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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007327
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/046 20060101AFI20220105BHJP
   E03C 1/042 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
E03C1/046
E03C1/042 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020110238
(22)【出願日】2020-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 高賀夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 成吾
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA03
2D060BB03
2D060BC30
2D060BE20
2D060CA04
(57)【要約】
【課題】手洗いから洗い残しの確認までの作業を適切に行うことが可能な水栓装置を提供する。
【解決手段】水栓装置1は、水栓本体2に設けられる吐水口2Aから水を吐出する吐水部3と、水栓本体2に設けられる洗浄液吐出口2Bから洗浄液を吐出する洗浄液吐出部4であって、洗浄液が所定波長の紫外線が照射されることで蛍光反応を示す蛍光剤を含有するものとされる洗浄液吐出部4と、水栓本体2に設けられ外部に上記所定波長の紫外線を照射する紫外線照射部5と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓本体に設けられる吐水口から水を吐出する吐水部を備える水栓装置であって、
前記水栓本体に設けられる洗浄液吐出口から洗浄液を吐出する洗浄液吐出部であって、前記洗浄液が所定波長の紫外線が照射されることで蛍光反応を示す蛍光剤を含有するものとされる前記洗浄液吐出部と、
前記水栓本体に設けられ外部に前記所定波長の紫外線を照射する紫外線照射部と、を有する水栓装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水栓装置であって、
更に、前記水栓本体に設けられて検出対象物が差し出されたか否かを検出する検出センサと、該検出センサの検出信号に基づいて前記吐水部、前記洗浄液吐出部、及び前記紫外線照射部の動作を制御する動作制御部と、を有する水栓装置。
【請求項3】
請求項2に記載の水栓装置であって、
前記検出センサが、前記吐水口に前記検出対象物が差し出されたか否かを検出する吐水用センサと、前記洗浄液吐出口に前記検出対象物が差し出されたか否かを検出する洗浄液吐出用センサと、前記紫外線照射部に前記検出対象物が差し出されたか否かを検出する紫外線照射用センサと、を有し、
前記動作制御部が、前記吐水用センサ、前記洗浄液吐出用センサ、及び前記紫外線照射用センサの個々の検出信号に基づいて前記吐水部、前記洗浄液吐出部、及び前記紫外線照射部の動作を個々に制御する水栓装置。
【請求項4】
請求項3に記載の水栓装置であって、
前記吐水用センサと前記洗浄液吐出用センサとが、前記水栓本体の正面に立つ使用者から見て左右に並ぶ配置とされ、
前記紫外線照射用センサが、前記使用者から見て前記吐水用センサ及び前記洗浄液吐出用センサよりも手前側に並ぶ配置とされる水栓装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の水栓装置であって、
前記吐水口と前記洗浄液吐出口とが、前記水栓本体の正面に立つ使用者から見て左右に並ぶ配置とされ、
前記紫外線照射部が、前記使用者から見て前記吐水口及び前記洗浄液吐出口よりも手前側に並ぶ配置とされる水栓装置。
【請求項6】
請求項5に記載の水栓装置であって、
前記吐水口と前記洗浄液吐出口とが、それぞれ、水栓下向きに開口する配置とされ、
前記紫外線照射部が、前記使用者から見て水栓下斜め手前向きに前記所定波長の紫外線を照射する配置とされる水栓装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の水栓装置であって、
前記紫外線照射部から照射される前記所定波長の紫外線がUVAのみとされる水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓装置に関する。詳しくは、水栓本体に設けられる吐水口から水を吐出する吐水部を備える水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水を吐出する吐水部と、洗浄液(石鹸液)を吐出する洗浄液吐出部と、を備える水栓装置が開示されている。この水栓装置は、使用者が手を洗浄液吐出用の検出センサの前に差し出すことで、洗浄液吐出口から洗浄液が自動的に吐出される。そして、手を洗浄した後に手を吐水用の検出センサの前に差し出すことで、吐水口から水が自動的に吐出される。したがって、手を洗浄液により洗浄し、その後に水で洗い流すという一連の作業を、その場でまとめて行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2957396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、洗浄後の手の洗い残しを確認することができず、適切な手洗いができているか否か確認することができない。そこで、本発明は、手洗いから洗い残しの確認までの作業を適切に行うことが可能な水栓装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の水栓装置は次の手段をとる。すなわち、水栓装置は、水栓本体に設けられる吐水口から水を吐出する吐水部と、水栓本体に設けられる洗浄液吐出口から洗浄液を吐出する洗浄液吐出部であって、洗浄液が所定波長の紫外線が照射されることで蛍光反応を示す蛍光剤を含有するものとされる洗浄液吐出部と、水栓本体に設けられ外部に所定波長の紫外線を照射する紫外線照射部と、を有する。
【0006】
上記構成によれば、使用者が1つの水栓装置で手洗いから洗い残しの確認までの作業を行うことが可能となる。具体的には、使用者が吐水口より吐出される水で手を濡らしたり洗い流したりすることができる。また、洗浄液吐出口から吐出される洗浄液を手に取って擦り合わせるなどして手を洗浄することができる。また、手を水で洗い流した後、手を紫外線照射部より照射される紫外線に当てることで、手に洗浄液の洗い残しがある場合にはその部分が蛍光反応を示すため、洗い残しがあることを確認することができる。そして、手に洗い残しがある場合には、その場で再び手をきれいに洗い流すことができる。
【0007】
また、本発明の水栓装置は、更に次のように構成されていてもよい。水栓装置が、更に、水栓本体に設けられて検出対象物が差し出されたか否かを検出する検出センサと、検出センサの検出信号に基づいて吐水部、洗浄液吐出部、及び紫外線照射部の動作を制御する動作制御部と、を有する。
【0008】
上記構成によれば、検出センサにより水栓本体に使用者の手(検出対象物)が差し出されたか否かを検出して、動作制御部により吐水口から自動的に水を吐出させたり、洗浄液吐出口から自動的に洗浄液を吐出させたり、紫外線照射部から自動的に紫外線を照射させたりすることができる。それにより、水栓装置を非接触で使用することができ、使い勝手をより向上させることができる。
【0009】
また、本発明の水栓装置は、更に次のように構成されていてもよい。検出センサが、吐水口に検出対象物が差し出されたか否かを検出する吐水用センサと、洗浄液吐出口に検出対象物が差し出されたか否かを検出する洗浄液吐出用センサと、紫外線照射部に検出対象物が差し出されたか否かを検出する紫外線照射用センサと、を有する。動作制御部が、吐水用センサ、洗浄液吐出用センサ、及び紫外線照射用センサの個々の検出信号に基づいて吐水部、洗浄液吐出部、及び紫外線照射部の動作を個々に制御する。
【0010】
上記構成によれば、使用者が手を差し出す位置によって、吐水部、洗浄液吐出部、及び紫外線照射部を、個々に選択的に動作させることが可能となる。それにより、水栓装置の使い勝手を更に向上させることができる。
【0011】
また、本発明の水栓装置は、更に次のように構成されていてもよい。吐水用センサと洗浄液吐出用センサとが、水栓本体の正面に立つ使用者から見て左右に並ぶ配置とされる。紫外線照射用センサが、上記使用者から見て吐水用センサ及び洗浄液吐出用センサよりも手前側に並ぶ配置とされる。
【0012】
上記構成によれば、使用者が紫外線照射用センサに手を差し出した際、誤って吐水用センサや洗浄液吐出用センサが手を検出してしまう誤検出を抑制することができる。したがって、洗い流した手に洗浄液や水が予想に反して掛けられてしまう不具合を抑制することができる。
【0013】
また、本発明の水栓装置は、更に次のように構成されていてもよい。吐水口と洗浄液吐出口とが、水栓本体の正面に立つ使用者から見て左右に並ぶ配置とされる。紫外線照射部が、上記使用者から見て吐水口及び洗浄液吐出口よりも手前側に並ぶ配置とされる。
【0014】
上記構成によれば、使用者が紫外線照射部に手を差し出した際、誤って吐水口から水が吐出されたり洗浄液吐出口から洗浄液が吐出されたりしても、これらが手に掛けられにくくなる。したがって、洗い流した手に洗浄液や水が予想に反して掛けられてしまう不具合を抑制することができる。
【0015】
また、本発明の水栓装置は、更に次のように構成されていてもよい。吐水口と洗浄液吐出口とが、それぞれ、水栓下向きに開口する配置とされる。紫外線照射部が、使用者から見て水栓下斜め手前向きに所定波長の紫外線を照射する配置とされる。
【0016】
上記構成によれば、紫外線照射部が、使用者が紫外線に当てた手を見やすい位置に配置されることとなる。したがって、手に洗い残しがあるか否かの確認を、より簡便に行うことができる。
【0017】
また、本発明の水栓装置は、更に次のように構成されていてもよい。紫外線照射部から照射される所定波長の紫外線がUVAのみとされる。
【0018】
上記構成によれば、紫外線照射部から照射される紫外線が、人体への悪影響が非常に小さいものとなるため、使用者が安心かつ安全に手の洗い残しの確認を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施形態に係る水栓装置の概略構成を表した斜視図である。
図2】水栓装置を上側から見た斜視図である。
図3】水栓装置の側面図である。
図4】水栓装置の底面図である。
図5】吐水用センサに手が差し出された状態を表した図1に対応する斜視図である。
図6】洗浄液吐出用センサに手が差し出された状態を表した図1に対応する斜視図である。
図7】紫外線照射用センサに手が差し出された状態を表した図1に対応する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0021】
《第1の実施形態》
(水栓装置1の概略構成について)
始めに、本発明の第1の実施形態に係る水栓装置1の構成について、図1図7を用いて説明する。なお、以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。すなわち、使用者が水栓装置1の正面に立った位置から水栓装置1を見た方向を基準に、水栓装置1の手前、奥、左右及び上下の各方向を指すものとする。
【0022】
図1図4に示すように、本実施形態に係る水栓装置1は、洗面化粧台Sの奥側の天板上に設置される自動水栓として構成される。上記水栓装置1は、その天板上から延び出る水栓本体2が、洗面化粧台Sの内側(手前側)に向かって側面視逆L字状に屈曲した箱型形状に形成されている。上記水栓装置1の天板部2Uは、水平状に延びる平坦な面形状とされている。
【0023】
図1に示すように、上記水栓装置1には、その手前側へ延び出した先の下面部2Lに、水を吐出する吐水口2Aと、洗浄液(液体ハンドソープ)を吐出する洗浄液吐出口2Bとが、左右に並んで設けられている。詳しくは、吐水口2Aが向かって右側に配置され、洗浄液吐出口2Bが向かって左側に配置されている。上記吐水口2Aと洗浄液吐出口2Bは、それぞれ、水栓装置1の下方に開口する形状とされている。
【0024】
また、上記水栓装置1には、その下面部2Lから手前側に向かって斜めに立ち上がる傾斜前面部2Fに、UV-Aの波長域(ピーク波長:約350~380nm)の紫外線を放射する紫外線LED(ブラックライト)5が設けられている。上記紫外線LED5は、上記傾斜前面部2Fに配置されていることで、水栓装置1の手前斜め下方に向かって紫外線を照射する構成とされている。ここで、紫外線LED5が、本発明の「紫外線照射部」に相当する。
【0025】
上記紫外線LED5は、使用者が手を水で洗い流した後、手に洗い残しがあるか否かを紫外線の照射によって確認できるようにするために設けられている。ここで、本実施形態で使用される洗浄液は、紫外線の照射によって蛍光反応を示す蛍光剤が含有されたものとなっている。そのため、手を水で洗い流した後、手に洗浄液の洗い残しがある場合には、手を上記の紫外線に当てることで、洗い残した部分が蛍光反応を示すため、洗い残しがあることを目視で簡便に確認することができる。
【0026】
上記水栓装置1は、使用者が手洗いから洗い残しを確認するまでの作業をその場で全て簡便に行うことができる構成とされる。具体的には、水栓装置1は、その下面部2Lと傾斜前面部2Fとに設けられた検出センサ6により、使用者の手が吐水口2A、洗浄液吐出口2B、或いは紫外線LED5のいずれかの近くに差し出されたか否かを自動的に検出することができる構成とされる。
【0027】
そして、水栓装置1は、上記検出信号に基づき、使用者の手が差し出された位置に応じて、吐水口2Aから自動的に水を吐出したり洗浄液吐出口2Bから自動的に洗浄液を吐出したり紫外線LED5から自動的に紫外線を照射したりする構成とされる。したがって、使用者が洗浄液を手に取ったり、手を水で洗い流したりする作業を簡便に行うことができる(図5図6参照)。
【0028】
また、使用者が手を水で洗い流した後、手を紫外線LED5の近くに差し出すことにより、手に残った洗浄液の洗い流しを紫外線の照射による蛍光反応によって簡便に目視確認することができる(図6参照)。詳しくは、紫外線LED5は、水栓本体2の傾斜前面部2Fに配置されているため、使用者が視認性の良い位置で手を紫外線に当てることができる。
【0029】
したがって、使用者が、紫外線に当てた手のひらや手の甲を容易に目で見て確認することができる。そして、手に洗い残しがある場合には、手を再び吐水口2Aの近くに差し出すことで、吐水口2Aから自動的に水が再吐出される(図5参照)。したがって、上記の作業を繰り返すことで、使用者が手をその場で簡便かつ確実にきれいに洗い流すことができる。
【0030】
(水栓装置1の各部の構成について)
以下、上記水栓装置1の各部の具体的な構成について詳しく説明する。図1に示すように、水栓装置1は、水栓本体2に設けられた吐水口2Aから水を吐出する吐水部3と、水栓本体2に設けられた洗浄液吐出口2Bから蛍光剤の入った洗浄液を吐出する洗浄液吐出部4と、水栓本体2に設けられて紫外線を照射する紫外線LED5と、を有する。
【0031】
また、水栓装置1は、水栓本体2に設けられて使用者の手が差し出されたか否かを検出する検出センサ6と、検出センサ6の検出信号に基づいて吐水部3、洗浄液吐出部4、及び紫外線LED5の動作を個々に制御する動作制御部7と、を更に有する。
【0032】
(吐水部3について)
吐水部3は、具体的な図示は省略されているが、給水源から吐水口2Aに水を供給する給水管と、吐水口2Aからの吐水/止水を切り替える開閉弁と、を有する。開閉弁は、動作制御部7と電気的に接続された電磁弁から成り、動作制御部7により開弁/閉弁の切り替えが行われる構成とされる。
【0033】
開閉弁が閉弁状態に切り替えられることで、吐水口2Aからの吐水が完全に止められる。また、開閉弁が開弁状態に切り替えられることで、吐水口2Aから吐水される。
【0034】
(洗浄液吐出部4について)
洗浄液吐出部4も、具体的な図示は省略されているが、洗浄液を貯留するタンクと、タンクから洗浄液吐出口2Bに洗浄液を供給する供給管と、タンクの空気層に圧縮空気を送るエアポンプと、を有する。エアポンプは、動作制御部7と電気的に接続された電動ポンプから成り、動作制御部7により駆動/停止の切り替えが行われる構成とされる。
【0035】
エアポンプが停止状態に切り替えられることで、洗浄液吐出口2Bからの洗浄液の吐出が完全に止められる。また、エアポンプが駆動状態に切り替えられることで、タンク内の空気層に圧縮空気が送られ、タンク内の洗浄液が押し上げられて供給管を通って洗浄液吐出口2Bから吐出される。上記エアポンプは、上記動作制御部7により駆動状態に切り替えられることで、洗浄液を所定時間吐出した後、タイマにより停止状態に切り替えられる。
【0036】
(紫外線LED5について)
紫外線LED5は、UV-Aの波長域(ピーク波長:約350~380nm)の紫外線を放射する発光ダイオードから構成される。上記紫外線LED5は、動作制御部7と電気的に接続されており、動作制御部7によりON/OFFの切り替えが行われる構成とされる。
【0037】
(検出センサ6について)
検出センサ6は、吐水口2Aに手が差し出されたか否かを検出する吐水用センサ6Aと、洗浄液吐出口2Bに手が差し出されたか否かを検出する洗浄液吐出用センサ6Bと、紫外線LED5に手が差し出されたか否かを検出する紫外線照射用センサ6Cと、を有する。吐水用センサ6Aは、水栓本体2の下面部2Lにおける吐水口2Aより手前側の位置に配置される。
【0038】
詳しくは、吐水用センサ6Aは、吐水口2Aと左右方向の配置が重なる位置に配置される。洗浄液吐出用センサ6Bは、水栓本体2の下面部2Lにおける洗浄液吐出口2Bより手前側の位置に配置される。詳しくは、洗浄液吐出用センサ6Bは、洗浄液吐出口2Bと左右方向の配置が重なる位置に配置される。
【0039】
紫外線照射用センサ6Cは、水栓本体2の傾斜前面部2Fにおける紫外線LED5より上側の位置に配置される。詳しくは、紫外線照射用センサ6Cは、紫外線LED5と左右方向の配置が重なる位置に配置される。紫外線LED5は、左右方向に長尺状に延びる横長な発光部が上下2列に並んで設けられた構成とされる。
【0040】
上記配置により、吐水用センサ6Aは、使用者が手を吐水口2Aの付近に差し出すことで、手の差し出しを適切に検出することができるようになっている。また、洗浄液吐出用センサ6Bは、使用者が手を洗浄液吐出口2Bの付近に差し出すことで、手の差し出しを適切に検出することができるようになっている。
【0041】
また、紫外線照射用センサ6Cは、使用者が手を紫外線LED5の付近に差し出すことで、手の差し出しを適切に検出することができるようになっている。詳しくは、紫外線照射用センサ6Cは、吐水用センサ6A及び洗浄液吐出用センサ6Bよりも手前側に並ぶ配置とされている。
【0042】
そのため、紫外線照射用センサ6Cは、使用者が紫外線LED5の付近に手を差し出した際に、吐水用センサ6Aや洗浄液吐出用センサ6Bが誤って手を検出してしまうという誤検出が発生しにくくなっている。したがって、使用者が洗い流した手を紫外線LED5の付近に差し出した際に、洗浄液や水が予想に反して吐出されてしまう不具合を抑制することができる。
【0043】
また、上記吐水用センサ6A、洗浄液吐出用センサ6B及び紫外線照射用センサ6Cの配置に加え、吐水口2A、洗浄液吐出口2B及び紫外線照射用センサ6Cが上記のように配置されていることによっても、上記の効果を得ることができる。すなわち、使用者が洗い流した手を紫外線LED5の付近に差し出した際に、洗浄液や水が予想に反して吐出されて手に掛けられてしまう不具合を抑制することができる。
【0044】
上記吐水用センサ6A、洗浄液吐出用センサ6B及び紫外線照射用センサ6Cは、それぞれ、赤外線センサから成る。これら吐水用センサ6A、洗浄液吐出用センサ6B及び紫外線照射用センサ6Cは、それぞれ、使用者の手が各々の正面に差し出されたか否かを非接触で検出することができる構成とされる。
【0045】
(動作制御部7について)
動作制御部7は、例えばマイコンで構成されており、図示は省略されているが、CPU、FlashROM等の記憶装置、タイマ等の機能部を備える。上記動作制御部7は、前述した吐水用センサ6A、洗浄液吐出用センサ6B及び紫外線照射用センサ6Cとそれぞれ電気的に接続されている。
【0046】
上記動作制御部7は、電源が投入され機能を開始されると、吐水用センサ6A、洗浄液吐出用センサ6B及び紫外線照射用センサ6Cにそれぞれ所定の検出時間長さと間隔の検出信号を出力する。上記動作制御部7は、初期状態では、吐水部3の図示しない開閉弁を開弁状態とし、洗浄液吐出部4の図示しないエアポンプを停止状態とし、紫外線LED5を紫外線を照射しないOFF状態とする。
【0047】
上記動作制御部7は、吐水用センサ6Aにおいて使用者の手が差し出されたことが検出されると、吐水部3の図示しない開閉弁を開弁状態に切り替える。それにより、吐水口2Aから水が吐出される。
【0048】
上記動作制御部7は、吐水用センサ6Aにおいて使用者の手が差し出されたことが検出されている間、上記吐水部3の開閉弁を開弁状態に維持する。したがって、使用者が吐水用センサ6Aに手を差し出している間、吐水口2Aから水が吐出され続ける。
【0049】
上記動作制御部7は、吐水用センサ6Aにおいて使用者の手が検出されなくなると、上記吐水部3の開閉弁を閉弁状態に切り替える。それにより、吐水口2Aからの水の吐出が止められる。
【0050】
また、動作制御部7は、洗浄液吐出用センサ6Bにおいて使用者の手が差し出されたことが検出されると、洗浄液吐出部4の図示しないエアポンプを駆動状態に切り替える。それにより、洗浄液吐出口2Bから洗浄液が吐出される。
【0051】
上記動作制御部7は、上記洗浄液吐出用センサ6Bにおいて使用者の手が差し出されたことが検出され続けても、或いは、洗浄液の吐出中に使用者の手が検出されなくなっても、タイマにより洗浄液を所定時間吐出し続けた後に、エアポンプを停止状態に切り替えるようになっている。それにより、使用者が洗浄液吐出用センサ6Bに手を差し出すことで、その差し出し時間の長さに関わらず、常に一定量の洗浄液を手に取ることができるようになっている。
【0052】
また、動作制御部7は、紫外線照射用センサ6Cにおいて使用者の手が差し出されたことが検出されると、紫外線LED5を紫外線を照射するON状態に切り替える。それにより、紫外線LED5から差し出された手に向かって手前斜め下方に紫外線が照射される。
【0053】
上記動作制御部7は、紫外線照射用センサ6Cにおいて使用者の手が差し出されたことが検出されている間、紫外線LED5をON状態に維持する。したがって、使用者が紫外線照射用センサ6Cに手を差し出している間、紫外線LED5から紫外線が照射され続ける。
【0054】
上記動作制御部7は、紫外線照射用センサ6Cにおいて使用者の手が検出されなくなると、紫外線LED5をOFF状態に切り替える。それにより、紫外線LED5からの紫外線の照射が消される。
【0055】
上記動作制御部7は、吐水用センサ6A、洗浄液吐出用センサ6B、紫外線照射用センサ6Cのうち、2つ以上が手を同時に検出した場合には、使用者が意図する手の差し出し位置を判定する判定部を有する。上記判定部は、例えば、図5に示すように、使用者が吐水用センサ6Aに手を差し出した際、手と腕とが吐水用センサ6Aと紫外線照射用センサ6Cとによって同時に検出されてしまった場合に、吐水用センサ6Aに手が差し出されたものと判定する。
【0056】
また、判定部は、図6に示すように、使用者が洗浄液吐出用センサ6Bに手を差し出した際、手と腕とが洗浄液吐出用センサ6Bと紫外線照射用センサ6Cとによって同時に検出されてしまった場合に、洗浄液吐出用センサ6Bに手が差し出されたものと判定する。また、判定部は、図示はされていないが、使用者が吐水用センサ6A或いは洗浄液吐出用センサ6Bに手を差し出した際、手が吐水用センサ6Aと洗浄液吐出用センサ6Bとによって同時に検出されてしまった場合に、そのうちの受光強度の高い側に手が差し出されたものと判定する。
【0057】
このような判定部が備えられていることで、使用者が手を吐水用センサ6Aに差し出した時には、他の洗浄液吐出用センサ6Bや紫外線照射用センサ6Cが手の差し出しを検出してしまっても、使用者の意図する吐水口2Aからの水の吐水のみを行うことができる。また、使用者が手を洗浄液吐出用センサ6Bに差し出した時には、他の吐水用センサ6Aや紫外線照射用センサ6Cが手の差し出しを検出してしまっても、使用者の意図する洗浄液吐出口2Bからの洗浄液の吐出のみを行うことができる。
【0058】
(使用方法について)
続いて、水栓装置1の使用方法について説明する。すなわち、先ず、図5に示すように、手洗いを行う使用者が、上記水栓装置1の正面に立った位置から、手を吐水口2Aの下側に差し出す。それにより、吐水口2Aから水が吐出されるため、手が濡らされる。
【0059】
次に、図6に示すように、使用者が、上記差し出した手をそのまま左方に動かして、洗浄液吐出口2Bの下側へと移動させる。それにより、洗浄液吐出口2Bから洗浄液が吐出されるため、洗浄液が手に付けられる。したがって、次に、使用者が、上記洗浄液の付けられた手を擦り合わせるなどして、手に付いた汚れを洗浄する。
【0060】
次に、再び図5に示すように、使用者が、上記洗浄した手を再び吐水口2Aの下側に差し出す。それにより、吐水口2Aから再び水が吐出される。したがって、使用者は、その吐出される水により手を洗い流すことができる。
【0061】
そして、上記手洗いを行った後、図7に示すように、使用者が、洗い流した手を紫外線LED5の下側に差し出す。それにより、紫外線LED5から紫外線が照射される。したがって、使用者は、上記紫外線が照射された手を見ることで、手に洗い残しがあるか否かを確認することができる。洗い残しがある場合には、その部分が紫外線の照射により蛍光反応を示すこととなる。
【0062】
上記紫外線照射により、洗い残しがないことが確認されたら、手洗い作業はそこで終了となる。しかし、洗い残しがある場合には、再び手を図5に示すように吐水口2Aの下側へと差し出して、手の洗い残しがある部分を水で洗い流す。そして、その後に、再び図7に示すように、洗い流した手を紫外線LED5の下側に差し出して洗い残しの確認を行う。上記の作業を繰り返すことで、手の洗い残しがなくなるまで手洗いを適切に行うことができる。
【0063】
(まとめ)
以上をまとめると、第1の実施形態に係る水栓装置1は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0064】
すなわち、水栓装置(1)は、水栓本体(2)に設けられる吐水口(2A)から水を吐出する吐水部(3)と、水栓本体(2)に設けられる洗浄液吐出口(2B)から洗浄液を吐出する洗浄液吐出部(4)であって、洗浄液が所定波長の紫外線が照射されることで蛍光反応を示す蛍光剤を含有するものとされる洗浄液吐出部(4)と、水栓本体(2)に設けられ外部に所定波長の紫外線を照射する紫外線照射部(5)と、を有する。
【0065】
上記構成によれば、使用者が1つの水栓装置(1)で手洗いから洗い残しの確認までの作業を行うことが可能となる。具体的には、使用者が吐水口(2A)より吐出される水で手を濡らしたり洗い流したりすることができる。また、洗浄液吐出口(2B)から吐出される洗浄液を手に取って擦り合わせるなどして手を洗浄することができる。
【0066】
また、手を水で洗い流した後、手を紫外線照射部(5)より照射される紫外線に当てることで、手に洗浄液の洗い残しがある場合にはその部分が蛍光反応を示すため、洗い残しがあることを確認することができる。そして、手に洗い残しがある場合には、その場で再び手をきれいに洗い流すことができる。
【0067】
また、水栓装置(1)が、更に、水栓本体(2)に設けられて検出対象物が差し出されたか否かを検出する検出センサ(6)と、検出センサ(6)の検出信号に基づいて吐水部(3)、洗浄液吐出部(4)、及び紫外線照射部(5)の動作を制御する動作制御部(7)と、を有する。
【0068】
上記構成によれば、検出センサ(6)により水栓本体(2)に使用者の手(検出対象物)が差し出されたか否かを検出して、動作制御部(7)により吐水口(2A)から自動的に水を吐出させたり、洗浄液吐出口(2B)から自動的に洗浄液を吐出させたり、紫外線照射部(5)から自動的に紫外線を照射させたりすることができる。それにより、水栓装置(1)を非接触で使用することができ、使い勝手をより向上させることができる。
【0069】
また、検出センサ(6)が、吐水口(2A)に検出対象物が差し出されたか否かを検出する吐水用センサ(6A)と、洗浄液吐出口(2B)に検出対象物が差し出されたか否かを検出する洗浄液吐出用センサ(6B)と、紫外線照射部(5)に検出対象物が差し出されたか否かを検出する紫外線照射用センサ(6C)と、を有する。動作制御部(7)が、吐水用センサ(6A)、洗浄液吐出用センサ(6B)、及び紫外線照射用センサ(6C)の個々の検出信号に基づいて吐水部(3)、洗浄液吐出部(4)、及び紫外線照射部(5)の動作を個々に制御する。
【0070】
上記構成によれば、使用者が手を差し出す位置によって、吐水部(3)、洗浄液吐出部(4)、及び紫外線照射部(5)を、個々に選択的に動作させることが可能となる。それにより、水栓装置(1)の使い勝手を更に向上させることができる。
【0071】
また、吐水用センサ(6A)と洗浄液吐出用センサ(6B)とが、水栓本体(2)の正面に立つ使用者から見て左右に並ぶ配置とされる。紫外線照射用センサ(6C)が、上記使用者から見て吐水用センサ(6A)及び洗浄液吐出用センサ(6B)よりも手前側に並ぶ配置とされる。
【0072】
上記構成によれば、使用者が紫外線照射用センサ(6C)に手を差し出した際、誤って吐水用センサ(6A)や洗浄液吐出用センサ(6B)が手を検出してしまう誤検出を抑制することができる。したがって、洗い流した手に洗浄液や水が予想に反して掛けられてしまう不具合を抑制することができる。
【0073】
また、吐水口(2A)と洗浄液吐出口(2B)とが、水栓本体(2)の正面に立つ使用者から見て左右に並ぶ配置とされる。紫外線照射部(5)が、上記使用者から見て吐水口(2A)及び洗浄液吐出口(2B)よりも手前側に並ぶ配置とされる。
【0074】
上記構成によれば、使用者が紫外線照射部(5)に手を差し出した際、誤って吐水口(2A)から水が吐出されたり洗浄液吐出口(2B)から洗浄液が吐出されたりしても、これらが手に掛けられにくくなる。したがって、洗い流した手に洗浄液や水が予想に反して掛けられてしまう不具合を抑制することができる。
【0075】
また、吐水口(2A)と洗浄液吐出口(2B)とが、それぞれ、水栓下向きに開口する配置とされる。紫外線照射部(5)が、使用者から見て水栓下斜め手前向きに所定波長の紫外線を照射する配置とされる。上記構成によれば、紫外線照射部(5)が、使用者が紫外線に当てた手を見やすい位置に配置されることとなる。したがって、手に洗い残しがあるか否かの確認を、より簡便に行うことができる。
【0076】
また、紫外線照射部(5)から照射される所定波長の紫外線がUVAのみとされる。上記構成によれば、紫外線照射部(5)から照射される紫外線が、人体への悪影響が非常に小さいものとなるため、使用者が安心かつ安全に手の洗い残しの確認を行うことができる。
【0077】
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を1つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態のほか、以下に示す様々な形態で実施することができるものである。
【0078】
1.水栓装置は、洗面化粧台の他、洗面化粧室の壁に設置されるものであっても良い。また、水栓装置は、キッチンや浴室や屋外に設置されるものであっても良い。
【0079】
2.紫外線照射部は、LEDタイプ(UV-LED)の他、蛍光灯タイプの構成であっても良い。また、紫外線照射部は、UVAの他、UVBやUVCの紫外線を照射するものであっても良い。
【0080】
3.吐水部、洗浄液吐出部及び紫外線照射部は、それぞれ、使用者によるスイッチやレバーの操作によって吐水や洗浄液の吐出、或いは紫外線の照射を行うものであっても良い。上記スイッチやレバーは、使用者の手で操作されるものの他、足で操作されるものであっても良い。洗浄液吐出部は、洗浄液を洗浄液吐出口から液状に吐出したり噴霧したりするものの他、泡状にして吐出するものであっても良い。
【0081】
4.吐水口、洗浄液吐出口及び紫外線照射部の配置は、上記実施形態で示した配置に限らず、種々の変更が可能である。例えば、吐水口が左側で、洗浄液吐出口が右側となるようにこれらが左右に並ぶものであっても良い。また、吐水口、洗浄液吐出口及び紫外線照射部が、全て横並びに設けられるものであっても良い。
【0082】
また、紫外線照射部が、水栓本体の両側面或いは下面の両縁部に分かれて設けられるものであっても良い。吐水用センサ、洗浄液吐出用センサ及び紫外線照射用センサの配置も同様に、上記に示した吐水口、洗浄液吐出口及び紫外線照射部の配置に対応する様々な配置の変更が可能である。
【0083】
5.動作制御部は、1つの検出センサの検出信号に基づいて、吐水部、洗浄液吐出部、及び紫外線照射部の動作をひとまとめに制御するものであっても良い。具体的には、動作制御部は、1つの検出センサにおいて、使用者の手が差し出されたことが検出されることで、手を濡らすための水の吐出、洗浄液の吐出、手を洗い流すための水の吐出、及び洗い残し確認用の紫外線の照射を、それぞれ順番に、個々に設定された所定時間ずつ自動的に行うようにひとまとめに制御するものであっても良い。
【符号の説明】
【0084】
1 水栓装置
2 水栓本体
2A 吐水口
2B 洗浄液吐出口
2U 天板部
2L 下面部
2F 傾斜前面部
3 吐水部
4 洗浄液吐出部
5 紫外線LED(紫外線照射部)
6 検出センサ
6A 吐水用センサ
6B 洗浄液吐出用センサ
6C 紫外線照射用センサ
7 動作制御部
S 洗面化粧台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7