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  • 特開-回転駆動装置及び回転駆動搬送装置 図1
  • 特開-回転駆動装置及び回転駆動搬送装置 図2
  • 特開-回転駆動装置及び回転駆動搬送装置 図3
  • 特開-回転駆動装置及び回転駆動搬送装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073243
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】回転駆動装置及び回転駆動搬送装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/024 20160101AFI20220510BHJP
   B62D 65/18 20060101ALN20220510BHJP
【FI】
H02P29/024
B62D65/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020183111
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131026
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 博
(74)【代理人】
【識別番号】100194124
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 まゆみ
(72)【発明者】
【氏名】松田 泰知
(72)【発明者】
【氏名】清水 直人
【テーマコード(参考)】
3D114
5H501
【Fターム(参考)】
3D114AA18
3D114CA11
3D114HA01
5H501AA06
5H501BB08
5H501DD01
5H501LL35
5H501LL51
5H501MM01
(57)【要約】
【課題】異常の発生を早期に検出することができる回転駆動装置及びそれを利用した回転駆動搬送装置を提供する。
【解決手段】回転駆動装置1は、出力軸11から回転運動を出力するモーター10と、出力軸11を回動中心としてモーター10を回動可能に支持する支持部材20と、出力軸11の回転運動に抗してモーター10に発生する反力のトルクN1に対し、反対方向のトルクを発生させるようにモーター10を付勢することが可能な回転制御手段30と、モーター10が反力のトルクN1の方向と反対方向に所定位置よりも回転しないように回転を停止させる回転停止手段40と、モーター10の回動を検出する検出手段50とを備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力軸から回転運動を出力するモーターと、
前記出力軸を回動中心として前記モーターを回動可能に支持する支持部材と、
前記出力軸の回転運動に抗して前記モーターに発生する反力のトルクに対し、反対方向のトルクを発生させるように前記モーターを付勢することが可能な回転制御手段と、
前記モーターが前記反力のトルクの方向と反対方向に所定位置よりも回転しないように回転を停止させる回転停止手段と、
前記モーターの回動を検出する検出手段と
を備えたことを特徴とする回転駆動装置。
【請求項2】
前記回転制御手段は、前記出力軸の回転が正常に作用している正常作用時に、前記反力のトルクの方向と反対方向に前記モーターが回転し、かつ、前記出力軸の回転が阻害される異常が発生した異常発生時に、前記反力のトルクの方向に前記モーターが回転するように、前記モーターに力を加えるように構成され、
前記検出手段は、前記異常発生時に、前記モーターに発生する反力のトルクが正常作用時よりも大きくなり、前記モーターが、前記回転制御手段によるトルクに抗して反力のトルクの方向に回動することを検出するように構成された
ことを特徴とする請求項1記載の回転駆動装置。
【請求項3】
前記検出手段が前記モーターの回動を検出したことを受け、前記モーターの駆動を停止させる異常停止手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の回転駆動装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1に記載の回転駆動装置と、
前記回転駆動装置により駆動される搬送手段と
を備えたことを特徴とする回転駆動搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常の発生を検出することができる回転駆動装置及びそれを利用した回転駆動搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車両の製造工程では、車両を搬送しながら各種検査を行う工程がある。この工程では、例えば、車両の車輪を挟んで搬送する走行部をコンベヤに配設し、コンベヤをモーターにより駆動させて、車両をコンベヤの一方側から他方側に移動させながら検査を行う搬送装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このような搬送装置では、外部から搬送区域内に障害物が進入して障害物によりコンベヤが停止しても、モーターは停止しないので、コンベヤのベルトやチェーンに負荷がかかり、損傷してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-142668号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような問題に対し、従来は、車両等の搬送物の移動状況をセンサやカメラにより検出し、搬送物の移動を検出できない場合に異常が発生したとしてモーターを停止させるようにしていた(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このような方法では、異常の発生を瞬時に検出することは難しく、コンベヤの損傷を抑制することが難しかった。また、異常発生時にはモーターに通常時よりも高いトルクがかかるので、それによる電流値の上昇を検出することにより異常の発生を検出することも考えられるが、異常発生時における電流値の変動が小さく、異常の発生を有効に検出することは難しかった。
【0005】
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、異常の発生を早期に検出することができる回転駆動装置及びそれを利用した回転駆動搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の回転駆動装置は、出力軸から回転運動を出力するモーターと、出力軸を回動中心としてモーターを回動可能に支持する支持部材と、出力軸の回転運動に抗してモーターに発生する反力のトルクに対し、反対方向のトルクを発生させるようにモーターを付勢することが可能な回転制御手段と、モーターが反力のトルクの方向と反対方向に所定位置よりも回転しないように回転を停止させる回転停止手段と、モーターの回動を検出する検出手段とを備えたものである。
【0007】
本発明の回転駆動搬送装置は、本発明の回転駆動装置と、回転駆動装置により駆動される搬送手段とを備えたものである。
【0008】
本発明の回転駆動装置では、モーターは、支持部材により出力軸を回動中心として回動可能に支持され、また、回転制御手段により、モーターに発生する反力のトルクに対して反対方向のトルクが発生するように付勢される。正常作用時には、回転停止手段により、モーターが反力のトルクの方向と反対方向に所定位置よりも回転しないように停止される。異常の発生により出力軸の回転が阻害されると、モーターに発生する反力のトルクが正常作用時よりも大きくなり、モーターは、回転制御手段によるトルクに抗して反力のトルクの方向に回動する。この回動は検出手段により検出される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の回転駆動装置によれば、支持部材によりモーターを回動可能に支持すると共に、回転制御手段によりモーターを付勢し、モーターに発生する反力のトルクに対して反対方向のトルクを発生させるようにしたので、異常の発生により出力軸の回転が阻害され、モーターの反力のトルクが正常作用時よりも大きくなると、モーターが反力のトルクの方向に回動して、異常の発生を検出することができる。よって、異常の発生を早期に検出することができ、モーターの駆動を早期に停止させることができる。従って、本発明の回転駆動装置を用いた回転駆動搬送装置によれば、異常の発生時に早期にモーターの駆動を停止させることができるので、搬送手段の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る回転駆動装置を用いた回転駆動搬送装置の概略構成を表す図である。
図2図1に示した回転駆動装置の構成を表す図である。
図3図2(A)に示した回転駆動装置の動作を表す図である。
図4】本発明に係る回転駆動装置の他の形態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係る回転駆動装置1を用いた回転駆動搬送装置の構成を表すものである。図2は、回転駆動装置1の構成を表すものである。この回転駆動搬送装置は、例えば、車輪が装着された車両Mを搬送するものであり、回転駆動装置1と、この回転駆動装置1により駆動される搬送手段2とを備えている。
【0013】
回転駆動装置1は、出力軸11から回転運動を出力するモーター10と、出力軸11を回動中心としてモーター10を回動可能に支持する支持部材20とを備えている。モーター10は、例えば、モーターケース12の内部にモーター本体が配設されており、モーター本体からモーターケース12の外部に出力軸11が突出して設けられている。出力軸11は、例えば、搬送手段2に対して連結されている。支持部材20は、例えば、出力軸11をベアリング等で回転可能に支持することにより、モーター10を回動可能に支持している。
【0014】
回転駆動装置1は、また、出力軸11の回転運動に抗してモーター10に発生する反力のトルクN1に対し、反対方向のトルクを発生させるようにモーター10を付勢することが可能な回転制御手段30と、モーター10が反力のトルクの方向と反対方向に所定位置よりも回転しないように回転を停止させる回転停止手段40と、モーター10の回動を検出する検出手段50と備えている。
【0015】
回転制御手段30は、例えば、出力軸11の回転が正常に作用している正常作用時に、反力のトルクN1の方向と反対方向にモーター10が回転し、かつ、出力軸11の回転が阻害される異常が発生した異常発生時に、反力のトルクN1の方向にモーター10が回転するように、モーター10に力を加えるように構成されている。なお、本発明では、出力軸11の回転が正常に作用している正常作用時のことを「正常作用時」といい、出力軸11の回転が阻害される異常が発生した異常発生時のことを「異常発生時」といい、出力軸11の回転運動に抗してモーター10に発生する反力のトルクのことを「反力のトルク」という。
【0016】
これにより、正常作用時には、回転制御手段30により反力のトルクN1の方向と反対方向にモーター10を回転させると共に、回転停止手段40によりモーター10が所定位置よりも回転しないように停止されるので、モーター10は所定位置に固定され、出力軸11から回転運動を出力することができるようになっている。また、異常発生時には、正常作用時よりも反力のトルクN1が大きくなり、回転制御手段30によるトルクに抗して、モーター10が反力のトルクN1の方向に回動し、検出手段50によりその回転を検出することができるようになっている。
【0017】
回転制御手段30は、例えば、モーター10に力を加える付勢手段31を設け、付勢手段31によりモーター10に加えるトルクN2と、モーター10の自重によるトルクN3との関係により、反力のトルクN1に対し反対方向のトルクを発生させるように構成することが好ましい。具体的には、例えば、付勢手段31によりモーター10に加えるトルクN2と、モーター10の自重によるトルクN3とを合わせたトルクが反力のトルクN1に対して反対方向であり、その合わせたトルクの大きさが正常作用時には反力のトルクN2よりも大きく、異常発生時には反力のトルクN1よりも小さくなるように調整することが好ましい。
【0018】
付勢手段31は、例えば、エアシリンダ、電動シリンダ、又は、油圧シリンダ等のシリンダにより構成することができる。中でも、エアシリンダが好ましい。付勢手段31は、例えば、シリンダチューブ31Aの内部にピストンが往復運動するように配設され、ピストンに配設されたピストンロッド31Bがシリンダチューブ31Aから突出し、又は、引き込まれるように構成されている。付勢手段31は、例えば、支持部材20に対して、付勢手段配設部材32によりシリンダチューブ31Aが取り付けられることにより配設されている。ピストンロッド31Bの先端部は、例えば、モーターケース12に突出して設けられた突出部13に対して連結部材33により連結されている。付勢手段31は、例えば、ピストンロッド31Bの移動方向が出力軸11を中心とする円の接線方向となるように配置されることが好ましい。
【0019】
付勢手段31によりモーター10に加えるトルクN2の大きさ及び向きは、例えば、反力のトルクN1と、モーター10の自重によるトルクN3との関係により調整する。例えば、正常出力時に、出力軸11が図面に向かい左回りに回転し、車両Mを駆動回転部2Dに向かい搬送する正搬送方向の場合について、図2を用いて具体的に説明する。この場合、モーター10には図面に向かい右回りに反力のトルクN1が発生する。なお、以下の説明において、反力のトルクN1の大きさをX、付勢手段31によりモーター10に加えるトルクN2の大きさをY、モーター10の自重によるトルクN3の大きさをZとする。X、Y、Zが「0」(ゼロ)でない場合には、向きに関係なく正の値とする。
【0020】
図2(A)は、反力のトルクN1とモーター10の自重によるトルクN3の向きが同一方向の場合である。この場合、付勢手段31によりモーター10に加えるトルクN2の向きは、反力のトルクN1と反対方向とし、トルクN2の大きさYは、正常作用時にY-Z>X、異常発生時にY-Z<Xの関係が成り立つように調整することが好ましい。
【0021】
図2(B)は、反力のトルクN1とモーター10の自重によるトルクN3の向きが反対方向であり、正常作用時においてトルクN1の大きさXの方がトルクN3の大きさZよりも大きい(X>Z)の場合である。この場合、付勢手段31によりモーター10に加えるトルクN2の向きは、反力のトルクN1と反対方向とし、トルクN2の大きさYは、正常作用時にY+Z>X、異常発生時にY+Z<Xの関係が成り立つように調整することが好ましい。
【0022】
図2(C)は、反力のトルクN1とモーター10の自重によるトルクN3の向きが反対方向であり、正常作用時においてトルクN1の大きさXの方がトルクN3の大きさZよりも小さい(X<Z)の場合である。この場合、付勢手段31によりモーター10に加えるトルクN2の向きは、反力のトルクN1と同一方向とし、トルクN2の大きさYは、正常作用時にZ-Y>X、異常発生時にZ-Y<Xの関係が成り立つように調整することが好ましい。なお、トルクN1の大きさXとトルクN3の大きさZとの関係によっては、トルクN2の大きさYは「0」(ゼロ)でもよく、付勢手段31によりモーター10に力を加えなくてもよい場合がある。
【0023】
付勢手段31をシリンダにより構成した場合、付勢手段31を回転停止手段40としても機能させることができる。例えば、反力のトルクN1の方向にモーター10が回転した時に、ピストンロッド31Bがシリンダチューブ31Aに引き込まれる方向にシリンダを配設すれば、ピストンロッド31Bが最大に突出した位置において、モーター10が反力のトルクN1の方向と反対方向に回転することを停止させることができる。また、図2に示した例とは逆に、例えば、反力のトルクN1の方向にモーター10が回転した時に、ピストンロッド31Bがシリンダチューブ31Aから突出する方向にシリンダを配設すれば、ピストンロッド31Bが最も引き込まれた位置において、モーター10が反力のトルクN1の方向と反対方向に回転することを停止させることができる。
【0024】
なお、図2ではモーター10の重心Gが出力軸11からずれており、モーター10の自重によるトルクN3が発生する場合について示したが、正常作用時にモーター10の重心Gが出力軸11の垂直線上に位置する場合には、モーター10の自重によるトルクN3は「0」(ゼロ)となる。モーター10の自重によるトルクN3が「0」(ゼロ)の場合には、図2(A)又は(B)においてZ=0の場合に該当する。
【0025】
検出手段50は、例えば、近接センサ等のセンサにより構成されることが好ましい。検出手段50は、例えば、モーター10の近傍に位置するように配設されている。具体的には、例えば、突出部13又は連結部材33の近傍に位置するように、検出手段配設部材51により付勢手段配設部材32に対して配設されている。検出手段50は、例えば、突出部13又は連結部材33との間の距離の変化(例えば、距離が近づいたり離れたこと)を検出することにより、モーター10の回動を検出するように構成されている。
【0026】
回転駆動装置1は、更に、検出手段50がモーター10の回動を検出したことを受け、モーター10の駆動を停止させる異常停止手段60を備えていることが好ましい。異常停止手段60は、検出手段50及びモーター10と電気的に接続されている。
【0027】
搬送手段2は、例えば、車両Mの車輪を挟んで搬送する走行部2Aと、走行部2Aを牽引して、搬送開始位置から搬送停止位置まで移動させる牽引手段2Bとを備えている。牽引手段2Bは、例えば、走行部2Aが配設された牽引ベルト2Cを有している。牽引ベルト2Cは、例えば、間隔を開けて配設された駆動回転部2Dと従動回転部2Eとに掛け渡されている。駆動回転部2Dには、モーター10の出力軸11が連結されている。
【0028】
この回転駆動搬送装置1は、次のように動作する。まず、回動制御手段30により、反力のトルクN1に対し反対方向のトルクを発生させるようにモーター10を付勢する。例えば、正常作用時に、反力のトルクN1の方向と反対方向にモーター10が回転し、かつ、異常発生時に、反力のトルクN1の方向にモーター10が回転するように、モーター10に力を加える。具体的には、例えば、付勢手段31により、反力のトルクN1と、モーター10の自重によるトルクN3との関係に応じて、上述したようにモーター10に力を加える。次いで、モーター10を駆動させる。
【0029】
これにより、正常作用時には、回転制御手段30により反力のトルクN1の方向と反対方向にモーター10が回転するように力が加えられ、回転停止手段40によりモーター10の回転が停止されて所定位置に固定され、出力軸11から回転運動が出力される。搬送手段2では、モーター10の駆動により、例えば、駆動回転部2Dが回転して牽引ベルト2Cにより走行部2Aが牽引され、車両Mが搬送される。
【0030】
また、例えば、車両Mの搬送中に外部から搬送区域内に障害物が進入して搬送が妨げられ、搬送速度の低下や異常停止等の異常が発生すると、出力軸11の回転が阻害され、正常作用時よりも回転が遅くなったり回転が停止する。このような異常発生時には、正常作用時よりも反力のトルクN1が大きくなり、回転制御手段30により加えている力に抗して、モーター10が反力のトルクN1の方向に回転する。なお、図3に、図2(A)に示した回転駆動搬送装置1の異常発生時における動作を代表して示す。モーター10の回動は、例えば、検出手段50により検出され、異常停止手段60によりモーター10の駆動が停止される。
【0031】
このように本実施の形態によれば、支持部材20によりモーター10を回動可能に支持すると共に、回転制御手段30によりモーター10を付勢し、モーター10に発生する反力のトルクN1に対して反対方向のトルクを発生させるようにしたので、異常の発生により出力軸11の回転が阻害され、モーター10の反力N1のトルクが正常作用時よりも大きくなると、モーター10が反力のトルクN1の方向に回動して、異常の発生を検出することができる。よって、異常の発生を早期に検出することができ、モーター10の駆動を早期に停止させることができる。従って、この回転駆動装置1を用いた回転駆動搬送装置によれば、異常の発生時に早期にモーター10の駆動を停止させることができるので、搬送手段2の損傷を抑制することができる。
【0032】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、各構成要素について具体的に説明したが、各構成要素の具体的な構造や形状は異なっていてもよく、また、上述した構成要素を全て備えていなくてもよく、他の構成要素を備えていてもよい。
【0033】
例えば、上記実施の形態では、車輪が装着された車両Mを搬送する回転駆動搬送装置について説明したが、被搬送物は限定されるものではない。搬送手段2の構成も限定されず、回転駆動装置1により駆動されるものであれば広く適用することができる。
【0034】
また、上記実施の形態では、正常作用時に、出力軸11が図面に向かい左回りに回転し、車両Mを駆動回転部2Dに向かい搬送する正搬送方向の場合について例に挙げて具体的に説明したが、それとは逆に、正常作用時に、出力軸11を図面に向かい右回りに回転させ、車両Mを駆動回転部2Dから従動回転部2Eに向かい搬送する逆搬送方向の場合には、例えば、図4に示したように構成することができる。
【0035】
図4(A)は、反力のトルクN1とモーター10の自重によるトルクN3の向きが反対方向であり、正常作用時においてトルクN1の大きさの方がトルクN3の大きさよりも大きい(X>Z)の場合である。この場合、付勢手段31によりモーター10に加えるトルクN2の向きは、反力のトルクN1と反対方向とし、トルクN2の大きさYは、正常作用時にY+Z>X、異常発生時にY+Z<Xの関係が成り立つように調整することが好ましい。
【0036】
図4(B)は、反力のトルクN1とモーター10の自重によるトルクN3の向きが反対方向であり、正常作用時においてトルクN1の大きさの方がトルクN3の大きさよりも小さい(X<Z)の場合である。この場合、付勢手段31によりモーター10に加えるトルクN2の向きは、反力のトルクN1と同一方向とし、トルクN2の大きさYは、正常作用時にZ-Y>X、異常発生時にZ-Y<Xの関係が成り立つように調整することが好ましい。なお、トルクN1の大きさXとトルクN3の大きさZとの関係によっては、トルクN2の大きさYは「0」(ゼロ)でもよく、付勢手段31によりモーター10に力を加えなくてもよい場合がある。
【0037】
図4(C)は、反力のトルクN1とモーター10の自重によるトルクN3の向きが同一方向の場合である。この場合、付勢手段31によりモーター10に加えるトルクN2の向きは、反力のトルクN1と反対方向とし、トルクN2の大きさYは、正常作用時にY-Z>X、異常発生時にY-Z<Xの関係が成り立つように調整することが好ましい。
【0038】
なお、図4ではモーター10の重心Gが出力軸11からずれており、モーター10の自重によるトルクN3が発生する場合について示したが、正常作用時にモーター10の重心Gが出力軸11の垂直線上に位置する場合には、モーター10の自重によるトルクN3は「0」(ゼロ)となる。この場合、図4(A)又は(C)においてZ=0とした場合となる。
【0039】
更に、上記実施の形態では、付勢手段31が回転停止手段40としての機能も備える場合について説明したが、付勢手段31とは別に、回転停止手段40として、例えば、モーター12を係止することにより回転を停止させる係止部材を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…回転駆動装置、10…モーター、11…出力軸、12…モーターケース、13…突出部、20…支持部材、30…回転制御手段、31…付勢手段、31A…シリンダチューブ、31B…ピストンロッド、32…付勢手段配設部材、33…連結部材、40…回転停止手段、50…検出手段、51…検出手段配設部材、60…異常停止手段、2…搬送手段、2A…走行部、2B…牽引手段、2C…牽引ベルト、2D…駆動回転部、2E…従動回転部、M…車両
図1
図2
図3
図4