(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073419
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】植物育成システム
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20220510BHJP
A01G 9/02 20180101ALI20220510BHJP
【FI】
A01G7/00 603
A01G7/00 601A
A01G9/02 103F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020183389
(22)【出願日】2020-11-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 中部経済新聞の令和2年7月16日付第4面にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】516024578
【氏名又は名称】株式会社オー・エス・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100167690
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 直
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 猛
(72)【発明者】
【氏名】大塚 文雄
【テーマコード(参考)】
2B022
2B327
【Fターム(参考)】
2B022AA01
2B022AA03
2B022DA03
2B327ND20
2B327UB03
2B327UB06
2B327UB15
2B327VA06
2B327VA20
(57)【要約】
【課題】本発明は、人の情報も取り入れながら、楽しく植物育成システムとコミュニケーションを取ることが可能であり、植物の育成にとって必要な要素をできる限り効率よく植物に与えることが可能な植物育成システムを提供することにある。
【解決手段】人及び植物2に関する環境を測定するセンサー50を備えた植物育成システム1であって、植物の育成に必要な光の照度を測定する照度測定センサー54と、植物の育成に必要な水分を測定する水分量測定センサー53と、植物が載置される環境の温度を測定する温度測定センサー52と、人の存在を検知する人検知センサー51と、全ての各センサーの測定データの取得周期を異ならせてデータを取得するコンピュータ20と、備えたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人及び植物に関する環境を測定するセンサーを備えた植物育成システムであって、
前記植物の育成に必要な光の照度を測定する照度測定センサーと、
前記植物の育成に必要な水分を測定する水分量測定センサーと、
前記植物が載置される環境の温度を測定する温度測定センサーと、
人の存在を検知する人検知センサーと、
全ての前記各センサーの測定データの取得周期を異ならせてデータを取得するコンピュータと、
を備えたことを特徴とする植物育成システム。
【請求項2】
前記人検知センサーは、全センサーのうちデータの取得周期を最も短くし、人を検知した際に、前記コンピュータのスリープモードからの復帰を行うことを特徴とする請求項1に記載の植物育成システム。
【請求項3】
人及び植物に関する環境を測定するセンサーを備えた植物育成システムであって、
前記植物の育成に必要な光の照度を測定する照度測定センサーと、
前記植物の育成に必要な光を供給する光源と、
上方を開放し前記植物を収納する容器を載置可能な空間と、
前記植物の育成の妨げとならないように側面の中心からずらした位置に配置し、前記光源からの光を斜め上方から照射する前記光源を収納する光源収納部と、
を備えたことを特徴とする植物育成システム。
【請求項4】
前記光源収納部は、植物育成システムを制御する電子部品を収納し前記空間を形成する筐体を備えた植物育成装置を、人が手で持ち運ぶことが可能な取手部を備えたことを特徴とする請求項3に記載の植物育成システム。
【請求項5】
人や植物を映像若しくは画像により監視が可能なカメラ部と、
前記カメラ部により植物の状態と人の状態とを監視し、その監視の状況から人体に危険な環境又は、人体が危険な状況であることを判定し、人体に危険である若しくは人体に危険を及ぼす環境である場合に、人に周知する周知手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の植物育成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物と人とがあたかもコミュニケーションをとっているようなシステムでありながら、植物や人が居住する環境を測定し、LEDを使用して植物を育成するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から室内で植物を育てるために、太陽光の代わりに消費電力が少ないLEDを使用し、植物を育成することが行われてきている。
その際、植物の生育に欠かせない水分や光等をセンサーで検知して、これらの植物に生育に欠かせない情報を人に知らせるシステムが提案されてきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、植物の鉢1に本体3、温度・湿度センサー4、光センサー5、人体センサー6を取り付けて、温度、湿度、から給水時期を液晶画面に表示及び音声で伝えるようにした。また給水すると返事を返し朝、昼、夜、その時によって色々な言葉を発声し人間が楽しく使用できるようにした考案が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の植物育成システムは、植物の情報を一方的に人に知らせるシステムであり、また人に関する情報を取得するシステムではないために、人がシステムと会話を楽しむような状態ではなかった。
また、従来の植物育成システムでは、植物を育成するための要素は、水分量と温度と照度しかなく、植物を成長させるためにその他の要素を配慮したシステムではなかった。
【0006】
本発明は、人の情報も取り入れながら、楽しく植物育成システムとコミュニケーションを取ることが可能であり、植物の育成にとって必要な要素をできる限り効率よく植物に与えることが可能な植物育成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
人及び植物に関する環境を測定するセンサーを備えた植物育成システムであって、
前記植物の育成に必要な光の照度を測定する照度測定センサーと、
前記植物の育成に必要な水分を測定する水分量測定センサーと、
前記植物が載置される環境の温度を測定する温度測定センサーと、
人の存在を検知する人検知センサーと、
全ての前記各センサーの測定データの取得周期を異ならせてデータを取得するコンピュータと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上の特徴により、本発明は、消費電力を抑えながら、人とのコミュニケーションを迅速に処理することが可能である。また、植物の育成にとって最適なタイミングによって人に知らせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態の植物育成システムの斜視図である。
【
図2】実施形態の植物育成システムの斜視図である。
【
図3】実施形態の植物育成システムの正面図である。
【
図4】実施形態の植物育成システムの側面図である。
【
図5】実施形態の植物育成システムの概要を示すブロック図である。
【
図6】実施形態の植物育成システムの制御を示すフローチャート図である。
【
図7】実施形態の植物育成システムの制御を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明にかかる植物育成システムについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【0011】
図1から
図4を参照し、植物育成装置10を説明する。
図1は、植物育成装置10を使用し、肥料や土等を入れた培養土3を鉢等の容器5に入れて成長させている植物2の様子を示した斜視図である。
図2は、植物2を成長させる初期の植物育成装置10を上方から視た斜視図である。
図3は、植物2を成長させる初期の植物育成装置10を正面から視た正面図である。
図4は、植物育成装置10を使用し、成長させている植物2の様子を側面から視た側面図である。
【0012】
図2に示す植物育成装置10は、培養土3の入った1個又は複数個の容器5を載置することが可能な空間である空間部15を設けた筐体11を形成している。この空間部15は、容器5を入れ、その容器5に水を入れる際に、飛散しても良いように防水が施してある素材で形成し、また上部を開放した箱状を形成している。
【0013】
筐体11は、空間部15に隣接し、後述する電子部品等を収納する電子部品収納部12を、防水を施し形成している。筐体11は、上方であって側面の中心からずらした位置に手を握って植物育成装置10を運ぶことが可能な取手部13を備えている。
【0014】
図1から
図4に示す植物育成装置10は、筐体11の隅に植物2の育成や人の様子を監視する防水仕様のカメラ部40を設けている。カメラ部40は、 防水を施したドーム状の樹脂で、後述するカメラモジュール41(
図5)を覆っている。また、植物育成装置10は、培養土3に挿入した水分量センサー53を設けている。
植物育成装置10は、筐体11の側面に、タッチパネル式等の液晶の表示装置30、スピーカー45、マイクモジュール46、人感センサー51を設けている。照度センサー54は、図示しないが裏面の側面に設けている。
【0015】
図3及び
図4に示す植物育成装置10は、基板にLED等の光源33を搭載したLEDモジュール31を、取手部13に斜めに設置している。
尚、植物育成装置10は、このLEDモジュール31の設置角度を自由に変更可能な調整機構を備えても良く、植物2の成長に合わせて角度の調整を行うことも可能である。
【0016】
図4に示すように、LEDモジュール31の光源33からの光Lは、空間部15に向かい照射している。
この光源33の光源33FRは、赤色のLEDを使用し、波長を735nmとし、光源33Rは、赤色のLEDを使用し、波長を660nmとし、光源33Bは、青色のLEDを使用し、波長を455nmとし、光源33Wは、白色のLEDを使用し、色温度を5000Kとしている。
以上のように波長の異なる光源33を使用することにより、太陽光が届かない室内であっても植物2の成長にとって必要な光を与えることができる。
【0017】
また、植物によっては、発芽時に660μm、735μmのLEDを点灯し、生育時に455μm、660μm、735μmのLEDを点灯し、収穫時には植物の色を見分けるため白色のLEDを点灯させることが可能である。このように植物2の育成の時期に応じて、光源33の波長を変化させることによって、効率的にエネルギーを活用することができる。
尚、光源33は、LEDに限らず、冷陰極管や有機EL等の植物を育てるのに最適な波長を出力する光源であれば良い。
【0018】
図4に示すように、植物育成装置10は、上方であって側面の中心からずらした位置に手を握って植物育成装置10を運ぶことが可能な取手部13を備えている。植物育成装置10は、この取手部13をずらすことによって、植物2が充分に成長可能な空間である空間部15を設けることが可能であるため、植物2の成長を阻害することはなく、路地栽培と同じように植物を自然に成長させることが可能である。
【0019】
図5及び
図6を参照し、植物育成システム1について説明する。植物育成システム1は、人と植物2とのコミュニケーションをするシステムである。
先ず、上述した植物育成装置10を使用し、植物育成システム1の構成について説明する。
図5は、植物育成システム1の概要を示すブロック図である。植物育成システム1は、CPU24、通信モジュール25、I/O23,RAM21及びROM22を搭載したコンピュータ20を備えている。
【0020】
通信モジュール25は、IEEE802.15.1の規格による携帯電話等の携帯情報端末Sと近距離で無線通信を行うモジュールとインターネット回線Eに接続する無線ルータRとIEEE802.11の規格による無線通信を行うモジュールとを備えている。
通信モジュール25は、インターネットを使ったIOTやクラウドによる情報の交換を行うことが可能である。また、通信モジュール25は、携帯情報端末Sとも情報の交換が可能である。携帯情報端末Sは、植物育成システム1からの情報を近距離又はインターネット回線を利用し遠距離であっても取得することが可能である。
【0021】
これにより、携帯情報端末Sは、植物2の監視をする各種センサーからの情報やカメラ部40からの映像の取得により室内と植物の監視を行うことが可能である。
コンピュータ20は、センサー部50、表示装置30、カメラ部40、音声モジュール47、アンプモジュール48、リレー32及び電源部33と接続している。
【0022】
交流の100Vと接続される電源部33は、共有される電力34を直流に変換し、コンピュータ20、センサー部50、音声モジュール47、アンプモジュール48、カメラ部40、表示装置30及びリレー32を介してLEDモジュール31に電力を供給している
【0023】
表示装置30は、タッチパネル式等の液晶表示器を備えており、様々な表示が可能である。尚、表示装置30は、特に液晶表示器に限らず、有機ELディスプレイ、電子ペーパーや導光板に絵や文字を刻んで表示する方法等の情報が表示できる表示装置であれば良い。
【0024】
カメラ部40は、物体から放射される赤外を可視化するカメラモジュール41を搭載し、人や植物2を追尾しながら、人や植物2を監視できるように、カメラモジュール41の拡縮や角度をモータ等により調整することが可能なカメラ駆動部42を備えている。カメラ部40は、カメラモジュール41により、人、室内及び植物2の温度を測定できるため熱中症の警告や植物の温度管理等に利用が可能である。
カメラ部40は、カメラ部40又はコンピュータ20に内蔵の記憶媒体に、映像又は画像の記憶も可能であり、ライブ中継等も可能である。
【0025】
音声モジュール47はスピーカー45と接続し、コンピュータ20から送信されるテキストデータを音声に変化する機能やスピーカー45の増幅器の機能を備えている。
アンプモジュール48は、マイクモジュール46と接続し、マイクモジュール46により拾った音のデータの形式を変換し、その変換されたデータをコンピュータ20に送信してい。
スピーカー45及びマイクモジュール46を使用し、コンピュータ20は、インターネットEを介し、人とクラウド上のAIとの会話も可能である。
【0026】
センサー部50は、赤外線や超音波等を利用し人を検知する人感センサー51を備えている。またセンサー部50は、室内の温度や湿度を測定することが可能な温湿度センサー52を備えている。またセンサー部50は、上述した培養土3の水分量を測定することが可能な水分量センサー53を備えている。更に、センサー部50は、室内の環境に応じてLEDモジュールの点灯及び消灯を制御するために、室内の照度を測定することが可能な照度センサー54を備えている。
【0027】
(メイン制御)
次に、上述した植物育成装置10を使用し、植物育成システム1の制御について説明する。
図6は、主に上述した植物育成装置10を制御する際のフローチャート図である。
植物育成制御S1は、先ず初期設定を行った(S3)後に、先ず温湿度センサーのデータを取得してから60分を経過しているか否かを判定する(S5)。60分を経過している場合には(S5のYES)、コンピュータ20は、温湿度センサー52からデータを取得する(S7)。
【0028】
そして、取得したデータが25℃以上である場合には(S9のYES)、コンピュータ20は、スピーカー45から「暑い」との音声出力を行い(S13)、表示装置30に暑そうな顔をした絵や文字等の表示出力を行う(S15)。
また、取得したデータが10℃以下である場合には(S11のYES)、コンピュータ20は、スピーカー45から「寒い」との音声出力を行い(S13)、表示装置30に寒そうな顔をした絵や文字等の表示出力を行い(S15)、制御の最初に戻る(RET)。
【0029】
尚、温湿度センサーの温度の設定値は、表示装置30のタッチパネル方式の場合にはモニター上によって、またボリューム抵抗等の調整によって設定変更することが可能である。
本実施例では、温度範囲の設定を植物2をほうれん草の場合を示しているが、ミニキャロットは、10℃から30℃、レタスの温度範囲の設定は、10℃から25℃、プチトマトの温度範囲の設定は、15℃から35℃が最も良く、実際の栽培範囲より±5℃広げた数値で設定を行った。この±5のマージンによって、人にとって室内で過ごすのに快適な温度に近くすることが可能であり、室内での植物2の成長に良い値となる。
【0030】
取得したデータが25℃より小さく及び10℃より大きい場合である場合には(S9のNO、S11のNO)、制御の最初に戻る(RET)。以上の制御により、人と植物2とのコミュニケーションをあたかも取っているように見せることが可能であり、室内の温度の監視が可能である。この制御により、人及び植物2における温度管理が可能となる。
尚、温度の上限下限の設定値は、熱中症の警告温度や育成する植物2にとっての必要とする温度等によって定められ、設定値は適宜変更が可能である。
【0031】
また、温湿度センサー52のデータを取得してから60分の経過しておらず、照度センサー54のデータを取得してから10分を経過してる場合には(S5のNO、S17のYES)、コンピュータ20は、照度センサー54からデータを取得する(S21)。
【0032】
照度センサー54が規定されている照度以下の場合には(S23のYES)、コンピュータ20は、スピーカー45から「暗い」等の音声出力を行い(S27)、また同時にリレーRYに点灯出力を行い(S29)、LEDモジュール31を点灯し、制御の最初に戻る(RET)。以上の制御により、人と植物2とのコミュニケーションをあたかも取っているように見せることが可能であり、植物2における照度の監視が可能である。
【0033】
照度センサー54が規定されている照度以上の場合には(S23のNO)、コンピュータ20は、リレーRYに消灯出力を行い(S25)、LEDモジュール31を消灯し、制御の最初に戻る(RET)。
【0034】
また、照度センサー54のデータを取得してから10分を経過しておらず、水分量センサー53のデータを取得してから2分を経過してる場合には(S17のNO、S31のYES)、コンピュータ20は、水分量センサー53からデータを取得する(S32)。
【0035】
水分量センサー53が規定されている水分量以下の場合には(S33のYES)、コンピュータ20は、スピーカー45から「喉が渇いた」等の音声出力を行い(S35)、表示装置30に喉が渇いたような顔をした絵や文字等の表示出力を行い(S36)、制御の最初に戻る(RET)。以上の制御により、人と植物2とのコミュニケーションをあたかも取っているように見せることが可能であり、植物2における水分量の監視が可能である。
また、水分量センサー53が規定されている水分量以上の場合には(S33のNO)、コンピュータ20は、制御の最初に戻る(RET)。
【0036】
次に、水分量センサー53のデータを取得してから2分を経過しておらず、人感センサー51のデータを取得してから1分を経過してる場合には(S31のNO、S41のYES)、コンピュータ20は、人感センサー51からデータを取得する(S42)。
【0037】
人感センサー51が人を検知している場合には(S43のYES)、コンピュータ20は、スリープモードから復帰し(S47)、表示装置30に「今日は」等の挨拶の表示出力を行い(S49)、制御の最初に戻る(RET)。
【0038】
また、このときコンピュータ20は、各種センサーが植物2の育成に必要なデータを記憶しておき、植物2の育成にとって良い条件が揃っている場合に、表示装置30に緑の背景に笑顔を表示する処理を行う。また、このときコンピュータ20は、各種センサーが植物2の育成に必要なデータを記憶しておき、植物2の育成にとって悪い条件が1つでもある場合に、表示装置30に赤の背景に泣き顔を表示する処理を行う。
【0039】
また、人感センサー51が人を検知していない場合には(S43のNO)、コンピュータ20は、スリープモードに移行し(S45)、制御の最初に戻る(RET)。
更に、人感センサー51のデータを取得してから1分を経過していない場合には(S41のNO)、コンピュータ20は、制御の最初に戻る(RET)。
以上の制御により、消費電力を抑えながら、人とのコミュニケーションを迅速に処理することが可能である。
【0040】
(熱中症警告制御)
次に、
図7を参照し、上述した温湿度センサー52、照度センサー54、水分量センサー53及びカメラ部40を用いて熱中症の予防を警告又は注意喚起を行う熱中症警告制御(S50)について説明する。
【0041】
先ず、各種センサーやカメラ部40からデータを取得する(S51)。取得したデータに基づいて、コンピュータ20は、水分量が規定値以上であってカメラ部40により撮像した植物2の葉や茎の様子がしおれている場合には(S53のYES)、カメラ部40のサーマルカメラによって測定した人の体温が規定値以上である場合には(S55のYES)、表示装置30に警告表示を行いまたスピーカー45から警告音を発生させ、その熱中症にかかっていそうな対象人物や周りの人に周知をする(S63)。また、カメラ部40のサーマルカメラによって測定した人の体温が規定値以下である場合には(S55のYES)、表示装置30に注意喚起の表示を行いまたスピーカー45から注意喚起の音を発生させ、周りの人に周知をする(S65)。
【0042】
水分量が規定値以上ではない若しくはカメラ部40により撮像した植物2の葉や茎の様子がしおれていない場合には(S53のNO)、コンピュータ20は、照度が規定値以上である場合には(S57のYES)、規定値以上の時間を積算する(S59)。積算した時間が規定値以上である場合であって(S61のYES)、カメラ部40のサーマルカメラによって測定した人の体温が規定値以上である場合には(S55のYES)、表示装置30に警告表示を行いまたスピーカー45から警告音を発生させ、その熱中症にかかっていそうな対象人物や周りの人に周知をする(S63)。また、カメラ部40のサーマルカメラによって測定した人の体温が規定値以下である場合には(S55のYES)、表示装置30に注意喚起の表示を行いまたスピーカー45から注意喚起の音を発生させ、周りの人に周知をする(S65)。
【0043】
また、照度が規定値以下(S57のNO)又は積算した時間が規定値以下である場合には(S61のNO)、温度が28℃以上及び湿度が50%以上であって(S62のYES)、カメラ部40のサーマルカメラによって測定した人の体温が規定値以上である場合には(S55のYES)、表示装置30に警告表示を行いまたスピーカー45から警告音を発生させ、その熱中症にかかっていそうな対象人物や周りの人に周知をする(S63)。また、カメラ部40のサーマルカメラによって測定した人の体温が規定値以下である場合には(S55のYES)、表示装置30に注意喚起の表示を行いまたスピーカー45から注意喚起の音を発生させ、周りの人に周知をする(S65)。
【0044】
以上のシステムにより、植物育成システム1は、いち早くその熱中症にかかっていそうな対象人物や周りの人に、熱中症に掛かっているか若しくは環境が危険な状態であることを知らせることが可能である。
【0045】
尚、植物育成システム1は、人感センサー51又はカメラ部40によって所定期間内に人の検出がされなかった場合には、他の室内等で不測の事態になっていないかを他の人に知らせるために、インターネットを経由しEメール又は携帯電話の専用のアプリケーション等へ、人の存在が確認されていないという注意喚起を促す通知を、予め定められた人に対して行っても良い。
【0046】
また、植物育成装置10は、いちご等の果物、ほうれん草やレタス等の根菜類、盆栽及びサボテン等のあらゆる植物2の育成が可能である。
【0047】
(技術的特徴)
以下に本実施形態の技術的特徴点の一例を括弧に内に示すが、特に限定するものでもなく例示しているものであり、これら特徴から考えられる効果についても記載する。
【0048】
<第1の特徴点>
人及び植物(例えば、主に植物2)に関する環境を測定するセンサー(例えば、主にセンサー部50)を備えた植物育成システム(例えば、植物育成システム1)であって、
前記植物の育成に必要な光の照度を測定する照度測定センサー(例えば、主に照度測定センサー54)と、
前記植物の育成に必要な水分を測定する水分量測定センサー(例えば、主に水分量測定センサー53)と、
前記植物が載置される環境の温度を測定する温度測定センサー(例えば、主に温湿度センサー52)と、
人の存在を検知する人検知センサー(例えば、主に人感センサー51、カメラ部40)と、
全ての前記各センサーの測定データの取得周期を異ならせてデータを取得するコンピュータ(例えば、主にコンピュータ20)と、
を備えたことを特徴とする。
【0049】
以上の特徴により、本発明は、消費電力を抑えながら、人とのコミュニケーションを迅速に処理することが可能である。また、植物の育成にとって最適なタイミングによって人に知らせることも可能である。
【0050】
<第2の特徴点>
前記人検知センサーは、全センサーのうちデータの取得周期を最も短くし、人を検知した際に、前記コンピュータのスリープモードからの復帰を行う((例えば、主にS43からS49の処理)ことを特徴とする。
【0051】
以上の特徴により、本発明は、消費電力を抑えながら、人とのコミュニケーションを迅速に処理することが可能である。
【0052】
<第3の特徴点>
人及び植物(例えば、主に植物2)に関する環境を測定するセンサー(例えば、主にセンサー部50)を備えた植物育成システム(例えば、主に植物育成システム1)であって、
前記植物の育成に必要な光の照度を測定する照度測定センサー(例えば、主に照度測定センサー54)と、
前記植物の育成に必要な光を供給する光源(例えば、主に光源33)と、
上方を開放し前記植物を収納する容器を載置可能な空間(例えば、主に空間部15)と、
前記植物の育成の妨げとならないように側面の中心からずらした位置に配置し、前記光源からの光を斜め上方から照射する前記光源を収納する光源収納部(例えば、主に取手部13)と、を備えたことを特徴とする。
【0053】
以上の特徴により、本発明は、植物が充分に成長可能な空間である空間を設けることが可能であるため、植物の成長を阻害することはなく、路地栽培と同じように自然に植物を成長させることが可能である。
【0054】
<第4の特徴点>
前記光源収納部は、植物育成システムを制御する電子部品を収納し前記空間を形成する筐体を備えた植物育成装置(例えば、主に植物育成装置10)を、人が手で持ち運ぶことが可能な取手部(例えば、主に取手部13)を備えたことを特徴とする。
以上の特徴により、本発明は、植物育成装置を人が手により自由に移動させることが可能である。そのため、人は室内の何処にでも植物育成装置を持ち運ぶことが可能である。
【0055】
<第5の特徴点>
人や植物(例えば、主に植物2)を映像若しくは画像により監視が可能なカメラ部(例えば、主にカメラ部40)と、
前記カメラ部により植物の状態と人の状態とを監視し、その監視の状況から人体に危険な環境又は、人体が危険な状況であることを判定し、人体に危険である若しくは人体に危険を及ぼす環境である場合に、人に周知する周知手段(例えば、主にS50の処理、表示装置30、スピーカー45)と、を備えたことを特徴とする。
【0056】
以上の特徴により、本発明は、人とのコミュニケーションを迅速に処理することが可能である。また、植物と人にとって危険な状態を最適なタイミングによって人に知らせることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、室内に限らず、植物工場やハウス栽培にも応用が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1…植物育成システム、2…植物、3…培養土、5…容器、10…植物育成装置、
11…筐体、12…電子部品収納部、13…取手部、15…空間部、
20…コンピュータ、RAM…21、ROM…22、I/O…23、CPU…24、
25…通信モジュール、30…表示装置、31…LEDモジュール、32…リレー、
33、33FR、33R、33B、33W…光源、34…電力、40…カメラ部、
41…カメラモジュール、42…カメラ駆動部、45…スピーカー、
46…マイクモジュール、47…音声モジュール、48…アンプモジュール、
50…センサー部、51…人感センサー、52…温湿度センサー、53…水分量センサー、54…照度センサー。