(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073414
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】印鑑
(51)【国際特許分類】
B41K 1/00 20060101AFI20220510BHJP
B41K 1/02 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
B41K1/00 B
B41K1/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020183380
(22)【出願日】2020-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】519158632
【氏名又は名称】北村 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100110814
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】北村 健二
(57)【要約】
【課題】 持ったときの感触が象牙や水牛の角、柘植などの木材で形成された印鑑の感触に近似し、かつ、高い硬度と粘性を有し、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性に優れるとともに、高い装飾性を備えた低コストの印鑑を提供する。
【解決手段】 文字又は図形が刻印された刻印面を有する頭部11と、この頭部11と一体に形成された持ち手部12とを備えた印鑑において、頭部11及び持ち手部12が、耐熱温度150℃以上のエンジニアリングプラスチックを削成した後にアニーリング処理を行って形成され、頭部11又は持ち手部12に、アクセントとして宝石、貴金属及び七宝焼きを含む装飾体12aを取り付けた構成としてある。前記エンジニアリングプラスチックとしてはPPSUやPEI、PFSを用いるとよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字又は図形が刻印された刻印面を有する頭部と、この頭部と一体に形成された持ち手部とを備えた印鑑において、
前記頭部及び前記持ち手部が、耐熱温度150℃以上のエンジニアリングプラスチックを削成した後にアニーリング処理を行って形成され、
前記頭部又は前記持ち手部に、アクセントとして宝石、貴金属及び七宝焼きを含む装飾体を取り付けたこと、
を特徴とする印鑑。
【請求項2】
前記エンジニアリングプラスチックがポリフェニルサルホン(PPSU)又はポリエーテルイミド(PEI)であることを特徴とする請求項1に記載の印鑑。
【請求項3】
削成後に150~200℃の温度で30分~3時間の前記アニーリングを行ったことを特徴とする請求項1又は2に記載の印鑑。
【請求項4】
前記装飾体が、メノウ、水晶、虎目、オニキスを含むパワーストーンであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の眼鏡フレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字又は図形が刻印された刻印面を有する頭部と、この頭部に一体に形成された持ち手部とを備えた印鑑に関する。
【背景技術】
【0002】
象牙等の材料を用いて高級感を醸し出させる印鑑として、例えば、特許文献1に記載されるような印鑑がある。この印鑑は、象牙などの高級材料よりなる円柱形状印材の周面任意個所に、正面形状が小径の円形で、断面形状が蟻溝構造をした比較的浅く而も内底面を凹球面状とした凹所を刻設し、この凹所内に金又は銀などの貴金属材料からなる象眼部材を埋入充填し、その象眼部材の外表面を印材の円柱状表面と同一面に形成するとともに、凹所の内底面と象眼部材とを接着剤などの固定手段で結合した前印を付設したものである。 この特許文献1によれば、凹所内に象眼部材(金や銀などの貴金属材料)を用いているため、高級印鑑の審美性を損なうことなく印鑑の高級メイージが増大させることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、象牙等の高級材料で形成された印鑑は、高級感はあるものの、きわめて高価で、長期使用のうちに黄ばみなどの色褪せが発生しやすく、かつ、酸などの薬品に弱いという欠点がある。
【0005】
本発明は上記した問題点に鑑みてなされたもので、持ったときの感触が象牙や水牛の角、柘植などで形成された印鑑の柔らかな感触に近いながら高い硬度を有し、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性に優れるとともに、高い装飾性を備えた低コストの印鑑の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的を達成するための印鑑は、請求項1に記載するように、文字又は図形が刻印された刻印面を有する頭部と、この頭部と一体に形成された持ち手部とを備えた印鑑において、前記頭部及び前記持ち手部が、耐熱温度150℃以上のエンジニアリングプラスチックを削成した後にアニーリング処理を行って形成され、前記持ち手部に、アクセントとして宝石、貴金属及び七宝焼きを含む装飾体を取り付けた構成としてある。
請求項2に記載するように、前記エンジニアリングプラスチックはポリフェニレンサルファイド(PFS)であってもよいが、ポリフェニルサルホン(PPSU)又はポリエーテルイミド(PEI)であるのが好ましい。
また、削成後のアニーリングは、請求項3に記載するように、150~200℃の温度で30分~3時間行うとよい。請求項4に記載するように、前記装飾体としては、メノウ、水晶、虎目、オニキスを含むパワーストーンを用いることができる。
【0007】
本発明によれば、長期に亘って劣化せず、色褪せすることなく、傷が付きにくく、変形しにくい印鑑を得ることができる。また、頭部や持ち手部にアクセント程度に装飾体を取り付けることで、印鑑の向きがわかりやすくなるとともに、シンプルなデザインの中にも装飾体をさりげなくアピールしつつ、印鑑のデザイン性を高めることができる。特に、前記装飾体として、気を高める効果があるとされるパワーストーンを前記頭部や持ち手部に埋め込むことで、装飾効果の他に健康等の効果も高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の眼鏡フレームの好適な実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の印鑑の一実施形態にかかり、(a)はその正面図、(b)は(a)の印鑑の左側面図、(c)は(a)の印鑑の平面図、(d)は(a)の印鑑の右側面図、(e)は(a)の印鑑の背面図である。なお、(a)の印鑑の底面図については、前記平面図と対称に現れるため図示を省略してある。
印鑑1は、一端面が文字や図形等が刻印された刻印面11aとして形成された円柱状の頭部11と、この頭部11と一体に形成され、頭部11側にくびれが形成された断面円形状の持ち手部12とを有している。持ち手部12のくびれ部分のほぼ中央には、楕円状の孔が形成されていて、この孔に装飾体12aが嵌め込まれている。
【0009】
頭部11及び持ち手部12の外形は、高い硬度と粘性を有し、150℃以上の耐熱性、耐薬品性及び耐衝撃性に優れるエンジニアリングプラスチックの棒材を、NC旋盤やマシニングセンタ(MC)で削成して形成される。前記エンジニアリングプラスチックとしては、ポリフェニルサルホン(PPSU)又はポリエーテルイミド(PEI)を用いるのが好ましい。ポリフェニレンサルファイド(PFS)を用いてもよい。
NC旋盤やマシニングセンタ(MC)で頭部11及び持ち手部12の外形を削成した後は、アニーリングを行い、内部歪みの除去と組織の均質化を行う。アニーリングは150~200℃の温度で30分~3時間程度行うのがよい。
【0010】
装飾体12aとしては、各種の貴金属類や天然又は自然の宝石・宝玉類を用いることができるが、メノウ、水晶、虎目、オニキスなどの健康に好影響を与えると期待されているパワーストーンを用いてもよい。
【0011】
図2は、上記構成の印鑑1の頭部11に嵌め付けられるキャップ2の構成を説明する図であり、(a)はその左側面図、(b)はその正面図、(c)はその右側面図である。また、
図3は、頭部11にキャップ2を嵌め付けた印鑑1の構成を説明する図で、(a)はその左側面図、(b)はその正面図、(c)はその右側面図である。
上記構成の印鑑1の頭部11に嵌め付けられるキャップ2は、
図2に示すように樽状の胴部20の一端面に頭部11が嵌め込まれる有底の孔20aが形成されたものである。キャップ2は、樹脂や金属など印鑑1と異なる材料で形成してもよいが、ポリフェニルサルホン(PPSU)又はポリエーテルイミド(PEI)などのエンジニアリングプラスチックで形成してもよく、ポリフェニレンサルファイド(PFS)を用いてもよい。印鑑1と同じ材料で形成してもよい。
キャップ2は、有底の孔20aの底部側の内径を頭部11と一致させる一方で開口部側の内径を頭部11より僅かに小径とすることで、頭部11から脱落しにくいものとすることができる。
キャップ2は、印鑑1と同様に、NC旋盤やマシニングセンタ(MC)による削成によって形成することができる。キャップ2については、アニーリングは行ってもよいし行わなくてもよい。
【0012】
本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、頭部11、持ち手部12又はキャップ2の形状は、断面円形に限らず断面角形のものであってもよい。またその削成は、NC旋盤やMCに限らず普通旋盤やフライス盤を用いても可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の印鑑の一実施形態にかかり、(a)はその正面図、(b)は(a)の印鑑の左側面図、(c)は(a)の印鑑の平面図、(d)は(a)の印鑑の右側面図、(e)は(a)の印鑑の背面図である。
【
図2】印鑑の頭部に嵌め付けられるキャップの構成を説明する図で、(a)はその左側面図、(b)はその正面図、(c)はその右側面図である。
【
図3】頭部にキャップを嵌め付けた印鑑の構成を説明する図で、(a)はその左側面図、(b)はその正面図、(c)はその右側面図である。
【符号の説明】
【0014】
1 印鑑
11 頭部
11a 刻印面
12 持ち手部
12a 装飾体
2 キャップ
20 胴部
20a 孔