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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073472
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】材料鋼材マーキング設備
(51)【国際特許分類】
   B21C 51/00 20060101AFI20220510BHJP
   B25H 7/04 20060101ALI20220510BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20220510BHJP
   B21B 39/00 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
B21C51/00 B
B25H7/04 Z
G05B19/418 Z
B21B39/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020183471
(22)【出願日】2020-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】518279886
【氏名又は名称】株式会社永井製作所
(71)【出願人】
【識別番号】591175985
【氏名又は名称】株式会社スノウチ
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【弁理士】
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100086265
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100076451
【弁理士】
【氏名又は名称】三嶋 景治
(72)【発明者】
【氏名】板谷 俊臣
(72)【発明者】
【氏名】栃原 諭
(72)【発明者】
【氏名】原 章
【テーマコード(参考)】
3C100
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100BB05
3C100BB15
3C100BB33
3C100DD04
3C100DD22
3C100DD32
3C100DD33
3C100DD35
3C100EE10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】省スペース化を図るとともに、全体としての作業時間の短縮化を図ることができる材料鋼材マーキング設備を提供する。
【解決手段】材料鋼材を搬送しつつ、該材料鋼材に施すべき加工に関連するマークを施す材料鋼材マーキング設備10であって、材料鋼材搬送ライン、搬送ライン制御手段、マーキング装置16、マーキング装置制御手段18、基端検知手段20、材料鋼材移動速度検知手段22、作業指示端末、基準マーキング内容情報データ作成手段、および補正マーキング内容座標情報データ作成手段を備え、前記マーキング装置は、前記補正マーキング内容座標情報データ作成手段から前記補正マーキング内容座標情報データを受け、このデータに基づき、移動しつつある前記材料鋼材に対して、実際のマーキングを行うようになっていることを特徴とする材料鋼材マーキング設備。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料鋼材を搬送しつつ、該材料鋼材に施すべき加工に関連するマークを施す材料鋼材マーキング設備であって、
材料鋼材を搬送する材料鋼材搬送ラインと、
この材料鋼材搬送ラインの作動のオン・オフ、搬送速度を制御する搬送ライン制御手段、
前記材料鋼材搬送ラインに沿って設置され、この材料鋼材搬送ラインにより搬送されつつある材料鋼材に対して、マーキングを行うマーキング装置、
このマーキング装置の作動を制御するマーキング装置制御手段、
該材料鋼材マーキング設備に搬送されて来た材料鋼材の基端を検知し、この基端を示す基端データを作成し、この基端データの内容を示す基端データ信号を送信する基端検知手段、
前記材料鋼材搬送ラインで搬送されつつある材料鋼材の実際の移動速度をリアルタイムで検知し、この実際の移動速度を示すリアルタイム移動速度信号を送信する材料鋼材移動速度検知手段、
作業指示者が、製造すべき製品鋼材または構造物である目的物を、その属性を示す目的物属性情報データによって指示する作業指示端末、
この作業指示端末に接続され、該作業指示端末から送信された目的物属性情報データ、および前記基端検知手段に接続され、該基端検知手段から送信された基端データに基づき、搬送されつつある材料鋼材に施すべきマーキング内容を決定するとともに、そのマーキング内容を座標化し、基準マーキング内容座標情報データを作成し、これを前記マーキング装置制御手段に送信する基準マーキング内容情報データ作成手段、および
この基準マーキング内容情報データ作成手段および材料鋼材移動速度検知手段に接続され、受信した基準マーキング内容座標情報データを、受信したリアルタイム移動速度信号に基づき、前記材料鋼材の移動によって生じた、実際のマーキング座標と前記基準マーキング内容座標情報データが示す座標からのずれを補正して、補正マーキング内容座標情報データを作成する補正マーキング内容座標情報データ作成手段
を備え、
前記マーキング装置は、前記補正マーキング内容座標情報データ作成手段から前記補正マーキング内容座標情報データを受け、このデータに基づき、移動しつつある前記材料鋼材に対して、実際のマーキングを行うようになっていることを特徴とする材料鋼材マーキング設備。
【請求項2】
前記補正マーキング内容座標情報データ作成手段24は、刻々変化する補正マーキング内容座標情報データを、前記基準マーキング内容座標情報データもしくは前回の補正マーキング内容座標情報データに基づき作成する請求項1の材料鋼材マーキング設備。
【請求項3】
前記マークが、前記材料鋼材に施すべき切断加工のためのマーク、穿孔加工のためのマーク、および部品の取付のためのマークのうち、少なくとも部品の取付のためのマークである請求項1または2の材料鋼材マーキング設備。
【請求項4】
前記部品の取付のためのマークが、その部品の取り付け位置を示す位置マークと、その近傍に配置され、当該部品の属性を示す属性マークから構成される請求項1~3のいずれかの材料鋼材マーキング設備。
【請求項5】
前記属性マークが、QRコード(登録商標)によって示される請求項4の材料鋼材マーキング設備。
【請求項6】
前記マーキング装置が、3軸以上の多軸マーキングロボットである請求項1~5のいずれかの材料鋼材マーキング設備。
【請求項7】
前記マーキング装置が、複数台の多軸マーキングロボットである請求項1~5のいずれかの材料鋼材マーキング設備。
【請求項8】
前記マーキング機制御手段は、受信したマーキング内容情報データに基づき、各マーキングロボットがなすべきマーキング作業内容を決定して、個別マーキング内容情報データを作成し、この個別マーキング内容情報データにより個々のマーキングロボットを制御して前記材料鋼材に対して、実際のマーキングを行うようになっている請求項7の材料鋼材マーキング設備。
【請求項9】
前記マーキング機によるマーキングがインクジェットによる行われる請求項1~8のいずれかの材料鋼材マーキング設備。
【請求項10】
前記マーキング内容情報データ作成手段は、少なくともJISG3192:2014の熱間圧延形鋼の規格に準拠した材料鋼材の3Dモデルデータを記憶した記憶手段を備えており、材料鋼材に施すべき前記マーキング内容を決定する際であって、前記作業指示端末からの目的物属性情報データ内に、材料鋼材の3Dモデルデータのいずれかが省略されている時、当該記憶手段に記憶された前記3Dモデルデータ中の該当データをも使用して前記マーキング内容を決定するようになっている請求項1~9のいずれかの材料鋼材マーキング設備。
【請求項11】
前記材料鋼材搬送ラインが、ローラコンベアで構成されている請求項1~10のいずれかの材料鋼材マーキング設備。
【請求項12】
前記ローラコンベアを構成する複数の搬送ローラのうち、少なくとも1組の隣り合った2本の搬送ローラの間隔が、マーキング装置がローラコンベアの下側から材料鋼材に対してマーキング作業を行うに十分な幅を有している請求項11の材料鋼材マーキング設備。
【請求項13】
前記材料鋼材が、前記材料鋼材マーキング設備の下流側に連続して配置された前工程処理設備で処理された処理済み材料鋼材である請求項1~12のいずれかの材料鋼材マーキング設備。
【請求項14】
前記前工程処理設備は、
材料鋼材を搬送する前工程材料鋼材搬送ラインと、
この前工程材料鋼材搬送ラインの作動のオン・オフ、搬送速度を制御する前工程搬送ライン制御手段と、
前記前工程材料鋼材搬送ラインに沿って設置され、この前工程材料鋼材搬送ラインにより搬送されつつある材料鋼材に対して、前工程処理を行う前工程処理装置と、
この前工程処理装置の作動を制御する前工程処理装置制御手段と、
前記マーキング内容情報データ作成手段に接続され、該マーキング内容情報データ作成手段から送信された基準マーキング内容座標情報データに基づき、材料鋼材の搬送速度を決定し、搬送速度データを作成し、これを前記前工程搬送ライン制御手段および前記材料鋼材マーキング設備の搬送ライン制御手段に送信する搬送速度データ作成手段と、
を備え、
前記前工程搬送ライン制御手段と、前記材料鋼材マーキング設備の搬送ライン制御手段は、受信した搬送速度データに基づき、前記前工程搬送ラインを前記搬送速度データが示す搬送速度で作動させるとともに、前記材料鋼材マーキング設備の搬送ラインを、前記搬送速度データが示す搬送速度で作動させ、前記前工程搬送ラインと前記材料鋼材マーキング設備の搬送ラインの作動を同期させるようになっている請求項13の材料鋼材マーキング設備。
【請求項15】
前記搬送速度データ作成手段は、前記マーキング内容情報データ作成手段から送信された基準マーキング内容座標情報データが示すマーキング量が、前記マーキング装置の限界処理負荷を超えたとき、0の搬送速度データを、前記前工程搬送ライン制御手段および前記材料鋼材マーキング設備の搬送ライン制御手段、前工程処理装置にそれぞれ送信するようになっている請求項14の材料鋼材マーキング設備。
【請求項16】
前記マーキング装置制御手段は、前記マーキング装置の作動が停止したとき、マーキング装置不作動情報信号を、前記材料鋼材搬送ライン制御手段、前記前工程搬送ライン制御手段、および前記前工程処理装置制御手段に送信し、前記マーキング装置、前工程搬送ライン、および前工程処理装置を停止するようになっている請求項13~15のいいずれかの材料鋼材マーキング設備。
【請求項17】
前記前工程処理設備は、前記材料鋼材の黒皮除去のためのショットブラスト機を備える請求項13~16のいずれかの材料鋼材マーキング設備。
【請求項18】
前記前工程処理設備上流端と該マーキング設備の下流端との距離が、JISG3192に定められた形鋼の標準長さの最短長さである6m以内である請求項13~17のいずれかの材料鋼材マーキング設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料鋼材マーキング設備に関し、更に詳細には、例えば、熱間圧延により製造された材料鋼材の黒皮除去作業に連続してマーキング作業を行うことができる材料鋼材マーキング設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋼構造物の主要部材である鋼材は、熱間圧延により製造された材料鋼材を、必要に応じて、その表面に存在する黒皮(ミルスケール)をショットブラスト等により除去する黒皮除去作業を行った後、所定の長さに切断して形成される。
【0003】
また、例えば、特開平11-033935号公報に記載されているように、フレーム構造物の一種である鉄鋼構造物の組み立あるいはそれに対する部品の取付に当たっては、罫書作業が予め行われている。
【0004】
例えば、構造部材であるH形鋼に、部品であるガセットプレートを溶接取付する際、H形鋼上のその取付位置を指示するため、罫書標識が施される(マーキング)。
【0005】
このような罫書作業を行う装置としては、例えば、特開2017-94454号公報に開示されたマーキング作業用自走装置が知られている。
【0006】
この特開2017-94454号公報に開示されたマーキング作業用自走装置は、マーキング作業対象物の長手方向に沿って自走する自走装置と、前記自走装置に設けられるマーキング装置と、前記マーキング装置の作動を制御する制御装置とを備え、前記マーキング装置は、前記自走装置の自走方向に交差する交差方向におけるマーキング作業対象物の任意位置に印刷する構成とされ、前記制御装置は、前記自走装置の自走位置に応じて前記マーキング装置によるマークの印刷を制御する構成となってる。
【0007】
また、この公報によれば、「当該マーキング作業用自走装置によれば、自走装置の自走方向に交差する交差方向におけるマーキング作業対象物の任意位置に印刷するマーキング装置と、自走装置の自走位置に応じてマーキング装置によるマークの印刷を制御する制御装置とを備えるため、自走装置の自走においてマーキング装置によるマーク印刷を行える。これにより、マーキング作業対象物に対し、直線状のマークに限らず、曲線状のマークや、記号・符号・文字・しるし・標章・図案等の各種マークのマーキング作業を行うことができる。前記マーキング装置は、インクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドを前記交差方向に往復動する往復動機構とを備えることが好ましい。
このような構成によれば、往復動機構によってインクジェットヘッドを自走装置の自走
方向に交差する交差方向における任意位置まで移動でき、当該移動と自走装置の自走とに
よって各種マークのマーキング作業を行うことができる。」としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11-033935号公報
【特許文献2】特開2017-94454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記のマーキング作業用自走装置によれば、種々のマーキングを、人手を大幅に削減して行うことができ、非常に経済的である。
【0010】
ところで、上記の材料鋼材(前記公報では、作業(マーキング)対象物)を製品鋼材とするには、黒皮除去、穿孔等の加工、取り付けられるべき部品の取付位置等を示す罫書き(マーキング)、部品の実際の取付(溶接等)のような各加工(作業)を施す必要がある。
【0011】
しかし、現在のところ、この分野(材料鋼材を製品鋼材にする技術分野)においては、各加工(作業)が独立して行われており、従って、各加工を行うステーションには、それぞれ、材料鋼材のための搬入ライン(コンベア)および搬出ラインが必要であった。
材料鋼材の長さは、上記JIS G 319によれば、鋼材の最長は、13mで、搬入、搬出ライン(特に搬出ライン)は、それ以上の長さが必要であった。
【0012】
そこで本発明は、前工程の搬出ラインの少なくとも一部を、搬入ライン、処理作業ラインとし、しかもその処理作業ラインでの材料鋼材の移送動作を、マーキング装置の作動の一部として取り入れることにより、省スペース化を図るとともに、搬送しながらマーキング作業を行うことにより、全体としての作業時間の短縮化を図ることができる材料鋼材マーキング設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題は、下記(1)~(18)の構成の本発明による材料鋼材マーキング設備により達成される。
(1)
材料鋼材を搬送しつつ、該材料鋼材に施すべき加工に関連するマークを施す材料鋼材マーキング設備であって、
材料鋼材を搬送する材料鋼材搬送ラインと、
この材料鋼材搬送ラインの作動のオン・オフ、搬送速度を制御する搬送ライン制御手段、
前記材料鋼材搬送ラインに沿って設置され、この材料鋼材搬送ラインにより搬送されつつある材料鋼材に対して、マーキングを行うマーキング装置、
このマーキング装置の作動を制御するマーキング装置制御手段、
該材料鋼材マーキング設備に搬送されて来た材料鋼材の基端を検知し、この基端を示す基端データを作成し、この基端データの内容を示す基端データ信号を送信する基端検知手段、
前記材料鋼材搬送ラインで搬送されつつある材料鋼材の実際の移動速度をリアルタイムで検知し、この実際の移動速度を示すリアルタイム移動速度信号を送信する材料鋼材移動速度検知手段、
作業指示者が、製造すべき製品鋼材または構造物である目的物を、その属性を示す目的物属性情報データによって指示する作業指示端末、
この作業指示端末に接続され、該作業指示端末から送信された目的物属性情報データ、および前記基端検知手段に接続され、該基端検知手段から送信された基端データに基づき、搬送されつつある材料鋼材に施すべきマーキング内容を決定するとともに、そのマーキング内容を座標化し、基準マーキング内容座標情報データを作成し、これを前記マーキング装置制御手段に送信する基準マーキング内容情報データ作成手段、および
この基準マーキング内容情報データ作成手段および材料鋼材移動速度検知手段に接続され、受信した基準マーキング内容座標情報データを、受信したリアルタイム移動速度信号に基づき、前記材料鋼材の移動によって生じた、実際のマーキング座標と前記基準マーキング内容座標情報データが示す座標からのずれを補正して、補正マーキング内容座標情報データを作成する補正マーキング内容座標情報データ作成手段
を備え、
前記マーキング装置は、前記補正マーキング内容座標情報データ作成手段から前記補正マーキング内容座標情報データを受け、このデータに基づき、移動しつつある前記材料鋼材に対して、実際のマーキングを行うようになっていることを特徴とする材料鋼材マーキング設備。
(2)
前記補正マーキング内容座標情報データ作成手段24は、刻々変化する補正マーキング内容座標情報データを、前記基準マーキング内容座標情報データもしくは前回の補正マーキング内容座標情報データに基づき作成する前記(1)の材料鋼材マーキング設備。
(3)
前記マークが、前記材料鋼材に施すべき切断加工のためのマーク、穿孔加工のためのマーク、および部品の取付のためのマークのうち、少なくとも部品の取付のためのマークである前記(1)または(2)の材料鋼材マーキング設備。
(4)
前記部品の取付のためのマークが、その部品の取り付け位置を示す位置マークと、その近傍に配置され、当該部品の属性を示す属性マークから構成される前記(1)~(3)のいずれかの材料鋼材マーキング設備。
(5)
前記属性マークが、QRコード(登録商標)によって示される前記(4)の材料鋼材マーキング設備。
(6)
前記マーキング装置が、3軸以上の多軸マーキングロボットである前記(1)~(5)のいずれかの材料鋼材マーキング設備。
(7)
前記マーキング装置が、複数台の多軸マーキングロボットである前記(1)~(5)のいずれかの材料鋼材マーキング設備。
(8)
前記マーキング機制御手段は、受信したマーキング内容情報データに基づき、各マーキングロボットがなすべきマーキング作業内容を決定して、個別マーキング内容情報データを作成し、この個別マーキング内容情報データにより個々のマーキングロボットを制御して前記材料鋼材に対して、実際のマーキングを行うようになっている前記(7)の材料鋼材マーキング設備。
(9)
前記マーキング機によるマーキングがインクジェットによる行われる前記(1)~(8)のいずれかの材料鋼材マーキング設備。
(10)
前記マーキング内容情報データ作成手段は、少なくともJISG3192:2014の熱間圧延形鋼の規格に準拠した材料鋼材の3Dモデルデータを記憶した記憶手段を備えており、材料鋼材に施すべき前記マーキング内容を決定する際であって、前記作業指示端末からの目的物属性情報データ内に、材料鋼材の3Dモデルデータのいずれかが省略されている時、当該記憶手段に記憶された前記3Dモデルデータ中の該当データをも使用して前記マーキング内容を決定するようになっている前記(1)~(9)のいずれかの材料鋼材マーキング設備。
(11)
前記材料鋼材搬送ラインが、ローラコンベアで構成されている前記(1)~(10)のいずれかの材料鋼材マーキング設備。
(12)
前記ローラコンベアを構成する複数の搬送ローラのうち、少なくとも1組の隣り合った2本の搬送ローラの間隔が、マーキング装置がローラコンベアの下側から材料鋼材に対してマーキング作業を行うに十分な幅を有している前記(11)の材料鋼材マーキング設備。
(13)
前記材料鋼材が、前記材料鋼材マーキング設備の下流側に連続して配置された前工程処理設備で処理された処理済み材料鋼材である前記(1)~(12)のいずれかの材料鋼材マーキング設備。
(14)
前記前工程処理設備は、
材料鋼材を搬送する前工程材料鋼材搬送ラインと、
この前工程材料鋼材搬送ラインの作動のオン・オフ、搬送速度を制御する前工程搬送ライン制御手段と、
前記前工程材料鋼材搬送ラインに沿って設置され、この前工程材料鋼材搬送ラインにより搬送されつつある材料鋼材に対して、前工程処理を行う前工程処理装置と、
この前工程処理装置の作動を制御する前工程処理装置制御手段と、
前記マーキング内容情報データ作成手段に接続され、該マーキング内容情報データ作成手段から送信された基準マーキング内容座標情報データに基づき、材料鋼材の搬送速度を決定し、搬送速度データを作成し、これを前記前工程搬送ライン制御手段および前記材料鋼材マーキング設備の搬送ライン制御手段に送信する搬送速度データ作成手段と、
を備え、
前記前工程搬送ライン制御手段と、前記材料鋼材マーキング設備の搬送ライン制御手段は、受信した搬送速度データに基づき、前記前工程搬送ラインを前記搬送速度データが示す搬送速度で作動させるとともに、前記材料鋼材マーキング設備の搬送ラインを、前記搬送速度データが示す搬送速度で作動させ、前記前工程搬送ラインと前記材料鋼材マーキング設備の搬送ラインの作動を同期させるようになっている前記(13)の材料鋼材マーキング設備。
(15)
前記搬送速度データ作成手段は、前記マーキング内容情報データ作成手段から送信された基準マーキング内容座標情報データが示すマーキング量が、前記マーキング装置の限界処理負荷を超えたとき、0の搬送速度データを、前記前工程搬送ライン制御手段および前記材料鋼材マーキング設備の搬送ライン制御手段、前工程処理装置にそれぞれ送信するようになっている前記(14)の材料鋼材マーキング設備。
(16)
前記マーキング装置制御手段は、前記マーキング装置の作動が停止したとき、マーキング装置不作動情報信号を、前記材料鋼材搬送ライン制御手段、前記前工程搬送ライン制御手段、および前記前工程処理装置制御手段に送信し、前記マーキング装置、前工程搬送ライン、および前工程処理装置を停止するようになっている前記(13)~(15)のいいずれかの材料鋼材マーキング設備。
(17)
前記前工程処理設備は、前記材料鋼材の黒皮除去のためのショットブラスト機を備える前記(13)~(16)のいずれかの材料鋼材マーキング設備。
(18)
前記前工程処理設備上流端と該マーキング設備の下流端との距離が、JISG3192に定められた形鋼の標準長さの最短長さである6m以内である前記(13)~(17)のいずれかの材料鋼材マーキング設備。
【発明の効果】
【0014】
本発明の材料鋼材マーキング設備によれば、材料鋼材を搬送しつつ(移動中に)マーキングを行うことができるので、前工程の搬出ラインの少なくとも一部を、その搬入ラインとして用いることができ、また、マーキング時における搬送ラインとしても用いることができるので、搬入およびマーキングのための必要スペースを大幅に削減でき、また材料鋼材を停止した状態で行うのではないので、マーキング・搬出時間の大幅短縮を図ることができる。換言すれば、マーキング作業における搬送が、次の工程への搬出ともなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の態様による材料鋼材マーキング設備を組み込んだ作業ラインの一例を示す示す概略図である。
図2】製品鋼材の構造の一例を示す斜視図である。
図3図2に示した製品鋼材を組み立てるために必要なマーキングの例を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態による材料鋼材マーキング設備10を組み込んだ作業ラインについて説明する。
本材料鋼材マーキング設備のマーキングにより施されるマークとしては、前記材料鋼材に施すべき切断加工のためのマーク、穿孔加工のためのマーク、および部品の取付のためのマークのうち、少なくとも部品の取付のためのマークである。なお、前記材料鋼材に施すべき切断加工のためのマーク、穿孔加工のためのマークは、実際には材料鋼材にマーキングされずデータのみが作成される場合がある。
ここで、切断加工のためのマークとは、熱間圧延された長尺鋼材を、製品鋼材に直接使用する材料鋼材の長さに切断する際の基準となる罫書き線、穿孔加工のためのマークとは、例えば、材料鋼材に、部品である添接坂を取り付ける際のボルト穴を穿孔する際の基準となる罫書き線、そして、部品の取付のためのマークとは、材料鋼材に部品を取り付ける際に使用する取付位置を示すマークである罫書き線、およびその近傍に配置され、当該部品の属性を示す属性マークから構成される。前記属性マークは、QRコード(登録商標)によって示されるこが好ましい。
そして、前記構造部材としては、例えば、形鋼、角形鋼管、円形鋼管を挙げることができ、前記部品としては、例えば、構造部材に取り付けられる部品である取付プレートの代表例であるガセットプレート、下地プレート、スプライスプレートが挙げられる。
前記形鋼としては、その代表的な例であるH形鋼の他、I形鋼、T形鋼、山形鋼、溝形鋼等が挙げられる。前記取付プレートとしては、前記ガセットプレート、下地プレート、スプライスプレートの他、リブプレ-ト、ダブラープレ-ト、捨てプレ-ト、受けプレ-ト、スプライスプレ-ト等が挙げられる。前記部品としては、これら取付プレートの他、形鋼の場合もある。
【0017】
本材料鋼材マーキング設備10は、材料鋼材Wを搬送しつつ、該材料鋼材に施すべき加工に関連するマークを施す材料鋼材マーキング設備であって、
マーキング設備10を総合的に制御するマーキング設備制御手段12、
材料鋼材を搬送するマーキング設備搬送ラインL1、
この材料鋼材搬送ラインL1の作動のオン・オフ、搬送速度を制御するマーキング設備搬送ライン制御手段14、
前記材料鋼材搬送ラインに沿って設置され、この材料鋼材搬送ラインにより搬送されつつある材料鋼材に対して、マーキングを行うマーキング装置16、
このマーキング装置の作動を制御するマーキング装置制御手段18、
該材料鋼材マーキング設備に搬送されて来た材料鋼材の基端(先端)を検知し、この基端を示す基端データを作成する基端検知手段20、
前記マーキング設備搬送ライン12で搬送されつつある材料鋼材の実際の移動速度をリアルタイムで検知し、この実際の移動速度を示すリアルタイム移動速度信号を送信する材料鋼材移動速度検知手段22、
作業指示者が、製造すべき製品鋼材または構造物である目的物を、その属性を示す目的物属性情報データによって指示する作業指示端末T、および
この作業指示端末に接続され、各種演算処理と、一時的なデータの記憶を行う中央処理ユニット(CPU)50を備えている。
【0018】
前記中央処理ユニット50は、前記作業指示端末Tから送信された目的物属性情報データ、および前記基端検知手段20に接続され、該基端検知手段から送信された基端データに基づき、搬送されつつある材料鋼材に施すべきマーキング内容を決定するとともに、そのマーキング内容を座標化し、基準マーキング内容座標情報データを作成し、これを前記マーキング装置制御手段18に送信する基準マーキング内容情報データ作成手段52を備えている。
前記中央処理ユニット50は、更に、基準マーキング内容情報データ作成手段52に接続されたマーキング設備搬送ライン速度情報作成手段54を備えている。このマーキング設備搬送ライン速度情報作成手段54は、前記基準マーキング内容情報データ作成手段52からの基準マーキング内容座標情報データを受け、この基準マーキング内容座標情報データから
【0019】
前記マーキング装置制御手段18は、前記基準マーキング内容情報データ作成手段52および材料鋼材移動速度検知手段22に接続され、受信した基準マーキング内容座標情報データを、受信したリアルタイム移動速度信号に基づき、前記材料鋼材Wの移動によって生じた、実際のマーキング座標と前記基準マーキング内容座標情報データが示す座標からのずれを補正して、補正マーキング内容座標情報データを作成する補正マーキング内容情報データ作成手段24を備えている。
【0020】
前記マーキング装置制御手段18は、前記補正マーキング内容情報データ作成手段24で作成した前記補正マーキング内容座標情報データに基づき、前記マーキング装置16をして、移動しつつある前記材料鋼材Wに対して、実際のマーキングを行うようになっている。
【0021】
前記補正マーキング内容情報データ作成手段24は、刻々変化する補正マーキング内容座標情報データを、前回の補正マーキング内容座標情報データに基づき作成するようになっている。勿論、前記基準マーキング内容情報データ作成手段52で作成した基準マーキング内容座標情報データを、累積位置変化量で補正することにより作成してもよい。
【0022】
前記マーキング装置18は、マーキングの作業性を考えると、複数台のマーキングロボットで構成することが好ましいが、作業内容によっては、1台のマーキングロボットで構成することもできる。図の例では、4台の第1~4マーキングロボット16a,16b,16c,16dで構成したものを示した。これらの第1~4マーキングロボット16a,16b,16c,16dは、それぞれマーキングのためのインクジェット装置を持つマニピュレータを備えていることが好ましい。マーキングのための手段としては、石筆、レーザー等であってもよい。
前記マーキングロボットは、マーキング対象が三次元に亘ることを考えると、3軸以上の多関節多軸ロボットであることが好ましい。
【0023】
前記マーキング装置制御手段18は、前記4台の第1~4マーキングロボット16a,16b,16c,16dのそれぞれを制御する第1~4ロボット作業制御手段18a,18b,18c,18dを備えている。
【0024】
このように、マーキング装置が複数台のマーキングロボットを備えている場合には、前記補正マーキング内容情報データ作成手段24は、前記基準マーキング内容座標情報データを、各マーキングロボットで行うべきマーキング内容に負担分割して、各マーキングロボットのための個別マーキング内容情報データを作成し、それぞれに前記補正をかけて補正個別マーキング内容情報データを作成し、それを前記第1~4ロボット作業制御手段18a,18b,18c,18dに送信するようになっている。前記第1~4ロボット作業制御手段18a,18b,18c,18dは、前記補正個別マーキング内容情報データにより個々のマーキングロボットを制御して前記材料鋼材に対して、実際のマーキングを行うようになっている。
【0025】
前記基準マーキング内容情報データ作成手段52には、少なくともJISG3192:2014の熱間圧延形鋼の規格に準拠した材料鋼材の3Dモデルデータを記憶した鋼材・部品データ記憶手段56が接続されている。この鋼材・部品データ記憶手段56内のデータは、材料鋼材に施すべき前記マーキング内容を決定する際であって、前記作業指示端末Tからの目的物属性情報データ内に、材料鋼材の3Dモデルデータのいずれかが省略されている時、当該記憶手段に記憶された前記3Dモデルデータ中の該当データをも使用して前記マーキング内容を決定する。その意味では、この鋼材・部品データ記憶手段56には、材料鋼材に取り付けられる部品(規格にあるもの、または過去に使用したもの)の3Dモデルデータも記憶していることが好ましい。その意味で、この鋼材・部品データ記憶手段56に記憶されたデータは、常に更新されている。
【0026】
前記材料鋼材搬送ラインL1は、ローラコンベアで構成されていることが好ましい。この材料鋼材搬送ラインL1は、前記マーキング設備搬送ライン制御手段14により、通常は、基準速度で作動されている。この基準速度は、後に説明する前工程処理設備の作業時間を勘案して設定されるのが好ましい。すなわち、通常の場合には、マーキング設備および前工程処理設備の両搬送ラインの速度は同一に維持され、作業の連動化が図られている。
前記マーキング設備搬送ライン速度情報作成手段54は、前記基準マーキング内容情報データ作成手段52から基準マーキング内容座標情報データを受け、この基準マーキング内容座標情報データから前記マーキング装置によるマーキング作業に必要な時間を演算し、これに基づいてマーキング設備搬送ライン速度情報を作成し、これを前記マーキング設備搬送ライン制御手段14に送信する。マーキング設備搬送ライン制御手段14は、受信した速度情報を前記基準速度に照らし、受信した速度情報が前記基準速度より速い場合には、そのまま、前記基準速度でラインを作動させ、遅い場合には、その遅い速度でラインを作動させる。ラインをこの遅い速度で作動させるときには、前記前工程処理設備の搬送ラインの作動もこの遅い速度に変更される。
【0027】
上述したようにマーキング装置16を複数台のマーキングロボットで構成することができるが、そのうちの少なくとも1台のマーキングロボットには、材料鋼材の下側面のマーキングを担当させる。その場合、その1台のマーキングロボットは、材料鋼材に対して下側から作業を行えるようにするのが好ましい。場合によっては、材料鋼材搬送ラインの下方に、ピットと呼ばれる凹部を形成し、ここに、当該マーキングロボットを配置する。
このように、前記1台のマーキングロボットが配置された位置では、前記ローラコンベアを構成する複数の搬送ローラのうち、少なくとも1組の隣り合った2本の搬送ローラの間隔(距離)が、マーキングロボットがローラコンベアの下側から材料鋼材に対してマーキング作業を行うに十分な幅(距離)を有するように設定する。
【0028】
材料鋼材に対するマーキングの前に、例えばショットブラストである前工程処理が必要な場合がある。このような場合、従来は、マーキング設備とは、全く別個の独立した場所に設置された装置によって行われていた。
本願発明においては、作業の効率化を図るため、マーキング設備10の直ぐ下流側に連続して、ショットブラスト設備100を配置し、ショットブラスト作業およびマーキング作業を連続的に行えるようにした。
上記したように本材料鋼材マーキング設備によれば、材料鋼材を搬送しつつ(移動中に)マーキングを行うことができるので、前工程の搬出ラインの少なくとも一部を、その搬入ラインとして用いることができ、また、マーキング時における搬送ラインとしても用いることができるので、搬入およびマーキングのための必要スペースを大幅に削減でき、また材料鋼材を停止した状態で行うのではないので、マーキング・搬出時間の大幅短縮を図ることができる。
【0029】
この場合、マーキングされるべき前記材料鋼材Wは、前記材料鋼材マーキング設備の下流側に連続して配置された前工程処理設備(ショットブラスト設備)100で処理された処理済み(ショットブラストにより黒皮が除去された)材料鋼材となる。
【0030】
前記前工程処理設備100は、材料鋼材Wを搬送する前工程材料鋼材搬送ライン(ショットブラスト設備搬送ライン)L2、およびこの前工程材料鋼材搬送ラインL2に沿って配置されたショットブラスト装置102を備えている。
前記前工程材料鋼材搬送ラインL2は、その作動のオン・オフ、搬送速度を制御する前工程(ショットブラスト設備)搬送ライン制御手段104によって制御されるようになっており、そして、前記ショットブラスト装置102は、その作動が、ショットブラスト装置制御手段106により制御される。
これらの前工程(ショットブラスト設備)搬送ライン制御手段104およびショットブラスト装置制御手段106には、ショットブラスト設備制御手段108が接続されており、前記前工程搬送ライン制御手段104およびショットブラスト装置制御手段106は、このショットブラスト設備制御手段108により総合的に制御される。上記前記前工程搬送ライン制御手段104およびショットブラスト装置制御手段106による前工程(ショットブラスト設備)搬送ライン制御手段104およびショットブラスト装置制御手段106の制御に付いては、後述する。
前記前工程処理設備であるショットブラスト設備の上流端と前記マーキング設備の下流端との距離は、JISG3192に定められた形鋼の標準長さの最短長さである6m以内であることが好ましい。この距離であると、前工程処理装置であるショットブラスト設備とマーキング設備で搬送ラインの共用が可能となり、省スペース化が図れるとともに、マーキング装置としてインクジェットを用いたとき、前工程でのショットブラスト作業によって上昇した材料鋼材の温度が保たれ、施されたマークのインクの乾燥が早くなって、定着が良好になるとともに、次の作業に速やかに移行できるようになる。
【0031】
次に、以上説明した設備の作動について説明する。なお、以下の説明においては、図2に従って以下に説明する製品鋼材Gを製造するためのマーキングについて説明する。
製品鋼材Gは、構造部材である形鋼の代表例であるH形鋼G10を備えている。このH形鋼G10には、構造部材に取り付けられる部品である取付プレートの代表例であるガセットプレートG50、G52、G54、下地プレートG60、スプライスプレートG62、64が取付られるものとする。
【0032】
そして、図2に示した製品鋼材Gを製造するために、H形鋼G10のウエブG10a、両フランジG10b、G10cに、ガセットプレートG50、G52、G54を溶接により取り付けるためのマーク(罫書標識)S1~S3、およびその近傍に位置する2次元バーコード(QRコード(登録商標))である情報マークQ1~Q3、ならびにスプライスプレートG62をボルト・ナットで取り付けるための孔の中心位置を示すマーク(罫書標識)S4、S5、およびその近傍に位置するQRコード(登録商標)である情報マークQ4、Q5を形成するものとし、この作業を、前記した本発明の実施の形態によるマーキング設備により行うものとする。
前記2次元バーコードQは、次の情報を担持していることが好ましい。
1.近傍の罫書標識位置に取り付けられる部品の属性
(1)部品ナンバー:サーバーには、このナンバーに紐付けて、部品自体の図面、部品の取付状態を表す3Dモデルが記憶されており、これらの情報を呼び出すためにも用いられる。
(2)寸法
(3)材質:組成、炭素含有量
(4)検査記録:検査機関、検査日、検査番号
(5)製造履歴:製造工場、製造日
(6)保管情報:保管位置、保管期間
(7)その他
2.前記部品の取付方法を示す取付方法情報
(1)溶接による取付:手動溶接、半自動溶接、自動溶接
(2)ボルト・ナットによる取付:ボルトの種類、寸法
3.当該取付方法に必要な下加工を示す下加工情報:ボルト孔の径(ボルト孔形成に用いるドリル径)、ボルト孔の中心位置等
4.前記取付加工に使用する加工設備を示す加工設備情報
5.上記部品が取り付けられる構造部材の属性
(1)構造部材ナンバー;サーバーには、このナンバーに紐付けて、構造部材自体の図面、部品が取り付けられた際の取付状態を表す3Dモデルが記憶されており、これらの情報を呼び出すためにも用いられる。
【0033】
まず、作業指示者は、前記作業指示端末Tを用いて、前記製品鋼材Gの3Dモデルデータを入手する。この3Dモデルデータは、この製品鋼材の設計者がシステムCADを用いて、この製品鋼材を設計する際、得ることができる。
この製品鋼材Gの3Dモデルデータは、前記基準マーキング内容情報データ作成手段52に送信され、この基準マーキング内容情報データ作成手段52は、必要に応じて、鋼材・部品データ記憶手段56から鋼材・部品データを読み出し、以上の3Dモデルデータおよび鋼材・部品データから基準マーキング内容情報データを作成する。次いで、基端検知手段20からの、移送されてきた材料鋼材Wの基端データに基づき前記基準マーキング内容座標情報データを基準マーキング内容座標情報データに変換する。すなわち、基端データで示された位置を、座標[1,1,1]とし、マーキングで示される例えば罫書き線を点の集合体としてとらえ、各点を前記基端を基準点とした座業に変換して、基準マーキング内容座標情報データを作成する。
【0034】
この基準マーキング内容座標情報データは、前記マーキング設備搬送ライン速度情報作成手段54に送信され、上記したようにしてマーキング設備搬送ライン速度を決定し、マーキング設備搬送ライン速度情報を作成し、これをマーキング設備搬送ライン制御手段14に送信して、当該搬送ラインの速度制御を行う。
【0035】
一方、前記基準マーキング内容座標情報データは、前記補正マーキング内容情報データ作成手段24にも送信され、ここで、マーキング装置18が複数台(図に示した例では4台)のマーキングロボットからなる場合には、前記補正マーキング内容座標情報データを各マーキングロボット用に振り分け(分割し)、複数の分割データとする。そして、各分割データは、前記材料鋼材移動速度検知手段22からの、材料鋼材の実際の移動速度を示すリアルタイム移動速度信号に基づき補正されて、補正マーキング内容座標情報データに変換される。
実際には、この補正マーキング内容座標情報データに基づき、前記マーキングロボット16a~16dをして、移動しつつある材料鋼材Wに前記マーク(罫書標識)S1~S5のマーキングを行う。
【0036】
前記マーク(罫書標識)S1~S5のマーキングに並行して、マーキング内容情報データ作成手段52は、前記2次元バーコード(QRコード(登録商標))Q1、Q2、Q3、Q4,Q5のための情報データを作成し、この情報データに基づき、前記マーキングロボットのいずれかにより、実際の2次元バーコードのマーキングを行う。
【0037】
ここで、前記マーク(罫書標識)S1~S5、および前記2次元バーコード(QRコード(登録商標))Q1~Q5がマーキングロボット16a~16dのそれぞれにどのように割り振られるかの一例について下記する。
・マーキングロボット16a:S1の2重線全体、S2の2重線の上側フランジの内面部分(図示せす)、S3の2重線の上側フランジの内面部分(図示せず)、Q1の2次元バーコード、S2の2重線のウェブと線対称側の上側フランジの内面部分(図示せず)、S3の2重線のウェブと線対称側の上側フランジの内面部分(図示せず)
・マーキングロボット16b:S4の十字線全体、Q4の2次元バーコード、下地プレートG60の取付位置の罫書き線(図示せず)、S3の2重線のウェブ裏面部分(図示せず)、S3の2重線のウェブと線対称側の下側フランジの内面部分(図示せず)、S3の2重線のウェブ裏面部分の2次元バーコード(図示せず)
・マーキングロボット16c:S2の2重線のウエブ表面部分、S3の2重線のウエブ表面部分、S5の十字線全体、Q5の2次元バーコード、Q2の2次元バーコード
・マーキングロボット16d:S2の2重線の下側フランジの内面部分、S3の2重線の下側フランジの内面部分、Q3の2次元バーコード全体、S4の対称となる下側フランジの十字線全体、S4の下側フランジ十字線の2次元バーコード(図示せず)
【0038】
ここで、前記搬送速度データ作成手段は、前記マーキング内容情報データ作成手段から送信された基準マーキング内容座標情報データが示すマーキング量が、前記マーキング装置の限界処理負荷を超えたとき、0(ゼロ)の搬送速度データを、前記ショットブラスト設備制御108および前記材料鋼材マーキング設備の搬送ライン制御手段にそれぞれ送信するようになっている。したがって、全ての搬送ラインが停止され、材料鋼材は、停止した状態でマーキングが行われる。
【0039】
また、前記マーキング装置制御手段12は、前記マーキング装置18(前記マーキングロボットのいずれか1台でも)の作動が停止したとき、マーキング装置不作動情報信号を、前記材料鋼材搬送ライン制御手段、ショットブラスト設備制御108に送信し、前記マーキング装置、ショットブラスト設備搬送ライン、およびショットブラスト装置を停止するようになっていることが好ましい。反対に、ショットブラスト設備内で何らかのトラブルが発生して、ショットブラスト設備が停止された場合、これに伴いマーキング設備を停止するようになっている。
【符号の説明】
【0040】
10 材料鋼材マーキング設備
12 マーキング装置制御手段
L1 マーキング設備搬送ライン
14 マーキング設備搬送ライン制御手段
16 マーキング装置
18 マーキング装置制御手段
20 基端検知手段
22 材料鋼材移動速度検知手段
T 作業指示端末
50 中央処理ユニット
S マーク
Q QRコード
図1
図2
図3