(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073534
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】流水検知装置、流水検知システム及び流水検知方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/02 20060101AFI20220510BHJP
A61L 2/24 20060101ALI20220510BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
A61L2/02
A61L2/24
H04Q9/00 311J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020183574
(22)【出願日】2020-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】390034153
【氏名又は名称】株式会社バイタル
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】土屋 智宏
【テーマコード(参考)】
4C058
5K048
【Fターム(参考)】
4C058AA29
4C058BB02
4C058DD13
5K048BA34
5K048DB01
5K048DC01
5K048EB01
5K048EB10
5K048HA04
5K048HA06
(57)【要約】
【課題】本発明は、流水に関する情報と、ユーザの識別情報とを1つのデータとして送信することが可能な流水検知装置、流水検知システム及び流水検知方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の実施形態に係る流水検知装置は、流水センサからの信号に基づいて流水を検知する流水検知部と、流水検知部が検出した検知結果に基づいて流水時間を算出する流水時間算出部と、識別情報発信器からユーザの識別情報を受信する受信部と、識別情報を記憶する記憶部と、流水時間に関する情報及び識別情報を外部へ送信する送信部と、を有することを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流水センサからの信号に基づいて流水を検知する流水検知部と、
前記流水検知部が検出した検知結果に基づいて流水時間を算出する流水時間算出部と、
識別情報発信器からユーザの識別情報を受信する受信部と、
前記識別情報を記憶する記憶部と、
前記流水時間に関する情報及び前記識別情報を外部へ送信する送信部と、
を有することを特徴とする流水検知装置。
【請求項2】
電源と接続された電源制御部をさらに備え、
前記流水検知部が流水センサから流水を検出する信号を受信した場合に、前記電源制御部は前記受信部に電源から電力が供給されるように制御する、
請求項1に記載の流水検知装置。
【請求項3】
前記受信部は、BLEモジュールを有する、請求項1または2に記載の流水検知装置。
【請求項4】
前記送信部は、LoRaモジュールを有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の流水検知装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の流水検知装置と、
前記流水検知装置から前記流水時間に関する情報及び前記識別情報を受信し、受信した流水時間が所定の閾値以上であるか否かを識別情報毎に判断し、判断結果を出力するサーバと、
を備えた流水検知システム。
【請求項6】
流水検知部が、流水センサからの信号に基づいて流水を検知するステップと、
流水時間算出部が、流水を検知する検知結果に基づいて流水時間を算出するステップと、
受信部が、識別情報発信器からユーザの識別情報を受信するステップと、
記憶部が、前記識別情報を記憶するステップと、
送信部が、前記流水時間に関する情報及び前記識別情報を外部へ送信するステップと、
を有することを特徴とする流水検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流水検知装置、流水検知システム及び流水検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲食業界や、スーパー等の小売業界では、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)に沿った衛生管理が法律により求められている。HACCPは、危害分析した結果に基づいて、安全な製品を生産するために、製造工程上の重要管理点を決め、監視する衛生管理手法である。衛生管理上、作業者の手洗いの管理は、ノロウイルス対策や、新型コロナウイルスの感染防止の観点から重要であるが、HACCPに基づく衛生管理が義務付けられたことにより、手洗いの管理は、更に重要性が増してきているといえる。
【0003】
これまでに、手洗いを監視するシステムとして、個人ごとに手洗いの状況を監視できる手洗監視システムが報告されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に記載の手洗監視システムでは、手洗用電解水を供給する電解水供給手段と、近距離通信によって識別子を送信するID手段と、ID装置から送信されるID情報に基づく監視情報を送信する監視情報送信手段と、監視情報送信手段から送信される監視情報を受信し、識別子ごとに集計する集計手段と、を備えている。
【0005】
しかしながら、従来の手洗監視システムにおいては、識別子に関する情報の送信と、監視情報の送信とを別々に実行しているため、それぞれの情報を異なるタイミングで受信した後に、異なる種類のデータを関連付けるためのデータ加工が必要になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、流水に関する情報と、ユーザの識別情報とを1つのデータとして送信することが可能な流水検知装置、流水検知システム及び流水検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の実施形態に係る流水検知装置は、流水センサからの信号に基づいて流水を検知する流水検知部と、流水検知部が検出した検知結果に基づいて流水時間を算出する流水時間算出部と、識別情報発信器からユーザの識別情報を受信する受信部と、識別情報を記憶する記憶部と、流水時間に関する情報及び識別情報を外部へ送信する送信部と、を有することを特徴とする。
【0009】
本開示の実施形態に係る流水検知装置は、電源と接続された電源制御部をさらに備え、流水検知部が流水センサから流水を検出する信号を受信した場合に、電源制御部は受信部に電源から電力が供給されるように制御することが好ましい。
【0010】
本開示の実施形態に係る流水検知装置において、受信部は、BLEモジュールを有することが好ましい。
【0011】
本開示の実施形態に係る流水検知装置において、送信部は、LoRaモジュールを有することが好ましい。
【0012】
本開示の実施形態に係る流水検知システムは、上記のいずれかの流水検知装置と、流水検知装置から流水時間に関する情報及び識別情報を受信し、受信した流水時間が所定の閾値以上であるか否かを識別情報毎に判断し、判断結果を出力するサーバと、を備えることを特徴とする。
【0013】
本開示の実施形態に係る流水検知方法は、流水検知部が、流水センサからの信号に基づいて流水を検知するステップと、流水時間算出部が、流水を検知する検知結果に基づいて流水時間を算出するステップと、受信部が、識別情報発信器からユーザの識別情報を受信するステップと、識別情報を記憶するステップと、送信部が、流水時間に関する情報及び識別情報を外部へ送信するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本開示の実施形態に係る流水検知装置、流水検知システム及び流水検知方法によれば、流水に関する情報と、ユーザの識別情報とを1つのデータとして送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の実施形態に係る流水検知システムの構成概念図である。
【
図2】本開示の実施例1に係る流水検知装置の構成図である。
【
図3】(a)は、本開示の実施例1に係る流水検知装置における流水検知部が受信した流水信号のタイミングチャートであり、(b)は受信部が受信した識別信号のタイミングチャートである。
【
図4】本開示の実施例1に係る流水検知装置の動作手順を説明するためのフローチャートである。
【
図5】本開示の実施例1に係る流水検知装置から収集したデータの集計結果の例を示す表である。
【
図6】本開示の実施例2に係る流水検知装置の構成図である。
【
図7】(a)は、本開示の実施例2に係る流水検知装置における流水検知部が受信した流水信号のタイミングチャートであり、(b)は受信部が受信した識別信号のタイミングチャートである。
【
図8】本開示の実施例2に係る流水検知装置の動作手順を説明するためのフローチャートである。
【
図9】本開示の実施形態の変形例に係る流水検知システムの構成概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る流水検知装置、流水検知システム及び流水検知方法について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0017】
図1に、本開示の実施形態に係る流水検知システム1001の構成概念図を示す。流水検知システム1001は、1乃至複数の流水検知装置101と、中継器200と、サーバ400と、を有する。中継器200とサーバ400は通信ネットワーク300を介して有線または無線により接続されている。
【0018】
流水検知装置101は、手洗い場等に設置された水栓の流水を検知することにより、ユーザ(以下、「作業者」ともいう)に手洗いの回数及び手洗いを行った時間を検知し、手洗いを行ったユーザの識別情報と共に中継器200に送信する。なお、
図1には、流水検知装置101を3つ配置した例を示したが、このような例には限られず、配置する流水検知装置101は、1つ、または2つ、あるいは4つ以上配置するようにしてもよい。
【0019】
流水検知装置101と中継器200とは、例えば、LoRaWAN(Long Range Wide Area Network)方式により接続することができる。LoRaWANは、消費電力が低いという利点があり、乾電池で1~3年の連続運用が可能である。その一方で、LoRaWANの通信距離は、3~15kmと比較的長距離の通信距離を実現することができる。さらに、通信コストが安い(年間1000円程度)というメリットもある。
図1に示すように中継器200を中心とした半径数kmの範囲201内に配置した流水検知装置101と通信を行うことができるため、例えば、1つの工場等の敷地内に1台の中継器200を設置すれば足りる。
【0020】
中継器200に送信された流水時間の情報とユーザの識別情報は、通信ネットワーク300を介してサーバ400に送信され、サーバ400において集計され、ユーザの手洗い状況を管理することができる。
【0021】
[実施例1]
次に、実施例1に係る流水検知装置101について説明する。
図2に、本開示の実施例1に係る流水検知装置101の構成図を示す。流水検知装置101は、流水検知部1と、流水時間算出部2と、受信部3と、記憶部4と、送信部5と、を有し、これらは、バス11により電気的に接続されている。流水検知部1及び流水時間算出部2は、コンピュータ(CPU)を備えた制御部10により、ソフトウエア(プログラム)として実現される。記憶部4は、半導体メモリにより構成され、受信部3及び送信部5は、それぞれ、受信モジュール、及び送信モジュールにより構成される。
【0022】
流水検知部1は、流水センサ20からの信号に基づいて流水を検知する。流水センサ20として、例えば、手洗い場の水道管に設置され、水道管を流れる水の量を検出する流量計を用いることができる。流量計により流水の有無を直接的に検知することができる。ただし、流水センサ20は、このような例には限られない。
【0023】
流水センサ20として、自動水栓式の蛇口に設けられた手を検知するためのセンサを用いるようにしてもよい。自動水栓式の蛇口は広く普及しており、手を検知するためのセンサを流水センサ20として用いることにより、流量計等の設置工事を省略することができる。
【0024】
流水時間算出部2は、流水検知部1が検出した検知結果に基づいて流水時間を算出する。例えば、流水検知部1が、時刻t1に流水が開始された信号を受信し、時刻t2に流水が停止した信号を受信した場合には、流水時間taは、式ta=t2-t1により算出することができる。また、手洗いの際に薬液を同時に用いて、手をこすり洗いする場合等、1回の手洗い動作において流水が一時的に停止する場合も考えられる。そのような場合には、所定の期間内における流水時間の合計を1回の手洗い動作における流水時間とするようにしてもよい。このようにすることで、ユーザの手洗い回数を正確にカウントすることができる。
【0025】
ユーザ(作業者)は、識別情報発信器30を常に携帯しているものとする。受信部3は、識別情報発信器30からユーザの識別情報を受信する。識別情報発信器30は、識別情報を含む無線信号を定期的に発信する。識別情報発信器30には、例えば、ビーコンを用いることができる。ビーコン発信器として、IDカードケース型、ボタン電池式、またはソーラーパワー式のペンダント型のものを用いることができる。ユーザが所有しているスマートフォン等の携帯機器や、IDカード等に、識別情報発信器30が一体化されていてもよい。
【0026】
また、識別情報発信器30としてBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)ビーコンを用いることにより、低消費電力を実現することができ、カード形状等に小型化することができる。識別情報発信器30としてBLEビーコンを用いた場合には、受信部3にはBLEモジュールを用いることができる。
【0027】
記憶部4は、受信部3が識別情報発信器30から受信したユーザの識別情報を記憶する。ここで、手洗い場に複数のユーザが存在し、それぞれのユーザが所有する識別情報発信器30から無線信号を受信する場合も考えられる。そのような場合には、受信部3が受信した無線信号の内、強度が最も高い無線信号を受信した識別情報発信器30を所有するユーザが手洗いを実行していると判断するようにしてもよい。手洗い場が混みあって複数のユーザが列をなしている場合等、強度が弱い無線信号を発信している識別情報発信器を所持したユーザは列に並んでいるだけで手洗いを行っていないと考えられるためである。
【0028】
送信部5は、流水時間に関する情報及び識別情報を外部へ送信する。
図3(a)に、本開示の実施例1に係る流水検知装置101における流水検知部1が受信した流水信号のタイミングチャートを示し、
図3(b)に、受信部3が受信した識別信号のタイミングチャートを示す。上述したように、
図3(a)において、時刻t
1に流水が開始された信号を受信し、時刻t
2に流水が停止した信号を受信したものとする。ユーザが手洗い動作を開始した時刻t
1より所定時間前の時刻t
0において、受信部3は識別情報発信器30を受信する。従って、ユーザが手洗い動作を完了し、流水が停止した時刻t
2において、ユーザの識別情報は記憶部4に記憶されている。制御部10は、記憶部4からユーザの識別情報を取得し、流水時間算出部2から取得した流水時間に関する情報と併せて送信部5に転送する。送信部5は、制御部10から取得した、流水時間に関する情報及びユーザの識別情報を1つのデータとして外部へ送信することができる。
【0029】
以上のように、本開示の実施例1に係る流水検知装置101によれば、流水に関する情報と、ユーザの識別情報とを1つのデータとして送信することができるため、これらの異なる情報を関連付けるためのデータ加工作業を省略することができる。
【0030】
次に、本開示の実施例1に係る流水検知方法について説明する。
図4に、本開示の実施例1に係る流水検知装置101の動作手順を説明するためのフローチャートを示す。まず、ステップS101において、流水検知部1が、流水センサ20からの信号に基づいて流水を検知する。
【0031】
次に、ステップS102において、流水時間算出部2が、流水を検知する検知結果に基づいて流水時間を算出する。
【0032】
次に、ステップS103において、受信部3が、識別情報発信器30からユーザの識別情報を受信する。
【0033】
次に、ステップS104において、記憶部4が、識別情報を記憶する。
【0034】
次に、ステップS105において、送信部5が、流水時間に関する情報及びユーザの識別情報を外部へ送信する。
【0035】
以上のようにして、生成された流水時間に関する情報及びユーザの識別情報は、例えば、
図1に示すように、中継器200を介して、サーバ400に1つのデータとして送信される。サーバ400は、流水検知装置101から流水時間に関する情報及び識別情報を受信し、受信した流水時間が所定の閾値以上であるか否かを識別情報毎に判断し、判断結果を出力することにより、個々のユーザの手洗い状況の管理を行う。
【0036】
図5に、本開示の実施例1に係る流水検知装置から収集したデータの集計結果の例を示す。サーバ400は、作業者手洗い管理一覧表21を表示部2000に表示する。表示部2000は、液晶表示装置や有機EL表示装置等の表示装置である。表示部2000には、管理を行う日付22、及び管理対象の時間帯23が表示される。作業者手洗い管理一覧表21には、時刻24、識別情報であるユーザ(作業者)ID25、手洗い時間26、手洗い回数27、警告表示欄28が含まれる。
【0037】
時刻24は、流水が停止した時刻であって、手洗いが完了した時刻である。作業者手洗い管理一覧表21には、一例として、管理対象の時間帯23が15時30分から、17時30分までの手洗い状況が表示されている。
【0038】
ユーザID25は、個々のユーザ(作業者)が所持する識別情報発信器30から発信されたユーザの識別情報である。ユーザID25に基づいて、どのユーザがいつ、何秒間手洗い動作を実行したかを識別することができる。
【0039】
手洗い時間26は、1回の手洗い動作における流水時間の合計である。例えば、1回あたりの手洗い時間が60秒以上という規定がある場合において、「60秒」を閾値として、流水時間が閾値以上であるか否かを識別情報毎に判断する。規定時間である閾値に満たないと判断した場合には、閾値に満たない「50」秒や「55」秒を表す数値に丸印等の印を付けて目立つようにする等により、判断結果を出力するようにしてもよい。これにより、ユーザ(作業者)の管理者は、どのユーザが、手洗い時間が十分でないかを容易に認識することができる。
【0040】
手洗い回数27は、1日における手洗いの回数を表す。例えば、1日当たりの手洗い回数が5回以上という規定がある場合において、「5回」を閾値として、手洗い回数が閾値以上であるか否かを識別情報毎に判断する。規定回数である閾値に満たないと判断した場合には、閾値に満たない「4回」の数値を目立たせるように丸印等の印を付けて目立つようにする等により、判断結果を出力するようにしてもよい。これにより、ユーザの管理者は、どのユーザが、手洗い回数が十分でないかを容易に認識することができる。
【0041】
警告表示欄28には、手洗い時間または手洗い回数が規定に満たないユーザについて、警告の有無を表示するものである。例えば、手洗い時間が規定時間に満たないユーザ(「A1001」及び「B1001」)については、「時間未達」と表示し、手洗い回数が規定回数に満たないユーザ(「A1002」)については、「回数未達」と表示することができる。これにより、ユーザの管理者は、どのユーザがどの規定を満たしていないかを容易に認識することができる。
【0042】
以上のようにして、本開示の実施形態に係る流水検知システム1001によれば、ユーザの手洗い管理を容易に行うことができる。
【0043】
[実施例2]
次に、実施例2に係る流水検知装置102について説明する。
図6に、本開示の実施例2に係る流水検知装置102の構成図を示す。実施例2に係る流水検知装置102が、
図2に示した実施例1に係る流水検知装置101と異なっている点は、電源40と接続された電源制御部6をさらに備え、流水検知部1が流水センサ20から流水を検出する信号を受信した場合に、電源制御部6は受信部3に電源40から電力が供給されるように制御する点である。実施例2に係る流水検知装置102におけるその他の構成は、実施例1に係る流水検知装置101における構成と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0044】
実施例1に係る流水検知装置101においては、受信部3は、常時、ユーザが所持する識別情報発信器30から発信される信号を受信できるように、通電状態とする必要がある。しかしながら、ユーザが手洗いを行わず、流水検知装置101に近づかない場合には、受信部3に供給する電力は無駄になる。そこで、実施例2に係る流水検知装置102においては、ユーザが手洗いを実行し、流水センサ20が流水を検知したときに、電源制御部6に信号を送り、電源40から受信部3へ電力が供給されるように制御するようにしている。このようにすることで、ユーザが手洗いを行わず、流水検知装置102に近づかない場合には、受信部3には電力が供給されないため、電力が無駄になることを回避することができる。
【0045】
図7(a)に、本開示の実施例2に係る流水検知装置102における流水検知部1が受信した流水信号のタイミングチャートを示し、
図7(b)に、受信部3が受信した識別信号のタイミングチャートを示す。時刻t
1において流水検知部1が流水センサから流水の開始信号を受信すると同時に時刻t
1において、受信部3に通電が開始されて受信部3はユーザが所持する識別情報発信器30から発信される識別信号を受信する。
【0046】
また、時刻t2において、流水検知部1が流水センサ20から流水が停止した信号を受信したときに、流水検知部1は電源制御部6に信号を送り、電源40から受信部3への電力の供給を停止するように制御してもよい。このようにすることで、ユーザの手洗いが完了し、ユーザの識別情報を受信する必要がなくなった場合に受信部3への通電を停止することができるため、受信部3における無駄な電力消費を回避することができる。
【0047】
次に、本開示の実施例2に係る流水検知方法について説明する。
図8に、本開示の実施例2に係る流水検知装置102の動作手順を説明するためのフローチャートを示す。まず、ステップS201において、流水検知部1が、流水センサ20から信号を受信する。
【0048】
次に、ステップS202において、流水検知部1が、流水センサ20から受信した信号に基づいて、流水が開始されたか否かを判断する。流水が開始されないと判断した場合は、ステップS201に戻って、流水センサ20からの信号の受信を継続する。
【0049】
ステップS202において、流水が開始されたと判断した場合は、ステップS203において、電源制御部6が、電源40から受信部3に電力を供給するように制御する。
【0050】
ステップS204~S207は、
図4に示したステップS102~S105と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0051】
以上説明したように、実施例2に係る流水検知装置102によれば、ユーザが手洗いを行うことにより、流水が開始されてからユーザの識別情報を受信するための受信部3に電力を供給するようにしているため、ユーザが手洗いを実行しない期間における受信部3による無駄な電力消費を回避することができる。
【0052】
次に、本開示の実施形態の変形例に係る流水検知システム1002について説明する。
図9に、本開示の実施形態の変形例に係る流水検知システム1002の構成概念図を示す。変形例に係る流水検知システム1002が、
図1に示した流水検知システム1001と異なっている点は、ユーザが所有する携帯端末500と、ユーザの手洗い状況を管理する管理端末600とをさらに備えている点である。携帯端末500には、ユーザが有する端末であって、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、あるいは、ノート型またはデスクトップ型のパーソナルコンピュータ等の情報端末を用いることができる。管理端末600には、スマートフォン、タブレット端末、あるいは、ノート型またはデスクトップ型のパーソナルコンピュータ等を用いることができる。携帯端末500及び管理端末600は、有線または無線通信により、通信ネットワーク300と接続されている。変形例に係る流水検知システム1002のその他の構成は、
図1に示した流水検知システム1001における構成と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0053】
図5に示した作業者手洗い管理一覧は、サーバ400の表示部2000に示した例として説明したが、作業者手洗い管理一覧を管理端末600の表示部(図示せず)に表示するようにしてもよい。
【0054】
さらに、管理端末600は、手洗い時間または手洗い回数が規定に満たないユーザの携帯端末500に対して、警告を表す情報を送信するようにしてもよい。警告を受信した携帯端末500を所持するユーザは、警告を受けることにより、手洗い時間または手洗い回数が規定を満たしていないことを認識することができる。
【0055】
ユーザが受けた警告の回数は、月間や年間等の所定の期間ごとに集計して、各ユーザごとの警告回数をまとめるようにしてもよい。これにより、手洗い指導を行うべきユーザを特定のユーザに絞り込むことができ、手洗い指導を効率化することができる。
【0056】
[実施例3]
次に、実施例3に係る流水検知装置について説明する。上記の実施例1及び2に係る流水検知装置においては、流水センサ及びビーコンを用いる例について説明したが、このような例には限られない。実施例3に係る流水検知装置は、手洗いを行うユーザ(作業者)を撮像するカメラを有する点を特徴としている。
【0057】
例えば、1台もしくは複数台のカメラを手洗い場に設置しておき、カメラで手洗いを行うユーザの手の画像と顔の画像を撮像し、撮像した画像データをサーバへ送信する。このように、ユーザの手の画像と顔の画像とを1つのデータとして送信することができる。
【0058】
サーバでは、撮像したユーザの手の画像から、手洗い時間を算出することができる。また、ユーザの顔の画像から画像認識によりユーザを特定することができる。また、取得した画像データを解析することにより、手洗い時間だけでなく、一連の手洗い動作が適切に行われているか否かを判断することもできる。画像の解析には機械学習を利用するようにしてもよい。
【0059】
実施例3に係る流水検知装置によれば、ユーザの画像からユーザの手洗い状況及びユーザの特定を行うことができるため、手洗い動作を含めてユーザの手洗い管理を行うことができる。
【0060】
[実施例4]
次に、実施例4に係る流水検知装置について説明する。上記の実施例1及び2に係る流水検知装置においては、流水センサを用いて流水を検知する例について説明したが、このような例には限られない。実施例4に係る流水検知装置は、流水センサの代わりに、音声認識のための音響センサを有する点を特徴としている。音響センサとして、例えば、マイクを用いることができる。
【0061】
水栓通水時には、必ずある特定の周波数の音が発生する。そこで、この特定の周波数の音をマイクで取得することにより、流水の有無を検知することができる。さらに、流水の量が大きいほど、大きな音が発生すると考えられる。そこで、予め流水量と発生する音の音量との対応関係を関連付けたデータを用意しておけば、流水によって生じる音から流水量をある程度推定することができる。流水量を推定することができれば、手洗いに必要な量以上の水を使用して手洗いを行っているユーザ(作業者)を特定することができ、水の使用量を適切にするように指導することにより節水にも寄与することができる。
【0062】
さらに、各個人の手洗い動作は、それぞれ特有の動作パターンを有すると考えられ、ユーザは毎回ほぼ同じ動作を繰り返すと考えられる。一方、手洗い動作によって生じる音の時間的変化から、手洗い動作のパターンを推定することができる。従って、各ユーザの手洗い動作によって生じる音の時間的変化に関するデータを予め用意しておけば、取得した音の時間的変化を解析することにより、手洗い動作を行っているユーザを特定することができる。このように、マイクが取得した1つの音声データには、手洗い動作に関する情報とユーザの識別情報の両者が含まれている。
【0063】
実施例4に係る流水検知装置のように、流水センサとして、流水音を検知する音響センサを用いることにより、蛇口が自動水栓式ではない場合であっても、流水の検出を簡便に行うことができる。
【0064】
[実施例5]
次に、実施例5に係る流水検知装置について説明する。実施例5に係る流水検知装置は、流水センサとして、手洗い場に設けた床マットの圧力を検知する圧力センサを用いる点を特徴としている。圧力センサとして、例えば、圧電スイッチを用いることができる。
【0065】
ユーザ(作業者)が床マットに立って手洗いを行うようにすることで、床マットの圧力センサの出力信号から流水の有無を間接的に検出することができる。例えば、床マットに足形を描き、手洗い時は、その足形に足を置くことを前提にすれば、手洗い時間は、マット上の滞在時間に相当すると推定することができる。流水検知装置は、圧力センサの出力信号とユーザの識別情報を1つのデータとして外部に出力するようにしてもよい。
【0066】
実施例5に係る流水検知装置によれば、流水の有無を直接的に検出せずに簡便な方法で流水時間に関するデータを収集することができる。
【0067】
[実施例6]
次に、実施例6に係る流水検知装置について説明する。実施例6に係る流水検知装置は、腕時計に代表される身に着ける電子機器に、加速度センサ及びビーコン機能を持たせて、それぞれ、流水センサ及びビーコンの代わりに利用する点を特徴としている。
【0068】
ユーザ(作業者)が手洗い動作を行う際に、加速度センサは手の動きを認識することができる。また、加速度センサから出力される信号の時間的変化から、手洗い時間を推定することができる。さらに、腕時計等にビーコンの機能を持たせることにより、ユーザの識別情報も同時に収集することができる。ユーザによる手洗い動作を加速度センサが検知した後に、ビーコンを発信し、加速度センサにより手洗いの終了も認識させ、手洗い終了の信号をビーコンに乗せて発信させて、手洗い時間に関する情報を収集するようにしてもよい。腕時計は、加速度センサの出力信号とユーザの識別情報を1つのデータとして出力することが好ましい。
【0069】
実施例6に係る流水検知装置によれば、流水の有無を直接的に検出しなくても、手の動きから手洗い動作を所定の手順に従って行っているか否かや、手洗い時間に関する情報を収集することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 流水検知部
2 流水時間算出部
3 受信部
4 記憶部
5 送信部
6 電源制御部
10 制御部
20 流水センサ
30 識別情報発信器
40 電源
101、102 流水検知装置
200 中継器
300 通信ネットワーク
400 サーバ
500 携帯端末
600 管理端末