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特開2022-73479照明制御システム、照明制御方法及び照明制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073479
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】照明制御システム、照明制御方法及び照明制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/165 20200101AFI20220510BHJP
   H05B 47/155 20200101ALI20220510BHJP
   H05B 47/115 20200101ALI20220510BHJP
【FI】
H05B47/165
H05B47/155
H05B47/115
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020183488
(22)【出願日】2020-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】畑 浩二
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA03
3K273QA11
3K273QA13
3K273RA07
3K273RA08
3K273RA17
3K273SA04
3K273SA21
3K273SA22
3K273SA38
3K273SA46
3K273SA57
3K273SA60
3K273TA04
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA28
3K273TA54
3K273TA57
3K273TA62
3K273TA66
3K273TA78
3K273UA12
3K273UA14
(57)【要約】
【課題】ユーザの作業に適した照明を実現する照明制御システム、照明制御方法及び照明制御プログラムを提供する。
【解決手段】管理サーバ20は、作業環境の照明装置L1と、作業環境での作業内容のユーザ端末30とに接続された制御部21と、照明条件、作業内容及び作業結果を含む教師情報を用いて、照明条件、作業内容から作業結果を予測する予測モデルを記憶した学習結果記憶部24とを備える。そして、制御部21が、新たな作業内容を取得した場合、学習結果記憶部24に記録された予測モデルを用いて作業結果を予測し、作業結果を向上させる照明条件を特定し、この照明条件を用いて、照明装置L1を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業環境の照明装置と、前記作業環境での作業内容の特定部とに接続された制御部と、
照明条件、作業内容及び作業結果を含む教師情報を用いて、照明条件、作業内容から作業結果を予測する予測モデルを記憶した学習結果記憶部とを備えた照明制御システムであって、
前記制御部が、
新たな作業内容を取得した場合、前記学習結果記憶部に記録された予測モデルを用いて作業結果を予測し、前記作業結果を向上させる照明条件を特定し、
前記照明条件を用いて、前記照明装置を制御することを特徴とする照明制御システム。
【請求項2】
前記学習結果記憶部には、作業者毎に前記予測モデルが記録されており、
前記制御部が、
前記作業環境の作業者を特定し、
前記学習結果記憶部から、前記作業者の前記予測モデルを取得し、
前記予測モデルを用いて、作業結果を予測することを特徴とする請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記予測モデルは、照明条件、作業内容、作業者の状態及び作業結果を含む教師情報を用いて、照明条件、作業内容、作業者の状態から作業結果を予測するモデルであり、
前記制御部が、前記作業者の状態を特定することを特徴とする請求項2に記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記制御部が、
作業の進捗状況に応じて作業内容を特定し、
前記作業内容に応じた予測モデルを用いて、前記照明条件を特定することを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記制御部が、前記作業結果として、作業者の生体情報を用いた教師情報により、予測モデルを生成することを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記制御部が、前記照明条件として、前記照明装置の照明光の波長を特定することを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の照明制御システム。
【請求項7】
作業環境の照明装置と、前記作業環境での作業内容の特定部とに接続された制御部と、
照明条件、作業内容及び作業結果を含む教師情報を用いて、照明条件、作業内容から作業結果を予測する予測モデルを記憶した学習結果記憶部とを備えた照明制御システムを用いて、前記照明装置を制御する方法であって、
前記制御部が、
新たな作業内容を取得した場合、前記学習結果記憶部に記録された予測モデルを用いて作業結果を予測し、前記作業結果を向上させる照明条件を特定し、
前記照明条件を用いて、前記照明装置を制御することを特徴とする照明制御方法。
【請求項8】
作業環境の照明装置と、前記作業環境での作業内容の特定部とに接続された制御部と、
照明条件、作業内容及び作業結果を含む教師情報を用いて、照明条件、作業内容から作業結果を予測する予測モデルを記憶した学習結果記憶部とを備えた照明制御システムを用いて、前記照明装置を制御するための照明制御プログラムであって、
前記制御部を、
新たな作業内容を取得した場合、前記学習結果記憶部に記録された予測モデルを用いて作業結果を予測し、前記作業結果を向上させる照明条件を特定し、
前記照明条件を用いて、前記照明装置を制御する手段として機能させるための照明制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの作業空間の照明を制御する照明制御システム、照明制御方法及び照明制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人の存在を検知した場合、光強度を調整する等の制御を行なうことがある(例えば、特許文献1,2を参照)。特許文献1に記載された天井付き照明装置では、制御部は、赤外線アレイセンサによって人の存在を検知し、照度センサによって照度変化を検知するか又は赤外線アレイセンサによって静止位置での温度変化を検知したとき、光源の光強度を調整する。また、特許文献2に記載された映像投射機能付き照明装置は、人感センサからの検知信号に基づいて照明用光源と映像投射装置の少なくとも一方または両方の動作を制御すると共に、照明用光源からの照明光の輝度を調整する。
【0003】
また、快適性を高めるための空調照明システムも検討されている(例えば、特許文献3を参照)。特許文献3に記載されたリビングには、空調装置と照明装置とが設けられ、照明装置は照射する光の色温度を調整する機能を有している。コントローラは、室温センサからの検知結果と、サーモカメラからの人体表面温度情報とに基づいて、空調装置と照明装置との動作を制御する。この場合、空調装置が運転している状態で、室温センサからの検知結果と、サーモカメラからの人体表面温度情報とに基づいて、照明装置により照射される光の色温度を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-181760号公報
【特許文献2】国際公開第2018/158885号
【特許文献3】特開2011-146137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、作業に適した環境は、室内における作業内容に応じて異なる。従って、画一的に環境を制御したのでは、作業効率や生産性等の作業結果の向上を図れない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する照明制御システムは、作業環境の照明装置と、前記作業環境での作業内容の特定部とに接続された制御部と、照明条件、作業内容及び作業結果を含む教師情報を用いて、照明条件、作業内容から作業結果を予測する予測モデルを記憶した学習結果記憶部とを備える。そして、前記制御部が、新たな作業内容を取得した場合、前記学習結果記憶部に記録された予測モデルを用いて作業結果を予測し、前記作業結果を向上させる照明条件を特定し、前記照明条件を用いて、前記照明装置を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザの作業に適した照明を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の照明制御システムの説明図。
図2】実施形態のハードウェア構成の説明図。
図3】実施形態の情報記憶部の説明図であって、(a)はユーザ情報記憶部、(b)は教師情報記憶部、(c)は学習結果記憶部の説明図。
図4】実施形態の処理手順の説明図。
図5】実施形態の処理手順の説明図。
図6】他の実施形態の処理手順の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1図5に従って、照明制御システム、照明制御方法及び照明制御プログラムの一実施形態を説明する。本実施形態では、ユーザが作業を行なう空間の照明を制御する場合を想定する。本実施形態では、ユーザの作業内容に応じて、照明の波長(色温度)を調節させることにより、ユーザに意識させずに環境を動的に変化させる。作業として、例えば、1人でアイデア出しを行なう場合、作業プロセスとして発想の発散と発想の収束を行なうことがある。この場合、ユーザの作業効率を予測しながら、各作業プロセスを活性化させる照明を制御する。
図1に示すように、本実施形態の照明制御システムは、ネットワークを介して接続された環境センサ装置10、状態センサ装置12、管理サーバ20、ユーザ端末30を用いる。
【0010】
(ハードウェア構成例)
図2は、環境センサ装置10、状態センサ装置12、管理サーバ20、ユーザ端末30等として機能する情報処理装置H10のハードウェア構成例を示す。
【0011】
情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶装置H14、プロセッサH15を有する。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアを有していてもよい。
【0012】
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースや無線インタフェース等である。
【0013】
入力装置H12は、ユーザ等からの入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイやタッチパネル等である。
【0014】
記憶装置H14は、環境センサ装置10、状態センサ装置12、管理サーバ20、ユーザ端末30の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置(例えば、後述する教師情報記憶部23、学習結果記憶部24)である。記憶装置H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
【0015】
プロセッサH15は、記憶装置H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、環境センサ装置10、状態センサ装置12、管理サーバ20、ユーザ端末30における各処理(例えば、後述する制御部21における処理)を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各種処理に対応する各種プロセスを実行する。例えば、プロセッサH15は、環境センサ装置10、状態センサ装置12、管理サーバ20、ユーザ端末30のアプリケーションプログラムが起動された場合、後述する各処理を実行するプロセスを動作させる。
【0016】
プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行なうものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行なう専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、プロセッサH15は、(1)コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、(2)各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは(3)それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0017】
(照明制御システムの機能)
図1に示す照明装置L1は、ユーザが作業を行なう場所(作業空間)を照らす装置である。この照明装置L1は、管理サーバ20からの指示に応じて、照明光の色温度を変更する。
【0018】
環境センサ装置10は、作業場所の環境情報を取得するコンピュータ端末である。この環境センサ装置10としては、室内の温度、湿度、風速、照度、輝度等を取得するセンサを用いることができる。
【0019】
状態センサ装置12は、ユーザの状態情報(作業状態)を取得するコンピュータ端末である。この状態センサ装置12としては、例えば、カメラを用いて、ユーザの体温、活性度、血流状態(顔色、心拍数等)の生体情報を取得する。また、ウエアラブル端末を用いて、ユーザの生体情報を取得してもよい。
【0020】
管理サーバ20は、照明装置L1を制御するためのコンピュータシステムである。この管理サーバ20は、制御部21、ユーザ情報記憶部22、教師情報記憶部23、学習結果記憶部24を備えている。
【0021】
この制御部21は、後述する処理(取得段階、学習段階、予測段階、調整段階等を含む処理)を行なう。このための照明制御プログラムを実行することにより、制御部21は、取得部211、学習部212、予測部213、調整部214等として機能する。
【0022】
取得部211は、環境センサ装置10、状態センサ装置12から、環境情報やユーザ状態情報を取得する処理を実行する。この取得部211は、ユーザ端末30の作業画面に応じて作業内容を特定するための情報を保持している。
学習部212は、教師情報を用いて、環境情報やユーザ状態情報に応じて作業性(例えば、集中度等の効率性や生産性)を予測するための予測モデルを学習する処理を実行する。この学習部212は、機械学習の可否を判定するための教師情報量に関するデータを保持している。
【0023】
予測部213は、予測モデルを用いて、環境情報やユーザ状態情報に応じた作業結果を予測する処理を実行する。
調整部214は、予測結果に応じて、照明装置L1を制御する処理を実行する。
【0024】
図3(a)に示すように、ユーザ情報記憶部22には、本システムを利用するユーザについてのユーザ管理レコード220が記録される。このユーザ管理レコード220は、本システムのユーザが登録された場合に記録される。ユーザ管理レコード220には、ユーザID、作業内容に対して、計測日時、作業環境、ユーザ状態に関するデータが記録される。
【0025】
ユーザIDデータ領域には、各ユーザを特定するための識別子に関するデータが記録される。
作業内容データ領域には、このユーザの作業内容を特定するための識別子に関するデータが記録される。作業内容としては、例えば、アイデア出し、文書閲覧、文書作成、ウェブ会議等がある。
【0026】
計測日時データ領域には、このユーザの作業中に環境情報及びユーザ情報を取得した年月日及び時刻に関するデータが記録される。
作業環境データ領域には、この計測日時の場所(作業空間)の環境情報に関するデータが記録される。本実施形態では、環境情報として、外的状況(温度、湿度、風速)、照明状況(色温度)等が記録される。
ユーザ状態データ領域には、この計測日時のユーザの生体情報等のユーザ状態を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0027】
図3(b)に示すように、教師情報記憶部23には、機械学習に用いる教師情報230が記録される。この教師情報230は、作業を終了した場合に記録される。教師情報230には、ユーザID、作業内容、作業環境、ユーザ状態、作業結果に関するデータが記録される。
【0028】
ユーザIDデータ領域には、各ユーザを特定するための識別子に関するデータが記録される。
作業内容データ領域には、このユーザの作業内容を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0029】
作業環境データ領域には、このユーザが作業を行なった時の場所の環境情報の統計値に関するデータが記録される。
ユーザ状態データ領域には、この作業を行なった時のユーザ状態の統計値に関するデータが記録される。
【0030】
作業結果データ領域には、作業効率や生産性等の作業性の評価結果に関するデータが記録される。作業結果としては、例えば、「満足」、「普通」、「不満」等を用いることができる。
【0031】
図3(c)に示すように、学習結果記憶部24には、機械学習によって生成された作業性予測モデルが記録される。この作業性予測モデルは、学習処理を行なった場合に記録される。作業性予測モデルは、ユーザID、作業内容に関連付けられており、作業環境、ユーザ状態を入力して、予測される作業結果(作業性)を出力するモデルである。
【0032】
(学習時処理)
図4を用いて、学習時処理を説明する。この学習時処理では、機械学習により、作業内容に応じて、作業場所の環境情報、ユーザ状態から作業結果を予測するための予測モデルを生成する。ここでは、ユーザ端末30を用いて、作業を行なう場合を想定する。
【0033】
まず、管理サーバ20の制御部21は、作業者の特定処理を実行する(ステップS101)。具体的には、作業場所で作業を行なう場合、ユーザは、ユーザ端末30にログインする。この場合、制御部21の取得部211は、ユーザ端末30からユーザIDを取得する。
【0034】
次に、管理サーバ20の制御部21は、作業内容の特定処理を実行する(ステップS102)。具体的には、ユーザは、ログインしたユーザ端末30を用いて、作業画面を出力する。この場合、制御部21の取得部211は、出力された作業画面により、作業内容を特定する。次に、取得部211は、ユーザIDに関連付けて、作業内容を記録したユーザ管理レコード220を生成し、ユーザ情報記憶部22に記録する。
【0035】
次に、管理サーバ20の制御部21は、環境情報の取得処理を実行する(ステップS103)。具体的には、制御部21の取得部211は、環境センサ装置10から、作業環境の環境情報を取得する。そして、取得部211は、ユーザ管理レコード220に、取得した環境情報を、計測日時に関連付けて仮記憶する。
【0036】
次に、管理サーバ20の制御部21は、ユーザ状態情報の取得処理を実行する(ステップS104)。具体的には、制御部21の取得部211は、状態センサ装置12から、ユーザの生体情報を取得する。そして、取得部211は、ユーザ管理レコード220に、取得したユーザの生体情報を、ユーザ状態情報として記録する。
【0037】
次に、管理サーバ20の制御部21は、作業終了かどうかについての判定処理を実行する(ステップS105)。具体的には、制御部21の取得部211は、ユーザ端末30の作業画面の状況に基づいて、作業終了を判定する。例えば、作業画面が閉じられた場合に、作業終了と判定する。
【0038】
作業終了でないと判定した場合(ステップS105において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、環境情報の取得処理(ステップS103)、ユーザ状態情報の取得処理(ステップS104)を定期的に繰り返す。
【0039】
一方、作業終了と判定した場合(ステップS105において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、作業結果の取得処理を実行する(ステップS106)。具体的には、制御部21の取得部211は、ユーザ端末30に作業結果画面を出力する。そして、取得部211は、ユーザにより作業結果画面に入力された作業結果を取得する。
【0040】
次に、管理サーバ20の制御部21は、教師情報の登録処理を実行する(ステップS107)。具体的には、制御部21の学習部212は、ユーザ管理レコード220において時系列に記録された作業環境、ユーザ状態について、それぞれの統計値を算出する。そして、学習部212は、ユーザID、作業内容、作業環境(統計値)、ユーザ状態(統計値)に対して、ユーザ端末30から取得した作業結果を記録した教師情報230を生成し、教師情報記憶部23に記録する。
【0041】
次に、管理サーバ20の制御部21は、教師情報は十分かどうかについての判定処理を実行する(ステップS108)。具体的には、制御部21の学習部212は、ユーザID、作業内容について、教師情報記憶部23に記録された教師情報量を特定する。そして、教師情報量が基準量を超えている場合には、学習部212は、教師情報は十分と判定する。
【0042】
教師情報量が基準量未満で、教師情報は不十分と判定した場合(ステップS108において「NO」の場合)、学習時処理を終了する。
一方、教師情報は十分と判定した場合(ステップS108において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、機械学習処理を実行する(ステップS109)。具体的には、制御部21の学習部212は、教師情報230の作業環境、ユーザ状態から作業結果を予測する作業性予測モデルを生成する。この機械学習には、例えば、CNN等の深層学習を用いることができる。
【0043】
次に、管理サーバ20の制御部21は、予測モデルの記録処理を実行する(ステップS110)。具体的には、制御部21の学習部212は、ユーザID、作業内容に関連付けて、生成した作業性予測モデルを、学習結果記憶部24に記録する。
【0044】
(予測時処理)
次に、図5を用いて、予測時処理を説明する。この予測時処理では、学習段階で生成した予測モデルを用いて適切な照明環境を特定し、この照明環境となるように照明を制御する。
【0045】
まず、管理サーバ20の制御部21は、ステップS101,S102と同様に、作業者の特定処理(ステップS201)、作業内容の特定処理(ステップS202)を実行する。
【0046】
次に、管理サーバ20の制御部21は、予測モデルの登録があるかどうかについての判定処理を実行する(ステップS203)。具体的には、制御部21の調整部214は、ユーザID、作業内容に関連付けられた作業性予測モデルを、学習結果記憶部24において検索する。
【0047】
ユーザID、作業内容に関連付けられた作業性予測モデルを抽出できず、予測モデルの登録がないと判定した場合(ステップS203において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、学習時処理のステップS103以降を実行する。
【0048】
予測モデルの登録があると判定した場合(ステップS203において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、ステップS103,S104と同様に、環境情報の取得処理(ステップS204)、ユーザ状態情報の取得処理(ステップS205)を実行する。
【0049】
次に、管理サーバ20の制御部21は、適切な照明環境の特定処理を実行する(ステップS206)。具体的には、制御部21の予測部213は、学習結果記憶部24において、ユーザID、作業内容に関連付けられた作業性予測モデルに、環境情報(外的状況)、ユーザ状態情報を入力する。更に、予測部213は、作業性予測モデルに、順次、照明条件を変更して入力し、作業結果を取得する。この場合、予測部213は、照明条件に対して、取得した作業結果を関連付けてメモリに仮記憶する。そして、予測部213は、最も良好な作業結果を出力した照明条件を特定する。ここでは、例えば、最も良好な作業結果として、「満足」の確からしさが最も高い照明条件を特定する。
【0050】
次に、管理サーバ20の制御部21は、照明の調整処理を実行する(ステップS207)。具体的には、制御部21の調整部214は、作業環境の照明環境が、特定した照明条件になるように、照明装置L1の色温度(波長分布)を調整する。この場合、照明条件の変更をユーザに気づかれない(意識されない)ように、色温度の調整を行なう。
【0051】
次に、管理サーバ20の制御部21は、ステップS105と同様に、作業終了かどうかについての判定処理を実行する(ステップS208)。
作業終了でないと判定した場合(ステップS208において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、環境情報の取得処理(ステップS204)以降の処理を繰り返す。
【0052】
作業終了と判定した場合(ステップS208において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、予測時処理を終了する。
【0053】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態においては、管理サーバ20の制御部21は、作業者の特定処理(ステップS101、S201)、作業内容の特定処理(ステップS102、S202)を実行する。これにより、ユーザが行なう作業を特定することができる。
【0054】
(2)本実施形態においては、管理サーバ20の制御部21は、環境情報の取得処理(ステップS103)、ユーザ状態情報の取得処理(ステップS104)を実行する。これにより、ユーザの作業時の作業環境やユーザ状態を特定することができる。
【0055】
(3)本実施形態においては、作業終了と判定した場合(ステップS105において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、作業結果の取得処理を実行する(ステップS106)。これにより、様々な作業環境やユーザ状態での作業についての評価を取得することができる。
【0056】
(4)本実施形態においては、管理サーバ20の制御部21は、機械学習処理を実行する(ステップS109)。これにより、様々な作業環境やユーザ状態から作業結果を予測するモデルを生成することができる。
【0057】
(5)本実施形態においては、予測モデルの登録があると判定した場合(ステップS203において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、環境情報の取得処理(ステップS204)、ユーザ状態情報の取得処理(ステップS205)を実行する。これにより、予測に用いる環境情報やユーザ状態情報を取得することができる。
【0058】
(6)本実施形態においては、管理サーバ20の制御部21は、適切な照明環境の特定処理(ステップS206)、照明の調整処理(ステップS207)を実行する。これにより、ユーザの作業に適した照明環境を実現することができる。特に、照明の色温度を調節する場合、ユーザに感知されにくい。従って、ユーザに環境変化を意識させることなく、作業性を改善することができる。
【0059】
(7)本実施形態においては、作業終了でないと判定した場合(ステップS208において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、環境情報の取得処理(ステップS204)以降の処理を繰り返す。これにより、状況の動的変化に追従して、照明を調整することができる。
【0060】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、環境情報の外的状況として、温度、湿度、風速を用いるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
・上記実施形態では、作業環境、ユーザ状態を入力して、作業結果を出力する作業性予測モデルを用いる。ここで、ユーザ状態を用いることなく、作業環境を入力して、作業結果を出力する作業性予測モデルを生成して、作業に適した照明条件を予測するようにしてもよい。
【0062】
・上記実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、機械学習処理を実行する(ステップS109)。この場合、ユーザID、作業内容に応じて、作業性予測モデルを生成する。そして、学習結果記憶部24に、ユーザID、作業内容に関連付けられた作業性予測モデルを記録する。この作業性予測モデルは、ユーザID、作業内容毎に生成する場合に限定されるものではない。例えば、作業内容に関連付けて、作業性予測モデルを生成してもよい。
【0063】
・上記実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、作業者の特定処理を実行する。(ステップS101、S201)。ここでは、ユーザ端末30へのログイン情報を用いて作業者を特定する。作業者の特定方法は、これに限定されるものではない。例えば、作業前に、ユーザ端末30にユーザIDを入力させるようにしてもよい。また、作業者の作業場所(例えば、座席)が決まっている場合には、作業場所に応じて作業者を特定するようにしてもよい。また、作業者が予め決められており、作業者名簿を保持している場合には、この作業者名簿に基づいて、作業開始時に作業者を特定するようにしてもよい。また、カメラによって撮影した画像を用いた画像処理により、ユーザ認証により作業者を特定するようにしてもよい。この場合には、管理サーバ20に、ユーザ認証のために各ユーザの画像特徴量を保持させておく。
【0064】
・上記実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、作業内容の特定処理を実行する(ステップS102、S202)。ここでは、ユーザ端末30の作業画面を用いて作業内容を特定する。作業内容の特定方法は、これらに限定されるものではない。例えば、作業前にユーザ端末30に作業内容を入力させるようにしてもよい。また、カメラによって撮影した画像を用いた画像処理により、作業内容を特定するようにしてもよい。この場合には、管理サーバ20に、各作業内容に応じて、ユーザ動作のパターン認識情報を保持させておく。
【0065】
・上記実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、作業結果の取得処理を実行する(ステップS106)。ここでは、ユーザ端末30に出力された作業結果画面に手入力された作業結果を取得する。作業結果の取得方法は、これに限定されるものではない。例えば、状態センサ装置12から取得したユーザの生体情報を用いて、作業結果としての満足度や快適性を取得するようにしてもよい。この場合には、管理サーバ20の制御部21に、生体情報から作業結果を算出するための予測モデルを保持させておく。また、会議の場合には、会議音声を取得して、会議の活性度を作業結果として取得するようにしてもよい。この場合には、例えば、会議音声における発話数が基準数以上の場合には、高い活性度を算出する。
【0066】
・上記実施形態では、1人のユーザの作業において適切な照明環境を予測する。これに代えて、複数人の共同作業において、適切な照明環境を予測するようにしてもよい。この場合には、例えば、共同作業の参加者毎の作業性予測モデルに、順次、変更した照明条件を入力し、各作業性予測モデルから算出された作業結果の統計値(例えば総和)が最も高くなる照明条件を特定する。また、参加者の属性(役割、スキル等)に応じて、重み付けを行なってもよい。この場合には、管理サーバ20の制御部21に、各参加者に対する重み付け値を保持させておく。そして、制御部21は、各作業性予測モデルから算出された作業結果に、各参加者の重み付け値を加重して、作業結果の統計値を算出する。
【0067】
・上記実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、適切な照明環境の特定処理(ステップS206)、照明の調整処理(ステップS207)を実行する。作業環境の調整は、照明条件に加えて、気温や湿度、風速を合わせて調節するようにしてもよい。
【0068】
・上記実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、作業内容の特定処理を実行する(ステップS202)。これに代えて、作業の進捗状況に応じて、作業内容を特定するようにしてもよい。例えば、複数人が参加する会議の場合、最初の段階では活発なディスカッションを促す環境、最後の段階ではクールダウンを促す環境を実現する。この場合には、管理サーバ20に、会議の参加者名簿や顔認識のための情報を保持させておく。更に、制御部21は、会議の各議事進行(進捗状況)に対応したキーワードを保持させておく。
【0069】
図6を用いて、会議における予測時処理を説明する。
まず、管理サーバ20の制御部21は、ステップS101と同様に、作業者の特定処理(ステップS301)を実行する。ここでは、参加者名簿や顔認識技術等を用いて、会議の参加者を特定する。
【0070】
次に、管理サーバ20の制御部21は、進捗状況に応じて、作業内容の特定処理を実行する(ステップS302)。具体的には、制御部21の取得部211は、会議音声の音声認識に含まれるキーワードにより、会議の議事進行を特定する。また、ユーザ端末30で作成される議事録を取得し、会議の議事進行を特定してもよい。そして、取得部211は、会議の議事進行に応じて、作業内容として、会議プロセスを特定する。
【0071】
次に、管理サーバ20の制御部21は、ステップS203と同様に、予測モデルの登録があるかどうかについての判定処理を実行する(ステップS303)。具体的には、複数のユーザが参加する会議においては、制御部21の調整部214は、参加者のユーザID、作業内容に関連付けられた作業性予測モデルを、学習結果記憶部24において検索する。そして、調整部214は、例えば、参加人数に対して予め定められた割合の人数分の作業性予測モデルを特定できた場合に、予測モデルの登録があると判定する。
【0072】
予測モデルの登録があると判定した場合(ステップS303において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、ステップS103,S104と同様に、環境情報の取得処理(ステップS304)、ユーザ状態情報の取得処理(ステップS305)を実行する。
【0073】
次に、管理サーバ20の制御部21は、適切な照明環境の特定処理を実行する(ステップS306)。具体的には、制御部21の予測部213は、学習結果記憶部24において特定した各作業性予測モデルに、環境情報(外的状況)、ユーザ状態情報を入力する。更に、予測部213は、各作業性予測モデルに、順次変更した同じ照明条件を入力し、作業結果を取得する。次に、予測部213は、照明条件に対して、取得した作業結果の総和を関連付けてメモリに仮記憶する。そして、予測部213は、最も良好な作業結果の総和を出力した照明条件を特定する。
【0074】
次に、管理サーバ20の制御部21は、ステップS207と同様に、照明の調整処理を実行する(ステップS307)。
なお、所定の作業性予測モデルを抽出できず、予測モデルの登録がないと判定した場合(ステップS303において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、ステップS304~ステップS307をスキップする。この場合には、照明装置L1において、現在の照明条件が維持される。
【0075】
次に、管理サーバ20の制御部21は、ステップS105と同様に、作業終了かどうかについての判定処理を実行する(ステップS308)。
作業終了でないと判定した場合(ステップS308において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、進捗状況に応じて、作業内容の特定処理(ステップS302)以降の処理を繰り返す。
作業終了と判定した場合(ステップS308において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、予測時処理を終了する。
【0076】
・上記実施形態では、教師情報は十分と判定した場合(ステップS108において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、機械学習処理を実行する(ステップS109)。ここで、新たな教師情報が蓄積された場合、再学習するようにしてもよい。例えば、予測時処理によって調整された照明条件について、作業結果を取得する。そして、作業結果が良好でない場合には、再度、学習時処理を実行する。
【符号の説明】
【0077】
L1…照明装置、10…環境センサ装置、12…状態センサ装置、20…管理サーバ、21…制御部、211…取得部、212…学習部、213…予測部、214…調整部、22…ユーザ情報記憶部、23…教師情報記憶部、24…学習結果記憶部、30…ユーザ端末。
図1
図2
図3
図4
図5
図6