(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073565
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 75/62 20060101AFI20220510BHJP
B65D 83/02 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
B65D75/62 A
B65D83/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020183629
(22)【出願日】2020-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】今井 健一郎
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA14
3E067AB16
3E067AC03
3E067AC11
3E067BA12A
3E067BB14A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB25A
3E067CA04
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB05
3E067EB17
3E067EE02
3E067EE59
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】包装袋本体の形状を変化させることなく、スティック状の内容物を1本ずつ取り出すことが可能で、かつ再封性を有する包装袋の提供。
【解決手段】包装袋は胴部は前側胴部、および後ろ側胴部から構成され、その間隙にスティック状の内容物を収納する収納部が設けられている包装袋であり、前側胴部には、分岐が設けてあり、分岐には、非シール部が設けてあって、この部分を開封して、内容物の取り出し口を形成可能であり、取り出し口の幅(D)、内容物の長さ(a)、内容物の幅(b)が、(a)>(D)>(b)であって、取り出し口の直下の包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G)、分岐高さから包装袋上部のシール部までの長さ(F)、内容物の長さ(a)が、(G)>(a)>(F)であることを特徴とする、包装袋。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルムを基材として、少なくともシーラント層を有する積層体から構成される矩形の包装袋であって、
包装袋は少なくとも、包装袋上部と包装袋下部と包装袋側部がシールされて密封されており、
胴部は前側胴部、および後ろ側胴部から構成され、その間隙にスティック状の内容物を収納する収納部が設けられている包装袋であり、
前側胴部には、分岐が設けてあり、
分岐は、前側胴部における分岐の高さ位置の折り返し線において、前側胴部の上方向または下方向のいずれにも折り返し可能に、前側胴部から突き出して形成されており、
分岐は前側胴部上方から連続する積層体と、前側胴部下方から連続する積層体とが重ねられてシールされて形成されており、
分岐には、非シール部が設けてあって、この部分を開封して、収納部と包装袋外部を接続する、内容物の取り出し口を形成可能であり、
取り出し口の幅(D)、内容物の長さ(a)、内容物の幅(b)が、
(a)>(D)>(b)
であって、
取り出し口の直下の包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G)、分岐高さから包装袋上部のシール部までの長さ(F)、内容物の長さ(a)が、
(G)>(a)>(F)
であることを特徴とする、包装袋。
【請求項2】
包装袋下部のシール幅は、包装袋幅方向の位置によって異なり、
取り出し口の直下において、
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G)、内容物の長さ(a)が、
(G)>(a)
であって
取り出し口の直下以外では、
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G)、内容物の長さ(a)が、
(G)<(a)
であることを特徴とする、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記取り出し口の直下において、
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G)、内容物の長さ(a)が、
(G)>(a)
であって、かつ包装袋下部のシール幅は最小値であり、
取り出し口の直下以外では、
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G)、内容物の長さ(a)が、
(G)<(a)
であって、かつ取り出し口の直下から幅方向に離れるにしたがって、包装袋下部のシール幅が大きくなるよう傾斜がついていることを特徴とする、請求項1に記載の包装袋。
【請求項4】
包装袋には、切り込みが分岐の側部のシール部と、包装袋側部のシール部とに設けられており、
前記分岐を、下方向に折り返した際には、これらの切り込みを噛み合わせて、分岐を下方向に折り返したまま係留、保持できることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれかに記載の包装袋。
【請求項5】
前記分岐には、レーザー光線による前記積層体へのハーフカットによる開封誘導線が設
けられており、内容物取り出しのための取り出し口の形成が、手指を用いて容易に可能であることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれかに記載の包装袋。
【請求項6】
前記積層体は、無機化合物の蒸着層をガスバリア層として含むことを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれかに記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に関するものである。特に菓子やたばこなどのようなスティック状の内容物を一本ずつ取り出すことができ、かつ取り出し口を簡易に再封することが可能な包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装袋は、プラスチックフィルムを基材とする単体または積層体から構成されるものが広く普及しており、さまざまな形態のものが、幅広い用途に用いられており、人々の生活にとっては不可欠なものとなっている。
【0003】
包装袋は、例えば液体容器としても用いられ、飲料のほかレトルト食品や菓子などの食品分野でも広く用いられているほか、日用品やトイレタリーの分野でも、さまざまな商品がスーパーマーケットやドラッグストア、コンビニエンスストアの商品棚をにぎわしている。液体容器のほかにも、様々な用途展開がなされている。
【0004】
内容物の形態も様々で、一個ずつ取り出したいものもあれば、特に細長い形態のものは一本ずつ取り出したり、あるいは小出しに一部を取り出した後、都度再封を繰り返し行うことが求められる用途もある。
【0005】
また包装袋の外側から見える層への高精細の印刷によって、商品のイメージアップを図ることができ、内容物に関する必要な情報を表示することが可能であり、バーコードの印刷などは、商品の流通や在庫管理、マーケティング情報の源泉ともなっている。
【0006】
包装袋の利点は、缶や瓶などの容器に比べて、価格が安いことや、要求品質によってきめ細かい材料設計で対応できる点、あるいは内容物充填前、および流通や保管においても軽量で省スペースであることが挙げられる。また包装袋は、廃棄物を減らすという観点からも環境適応型であるといえる。
【0007】
特に使い勝手にも利点を有し、たとえば、開封が容易である点があげられる。すなわち包装袋の開封予定線に沿って切り裂いて容易に開封することが可能である。
【0008】
内容物の取り出しにおいても一層の利便性が図られており、開封口の再封性の容易さに加えて、開封口の形状の保持などにも様々な工夫がなされている。
【0009】
例えば再封性については、包装袋にプラスチック製のパーツを溶着する方法も知られているが、コストや包装袋自体の強度の点から、菓子などの一次包装には適していない。
【0010】
また、特許文献1には、プラスチック製のパーツを溶着する方法以外の方法で再封性が提案されているが、内容物は液体を想定したものであって、内容物の取り出しには包装袋の変形を伴う形状であるため、個体である例えば菓子などの包装には適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであって、包装袋本体の形状を変化させることなく、スティック状の内容物を1本ずつ取り出すことが可能で、かつ再封性を有する包装袋の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
プラスチックフィルムを基材として、少なくともシーラント層を有する積層体から構成される矩形の包装袋であって、
包装袋は少なくとも、包装袋上部と包装袋下部と包装袋側部がシールされて密封されており、
胴部は前側胴部、および後ろ側胴部から構成され、その間隙にスティック状の内容物を収納する収納部が設けられている包装袋であり、
前側胴部には、分岐が設けてあり、
分岐は、前側胴部における分岐の高さ位置の折り返し線において、前側胴部の上方向または下方向のいずれにも折り返し可能に、前側胴部から突き出して形成されており、
分岐は前側胴部上方から連続する積層体と、前側胴部下方から連続する積層体とが重ねられてシールされて形成されており、
分岐には、非シール部が設けてあって、この部分を開封して、収納部と包装袋外部を接続する、内容物の取り出し口を形成可能であり、
取り出し口の幅(D)、内容物の長さ(a)、内容物の幅(b)が、
(a)>(D)>(b)
であって、
取り出し口の直下において、
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G)、分岐高さから包装袋上部のシール部までの長さ(F)、内容物の長さ(a)が、
(G)>(a)>(F)
であることを特徴とする、包装袋
である。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、
包装袋下部のシール幅は、包装袋幅方向の位置によって異なり、
取り出し口の直下において、
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G)、内容物の長さ(a)が、
(G)>(a)
であって
取り出し口の直下以外では、
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G)、内容物の長さ(a)が、
(G)<(a)
であることを特徴とする、請求項1に記載の包装袋
である。
【0015】
また請求項3に記載の発明は、
取り出し口の直下において、
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G)、内容物の長さ(a)が、
(G)>(a)
であって、かつ包装袋下部のシール幅は最小値であり、
取り出し口の直下以外では、
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G)、内容物の長さ(a)が、
(G)<(a)
であって、かつ取り出し口の直下から幅方向に離れるにしたがって、包装袋下部のシール
幅が大きくなるよう傾斜がついていることを特徴とする、請求項1に記載の包装袋
である。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、
包装袋には、切り込みが分岐の側部のシール部と、包装袋側部のシール部とに設けられており、
前記分岐を、下方向に折り返した際には、これらの切り込みを噛み合わせて、分岐を下方向に折り返したまま係留、保持できることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれかに記載の包装袋
である。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、
前記分岐には、レーザー光線による前記積層体へのハーフカットによる開封誘導線が設けられており、内容物取り出しのための取り出し口の形成が、手指を用いて容易に可能であることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれかに記載の包装袋
である。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、
前記積層体は、無機化合物の蒸着層をガスバリア層として含むことを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれかに記載の包装袋
である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、包装袋本体の形状を変化させることなく、スティック状の内容物を1本ずつ取り出すことが可能で、かつ再封性を有する包装袋の提供が可能である。
【0020】
前側胴部には分岐が設けてあり、分岐には非シール部が設けてあって、この部分を開封して、収納部と包装袋外部を接続する内容物の取り出し口を形成可能であることによって、分岐に形成された取り出し口から、スティック状の内容物を一本ずつ取り出すことが可能である。
【0021】
また、分岐を前側胴部の下方向に折り返すことが可能であることによって、内容物を取り出した後、包装袋を再封することが可能である。
【0022】
また、取り出し口の幅(D)、内容物の長さ(a)、内容物の幅(b)が、
(a)>(D)>(b)
であることによって、取り出しは取り出し口から内容物を長手方向にのみ引きだして取り出すことができ、(a)>(D)であることによって予期しないこぼれだしを防止することが可能である。
【0023】
また、取り出し口の直下において、
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G)、分岐高さ位置から包装袋上部のシール部までの長さ(F)、内容物の長さ(a)が、
(G)>(a)>(F)
であることによって、包装袋として必要な収納、取り出しが可能であり、一方で再封した後の予期しないこぼれだしを防止することが可能である。
【0024】
また請求項2に記載の発明によれば、
包装袋下部のシール幅は、包装袋幅方向の位置によって異なり、
取り出し口の直下において、
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G)>内容物の長さ(a)であって、
取り出し口の直下以外では、
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G)<内容物の長さ(a)
であることによって、取り出しは取り出し口の直下からのみ、内容物を長手方向に引きだして取り出すことができ、それ以外の内容物については、予期しないこぼれだしを防止することが可能である。
【0025】
また請求項3に記載の発明によれば、
取り出し口の直下において、
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G)>内容物の長さ(a)であって、かつ包装袋下部のシール幅は最小値であり、
取り出し口の直下以外では、
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G)<内容物の長さ(a)
であって、
かつ取り出し口の直下から幅方向に離れるにしたがって、包装袋下部のシール幅が大きくなるよう傾斜がついていることによって、取り出しは取り出し口の直下からのみ、内容物を長手方向に引きだして取り出すことができ、残りの内容物を取り出し口の直下に向かって、傾斜に沿って順次移動させて、取り出し口から一本ずつ取り出すことにより効果的である。
【0026】
また、請求項4に記載の発明によれば、
分岐を、下方向に折り返した際には、分岐の側部のシール部に設けられた切り込みと、包装袋側部のシール部に設けられた切り込みとが噛み合って、分岐を下方向に折り返したまま係留、保持できることによってより再封の確実性を高めることができる。
【0027】
また請求項5に記載の発明によれば、
分岐には、レーザー光線による前記積層体へのハーフカットによる開封誘導線が設けられていることによって、手指による容易な開封が可能である。
【0028】
また請求項6に記載の発明によれば、積層体は、無機化合物の蒸着層をガスバリア層として含むことによって、保存環境による内容物の変質、劣化を防止することが可能であり長期保存性の向上などに効果的である。あるいは、内容物の香りや揮発成分の、包装袋外部への漏れ出しや散逸を抑制することが可能である。
【0029】
また無機化合物のガスバリア層であることによって、透明性を有した積層体とすることができ、包装袋の内部や、内容物を外側から可視とすることができ、取り出しにも利便性が高く、また内容物の残量の確認などにも利便性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明係る包装袋の一実施態様を説明するための平面(一部斜視)模式図である。
【
図2】
図2は、本発明係る包装袋の、他の実施態様を説明するための平面(一部斜視)模式図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る包装袋の
図2に示す実施態様において、各部の寸法と関係を説明するための平面模式図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る包装袋の
図2に示す実施態様において、開封の様子を説明するための平面(一部斜視)模式図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る包装袋の
図2に示す実施態様において、開封後、取り出し口から内容物を取り出す様子を説明するための平面(一部斜視)模式図である。
【
図6】
図6は、本発明に係る包装袋の
図2に示す実施態様において、取り出し口から内容物を取り出した様子を説明するための平面(一部斜視)模式図である。
【
図7】
図7は、本発明に係る包装袋の
図2に示す実施態様において、取り出し口から内容物を取り出した後、再封の様子を説明するための平面(一部斜視)模式図である。
【
図8】
図8は、本発明に係る包装袋の
図2に示す実施態様において、取り出し口から内容物を取り出した後、再封が完了した状態を説明するための平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を
図1~
図8を参照しながら、更に詳しい説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0032】
図1は、本発明係る包装袋の一実施態様を説明するための平面(一部斜視)模式図である。
【0033】
本発明は、プラスチックフィルムを基材として、少なくともシーラント層を有する積層体から構成される矩形の包装袋(100)である。したがって包装袋(100)は可撓性を有している。その胴部は前側胴部(10)、および後ろ側胴部(11)から構成され、その間隙をスティック状の内容物(30)を収納する収納部とする包装袋(100)である。
【0034】
また、包装袋(100)は、シーラント層同士を対向させてシールすることによって製袋されており、包装袋上部(12)と包装袋下部(13)と包装袋側部(14)がシール部(20)でシールされて密封されている。
図1に示す例においては、包装袋側部(14)は、左右両側部がシールされている例である。
【0035】
これらのシールによって包装袋(100)は密封されているが、順序としては内容物(30)の収納後に包装袋上部(12)がシールされ、包装袋(100)の密封が完了する。
図1に示す例においては、内容物(30)はスティック状の内容物(30)が8本収納されている例である。
【0036】
胴部は前側胴部(10)、および後ろ側胴部(11)から構成され、前側胴部(10)には、分岐(15)が設けてある。
【0037】
分岐(15)は、前側胴部(10)における分岐の高さ位置(K)の折り返し線(17)において、前側胴部(10)の上方向または下方向のいずれにも折り返し可能に、前側胴部(10)から突き出して形成されている。
【0038】
また、分岐(15)は前側胴部(10)上方から連続する積層体と、前側胴部(10)下方から連続する積層体とがシーラント同士が対向して重ねられて、シールされて形成されている。
【0039】
分岐(15)には、非シール部(16)が設けてあって、この部分を開封して、収納部と包装袋外部を接続する、内容物(30)の取り出し口を形成可能であり、開封は例えば開封予定線(18)を切り裂くことによって、分岐(15)に取り出し口を形成することができる。
【0040】
取り出し口は、包装袋(100)の胴部の内容物(30)を収納する収納部から連続して、非シール部(16)の、分岐の高さ位置(K)から、開封予定線(18)で切り裂いて形成される開口部に至る筒状の部分である。この取り出し口の開口部が形成された様子
は、後段で説明を加える
図4~
図6において示す。
【0041】
また、本発明による包装袋(100)において、取り出し口の幅(D)、内容物の長さ(a)、内容物の幅(b)は、
(a)>(D)>(b)
である。
【0042】
また、本発明による包装袋(100)において、取り出し口の直下(L)の、包装袋下部(13)のシール部(20)から分岐高さ位置までの長さ(G)、分岐高さ位置から包装袋上部(12)のシール部(20)までの長さ(F)、内容物の長さ(a)は、
(G)>(a)>(F)
である。
【0043】
この関係であることによって、内容物(30)は包装袋(100)から、分岐(15)が上方に折り返されているときには、取り出し口を経由して取り出すことが可能になり、分岐(15)が下方に折り返されて再封された時には、取り出し口からの予期しないこぼれだしを防止することができる。
【0044】
すなわち、本発明による包装袋(100)は、開封した後、分岐(15)を上方向に折り返して内容物(30)を取り出す出すことができる。取り出しは、取り出し口の直下(L)にある内容物(30)から順次取り出すことができる。
【0045】
また、分岐(15)を下方向に折り返すことによって再封することができる。再封をより確実なものとするために、分岐(15)の側部のシール部に、分岐側部の切り込み(23)、および包装袋側部(14)のシール部(20)に、包装袋側部の切り込み(21)を設けておくことができ、この切込み同士を噛み合わせて、取り出し口が形成された分岐(15)を、前側胴部(10)に接触させ、係留して保持することができる。
【0046】
分岐側部の切り込み(23)、および包装袋側部の切り込み(21)は、包装袋(100)の左右いずれか一方に一対で設けるのでも良く、左右両方にそれぞれ一対で設けるのでも良い。
図1に示す例においては、左右両方に設ける例である。
【0047】
図2は、本発明係る包装袋の、他の実施態様を説明するための平面(一部斜視)模式図である。
【0048】
本発明において、包装袋下部(13)のシール幅は、包装袋幅方向の位置によって異なるものとすることができる。
取り出し口の直下(L)において、
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G)>内容物の長さ(a)
である。
【0049】
また、取り出し口の直下(L)以外では、
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G)<内容物の長さ(a)
とすることができる。
【0050】
この場合には、取り出し口の直下(L)においては、スティック状の内容物(30)は収納部内で垂直の状態で配置することができ、取り出し口からさらに上方に向けて移動して、容易に取り出すことが可能である。
【0051】
しかしながら、そのほかの内容物(30)は、包装袋下部のシール部から分岐高さ位置
までの長さ(G)<内容物の長さ(a)
となっている場合には、包装袋(100)の収納部内で、分岐の高さ位置(K)よりも上に出てしまい、取り出し口から垂直に取り出すことは困難である。したがって、内容物の予期せぬこぼれだしを防止することができる。
【0052】
これとは別に、
図2に示す例においては、
取り出し口の直下(L)において、
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G)>内容物の長さ(a)
であって、かつ包装袋下部のシール幅は最小値であり、
取り出し口の直下(L)以外では、包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G)<内容物の長さ(a)であって、
かつ取り出し口の直下(L)から幅方向に、
図2に向かって右側に離れるにしたがって、包装袋下部(13)のシール幅が大きくなるよう傾斜がついている例である。
【0053】
この場合には、取り出し口の直下(L)のスティック状の内容物(30)を取り出した後、残った内容物(30)を向かって左側のものから、傾斜に沿って取り出し口の直下(L)に移動させて、順次取り出すことが可能である。この傾斜があることによって、移動をより円滑に行うことができる。
【0054】
この場合には、取り出し口の直下(L)以外では、
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G)<内容物の長さ(a)
であるために、
取り出し口以外からの内容物(30)の取り出しは困難であって、予期しない内容物(30)のこぼれだしを防止することに効果的である。
【0055】
図3は、本発明に係る包装袋の
図2に示す実施態様において、各部の寸法と関係を説明するための平面模式図である。
【0056】
ここでは、本発明に係る包装袋の一実施態様において、各部の長さもしくは幅を下記のように定義し、それらの関係について説明を加える。
【0057】
図3に示す例において、包装袋(100)の分岐(15)は前側胴部(10)から前方に向かって突き出して、上方に向かって折りたたまれている状態である。したがって
図3は、前側胴部(10)から見た平面図摸式である。
【0058】
本発明において、包装袋(100)は矩形の包装袋であり、少なくとも、包装袋上部(12)と包装袋下部(13)と包装袋側部(14)がシールされている。また分岐(15)は、内容物(30)取り出しのための、取り出し口を形成するための非シール部(16)を有している。
【0059】
一方、収納されている内容物(30)はスティック状であって、その寸法は、内容物の長さ(a)、および内容物の幅(b)で示されている。
【0060】
図3に示す例においては、包装袋下部(13)のシール幅は、包装袋幅方向の位置によって異なる例であって、左端の包装袋下部のシールの最小幅(A)から、右端の包装袋下部のシールの最大幅(B)にかけて、斜めの勾配が設けてある。
【0061】
また、包装袋(100)の全体の高さは、下端部(21)から上端部(22)までの長さである。したがって下端部(21)から分岐の高さ位置(K)までの長さ(C)と、分岐の高さ位置(K)から分岐高さ位置から包装袋上部(12)のシール部(20)までの
長さ(F)と、包装袋上部(12)のシール幅とを足し合わせたものとなる。
【0062】
分岐(15)の長さ(E)は、分岐の高さ位置(K)から分岐の上端部(23)までの長さである。分岐(15)には非シール部(16)が設けてあって、この非シール部によって取り出し口形成することができる。
【0063】
前述のように、取り出し口は、包装袋の胴部の内容物(30)を収納する収納部から連続して、非シール部(16)の、分岐の高さ位置(K)から、開封予定線(18)で切り裂いて形成される開口部に至る筒状の部分である。この取り出し口の開口部が形成された様子は、後段において説明を加える
図4~
図6において示す。
【0064】
取り出し口の幅は、取り出し口の幅(D)として示されている。取り出し口の形成は、開封予定線(18)を切り裂いて形成することが可能である。
【0065】
本発明においては、取り出し口の幅(D)、内容物の長さ(a)、内容物の幅(b)が、
(a)>(D)>(b)
である。
【0066】
また、取り出し口の直下において、包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G)、分岐高さ位置から包装袋上部のシール部までの長さ(F)、内容物の長さ(a)が、
(G)>(a)>(F)
であることを特徴とする。
【0067】
これによって、包装袋(100)本体の形状を変化させることなく、スティック状の内容物(30)を1本ずつ取り出すことが可能で、かつ再封性を有する包装袋(100)の提供が可能となる。
【0068】
図4は、本発明に係る包装袋の
図2に示す実施態様において、開封の様子を説明するための平面(一部斜視)模式図である。
【0069】
包装袋(100)の開封は、分岐(15)に設けられた開封予定線(18)を切り裂いて、分岐(15)に取り出し口の開口部(22)を形成して行なうことができる。こうして取り出し口(24)が形成される。
【0070】
この開封予定線(18)の切り裂きは、ハサミやカッターなどの器具を用いて切り裂くこともできるが、例えば、易開封機構によって切り裂くことも可能であって、開封予定線(18)は、レーザー光線によるハーフカットで設けられた開封誘導線とすることもできる。
【0071】
開封予定線(18)、または開封誘導線は、包装袋(100)の外側から可視の層に、例えば印刷などの方法を用いて表示することも可能で、目視でこれを視認することができれば、開封作業において利便性が一層高まる。
【0072】
ハーフカットは、包装袋(100)を構成する積層体に脆弱部を設けるものであって、手指による容易な開封が可能になる。なお、ハーフカットは連続した線であっても、断続的な破線であっても構わない。分岐(15)から切り取った部分は、
図4中破線の矢印のように分離、除去することができる。
【0073】
ちなみに、積層体にハーフカットを設ける際には、後述のガスバリア層を損傷したり貫通することないように設ける必要がある。損傷や貫通がある場合には、ガスバリア層のガスバリア性の低下は免れず、その目的とする長期保存性の付与などに支障をきたすおそれがある。
【0074】
図5は、本発明に係る包装袋の
図2に示す実施態様において、開封後、取り出し口から内容物を取り出す様子を説明するための平面(一部斜視)模式図である。
【0075】
形成された取り出し口の開口部(22)からは、スティック状の内容物(30)を
図5中の太矢印の方向に一本ずつ取り出すことができる。取り出し方法には特段の限定を加えるものではなく、例えば、包装袋(100)の下部を押して、取り出し口の開口部(22)からもう一方の手指を用いて、
図5中の太矢印の方向につまみ出すなどして容易に取り出すことが可能である。
【0076】
また、前述のように本発明において、取り出し口の幅(D)、内容物の長さ(a)、内容物の幅(b)は、
(a)>(D)>(b)
である。
【0077】
すなわち、
図5から見て取れるように、取り出しは取り出し口から内容物を長手方向にのみ引きだして取り出すことができ、(a)>(D)であることによって、それ以外の予期しないこぼれだしを防止することが可能である。
【0078】
図6は、本発明に係る包装袋の
図2に示す実施態様において、取り出し口から内容物を取り出した様子を説明するための平面(一部斜視)模式図である。
【0079】
内容物(30)のうち、はじめの一本が取り出された後は、
図6に示す状態においては、包装袋(100)内に収納されていた8本の内容物(30)は、残り7本となっている状態である。
【0080】
収納されている残り7本の、
図6に向かって左端の内容物(30)は、取り出し口の直下(L)に移動することができ、次の取り出しが可能な状態とすることができる。その他の内容物(30)も順次左方向へ移動することが可能な状態である。
【0081】
この移動は、取り出し口の直下(L)から、幅方向の右方向に離れるにしたがって、包装袋下部(13)のシール幅が大きくなるよう、傾斜がついていることによってより容易に行うことができる。
【0082】
図7は、本発明に係る包装袋の
図2に示す実施態様において、取り出し口から内容物を取り出した後、再封の様子を説明するための平面(一部斜視)模式図である。
【0083】
包装袋(100)の再封は、分岐(15)を、分岐の高さ位置(K)の折り返し線(17)で、
図7中下向きの矢印のように、下方に折り返して行うことができる。この折り返しによる再封によって取り出し口の開封口(22)は下方に移動して、かつ開封口(22)が下向きになるために、包装袋(100)に残った内容物(30)は外に出ることがない。
【0084】
すなわち再封によって、予期せぬこぼれだしを防止することができ、内容物(30)を包装袋(100)の内部にとどめおくことができる。また、この再封は内容物(30)の取り出しの都度、繰り返し行うことができる。
【0085】
図8は、本発明に係る包装袋の
図2に示す実施態様において、取り出し口から内容物を取り出した後、再封が完了した状態を説明するための平面模式図である。
【0086】
本発明においては、
図6で示したように、分岐(15)を下方向に折り返して再封した際に、さらに分岐(15)に設けられた分岐側部の切り込み(23)と、包装袋側部のシール部(14)に設けられた、包装袋側部の切り込み(21)とを噛み合わせて、分岐(15)を下方に折り返して再封したまま係留、保持することが可能である。
【0087】
この分岐側部の切り込み(23)と、包装袋側部の切り込み(21)との噛み合わせによる係留は、包装袋側部(14)の左右どちらか一方でもよく、両方でも構わない。
図8に示す例では、包装袋(100)の両側の側部に設けた例である。
図8において、左右に〇で囲んで表示した部分である。切り込みを左右両方に設ける場合には、分岐(15)をより強固に係留、保持することが可能であり、再封をより確実なものとすることができる。
【0088】
このようにして、本発明によれば、包装袋本体の形状を変化させることなく、スティック状の内容物を1本ずつ取り出すことが可能で、かつ再封性を有する包装袋(100)の提供が可能である。
【0089】
ここで、本発明による包装袋(100)の積層体を構成する材料について、個々に説明を加える。
【0090】
本発明による包装袋(100)は、シーラント層を備えるフィルムからなる。すなわち、基材としてプラスチックフィルムを用い、シーラント層を有する積層体からなるものである。
【0091】
プラスチックフィルムは、高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロンー6、ナイロンー66等)、ポリイミドなどが使用でき、包装袋(100)の用途に応じて適宜選択される。
【0092】
特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートをプラスチックフィルムとする場合は、フィルム強度と価格においてより好ましい。そのほか延伸ポリアミドフィルムを用いる場合には、積層体に突き刺しに対する強靭性や、衝撃に対する強靭性を付与することができる。
【0093】
またプラスチックフィルムは、接着剤層を介して他の層と積層して積層体とすることができる。積層体の層構成やその材料構成、厚さなどは、包装袋(100)に対する要求品質に応じて適宜設計することができる
【0094】
例えば積層体には、必要な機能を有する層を含むことができる。たとえば内容物の保存性を向上させることなどを目的として、包装袋(100)を構成する積層体中に、着色フィルムなど紫外線を遮蔽する不透明層を設けることができる。
【0095】
ほかにも例えば内容物の長期保存性の向上、あるいは環境条件による内容物の劣化、変質を防止、また内容物からの揮発成分の漏洩の防止などを目的とした、ガスバリア層を設けることが可能である。ガスバリア層には、無機化合物の蒸着層を用いることが可能である。
【0096】
あるいは、積層体中にガスバリア層を設ける手段として、たとえば、プラスチックフィルムの表面にあらかじめ無機化合物を蒸着して膜形成した、ガスバリアフィルムを積層して用いることができる。
【0097】
また、アルミニウムなどの金属箔や、金属蒸着膜もガスバリア層として有効ではあるが、電子レンジでの加熱が想定される場合などには、高周波によるスパークなどが発生するために不適当である。
【0098】
また、本発明による包装袋(100)のように、例えばスティック状の内容物(30)を順次取り出すような場合には、無機化合物のガスバリア層は透明であるから、内容物(30)の状態や残存数が包装袋外側から可視であることが、使い勝手の点でより好ましい。
【0099】
ガスバリアフィルムの場合には、用いられるプラスチックフィルムは、高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロンー6、ナイロンー66等)、ポリイミドなどが使用でき、用途に応じて適宜選択される。特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートをプラスチックフィルム基材とする場合は、フィルム強度と価格においてより好ましい。
【0100】
ガスバリアフィルムの場合、ガスバリア層は無機化合物の蒸着層、ウエットコーティング法による層で構成することができ、プラスチックフィルムにアンカーコートを設けた後、蒸着層、ウエットコーティング層を順次設ける。
【0101】
ガスバリアフィルムのアンカーコート層には、例えばウレタンアクリレートを用いることができる。アンカーコート層の形成には、樹脂を溶媒に溶解した塗料をグラビアコーティングなど印刷手法を応用したコーティング方法を用いて塗膜形成するほか、一般に知られている他のコーティング方法を用いて塗膜形成することができる。
【0102】
蒸着層を形成する方法としては,SiOやAlOなどの無機化合物を真空蒸着法を用いて、アンカーコート層を設けたプラスチックフィルム上にコーティングし、真空蒸着法による無機化合物層を形成することができる。ちなみに蒸着層の厚みは15nm~30nmが良い。
【0103】
この真空蒸着法による無機化合物層の上に、更にウエットコーティング法による層を形成することができ、その方法としては、水溶性高分子と、(a)一種以上のアルコキシドまたはその加水分解物、または両者、あるいは(b)塩化錫の、少なくともいずれかひとつを含む水溶液あるいは水/アルコール混合水溶液を主剤とするコーティング剤をフィルム上に塗布し、加熱乾燥してコーティング法による無機化合物層を形成しコーティング層とすることができる。このときコーティング剤にはシランモノマーを添加しておくことによってアンカーコート層との密着の向上を図ることができる。
【0104】
無機化合物層は真空蒸着法による層のみでもガスバリア性を有するが、ウエットコーティング法による無機化合物層を、真空蒸着法による無機化合物層に重ねて形成し、ガスバリア層とすることができる。
【0105】
これら2層の複合により、真空蒸着法による無機化合物層とウエットコーティング法による無機化合物層との界面に両層の反応層を生じるか、或いはウエットコーティング法による無機化合物層が真空蒸着法による無機化合物層に生じるピンホール、クラック、粒界などの欠陥あるいは微細孔を充填、補強することで、緻密構造が形成される。
【0106】
そのため、ガスバリアフィルムとしてより高いガスバリア性、耐湿性、耐水性を実現するとともに、外力による変形に耐えられる可撓性を有するため、包装材料としての適性も具備することができる。
【0107】
またガスバリア層として、たとえばSiOを用いる場合にはその被膜は透明であるために、内容物を包装袋の外側から目で見ることが可能である。これらは、用途、要求品質によって適宜使い分けをすればよい。また、包装袋(100)に印刷層を設ける場合には、一部を印刷層を設けない部分としておくことによって、この部分を窓とすることも可能である。
【0108】
前述のように、本発明による包装袋(100)は、シーラント層を有する積層体からなるものである。
【0109】
シーラント層は、2枚の積層体をシーラント層同士が対向するように重ねて、加熱、加圧して例えばヒートシールすることによって互いを接着させ、包装袋(100)に製袋することを可能にする。
【0110】
シーラント層の材質としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)を使用することができる。
【0111】
また、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。
【0112】
シーラント層の形成には、押出機などを用いて溶融した樹脂を製膜して、積層体上に層形成することができる。あるいは、あらかじめフィルムの状態に製膜してある材料を、ラミネートによって積層することによって、積層体の表面にシーラント層を形成することも可能である。
【0113】
また、必要に応じて、商品としてのイメージアップ、内容物についての必要な情報表示、また意匠性の向上を目的として、プラスチックフィルムを基材とする積層体中の、包装袋外側から見える層に印刷層を設けることができる。印刷層は包装袋(100)の最外層に設けるのでも構わない。
【0114】
また印刷層は、包装袋(100)の一部に設けるのでもよく、また包装袋の全面にわたって設けるのでもよい。あるいは、印刷層を用いずに表示部を設ける方法としては、たとえば包装袋の表面に印刷されたシールを貼着することも可能である。
【0115】
ここで、印刷方法、及び印刷インキには、とくに制約を設けるものではないが、既知の印刷方法の中からプラスチックフィルムへの印刷適性、色調などの意匠性、密着性、特に食品用包装袋の場合には、人体への安全性などを考慮すれば適宜選択してよい。
【0116】
たとえば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、シルクスクリーン印刷法、インクジェット印刷法などの既知の印刷方法から選択
して用いることができる。中でもグラビア印刷法は、生産性、プラスチックフィルムへの印刷適性、及び絵柄の高精細度において好ましく用いることができる。
【0117】
このようにして本発明によれば、包装袋(100)本体の形状を変化させることなく、スティック状の内容物1本ずつ取り出すことが可能で、かつ再封性を有する包装袋(100)の提供が可能である。
【実施例0118】
以下本発明を、実施例および比較例によって更に具体的な説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0119】
評価用の包装袋のサンプルを作成して、内容物を収納した状態から、サンプルの評価を実施した。
評価項目は下記のとおりである。
(1)取り出しやすさ:包装袋を開封し取り出し口から、内容物を一本ずつ取り出してそ
の容易性を評価した。
(2)再封性:内容物を一部取り出した状態で、包装袋を分岐を下方に折り込んで再封し
、残りの内容物がこぼれ出ないかを確認した。
【0120】
判定基準は以下のとおりである。
・取り出しやすさと、再封性の両方が〇評価以上の場合には判定を合格判定とした。
・取り出しやすさと、再封性の少なくともいずれかに×評価がある場合には、判定を不合格判定とした。
【0121】
なお、実施例、比較例とも包装袋の寸法は、
図3に示す記号に従うものとする。ここで
図3は、本発明に係る包装袋の実施態様において、各部の寸法と関係を説明するための平面模式図である。
【0122】
<実施例1>
包装袋の寸法は以下のとおりである。
包装袋下部のシールの最小幅(A):5mm
包装袋下部のシールの最大幅(B):5mm
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G):
・取り出し口の直下:75mm
・それ以外:75mm
取り出し口の幅(D):20mm
分岐の長さ(E):30mm
分岐高さ位置から包装袋上部のシール部までの長さ(F)50mm
内容物の長さ(a):70mm
内容物の幅(b):5mm
再封用切り込み:有り
とした。
これらはすべて本発明による規定値の範囲内である。
【0123】
<実施例2>
包装袋の寸法は以下のとおりである。
包装袋下部のシールの最小幅(A):5mm
包装袋下部のシールの最大幅(B):30mm
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G):
・取り出し口の直下:75mm
・それ以外:75mm~50mm(取り出し口の直下から傾斜付き)
取り出し口の幅(D):20mm
分岐の長さ(E):30mm
分岐高さ位置から包装袋上部のシール部までの長さ(F)50mm
内容物の長さ(a):70mm
内容物の幅(b):5mm
再封用切り込み:有り
とした。
これらはすべて本発明による規定値の範囲内である。
【0124】
<実施例3>
包装袋の寸法は以下のとおりである。
包装袋下部のシールの最小幅(A):5mm
包装袋下部のシールの最大幅(B):5mm
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G):
・取り出し口の直下:75mm
・それ以外:75mm
取り出し口の幅(D):20mm
分岐の長さ(E):30mm
分岐高さ位置から包装袋上部のシール部までの長さ(F)50mm
内容物の長さ(a):70mm
内容物の幅(b):5mm
再封用切り込み:なし
とした。
これらはすべて本発明による規定値の範囲内である。
【0125】
<比較例1>
包装袋の寸法は以下のとおりである。
包装袋下部のシールの最小幅(A):5mm
包装袋下部のシールの最大幅(B):5mm
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G):
・取り出し口の直下:55mm
・それ以外:55mm
取り出し口の幅(D):20mm
分岐の長さ(E):30mm
分岐高さ位置から包装袋上部のシール部までの長さ(F)50mm
内容物の長さ(a):70mm
内容物の幅(b):5mm
再封用切り込み:有り
とした。
これらの寸法のうち、取り出し口の直下の包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G):55mmと、内容物の長さ(a):70mmは、(a)>(G)であって、本発明に規定する範囲を逸脱するものである。
【0126】
<比較例2>
包装袋の寸法は以下のとおりである。
包装袋下部のシールの最小幅(A):5mm
包装袋下部のシールの最大幅(B):5mm
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G):
・取り出し口の直下:75mm
・それ以外:75mm
取り出し口の幅(D):20mm
分岐の長さ(E):30mm
分岐高さ位置から包装袋上部のシール部までの長さ(F)50mm
内容物の長さ(a):40mm
内容物の幅(b):5mm
再封用切り込み:有り
とした。
これらの寸法のうち、分岐高さ位置から包装袋上部のシール部までの長さ(F)50mmと内容物の長さ(a):40mmは、(a)<(F)であって、本発明に規定する範囲を逸脱するものである。
【0127】
<比較例3>
包装袋の寸法は以下のとおりである。
包装袋下部のシールの最小幅(A):5mm
包装袋下部のシールの最大幅(B):5mm
包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G):
・取り出し口の直下:75mm
・それ以外:75mm
取り出し口の幅(D):20mm
分岐の長さ(E):30mm
分岐高さ位置から包装袋上部のシール部までの長さ(F)80mm
内容物の長さ(a):70mm
内容物の幅(b):5mm
再封用切り込み:有り
とした。
これらの寸法のうち、分岐高さ位置から包装袋上部のシール部までの長さ(F):80mmと内容物の長さ(a):70mmは、(a)<(F)であって、本発明に規定する範囲を逸脱するものである。
【0128】
評価結果を表1に示す。
【0129】
【0130】
表1に示すように、本発明による包装袋である、実施例1~実施例3においては、取り出しやすさ、および再封性のいずれも〇以上の評価結果であって、したがって判定は合格である。
【0131】
これに対して、本発明に規定する範囲を逸脱する、比較例1~比較例3においては、取り出しやすさ、および再封性のいずれかにおいて×評価があり、したがって判定は不合格である。
【0132】
このように、本発明による実施例1~実施例3と、本発明によらない比較例1~比較例3との間において、その優劣が明らかであり、すなわち本発明によれば、我々が課題とするところの、包装袋本体の形状を変化させることなく、スティック状の内容物を1本ずつ取り出すことが可能で、かつ再封性を有する包装袋(100)の提供が可能であることを示すものである。
【0133】
実施例1に関しては、包装袋の形状は
図1に示す形状であって、包装袋側部に切り込み
が設けてある例である。したがって取り出しやすさは〇評価であり、再封性も切り込みが設けてある効果で◎評価となっている。
【0134】
実施例2に関しては、包装袋の形状は
図2に示す形状であって、包装袋側部に切り込みが設けてある例である。したがって、取り出しやすさは、包装袋下部シール部の勾配の効果で◎評価であり、再封性も切り込みが設けてある効果で◎評価となっている。
【0135】
実施例3に関しては、包装袋の形状は
図1に示す形状であって、包装袋側部に切り込みは設けていない例である。したがって取り出しやすさは〇評価であり、再封性は切り込みは設けていないものの、分岐を下方に押し下げることによって、再封は可能であって〇評価となっている。
【0136】
このように実施例1~実施例3においては、すべて〇判定以上の評価であり、いずれも合格判定である。
【0137】
比較例1に関しては、取り出し口の直下の包装袋下部のシール部から分岐高さ位置までの長さ(G):55mmと、内容物の長さ(a):70mmは、(a)>(G)であって、本発明に規定する範囲を逸脱しており、その結果取り出し口からの円滑な取り出しは困難である。
【0138】
したがって比較例1は、再封性は切り込みの効果があって〇評価であるものの、取り出しやすさの評価では×評価である。
【0139】
比較例2に関しては、分岐高さ位置から包装袋上部のシール部までの長さ(F)50mmと内容物の長さ(a):40mmは、(a)<(F)であって、本発明に規定する範囲を逸脱しており、その結果包装袋上部から、取り出し口に内容物が到達することが可能で、再封性が不十分な結果となった。
【0140】
したがって比較例2は、取り出しやすさの評価では〇評価であるものの、再封性の評価では×評価である。
【0141】
比較例3に関しては、分岐高さ位置から包装袋上部のシール部までの長さ(F):80mmと内容物の長さ(a):70mmは、(a)<(F)であって、本発明に規定する範囲を逸脱しており、その結果包装袋上部から、取り出し口に内容物が到達することが可能で、再封性が不十分な結果となった。
【0142】
したがって比較例3は、取り出しやすさの評価では〇評価であるものの、再封性の評価では×評価である。
【0143】
このようにして本発明によれば、包装袋本体の形状を変化させることなく、スティック状の内容物を1本ずつ取り出すことが可能で、かつ再封性を有する包装袋(100)の提供が可能であることを検証することができた。