離れるように傾斜させながら、当該シャッタ22を開放位置から閉鎖位置まで閉鎖ストッパ46に当接するまで移動させ、この位置では各ロック部材31は固定片34や閉鎖側センサ35と干渉しないようになっていて、シャッタ22を起立状態とする。
これにより、シャッタ22が開口枠部材33のフランジ部33aに密接するので、作業者は上記ロック機構24のハンドル32を操作して、図5に示すようにシャッタ22のシール部材25をフランジ部33aの端面33abに密着させる。
これにより、区画壁21の開口部21aがシャッタ22の閉鎖面22aに塞がれるとともに密封され、アイソレータ8の内部がハザードエリアBと非ハザードエリアAとに分離され、表示手段には上記開口側センサ35の検出によってその旨の表示がされる。
ここで、ロック部材31を干渉しないように移動させるためには、図7に示すように、シャッタ22の上端を支持部材37の段差形状37aに接触させるようにして、水平方向に延びる段差形状37aに沿って移動させればよい。
このようにして区隔壁21の開口部21aがシャッタ22により閉鎖されてアイソレータ8内が分断されると、上記ハザードエリアB内が図示しない水洗手段により水洗され、充填部5や容器密閉部6を構成する機器や、ハザードエリアBの内壁に付着した薬剤が洗い流される。
【0037】
ここで、区画壁21の開口部21aを上記シャッタ22によって閉鎖すると、当該シャッタ22における閉鎖面22aの上記シール部材25よりも内側の領域が、開口部21aを介して非ハザードエリアAに露出することとなる。
しかしながら本実施例の場合、ハザード物質を取り扱う薬剤の充填中は、上記シャッタ22がカバープレート36に密接していたことにより、当該シャッタ22における閉鎖面22aの上記シール部材25よりも内側の領域は、ハザードエリアBから隔離されているため、薬剤は付着していない。
したがって、上記シャッタ22によって開口部21aを閉鎖し、上記閉鎖面22aのシール部材25よりも内側の領域が非ハザードエリアAに露出したとしても、薬剤が非ハザードエリアAに流出する恐れはない。
換言すると、薬剤の充填中にシャッタ22の全面がハザードエリアB内に露出したままであると、上記閉鎖面22aのシール部材25の内側の領域にも薬剤が付着してしまうため、当該シャッタ22によって開口部21aを閉鎖した際に、当該領域に付着した薬剤が非ハザードエリアAに流出してしまうこととなる。
【0038】
このようにしてハザードエリアの洗浄が終了すると、今度は次の薬剤の充填作業に備えて、上記非ハザードエリアAとハザードエリアBからなるアイソレータ8の内部空間全域を、図示しない除染手段を用いて除染する作業を行う。
この場合、作業者は上記シャッタ22を上記開放位置へと移動させ、さらに図7に示すようにシャッタ22を傾斜させて、上記支持部材37によって支持させた状態とする。
この状態で除染手段から除染ガスをアイソレータ8の全域、すなわち非ハザードエリアAおよびハザードエリアBに充満させると、アイソレータ8の内部空間や壁面および設置された機器等が除染される。
このとき、上記シャッタ22は傾斜させることにより、その全面が上記アイソレータ8の内部空間に露出していることから、シャッタ22の全面が除染ガスによって除染されるようになっている。
【0039】
なお、シャッタ22の閉鎖面22aを覆うカバーは、カバープレート36の表面である必要はなく、区画壁21のハザードエリアB側の壁面を利用することもできる。
また、上記実施例ではハザード物質を取り扱う処理装置として、容器に薬剤を充填する薬剤充填ライン1について説明したが、ハザード物質を取り扱う処理装置としては、アイソレータ等のチャンバやハウジングで取り囲まれた内部空間を、ハザードエリアと非ハザードエリアとに区画する構成を有していれば、いずれのハザード物質処理装置にも採用できる。
【符号の説明】
【0040】
1 薬剤充填ライン(ハザード物質処理装置)
5 充填部 8 アイソレータ
9 ハザードブース 21 区画壁
21a 開口部 22 シャッタ
25 シール部材 33a フランジ部
34 固定片(閉鎖ロック手段) 36 カバープレート
39 固定片(開放ロック手段) A 非ハザードエリア
B ハザードエリア C 容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7