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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073413
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】輸送システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20220510BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20220510BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020183377
(22)【出願日】2020-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000152424
【氏名又は名称】株式会社日建設計
(74)【代理人】
【識別番号】100103399
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 清
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 達也
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
5L049CC41
(57)【要約】      (修正有)
【課題】人、物及びエネルギ資源を効率的に輸送して、エネルギの有効利用、交通渋滞の緩和、そして、新規社会基盤の実現化を企図できる輸送システムを提供する。
【解決手段】見守り支援システム100には、比較的小範囲の居住地域に存在する少なくとも、住宅21、マンション22を含む生活拠点間を連絡して走行する配送車11と、エネルギ資源を生成及び供給するエネルギ供給施設と、少なくとも、人Pが利用する交通施設、物Aを販売する商業施設、廃棄物Tを処理する処理施設を保有する公共施設と、配送車11、エネルギ供給施設5、公共施設6を通信回線(有線通信回線41、無線通信回線42)を介して接続し、これらを管理する管理センター30と、から構成する。配送車11は、同時に、人Pを乗車させ、物Aを積載することができると共に、エネルギ資源を輸送することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
比較的小範囲の居住地域に存在する生活拠点間を連絡して走行する配送車と、エネルギ資源を生成及び供給するエネルギ供給施設と、少なくとも、人が利用する交通施設、物を販売する商業施設、廃棄物を処理する処理施設を保有する公共施設と、前記配送車、前記エネルギ供給施設、前記公共施設を通信回線を介して接続し、これらを管理する管理センターと、から構成したことを特徴とする輸送システム。
【請求項2】
前記生活拠点は、少なくとも、住宅、マンションを含むものであることを特徴とする請求項1に記載の輸送システム。
【請求項3】
前記配送車は、同時に、人を乗車させ、物を積載させることができると共に、エネルギ資源を輸送することができるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の輸送システム。
【請求項4】
前記配送車は、自動運転車であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1に記載の輸送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的小範囲の市街地、過疎地、特に、スマートシティに適用して好適な、人、物及びエネルギ資源の輸送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、居住者、就労者が多い市街地、居住者等が少ない過疎地の何れにあっても、図15に示すように、電気Eは地上に設置した電線211、電柱212を介して、上水W、ガスGは地中に埋設した上水管路213、ガス管路214を介して、又、下水Dは地中に埋設した下水管路215を介して、各住宅221、マンション222、オフィスビル223、商業施設へと供給し、又、回収していた。
【0003】
このように、生活に必須の電気E、上水W、下水D、ガスG等は、地上の設置物、地中の埋設物等の公共設備を介して供給し、又、回収していたので、これら公共設備の構築、保守、改修には大規模な工事が必要であり、社会基盤(インフラストラクチャー)の構築等には膨大な時間、莫大な労力及び費用を要する、という問題が生じていた。
【0004】
又、比較的小範囲の市街地、過疎地では、図15に示すように、人Pはバス、タクシー等を利用して住宅221、ビル223、商業施設等へ移動し、物Aはトラック、バン等の商業車を使用して住宅221、ビル223、商業施設等に配送し、ゴミTは回収車を使用して住宅221、ビル223、商業施設等から回収していた。
【0005】
このように、生活に必要な人Pの移動、物Aの配送、ゴミTの回収等のサービスは、それぞれ別形態の自動車によって提供されていたので、市街地では自動車の数量が増大し、交通渋滞の要因となり、過疎地ではそれら自動車が確保できず、十分なサービスを提供できない、という問題が生じていた。
【0006】
一方、近年では、新規に開発した市街地にあっては、図16に示すように、電気Eは地中に埋設したケーブル311を介して供給し、ゴミTは地中に構築した回収管路312を介して回収することによって、市街地の景観を向上すると共に、市街地を走行する自動車の数量を削減する試みも見られるようになってきた。
【0007】
しかし、このような新規開発の市街地は、山地、丘陵を開墾し、海岸、河川を埋立し、又、過疎地を使用する等、新たに土地を造成する場合には可能ではあるが、既に存在する市街地を再開発する場合には、既に地中に地下鉄、貯水路等が網羅されていて、実質的に再開発工事が困難である、という問題があった。
【0008】
上記従来の問題点を鑑みて、市街地における人P、物A及びエネルギ資源Rの効率的な配送を図ることによって、図17に示すような、いわゆるスマートシティ400を実現することを企図して、これまで種々の物流システム、エネルギ配送システムが提案されている(特許文献1及び2参照)。
【0009】
特許文献1に記載された物流システムは、水素を燃料とする配送トラックを使用し、配送センターから商品を各店舗に配送すると共に、各店舗から廃棄食品を配送センターに回収する。そして、配送センターの水素生成施設において、廃棄食品から水素を生成し、それを配送トラックの燃料として利用するものである。
【0010】
特許文献2に記載されたエネルギ配送システムは、走行用バッテリーを備えた配送車を使用し、配送センターから商品を各店舗に配送する際に、所定店舗の蓄電池から余剰電気エネルギを充電すると共に、所定店舗の蓄電池には余剰電気エネルギを放電することによって、余剰電気エネルギを有効に使用するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2019-202863号公報
【特許文献2】特開2011-142779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に記載された発明は、配送トラックを使用して、廃棄食品の回収を同時に行うと共に、廃棄食品から水素燃料を生成するものであるから、エネルギの有効利用と交通渋滞の緩和を図ることができ、特許文献2に記載された発明は、配送車を使用して、配送先の店舗から余剰電気エネルギを充電し、放電するものであるから、同様に、エネルギの有効利用を図ることができる。
【0013】
しかし、特許文献1及び2に記載された発明は何れも、人、物及びエネルギ資源を効率的に輸送することによって、エネルギの有効利用、交通渋滞の緩和、新規社会基盤の構築までを企図するものではない。
【0014】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みて為されたものであって、同一形態の配送車を使用して、人、物及びエネルギ資源を効率的に輸送することによって、エネルギの有効利用、交通渋滞の緩和、そして、新規社会基盤の実現化を企図することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の輸送システムは、比較的小範囲の居住地域に存在する生活拠点間を連絡して走行する配送車と、エネルギ資源を生成及び供給するエネルギ供給施設と、少なくとも、人が利用する交通施設、物を販売する商業施設、廃棄物を処理する処理施設を保有する公共施設と、前記配送車、前記エネルギ供給施設、前記公共施設を通信回線を介して接続し、これらを管理する管理センターと、から構成したことを特徴とする。
【0016】
ここで、前記生活拠点は、少なくとも、住宅、マンションを含むものであることを特徴とする。
【0017】
又、前記配送車は、同時に、人を乗車させ、物を積載させることができると共に、エネルギ資源を輸送することができるものであることを特徴とする。
【0018】
さらに、前記配送車は、自動運転車であることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の輸送システムによれば、同一形態の配送車を使用して、人、物及びエネルギ資源を効率的に輸送することができ、エネルギの有効利用、交通渋滞の緩和、そして、新規社会基盤の実現化を企図することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の輸送システムの概略説明図である。
図2】本発明の輸送システムの概略構成図である。
図3】本発明の輸送システムの概略構成図である。
図4】本発明の輸送システムの情報データネットワーク構成図である。
図5】本発明の輸送システムの移動体通信ネットワーク構成図である。
図6】本発明の輸送システムにおいて使用する配送車の内部透視構成図である。
図7】本発明の輸送システムにおいて使用する自動運転をする配送車の自動走行管理システムの概略説明図である。
図8】本発明の輸送システムにおいて配送車に人を乗車させ、物、エネルギ資源を積載して、所定経路を走行させた場合の概略説明図である。
図9】本発明の輸送システムにおいて配送車に人を乗車させ、物、エネルギ資源を積載して、所定経路を走行させた場合の概略説明図である。
図10】本発明の輸送システムにおいて配送車に人を乗車させ、物、エネルギ資源を積載して、所定経路を走行させた場合の概略説明図である。
図11】本発明の輸送システムの具体的適用例の説明図である。
図12】本発明の輸送システムの具体的適用例の説明図である。
図13】本発明の輸送システムの具体的適用例の説明図である。
図14】本発明の輸送システムの具体的適用例の説明図である。
図15】従来の輸送システムの概略説明図である。
図16】従来の輸送システムの概略説明図である。
図17】スマートシティの概念説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
先ず、本発明の輸送システムの基本的概念について、以下、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
本発明の輸送システム100は、図1に示すように、比較的小範囲の居住者、就労者が多い市街地に存在する住宅21、マンション22、オフィスビル23等の生活拠点20間を連絡する配送車11を走行させ、この配送車11によって人P、物A、エネルギ資源R等を配送することによって、社会基盤の一部を移動性を有する社会基盤とでも呼ぶべきものに転換するというものである。
【0023】
例えば、図1に示すように、所定の配送車11に人Pを乗車させ、充電させた蓄電池を積載し、住宅21等まで人Pを移動させると共に電気Eを供給したり、所定の配送車11に人Pを乗車させ、物Aを積載し、ガスGを貯蔵したガスボンベを積載し、オフィスビル23等まで人Pを移動させ、物Gを配送し、熱源HであるガスGを供給する。
【0024】
又、図1に示すように、所定の配送車11に上水Wを貯蔵した貯水タンクを積載し、ゴミTを積載し、住宅21等に上水Wを供給すると共にゴミTを回収したり、所定の配送車11に人Pを乗車させ、充電させた蓄電池を積載し、下水Dの貯蔵タンクを積載し、マンション22等まで人Pを移動させ、電気Eを供給すると共に、下水Dを回収する。
【0025】
以上のように、住宅21、マンション22、オフィスビル23等の生活拠点20間を連絡する配送車11を走行させ、この配送車11によって人P、物A、エネルギ資源R等を配送するようにすれば、電気E、ガスG、上水W等の社会基盤の一部を移動性を有する社会基盤に転換することができるから、地上に電線、電柱を設置する必要はなく、又、地中に上水管、下水管、ガス管等を埋設する必要もない。
【0026】
又、住宅21、マンション22、オフィスビル23等の生活拠点20間を連絡する配送車11を走行させることによって、バス、タクシー等、トラック、バン等、又、ゴミ回収車等の複数形態の自動車を使用する必要はなく、エネルギの有効利用を図れるばかりでなく、交通渋滞の緩和にも寄与することができる。
【0027】
又、本発明の輸送システム100を比較的小範囲の居住者が少ない過疎地において適用すれば、生活に必要なサービスである人Pの移動、物Aの配送、ゴミTの回収等を少数の配送車11によって提供することができるから、これらの必要なサービスを適時に、十分に提供することができる。
【0028】
又、新たに土地を造成して市街地を開発する場合には、新たに地上に電線、電柱を設置する必要はなく、又、地中に上水管、下水管、ガス管等を埋設する必要もないから、開発に係る労力及び費用も大幅に軽減することができ、既に存在する市街地を再開発する場合には、既に地中に存在する地下鉄、貯水路等を特に留意する必要はないから、スマートシティ等の開発工事も容易に実施することができる。
【0029】
次に、本発明の輸送システム100の好適な実施形態について、以下、図面を参照して説明する。
【0030】
本発明の輸送システム100は、図2に示すように、比較的小範囲の市街地、過疎地、スマートシティの内域又は近傍の外域に設置された管理センター30と、前記住宅21、マンション22、オフィスビル23等の生活拠点20とを、通信回線40、特には、有線の通信回線41を介して接続する必要がある。
【0031】
通信回線41は、管理センター30との専用通信回線であってもよいが、汎用性、発展性を考慮すれば、インターネット回線であるのが好ましい。又、必ずしも有線でなくともよいが、高速性、確実性、秘密性を考慮すれば、有線であるのが好ましい。
【0032】
管理センター30には、輸送システム100を作動させ、管理するために、図4に示すように、管理コンピュータ31、アプリケーションサーバー32、データベースサーバー33等を設置してあり、これらによって、住宅21、マンション22、オフィスビル23等の生活拠点20に設置した端末コンピュータ24との間で指令及びデータを送受信するようになっている。
【0033】
又、管理センター30と、配送車11との間、人Pとの間は、配送車11、人Pが適宜移動することから、通信回線40、特には、車載移動体通信機器81、スマートフォン等の携帯情報端末機器82の移動体通信機器80によって、無線の通信回線42を介して接続する必要がある。
【0034】
通信回線42も、管理センター30との専用通信回線であってもよいが、汎用性、発展性を考慮すれば、インターネット回線であるのが好ましい。
【0035】
管理センター30は、図5に示すように、管理コンピュータ31、アプリケーションサーバー32、データベースサーバー33等によって、配送車11に設置した、又、人Pが保持した移動体通信機器70との間で指令及びデータを送受信するようになっている。
【0036】
本発明の輸送システム100は、又、図3に示すように、比較的小範囲の市街地、過疎地、スマートシティの内域又は近傍の外域に設置された火力発電所、原子力発電所、太陽光発電所等の発電施設51、ガスタンク等のガス貯蔵施設52、浄水場、貯水場等の上水貯蔵施設53等のエネルギ資源Rを生成及び供給するエネルギ供給施設50と、前記管理センター30との間も、有線の通信回線43を介して接続する必要がある。
【0037】
又、図3に示すように、人Pが利用する駅舎、バス停留所等の交通施設61、物流センター、ショッピングセンター等の商業施設62、ゴミ焼却場、下水処理場等の処理施設63等の公共施設60と、前記管理センター30との間も、有線の通信回線44を介して接続する必要がある。
【0038】
管理センター30は、同様に、管理コンピュータ31、アプリケーションサーバー32、データベースサーバー33等によって、発電施設51、ガス貯蔵施設52、上水貯蔵施設53等のエネルギ供給施設50と、交通施設61、商業施設62、処理施設63等の公共施設60との間で指令及びデータを送受信するようになっている。
【0039】
次に、本発明の輸送システム100において使用する配送車11、エネルギ資源の搬送装置Bの好適な実施形態について、以下、図面を参照して説明する。
【0040】
配送車11は、図6に示すように、マイクロバス型の自動車であって、前側部に操縦部12、操縦部12の後方から略中央部までを座席部13、座席部13の後方、すなわち、略中央部から後側部までを積載部14としてある。
尚、人Pの乗降、物A、搬送装置Bの荷積み、荷卸しが容易になるよう、座席部13及び積載部14の両側面に、自動開閉する前側ドア15,後側ドア16を設置してある。
【0041】
そして、操縦部12には運転者が着席し、配送車11の運転、前側ドア15,後側ドア16の開閉操作を実行し、座席部13には人Pが乗車、着席するようになっている。
又、積載部14には、物A、搬送装置Bを積載するようになっており、物A、搬送装置Bの荷積み、荷卸しは、原則として、運転者が実行する。
【0042】
ここで、配送車11の内部を座席部13、積載部14に区分することなく、人Pが乗車できると共に、物A、搬送装置Bを積載できる共用空間部としてもよい。
又、配送車11を数台連結できるよう、配送車11の前面部と後面部に連結装置を接続してもよい。
【0043】
搬送装置Bとしては、図9に示すように、電気Eを蓄積する蓄電池BE、ガスGを貯蔵するガスボンベBG、上水Wを貯蔵する貯水タンクBW等を使用するが、ゴミT、下水D等については、それに適した形態の搬送装置を採用すればよい。
【0044】
上記のような配送車11、搬送装置Bを使用すれば、図8に示すように、エネルギ供給施設50において、電気E、ガスG、上水Wを各々、蓄電池BE、ガスボンベBG、貯水タンクBWに貯蔵した上、3台連結した配送車11,11,11に積載し、住宅21へと配送することができる。
【0045】
次に、図9に示すように、住宅21において、配送車11,11,11から蓄電池BE、ガスボンベBG、貯水タンクBWを荷卸しすると共に、数名の人Pを配送車11に乗車させる。これによって、住宅21には、電気E、ガスG、上水Wを供給することができると共に、人Pを移動することができる。
【0046】
次に、図10に示すように、別の住宅21において、配送車11,11,11から蓄電池BE、ガスボンベBG、貯水タンクBWを荷卸しする。これによって、当該別の住宅21にも、電気E、ガスG、上水Wを供給することができる。
【0047】
同様にして、さらに別の住宅21において、配送車11,11,11から蓄電池BE、ガスボンベBG、貯水タンクBWを荷卸しすると共に、1名の人Pを配送車11に乗車させる。
【0048】
そして、駅舎等の交通施設61において、配送車11,11,11に乗車した複数の人
Pを降車させ、エネルギ資源Rの搬送と、人Pの移動とを、適宜時期に、効率的に実施することができる。
【0049】
次に、本発明の輸送システム100の具体的な適用例について、以下、図面を参照して説明する。
【0050】
[適用例1]
図11に示す適用例は、配送車11を物流センター、ショッピングセンター等の商業施設62から出発させ、発電施設51を経由させ、住宅21、マンション22、オフィスビル23等の生活拠点20、商業施設62を巡回させて、発電施設51へと帰還させる場合を示している。
【0051】
この適用例1では、配送車11は商業施設62において商品である物Aを積載し、発電施設51において電気Eを蓄電池BEに充電し、生活拠点20を巡回する間に、所定の生活拠点20に物Aを配送し、電気Eを蓄電池BEから放電して供給した後、発電施設51に帰還する手順となっている。
【0052】
[適用例2]
図12に示す適用例は、配送車11をガス貯蔵施設52から出発させ、物流センター、ショッピングセンター等の商業施設62を経由させ、住宅21、マンション22、オフィスビル23等の生活拠点20を巡回させて、ガス貯蔵施設52へと帰還させる場合を示している。
【0053】
この適用例2では、配送車11はガス貯蔵施設52においてガスGを貯蔵したガスボンベBGを積載し、商業施設62において商品である物Aを積載し、生活拠点20を巡回する間に、所定の生活拠点20に物Aを配送し、ガスボンベBGを配送してガスGを供給した後、ガス貯蔵施設52に帰還する手順となっている。
【0054】
[適用例3]
図13に示す適用例は、配送車11を物流センター、ショッピングセンター等の商業施設62から出発させ、上水貯蔵施設53を経由させ、住宅21、マンション22、オフィスビル23等の生活拠点20を巡回させ、ゴミ焼却場等の処理施設63を経由させ、店舗71等の小売施設70、生活拠点20を巡回させて、商業施設62へと帰還させる場合を示している。
【0055】
この適用例3では、配送車11は商業施設62において商品である物Aを積載し、上水貯蔵施設53において貯水タンクBWに上水Wを貯蔵させ、生活拠点20を巡回する間に、所定の生活拠点20に上水Wを供給すると共に、ゴミTを回収し、それらゴミTを処理施設63に回収した後、処理施設63において発生した熱源Hを蓄熱材BHに蓄積し、小売施設70、生活拠点20を巡回する間に、小売施設70、生活拠点20に熱源Hを供給した後、商業施設62へと帰還する手順となっている。
【0056】
[適用例4]
図14に示す適用例は、配送車11を物流センター、ショッピングセンター等の商業施設62から出発させ、上水貯蔵施設53を経由させ、住宅21、マンション22、オフィスビル23等の生活拠点20を巡回させ、駅舎、バス停留所等の交通施設61を経由させ、
店舗71等の小売施設70、生活拠点20を巡回させて、商業施設62へと帰還させる場合を示している。
【0057】
この適用例4では、配送車11は商業施設62において商品である物Aを積載し、上水貯蔵施設53において貯水タンクBWに上水Wを貯蔵させ、生活拠点20を巡回する間に、所定の生活拠点20に物Aを配送すると共に、上水Wを供給し、人Pを乗車させ、それらの人Pを交通施設61において降車させた後、新たに人Pを乗車させ、小売施設70、生活拠点20を巡回する間に、物Aを配送すると共に、人Pを降車させた後、商業施設62へと帰還する手順となっている。
【0058】
以上に説明した適用例以外にも種々の適用例を考えることができ、配送車11の出発、経由、巡回、帰還の順序を適切に設定することによって、複数形態の自動車を使用することなく、しかも少数の配送車11によって、エネルギ資源Rの供給ができ、エネルギの有効利用を図れることができると共に、物A及び人Pを効率的に輸送、配送することができ、交通渋滞の緩和にも大いに寄与することができる。
【0059】
本発明の輸送システム100は、上記に説明した内容のみならず、種々変形が可能であって、例えば、配送車11を運転者が必要な手動運転車ではなく、IoT及びAIを採用した自動運転車とすることもできる。この場合には、輸送システム100を適用する地域の地図情報を収集すると共に、走行アルゴリズム等を適宜開発する必要がある。
【0060】
自動運転車とする配送車111の場合には、図7に示すように、配送車111に車載コンピュータ(ECU:電子制御ユニット)112を搭載させ、車載カメラ、レーザーレーダー、ライダー、センサー等のセンサー類113によって、配送車111の周囲の状況を認識し、管理センター30へ走行情報データとして送信する。
又、全地球測位システム(GPS:グローバル・ポジショニング・システム)を利用して、GPS衛星83から電波信号を受信することによって、配送車111の現在位置を知ることができるから、この位置情報データも管理センター30へ送信する。
【0061】
この地図情報、走行情報、位置情報に基づき、管理センター30の管理コンピュータ31は走行アルゴリズムに則って走行制御指令を発出し、配送車111に送信されることになる。車載コンピュータ(ECU:電子制御装置)112は、この走行制御指令を受信すると、駆動系(駆動モーター)114、操舵系(ステアリング)115、制動系(ディスクブレーキ)116等に制御信号を伝達する。
これによって、配送車111は、管理センター30からの指示に従い、所定の出発地点から出発し、所定の経由地点を経由、巡回して、所定の帰還地点へと帰還するようになっている。
【0062】
又、物Aの積載、エネルギ資源Rの供給等の作業においては、通常、配送車11,111の運転者又は同乗者が作業する必要があるが、配送車11の装備を極力自動化すると共に、操作を自動音声案内とすることによって、利用者自らが装備を操作し、必要な作業をすることが可能となり、配送車11,111を完全な無人運転車とすることもできる。
【0063】
さらに、エネルギ供給施設50としては、上記に説明したものに限られず、水素、石油等を生成、精製する化学製品工場、石油精製工場等であってもよい。又、配送車11,111によるエネルギ資源Rの配送手段についても、蓄電地BE、ガスボンベBG、貯水槽BW、蓄熱材等に限られるものではなく、種々代替手段を採用することができる。
【符号の説明】
【0064】
100 輸送システム
11 配送車
20 生活拠点
21 住宅
22 マンション
23 オフィスビル
30 管理センター
40 通信回線
50 エネルギ供給施設
60 公共施設
61 交通施設
62 商業施設
63 処理施設
111 配送車
P 人
A 物
R エネルギ資源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17