(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073552
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】広告回転表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 13/04 20060101AFI20220510BHJP
G09F 19/02 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
G09F13/04 S
G09F19/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020183606
(22)【出願日】2020-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】520428742
【氏名又は名称】アベリチキナ タチヤナ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アベリチキナ タチヤナ
【テーマコード(参考)】
5C096
【Fターム(参考)】
5C096AA01
5C096BA01
5C096BA03
5C096BB07
5C096BB22
5C096BC02
5C096BC04
5C096CC06
5C096DA01
5C096DB18
5C096DB27
5C096DB28
5C096DC03
5C096DC05
5C096DC20
5C096FA02
5C096FA09
(57)【要約】
【課題】広告を表示する複数の表示面を備える中空の多角柱状である広告表示体を回転しながら広告表示体の内側及び外側からそれぞれ選択的に表示面を照明する照明手段により広告の効果を高めることを可能とする広告回転表示装置を提供する。
【解決手段】本発明による広告回転表示装置は、回転台を有する基台と、前記回転台の上に設けられ、広告を表示する複数の表示面を備える中空の多角柱状である広告表示体と、前記広告表示体の内側及び外側からそれぞれ選択的に表示面を照明する照明手段と、前記回転台を回転させる回転手段とを有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転台を有する基台と、
前記回転台の上に設けられ、前記回転台とともに回転しながら広告を表示する複数の表示面を備える中空の多角柱状である広告表示体と、
前記広告表示体の内側及び外側からそれぞれ選択的に表示面を照明する照明手段と、
前記回転台を回転させる回転手段とを有することを特徴とする広告回転表示装置。
【請求項2】
前記広告を表示する複数の表示面は、それぞれが広告媒体を挟み込む2枚で一組の透明または透光性の支持板と、前記一組の支持板を挟んで固定する支持枠とを備えることを特徴とする請求項1に記載の広告回転表示装置。
【請求項3】
前記回転台と前記広告表示体の中空部を貫通する支柱と、支柱に固定される上部ケースとをさらに備え、
前記広告表示体の内側の照明手段は前記支柱に、前記広告表示体の外側の照明手段は前記基台及び/又は前記上部ケースに取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の広告回転表示装置。
【請求項4】
前記基台又は前記上部ケースに配布用広告資料を入れる資料ケースをさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の広告回転表示装置。
【請求項5】
前記広告の表示面は前記支持枠に追加的に取り付け可能な分割枠により複数の表示面に分割され、広告主が支払う広告表示料に応じた面積で広告主に使用可能に提供されることを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の広告回転表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告回転表示装置に関し、特に広告を表示する複数の表示面を備える中空の多角柱状である広告表示体を、回転しながら広告表示体の内側及び外側からそれぞれ選択的に表示面を照明する照明手段により広告の効果を高めることを可能とする広告回転表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商業施設や町中などで通行人に広告を提示する広告パネルや、広告塔が広く利用されている。最近では液晶パネルを利用して動画で広告を提示するものも増えてきており、多様な形の広告提示が可能になってきている。液晶パネルは人目を惹きやすく宣伝効果が得られやすいが、液晶パネルは高価であり、広告の提示費用も高価であるうえ、設置にも据え付け工事などを伴うことが多く設置場所が限られることから、小規模な事業者が広告を行うには向いていない。
【0003】
これに対し、安価で人目を惹きやすい広告として、四角柱や三角柱の枠の周壁に広告を印刷したシートやパネルなどを取り付け、風やモータなどの回転手段を利用して回転するように展示する広告塔も広く使用されている。夜間、周囲が暗くなっても目立つように広告を提示するために、四角柱や三角柱の枠の内部に照明を取り付け、内部から広告用のシートやパネルを照らして遠くからでも視認できるようにする広告表示装置も普及している。
【0004】
特許文献1には、固定軸を中心として回動自在なフレーム構造体の内部に照明装置を設け、透光性を有するシート材をフレーム構造体の外周面を覆うように着脱自在に取り付け、これをモータで駆動して回転させる回転広告塔が開示されている。
しかし特許文献1の回転広告塔は、単純に内部から照明することで広告を描いたシートを明るく照らすものであり、夜間においても視認ができるというだけで特に人目を引くものとはいえない。また広告シートは透光性を有する材料である必要があり、広告のシート材料に制約がある。透光性の広告シートを使うにしても、フレーム構造体の面毎に違う種類の広告を取り付ける場合、それぞれの広告の透光性に違いがあると面毎に明るさのムラができてしまう。
【0005】
透光性の素材に限定されることなく、様々なシートやパネルを着脱可能に取り付け夜間でも広告を目立たせることができ、安価な広告費用で広告の場を提供できる広告回転表示装置の実現が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の広告回転表示装置における問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、広告を表示する複数の表示面を備える中空の多角柱状である広告表示体を回転しながら広告表示体の内側及び外側からそれぞれ選択的に表示面を照明する照明手段により広告の効果を高めることを可能とする広告回転表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明による広告回転表示装置は、回転台を有する基台と、前記回転台の上に設けられ、前記回転台とともに回転しながら広告を表示する複数の表示面を備える中空の多角柱状である広告表示体と、前記広告表示体の内側及び外側からそれぞれ選択的に表示面を照明する照明手段と、前記回転台を回転させる回転手段とを有することを特徴とする。
【0009】
前記広告を表示する複数の表示面は、それぞれが広告媒体を挟み込む2枚で一組の透明または透光性の支持板と前記一組の支持板を挟んで固定する支持枠とを備えることが好ましい。
前記回転台と前記広告表示体の中空部を貫通する支柱と、支柱に固定される上部ケースとをさらに備え、前記広告表示体の内側の照明手段は前記支柱に、前記広告表示体の外側の照明手段は前記基台及び/又は前記上部ケースに取り付けられることが好ましい。
【0010】
前記基台又は前記上部ケースに配布用広告資料を入れる資料ケースを備えることが好ましい。
前記広告の表示面は前記支持枠に追加的に取り付け可能な分割枠により複数の表示面に分割され、広告主が支払う広告表示料に応じた面積で広告主に使用可能に提供されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る広告回転表示装置によれば、広告表示体の内側及び外側からそれぞれ選択的に表示面を照明する照明手段を備えるため、広告表示体に透光性のあるシートやパネルと透光性の無いシートやパネルの広告媒体が混在して取り付けられていても、内側と外側の照明を適宜使い分けて照明することができるので、夜間でも必要な明るさで広告を提示することが可能となる。このため広告主は安価な材料で広告媒体を作成して提示することが可能となる。
【0012】
本発明に係る広告回転表示装置によれば、広告表示体の内側及び外側の照明手段は選択的に使い分けられるので、例えば外側と内側の照明手段による照明を間欠的に入れ替えて、外側の広告表示の空いたところに内側の広告表示を浮き上がらせるように表示するなど照明により広告の演出効果を高めることが可能となる。更に広告表示体の外側の照明手段は広告表示体の上側と下側に配置することができ、例えば広告の水平方向に蛇腹状の凹凸をつけ、上側と下側の照明を間欠的に入れ替えて、蛇腹状の凹凸の上側に描いた模様と下側に描いた模様を交互に浮き立たせるような演出効果も作り出すことが可能となる。
【0013】
また、本発明に係る広告回転表示装置によれば、広告の表示面は追加的に取り付け可能な分割枠により複数の表示面に分割され、広告主の支払う広告表示料に応じて広告表示面を割り当てられるので、広告主はより安価な広告費用で広告を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態による広告回転表示装置の構造を概略的に示す図である。
【
図2】
図1のA-A線に沿った断面から基台側を平面視した図である。
【
図3】本発明の実施形態による広告媒体の取り付け例を概略的に示す図である。
【
図4】本発明の実施形態による広告回転表示装置の支持枠による表示面の分割例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る広告回転表示装置を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態による広告回転表示装置の構造を概略的に示す図である。
【0016】
図1を参照すると、本発明の実施形態による広告回転表示装置1は、回転台11を有する基台10と、回転台11の上に設けられ回転台11とともに回転しながら広告を提示する広告表示体20と、広告表示体20に取り付けられた広告媒体を広告表示体20の内側又は外側から照明する照明手段30と、基台10に取り付けられ、中空の広告表示体20の中を貫通する支柱40と、支柱40の上部に取り付けられる上部ケース50とを有する。
【0017】
本発明の実施形態による広告回転表示装置1は、中空の多角柱状の広告表示体20の側面部に設けられた表示面23に広告を描いたシート又はパネルなどの広告媒体を取り付け、回転しながら広告回転表示装置1の周囲の通行人に広告を提示するものであり、また、照明手段30により、広告表示体20の内側からと外側からとで選択的に表示面23を照明することができるので、広告主は広告媒体の透光性にとらわれることなく、好みの材質のシート状やパネル状の広告媒体により、夜間でも明るく見やすい形で広告を提示することが可能となる装置である。さらに、照明に関しては、
図1には示さない制御部により内側及び外側の照明手段(31、32)を個別に制御することができ、照明手段30の点灯、消灯のタイミング制御、明るさの制御、照射光の色の制御などを行って多様な見せ方で広告を目立つように表示することが可能な装置である。
【0018】
広告回転表示装置1は、このように液晶パネルなどの高価な設備を使用せずに比較的低価格で製作及び設置ができることから、広告費用を安価に抑えることができるが、さらに
図4を参照して後述するように、表示面23を分割して広告主の支払う広告表示料に応じた面積で広告を提示することもできるので、より低価格で広告を提示することを可能とする装置である。
【0019】
図2は、
図1のA-A線に沿った断面から基台側を平面視した図である。以下
図1、2を参照して各構成要素について説明する。
基台10は、広告回転表示装置1全体を支持するものであり、容易に転倒しないための十分な大きさと重量を備える。
図2では、基台10は円柱状の外形を有するように示すがこれに限らず、角柱状でも円錐台や角錐台のような形状でも構わない。基台10の中心には照明手段30の一部や上部ケース50を支持するための支柱40が取り付けられる。基台10の上面側には支柱40の周りに厚肉円筒形状の溝16が設けられ、厚肉円筒形状の溝16には厚肉円筒形状の回転台11が回転可能に収納される。
【0020】
一実施形態では回転台11の底面及び円筒状の内周又は外周側面とこれと対向する厚肉円筒形状の溝16の表面は、組み合わせて滑り軸受を構成するように平滑に形成する。しかし、より円滑な回転を維持するために
図1、2に示す実施形態では回転台11の底面側には放射状に向くように配置した複数のローラ12を備える。
【0021】
回転台11の外周部の一部には歯車の歯が備えられ、基台10には、これと組合せるように駆動用の歯車14を備えたモータ13を含む回転手段15が設けられる。これによりモータ13の回転に合わせて回転台11を回転することができる。
図1、2に示す実施形態では回転手段15はモータ13と歯車14の組み合わせとしたが、他の実施形態では、歯車14の代わりに回転台11とモータ13の駆動軸とをベルトでつないでベルト駆動としてもよい。
【0022】
また、基台10の上面の外周付近には、照明手段30のうちの外側の照明手段32が設けられる。基台10に設けられる外側の照明手段32は、広告表示体20の表示面23を下面側から斜め上方向きに照明する。
図2では、外側の照明手段32は4箇所に設けたが、基台10の上面の外周に沿ってさらに多くの外側の照明手段32を配置してもよい。また
図1では、外側の照明手段32は、基台10の上面の上に載置するように設ける形で示すが、基台10の上面に埋め込むようにして基台10の上面から突出しないように設けてもよい。
【0023】
基台10には図示しないが、回転手段15の回転速度を制御する回転速度制御部と、照明手段30の点灯、消灯のタイミング制御、明るさの制御、照射光の色の制御などを照明手段30ごとに個別に行う照明制御部とを備える制御部を有する。制御部はマイクロコンピュータなどを実装した回路基板として構成される。制御部に指示を入力する制御パネルは基台10に設ける場合、非常停止ボタン以外は鍵のかかる蓋で覆うなどして第3者が容易に変更できないようにすることが好ましい。他の実施形態では制御はリモートコントロールとし、基台10には制御パネルを設けないような構成としてもよい。
【0024】
一実施形態では、制御部は回転手段15の回転状態と照明手段30の明るさや照射光の色の制御などを連動させ、例えば、広告表示体20の表示面23ごとに照明の条件が変わるように、四角柱の広告表示体20では90度回転する毎に照明の条件を変えたり、1周回るごとに照明の条件を変えたりするように制御する。このため、回転台11の回転状況が把握できるように回転台11の回転位置を検知するセンサを設けてもよい。
【0025】
広告表示体20は、側面に広告を表示する表示面23を複数備える中空の多角柱状であり、回転台11に取り付けられ、回転台11の回転に合わせて回転しながら広告を提示する。
図2では広告表示体20が四角柱の実施形態を示すが、広告表示体20は表示面23が3面の三角柱でも、表示面23が4面より多い六角柱や八角柱などの多角柱状でも構わない。
【0026】
広告表示体20のそれぞれの側面は、外周部、即ち広告表示体20の稜の部分には支持枠22が形成され、広告媒体28を2枚で一組の透明または透光性の支持板21で挟み込んだものを支持枠22に挿入する形で固定することで構成される。このため支持枠22は、広告表示体20の1つの側面を正面から見た場合、上辺と下辺及び左右の辺の一方は正面から奥行き方向に切断した断面形状がコの字状に形成され、左右の辺の一方は広告媒体28を挟んだ支持板21の挿入口となるよう端面が開放して形成される。支持板21を挿入後はコーナーカバー29を嵌合するように取付けて広告表示体20の挿入口をカバーする。
【0027】
支柱40は、基台10に回転しないように固定され、広告表示体20の中空部を貫通して上端側で上部ケース50を支持するとともに照明手段30のうちの内側の照明手段31を支持する。実施形態では支柱40は、中空の円管状であり、中空部には内側の照明手段31や上部ケース50に取り付けられる外側の照明手段32に電気を供給する配線コードを収納する。
【0028】
上部ケース50は、広告表示体20の内部に落下物や塵などが入りにくいように中空部分の上部をカバーする。また上部ケース50の下面外周部において、広告表示体20の表示面23を上部から斜めに光を照射する外側の照明手段32を支持する。円柱状又は角柱状の上部ケース50の側面には、配布用広告資料52を収納する資料ケース51が備えられる。
【0029】
表示面23に提示される広告媒体28は目視の情報を提供するだけなので、広告に表示する連絡先や地図などは、それを利用しようとする客は別にメモを取る必要がある。そこで連絡先や地図などを正しく伝えたい広告主は、表示面23に提示した広告に関する資料を配布用広告資料52として資料ケース51にセットし、興味を持つ客に抜き取ってもらうように提供することができる。
【0030】
照明手段30は、内側の照明手段31と外側の照明手段32とから構成される。外側の照明手段32は、基台10又は上部ケース50に設けられる。実施形態では外側の照明手段32は、基台10に取り付けられる下側の照明手段と、上部ケース50に設けられる上側の照明手段とを備える。一実施形態では内側の照明手段31は、直管型のLEDランプであり、他の実施形態では個別のLEDランプを複数縦方向に並べた複合型のLEDランプである。複合型のLEDランプでは、様々な色を発するLEDランプを組み合わせて、照明制御部により同じ発光色のLED毎に供給する電流を制御することで、明るさとともに選択的に照明の色彩を変化させることができる。
【0031】
外側の照明手段32は、基台10又は上部ケース50に円周状に配置するため、個別のLEDランプをスポットライトのように使用する。外側の照明手段32も様々な色を発するLEDランプを組み合わせて、選択的に発光させて色彩を制御するようにしてもよい。
【0032】
図3は、本発明の実施形態による広告媒体の取り付け例を概略的に示す図である。
図3(a)は、広告媒体28が、紙やプラスチックフィルムなど平面的なシートに限られる場合の広告媒体28の取り付け例を示す。また、
図3(b)、(c)は広告媒体28が厚みの異なる場合でも取り付け可能とする取り付け例であって、
図3(b)は、
図3(a)と同様広告媒体28が、紙やプラスチックフィルムなど平面的なシートの場合であり、
図3(c)は広告媒体28が水平方向に蛇腹状の凹凸を有する場合の取り付け例である。
図3はいずれも広告媒体28を挟み込んだ支持板21を支持枠22に挿入後、挿入方向から見た図である。
【0033】
図3(a)を参照すると、シート状の広告媒体28を挟み込んだ一組の支持板21が、支持枠22のコの字状の溝に収まるように挿入される。上下辺の支持枠22の内側には板バネ25が備えられ、支持板21の挟み込む方向に外力を加えて広告媒体28をずれないようにしっかりと挟み込むように固定する。板バネ25は挿入口と反対側の辺の内側にもさらに設け、上下辺に加え、縦方向の1辺でも支持板21の挟み込む方向に押し付けるようにしてもよい。
【0034】
図3(b)を参照すると、支持枠22は、厚みのある広告媒体28も取り付けられるよう、
図3(a)の実施形態より幅広く形成されている。そのため広告媒体28が薄いシート状の場合、一組の支持板21で挟み込んでも、支持枠22の内側の幅に対しては十分薄いため、板バネ25により押し付けられる厚さには満たない。そこでこのような広告媒体28の場合は、板バネ25が適正に機能する厚さとなるようスペーサ26を使用し、スペーサ26を介して支持板21の挟み込む方向に外力を加えるようにする。スペーサ26は、例えば長手方向の両端に支持板21への係止手段を備え、内側に位置する支持板21に係止して支持板21とともに支持枠22に挿入するように使用する。
広告媒体28が例えば厚みのあるパネルのような場合で、これを支持板21で挟み込んだものの厚さが板バネ25により押し付けられる厚さに相当する場合は、スペーサ26は使用しない。
【0035】
図3(c)を参照すると、広告媒体28は水平方向に蛇腹状の凹凸を有する。蛇腹状の凹凸を有する広告媒体28に外側の照明手段32で上斜め方向から照明を行うと上側の斜面に描かれた絵や文字が強調的に表示され、下斜め方向から照明を行うと下側の斜面に描かれた絵や文字が強調的に表示されるので、上側と下側の照明を切り替えながら照明を行うことで、視覚に動的な変化を起こさせ、見るものの注意をひきやすくなる。
【0036】
このような広告媒体28を、そのまま一組の支持板21で挟み込んで、挟み込む方向に外力を加えてしまうと蛇腹部分が押しつぶされて、平坦に近い形で取り付けられることになり、蛇腹状の凹凸が意味をなさないことになる。また挟み込む方向に外力が加わらないように挟んだだけでは蛇腹部分の広告媒体28が下に垂れ下がってきてしまうおそれがある。
【0037】
そこで、実施形態では蛇腹状の凹凸を有する広告媒体28が本来の形を維持したまま提示できるよう、一辺が三角波状の形状を有する広告支持具27を使用する。広告支持具27の三角波状の形状と広告媒体28の蛇腹状の凹凸の形状が一致するように製作することにより、広告媒体28の蛇腹は形状を維持したまま取り付けることが可能となる。広告支持具27を使用することにより、広告媒体28を挟み込んだ一組の支持板21の全体の厚さは厚くなるため、この場合はスペーサ26を使用することなく、支持枠22に挿入し、板バネ25により正しく押圧して広告媒体28を挟み込んだ一組の支持板21をずれないように固定することができる。尚、広告支持具27は幅方向全面にわたって広告媒体28を支持する必要はなく、支持枠22の溝の中に納まる幅であってもよい。
【0038】
ここで、本発明の実施形態による広告回転表示装置1は、外側の照明手段32を有することで、広告媒体28は光を透過する透光性の材料に限られることなく、どんな材質のものでも外側からの照明で明るく表示することができる。しかし、少なくとも一部分に透光性の部分を設けることにより、内側の照明手段31を使用して更なる演出効果をもたらすこともできる。
【0039】
例えば遮光性の材料の一部に強調したい文字やパターンを開口するように設け、必要により透光性のフィルムで蓋をするように形成し、内側の照明手段31と外側の照明手段32の光の強さを適宜入れ替えるように制御することで、開口させた文字やパターン部が点滅するように表示させることもできる。
【0040】
また広告媒体28を複数枚で重ね合わせた構成とし、内側の照明手段31と外側の照明手段32の光の強さや色調を変え、交互に適宜入れ替えるように制御することで、内側の広告媒体28が浮かび上がったり目立たなくなったりするような演出効果をもたせるようにしてもよい。この場合、例えば最も内側の広告媒体28が、影絵若しくはシャドーマスクのような効果をもたらすように、最も内側の広告媒体28のみを遮光体で形成するようにしてもよい。これとは別に、すべての重ね合わせた広告媒体28を透光性のフィルムで構成する場合、それぞれのフィルムの色を変えて製作し、内側の照明手段31をそれぞれのフィルムの色を含むように色調を変化させて照射することで透過光の見え方が変わるので、視覚的な変化をもたらすことが可能である。
このように、広告回転表示装置1は、内側の照明手段31と、上下に備えた外側の照明手段32の使い分けにより、広告の提示に様々な演出効果を組み込むことができる。
【0041】
図4は、本発明の実施形態による広告回転表示装置の支持枠による表示面の分割例を示す図である。
図4を参照すると、基本的な構成は、
図1と同じであるが、
図4の実施形態では分割枠24をさらに有しており、広告表示体20の1つの面が分割枠24により複数の表示面23に分割されている点で相違している。
図1と共通な部分については説明が重複するのでここでの説明は省略する。
【0042】
広告回転表示装置1は、広告主が所有し、宣伝したい広告を広告表示体20の全ての表示面23に広告主が所望する形に取り付けて広告を提示するようにも使用できるが、広告回転表示装置1を所有する装置管理元が、広告主から広告表示料を徴収して広告の提示を許可するような運用にも使用可能である。後者の場合、運用方法にもよるが、広告の表示面積に応じた広告表示料を課すのが妥当である。そこで広告のための費用を抑制したい広告主は広告表示体20の全部の表示面23を使用せず、表示面23を例えば四角柱の4面のうちの1面のみとすることで費用を抑制することができる。
【0043】
図4の実施形態はさらに少ない費用で広告を提示したい広告主の要望に対応するものである。即ち分割枠24を使用して一つの表示面23をさらに複数の表示面23に分割する。
図4に示す実施形態では下から約1/3のところで上下に分割し、さらに下側の部分を左右に2分割している。このため、下側の一方の表示面23に広告を提示する広告主は、1面を分割しないで広告を提示する場合の約1/6の広告表示料を支払えば広告を表示することができる。
【0044】
実施形態では、分割枠24は、広告媒体28とともに一組の支持板21で挟み込まれ、分割枠24より上部に提示される広告媒体28がずれ落ちたりしないように支持する。このため左右に延在する分割枠24は、長手方向の両端に係止手段を備え、一方の支持板21に幅方向に架け渡して固定する。分割枠24を係止しやすいように支持板21の幅方向の辺には連続する凹凸部を形成してもよい。分割枠24を係止する位置を細かく設定することにより、広告主が支払う広告表示料に応じた面積で表示面23を提供することが可能となる。
【0045】
また、縦方向に分割する分割枠24は、左右に延在する分割枠24に係止するようにしてもよいし、左右に延在する分割枠24を下から支持するように取付けてもよい。
予め分割する表示面23の大きさが決まっている場合は例えばT字型のように縦横が一体の構造の分割枠24としてもよい。
【0046】
このように表示面23を分割して使用する場合は、1面内でも照明による演出効果を変える必要が生じ得るので、内側の照明手段31は高さ方向に一本で構成される直管型ランプではなく、縦方向に複数のLEDランプを配列した複合型のランプを使用することが好ましい。この場合、制御部の照明制御部は分割位置に合わせて内側の照明手段31の照明のタイミングや明るさなどを変えられるように構成することが望ましい。
【0047】
ここまで、広告媒体28は広告を描いたシート又はパネルなどとして説明してきたが、広告媒体28は広告を投射するスクリーンで構成し、支持板21で挟んだスクリーンを支持枠22に挿入して広告表示体20に取り付け、広告表示体20の内部に設置したプロジェクターから広告の画像や動画をスクリーンに投射して広告を提示するデジタルポスターとしても使用することができる。一実施形態では内側の照明手段31の一部または全部がプロジェクターである。また他の実施形態では内側の照明手段31に加えてプロジェクターを備え、広告媒体28として広告を描いたシート又はパネルなどとスクリーンとを選択的に入れ替えて使用するようにしてもよい。
また一実施形態では広告媒体28としてスクリーンを使用する場合、分割枠で表示面を分割する代わりに、広告主からの広告表示料に応じた面積で投射する画像上で分割して表示する。
【0048】
このように本発明の実施形態による広告回転表示装置は多様な広告を多様な見せ方で提示することが可能となり、また必要により表示面を分割して広告にかかる費用を削減してより多くの広告主が容易に広告を行うことを可能とする装置である。
【0049】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 広告回転表示装置
10 基台
11 回転台
12 ローラ
13 モータ
14 歯車
15 回転手段
16 溝
20 広告表示体
21 支持板
22 支持枠
23 表示面
24 分割枠
25 板バネ
26 スペーサ
27 広告支持具
28 広告媒体
29 コーナーカバー
30 照明手段
31 内側の照明手段
32 外側の照明手段
40 支柱
50 上部ケース
51 資料ケース
52 配布用広告資料