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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073412
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
   F26B 21/00 20060101AFI20220510BHJP
   F26B 21/10 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
F26B21/00 A
F26B21/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020183376
(22)【出願日】2020-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】592037077
【氏名又は名称】クリーン・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】西澤 和夫
(72)【発明者】
【氏名】早川 智康
(72)【発明者】
【氏名】西山 総一
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA03
3L113AB02
3L113AC05
3L113AC16
3L113AC65
3L113BA39
3L113CA08
3L113CB01
3L113DA09
(57)【要約】
【課題】蒸気式の熱交換器2を利用し冷却用の熱交換器などは用いずに、100℃以上(たとえば蒸気温度に近い160℃)の高温熱風のみならず40℃程度以下(たとえば30℃)の低温温風も用途や要求に応じて出力でき、製作容易で温度制御も容易で安価に製作できる極めて実用性に優れた空調装置を提供することを目的としている。
【解決手段】熱交換面積が異なり加熱能力が異なる蒸気式の熱交換器2を複数直列に配設し、蒸気供給制御部7の制御および冷却用空気導入により、排出される熱風の温度が制御できるように構成されている空調装置を提供すること。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒としての蒸気が流通する熱交換器を導入空気が通過することでこの導入空気が加熱され、この熱交換器の加熱能力が制御されることで排出される熱風の温度が制御される空調装置であって、
送風装置により前記導入空気が導入される風路内に、順次この導入空気が通過する前記熱交換器が複数直列に配設され、
この複数の熱交換器は、前記導入空気の通過方向の間口面積である導入空気通過間口面積が同じで、且つこの導入空気が接触して加熱する熱交換部の熱交換面積がそれぞれ相違してそれぞれ加熱能力が異なる構成とされていて、
加熱生成した前記蒸気を前記各熱交換器に供給する蒸気供給部と、この熱交換器に供給する前記蒸気の蒸気供給総量を制御して前記熱交換器の加熱能力を調整制御または停止制御する蒸気供給制御部とが備えられ、
前記送風装置により熱風冷却用空気が引き込まれて前記熱交換器を通過した熱風と混合される熱風冷却用空気取り入れ口が前記風路に備えられ、前記排出される熱風の温度が冷却制御されるように構成されていて、
前記蒸気供給制御部の制御および前記熱交換器の前記熱交換部の前記熱交換面積の相違並びに前記熱風冷却用空気との混合により、前記排出される熱風の温度を少なくとも40℃程度以下および160℃程度以上に制御できるように構成されていることを特徴とする空調装置。
【請求項2】
前記風路内に直列に配設された前記熱交換器の下流側に前記送風装置および前記熱風冷却用空気取り入れ口が設けられ、この送風装置により前記熱交換器で加熱されて排出される熱風が撹拌されるとともに、前記熱風冷却用空気取り入れ口が開口され前記送風装置により前記熱風冷却用空気が引き込まれる際にはこの送風装置により熱風と撹拌混合され希釈冷却されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の空調装置。
【請求項3】
前記熱交換部の前記熱交換面積が大きく加熱能力の大きい高温用の前記熱交換器と、これに比べて前記熱交換部の前記熱交換面積が小さく加熱能力の小さい低温用の前記熱交換器とが、前記風路内にそれぞれこの風路断面積をほぼ占めるようにして送風方向に配設されていることを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項4】
前記排出される温風を低温に制御する際には、前記高温用の前記熱交換器への前記蒸気の供給を停止するように前記蒸気供給制御部が構成されていることを特徴とする請求項3記載の空調装置。
【請求項5】
前記蒸気供給制御部は、前記蒸気供給部に設けられている開閉弁をオンオフ制御もしくは調整弁を流量調整制御して、前記蒸気の前記熱交換器に供給する蒸気供給総量を制御する、または前記開閉弁で遮断して一方の前記熱交換器への前記蒸気の供給を停止することにより、複数の前記熱交換器の合わせた加熱能力を調整制御するように構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の空調装置
【請求項6】
前記蒸気供給制御部の制御および前記熱交換器の前記熱交換部の前記熱交換面積の相違、並びに低温領域では前記熱風冷却用空気取り入れ口から前記熱風冷却用空気が導入され撹拌混合されることにより、前記排出される熱風の温度を30℃程度から160℃程度の広範囲に渡って制御される構成とされていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱媒蒸気を流通させる蒸気式熱交換器に導入空気を通過させることでこの導入空気を加熱し、この熱交換器の加熱能力を制御することで排出される熱風の温度を制御する空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱交換器への蒸気供給総量を制御してこの熱交換器の加熱能力を制御し、この熱交換器に導入され通過排出される熱風の温度を制御するが、この蒸気はボイラーで生成され圧送されるもので通常170℃程度の高温であるために、蒸気調整弁で蒸気供給総量を調整制御して低温化しても100℃程度までしか温度制御できない。
【0003】
そのため、さらに低温の温風を出力したい場合には、冷却水を流通させる冷却用の熱交換器を並設しなければならず、コストアップとならざるを得ない(特許文献1特開2005-61749号公報)
【0004】
高温の熱風を排出させるには、蒸気式の熱交換器を用いた空調装置が容易に製作でき、その温度制御も容易でコストもかからず、実用性に優れるが、たとえば50℃程度、さらには室温に近い30℃程度の低温温風の実現は、このような優れた蒸気式熱交換器だけでは難しいとされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-61749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題を見出し、これを解決するもので、実用性に優れた蒸気式の熱交換器を利用し冷却用の熱交換器などは用いずに、100℃以上(たとえば蒸気温度に近い160℃)の高温熱風のみならず40℃程度以下(たとえば30℃)の低温温風も用途や要求に応じて出力でき、製作容易で温度制御も容易で安価に製作できる極めて実用性に優れた空調装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
熱媒としての蒸気1が流通する熱交換器2を導入空気3が通過することでこの導入空気3が加熱され、この熱交換器2の加熱能力が制御されることで排出される熱風の温度が制御される空調装置であって、送風装置8により前記導入空気3が導入される風路4内に、順次この導入空気3が通過する前記熱交換器2が複数直列に配設され、この複数の熱交換器2は、前記導入空気3の通過方向の間口面積である導入空気通過間口面積が同じで、且つこの導入空気3が接触して加熱する熱交換部5の熱交換面積がそれぞれ相違してそれぞれ加熱能力が異なる構成とされていて、加熱生成した前記蒸気1を前記各熱交換器2に供給する蒸気供給部6と、この熱交換器2に供給する前記蒸気1の蒸気供給総量を制御して前記熱交換器2の加熱能力を調整制御または停止制御する蒸気供給制御部7とが備えられ、前記送風装置8により熱風冷却用空気9が引き込まれて前記熱交換器2を通過した熱風と混合される熱風冷却用空気取り入れ口10が前記風路4に備えられ、前記排出される熱風の温度が冷却制御されるように構成されていて、前記蒸気供給制御部7の制御および前記熱交換器2の前記熱交換部5の前記熱交換面積の相違並びに前記熱風冷却用空気9との混合により、前記排出される熱風の温度を少なくとも40℃程度以下および160℃程度以上に制御できるように構成されていることを特徴とする空調装置に係るものである。
【0009】
また前記風路4内に直列に配設された前記熱交換器2の下流側に前記送風装置8および前記熱風冷却用空気取り入れ口10が設けられ、この送風装置8により前記熱交換器2で加熱されて排出される熱風が撹拌されるとともに、前記熱風冷却用空気取り入れ口10が開口され前記送風装置8により前記熱風冷却用空気9が引き込まれる際にはこの送風装置8により熱風と撹拌混合され希釈冷却されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の空調装置に係るものである。
【0010】
また前記熱交換部5の前記熱交換面積が大きく加熱能力の大きい高温用の前記熱交換器2と、これに比べて前記熱交換部5の前記熱交換面積が小さく加熱能力の小さい低温用の前記熱交換器2とが、前記風路4内にそれぞれこの風路断面積をほぼ占めるようにして送風方向に配設されていることを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の空調装置に係るものである。
【0011】
また前記排出される温風を低温に制御する際には、前記高温用の前記熱交換器2への前記蒸気1の供給を停止するように前記蒸気供給制御部7が構成されていることを特徴とする請求項3記載の空調装置に係るものである。
【0012】
また前記蒸気供給制御部7は、前記蒸気供給部6に設けられている開閉弁13をオンオフ制御もしくは調整弁14を流量調整制御して、前記蒸気1の前記熱交換器2に供給する蒸気供給総量を制御する、または前記開閉弁13で遮断して一方の前記熱交換器2への前記蒸気1の供給を停止することにより、複数の前記熱交換器2の合わせた加熱能力を調整制御するように構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の空調装置に係るものである。
【0013】
また前記蒸気供給制御部7の制御および前記熱交換器2の前記熱交換部5の前記熱交換面積の相違、並びに低温領域では前記熱風冷却用空気取り入れ口10から前記熱風冷却用空気9が導入され撹拌混合されることにより、前記排出される熱風の温度を30℃程度から160℃程度の広範囲に渡って制御される構成とされていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の空調装置に係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述のように構成したから、蒸気式の熱交換器を利用し冷却用の熱交換器などは用いずに、100℃以上(たとえば蒸気温度に近い160℃)の高温熱風のみならず40℃程度以下(たとえば30℃)の低温温風も用途や要求に応じて出力でき、製作容易で温度制御も容易で安価に製作できる極めて実用性に優れた空調装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施例の排出される温度制御された熱風を塗工フィルム乾燥装置に導入してフィルム乾燥する場合のシステム構成説明図である。
図2】本実施例の要部の概略構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の最適な実施形態を図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
たとえば熱媒である蒸気1が流通する加熱用管13やこの加熱用管13を通る蒸気1の熱で加熱される多数の加熱用フィン14などが設けられた熱交換部5を有する蒸気式の熱交換器2に、送風装置8(ファン)で引き込まれる導入空気3を通過させることで、この導入空気3は熱交換器2の熱交換部5に接触して加熱され、熱風となって排出される。
【0017】
この熱風をたとえば乾燥装置に送出して乾燥用熱風などに用いるが、その用途や要求に応じて、この熱風の温度を制御する。たとえば熱交換器2への時間あたりの蒸気1の供給総量を調整して熱交換器2の加熱能力を制御して、この熱風の温度を制御する。
【0018】
本発明に係る空調装置では、前記導入空気3の通過方向の間口面積である導入空気通過間口面積が同じで、且つこの導入空気3が接触して加熱する熱交換部5の熱交換面積がそれぞれ相違しそれぞれ加熱能力が異なる構成とした複数の熱交換器2を、風路4内に直列に配設した構成としている。
【0019】
たとえば、間口面積である導入空気通過間口面積は同じであるが、熱交換部5の熱交換面積が大きく(前記加熱用管13や前記加熱用フィン14の数や面積が大きく)加熱能力の大きい高温用の熱交換器2と、これに比べて熱交換部5の熱交換面積が小さく(前記加熱用管13や前記加熱用フィン14の数や面積が小さく)加熱能力の小さい低温用の前記熱交換器2とを、風路4内にそれぞれこの風路断面積をほぼ占めるようにして送風方向に配設した構成としている。
【0020】
したがって、たとえば送風装置8により風路4内に引き込まれる導入空気3は、この風路4内のこれら複数の熱交換器2を順次通過して加熱され排出されるが、たとえば蒸気供給部6により熱交換器2に供給する蒸気1の蒸気供給総量を蒸気供給制御部7により制御してこの熱交換器1の加熱能力を調整制御または停止制御することで排出空気の温度が制御できる。
【0021】
また本発明は、前記送風装置8により熱風冷却用空気9が引き込まれて前記熱交換器2を通過した熱風と混合される熱風冷却用空気取り入れ口10を前記風路4に設けていて、この熱風冷却用空気9の混合希釈によっても前記排出される熱風の温度が冷却制御できるように構成している。
【0022】
したがって、前記蒸気供給制御部7の制御および前記熱交換器2の前記熱交換部5の前記熱交換面積の相違、並びに前記熱風冷却用空気9との混合希釈制御により、前記排出される熱風の温度を少なくとも40℃程度以下および160℃程度以上に制御できることとなる。
【実施例0023】
本発明の具体的な実施例1について図面に基づいて説明する。
【0024】
本実施例は、塗工装置15により塗工され搬送される塗工フィルム16が導入され、これを送りながら熱風乾燥して導出し巻き取る塗工フィルム乾燥装置17に、所定温度に撹拌均一化して排出される熱風(温風)を乾燥用熱風として導入させる塗工フィルム乾燥装置用の空調装置に本発明を適用したもので、蒸気1が流通する複数の蒸気式の熱交換器2に、送風装置8により引き込まれる導入空気3を順次通過させることでこの導入空気3を加熱し、この熱交換器2の加熱能力を制御することで排出される熱風の温度を制御する構成としている。
【0025】
具体的には、ボイラー18で加熱生成した蒸気1を各熱交換器2に分岐供給する蒸気供給部6と、双方の熱交換器2に供給するか否かを電磁弁11で制御するとともに蒸気供給量を調整弁12で流量調整制御して、双方の熱交換器1の加熱能力を調整制御する蒸気供給制御部7とを備え、各熱交換器2は、蒸気1が流通する加熱用管13およびこの加熱用管13を通る蒸気1の熱で加熱される多数の加熱用フィン14などで構成される熱交換部5を備えた蒸気式の熱交換器2を採用していて、この熱交換器2に導入空気3を通過させることで、この導入空気3はこの熱交換部5に接触して加熱され、熱風となって排出されるように構成している。
【0026】
この熱風はフィルタ19を通して前述のように塗工フィルム乾燥装置17へ送出されるもので、前述のように要求されている所定温度に温度制御され乾燥用熱風としてこの塗工フィルム乾燥装置17に導入され塗工フィルム16を乾燥する構成としているが、本発明はこのような用途に限られるものではなく、またその用途や要求に応じて、この熱風の温度を低温から高温に至るまで広範囲に制御できるように構成している。
【0027】
さらに説明すると、前述のように各熱交換器2への蒸気供給管にそれぞれ設けた電磁弁11をオンオフすることで熱交換器2に蒸気1を通すか遮断するかを切り替えて、いずれの熱交換器2で加熱するか、双方の熱交換器2で加熱するかを切り替え制御するとともに、各供給管に設けた調整弁12を制御して蒸気供給量を前記塗工フィルム乾燥装置17に設けた温度センサーの検知温度に基づいて調整制御して、熱交換器2の加熱能力を制御し、双方の熱交換器2を通過し排出される熱風の温度を制御するように構成している。
【0028】
また本実施例では、送風装置8により引き込まれる導入空気3が通過する風路4(ダクト)内に、順次この導入空気3が通過する前記熱交換器2を複数(本実施例では二体)直列に配設している。
【0029】
この二体の熱交換器2は、導入空気3の通過方向の間口面積である導入空気通過間口面積が同じで、且つこの導入空気3が接触して加熱する熱交換部5の熱交換面積がそれぞれ相違してそれぞれ加熱能力が異なるように構成している。
【0030】
具体的には、この導入空気通過間口面積は同じであるが、熱交換部5の熱交換面積が大きく(前記加熱用管13や前記加熱用フィン14の数や面積が大きく)加熱能力の大きい高温用の熱交換器2と、これに比べて熱交換部5の熱交換面積が小さく(前記加熱用管13や前記加熱用フィン14の数や面積が小さく)加熱能力の小さい低温用の前記熱交換器2とを、風路4内にそれぞれこの風路断面積をほぼ占めるようにして送風方向に配設した構成としている。
【0031】
さらに説明すると、各熱交換器2は薄箱状の蒸気導入部と蒸気導出部との間を導入空気通過部とし、この間口面積(導入空気通過間口面積)がほぼ風路4(ダクト)の断面積と同じとなるサイズに構成し、この蒸気導入部と蒸気導出部との間に前記熱交換部5を設けた構成としている。
【0032】
そして、この熱交換部5は、蒸気導入部と蒸気導出部との間に蒸気1が通過する加熱用管13を送風方向(導入空気通過方向)と直交するように多数架設し、この加熱用管13に接触し板面方向が導入空気通過方向と平行な板状の加熱用フィン14を所定ピッチで多数枚設け、この加熱用フィン14間を導入空気3が通過することでこの加熱用フィン14および加熱用管13に接触して加熱され、熱風となって排出されるように構成している。
【0033】
また、本実施例では、このように送風装置8により室内空気が引き込まれ熱交換器2に導入される導入空気3は、風路4内に直列に配設したこれら熱交換器2を順次通過して加熱され排出されるが、前記蒸気供給制御部7により切り替え制御して高温用の熱交換器2で加熱して温度制御する場合は、この蒸気供給制御部7により調整弁12を絞り制御して160℃から80℃まで温度制御する構成とし、さらに低い温度に制御する場合は、前記切り替え制御により前記高温用の熱交換器2への蒸気供給は遮断停止し低温用の熱交換器2に切り替え、前記蒸気供給制御部7により調整弁12を絞り制御して80℃から40℃まで温度制御する構成とし、さらに低い温度に制御する場合は、以下に詳述する熱風冷却用空気9をその取り入れ口10から送風装置8により引き入れ撹拌混合して希釈冷却する構成とし、前記排出される熱風の温度を30℃程度から160℃程度に至る広範囲に制御できる構成としている。
【0034】
具体的には、本実施例では、前記間口面積は同じであるが、熱交換部5の熱交換面積が大きく160℃程度まで加熱できさらに蒸気流量調整制御により80℃程度まで温度を下げることができる前記高温用の熱交換器2と、これに比べて熱交換部5の熱交換面積が小さく80℃程度まで加熱でき蒸気流量調整制御により40℃程度の低温まで温度を下げることができる前記低温用の熱交換器2との二体を、前記風路4内にそれぞれこの風路断面積をほぼ占めるようにして送風方向に配設している。
【0035】
さらに説明すると、この高温用の熱交換器2の熱交換部5は、170℃程度で圧送供給される蒸気1が通過する前記加熱用管13を所定本幅方向に列しこれを送風方向に所定行数並べ、この多数架設した加熱用管13が貫通するようにしてこれに接触する薄板状の加熱用フィン14を所定ピッチで多数枚送風方向に平行に設けた構成とし、20℃程度の導入空気3を160℃程度から前記蒸気供給制御部7により80℃程度まで温度制御できる構成としている。
【0036】
一方本実施例の前記低温用の熱交換器2の熱交換部5は、170℃程度で圧送供給される蒸気1が通過する前記加熱用管13は1行あるいは数行だけとし、さらにこの加熱用管13が貫通するようにこれに接触する加熱用フィン14は大きなピッチで数枚程度しか設けていない構成として、20℃程度の導入空気3を80℃程度から前記蒸気供給制御部7により40℃程度の低温まで温度制御できる構成としている。
【0037】
したがって、高温の熱風を出力したい場合は、低温用の熱交換器2への蒸気供給を停止し、高温用の熱交換器2のみによる加熱に切り替え、前記蒸気供給制御部7による流量調整制御により160℃程度から80℃程度の高温領域で温度制御する。そして40℃程度の低温の熱風(温風)を出力したい場合は、前記高温用の熱交換器2への蒸気1の供給を停止し、低温用の熱交換器2のみによる加熱に切り替え、前記蒸気供給制御部7による流量調整制御をおこない80℃程度から40℃程度の低温制御が蒸気式熱交換器2で実現できる構成としている。
【0038】
そしてさらに本実施例では、前記風路4内に直列に配設された前記熱交換器2の下流側に前記送風装置8を設けるとともに、この送風装置8によりにより熱風冷却用空気9が引き込まれて前記熱交換器2を通過した熱風と混合される熱風冷却用空気取り入れ口10を設けて、前記排出される熱風の温度がさらにこの熱風冷却用空気9との撹拌混合による希釈冷却制御により、前記排出される熱風の温度を40℃程度よりもさらに低い30℃程度に制御できるように構成している。
【0039】
またこのように本実施例では、下流側に送風装置8を設けることで、排出される熱風は撹拌均一化されるとともに、低温制御においては前記熱風冷却用空気取り入れ口10の電磁弁11を開口制御して風路4(ダクト)内に引き込むことで希釈冷却する場合もこの引き込みと撹拌混合機能が果たされる、すなわち、この送風装置8により、熱交換部5の蒸気上流側と蒸気下流側とで温度差が生じても撹拌により均一となり、冷却用空気を引き入れた場合も撹拌混合により均一な温度に制御されるように構成している。
【0040】
また本実施例では、直列に配設した双方の熱交換器2の間口面積が同じで、各熱交換部5の構造を前述のような偏りのない構造としているため、導入空気3の通過圧力損に偏りが生じないことから均一で安定した温度制御が可能で、また撹拌も容易でこの撹拌で容易に温度の均一化が図れる。
【0041】
また、本実施例では、高温熱風と低温温風とを、冷却水を用いる冷却用の熱交換器を用いず一般に高温用と考えられている蒸気式熱交換器だけを用いて乾燥装置などに出力供給することが実現できるが、各熱交換器2の熱交換部5の構造を設計変更設定して(たとえば加熱用管13の本数や加熱用フィン14の枚数を変更して)、それぞれ温度制御する範囲を設定変更することもでき、また中温用の熱交換器をさらに直列増設配設するように構成してもよいし、各熱交換器2による加熱制御範囲を前記蒸気供給制御部7による流量調整制御に加えて熱風冷却用空気9の引き込みによる撹拌希釈冷却により広げてもよく、適宜設計可能であるが、本発明は、製作容易でコストもかからず、制御も容易な蒸気式の熱交換器2の直列並設と、たとえば単に室内空気や外気を引き込むだけで低温化制御ができる前記取り入れ口10の開設と、前記送風装置8による撹拌とで低温範囲までの均一な温度制御による温風出力が可能となり、極めて優れた空調装置を実現できるものである。
【0042】
また本実施例では、熱風冷却用空気取り入れ口10にさらに流量調整機構や調整弁を設けて取り入れ量を調整して希釈冷却制御できるように構成してもよい。
【0043】
以上のように、本実施例では、前記蒸気供給制御部7の制御および前記熱交換器2の前記熱交換部5の前記熱交換面積の相違、並びに低温領域では前記熱風冷却用空気取り入れ口10から前記熱風冷却用空気9が導入され撹拌混合により希釈冷却されることにより、前記排出される熱風の温度を30℃程度から160℃程度の広範囲に渡って制御することができる構成で、また送風装置8による撹拌によって均一で且つ温度センサーにより精度の高い温度制御が蒸気式熱交換器2で実現できる構成としている。
【0044】
また本実施例の導入空気3は、乾燥装置17からの排気を利用しつつ室内空気(外気)と混合して取り入れ、新鮮な空気を入れながら導入空気3の温度も安定させ、乾燥装置17の防爆も図っている。
【0045】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0046】
1 蒸気
2 熱交換器
3 導入空気
4 風路
5 熱交換部
6 蒸気供給部
7 蒸気供給制御部
8 送風装置
9 熱風冷却用空気
10 熱風冷却用空気取り入れ口
11 開閉弁
12 調整弁
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2020-11-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
また前記排出される熱風を低温に制御する際には、前記高温用の前記熱交換器2への前記蒸気1の供給を停止するように前記蒸気供給制御部7が構成されていることを特徴とする請求項3記載の空調装置に係るものである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
また前記蒸気供給制御部7は、前記蒸気供給部6に設けられている開閉弁11をオンオフ制御もしくは調整弁12を流量調整制御して、前記蒸気1の前記熱交換器2に供給する蒸気供給総量を制御する、または前記開閉弁11で遮断して一方の前記熱交換器2への前記蒸気1の供給を停止することにより、複数の前記熱交換器2の合わせた加熱能力を調整制御するように構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の空調装置に係るものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
またこのように本実施例では、下流側に送風装置8を設けることで、排出される熱風は撹拌均一化されるとともに、低温制御においては前記熱風冷却用空気取り入れ口10の電磁弁11を開口制御して風路4(ダクト)内に引き込むことで希釈冷却することができ、この場合もこの引き込みと撹拌混合機能が果たされるすなわち、この送風装置8により、熱交換部5の蒸気上流側と蒸気下流側とで温度差が生じても撹拌により均一な温度となり、冷却用空気を引き入れた場合も撹拌混合により均一な温度となるように制御される構成としている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
また、本実施例では、高温熱風と低温温風とを、冷却水を用いる冷却用の熱交換器を用いず一般に高温用と考えられている蒸気式熱交換器だけを用いて乾燥装置などに出力供給することが実現できるが、各熱交換器2の熱交換部5の構造を設計変更設定して(たとえば加熱用管13の本数や加熱用フィン14の枚数を変更して)、それぞれ温度制御する範囲を設定変更することもでき、また中温用の熱交換器をさらに直列増設配設するように構成してもよいし、各熱交換器2による加熱制御範囲を前記蒸気供給制御部7による流量調整制御に加えて熱風冷却用空気9の引き込みによる撹拌希釈冷却により広げてもよく、適宜設計可能である。本発明は、このように製作容易でコストもかからず、制御も容易な蒸気式の熱交換器2の直列並設と、たとえば単に室内空気や外気を引き込むだけで低温化制御ができる前記取り入れ口10の開設と、前記送風装置8による撹拌とで低温範囲までの均一な温度制御による温風出力が可能となり、極めて優れた空調装置を実現できるものである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項4】
前記排出される熱風を低温に制御する際には、前記高温用の前記熱交換器への前記蒸気の供給を停止するように前記蒸気供給制御部が構成されていることを特徴とする請求項3記載の空調装置。