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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073564
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】調光フィルムの端部封止構造
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20220510BHJP
【FI】
G02F1/1333
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020183628
(22)【出願日】2020-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上村 龍志
【テーマコード(参考)】
2H189
【Fターム(参考)】
2H189AA64
2H189AA67
2H189HA07
2H189LA07
(57)【要約】
【課題】粘着材層の厚さが異なる多品種の封止テープを使用しなくても封止性能が劣化する事が無い、調光フィルムの端部封止構造を提供する。
【解決手段】透明基板4上に配置された調光フィルム3-1の端部断面11-1を封止テープ9により封止する調光フィルムの端部封止構造であって、透明基板上に調光フィルムが配置される事により、調光フィルムの端部に形成された段差を緩和する段差吸収部6-1と、粘着材層2-1を介して、調光フィルムの表面と段差吸収部に跨がって貼付された封止テープ9と、を備えており、段差吸収部は、調光フィルムの端部断面を封止テープにより封止した時に形成される、端部断面と封止テープと透明基板によって囲まれた空間を充填することを特徴とする調光フィルムの端部封止構造10-1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上に配置された調光フィルムの端部断面を封止テープにより封止する調光フィルムの端部封止構造であって、
透明基板上に調光フィルムが配置される事により、調光フィルムの端部に形成された段差を緩和する段差吸収部と、
粘着材層を介して、調光フィルムの表面と段差吸収部に跨がって貼付された封止テープと、を備えており、
段差吸収部は、調光フィルムの端部断面を封止テープにより封止した時に形成される、端部断面と封止テープと透明基板によって囲まれた空間を充填することを特徴とする調光フィルムの端部封止構造。
【請求項2】
請求項1において、前記段差吸収部は、前記空間に対応する形状を備える弾性体であることを特徴とする調光フィルムの端部封止構造。
【請求項3】
請求項1において、前記段差吸収部は、前記段差において、前記調光フィルムの端部断面に密接して貼付された、前記調光フィルムの厚さと同等の厚さを有する、1層の粘着テープまたは2層以上の粘着テープが積層された積層体であることを特徴とする調光フィルムの端部封止構造。
【請求項4】
前記段差吸収部の最も前記端部断面側の厚さが前記調光フィルムの厚さ以下であり、且つ、最も前記端部断面とは反対側の厚さ以上であり、
前記段差吸収部の最も前記端部断面側から最も前記端部断面とは反対側までの長さが1mm~100mmである事を特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の調光フィルムの端部封止構造。
【請求項5】
前記段差吸収部が、前記調光フィルムの端部断面を前記封止テープにより封止した時に形成される、前記端部断面と前記封止テープと前記透明基板によって囲まれた空間において、前記端部断面と前記封止テープと前記透明基板に当接して備えられた球体または楕円体またはそれらを変形させた形状を備えた弾性体からなる事を特徴とする請求項1に記載の調光フィルムの端部封止構造。
【請求項6】
前記段差吸収部の最も厚い部分の厚さが前記調光フィルムの厚さ以下であり、
前記段差吸収部の前記端部断面側の端部から前記端部断面とは反対側の端部までの長さが1mm~100mmである事を特徴とする請求項5に記載の調光フィルムの端部封止構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光モジュールにおける調光フィルムの端部封止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
調光フィルムは、透明フィルム上に透明導電膜が形成された透明導電フィルムの透明導電膜側を内側にして、液晶調光層を積層した積層体である。その様な調光フィルムを使用して、透明基板上に調光フィルムを配置する事により調光モジュールが作製される。
【0003】
調光フィルムは、透明基板のサイズに合わせて切り出される為、端部断面から水分などが液晶調光層に侵入するのを防ぐ為、調光フィルムの端部断面に封止層が形成される。
【0004】
封止層としては、水分や酸素を透過させ難い樹脂材料(封止樹脂)を、調光フィルムの断面に塗布する方法(例えば、特許文献1)や断面を封止樹脂とテープで被覆する方法(例えば、特許文献2)などが知られている。
【0005】
封止テープを用いて、調光モジュールの調光フィルムの端部断面を封止する場合、下地である透明基板と、その上に配置された調光フィルムの端部に形成される段差によって、封止性能が劣化する。段差が小さい場合には、封止性能の劣化は小さいが、段差が大きくなると封止性能への影響が大きくなる。
【0006】
図4(a)は、透明基板4上に比較的薄い調光フィルム3-1が配置されている例を示している。調光フィルム3-1の端部の封止部8-1には、調光フィルム3-1の厚さに相当する段差が形成されている。薄い調光フィルム3-1の場合は、封止部8-1に形成される空間5-1が小さく、封止性能の劣化などの悪影響が小さい。なお、封止に使用する封止テープ9-1は、テープ基材1上に粘着材層2-1が形成されたものである。
【0007】
図4(b)は、調光フィルム3-1より厚い調光フィルム3-2の場合を例示している。封止テープとしては図4(a)と同じ封止テープ9-1を使用している。この場合には、段差が大きくなる為、封止部8-2に形成される空間5-2は、空間5-1より大きくなる。その為、封止性能の劣化は大きくなる。
【0008】
段差が大きくなる事に伴う封止性能の劣化を抑制する目的で、図4(c)に示した様に、粘着材層2-1より厚い粘着材層2-2を使用した封止テープ9-2を使用する場合がある。粘着材層を厚くする事により、粘着材層が薄い場合の空間5-2より小さい空間5-3とする事ができ、封止性能に与える悪影響を抑制する事ができる。
【0009】
また、調光フィルムは、新しい機能を付加させるために、新しい層を追加させる事が想定される。その為、調光フィルムは厚くなる事が考えられる。その様な傾向に対応させて、粘着材層の厚さを変えた多品種の封止テープを用意する事が考えられる。しかしながら、多品種の部材を用意する事は、製造コストの増加につながる為、好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2019-159139号公報
【特許文献2】特開2019-28387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の事情に鑑み、本発明は、粘着材層の厚さが異なる多品種の封止テープを使用しなくても封止性能が劣化する事が無い、調光フィルムの端部封止構造を提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決する手段として、本発明の第1の態様は、透明基板上に配置された調光フィルムの端部断面を封止テープにより封止する調光フィルムの端部封止構造であって、
透明基板上に調光フィルムが配置される事により、調光フィルムの端部に形成された段差を緩和する段差吸収部と、
粘着材層を介して、調光フィルムの表面と段差吸収部に跨がって貼付された封止テープと、を備えており、
段差吸収部は、調光フィルムの端部断面を封止テープにより封止した時に形成される、端部断面と封止テープと透明基板によって囲まれた空間を充填することを特徴とする調光フィルムの端部封止構造である。
【0013】
また、第2の態様は、第1の態様において、前記段差吸収部は、前記空間に対応する形状を備える弾性体であることを特徴とする調光フィルムの端部封止構造である。
【0014】
また、第3の態様は、第1の態様において、前記段差吸収部は、前記段差において、前記調光フィルムの端部断面に密接して貼付された、前記調光フィルムの厚さと同等の厚さを有する、1層の粘着テープまたは2層以上の粘着テープが積層された積層体であることを特徴とする調光フィルムの端部封止構造である。
【0015】
また、第4の態様は、前記段差吸収部の最も前記端部断面側の厚さが前記調光フィルムの厚さ以下であり、且つ、最も前記端部断面とは反対側の厚さ以上であり、
前記段差吸収部の最も前記端部断面側から最も前記端部断面とは反対側までの長さが1mm~100mmである事を特徴とする第1~第3の態様のいずれかに記載の調光フィルムの端部封止構造である。
【0016】
また、第5の態様は、前記段差吸収部が、前記調光フィルムの端部断面を前記封止テープにより封止した時に形成される、前記端部断面と前記封止テープと前記透明基板によって囲まれた空間において、前記端部断面と前記封止テープと前記透明基板に当接して備えられた球体または楕円体またはそれらを変形させた形状を備えた弾性体からなる事を特徴とする第1の態様に記載の調光フィルムの端部封止構造である。
【0017】
また、第6の態様は、前記段差吸収部の最も厚い部分の厚さが前記調光フィルムの厚さ以下であり、
前記段差吸収部の前記端部断面側の端部から前記端部断面とは反対側の端部までの長さが1mm~100mmである事を特徴とする第5の態様に記載の調光フィルムの端部封止構造である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の調光フィルムの端部封止構造は、透明基板上に配置された調光フィルムの端部断面を封止テープにより封止する調光フィルムの端部封止構造において、透明基板上に調光フィルムが配置される事により、調光フィルムの端部に形成された段差を緩和する段差吸収部と、調光フィルムの表面と段差吸収部に跨がって貼付された封止テープと、を備えており、段差吸収部は、前記の段差において、調光フィルムの端部断面に密接して貼付されており、更には、調光フィルムの厚さと同等の厚さを有している1層の粘着テープまた
は2層以上の粘着テープが積層された積層体である。その為、透明基板上に配置された調光フィルムの端部に形成された段差が段差吸収部により解消される。段差が解消された調光フィルムと段差吸収部の上に、封止テープが貼付される事で、段差部に形成された空間による封止性能に与える悪影響を緩和または無くす事ができる。
【0019】
また、段差吸収部としては、積層体に限定する必要は無い。透明基板上に配置された調光フィルムの端部において、調光フィルムの上面と透明基板とに跨って封止テープを貼付した際に、調光フィルムの端部断面と、封止テープと、透明基板と、に囲まれた空間が形成される。その空間を埋める形態を備えた弾性体からなる段差吸収部をその空間に配置または挿入する事によって段差を吸収する事で、封止性能に与える悪影響を緩和または無くす事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の調光フィルムの端部封止構造の断面構造を例示する断面図。
図2】本発明の調光フィルムの端部封止構造の断面構造を例示する断面図。
図3図2の調光フィルムの端部封止構造の断面構造における段差吸収部の形態を説明する断面説明図。
図4】従来の調光フィルムの端部封止構造の断面構造を例示する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1の実施形態>
本発明の調光フィルムの端部封止構造についての第1の実施形態を、図1を用いて説明する。
【0022】
本発明の第1の実施形態における調光フィルムの端部封止構造は、透明基板4上に配置された調光フィルム3-1の端部断面11-1を封止テープ9により封止する調光フィルムの端部封止構造である(図1(a)参照)。
【0023】
透明基板4上に調光フィルム3-1が配置される事により、調光フィルム3-1の端部に段差が形成される。その段差と同等の厚さを備えた段差吸収部6-1を貼付する事により、段差を緩和または段差を無くす事ができる。段差を緩和または解消した状態とした上で、テープ基材1上に粘着材層2-1を備えた封止テープ9を、調光フィルム3-1の表面と段差吸収部6-1に跨がって貼付した構造が、本発明の調光フィルムの端部封止構造10-1である。
【0024】
段差吸収部6-1は、上記の段差において、調光フィルム3-1の端部断面11-1に密接して貼付されている。また段差吸収部6-1は、調光フィルム3-1の厚さと同等の厚さを有しているが、同等の厚さを実現する手段としては、1層の粘着テープを使用して段差吸収部6-1としても良いし、2層以上の粘着テープを積層する事によって得た積層体であっても良い。
【0025】
例えば、段差吸収部6-1の厚さの種類が1種類であっても、2層以上を積層する事によって積層体とする事により、1種類の厚さの粘着テープで対応可能とする事ができる。例えば、段差の高さが2倍であっても、図1(b)に例示した様に、段差吸収部6-2を2層の粘着テープの積層体とする事により、段差を解消または緩和することができる。積層体を構成する段差吸収部6-2の層数は3層以上とする事も可能である。
【0026】
<第2の実施形態>
次に、本発明の調光フィルムの端部封止構造についての第2の実施形態を、図2図3を用いて説明する。
【0027】
本発明の調光フィルムの端部封止構造における第2の実施形態は、透明基板4上に配置された調光フィルム3-2の端部断面11-2を封止テープ9により封止する調光フィルムの端部封止構造10-3である。
【0028】
透明基板4上に調光フィルム3-2が配置される事により、調光フィルム3-2の端部に段差が形成される。本発明の調光フィルムの端部封止構造10-3においては、形成された段差を緩和する段差吸収部7-1と、粘着材層2-1を介して、調光フィルム3-2の表面と段差吸収部7-1に跨がって貼付された封止テープ9と、を備えている。段差吸収部7-1は、第1の実施形態における段差吸収部6-1、6-2とは形状が異なる。
【0029】
段差吸収部7-1は、調光フィルム3-2の端部断面11-2を封止テープ9により封止した時に形成される空間を埋める事ができる形状を備えた弾性体から形成されている。その空間は、端部断面11-2と封止テープ9と透明基板4によって囲まれる事によって形成された空間である。その空間の立体的な形状と全く同一で無くて良い。本発明の段差吸収部7-1は弾性体により構成されている為である。弾性体で形成されている為、微調整を行う事ができる。
【0030】
弾性体は、ゴムの様に、力を加えると、加えられた力の方向に変形し、力を除くと、元の形状に戻る物体である。一般に、固体は弾性を持っているが、特に、変形の程度が大きくても、元の形状に戻る範囲が広い物体を弾性体と呼ぶ。弾性体としては、弾性を持った高分子材料(エラストマーとも称する。)を挙げる事ができる。例えば、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどのゴムを挙げる事ができる。エラストマーは、加熱しても軟化しない熱硬化性エラストマーと、加熱すると流動性を示すが冷却するとゴムとしての性質を取り戻す熱可塑性エラストマーに分けることができる。熱硬化性エラストマーとしては、例えば、一部のウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどを挙げる事ができる。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリスチレン系、ポリオレフィン/アルケン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリイミド系などを挙げる事ができる。
【0031】
図2(a)は、段差がある部分(段差部)において、調光フィルム3-2の上面と透明基板4の表面に跨って封止テープ9を貼付すると、段差部に空間が形成される。その断面形状は、直角三角形に類似した形状となる。
【0032】
図2(a)の空間の断面において、直角三角形に類似した形状が形成されるが、直角三角形の斜辺と長い方の辺との交点に近い位置で、短い方の辺と平行な線で切断する事により、台形を形成する。これは、図2(a)の空間に配置する段差吸収部7-1の断面形状を示すものであり、図3(a)は、その台形を示す図であり、その台形の下底の長さをb、上底の流さをa、上底と下底の距離をc、とした図である。
【0033】
その図3(a)において、bは空間の形状に合わせて作製された段差吸収部7-1(図2(a)参照)の、調光フィルムに密接する側の厚さ、aは調光フィルム3-2側とは反対側における厚さ、cは調光フィルム3-2の端部断面11-2から外側に延伸する方向における段差吸収部7-1の長さ、dは調光フィルムの厚さ、である。
【0034】
本発明においては、図3(a)におけるa、b、c、dは下記の関係を満たしている事が望ましい。
0≦a≦b、0≦b≦d、1≦c≦100。単位はmm(ミリメートル)である。
【0035】
0≦a≦bは、段差吸収部7-1において、調光フィルム3-2側の膜厚bが厚く、調光フィルム3-2から離れるに従って薄くなる形状である事を示す関係式である。これは、図2(a)に示した様に、封止テープ9を調光フィルム3-2の上面から透明基板4の表面に跨って貼付した時に、調光フィルム3-2の端部に自然に形成される空間の形状である。
【0036】
0≦b≦dは、調光フィルム3-2側の膜厚bが、調光フィルム3-2の膜厚d以下である事を示す関係式である。bがdを超える厚さになると、その事により、更に段差が生じる為、好ましくない。
【0037】
1≦c≦100は、調光フィルム3-2の端部断面11-2から外側に延伸する段差吸収部7-1の長さが1mm以上、100mm以下である事を示す関係式である。調光フィルム3-2の厚さは、凡そ0.1mm~0.3mm程度である。例えば、厚さが0.1mmの調光フィルムに対してcを1mmとする場合、段差0.1mmの10倍の長さに亘り封止テープを貼付する事になる。cを100mmとする場合は段差の1000倍となる。以上から、十分な長さに亘り、段差吸収部7-1を形成する事に相当する。これは、段差を吸収する段差吸収部7-1によりなだらかな斜面を形成する事である。この事により、段差部に形成された空間による封止性能に与える悪影響を緩和または無くす事ができる。
【0038】
また、図2(b)に例示した様に、段差吸収部7-2は、調光フィルム3-2の端部断面11-2を封止テープ9により封止した時に形成される空間に、端部断面11-2と封止テープ9と透明基板4に当接して備えられた球体または楕円体またはそれらを変形させた形状を備えた弾性体からなる事であっても良い。
【0039】
図3(b)は、図2(b)の段差部を拡大して示した断面図である。
図3(b)において、dは調光フィルムの厚さ、fは段差吸収部7-2(図2(b)参照)の厚さ、eは調光フィルム3-2の端部断面11-2から外側に延伸する段差吸収部7-2の長さ、である。
【0040】
d、e、fは下記の関係を満たしている事が望ましい。
1≦e≦100、0≦f≦d。単位はmm(ミリメートル)である。
【0041】
1≦e≦100は、調光フィルム3-2の端部断面11-2から外側に延伸する段差吸収部7-2の長さが1mm以上、100mm以下である事を示す関係式である。調光フィルム3-2の厚さは、凡そ0.1mm~0.3mm程度である。例えば、厚さが0.1mmの調光フィルムに対してeを1mmとする場合、段差0.1mmの10倍の長さに亘り封止テープを貼付する事になる。eを100mmとする場合は段差の1000倍となる。以上から、十分な長さに亘り、段差吸収部7-2を形成する事に相当する。これは、段差を吸収する段差吸収部7-2によりなだらかな斜面を形成する事である。この事により、段差部に形成された空間による封止性能に与える悪影響を緩和または無くす事ができる。
【0042】
0≦f≦dは、段差吸収部7-2の厚さfが、調光フィルム3-2の膜厚d以下である事を示す関係式である。fがdを超える厚さになると、その事により、更に段差が生じる為、好ましくない。
【0043】
(透明基板)
透明基板4は、特に限定されないが、例えば、可視光領域の光が80%以上の透過率を備え、且つ着色が無い無色な材料からなる基板であれば使用可能である。例えば、ガラス基板や透明な樹脂基板を好適に使用する事ができる。
【0044】
(調光フィルム)
調光フィルム3-1、3-2は、光の透過/不透過を制御可能な部材であれば特に限定されない。例えば、従来から使用されている2枚の透明導電フィルムの透明導電膜側を向い合せにして、液晶調光層を挟持した積層体からなる調光フィルムを好適に使用することができる。フィルム状ではなく、シート状の樹脂基板の表面に透明導電膜を形成した透明導電シートやガラス基板上に透明導電膜を形成した透明導電ガラス基板を使用したものであっても良い。
【0045】
(封止テープ)
封止テープ9としては、テープ基材1上に粘着材層2-1が備えられた粘着テープであれば良い。
テープ基材1は、透水性や水蒸気透過性が高い樹脂材料を使用しなければ、特に限定する必要は無い。例えば、ポリビニールアルコール、エチレン(30)-ビニルアルコール(70)共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、アイロン6、ポリ塩化ビニル、ポリ乳酸、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、低密度ポリエチレンなどを挙げる事ができる。
粘着材層2-1としては、粘着性を備えた材料であれば特に限定されない。例えば、アクリル系粘着材、ウレタン系粘着材、シリコーン系粘着材などを挙げる事ができる。
【0046】
(段差吸収部)
段差吸収部6-1、6-2は、粘着テープの形態を備えたものである。粘着テープの基材としては、封止テープと同様に、水分や水蒸気の侵入を防ぐ観点から、封止テープと同様の材料を使用すれば良い。粘着テープの粘着材層としても、封止テープと同様の材料を使用すれば良い。
【0047】
段差吸収部7-1、7-2は、成形した弾性体である。
例えば、段差吸収部7-1は、図2(a)に例示した様に、調光フィルム3-2の上面と透明基板4の表面に跨って封止テープ9を貼付する事により、段差部に形成された空間を埋める事ができる形態を備えている必要がある。その断面形状は、直角三角形に類似した形態である。その様な形態の例として、図3(a)に示した様な断面形状が台形の段差吸収部7-1を使用すれば良い。
【0048】
また、段差吸収部7-2は、図2(b)に例示した様に、調光フィルム3-2の上面と透明基板4の表面に跨って封止テープ9を貼付する事により、段差部に形成された空間の中に配置する段差吸収部である。その断面形状は、球体または楕円体またはそれらを変形させた形態である。その様な形態の例として、図3(b)に示した様な断面形状が楕円形の段差吸収部7-2を使用すれば良い。
【符号の説明】
【0049】
1・・・テープ基材
2-1、2-2・・・粘着材層
3-1、3-2・・・調光フィルム
4・・・透明基板
5-1、5-2、5-3・・・空間
6-1、6-2・・・段差吸収部
7-1、7-2・・・段差吸収部
8-1、8-2、8-3・・・封止部
9、9-1、9-2・・・封止テープ
10-1、10-2、10-3、10-4・・・端部封止構造
11-1、11-2・・・端部断面
図1
図2
図3
図4