(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073342
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】定着装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20220510BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220510BHJP
H05B 3/00 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
G03G15/20 555
G03G21/00 370
H05B3/00 310A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020183281
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】原田 侑弥
(72)【発明者】
【氏名】五味 俊輔
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
3K058
【Fターム(参考)】
2H033AA32
2H033BA25
2H033BB12
2H033BB30
2H033CA02
2H033CA03
2H033CA04
2H033CA05
2H033CA44
2H033CA46
2H033CA47
2H270LA25
2H270LD08
2H270LD14
2H270MA34
2H270MB28
2H270MB43
2H270MG02
2H270MH05
2H270MH09
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC05
3K058AA81
3K058BA18
(57)【要約】
【課題】低消費電力の定着装置を実現する。
【解決手段】加熱部(301)は、ヒータ(31)と、第1スイッチング素子(122)と、第1コンデンサ(130)と、第2コンデンサ(131)と、第1整流回路(132)及び第1平滑回路(133)と、を有する第1電源回路(124)を備えている。第1スイッチング素子(122)の駆動電圧は、第1整流回路(132)及び第1平滑回路(133)によって生成された電圧が印加される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに現像剤像を熱定着させる定着装置であって、
ヒータと、
交流電圧の通電/非通電を駆動電圧の印加によってスイッチングすることで、前記ヒータに前記交流電圧を供給するスイッチング素子と、
交流電源の一端に接続される第1コンデンサと、前記交流電源の他端に接続される第2コンデンサと、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサに印加される交流電圧を整流及び平滑する整流平滑回路とを有する電源回路と、を備え、
前記スイッチング素子の前記駆動電圧は、前記整流平滑回路によって生成された電圧が印加される定着装置。
【請求項2】
前記スイッチング素子は、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とを有し、
前記第1スイッチング素子は、一端が前記交流電源の一端に接続され、他端が前記ヒータと接続され、
前記第2スイッチング素子は、一端が前記交流電源の一端に接続され、他端が前記ヒータと接続され、
前記電源回路は、第1電源回路と第2電源回路とを有し、
前記第1電源回路は、
第1電極及び第2電極を有し、前記第1電極が前記交流電源の一端に接続される第1コンデンサと、
第1電極及び第2電極を有し、前記第1電極が前記交流電源の他端に接続される第2コンデンサと、
前記第1コンデンサの前記第2電極と前記第2コンデンサの前記第2電極との間に電気的に接続され、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサに印加される交流電圧を整流する第1整流回路と、
前記第1整流回路に接続され、前記第1整流回路により整流された交流電圧を平滑する第1平滑回路と、を有し、
前記第2電源回路は、
第1電極及び第2電極を有し、前記第1電極が前記交流電源の一端に接続される第3コンデンサと、
第1電極及び第2電極を有し、前記第1電極が前記交流電源の他端に接続される第4コンデンサと、
前記第3コンデンサの前記第2電極と前記第4コンデンサの前記第2電極との間に電気的に接続され、前記第3コンデンサ及び前記第4コンデンサに印加される交流電圧を整流する第2整流回路と、
前記第2整流回路に接続され、前記第2整流回路により整流された交流電圧を平滑する第2平滑回路と、を有し、
前記第1スイッチング素子の第1駆動電圧は、前記第1平滑回路によって生成された電圧が印加され、前記第2スイッチング素子の第2駆動電圧は、前記第2平滑回路によって生成された電圧が印加される、
請求項1記載の定着装置。
【請求項3】
前記第1整流回路は、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサに印加される交流電圧が正のとき整流する半波整流回路であって、
前記第2整流回路は、前記第3コンデンサ及び前記第4コンデンサに印加される交流電圧が負のとき整流する半波整流回路である、
請求項2記載の定着装置。
【請求項4】
更に、
前記第1電源回路から前記第1スイッチング素子への前記第1駆動電圧の印加の有無を切り替える第1切替部と、
前記第2電源回路から前記第2スイッチング素子への前記第2駆動電圧の印加の有無を切り替える第2切替部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1切替部に対して前記第1駆動電圧の印加の有無の切り替えを制御し、
前記第2切替部に対して前記第2駆動電圧の印加の有無の切り替えを制御する、
請求項2または3記載の定着装置。
【請求項5】
前記スイッチング素子は、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とを有し、
前記第1スイッチング素子は、一端が前記交流電源の一端に接続され、他端が前記ヒータと接続され、
前記第2スイッチング素子は、一端が前記交流電源の一端に接続され、他端が前記ヒータと接続され、
前記電源回路は、第3電源回路と第4電源回路とを有し、
前記第3電源回路は、
第1電極及び第2電極を有し、前記第1電極が前記交流電源の一端に接続される第1コンデンサと、
第1電極及び第2電極を有し、前記第1電極が前記交流電源の他端に接続される第2コンデンサと、
前記第1コンデンサの前記第2電極と前記第2コンデンサの前記第2電極との間に電気的に接続され、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサに印加される交流電圧を整流する第3整流回路と、
前記第3整流回路に接続され、前記第3整流回路により整流された交流電圧を平滑する第3平滑回路と、を有し、
前記第4電源回路は、
前記第1コンデンサの前記第2電極と前記第2コンデンサの前記第2電極との間に電気的に接続され、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサに印加される交流電圧を整流する第4整流回路と、
前記第4整流回路に接続され、前記第4整流回路により整流された交流電圧を平滑する第4平滑回路と、を有し、
前記第1スイッチング素子の第3駆動電圧は、前記第3平滑回路によって生成された電圧が印加され、前記第2スイッチング素子の第4駆動電圧は、前記第4平滑回路によって生成された電圧が印加される、
請求項1記載の定着装置。
【請求項6】
前記第3整流回路は、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサに印加される交流電圧が正のとき整流する半波整流回路であって、
前記第4整流回路は、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサに印加される交流電圧が負のとき整流する半波整流回路である、
請求項5記載の定着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒータと、ヒータの端子間の通電を制御することにより交流電圧をヒータに供給するスイッチング素子とを備えた画像形成装置が知られている。スイッチング素子の一例として、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)及びMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)が挙げられる。
【0003】
前記画像形成装置の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている画像形成装置は、IGBT駆動回路が設けられており、このIGBT駆動回路によって、スイッチング素子であるIGBTのオンオフを制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなIGBTまたはMOSFETのようなスイッチング素子は、絶縁トランスを用いた電源回路からの電圧の有無によって通電/非通電が制御されることが一般的である。しかし、絶縁トランスを用いた電源回路は、絶縁トランスに電流が常に流れるため消費電力が大きい。従って、IGBTまたはMOSFETのようなスイッチング素子を、ヒータの温度調整に用いる画像形成装置においては、消費電力が大きいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る定着装置は、シートに現像剤像を熱定着させる定着装置であって、ヒータと、交流電圧の通電/非通電を駆動電圧の印加によってスイッチングすることで、前記ヒータに前記交流電圧を供給するスイッチング素子と、交流電源の一端に接続される第1コンデンサと、前記交流電源の他端に接続される第2コンデンサと、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサに印加される交流電圧を整流及び平滑する整流平滑回路とを有する電源回路と、を備え、前記スイッチング素子の前記駆動電圧は、前記整流平滑回路によって生成された電圧が印加される。
【0007】
本願の電源回路は、第1コンデンサと第2コンデンサとに印加される交流電圧を整流及び平滑して、IGBT等のスイッチング素子の駆動電圧としているため、従来のような絶縁トランスを用いた電源回路から駆動電圧を印加する場合に比べて消費電力を少なくすることができる。
【0008】
本発明の一態様に係る定着装置において、前記スイッチング素子は、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とを有し、前記第1スイッチング素子は、一端が前記交流電源の一端に接続され、他端が前記ヒータと接続され、前記第2スイッチング素子は、一端が前記交流電源の一端に接続され、他端が前記ヒータと接続され、前記電源回路は、第1電源回路と第2電源回路とを有し、前記第1電源回路は、第1電極及び第2電極を有し、前記第1電極が前記交流電源の一端に接続される第1コンデンサと、第1電極及び第2電極を有し、前記第1電極が前記交流電源の他端に接続される第2コンデンサと、前記第1コンデンサの前記第2電極と前記第2コンデンサの前記第2電極との間に電気的に接続され、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサに印加される交流電圧を整流する第1整流回路と、前記第1整流回路に接続され、前記第1整流回路により整流された交流電圧を平滑する第1平滑回路と、を有し、前記第2電源回路は、第1電極及び第2電極を有し、前記第1電極が前記交流電源の一端に接続される第3コンデンサと、第1電極及び第2電極を有し、前記第1電極が前記交流電源の他端に接続される第4コンデンサと、前記第3コンデンサの前記第2電極と前記第4コンデンサの前記第2電極との間に電気的に接続され、前記第3コンデンサ及び前記第4コンデンサに印加される交流電圧を整流する第2整流回路と、前記第2整流回路に接続され、前記第2整流回路により整流された交流電圧を平滑する第2平滑回路と、を有し、前記第1スイッチング素子の第1駆動電圧は、前記第1平滑回路によって生成された電圧が印加され、前記第2スイッチング素子の第2駆動電圧は、前記第2平滑回路によって生成された電圧が印加される。
【0009】
前記の構成によれば、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とを独立してスイッチング制御することによって、交流電圧の正負に応じてヒータへの交流電圧の通電を制御することが実現可能となる。
【0010】
本発明の一態様に係る定着装置において、前記第1整流回路は、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサに印加される交流電圧が正のとき整流する半波整流回路であって、前記第2整流回路は、前記第3コンデンサ及び前記第4コンデンサに印加される交流電圧が負のとき整流する半波整流回路である。
【0011】
本構成によって、第1整流回路を有する第1電源回路は、交流電圧が正のとき、第1駆動電圧を第1スイッチング素子に印加し、第2整流回路を有する第2電源回路は、交流電圧が負のとき、第2駆動電圧を第2スイッチング素子に印加する。故に、常に第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とに駆動電圧が印加されている場合に比べて、本構成では、省電力とすることができる。
【0012】
本発明の一態様に係る定着装置は、更に、前記第1電源回路から前記第1スイッチング素子への前記第1駆動電圧の印加の有無を切り替える第1切替部と、前記第2電源回路から前記第2スイッチング素子への前記第2駆動電圧の印加の有無を切り替える第2切替部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1切替部に対して前記第1駆動電圧の印加の有無の切り替えを制御し、前記第2切替部に対して前記第2駆動電圧の印加の有無の切り替えを制御する。
【0013】
本発明の一態様に係る定着装置において、前記スイッチング素子は、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とを有し、前記第1スイッチング素子は、一端が前記交流電源の一端に接続され、他端が前記ヒータと接続され、前記第2スイッチング素子は、一端が前記交流電源の一端に接続され、他端が前記ヒータと接続され、前記電源回路は、第3電源回路と第4電源回路とを有し、前記第3電源回路は、第1電極及び第2電極を有し、前記第1電極が前記交流電源の一端に接続される第1コンデンサと、第1電極及び第2電極を有し、前記第1電極が前記交流電源の他端に接続される第2コンデンサと、前記第1コンデンサの前記第2電極と前記第2コンデンサの前記第2電極との間に電気的に接続され、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサに印加される交流電圧を整流する第3整流回路と、前記第3整流回路に接続され、前記第3整流回路により整流された交流電圧を平滑する第3平滑回路と、を有し、前記第4電源回路は、前記第1コンデンサの前記第2電極と前記第2コンデンサの前記第2電極との間に電気的に接続され、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサに印加される交流電圧を整流する第4整流回路と、前記第4整流回路に接続され、前記第4整流回路により整流された交流電圧を平滑する第4平滑回路と、を有し、前記第1スイッチング素子の第3駆動電圧は、前記第3平滑回路によって生成された電圧が印加され、前記第2スイッチング素子の第4駆動電圧は、前記第4平滑回路によって生成された電圧が印加される。
【0014】
本構成では、第4整流回路は、第3電源回路の第1コンデンサと第2コンデンサとに印加される交流電圧を整流する。2つの電源回路のそれぞれに対して一対のコンデンサが有る場合よりも、第3電源回路の第1コンデンサと第2コンデンサとを第3整流回路と第4整流回路とで兼用することによって部品点数を減らすことができる。
【0015】
本発明の一態様に係る定着装置において、前記第3整流回路は、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサに印加される交流電圧が正のとき整流する半波整流回路であって、前記第4整流回路は、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサに印加される交流電圧が負のとき整流する半波整流回路である。
【0016】
本構成によって、第3整流回路を有する第3電源回路は、交流電圧が正のとき、第3駆動電圧を第1スイッチング素子に印加し、第4整流回路を有する第4電源回路は、交流電圧が負のとき、第4駆動電圧を第2スイッチング素子に印加する。故に、常に第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とに駆動電圧が印加されている場合に比べて、本構成では、省電力とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、低消費電力の定着装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る画像形成装置の概略構成を示す側断面図である。
【
図2】本発明に係る加熱部の概略構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係る加熱部の構成を示す回路図である。
【
図4】
図3に示す加熱部に係る、各種電圧波形のタイミングチャートである。
【
図5】本発明の実施形態2に係る加熱部の構成を示す回路図である。
【
図6】
図5に示す加熱部に係る、各種電圧波形のタイミングチャートである。
【
図7】本発明の実施形態3に係る加熱部の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0020】
<画像形成装置の概略構成>
図1は、本発明に係る画像形成装置1の概略構成を示す側断面図である。画像形成装置1は、本体筐体2内の下部に配置されたトレイ3または手差しトレイ4から供給されるシート5に対し、画像形成部6にて現像剤像を形成する。その後、画像形成装置1は、定着装置7にて、その現像剤像が形成されたシート5を加熱して、シート5に現像剤像を熱定着させる処理を行う。最後に、画像形成装置1は、排紙ローラにて、シート5を、本体筐体2内の上部に位置する排紙トレイ8に排紙する。
【0021】
画像形成部6は、スキャナ部10、現像カートリッジ13、感光ドラム17、帯電器18、及び転写ローラ19等を備えている。
【0022】
スキャナ部10は、本体筐体2内の上部に配置されており、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー11、複数の反射鏡12、及び図示しない複数のレンズ等を備えている。スキャナ部10では、レーザ発光部から発射されたレーザ光を、ポリゴンミラー11、反射鏡12、及びレンズを介して一点鎖線で示すように、感光ドラム17の表面上に高速走査にて照射させる。
【0023】
現像カートリッジ13は、本体筐体2に着脱可能に装着されている。現像カートリッジ13の内部には、現像剤が収容されている。また、現像カートリッジ13の現像剤供給口には、現像ローラ14及び供給ローラ15が、互いに対向した状態で配置されている。現像カートリッジ13内の現像剤は、供給ローラ15の回転により現像ローラ14に供給され、現像ローラ14に担持される。
【0024】
感光ドラム17の上方には、帯電器18が、感光ドラム17と間を隔てて配置されている。また、感光ドラム17の下方には、転写ローラ19が、感光ドラム17に対向して配置されている。感光ドラム17の表面は回転されつつ、まず帯電器18によって一様に、例えば、正極性に帯電される。次いで、スキャナ部10からのレーザ光により感光ドラム17上に静電潜像が形成される。
【0025】
その後、感光ドラム17が現像ローラ14と接触して回転するときに、現像ローラ14上に担持されている現像剤が感光ドラム17の表面上の静電潜像に供給されて担持されることによって、現像剤像が形成される。その後、現像剤像は、シート5が感光ドラム17と転写ローラ19との間を通る間に、転写ローラ19に印加される転写バイアスによって、シート5に転写される。
【0026】
定着装置7は、画像形成部6に対してシート搬送方向の下流側に配置されている。定着装置7は、定着ローラ22、定着ローラ22を押圧する加圧ローラ23、及び加熱部30を備えている。加熱部30は、定着ローラ22を加熱するヒータ31、及び回路基板25等を備えている。ヒータ31は、回路基板25に接続されており、回路基板25からの信号によって通電制御される。
【0027】
また、画像形成装置1は、印刷情報等を表示する表示部27を備えている。更に、
図1への図示、及びここでの詳細な説明を省略しているが、画像形成装置1は、後述する負荷電源系211を備えている。
【0028】
<加熱部の概略構成>
図2は、加熱部30の概略構成を示す機能ブロック図である。回路基板25は、スイッチング素子32、電源回路33、切替部34、及び制御部35を備えている。スイッチング素子32、電源回路33、切替部34、及び制御部35は、回路基板25上に搭載されている。
【0029】
スイッチング素子32は、交流電源から供給される交流電圧の通電及び非通電をスイッチングすることで、ヒータ31に交流電圧を供給する。スイッチング素子32は、スイッチング素子32に駆動電圧が印加されている場合において通電し、スイッチング素子32に駆動電圧が印加されていない場合において非通電となる。電源回路33は、スイッチング素子32に駆動電圧を出力する。
【0030】
切替部34は、電源回路33からスイッチング素子32への駆動電圧の印加の有無を切り替える。制御部35は、例えばIC(Integrated Circuit)またはCPU(Central Processing Unit)によって構成されている。制御部35は、切替部34に対して、駆動電圧の印加の有無の切り替えを制御する。
【0031】
なお、加熱部30は、スイッチング素子32、電源回路33、及び切替部34の組み合わせを、複数備えていてもよい。現に、後述する加熱部301~303の各々は、当該組み合わせを2つ備えている例であると言える。
【0032】
以下、加熱部30の具体的な実施形態について、実施形態1~3を参照して説明する。
【0033】
〔実施形態1〕
図3は、本発明の実施形態1に係る加熱部30の構成を詳細に示した加熱部301の構成を示す回路図である。
図3には、負荷100と制御部35とに対してそれぞれ電力供給を行う負荷電源系211を併せて示している。制御部35には、負荷電源系211からDC/DCコンバータ212によって、例えば3.3Vの直流電圧が供給される。負荷電源系211は、定着装置7に設けられていてもよいし、定着装置7に設けられていなくてもよい。負荷100の一例として、モータ等の電装品、並びに
図1及び
図2に示した回路基板25等のシステム系が挙げられる。
【0034】
負荷電源系211は、整流回路101、コンデンサ102、トランス103、トランジスタ104、制御IC105、コンデンサ106、ダイオード107、ダイオード108、及びコンデンサ109を有している。整流回路101は、ダイオード112~115を有している。トランス103は、巻線116~118を有している。
【0035】
以下では、商用電源が、本発明に係る交流電源である例について説明するが、本発明に係る交流電源は商用電源に限定されない。図示しない商用電源から出力される交流電圧は、整流回路101に印加される。
【0036】
ダイオード112のアノード及びダイオード113のカソードは、商用電源のライブ端子Lと接続されている。ダイオード114のアノード及びダイオード115のカソードは、商用電源のニュートラル端子Nと接続されている。ダイオード112のカソードと、ダイオード114のカソードとが接続されている。ダイオード113のアノードと、ダイオード115のアノードとが接続されている。接続点119は、ダイオード112のカソードとダイオード114のカソードとの接続点である。接続点120は、ダイオード113のアノードとダイオード115のアノードとの接続点である。整流回路101から出力される電圧は、接続点119と接続点120との間に印加される。整流回路101は、周知の整流回路であり、整流回路101に印加された電圧を整流する。
【0037】
コンデンサ102の一端は接続点119と接続されており、コンデンサ102の他端は接続点120と接続されている。コンデンサ102は、周知の平滑コンデンサであり、整流回路101から出力された電圧を平滑化する。
【0038】
巻線116の一端は、コンデンサ102の一端と接続されている。巻線116の他端は、トランジスタ104のドレインと接続されている。なお、トランジスタ104としては、pチャネル型のMOSFETを用いている。トランジスタ104のソースは、コンデンサ102の他端と接続されている。トランジスタ104のゲートには、制御IC105からの制御電圧が印加される。
【0039】
トランス103は、巻線116及び117の、2つの巻線を有する高周波トランスである。トランス103は、巻線116に印加されたコンデンサ102からの直流電圧を、トランジスタ104のスイッチングに応じて、巻線117に伝達する機能を有している。
【0040】
トランジスタ104は、制御IC105によって、通電及び非通電の制御が行われるものである。トランジスタ104の通電時には、コンデンサ102からの直流電圧が巻線116に印加され、これにより、巻線116に励磁エネルギーが蓄積される。その後、トランジスタ104が非通電になると、巻線116に蓄積された励磁エネルギーは、巻線117に伝達される。
【0041】
制御IC105は、コンデンサ106の一端及び他端と接続されている。コンデンサ106の一端は、ダイオード107のカソードと接続されている。ダイオード107のアノードは、巻線118の一端と接続されている。巻線118の他端は、コンデンサ106の他端と接続されている。コンデンサ106及びダイオード107は、整流平滑回路を構成している。この整流平滑回路は、巻線118から出力される電圧を整流及び平滑化して、制御IC105に対して印加する。制御IC105は、整流平滑回路から印加された電圧を、制御IC105の電源電圧として使用する。
【0042】
なお、トランジスタ104は、pチャネル型のMOSFETに限定されない。すなわち、トランジスタ104は、スイッチング機能を有しているものであれば特に限定されず、nチャネル型のMOSFET、またはバイポーラトランジスタ等の、他のタイプのトランジスタが使用されてもよい。
【0043】
巻線117の一端は、ダイオード108のアノードと接続されている。ダイオード108のカソードは、コンデンサ109の一端と接続されている。コンデンサ109の他端は、巻線117の他端と接続されている。コンデンサ109の一端及び他端は、負荷100及びDC/DCコンバータ212と接続されている。コンデンサ109の他端と負荷100及びDC/DCコンバータ212との間にて、接地されている。ダイオード108は、巻線117に伝達された電圧を整流する。コンデンサ109は、ダイオード108から出力された電圧を平滑化して、安定化された直流電圧として出力する。コンデンサ109から出力された直流電圧は、負荷100及びDC/DCコンバータ212に供給される。負荷100及びDC/DCコンバータ212に供給される直流電圧の値は例えば、24Vである。DC/DCコンバータ212は、制御部35と接続されており、当該直流電圧を、例えば3.3Vの直流電圧に変換して、制御部35に供給する。
【0044】
制御IC105は、負荷100及びDC/DCコンバータ212に供給される直流電圧のレベルに基づき、トランジスタ104のゲートに対して制御電圧を印加することで、トランジスタ104の通電及び非通電を制御する。例えば、制御電圧は、パルスである。また、制御電圧は、負荷100及びDC/DCコンバータ212に供給される直流電圧値が高過ぎる場合にトランジスタ104の通電期間を短くすると共に、当該直流電圧値が低過ぎる場合に当該通電期間を長くするように、当該パルスの周波数及び/またはデューティー比が逐次制御される。他にも、制御IC105は、出力電流が不要に大きくなることを抑制する機能を有していてもよい。制御IC105は、周知の技術で十分に実現可能なものであるため、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0045】
なお、発光ダイオード110のアノード及び発光ダイオード111のアノードは、制御部35と接続されている。発光ダイオード110のカソード及び発光ダイオード111のカソードは、接地されている。
【0046】
加熱部301は、交流電圧入力部121、第1スイッチング素子122、第2スイッチング素子123、ヒータ31、第1電源回路124、第2電源回路125、第1切替部126、及び第2切替部127を有している。
【0047】
交流電圧入力部121は、第1端子128及び第2端子129を有している。第1電源回路124は、第1コンデンサ130、第2コンデンサ131、第1整流回路132、第1平滑回路133、第1ツェナーダイオード134、及び第2ツェナーダイオード135を有している。第2電源回路125は、第3コンデンサ136、第4コンデンサ137、第2整流回路138、第2平滑回路139、第3ツェナーダイオード140、及び第4ツェナーダイオード141を有している。
【0048】
第1整流回路132は、ダイオード142~145を有している。第1平滑回路133は、コンデンサ146を有している。第2整流回路138は、ダイオード147~150を有している。第2平滑回路139は、コンデンサ151を有している。第1整流回路132と第1平滑回路133は、整流平滑回路の一例である。第2整流回路138と第2平滑回路139は、整流平滑回路の別の例である。
【0049】
第1コンデンサ130は、第1電極152及び第2電極153を有している。第2コンデンサ131は、第1電極154及び第2電極155を有している。第3コンデンサ136は、第1電極156及び第2電極157を有している。第4コンデンサ137は、第1電極158及び第2電極159を有している。コンデンサ146は、第1電極160及び第2電極161を有している。コンデンサ151は、第1電極162及び第2電極163を有している。
【0050】
第1スイッチング素子122及び第2スイッチング素子123の各々は、
図2に示したスイッチング素子32の1つに相当する。第1電源回路124及び第2電源回路125の各々は、
図2に示した電源回路33の1つに相当する。第1切替部126及び第2切替部127の各々は、
図2に示した切替部34の1つに相当する。
【0051】
第1端子128は、商用電源のライブ端子Lと接続されている。第2端子129は、商用電源のニュートラル端子Nと接続されている。すなわち、交流電圧入力部121は、商用電源から交流電圧が供給されるものである。
【0052】
第1スイッチング素子122のドレイン及び第2スイッチング素子123のソースは、第1端子128を介して商用電源のライブ端子Lと接続されている。第1スイッチング素子122のソース及び第2スイッチング素子123のドレインは、ヒータ31の一端と接続されている。ヒータ31の他端は、第2端子129を介して商用電源のニュートラル端子Nと接続されている。
【0053】
第1スイッチング素子122は、商用電源から供給される交流電圧の通電及び非通電をスイッチングすることで、ヒータ31に当該交流電圧を供給する。第1スイッチング素子122は、第1スイッチング素子122に第1駆動電圧が印加されている場合において通電し、第1スイッチング素子122に第1駆動電圧が印加されていない場合において非通電となる。第1駆動電圧は、第1スイッチング素子122の通電及び非通電を切り替えるために必要な駆動電圧であり、第1電源回路124が生成し、第1電源回路124が第1スイッチング素子122に印加する。第1スイッチング素子122の通電時において、第1スイッチング素子122は、商用電源から供給される電流を通電し、これにより、ヒータ31に対して電力を供給する。
【0054】
同様に、第2スイッチング素子123は、商用電源から供給される交流電圧の通電及び非通電をスイッチングすることで、ヒータ31に当該交流電圧を供給する。第2スイッチング素子123は、第2スイッチング素子123に第2駆動電圧が印加されている場合において通電し、第2スイッチング素子123に第2駆動電圧が印加されていない場合において非通電となる。第2駆動電圧は、第2スイッチング素子123の通電及び非通電を切り替えるために必要な駆動電圧であり、第2電源回路125が生成し、第2電源回路125が第2スイッチング素子123に印加する。第2スイッチング素子123の通電時において、第2スイッチング素子123は、商用電源から供給される電流を通電し、これにより、ヒータ31に対して電力を供給する。
【0055】
第1スイッチング素子122及び第2スイッチング素子123の各々は、nチャネル型のMOSFETであるが、これに限定されない。第1スイッチング素子122及び第2スイッチング素子123の各々は、駆動電圧が印加されてスイッチングするスイッチング機能を有しているものであれば特に限定されない。第1スイッチング素子122及び第2スイッチング素子123の各々は、IGBT、またはpチャネル型のMOSFETが使用されてもよい。
【0056】
ヒータ31は、第2端子129と接続されている。また、ヒータ31は、第1スイッチング素子122のソースと直列接続されており、かつ、第2スイッチング素子123のドレインと直列接続されている。
【0057】
第1コンデンサ130の第1電極152は、第1端子128を介して商用電源のライブ端子Lと接続されている。第2コンデンサ131の第1電極154は、第2端子129を介して商用電源のニュートラル端子Nと接続されている。第1コンデンサ130及び第2コンデンサ131には、商用電源から交流電圧が供給される。第1コンデンサ130及び第2コンデンサ131は、第1電源回路124の出力側と商用電源とを、直流成分について絶縁するための結合コンデンサである。
【0058】
第1整流回路132は、第1コンデンサ130の第2電極153と第2コンデンサ131の第2電極155との間に電気的に接続されており、第1コンデンサ130及び第2コンデンサ131に印加される交流電圧を整流するものである。具体的に、第1整流回路132は、ダイオード142~145を有しており、以下の構成及び機能を有している。
【0059】
ダイオード142のアノード及びダイオード143のカソードは、第1コンデンサ130の第2電極153と接続されている。ダイオード144のアノード及びダイオード145のカソードは、第2コンデンサ131の第2電極155と接続されている。ダイオード142のカソードと、ダイオード144のカソードとが接続されている。ダイオード143のアノードと、ダイオード145のアノードとが接続されている。接続点164は、ダイオード142のカソードとダイオード144のカソードとの接続点である。接続点165は、ダイオード143のアノードとダイオード145のアノードとの接続点である。第1整流回路132から出力される電圧は、接続点164と接続点165との間に印加される。第1整流回路132は、第1整流回路132に印加された電圧を整流する。
【0060】
第1平滑回路133は、第1整流回路132に接続されており、第1整流回路132により整流された交流電圧を平滑して第1駆動電圧を生成するものである。具体的に、第1平滑回路133は、コンデンサ146を有しており、以下の構成及び機能を有している。
【0061】
コンデンサ146の第1電極160は、接続点164と接続されている。コンデンサ146の第2電極161は、接続点165と接続されている。第1平滑回路133は、コンデンサ146によって、第1整流回路132から出力された電圧を平滑化する。第1平滑回路133によって平滑化された電圧は、第1駆動電圧である。第1スイッチング素子122の第1駆動電圧として、第1平滑回路133によって平滑化された電圧が印加される。第1駆動電圧は、出力A及び基準Aの2系統からなる。出力Aは、第1切替部126を介して第1スイッチング素子122のゲートに印加される。基準Aは、第1スイッチング素子122のソースに印加される。
【0062】
なお、第1ツェナーダイオード134のカソードは、第1コンデンサ130の第2電極153と第1整流回路132との間に接続されている。第2ツェナーダイオード135のカソードは、第2コンデンサ131の第2電極155と第1整流回路132との間に接続されている。第1ツェナーダイオード134のアノード及び第2ツェナーダイオード135のアノードは、接続点165と第1平滑回路133との間に接続されている。
【0063】
第3コンデンサ136の第1電極156は、第1端子128を介して商用電源のライブ端子Lと接続されている。第4コンデンサ137の第1電極158は、第2端子129を介して商用電源のニュートラル端子Nと接続されている。第3コンデンサ136及び第4コンデンサ137には商用電源から交流電圧が供給される。第3コンデンサ136及び第4コンデンサ137は、第2電源回路125の出力側と商用電源とを、直流成分について絶縁するための結合コンデンサである。
【0064】
第2整流回路138は、第3コンデンサ136の第2電極157と第4コンデンサ137の第2電極159との間に電気的に接続されており、第3コンデンサ136及び第4コンデンサ137に印加される交流電圧を整流するものである。具体的に、第2整流回路138は、ダイオード147~150を有しており、以下の構成及び機能を有している。
【0065】
ダイオード147のアノード及びダイオード148のカソードは、第3コンデンサ136の第2電極157と接続されている。ダイオード149のアノード及びダイオード150のカソードは、第4コンデンサ137の第2電極159と接続されている。ダイオード147のカソードと、ダイオード149のカソードとが接続されている。ダイオード148のアノードと、ダイオード150のアノードとが接続されている。接続点166は、ダイオード147のカソードとダイオード149のカソードとの接続点である。接続点167は、ダイオード148のアノードとダイオード150のアノードとの接続点である。第2整流回路138から出力される電圧は、接続点166と接続点167との間に印加される。第2整流回路138は、第2整流回路138に印加された電圧を整流する。
【0066】
第2平滑回路139は、第2整流回路138に接続されており、第2整流回路138により整流された交流電圧を平滑して第2駆動電圧を生成するものである。具体的に、第2平滑回路139は、コンデンサ151を有しており、以下の構成及び機能を有している。
【0067】
コンデンサ151の第1電極162は、接続点166と接続されている。コンデンサ151の第2電極163は、接続点167と接続されている。第2平滑回路139は、コンデンサ151によって、第2整流回路138から出力された電圧を平滑化する。第2平滑回路139によって平滑化された電圧は、第2駆動電圧である。第2スイッチング素子123の第2駆動電圧として、第2平滑回路139によって平滑化された電圧が印加される。第2駆動電圧は、出力B及び基準Bの2系統からなる。出力Bは、第2切替部127を介して第2スイッチング素子123のゲートに印加される。基準Bは、第2スイッチング素子123のソースに印加される。
【0068】
なお、第3ツェナーダイオード140のカソードは、第3コンデンサ136の第2電極157と第2整流回路138との間に接続されている。第4ツェナーダイオード141のカソードは、第4コンデンサ137の第2電極159と第2整流回路138との間に接続されている。第3ツェナーダイオード140のアノード及び第4ツェナーダイオード141のアノードは、接続点167と第2平滑回路139との間に接続されている。
【0069】
第1切替部126は、第1切替部126の通電及び非通電によって、第1駆動電圧の1系統である出力Aが第1スイッチング素子122のゲートに印加されるか否かを切り替えることができるスイッチである。第2切替部127は、第2切替部127の通電及び非通電によって、第2駆動電圧の1系統である出力Bが第2スイッチング素子123のゲートに印加されるか否かを切り替えることができるスイッチである。第1切替部126及び第2切替部127の各々は、例えば光または電気の入力に応じて、切替部34の通電及び非通電を切り替え可能なスイッチによって構成されている。
【0070】
制御部35は、制御部35に接続された発光ダイオード110及び111をそれぞれ発光させるか否かを制御する。発光ダイオード110による発光を第1切替部126が受光したとき第1切替部126は通電し、発光ダイオード110による発光を第1切替部126が受光しないとき第1切替部126は非通電となる。発光ダイオード111による発光を第2切替部127が受光したとき第2切替部127は通電し、発光ダイオード111による発光を第2切替部127が受光しないとき第2切替部127は非通電となる。こうして、制御部35は、第1切替部126に対して、第1駆動電圧の1系統である出力Aの印加の有無の切り替えを制御し、第2切替部127に対して、第2駆動電圧の1系統である出力Bの印加の有無の切り替えを制御する。
【0071】
図4は、加熱部301に係る、各種電圧波形のタイミングチャートである。
図4には、上から、商用電源からの交流電圧、第1スイッチング素子122のゲート電圧、第2スイッチング素子123のゲート電圧、第1駆動電圧の出力A、及び第2駆動電圧の出力Bを示している。
図4では、第1スイッチング素子122のゲート電圧、第2スイッチング素子のゲート電圧123について、ヒータ31に最大電力を供給する場合が示されている。以下、
図4を参照した説明、及び後述する
図6を参照した説明では、商用電源からの交流電圧を「交流電源電圧」と称する。
【0072】
第1スイッチング素子122のゲート電圧は、交流電源電圧が正のときに高レベルとなり、交流電源電圧が負のときに低レベルとなる。つまり、第1スイッチング素子122は、交流電源電圧が正のときに通電し、交流電源電圧が負のときに非通電となる構成である。
【0073】
一方、第2スイッチング素子123のゲート電圧は、交流電源電圧が負のときに高レベルとなり、交流電源電圧が正のときに低レベルとなる。つまり、第2スイッチング素子123は、交流電源電圧が負のときに通電し、交流電源電圧が正のときに非通電となる構成である。
【0074】
第1整流回路132は、ダイオード142~145を用いて構成された全波整流回路である。このため、出力Aは、交流電源電圧が正のとき及び交流電源電圧が負のときの両方において、高レベルである。換言すれば、第1電源回路124は、交流電源電圧が正のときに第1駆動電圧を出力する。この場合、制御部35によって、交流電源電圧が正のときに第1切替部126が通電され、交流電源電圧が負のときに第1切替部126が非通電とされる。
【0075】
第2整流回路138は、ダイオード147~150を用いて構成された全波整流回路である。このため、出力Bは、交流電源電圧が正のとき及び交流電源電圧が負のときの両方において、高レベルである。換言すれば、第2電源回路125は、交流電源電圧が負のときに第2駆動電圧を出力する。この場合、制御部35によって、交流電源電圧が負のときに第2切替部127が通電され、交流電源電圧が正のときに第2切替部127が非通電とされる。
【0076】
第1電源回路124は、第1コンデンサ130と第2コンデンサ131とに印加される交流電圧を整流及び平滑して、IGBTまたはMOSFET等の第1スイッチング素子122の第1駆動電圧としている。このため、加熱部301によれば、従来のような絶縁トランスを用いた電源回路から駆動電圧を印加する場合に比べて消費電力を少なくすることができる。
【0077】
また、加熱部301によれば、第1スイッチング素子122と第2スイッチング素子123とを独立してスイッチング制御することによって、交流電圧の正負に応じてヒータ31への交流電圧の通電を制御することが実現可能となる。
【0078】
〔実施形態2〕
図5は、本発明の実施形態2に係る加熱部30の構成を詳細に示した加熱部302の構成を示す回路図である。図示の便宜上、
図5においては、加熱部302以外について、
図3と同じ符号を付している。
【0079】
加熱部302の構成と加熱部301の構成とを対比すると、以下の相違点が見出せる。すなわち、加熱部301は、第1整流回路132のダイオード143及び144、並びに、第2整流回路138のダイオード147及び150を有している。一方、加熱部302は、ダイオード143、144、147、及び150をいずれも有していない。
【0080】
第1整流回路132は、ダイオード142及び145を用いて構成された半波整流回路である。第2整流回路138は、ダイオード148及び149を用いて構成された半波整流回路である。
【0081】
第1整流回路132に構成された半波整流回路の極性と、第2整流回路138に構成された半波整流回路の極性とが、逆になっている。第1整流回路132は、第1コンデンサ130及び第2コンデンサ131に印加される交流電圧が正のとき整流する半波整流回路である。第2整流回路138は、第3コンデンサ136及び第4コンデンサ137に印加される交流電圧が負のとき整流する半波整流回路である。
【0082】
図6は、加熱部302に係る、各種電圧波形のタイミングチャートである。
図6には、上から、交流電源電圧、第1スイッチング素子122のゲート電圧、第2スイッチング素子123のゲート電圧、第1駆動電圧の出力A、及び第2駆動電圧の出力Bを示している。
図6では、第1スイッチング素子122のゲート電圧、第2スイッチング素子のゲート電圧123について、ヒータ31に最大電力を供給する場合が示されている。
【0083】
図4と
図6とを対比すると、以下の相違点が見出せる。
【0084】
出力Aは、交流電源電圧が正のときに高レベルとなり、交流電源電圧が負のときに低レベルとなる。換言すれば、第1電源回路124は、交流電源電圧が正のときに第1駆動電圧を出力する。この場合、制御部35によって、交流電源電圧が正のときに、または交流電源電圧が正のとき及び交流電源電圧が負のときの両方に、第1切替部126が通電される。
【0085】
出力Bは、交流電源電圧が負のときに高レベルとなり、交流電源電圧が正のときに低レベルとなる。換言すれば、第2電源回路125は、交流電源電圧が負のときに第2駆動電圧を出力する。この場合、制御部35によって、交流電源電圧が負のときに、または交流電源電圧が負のとき及び交流電源電圧が正のときの両方に、第2切替部127が通電される。
【0086】
加熱部302によれば、加熱部301により得られる作用効果に加え、以下の作用効果を得ることができる。すなわち、加熱部302によれば、第1電源回路124は、交流電圧が正のとき、第1駆動電圧を第1スイッチング素子122に印加し、第2電源回路125は、交流電圧が負のとき、第2駆動電圧を第2スイッチング素子123に印加する。故に、常に第1スイッチング素子122と第2スイッチング素子123とに駆動電圧が印加されている場合に比べて、本構成では、省電力とすることができる。
【0087】
〔実施形態3〕
図7は、本発明の実施形態3に係る加熱部30の構成を詳細に示した加熱部303の構成を示す回路図である。説明の便宜上、加熱部303に関する説明は、加熱部302に関する説明に無いもののみ行う。図示の便宜上、
図7においては、加熱部302と同一の機能を有する部材について、
図5と同じ符号を付している。
【0088】
加熱部303は、第3電源回路168及び第4電源回路169を有している。第3電源回路168は、第1コンデンサ130、第2コンデンサ131、第3整流回路170、及び第3平滑回路171を有している。第4電源回路169は、第4整流回路172及び第4平滑回路173を有している。
【0089】
第3整流回路170は、第1コンデンサ130の第2電極153と第2コンデンサ131の第2電極155との間に電気的に接続されている。第3整流回路170は、第1コンデンサ130及び第2コンデンサ131に印加される交流電圧を整流する。第3平滑回路171は、第3整流回路170に接続されており、第3整流回路170により整流された交流電圧を平滑して第3駆動電圧を生成する。
【0090】
第4整流回路172は、第1コンデンサ130の第2電極153と第2コンデンサ131の第2電極155との間に電気的に接続されている。第4整流回路172は、第1コンデンサ130及び第2コンデンサ131に印加される交流電圧を整流する。第4平滑回路173は、第4整流回路172に接続されており、第4整流回路172により整流された交流電圧を平滑して第4駆動電圧を生成する。
【0091】
第1スイッチング素子122は、第3電源回路168の第3平滑回路171によって生成された第3駆動電圧が印加され、第2スイッチング素子123は、第4電源回路169の第4平滑回路173によって生成された第4駆動電圧が印加される。
【0092】
第3整流回路170の構成及び第3平滑回路171の構成は、それぞれ、第1整流回路132の構成及び第1平滑回路133の構成と同じである。このため、第3駆動電圧の生成及び印加原理は、それぞれ、第1駆動電圧の生成及び印加原理と同じである。第4整流回路172の構成及び第4平滑回路173の構成は、それぞれ、第2整流回路138の構成及び第2平滑回路139の構成と同じである。このため、第4駆動電圧の生成及び印加原理は、それぞれ、第2駆動電圧の生成及び印加原理と同じである。
【0093】
加熱部303によれば、第4整流回路172は、第3電源回路168の第1コンデンサ130と第2コンデンサ131とに印加される交流電圧を整流する。第3電源回路168及び第4電源回路169のそれぞれに対して一対のコンデンサが有る場合よりも、第3電源回路168の第1コンデンサ130と第2コンデンサ131とを第3整流回路170と第4整流回路172とで兼用して部品点数を減らすことができる。
【0094】
第3整流回路170は、第1コンデンサ130及び第2コンデンサ131に印加される交流電圧が正のとき整流する半波整流回路である。第4整流回路172は、第1コンデンサ130及び第2コンデンサ131に印加される交流電圧が負のとき整流する半波整流回路である。
【0095】
加熱部303によれば、第3電源回路168は、交流電圧が正のとき、第3駆動電圧を第1スイッチング素子122に印加し、第4電源回路169は、交流電圧が負のとき、第4駆動電圧を第2スイッチング素子123に印加する。故に、常に第1スイッチング素子122と第2スイッチング素子123とに駆動電圧が印加されている場合に比べて、本構成では、省電力とすることができる。
【0096】
なお、
図7に示す加熱部303は、加熱部302に対する変形例としたが、本実施形態に係る加熱部は、加熱部301に対する変形例としてもよい。すなわち、
図7に示す加熱部303の構成に加え、加熱部301と同様に、ダイオード143、144、147、及び150を有していてもよい。
【0097】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
1 画像形成装置
5 シート
6 画像形成部
7 定着装置
30 加熱部
31 ヒータ
32 スイッチング素子
33 電源回路
34 切替部
35 制御部
122 第1スイッチング素子
123 第2スイッチング素子
124 第1電源回路
125 第2電源回路
126 第1切替部
127 第2切替部
130 第1コンデンサ
131 第2コンデンサ
132 第1整流回路
133 第1平滑回路
136 第3コンデンサ
137 第4コンデンサ
138 第2整流回路
139 第2平滑回路
152 第1コンデンサの第1電極
153 第1コンデンサの第2電極
154 第2コンデンサの第1電極
155 第2コンデンサの第2電極
156 第3コンデンサの第1電極
157 第3コンデンサの第2電極
158 第4コンデンサの第1電極
159 第4コンデンサの第2電極
168 第3電源回路
169 第4電源回路
170 第3整流回路
171 第3平滑回路
172 第4整流回路
173 第4平滑回路
301~303 加熱部